JPH0645313Y2 - トレーリフト装置およびトレー - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、複数個のワークを収納しているトレーを載置
している載置位置と、ローダ等搬送手段でワークの授受
を行なうワーク授受位置間でトレーを上下方向に移動さ
せるためのトレーリフト装置およびトレーに関する。

「従来の技術」 工作機械等に付設され、ワークを収納したトレーを搬送
するトレーリフト装置では、多数のトレーを幾段にも積
み重ね載置することが行なわれている。

このようなトレーリフト装置では、トレー架台や下段の
トレーの上に、重い上段のトレーを積み重ね載置するた
め、衝撃の発生しないように、載置寸前には搬送スピー
ドを減速することが望ましい。

しかしながら、このような目的に使用されるトレーは高
低さまざまのものがあり、また積み重ね載置される段数
も必ずしも一定しない。

特に、トレーの上に他のトレーを積み重ね載置するとき
は、位置の検出が難しく、複雑高価な手段が必要であ
る。

そこで従来では、積み重ね、積み降ろしのスピードが全
般に低くなるようにしていた。

「考案が解決しようとする課題」 しかしながらこのような従来のトレーリフト装置では、
サイクルタイムが遅く、作業効率が低くなるという問題
点があった。

本考案は、このような従来の技術における問題点に着目
してなされたもので、高速でしかも高さの異るトレーで
あっても、また積み重ね段数に関係なく、近接時や離接
時の減速を確実にすることが可能で、全体のサイクルタ
イムの短いトレーリフト装置およびトレーを提供するこ
とを目的としている。

「課題を解決するための手段」 かかる目的を達成するための本考案の要旨とするところ
は、 １リフト本体と、このリフト本体に昇降動作自在に、か
つ、積み重ね載置されるトレーと係脱自在に設けられる
リフトアームとを備え、リフトアームがトレーに係合し
たときトレーを昇降させるトレーリフト装置において、 各トレー毎に鉛直方向に遊動可能に保持されるととも
に、上端に平頭部を有し、トレーに積み重ねられたと
き、下のトレーのドッグバーの平頭部に下端を押されて
平頭部がトレーの上面より突出するようにトレーの高さ
と同程度の長さに設定されたドッグバーと、 前記リフトアームに、前記ドッグバーの平頭部と当接可
能に設けられ、前記リフトアームが昇降動作状態であっ
て前記ドッグバーの平頭部に当接状態のとき、前記リフ
トアームの昇降動作の移動速度を減速させる信号を出力
する第１の検出手段と、 前記リフトアームに、前記積み重ね載置されるトレー上
面と当接可能に設けられ、前記リフトアームが下降動作
して前記トレーに当接したとき、リフトアームの下降動
作を停止させる信号を出力する第２の検出手段とを備
え、 前記リフトアームが前記トレー授受位置への下降動作を
行うときには、前記第１の検出手段の信号で移動速度を
減速した後、前記第２の検出手段の信号で停止し、前記
トレー授受位置より上昇動作を行うときには、前記第１
の検出手段の信号出力範囲を減速速度で、その後、高速
速度で移動するように制御したことを特徴とするトレー
リフト装置。

２上端に平頭部を有するドッグバーを、トレーに鉛直方
向に遊動可能に保持し、トレーを積み重ねたとき、下の
トレーのドッグバーの平頭部に下端を押されて該平頭部
がトレーの上面より突出するようトレーと同程度の長さ
に設定して備えたことを特徴とするトレーに存する。

「作用」 トレーが多段に積み重ね載置されている状態では、最下
段のトレーのドッグバーの下端は例えばトレー架台に小
突起を設けてそれにより上方に突き上げられる。第２段
目のトレーのドッグバーの下端は前記第１段目のトレー
のドッグバーの平頭部に当接して上方に突き上げられて
いる。このようにして各段のドッグバーは上方に順次突
きあげられており、最上段のトレーのドッグバーはトレ
ーの上面から上方に突出している。

そこで、トレーを積み降ろすべくリフトアームを上方か
ら降下させてくると、位置検出手段、例えばリミットス
イッチが前記最上位のドッグバーの平頭部に当接し、減
速信号を発してリフトアームは減速し、停止用の位置検
出手段がトレーに当接して停止する。そしてトレーを把
持して持ち上げる。

