JPH0645225A - 位置合わせ方法 - Google Patents

位置合わせ方法

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JPH0645225A
JPH0645225A JP4199725A JP19972592A JPH0645225A JP H0645225 A JPH0645225 A JP H0645225A JP 4199725 A JP4199725 A JP 4199725A JP 19972592 A JP19972592 A JP 19972592A JP H0645225 A JPH0645225 A JP H0645225A
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shot
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恵愛 岩本
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博貴 立野
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    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03FPHOTOMECHANICAL PRODUCTION OF TEXTURED OR PATTERNED SURFACES, e.g. FOR PRINTING, FOR PROCESSING OF SEMICONDUCTOR DEVICES; MATERIALS THEREFOR; ORIGINALS THEREFOR; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED THEREFOR
    • G03F9/00Registration or positioning of originals, masks, frames, photographic sheets or textured or patterned surfaces, e.g. automatically
    • G03F9/70Registration or positioning of originals, masks, frames, photographic sheets or textured or patterned surfaces, e.g. automatically for microlithography
    • G03F9/7003Alignment type or strategy, e.g. leveling, global alignment
    • G03F9/7023Aligning or positioning in direction perpendicular to substrate surface
    • G03F9/7026Focusing

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  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ウエハ上に形成された複数のショット領域の
各々とレチクルとの重ね合わせ(アライメント)精度を
向上させる。 【構成】 7個のサンプルショットの座標位置を用いて
統計演算を行い、変換行列Ag、Og及びウエハW上の
8個の仮想ショットの配列座標値を算出する。ここで算
出した配列座標値に従ってウエハステージWSをステッ
ピングさせ、仮想ショット毎にレチクルマークRMx1
RMy1を潜像として形成した後、仮想ショット毎の潜像
マークの座標位置を統計演算することにより変換行列A
t、Otを算出する。そして、変換行列Ag、Og、及
びOtを用いてウエハW上の全てのショット領域の配列
座標値(Fx、Fy)を決定し、この決定された配列座
標値に従ってウエハステージWSをステッピングさせる
ことで、ウエハW上の複数のショット領域の各々をレチ
クルパターンに対して正確に位置合わせする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体素子や液晶デバ
イス製造のリソグラフィ工程で使用される露光装置に好
適なマスクと感光基板との位置合わせ方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体素子製造のリソグラフィ工
程では、マスクまたはレチクルに形成されたパターンを
高分解能で感光基板(ウエハ、ガラスプレート等)に転
写する装置として、ステップアンドリピート方式の縮小
投影型露光装置(ステッパー)が多用されるようになっ
ている。この種のステッパーには、レチクルパターンの
投影像とウエハ上にマトリックス状に形成された回路パ
ターンとを正確に重ね合わせるアライメントセンサーと
して、例えば特開平2−272305号公報に開示され
たようなTTL(Through The Lens)方式のアライメント
センサーが設けられている。このアライメントセンサー
は、細長い帯状スポット光をウエハ上のアライメントマ
ーク(回折格子マーク)に照射し、当該マークから発生
する回折光を光電検出するレーザ・ステップ・アライメ
ント(LSA)系と、回折格子マークに対して互いに異
なる2方向から2本のレーザビームを照射して1次元の
干渉縞を形成し、当該マークからほぼ同一方向に発生す
る回折光同志の干渉光を光電検出するアライメント(La
ser Interferometric Alignment;LIA)系とを、光学
部材を最大限共有させるように組み合わせたものであ
る。
【0003】現在、ステッパーのアライメント方式は、
例えば特開昭61−44429号公報、特開昭62−8
4516号公報等に開示されたようなエンハンスド・グ
ローバル・アライメント(EGA)が主流となってい
る。EGA方式とは、1枚のウエハに対して重ね合わせ
露光を行うのに先立ち、ウエハ上に形成された複数の露
光領域(ショット領域)のうちの少なくとも3つ、例え
ばウエハの中心及びその外周付近に位置する7つのショ
ット領域を指定し、各ショット領域に付随した2組
(X、Y方向)のアライメントマーク(ウエハマーク)
の座標位置をアライメントセンサーにて計測(サンプル
アライメント)する。しかる後、これらのマーク位置
(計測値)と設計値とに基づいて、ウエハ上のショット
領域の配列特性に関する誤差パラメータ、すなわちウエ
ハ中心位置のオフセット(X、Y方向)、ウエハの伸縮
度(X、Y方向)、ウエハの残存回転量、及びウエハス
テージの直交度(またはショット配列の直交度)の計6
つのパラメータを統計演算(最小二乗法等)により決定
する。そして、この決定されたパラメータの値に基づい
て、ウエハ上の全てのショット領域に対してその設計上
の座標値を補正し、この補正された座標値(計算値)に
従ってウエハステージをステッピングさせていく方式で
ある。この結果、レチクルパターンの投影像とウエハ上
の複数のショット領域の各々とが正確に重ね合わされて
露光が行われる。
【0004】ところで、レチクルパターンをウエハ上の
ショット領域に重ね合わせて露光する際、レチクル位置
やベースラインの変動、投影光学系の投影倍率やディス
トーションの変動等に起因してレチクルパターンの投影
像とショット領域とがX、Y方向に位置ずれし、十分な
重ね合わせ(アライメント)精度を得ることができない
という問題があった。そこで、従来ではショット領域が
形成されたウエハに対する重ね合わせ露光(本露光)に
先立ち、パイロットウエハに対してレチクルパターン
(バーニアパターン等)の重ね合わせ露光(試し焼き)
を行い、現像処理によりウエハ上に形成された2つ(主
尺パターンと副尺パターン)のレジスト像のずれ量をア
ライメントセンサー、または専用の検査装置にて検出す
る。実際に重ね合わせ露光を行う際には、アライメント
センサーの計測結果に上記ずれ量をオフセットとして与
えることで、レチクルパターンの投影像とショット領域
とを正確に重ね合わせることが可能となる。
【0005】しかしながら、上記方法は計測専用のパイ
ロットウエハが必要であり、しかも現像処理により計測
時間が長くなるという問題がある。このため、例えば特
開昭61−201427号公報に開示されたように、露
光光をレチクルマークに照射することによりレジスト層
に形成される潜像を利用する方法も提案されている。上
記公報に開示された方法は、アライメントセンサーを用
いてレチクルパターンとウエハ上の1つのショット領域
との位置合わせを行った後、本露光に先立って露光光を
レチクルマークに照射してレジスト層にその潜像を形成
する。そして、ショット領域に付随して既に形成されて
いるウエハマーク(下地マーク)と、当該マークの近傍
に形成されたレチクルマークの潜像とを、同一のアライ
メントセンサーを用いて同時に検出してその位置ずれ量
を求める。さらに、この位置ずれ量に応じてレチクルと
ウエハとを相対移動する、すなわち再アライメントを実
行する。しかる後、本露光を開始することにより、レチ
クルパターンの投影像とウエハ上のショット領域とを正
確に重ね合わせて露光することができる。
【0006】上記方法ではパイロットウエハが不要で、
しかも現像処理を行うことなく短時間で位置ずれ(オフ
セット)を計測できるといった利点がある。また、ウエ
ハ上のショット領域毎に上記の如き潜像を利用した位置
ずれ量の計測を行うと、1枚のウエハの処理時間が長く
なり、装置のスループットが低下するという問題が生じ
得る。このため、例えばウエハ上の先頭(第1番目)の
ショット領域に対してのみ上記計測を実行することと
し、第2番目以降のショット領域では先に計測した位置
ずれ量を用いてレチクルパターンとショット領域との位
置合わせ(アライメント)を行うようにすれば良い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