トレーを把持して持ち上げるときの作用は次のようにし
て行なわれる。

トレーを把持した状態で上昇信号を受けると、リフトア
ームは上昇を開始する。

最上段のトレーのドッグバーは徐々に下降するが、この
間減速用の位置検出手段はこのドッグバーの平頭部に当
接したままとなっており、この期間中は減速信号が発せ
られて減速上昇が成される。そして、このドッグバーが
完全に下降した位置で前記減速用の位置検出手段はドッ
グバーの平頭部から離接し、高速上昇に移行する。

リフトアームに把持されたトレーが下降してトレー架台
の上、あるいは他のトレー上に積み重ね載置されるとき
は、下記のように作用する。

リフトアームに把持されて懸垂されているトレーのドッ
グバーは下方に沈下して、その平頭部は上面に突出して
いない。

一方、既にトレー架台上に載置されているトレーのドッ
グバーは持ち上げられて、その平頭部はトレー上面から
突出している。

そこで次のトレーを上方から降下して載置すると、この
トレーのドッグバーは既にトレー架台上にある前記のト
レーのドッグバーによって突き上げられ、その平頭部は
減速用の位置検出手段に当接し、減速指令を発する。減
速降下となった後も、トレーは下降を続け停止用位置検
出手段がトレー上面に当接して、停止信号が発せられト
レー降下は停止する。

「実施例」 以下、図面に基づき本考案の一実施例を説明する。

トレーリフト装置10は、各図に見るようにリフト本体部
20と、このリフト本体部20との相対関係位置を正確に維
持しながら自在に出入可能なキャスタ付のトレー架台60
と、このトレー架台60の上に多段に積み重ね載置される
トレー80とで構成されている。

リフト本体部20は、第２図〜第４図に示すように、本体
フレーム21と、この本体フレーム21に左右移動自在に設
けられた左右移動台30と、この左右移動台30に上下移動
自在に設けられたリフトアーム40とから成っている。

本体フレーム21は、等間隔、水平に配列された脚部材22
と、この脚部材22の後端部を連ねて立設された立壁部材
23とからなっている。

脚部材22の下部には、リフト本体部20の水準を出すため
の複数個の調整ねじ24が設けられており、また、各脚部
材22の先端部は後述のトレー架台60がスムーズに出入出
来るように狭められている。

立壁部材23は立枠材23aと、上部横梁材23b、中間横梁材
23cと、後背面を成す立壁材23dとから成っている。

左右移動台30は、立壁部材23の上部横梁材23b上と、立
壁材23d上に設けられたスライドシャフト31a,31bに案内
されて、左右移動自在に立設されている。そして、サー
ボモータ32によって回転されるボールねじ33によって左
右方向に駆動されるように成されている。

リフトアーム40は、前記左右移動台30の両側端に設けら
れた一対のスライドシャフト42に案内されて左右移動台
30上を上下に移動自在に取付けられたＵ字体41と、この
Ｕ字体41を上下に駆動するボールねじ43と、このボール
ねじ43を回転駆動するモータならびに歯車機構を収納し
たギヤボックス44と、前記Ｕ字体41の両端部に固設され
たアーム部材45とから成っている。

Ｕ字体41には、第２図、第３図に示すように前記リフト
アーム40の移動速度減速用の位置検出手段（第１の検出
手段）である第１リミットスイッチ48と、同リフトアー
ム40の停止用の位置検出手段（第２の検出手段）である
第２リミットスイッチ49とが取付けられている。

ギヤボックス44内には、モータと、電磁クラッチ機構な
どによって高低２速に切り換え可能の減速機構が収納さ
れている。

アーム部材45には、第２図、第３図などに示すように、
爪駆動シャフト46によって、アーム部材45内面から起伏
自在に駆動される左右夫々一対の爪部材47が設けられて
いる。

この爪部材47は前記爪駆動シャフト46の回動によって起
倒するが、爪駆動シャフト46の回動機構は図示省略して
いる。

トレー架台60は、平面形状が長方形で、その巾が前記リ
フト本体部20の脚部材22の間に丁度嵌りこむように成さ
れた台枠61に、キャスタ62を取り付けて成っている。

台枠61の上面には、第３図に示すように、トレー80を定
位置に受けるべき位置決め部材63,64が固設されてい
る。そして、これら位置決め部材63,64のうちの位置決
め部材64には小突起64aが突設されている。

なお、トレー架台60が前記脚部材22の間に挿入されたと
きの奥行の位置決めについては、例えば脚部材22から幅
方にストッパを突出させるようにすることが出来る。

トレー80は、底面81がトレー架台60の前記位置決め部材
63,64に丁度対応する形状ならびに寸法に成されてお
り、上部開口部の周縁には第１図に示すような縁板82が
形成されている。

そして、この縁板82の上面には、トレーが重られたと
き、上のトレーの底面81がずれないよう、上のトレーの
底面81の形状に対応した僅かな窪み82aが形成されてい
る。

一方、トレー80がトレー架台60上に載置されたとき、位
置決め部材64の前記小突起64aに対応する縁板82上に小
孔83が穿設されており、この小孔83には、第５図に示す
ようなドッグバー84が挿嵌されている。

ドッグバー84は、その上端部に平頭部85がピン止めされ
ている。

また、第６図のような振れ止板86が下部寄りに固設され
ている。

そして、このドッグバー84の全長Ｌはそれぞれ装着され
る各トレー80の全高Ｈに等しく成されている。また縁板
82にはドッグバー84の前記平頭部85が丁度隠れるような
小凹部82bが設けられている。

次に作用を説明する。

まず、第７図によって既に積み重ね載置されているトレ
ー80を、最上位のものから順次取り去る動作を説明す
る。

積み重ね載置されたトレー80のうち最下位のものは、ト
レー架台60の位置決め部材63,64に定位され、ドッグバ
ー84は小突起64aに突き上げられて上方に突出する。そ
して順次各ドッグバー84は上方に突出し、最上位のドッ
グバー84はトレー80の上面から突出している。

そこで、リフトアーム40が上方から近接してくると、第
１リミットスイッチ48が前記ドッグバー84の平頭部に接
触し、減速信号を発し、リフトアーム40は減速スピード
で下降する。そして第２リミットスイッチ49がトレーの
縁板82に接触して停止する。停止時には、爪部材47は縁
板82より下方に位置した状態となる。

下降中は爪部材47は図中の実線に示すように下向きにな
っており、停止後に、点線のように内側に向けられて縁
板82に係合する位置となる。

次いで上昇指令によって、リフトアーム40は上昇を開始
し、若干量上昇後、トレーの縁板82に爪部材47が係合し
てトレー80が上昇する。トレー80の上昇に伴い最上位の
ドッグバー84は徐々に下降していき、ついには平頭部85
は小凹部82bに没入する。そして第１リミットスイッチ4
8はこの期間中減速信号を発しているから、リフトアー
ム40はゆっくり上昇し、平頭部85が小凹部82bに没入し
たところで減速信号が絶たれ、リフトアーム40は高速上
昇する。

次に、リフトアーム40に支えられたトレー80をトレー架
台60もしくは他のトレー80に積み重ねるときの動作を説
明する。

第８図のように、アーム部材45の爪部材47に支持された
トレー80は、上方から他のトレー80に向って降下してく
る。第１リミットスイッチ48もドッグバー84の平頭部85
に接触寸前の状態にある。

降下するトレー80のドッグバー84が、次段のトレー80の
突出しているドッグバー84の平頭部85に当接すると、こ
の最上位のドッグバー84は上昇しはじめ、第１リミット
スイッチ48に接触し、第１リミットスイッチ48は減速信
号を発する。リフトアーム40が減速スピードで下降を続
けると、下降トレーが下部トレーに載置されトレーの縁
板82に爪部材47は離れ、第２リミットスイッチ49がトレ
ーの縁板82に接触し、停止信号を発生して、リフトアー
ム40は降下を停止する。

トレー架台60はリフト本体部20の脚部材22に案内され
て、巾方向は正確に規制されると同時に、奥行方向も正
確に定位される。一方左右移動台30はサーボモータ32に
よって正確に送られるように成っている。したがって、
各トレー80はトレー架台60の台枠61上に正確に載置さ
れ、小突起64aは正しくトレー60のドッグバー84を押し
揚げることができる。