如き従来技術において、先頭のショット領域で計測した
位置ずれ量を用いてウエハ上の全てのショット領域のア
ライメントを行う場合、ウエハの伸縮(スケーリング)
等によりショット領域が位置ずれしていると、上記位置
ずれ量をオフセットとして与えても正確な重ね合わせを
行うことができないという問題がある。また、アライメ
ントセンサーの計測精度(再現性)によっては、上記位
置ずれ量によるオフセット補正を行っても正確な重ね合
わせを行うことは難しい。さらに、露光光とほぼ同一波
長域の照明光を用いるアライメントセンサーで潜像を検
出する場合には、当該照明光の照射により潜像の光学特
性が変化してその計測精度に悪影響を与えるという問題
がある。また、レチクルマークの潜像は常にウエハマー
ク(下地マーク)の近傍に形成されることになり、その
形成位置の制約が大きく、しかも次層ではウエハマーク
の近傍に潜像が下地マークとして形成され得るので、こ
の潜像による下地マーク(疑似的なアライメントマー
ク)により次層でのアライメント精度が低下し得るとい
った問題も生じる。
【0008】本発明は以上の点を考慮してなされたもの
であり、レチクルマークの潜像を感光基板上の任意の位
置に形成でき、スループットを低下させることなく高精
度にマスクパターンとショット領域とのアライメントが
可能な位置合わせ方法を提供することを目的としてい
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】かかる問題点を解決する
ため本発明においては、感光基板に所定の配列座標に従
って2次元的に形成された複数の露光領域のうち、予め
選択された少なくとも3つの露光領域の静止座標系上に
おける座標位置を計測し、この計測された複数の座標位
置を統計演算することにより算出される複数の第1パラ
メータを用いて、静止座標系上での複数の露光領域の計
算上の配列座標を算出する工程と、この算出された計算
上の配列座標に従って感光基板を移動して露光位置に位
置決めしながら、感光基板上の予め定められた複数の位
置の各々に、マスクに形成された特定マークを露光する
工程と、この露光された複数の特定マークの像(潜像)
のうち、少なくとも3つの特定マークの潜像の静止座標
系上における座標位置を計測し、この計測された複数の
座標位置を統計演算することによって、複数の特定マー
ク(潜像)の各々の静止座標系上における座標位置を求
めるために用いられる複数の第2パラメータを算出する
工程とを含み、複数の第1パラメータのうちの配列オフ
セットを表すパラメータと、複数の第2パラメータのう
ちの配列オフセットを表すパラメータとの偏差に応じ
て、感光基板の複数の露光領域の各々を露光位置に対し
て位置合わせすることとした。また、特にマスクの特定
マークは、感光基板の外周付近の未露光領域(下地パタ
ーンが形成されていない領域)内に露光することとし
た。
【0010】
【作用】本発明においては、感光基板上の少なくとも3
つの露光領域の静止座標系上における座標位置を統計演
算することにより算出される複数の第1パラメータを用
いて、静止座標系上での感光基板の複数の露光領域の各
々の計算上の配列座標を求め、この計算上の配列座標に
従って感光基板上の複数の位置の各々にマスクの特定マ
ークを露光する。このため、マスクの特定マークを感光
基板上の任意の位置に露光でき、その潜像の形成位置に
関する制約が全くない。特に、マスクの特定マークの潜
像を感光基板の外周付近の未露光領域内に形成できるの
で、露光領域に付随したアライメントマーク(下地マー
ク)の近傍に潜像が形成されることがなく、潜像形成に
よる次層でのアライメント精度の低下も防止できる。
【0011】さらに複数の特定マークの像(潜像)のう
ち、少なくとも3つの特定マークの潜像の静止座標系上
における座標位置を統計演算することによって、複数の
特定マーク(潜像)の各々の静止座標系上における座標
位置を求めるために用いられる複数の第2パラメータを
算出する。そして、複数の第1パラメータのうちの配列
オフセットを表すパラメータと、複数の第2パラメータ
のうちの配列オフセットを表すパラメータとの偏差に応
じて、感光基板の複数の露光領域の各々を露光位置に対
して位置合わせすることとした。このため、アライメン
トセンサーの計測再現性等によらず、重ね合わせ露光時
の位置ずれ量を精度良く計測でき、常に高精度なアライ
メントが可能となる。
【0012】
【実施例】図1は本発明の第1実施例による位置合わせ
方法を適用するのに好適な投影露光装置の概略的な構成
を示す図、図2は図1中に示したTTL方式のアライメ
ントセンサーの具体的な構成を示す図、図3は図1に示
した装置の制御系のブロック図である。以下、本実施例
の位置合わせ方法を説明する前に、投影露光装置の概略
構成について説明する。
【0013】図1において、超高圧水銀ランプ1から発
生した照明光ILは楕円鏡2で反射してその第2焦点で
一度集光した後、コリメータレンズ、干渉フィルター、
オプチカルインテグレータ(フライアイレンズ)、及び
開口絞り(σ絞り)等を含む照明光学系3に入射する。
図示していないが、フライアイレンズはそのレチクル側
焦点面がレチクルパターンのフーリエ変換面(瞳共役
面)とほぼ一致するように光軸AXと垂直な面内方向に
配置される。また、第2焦点の近傍にはモータ38によ
って照明光ILの光路の閉鎖、開放を行うシャッター
(例えば4枚羽根のロータリーシャッター)37が配置
される。尚、露光用照明光源1としては水銀ランプ等の
輝線の他、KrF、ArFエキシマレーザ等のレーザ光
源、あるいは金属蒸気レーザやYAGレーザの高調波等
を用いても構わない。
【0014】照明光学系3を射出したレジスト層を感光
させる波長域の照明光(i線等)ILは、その大部分が
ビームスプリッター4で反射してリレーレンズ5、7、
及び可変視野絞り(レチクルブラインド)6を通過して
ミラー8に至り、ここでほぼ垂直に下方に反射された
後、メインコンデンサーレンズ9を介してレチクルRの
パターン領域PAをほぼ均一な照度で照明する。レチク
ルブラインド6の面はレチクルRと共役関係(結像関
係)にあるので、駆動系36によりレチクルブラインド
6を構成する複数枚の可動ブレードを開閉させて開口部
の大きさ、形状を変えることによって、レチクルRの照
明視野を任意に設定することができる。
【0015】図4(a)はレチクルRの具体的な構成を
示す図であり、本実施例では遮光帯LSBに囲まれたパ
ターン領域PAの4辺の各々のほぼ中央部に4つのレチ
クルマークRMx1、RMx2、RMy1、RMy2が形成され
ている。これらレチクルマークはレジスト層に潜像とし
て形成されるものであり、本実施例ではショット領域と
の位置合わせにもアライメントマークとして共用される
ものとする。また、4つのレチクルマークは同一構成で
あるので、ここではマークRMx1についてのみ説明す
る。図4(b)に示すようにアライメントマークRMx1
は、Y方向に配置された7個のドットマークから成る回
折格子マークを、X方向に所定間隔離して5本配列した
もの(マルチマーク)で、遮光帯LSBに設けられた透
明窓RW内にクロム等の遮光部により形成したものであ
る。さらに、レチクルRにはその外周付近に2組のアラ
イメントマークRAM1 、RAM2 が対向して形成され
ている。アライメントマークRAM1 、RAM2 は共に
十字状の遮光マークであり、レチクルRのアライメント
(光軸AXに対する位置合わせ)に用いられる。
【0016】レチクルRは、モータ12によって投影光
学系13の光軸方向に微動可能で、かつ水平面内で2次
元移動及び微小回転可能なレチクルステージRSに載置
されている。レチクルステージRSの端部にはレーザ光
波干渉測長器(干渉計)11からのレーザビームを反射
する移動鏡11mが固定されており、レチクルステージ
RSの2次元的な位置は干渉計11によって、例えば
0.01μm程度の分解能で常時検出される。レチクル
アライメント(RA)系10A、10Bは、レチクルR
の外周付近に形成された2組のアライメントマーク(図
4(a)中の十字状マークRAM1 、RAM2)を検出す
るものである。RA系10A、10Bからの検出信号に
基づいてレチクルステージRSを微動させることで、レ
チクルRはパターン領域PAの中心点が光軸AXと一致
するように位置決めされる。
【0017】さて、パターン領域PAを通過した照明光
ILは、両側テレセントリックな投影光学系13に入射
し、投影光学系13はレチクルRの回路パターンの投影
像を1/5に縮小して、表面にレジスト層が形成され、
その表面が最良結像面とほぼ一致するように保持された
ウエハW上の1つのショット領域に重ね合わせて投影
(結像)する。図5(a)はウエハW上の1つのショッ
ト領域SA、及びウエハマークMX、MYの配置関係を
示す図、図5(b)はウエハマークMXの構成を示す図
である。図5(a)において、ショット領域SAの4辺
はストリートラインSTで囲まれており、互いに直交す
る2辺のストリートラインSTの各々のほぼ中央部には
アライメントマークMX、MYが形成されている。アラ
イメントマークMX、MYは共に1次元の回折格子マー
クであり、下地に凹部、または凸部として形成したもの
である。図5(b)に示すようにウエハマークMXは、
Y方向に延びた5本のバーマークを、X方向(計測方
向)に所定ピッチで配列したものである。
【0018】ウエハWは、微小回転可能なウエハホルダ
(不図示)に真空吸着され、このホルダを介してウエハ
ステージWS上に保持されている。ウエハステージWS
は、モータ16によりステップアンドリピート方式で2
次元移動可能に構成されており、ウエハW上の1つのシ
ョット領域に対するレチクルRの転写露光が終了する
と、次のショット位置までステッピングされる。ウエハ
ステージWSの端部には干渉計15からのレーザビーム
を反射する移動鏡15mが固定され、ウエハステージW
Sの2次元的な位置は干渉計15によって、例えば0.
01μm程度の分解能で常時検出される。
【0019】また、ウエハステージWS上にはベースラ
イン計測時等で用いられるフィデュシャルマークを備え
た基準部材(ガラス基板)14が、ウエハWの表面位置
とほぼ一致するように設けられている。基準部材14に
はフィデュシャルマークとして、図6に示すような光透
過性の5組のL字状パターンから成るスリットパターン
FMaと、光反射性のクロムで形成された2組の基準パ
ターン(デューティは1:1)FMx、FMyとが設け
られている。基準パターンFMxは、7個のドットマー
クをY方向に配列した3本の回折格子マークとY方向に
延びた12本のバーマークとを、3本の回折格子マーク
を中心としてX方向に配列したものである。尚、基準パ
ターンFMyもパターンFMxと同一構成なので、ここ
では説明を省略する。
【0020】さて、スリットパターンFMaは光ファイ
バー(不図示)等を用いて基準部材14の下へ伝送され
た照明光(露光光)によって、下方(ウエハステージ内
部)から照明されるように構成されている。スリットパ
ターンFMaを透過した照明光は、投影光学系13を介
してレチクルRの裏面(パターン面)にスリットパター
ンFMaの投影像を結像する。さらにレチクルマークR
Mx1、RMx2、RMy1、RMy2のいずれかを通過した照
明光は、コンデンサーレンズ9、リレーレンズ5、7等
を通ってビームスプリッター4を透過した後、投影光学
系13の瞳共役面近傍に配置された光電検出器35によ
り受光され、光電検出器35は照明光の強度に応じた光
電信号SSを主制御系18に出力する。以下では、光フ
ァイバー、基準部材14、及び光電検出器35をまとめ
てISS(Imaging Slit Sensor)系と呼ぶことにする。
【0021】また、図1中には投影光学系13の結像特
性を調整可能な結像特性補正部19も設けられている。
本実施例における補正部19は、投影光学系13を構成
する一部のレンズエレメント、特にレチクルRに近い複
数のレンズエレメントの各々を、ピエゾ素子等の圧電素
子を用いて独立に駆動(光軸AXに対して平行移動、ま
たは傾斜)することで、投影光学系13の結像特性、例
えば投影倍率やディストーションを補正するものであ
る。
【0022】次に、上記構成の装置に設けられた2組の
アライメントセンサーについて説明する。オフアクシス
方式のアライメントセンサー(Field Image Alignment;
FIA系)は、ハロゲンランプ20で発生した光をコン
デンサーレンズ21、及び光ファイバー22を介して干
渉フィルター23に導き、ここでレジスト層の感光波長
域と赤外波長域との光をカットする。干渉フィルター2
3を透過した光は、レンズ系24、ビームスプリッター
25、ミラー26、及び視野絞りBRを介してテレセン
トリックな対物レンズ27に入射する。さらに、投影光
学系13の照明視野を遮光しないように鏡筒下部周辺に
固定されたプリズム(ミラー)28で反射され、ウエハ
Wをほぼ垂直に照射する。
【0023】対物レンズ27からの光はウエハマーク
(下地マーク)MXを含む部分領域に照射され、当該領
域から反射した光はプリズム28、対物レンズ27、視
野絞りBR、ミラー26、ビームスプリッター25、及
びレンズ系29を介して指標板30に導かれる。ここ
で、指標板30は対物レンズ28、及びレンズ系29に
よってウエハWと共役な面内に配置されており、ウエハ
W上のアライメントマークMXの像は指標板30の透明
窓内に結像される。さらに指標板30には、その透明窓
内に指標マークとして、Y方向に延びた2本の直線状マ
ークをX方向に所定間隔だけ離して配置したものが形成
されている。指標板30を通過した光は、リレーレンズ
系31、33、及びミラー32を介して撮像素子(CC
Dカメラ等)34へ導かれ、その受光面上にはアライメ
ントマークMXの像と指標マークの像とが結像される。
撮像素子34からの画像信号SVは主制御系18に送ら
れ、ここでアライメントマークMXのX方向の位置(座
標値)が算出される。尚、図1中には示していないが、
上記構成のFIA系(X−FIA系)の他に、Y方向の
マーク位置を検出するためのもう1組のFIA系(Y−
FIA系)も設けられているものとする。
【0024】次に、図2を参照してTTL方式のアライ
メントセンサー17について説明する。アライメントセ
ンサー17はLIA系とLSA系とをその光学部材を最
大限共有させて組み合わせたものであり、その具体的な
構成は特開平2−272305号公報に開示されている
ので、ここでは簡単に説明する。図2において、光源
(He−Neレーザ等)40から射出したレーザビーム
はビームスプリッター41で分割され、ここで反射した
ビームはシャッター42を介して第1ビーム成形光学系
(LIA光学系)45に入射する。一方、ビームスプリ
ッター41を透過したビームは、シャッター43、及び
ミラー44を介して第2ビーム成形光学系(LSA光学
系)46に入射する。従って、シャッター42、43を
適宜駆動することにより、LIA系とLSA系とを切り
換えて使用することが可能となっている。
【0025】さて、LIA光学系45は2組の音響光学
変調器等を含み、所定の周波数差Δfを与えた2本のビ
ームを、その光軸を挟んでほぼ対称となるように射出す
る。さらに、LIA光学系45を射出した2本のビーム
はミラー47、及びビームスプリッター48を介してビ
ームスプリッター49に入射し、ここを透過した2本の
ビームはレンズ系(逆フーリエ変換レンズ)53、及び
ミラー54を介して、装置上で固定されている参照用回
折格子55に、互いに異なる2方向から所定の交差角で
入射し結像(交差)する。光電検出器56は、参照用回
折格子55を透過してほぼ同一方向に発生する回折光同
志の干渉光を受光し、回折光強度に応じた正弦波状の光
電信号SRを主制御系18、すなわちLIA演算ユニッ
ト58に出力する。
【0026】一方、ビームスプリッター49で反射した
2本のビームは、対物レンズ50によって視野絞り51
で一度交差した後、ミラーM2(図1中のミラーM1 は図
示省略)を介して投影光学系13に入射する。さらに、
投影光学系13の瞳面で光軸AXに関してほぼ対称とな
って一度スポット状に集光した後、ウエハW上のアライ
メントマークMYのピッチ方向(Y方向)に関して光軸
AXを挟んで互いに対称的な角度で傾いた平行光束とな
って、ウエハマークMY上に異なる2方向から所定の交
差角で入射する。ウエハマークMY上には周波数差Δf
に対応した速度で移動する1次元の干渉縞が形成され、
当該マークから同一方向、ここでは光軸方向に発生した
±1次回折光(干渉光)は投影光学系13、対物レンズ
50等を介して光電検出器52で受光され、光電検出器
52は干渉縞の明暗変化の周期に応じた正弦波状の光電
信号SDwをLIA演算ユニット58に出力する。LI
A演算ユニット58は、2つの光電信号SR、SDwの
波形上の位相差からウエハマークMYの位置ずれ量を算
出するとともに、干渉計15からの位置信号PDsを用
いて、当該位置ずれ量が零となるときのウエハステージ
WSの座標位置を求め、この情報をアライメントデータ
記憶部61(図3)に出力する。
【0027】また、LSA光学系46はビームエクスパ
ンダー、シリンドリカルレンズ等を含み、ここを射出し
たビームはミラー48、及びビームスプリッター49を
介して対物レンズ50に入射する。さらに、対物レンズ
50によって視野絞り51で一度スリット状に収束し、
ミラーM2 を介して投影光学系13に入射してその瞳面
のほぼ中央を通った後、イメージフィールド内でX方向
に伸び、かつ光軸AXに向かうような細長い帯状スポッ
ト光としてウエハW上に形成される。スポット光とウエ
ハマーク(回折格子マーク)とをY方向に相対移動した
とき、当該マークから発生する光は投影光学系13、対
物レンズ50等を介して光電検出器52で受光される。
光電検出器52は、ウエハマークからの光のうち±1〜
3次回折光のみを光電検出し、この光強度に応じた光電
信号SDiを主制御系18、すなわちLSA演算ユニッ
ト57に出力する。LSA演算ユニット57は干渉計1
5からの位置信号PDsも入力し、ウエハステージWS
の単位移動量毎に発生するアップダウンパルスに同期し
て光電信号SDiをサンプリングする。さらに各サンプ
リング値をデジタル値に変換してメモリに番地順に記憶
させた後、所定の演算処理によってウエハマークのY方
向の位置を算出し、この情報をアライメントデータ記憶
部61に出力する。
【0028】ところで、本実施例では重ね合わせ露光
(本露光)に先立ち、露光光の照射によりレチクルマー
ク(回折格子マーク)をウエハWに露光してレジスト層
にその潜像を形成するが、この潜像を検出するためのセ
ンサーとしては主にLSA系を用いる。従って、LSA
系、及びLSA演算ユニット57はウエハマーク(下地
マーク)と全く同様の動作でレチクルマークの潜像を検
出し、その位置情報をアライメントデータ記憶部61に
出力する。尚、図1中には示していないが、上記構成の
アライメントセンサー(Y−LIA系、Y−LSA系)
の他に、X方向のマーク位置を検出するためのもう1組
のTTL方式のアライメントセンサー(X−LIA系、
X−LSA系)も設けられているものとする。
【0029】次に、図3を参照して上記装置を統括制御
する主制御系18について説明する。本実施例では、L
SA演算ユニット57から符号順にシステムコントロー
ラ65までが主制御系18を構成する。図3において、
FIA演算ユニット59は撮像素子34からの画像信号
SVの波形に基づき、所定の演算処理により指標マーク
に対するウエハマークの像の位置ずれ量を算出する。さ
らに、干渉計15からの位置信号PDsも入力して、ウ
エハマークの像が指標マークの中心に正確に位置した
(位置ずれ量が零となる)ときのウエハステージWSの
座標位置を求め、この情報をアライメントデータ記憶部
61に出力する。また、ISS演算ユニット60は基準