振れ止板86は、トレー80の胴部に摺接することによって
ドッグバー84の振れを止める作用をしている。

なお、本実施例における前記第２リミットスイッチ49を
用いず、第１リミットスイッチ48の減速信号発信後はタ
イマーによって常に所定時間後自動停止あるいは高速走
行するようにしてもよい。

一番下のトレーのドッグバーを突き上げるにはトレー架
台に設けた小突起によるほか、ドッグバーの下に駒を固
設してもよい。また、一番下のトレーだけは特定の構成
とし、その上のトレーのドッグバーを突き上げるような
突起を設けたものにしてもよい。

「考案の効果」 本考案に係るトレーリフト装置およびトレーによれば、
相互に水平位置保持可能に積み重ね載置されるトレー
を、トレー高さと略等しいドッグバーを、鉛直に遊動可
能に保持させたものとし、積み重ね載置されたとき順次
上方に突き上げて最上段で突出するようにし、ドッグバ
ーに当接して減速信号を発する位置検出手段を配設した
から、リフトアームをトレーに近接あるいは離接する際
は衝撃を生じることがなく、したがってトレーに接近時
以外は動作を高速に行なわせることが出来、全体のサイ
クルタイムを短縮させることが出来るのみならず、さら
に、リフトアームにトレーを保持して他のトレー上に載
置したり、吊り揚げる場合にも同様の減速信号を得るこ
とが出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第８図は本考案の一実施例を示しており、第１
図はトレーリフト装置の要部の正面図、第２図はリフト
本体部とトレー架台の正面図、第３図は同じく平面図、
第４図は同じく側面図、第５図はドッグバーの正面図、
第６図は同じく平面図、第７図はリフトアーム近接時の
作用説明図、第８図はトレーを他のトレー上に載置する
際の作用説明図である。 10……トレーリフト装置 20……リフト本体部、21……本体フレーム 30……左右移動台、40……リフトアーム 45……アーム部材、47……爪部材 48……第１リミットスイッチ（位置検出手段） 49……第２リミットスイッチ（位置検出手段） 60……トレー架台 63,64……位置決め部材 64a……小突起 80……トレー、81……底面 82……縁板、82a……窪み 84……ドッグバー、85……平頭部

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】リフト本体と、このリフト本体に昇降動作
   自在に、かつ、積み重ね載置されるトレーと係脱自在に
   設けられるリフトアームとを備え、リフトアームがトレ
   ーに係合したときトレーを昇降させるトレーリフト装置
   において、 各トレー毎に鉛直方向に遊動可能に保持されるととも
   に、上端に平頭部を有し、トレーに積み重ねられたと
   き、下のトレーのドッグバーの平頭部に下端を押されて
   平頭部がトレーの上面より突出するようにトレーの高さ
   と同程度の長さに設定されたドッグバーと、 前記リフトアームに、前記ドッグバーの平頭部と当接可
   能に設けられ、前記リフトアームが昇降動作状態であっ
   て前記ドッグバーの平頭部に当接状態のとき、前記リフ
   トアームの昇降動作の移動速度を減速させる信号を出力
   する第１の検出手段と、 前記リフトアームに、前記積み重ね載置されるトレー上
   面と当接可能に設けられ、前記リフトアームが下降動作
   して前記トレーに当接したとき、リフトアームの下降動
   作を停止させる信号を出力する第２の検出手段とを備
   え、 前記リフトアームが前記トレー授受位置への下降動作を
   行うときには、前記第１の検出手段の信号で移動速度を
   減速した後、前記第２の検出手段の信号で停止し、前記
   トレー授受位置より上昇動作を行うときには、前記第１
   の検出手段の信号出力範囲を減速速度で、その後、高速
   速度で移動するように制御したことを特徴とするトレー
   リフト装置。
2. 【請求項２】上端に平頭部を有するドッグバーを、トレ
   ーに鉛直方向に遊動可能に保持し、トレーを積み重ねた
   とき、下のトレーのドッグバーの平頭部に下端を押され
   て該平頭部がトレーの上面より突出するようトレーと同
   程度の長さに設定して備えたことを特徴とするトレー。