部材14(スリットパターンFMa)とレチクルRとを
相対移動させたときに光電検出器35から出力される光
電信号SSとともに、干渉計15からの位置信号PDs
も入力する。そして、ウエハステージWSの単位移動量
毎に発生するアップダウンパルスに同期して光電信号S
Sをサンプリングし、各サンプリング値をデジタル値に
変換してメモリに番地順に記憶させた後、所定の演算処
理によってレチクルマークのX、またはY方向の位置
(干渉計15によって規定される直交座標系XY上での
座標位置)を算出し、この情報をアライメントデータ記
憶部61に出力する。
【0030】また、アライメントデータ記憶部61は4
つの演算ユニット57〜60の各々からのマーク位置情
報(潜像の位置も含む)を入力可能となっている。EG
A演算ユニット62は、4つの演算ユニット57〜60
からの位置情報を用いて各種演算を行うものであり、そ
の演算結果は記憶部63とシステムコントローラ65と
に送られる。一例としては、アライメントデータ記憶部
61に記憶されたマーク位置情報に基づいて、統計的な
演算手法によりウエハW上のショット領域の配列座標値
を算出する。EGA演算ユニット62では、上記の如き
配列座標値の算出に先立って演算パラメータ、すなわち
ウエハ中心位置のオフセット(X、Y方向)、ウエハの
伸縮度(X、Y方向)、ウエハの残留回転誤差、及びウ
エハステージの直交度、またはショット配列の直交度
(後述の変換行列A、O)も算出され、この情報も記憶
部63に格納される。
【0031】さらに、ショットマップデータ部64はウ
エハ上に露光すべきショット領域の設計上の露光位置
(配列座標値Dn)、サンプルアライメントすべきショッ
ト領域(以下、サンプルショットと称す)の位置や数、
及びレチクルマークの潜像を形成すべき位置やその数を
格納し、これらのデータはEGA演算ユニット62とシ
ステムコントローラ65とに送られる。また、システム
コントローラ65は、上記各データに基づいてアライメ
ント時、潜像形成時、ステップアンドリピート方式の露
光時等のウエハステージWSの移動を制御するための一
連の手順を決定する。さらに、図3中にはウエハステー
ジコントローラ66、及びレチクルステージコントロー
ラ67も示されている。
【0032】尚、サンプルショットの位置及び数と、潜
像形成位置及び数とは、アライメント精度や後述の配列
オフセット(ΔOx、ΔOy)の算出精度とスループッ
トとの双方を満足するように予め定められており、これ
らのデータはオペレータが予め入力装置(不図示のキー
ボード等)を用いてショットマップデータ部64に設定
しておく、あるいはシステムコントローラ65が所定の
プログラムに従って自動的に選択、設定するようにして
おけば良い。さらに上記データは、例えばウエハ、下
地、レジストの種類(さらにはその膜厚)、ウエハ処理
プロセスでの処理条件(加熱温度、時間等)、もしくは
下地マークや潜像の検出に使用するアライメントセンサ
ーの種類等に基づいて、経験的に、あるいは実験やシミ
ュレーション等によって決定すれば良く、単位枚数のウ
エハ毎、またはロット毎に異ならせるようにしても構わ
ない。
【0033】次に、本実施例による位置合わせ方法につ
いて説明する。本実施例では、重ね合わせ露光(本露
光)時にFIA系を用いてEGA方式のアライメントを
行い、潜像検出にはLSA系を用いるものとする。ま
た、図7に示すようにウエハW上には、既に複数の回路
パターン(ショット領域SAij)とウエハマーク(MX
ij、MYij)とがマトリックス状に形成されており、さ
らにその表面にはほぼ一定の厚さ(0.5〜2μm程
度)でレジストが塗布されているものとする。図7にお
いて、i行(紙面内上からi番目のX方向に配列された
ショット列)、j列(紙面内左からj番目のY方向に配
列されたショット列)のショット領域、及びそのウエハ
マークを、ショット領域SAij、ウエハマークMXij、
MYijと表す。
【0034】さて、図1〜図3に示したステッパーで
は、レチクルR(図4)がレチクルステージRSにロー
ディングされ、その中心が光軸AXと一致するように2
組のRA系10A、10Bによりラフアライメントが行
われた後、レチクルステージRSに真空吸着される。さ
らに、主制御系18は基準部材14を用いてレチクルR
のファインアライメントを行う。すなわち、スリットパ
ターンFMaを用いて4つのレチクルマークRMx1、R
Mx2、RMy1、RMy2の各々を検出する。EGA演算ユ
ニット62は、ISS演算ユニット60で算出された4
つの座標値から、干渉計15によって規定される直交座
標系XYに対するレチクルRのX、Y、及び回転方向の
位置ずれ量を算出する。そして、システムコントローラ
65はこの位置ずれ量がほぼ零となるように、ステージ
コントローラ67により干渉計11の出力をモニターし
ながらレチクルステージRSを駆動する。この結果、レ
チクルRが光軸AXに対して正確に位置決めされ、レチ
クルアライメントが終了する。
【0035】次に、主制御系18は基準部材14を用い
てX−FIA系20〜34のベースライン計測を実行す
る。まず、スリットパターンFMaを用いてレチクルマ
ークRMx1を検出し、ISS演算ユニット60はその座
標値をアライメントデータ記憶部61に出力する。しか
る後、X−FIA系を用いて基準パターンFMxを検出
し、FIA演算ユニット59はその座標値を記憶部61
に出力する。EGA演算ユニット62は記憶部61に格
納された2つの座標値からX方向のベースラインΔBx
を求め、記憶部63に格納する。尚、Y−FIA系(不
図示)でもベースライン計測を行い、その値ΔByを記
憶部63に格納しておく。
【0036】さらに上記の如きベースライン計測終了
後、ロット内の1枚目のウエハW(図7)がウエハステ
ージWS上にローディングされ、システムコントローラ
65は2組のFIA系を用いてウエハWのプリアライメ
ントを実行する。まず、Y−FIA系はウエハWの外周
付近で、ウエハ中心(領域SA56のショット中心)に関
してほぼ左右対称な位置に形成された2つのショット領
域、例えば図7中のショット領域SA72、SA78のウエ
ハマークMY72、MY78を検出し、FIA演算ユニット
59はそのY方向の位置(座標値)を算出する。一方、
X−FIA系はウエハWの外周付近で、上記2つのショ
ット領域SA72、SA78からほぼ等距離にあるショット
領域、例えば図7中のショット領域SA24のウエハマー
クMX24を検出し、FIA演算ユニット59にてそのX
方向の位置が算出される。
【0037】EGA演算ユニット62は、アライメント
データ記憶部61に格納された3つのショット領域のマ
ーク位置情報に基づいて、直交座標系XYに対するウエ
ハWの位置ずれ量(回転誤差を含む)を算出する。しか
る後、システムコントローラ65はこの位置ずれ量がほ
ぼ零となるように、ステージコントローラ66によりウ
エハステージWSを駆動することで、ウエハWのプリア
ライメントが終了する。この結果、レチクルRとウエハ
W(ショット領域SAij)との相対的な位置ずれが1μ
m以下の精度で補正されることになる。
【0038】次に、先に述べた特開昭61−44429
号公報に開示された手法に従って、ウエハW上の全ての
ショット領域SAijの配列座標値(Fgx、Fgy)を算出
する。まず、システムコントローラ65は2組のFIA
系を用いてサンプルアライメントを実行する。そこで、
ショットマップデータ部64からサンプルショットに関
するデータ(位置、数)を読み出し、このデータ、すな
わちサンプルショットの設計上の配列座標値(Dx、D
y)と、記憶部63に格納されたベースラインΔBx、
ΔByとに従ってウエハステージWSをステッピングさ
せていく。これにより、X−FIA系とY−FIA系と
の各々に対して、サンプルショットのウエハマークMX
ij、MYijの各々が順次位置決めされる。ここで、本実
施例でのサンプルショットは、ウエハW上の複数のショ
ット領域ijのうち、その外周付近に位置するm個(m≧
3)のショット領域、例えば図7中の7つのショット領
域SA13、SA26、SA32、SA59、SA62、SA77
SA82が設定されているものとする。この結果、FIA
演算ユニット59では所定の波形処理によりマーク位置
が算出され、これら位置情報は配列座標値(Mgx、、M
gy)としてアライメントデータ記憶部61に送られる。
【0039】ここで、本実施例では7つのショット領域
SAijの各々の2組(X、Y方向)のウエハマークMX
ij、MYijの位置を計測しているが、計測不能なマー
ク、あるいはその計測値が極端に設計値と異なるマーク
(以下、不良マークと称す)についてはリジェクトし、
残りのマーク位置のみを用いるようにしても良い。この
とき、不良マークを有するショット領域そのものをリジ
ェクトしても良い。また、リジェクトされるショット領
域近傍のショット領域を代替ショットとして選択し、そ
のマーク位置を計測して用いるようにしても良い。さら
に代替ショットでは、不良マークに対応したウエハマー
クMXijとMYijとのいずれか一方のみを計測するだけ
でも良い。例えば、ショット領域SA82のウエハマーク
MX82が不良であるときは、ショット領域SA73を代替
ショットとして選択し、そのウエハマークMX73、MY
73の両方、またはマークMX73のみの位置を計測すれば
良い。また、ウエハマークMXijとMYijとの両方の位
置が計測されたショット領域を1つのサンプルショット
と見做し、本実施例では少なくとも3つのサンプルショ
ットについてマーク計測を行う必要がある。尚、1つの
ショット領域では一方(例えばX方向)のマークのみが
計測され、その代替ショットで他方(Y方向)のマーク
が計測された場合、これらを1つのサンプルショットと
見做してカウントするようにしても良い。
【0040】さて、EGA演算ユニット62はアライメ
ントデータ記憶部61に記憶された7つのサンプルショ
ットの計測上の配列座標値(Mgx、、Mgy)と、ショッ
トマップデータ部64に格納された設計上の配列座標値
(Dx、Dy)とに基づいて、ステップアンドリピート
方式で位置合わせすべきウエハW上でのショット配列の
規則性を決定する。すなわち、以下の数式1に示す写像
関係式(行列式Mg=Ag・D+Og)における変換行
列Ag、Ogを決定する。但し、上記関係式における変
換行列Ag、Ogは、残存回転誤差θg 、直交度ωg
びスケーリング誤差Rgx、Rgyと、オフセット誤差Og
x、Ogyとの夫々をパラメータとして含み、変換行列A
gは2行2列、Ogは2行1列の行列である。
【0041】
【数1】
【0042】尚、変換行列Ag、Ogは以下の数式2、
3で表される。
【0043】
【数2】
【0044】
【数3】
【0045】ここで、ウエハ上のショット領域は、計測
上の配列座標値(Mgx、Mgy)及び設計上の配列座標値
(Dx、Dy)に対して残差項(εXg、εYg)が存
在し、上記数式1は以下の数式4のように書き換えられ
る。
【0046】
【数4】
【0047】従って、EGA演算ユニット62は上記残
差項(すなわち残差の二乗和)が最小となるように、変
換行列Ag、Ogの各パラメータag 〜fg の値を演算
(最小二乗法)により決定する。尚、上記の如く算出さ
れた変換行列Ag、Ogは記憶部63に格納される。さ
らにEGA演算ユニット62は、上記数式1からウエハ
W上の全てのショット領域SAijの配列座標値(Fgx、
Fgy)を算出し、この演算結果を記憶部63とシステム
コントローラ65とに送る。
【0048】ここで、後述するように本実施例ではウエ
ハWの外周付近で、かつ下地に回路パターンやアライメ
ントマークが形成されていない領域(ショット領域及び
ストリートラインを除く未露光領域)、例えば図7中の
領域ND1 〜ND5 にレチクルマークの潜像を形成す
る。これらの未露光領域は、図8中に点線で示すように
ウエハW上でショット領域の一部が欠けるため、レチク
ルパターンが転写されなかったものである。このため、
本実施例では上記座標値の算出に際して、未露光領域N
2 〜ND5 の各々に仮想的に設定されるn個(n≧
3)のショット領域、例えば図8に示す8個の仮想的な
ショット領域(以下、仮想ショットと称す)SAL1〜S
L8の各々についても、予め設計上の配列座標値は分か
っている(データ部64に格納されている)から、上記
演算でその配列座標値(Fgx、Fgy)を算出しておき、
この演算結果も記憶部63とシステムコントローラ65
とに送る。尚、図8に示したウエハWは図7のウエハと
同一のものである。
【0049】尚、上記の如くサンプルアライメントを実
行して、最小二乗法により変換行列Ag、Og(パラメ
ータag 〜fg )を求めてから配列座標値(Fgx、Fg
y)を算出するまでの一連の動作を、以下では単にg−
EGAと呼ぶことにする。また、g−EGAでは変換行
列Ag、Og(パラメータag 〜fg )と8つの仮想シ
ョットの配列座標値のみを算出するだけでも良い。とこ
ろで、g−EGAで算出される配列座標値を(Fgx、F
gy)としたのは、最小二乗法の適用により計算上の配列
座標値(Fgx、Fgy)と計測上の配列座標値(Mgx、M
gy)とがウエハ上の全てのショット領域において必ずし
も一致しないからである。
【0050】次に、システムコントローラ65は先の配
列座標値(Fgx、Fgy)、特に仮想ショットの配列座標
値に従ってウエハステージWSをステッピングさせてい
き、ウエハW上の未露光領域ND2 〜ND5 の各々にレ
チクルパターン(図4(a))を露光する。このとき、シ
ステムコントローラ65はレチクルマークRMx1、RM
y1のみに露光光ILが照射されるように、予めレチクル
ブラインド6を駆動して照明視野を調整しておく。この
結果、レチクルマークRMx1、RMy1の像、すなわち潜
像がレジスト層に形成されることになる。上記の如き潜
像の形成に際しては、使用するレジストの飽和エネルギ
ーの2〜3倍程度の露光量をレジスト層に与える。以下
では、仮想ショットSAL1に付随したレチクルマークR
Mx1、RMy1の各潜像を潜像マークLXL1、LYL1と呼
ぶ。図8には示していないが、他の仮想ショットについ
ても同様である。
【0051】ここで、レチクルマークRMx1、RMy1
レチクルRとショット領域SAijとを正確に重ね合わせ
たとき、その投影像がウエハマークMXij、MYijと一
致する(重なる)ものである。尚、レチクルマークRM
x1、RMy1の投影像とウエハマークMXij、MYijとが
予め定められた間隔だけ離れて形成されるように、レチ
クルマークRMx1、RMy1を配置するようにしても良
い。また、レチクルブラインド6を用いてレチクルマー
クRMx1、RMy1以外の領域を遮光することは難しいの
で、例えば補助遮光板を配置してパターン領域PAを遮
光し、レチクルマークRMx2、RMy2はレチクルブライ
ンド6で遮光するようにしても良い。但し、本実施例で
は未露光領域ND2 〜ND5 の各々の仮想的なショット
領域に付随して潜像を形成することとしたので、レチク
ルマークRMx1、RMy1以外の領域を遮光せずとも、レ
チクル全面に露光光ILを照射するようにしても構わな
い。この際、仮想ショットと隣接したショット領域のウ
エハマークに対してレチクルマークRMx2、またはRM
y2が投影され得る。例えば、仮想ショットSAL2で潜像
を形成する際、ショット領域SA27のウエハマークMY
27に対してレチクルマークRMy2が重なって露光され
る。このため、レチクルマークRMx2、RMy2はレチク
ルブラインド6で遮光することが望ましい。
【0052】さて、上記の如くレチクルマークRMx1
RMy1の潜像が形成されると、システムコントローラ6
5は潜像検出に最適なアライメントセンサー、特に本実
施例ではLSA系を選択し、2組のLSA系を用いて潜
像マークを検出する。まず、システムコントローラ65
は記憶部63から仮想ショットに関するデータ(位置、
数)を読み出し、各仮想ショットの計算上の配列座標値
(Fgx、Fgy)に従ってウエハステージWSをステッピ
ングさせていき、仮想ショット毎にX−LSA系とY−
LSA系の各スポット光と2組の潜像マーク(LXL1
LYL1等)の各々とを相対移動させる。この結果、LS
A演算ユニット57では所定の波形処理によりマーク位
置が算出され、これら位置情報は配列座標値(Mtx、、
Mty)としてアライメントデータ記憶部61に送られ
る。
【0053】ここで、本実施例では潜像検出に際して
も、計測不能なマーク、あるいはその計測値が極端に設
計値と異なるマークについてはリジェクトし、残りのマ
ーク位置のみを用いるようにする。このとき、不良な潜
像マークを有する仮想ショットそのものをリジェクトし
ても良い。また、図8に示したウエハW上の複数の仮想
ショットのうち、本実施例ではレチクルマークRMx1
RMy1との潜像を共に形成可能な8つの仮想ショットを
選択したが、いずれか一方の潜像のみ形成可能な仮想シ
ョットを選択しても良い。さらに上記の如きリジェクト
に備え、先に選択した8つの仮想ショット以外に、例え
ば選択ショット近傍の少なくとも1つの仮想ショットを
代替ショットとして指定して潜像を形成しておき、その
マーク位置を代用できるようにしても良い。また、2組
の潜像マークの位置が共に計測された仮想ショットを1
つと見做すと、本実施例では少なくとも3つの仮想ショ
ットについて潜像検出を行う必要がある。尚、1つの仮
想ショットでは一方(例えばX方向)の潜像マークのみ
が計測され、その代替ショットで他方(Y方向)の潜像
マークが計測された場合、これらを1つの仮想ショット
と見做してカウントしても良い。
【0054】次に、EGA演算ユニット62はアライメ
ントデータ記憶部61に記憶された8つの仮想ショット
の計測上の配列座標値(Mtx、、Mty)と、g−EGA
で記憶部63に格納された計算上の配列座標値(Fg
x、、Fgy)とに基づいて、ウエハW上での潜像の配列
の規則性、すなわち以下の数式5に示す写像関係式(行
列式Mt=At・Fg+Ot)における変換行列At、
Otを算出する。ここで、潜像の配列の規則性は、実際
に重ね合わせ露光を行ったときのそのパターン像の配列
に規則性に対応するものである。但し、上記関係式にお
ける変換行列At、Otは、残存回転誤差θt 、直交度
ωt 及びスケーリング誤差Rtx、Rtyと、オフセット誤
差Otx、Otyとの夫々をパラメータとして含み、変換行
列Atは2行2列、Otは2行1列の行列である。
【0055】
【数5】
【0056】尚、変換行列At、Otは以下の数式6、
7で表される。
【0057】
【数6】
【0058】
【数7】
【0059】ここで、ウエハ上のショット領域は、計測
上の配列座標値(Mtx、Mty)及び計算上の配列座標値
(Fgx、Fgy)に対して残差項(εXt、εYt)が存
在し、上記数式5は以下の数式8のように書き換えられ
る。
【0060】
【数8】
【0061】従って、EGA演算ユニット62は上記残
差項が最小となるように、変換行列At、Otの各パラ
メータat 〜ft の値を演算(最小二乗法)により決定
する。上記の如く算出された変換行列At、Otは記憶
部63に格納される。尚、ここでは上記数式5を用いて
ウエハW上の全ての仮想ショットの配列座標値を算出す
る必要はない。また、潜像検出から最小二乗法により変
換行列At、Ot(パラメータat 〜ft )を算出する
までの一連の動作を、以下では単にt−EGAと呼ぶこ
とにする。
【0062】さて、EGA演算ユニット62はg−EG
Aとt−EGAとの各々で算出され、記憶部63に格納
された2組のパラメータag 〜fg 、at 〜ft を読み
出す。ここで、残存回転誤差θg 、θt 、及び直交度ω
g 、ωt は微小量であるから、g−EGAとt−EGA
との各々での6つの誤差パラメータは、以下の数式9、
10で表される。
【0063】
【数9】
【0064】
【数10】
【0065】次に、EGA演算ユニット62はウエハ上
のショット領域の位置と、潜像の位置(すなわち重ね合
わせ露光されるレチクルパターンの実際の露光位置)と
の差、換言すればg−EGAとt−EGAとでのオフセ
ット誤差の差(Ogx−Otx)、(Ogy−Oty)を求め、
この差をシステムオフセットとして記憶部63に格納す
る。さらに、EGA演算ユニット62はスケーリング誤
差(Rgx、Rgy)、または(Rtx、Rty)に基づいて、
ウエハW上のショット領域の倍率誤差(大きさの変化
量)を算出し、この情報をシステムコントローラ65に
送る。システムコントローラ65は、スケーリングによ
るショット領域の倍率変化を相殺するように、結像特性
補正部19を用いて投影光学系13の投影倍率を調整
し、ショット領域とレチクルパターンの投影像との倍率
誤差をほぼ零とする。
【0066】以上により、本露光前のオフセット計測が
終了し、システムコントローラ65はウエハWに対する
重ね合わせ露光を開始する。本実施例では、FIA系に
よるEGA方式を採用して重ね合わせ露光を実行する
が、サンプルアライメント等は既にg−EGAで行って
いるので、ここでは以下の数式11を用いてウエハW上
の全てのショット領域の配列座標値(Fx、Fy)を算
出する。但し、数式11中の変換行列Ag(パラメータ
g 〜dg )はg−EGAで算出したものをそのまま使
用する。従って、数式11から算出される配列座標(F
x、Fy)はg−EGA(数式1)で求めた配列座標
(Fgx、Fgy)を、t−EGAで求めたオフセット誤差
(Otx、Oty)で補正したものである。
【0067】
【数11】
【0068】システムコントローラ65は、EGA演算
ユニット62での演算結果(Fx、Fy)に従ってウエ
ハステージWSをステッピングさせていき、ショット領
域毎にレチクルパターンの重ね合わせ露光を行う。この
結果、アライメント誤差(オフセットによる横ずれ)、
及び倍率誤差をほぼ零にでき、高精度な重ね合わせ露光
が行われることになる。尚、数式11から配列座標値
(Fx、Fy)を算出せずとも、g−EGAで算出した
配列座標値(Fgx、Fgy)に従ってウエハステージWS
をステッピングさせ、ショット領域毎にt−EGAで算
出したオフセット(Otx、Oty)だけずらして位置決め
するようにしても良い。
【0069】以上のように本実施例では、EGA方式を
適用してシステムオフセットを算出するので、高速、高
精度なオフセット計測が可能で、しかもレチクルマーク
の潜像をウエハ上の任意の位置に形成でき、潜像形成に
際して場所上の制約が少ないといった利点がある。特に
未露光領域に潜像を形成すれば、ウエハマークの近傍に
潜像が配置されることがなく、潜像により下地に形成さ
れ得る疑似的なアライメントマークによる次層でのアラ
イメント精度の低下を防止できるという効果が得られ
る。さらに、ウエハマーク(下地マーク)と潜像マーク
とを別々のアライメントセンサーで検出できる、すなわ
ち各マークの検出に最適なアライメントセンサーを選択
して使用できるので、特にシステムオフセットの計測精
度を向上させることが可能となる。
【0070】ところで、本実施例ではFIA系を用いて
g−EGAを行い、LSA系を用いてt−EGAを行っ
ていたが、t−EGAでは下地やレジストの種類、潜像
マークの形状等に応じて潜像検出に最適なアライメント
センサーを選択すれば良く、例えばLIA系を使用して
も構わない。また、g−EGAとt−EGAとで同一の
アライメントセンサーを用いるようにしても良いが、g
−EGAでは本露光で使用するアライメントセンサーを
用いることが望ましい。特に本実施例では、本露光時に
EGA方式のアライメントを行うことを前提とし、本露
光ではg−EGAで算出した変換行列Agはそのまま用
いてシステムオフセットの補正のみを行っている。この
ため、g−EGAでのサンプルショットの位置や数は、
通常の本露光時と同様にショット領域の配列座標、すな
わち変換行列Agが十分な精度で算出されるように決定
しておく。換言すれば、g−EGAは従来装置で重ね合
わせ露光に先立って行われるEGAと全く同様に行うこ
とが望ましい。
【0071】ここで、図9を参照してLIA系を用いた
潜像検出について簡単に説明する。図9(a)におい
て、LIA系の2本のビームBM1 、BM2 が互いに異
なる2方向から交差角2ψ0 で回折格子状のウエハマー
クGA(ピッチは2P)に入射すると、当該マークGA
上には2本のビームによる干渉縞IF(ピッチはP)が
形成される。ところで、上記装置(図1、図2)では投
影光学系13の光軸AXに沿って発生するビームBM1
の−1次回折光B1(-1) と、ビームBM2 の+1次回折
光B2(+1) との干渉光を光電検出器52で受光する。光
電検出器52には3つの受光面、すなわち上記干渉光を
受光する第1受光面と、この第1受光面を挟んで第2、
第3受光面が設けられている。特に第2、第3受光面
は、LSA系のスポット光の照射によりウエハマークか
ら発生する+1〜+3次回折光と−1〜−3次回折光と
を独立に検出するためのものである。
【0072】さらにウエハマークGAからは、±1次回
折光B1(-1) 、B2(+1) とともに、ビームBM1 の0次
回折光B1(0)とビームBM2 の+2次回折光B2(+2) と
が同一方向に発生し、ビームBM1 の−2次回折光B
1(-2) とビームBM2 の0次回折光B2(0)とが同一方向
に発生する。この2つの干渉光は先の第2、第3受光面
で受光され、光電検出器52は両者を加算して得た光電
信号も出力する。従って、ウエハマーク(下地マーク)
の計測に際しては、LIA演算ユニット58が光電検出
器52からの2つの光電信号の少なくとも一方と、光電
検出器56からの光電信号(参照信号)SRとの波形上
の位相差からマーク位置を決定する。
【0073】さて、上記構成のLIA系を用いる場合、
ウエハマークGAと同一ピッチの潜像マークを用いて±
1次回折光を光電検出するようにしても良いが、コント
ラストの点では0次回折光を受光した方が有利である。
このため、LIA系では図9(b)に示すようなピッチ
Pの潜像マークGBを用いることとし、位置計測に際し
ては当該マークから発生する回折光のうち、同一方向に
発生するビームBM1の0次回折光B1(0)及びビームB
2 の+1次回折光B2(+1) の干渉光と、ビームBM1
の−1次回折光B1(-1) 及びビームBM2 の0次回折光
2(0)の干渉光とを受光する。ここで、この2つの干渉
光は光電検出器52の第2、第3受光面に入射すること
になる。つまり、潜像マークのピッチをウエハマークの
ピッチの半分に設定することで、LIA系の構成を変更
することなく、潜像マークの計測精度を向上させること
が可能となる。従って、潜像マークの計測に際しては、
LIA演算ユニット58が光電検出器52の第2、第3
受光面からの光電信号と参照信号SRとの位相差からマ
ーク位置を決定することになる。
【0074】また、上記実施例でのt−EGAでは8つ
の仮想ショット(図8)に対して潜像を形成することと
したが、その数や位置は変換行列At、Otの算出精度
に応じて決定すれば良い。さらに未露光領域が狭く(面
積が小さい)、仮想ショットの数が少なくなり得る場合
には、ウエハW上の複数のショット領域の中から少なく
とも1つのショット領域を仮想ショットとして選択し、
当該ショットを計測用の捨てショット(未露光領域の一
部)として用いても良い。捨てショットを使用する場合
には、前層までの露光工程で当該ショットに対してパタ
ーン露光を行わないことが望ましい。また、捨てショッ
トとして指定するショット領域は、ウエハW上で最外周
に位置するものが望ましい。これは、最外周のショット
領域での不良発生率が比較的高いからである。
【0075】さらに、上記実施例ではt−EGAを1回
だけ行うようにしていたが、2回以上t−EGAを行う
ようにしても良く、この場合は各計測値の平均値をオフ
セット誤差として用いれば良い。このとき、潜像検出を
行う仮想ショットの位置や数を、例えば1回のt−EG
A毎に異ならせても構わない。尚、t−EGAでは変換
行列Atまでも算出する必要はなく、変換行列Ot、す
なわちオフセット誤差(Otx、Oty)を算出するだけで
も良い。また、t−EGAで使用する仮想ショットの数
nを、g−EGAで使用するサンプルショットの数mと
同数にする必要は全くなく、ぞれぞれ要求される算出精
度に見合う数や位置とすれば良い。
【0076】また、上記実施例ではロット内の1枚目の
ウエハを用いてシステムオフセット(Ogx−Otx)、
(Ogy−Oty)を計測したので、2枚目以降のウエハで
は特にオフセット計測を行う必要はなく、先の計測値を
そのまま使用してアライメントを行うようにすれば良
い。但し、同一ロット内のウエハであっても、下地やレ
ジストの種類、ウエハマークの種類(形状、段差等)が
異なる、あるいはアライメントセンサーの変更があった
場合には、その変更後の最初のウエハを用いて上記と全
く同様の動作でシステムオフセットを計測することが望
ましい。また、上記の如き条件変更がなくても、単位枚
数のウエハ毎、ロット毎、あるいは単位時間毎にシステ
ムオフセットを計測し、記憶部63に格納されたデータ
を逐次更新していくようにしても良い。さらに、システ
ムオフセットが極端に大きい場合には、レチクルアライ
メント、ベースライン計測、あるいは投影光学系13の
結像特性(倍率、ディストーション等)の計測等を再度
実行することが望ましい。または、g−EGA(すなわ
ち本露光)で使用するアライメントセンサーの信号処理
条件(アルゴリズム)の変更、アライメントセンサー自
体の変更、g−EGAでのサンプルショットの数や位置
の変更、もしくはt−EGAで使用するアライメントセ
ンサーやその信号処理条件、潜像マークの形成条件(ピ
ッチ、形状等)の変更等を行うようにしても良い。逆
に、システムオフセットがアライメント精度に比べて十
分に小さい場合には、g−EGAで算出した配列座標を
本露光でそのまま用いても構わない。
【0077】さらに、上記実施例では本露光でもEGA
方式のアライメントを行うものとしたが、例えばTTR
(Through The Reticle) 方式のアライメントセンサーを
用いてダイ・バイ・ダイ・アライメント(DDA)を行
う場合でも、このアライメントセンサーを用いて上記実
施例と全く同様の動作でシステムオフセットを算出し、
DDAを実行するに際してはショット領域毎にシステム
オフセットを用いる、すなわちレチクルパターンの投影
像に対してショット領域をそのオフセット分だけずらし
て位置決めすれば良く、アライメント精度の向上が期待
できる。これは、例えば特開平4−7814号公報に開
示されたように、特に非露光光を使用するアライメント
センサーにおいて有効である。
【0078】また、上記実施例ではg−EGA、t−E
GAで算出したパラメータのうち、スケーリング誤差と
オフセット誤差とを用いることとしたが、他の誤差、す
なわち残留回転誤差と直交度とは特に用いていなかっ
た。しかしながら、直交度ωg、ωt については、少な
くとも一方をショット領域毎の配列座標値(Fx、F
y)の補正に用いても良い。これは、数式11中の変換
行列Ag、すなわちパラメータag 〜dg の値を直交度
に応じて変更することにより行われる。一方、残留回転
誤差θg 、θt についても、両者の差に応じてパラメー
タag 〜dg の値を変更してショット領域毎の配列座標
値(Fx、Fy)を補正するようにしても良い。これ
は、ウエハW上の回路パターン(下地パターン)を露光
したステッパーと、その回路パターンに次層のレチクル
パターンを重ね合わせ露光するためのステッパーとが異
なり、例えばウエハステージの走行特性(くせ)等が互
いに異なる場合に有効である。
【0079】ここで、g−EGAの6つのパラメータと
t−EGAの6つのパラメータとのいずれか一方、ある
いは両者を、本露光で使用するパラメータ(数式11)
として選択するか否かは、EGA演算ユニット62がパ
ラメータ毎に、予め定められたプログラムに従って決定
する、またはオペレータが入力装置を介して指定するよ
うになっている。上記実施例では、少なくとも2組のオ
フセット誤差(Ogx、Ogy)、(Otx、Oty)を用いる
だけでも構わない。
【0080】さらに、上記実施例でレチクルR(図4)
の重ね合わせ露光を行うとき、4つのレチクルマークの
うち、特にレチクルマークRMx1とRMy1とは、ショッ
ト領域毎にそのウエハマークMXとMYとに重なって露
光されることになる。また、レチクルマークRMx2、R
My2も、露光すべきショット領域に隣り合うショット領
域のウエハマークと重なって露光され得る。そこで、4
つのレチクルマークがウエハマークと重ならないよう
に、図10に示す如くレチクルR上でのレチクルマーク
の形成位置を予めずらしておくと良い。これによって、
レチクルR上でウエハマークに対応した領域は遮光部と
なるため、特にポジ型レジストを用いる場合、重ね合わ
せ露光に伴ってウエハマーク上のレジスト層が感光する
ことがなくなり、エッチング処理等によるマークの破壊
が低減されることなる。尚、上記配置を採用すれば、例
えばTTR方式のアライメントセンサーのためのアライ
メントマークを、レチクルマークとは別にレチクルRに
形成することができる。また、図4、図10の4つのレ
チクルマークはレチクル中心に関して対称に配置するこ
とが良く、特にアッベ誤差を考慮すると、図4の如くレ
チクル中心に関して対称で、かつ各辺の中央に形成する
ことが望ましい。
【0081】また、上記実施例では2つのレチクルマー
クRMx1、RMy1を用いて未露光領域にその潜像を形成
していた。ここで未露光領域が小さく、仮想ショットの
数が少なくなる場合には、先にも述べた通りウエハWの
最外周に位置するショット領域を仮想ショットとして指
定し、当該ショットを計測用の捨てショットとすること
で、見掛け上仮想ショットの数を増やすことができる。
このとき、図10に示したレチクルRを用いれば、指定
したショット領域を捨てショットとしなくても済み、歩
留りの低下を防止できる。以下、図11を参照して簡単
に説明する。
【0082】図11は、図8に示したウエハの部分拡大
図である。図11において、ショット領域SA31を計測
ショットとして指定した場合、g−EGAで算出した配
列座標値(Fgx、Fgy)に従ってショット領域SA31
露光位置に位置決めした後、図10に示したレチクルR
のレチクルマークRMx1、RMy1のみに露光光を照射す
ると、ウエハW上にはその潜像マークLX31、LY31
形成されることになる。図11から明らかなように、潜
像マークLX31、LY31はウエハマークMX31、MY31
に重なって形成されることがなく、この潜像マークをt
−EGAで使用できる上、ショット領域SA31を捨てシ
ョットにしなくても済むことがわかる。
【0083】ここで、レチクルR上でのレチクルマーク
RMx1、RMy1の形成位置を、各辺の中央部(ウエハマ
ークに対応した領域)から十分にずらしておけば、ウエ
ハW上でも潜像マークLX31、LY31とウエハマークM
31、MY31とが十分に離れて形成されることになる。
従って、アライメントセンサーによって潜像マークとウ
エハマークとを互いに分離して独立に検出でき、しかも
次層で潜像による疑似的なマークがウエハマークの近傍
に形成されることもない。また、レチクルマークRM
x2、RMy2を用いてショット領域SA32にその潜像を形
成する場合にも、潜像マークLX32とLY32とが、ショ
ット領域SA32に隣接したショット領域SA21のウエハ
マークMX21とショット領域SA31のウエハマークMY
31との各々に重なることはない。
【0084】また、以上のことから明らかなように、t
−EGAで使用する仮想ショットを未露光領域内には全
く設定せず、全ての仮想ショットをウエハW上の複数の
ショット領域の中から選択することもできる。このと
き、仮想ショットとして指定するショット領域の数や位
置は、g−EGAで指定されるサンプルショットの数や
位置とは無関係に決定して構わない。これは、特にパタ
ーンサイズによってはウエハ上の未露光領域が小さく、
その中に仮想ショットを多く設定できない場合に有効で
ある。
【0085】さらに、以上の説明では1つの未露光領域
内での仮想ショットを、ショット同志が重ならないよう
にそのショットサイズだけ離して設定するようにしてい
たので、未露光領域が小さい場合には上述の如く仮想シ
ョットの全て、または一部を複数のショット領域の中か
ら選択して使用することとした。しかしながら、未露光
領域内で仮想ショットの一部が重なっても、それに対応
した潜像マークが重なる、もくしは近接して形成されな
ければ、これらの潜像マークをt−EGAで使用するこ
とができ、仮想ショットの数が減少する、すなわちt−
EGAでの変換行列At、Otの算出精度が低下するの
を防止できる。
【0086】そこで、ウエハ上の未露光領域が小さい、
もしくは仮想ショットの数を増やす場合には、図12に
示すように仮想ショットの一部が重なっても、その潜像
マーク同志が全て、または部分的に重なる、もしくは極
近接して形成されないように、同一の未露光領域内に複
数の仮想ショットを設定すれば良い。図12では、仮想
ショットSAL6に対してY方向に所定距離(ショットサ
イズより小さい値)だけ離して仮想ショットSAL9を設
定しており、仮想ショットSAL6の潜像マークLXL6
LYL6の各々と仮想ショットSAL9の潜像マークL
L9、LYL9の各々とが十分に離れ、いずれのマークも
t−EGAで使用できるようになっている。同様に、仮
想ショットSAL10 は仮想ショットSAL8に対してX、
Y方向に所定量ずつずれて設定され、その潜像マークL
L10 、LYL10 とLXL8、LYL8とが極近接して形成
されることはない。
【0087】また、上記実施例ではレチクルR(図4、
図10)の2つのレチクルマークRMx1、RMy1のみを
潜像マークとして形成していたが、3つ、または4つの
レチクルマークを用いるようにしても良い。この場合、
t−EGAにおいて仮想ショット毎に3つ、または4つ
の潜像マークの位置を計測することで、レチクルR上で
対向して配置された2つのレチクルマークRMx1、RM
x2、またはRMy1、RMy2の潜像マークの位置から、直
交座標系XYに対するレチクルRの残留回転誤差θR
求めることができる。残留回転誤差θR はレチクルステ
ージRSの微動により補正するようにしても良いが、先
の数式11を用いてショット領域の配列座標値(Fx、
Fy)を算出するとき、直交座標系XYに対するウエハ
W(ショット領域の配列座標系)の残留回転誤差θg
またはθt の目標値として使用することで補正する。す
なわち、数式11においてウエハの残留回転誤差を(θ
g+θR )としてショット領域の配列座標値(Fx、F
y)を算出するようにすれば良い。尚、残留回転誤差θ
R は複数の仮想ショットの各々での計測値を平均した値
を用いることが望ましい。また、仮想ショット毎に3つ
以上のレチクルマークを潜像として形成する場合、この
潜像マークとショット領域のウエハマークとが重なり得
るので、図10に示したレチクルRを用いる、または仮
想ショットの位置を外周に向けてX、Y方向の少なくと
も一方に所定量だけずらすことが望ましい。
【0088】ここで、上記実施例ではウエハ上の未露光
領域に仮想ショットを設定しているので、1つの仮想シ
ョットには1つ、または2つの潜像マークしか形成でき
ないことがある。このような場合には、仮想ショットの
全て、または一部を、ウエハW上の複数のショット領域
の中から選択する(図11)と良い。このとき、残留回
転誤差θR の算出に使用する仮想ショットのみを、複数
のショット領域の中から選択するようにしても良い。
【0089】または、図13に示すように仮想ショット
SAL8において2つのレチクルマークRMx1、RMy1
潜像(マークLXL8、LYL8)を形成した後、残りの2
つのレチクルマークRMx2、RMy2の少なくとも一方が
ウエハW上に潜像として形成されるように、ウエハステ
ージWSをX、Y方向の少なくとも一方(図中ではY方
向のみ)に所定量だけステッピングさせ、レチクルマー
クRMx2、RMy2の少なくとも一方を潜像(マークLX
L11 、LYL11)として形成する。換言すれば、仮想ショ
ットSAL8に対してX、Y方向の少なくとも一方に所定
距離だけ離れた仮想ショットSAL11 を設定し、当該シ
ョットSAL11 においてレチクルマークRMx2、RMy2
の少なくとも一方を潜像(マークLXL11 、LYL11)と
して形成する。この結果、3つ以上のレチクルマークが
一度に潜像として形成できない仮想ショットであって
も、上記の如きずらし露光を適用することで、レチクル
Rの残留回転誤差θR を算出することが可能となる。
【0090】尚、上記の如きずらし露光では、ウエハW
上で潜像マークLXL11 、LYL11が潜像マークL
L8、LYL8に近づく(その間隔がショットサイズより
も短くなる)ことになるので、レチクルRの残留回転誤
差θR の計測精度が低下し得る。ここで、潜像マークL
L11 とLYL11 とのいずれか一方のみをウエハに形成
すれば、レチクルRの残留回転誤差θR は算出できるの
で、上記間隔がなるべく短くならないようにウエハステ
ージWSのステッピング量を決定することが望ましい。
逆に未露光領域にスペースがあれば、上記間隔をショッ
トサイズよりも広げることで計測精度を向上させること
もできる。但し、いずれのずらし露光でも、ウエハステ
ージWSをステッピングさせるため、そのステッピング
誤差が計測値(マーク位置)の誤差要因となって上記計
測精度が低下することになる。そこで、未露光領域内で
の潜像形成領域を互いに異ならせながら、上記の如きず
らし露光を複数回繰り返して行うようにし、例えば平均
化処理により複数の計測値からレチクルRの残留回転誤
差を決定することが望ましい。
【0091】次に、本発明の第2実施例による位置合わ
せ方法について説明する。本実施例は、投影光学系13
の投影倍率を潜像を利用して計測する点が第1実施例と
の差異であり、ここではその差異についてのみ説明す
る。図14(a)は本実施例で使用するレチクルRの概
略構成を示し、図10との差異は遮光帯LSB内の4つ
の透明窓の各々に2つのレチクルマークが形成される点
である。図14(b)は透明窓内に形成される2つのレ
チクルマークRMax、RMayの一例を示しており、ここ
では図4(b)に示したレチクルマークRMx1を互いに
配列方向を直交させて2組形成したものとする。尚、2
つのレチクルマークRMax、RMayを区別する必要がな
いときには、単にレチクルマークRMaと呼ぶことにす
る。
【0092】さて、システムコントローラ65は第1実
施例と全く同様に、まずレチクルR(図14)のローデ
ィングからg−EGAまでを行う。本実施例のg−EG
Aでは変換行列Ag、Ogと、図8中の仮想ショットS
L1〜SAL8、及び図15中の仮想ショットSAL12
配列座標値(Fgx、Fgy)とを算出する。図15は、図
8に示したウエハWの部分拡大図である。
【0093】さらにシステムコントローラ65は、2組
のレチクルマークRMa、RMbのみに露光光ILが照
射されるようにレチクルブラインド6を駆動した後、先
の配列座標値に従ってウエハステージWSをステッピン
グさせ、仮想ショット毎にレチクルマークRMa、RM
bの潜像を形成していく。このとき、図15に示すよう
に仮想ショットSAL7では、4組のレチクルマークRM
a〜RMdの全てに露光光ILを照射してその潜像(L
Ma7〜LMd7)を形成する。さらに、3つの仮想ショッ
トSAL6、SAL8、SAL12 の各々では、2組のレチク
ルマークRMa、RMbを潜像として形成した後、レチ
クルマークRMc、RMdのみに露光光が照射されるよ
うにレチクルブラインド6を駆動し、図12での説明と
同様のずらし露光を行う、すなわちウエハステージWS
をX、Y方向に所定量ずつステッピングさせてその潜像
を形成する。
【0094】例えば、図16に示すように仮想ショット
SAL6では、2組のレチクルマークRMax、RMay、及
びRMbx、RMbyの潜像マークLMax、LMay(図15
中の潜像LMa6に対応)、及びLMbx、LMby(図15
中の潜像LMb6に対応)を形成した後、レチクルマーク
RMc、RMdのみに露光光ILが照射されるようにレ
チクルブラインド6を駆動する。次に、仮想ショットS
L6' が設定されるようにウエハステージWSをステッ
ピングさせた後、2組のレチクルマークRMcx、RMc
y、及びRMdx、RMdyの潜像マークLMcx、LMcy
(図15中の潜像LMc6に対応)、及びLMdx、LMdy
(図15中の潜像LMd6に対応)を形成する。尚、仮想
ショットSAL8、SAL12 の各々でも同様の動作で潜像
を形成する。
【0095】次に、システムコントローラ65は先の配
列座標値(Fgx、Fgy)に従ってウエハステージWSを
ステッピングさせていき、2組のLSA系を用いてウエ
ハW上に形成された全ての潜像マークの位置を計測す
る。EGA演算ユニット62は、4つの仮想ショットS
L6〜SAL8、SAL12 の各々での位置情報に基づい
て、投影光学系13の投影倍率MとレチクルRの残留回
転誤差θR とを算出する。例えば仮想ショットSA
L6(図16)では、潜像マークLMay、LMcy、または
LMby、LMdyのY方向の位置から投影倍率を求め、潜
像マークLMax、LMcx、またはLMbx、LMdxのX方
向の位置から残留回転誤差を求める。残りの3つの仮想
ショットでも、同様に投影倍率、及び残留回転誤差を算
出する。ここで、残留回転誤差θR により投影倍率Mに
算出誤差が生じ得るため、残留回転誤差θ R に応じて投
影倍率Mを補正しておく。以上の複数の演算値から、例
えば平均化処理により投影倍率M、及び残留回転誤差θ
R を決定する。これは、潜像形成時のステッピング誤差
を平均化する上で有効である。しかる後、第1実施例と
全く同様に、仮想ショット毎の潜像マークの位置を用い
てt−EGAを行い、変換行列At、Otを算出する。
【0096】さらにEGA演算ユニット62は、g−E
GAとt−EGAとでの演算結果を用いてシステムオフ
セット(Ogx−Otx)、(Ogy−Oty)を決定し、先の
数式11を用いてウエハW上の全てのショット領域の配
列座標値(Fx、Fy)を算出する。また、スケーリン
グ誤差(Rgx、Rgy)、または(Rtx、Rty)に基づい
てウエハW上のショット領域の倍率誤差(大きさの変化
量)を算出し、この情報と先の投影倍率Mとをシステム
コントローラ65に送る。システムコントローラ65
は、レチクルパターンの投影像とショット領域との倍率
誤差が零となるように、結像特性補正部19を用いて投
影光学系13の投影倍率を調整する。
【0097】ところで、レチクルRの残留回転誤差θR
については、レチクルRとウエハWとを相対回転(特に
ウエハWを回転)させる、もくしは残留回転誤差θg
θtの差に応じて数式11中のパラメータag 〜dg
値を変更してショット領域毎の配列座標値(Fx、F
y)を補正することで、残留回転誤差θR によるアライ
メント精度の低下を防止する。また、直交度ωg 、ωt
についても、少なくとも一方を用いて数式11中のパラ
メータag 〜dg の値を変更してショット領域毎の配列
座標値(Fx、Fy)を補正する。
【0098】しかる後、システムコントローラ65はE
GA演算ユニット62での演算結果(Fx、Fy)に従
ってウエハステージWSをステッピングさせていき、シ
ョット領域毎にレチクルパターンの重ね合わせ露光を行
う。この結果、システムオフセット、レチクルRの残留
回転誤差、及び投影光学系13の倍率誤差(すなわちレ
チクルパターンの投影像とショット領域との倍率誤差)
によるアライメント精度の低下を防止でき、高精度な重
ね合わせ露光が行われることになる。
【0099】以上のように本実施例では、EGA方式を
適用してシステムオフセットとともに、レチクルRの残
留回転誤差、及び投影光学系の投影倍率までも算出でき
るので、高速、高精度の重ね合わせ露光が可能となる。
ところで、本実施例では4つの仮想ショットSAL6〜S
L8、SAL12(図15)の各々での潜像位置を用いて残
留回転誤差θR 及び投影倍率Mを算出していたが、実際
には4組のレチクルマークRMa〜RMdのうち、少な
くとも3組のレチクルマークの潜像が形成可能な1つの
仮想ショット(例えば図15中の仮想ショットSAL7
での計測値を用いるだけでも良い。但し、未露光領域が
小さいため、上記の如きずらし露光を採用しないと、少
なくとも3組のレチクルマークの潜像を形成できない場
合には、ステッピング誤差の影響を除去するため、複数
の仮想ショットでの計測値を用いることが望ましい。ま
た、本実施例では2組のレチクルマークのみに露光光を
照射しながらその潜像を形成していたが、上記の如きず
らし露光を行う仮想ショット以外では、4組のレチクル
マークの全てに露光光を照射して潜像を形成するように
しても良い。
【0100】さて、上記実施例ではg−EGAを行って
から潜像を形成し、t−EGAでシステムオフセット、
残留回転誤差、及び投影倍率を算出するようにしていた
が、g−EGAに先立って残留回転誤差の算出、補正を
行うようにしても良い。例えば、4組のレチクルマーク
RMa〜RMdのうち、少なくとも3組のレチクルマー
クの潜像を形成可能な少なくとも1つの仮想ショットを
選択し、この選択した仮想ショットで潜像形成を行う。
ここで選択すべき仮想ショットは未露光領域内であって
も、ウエハW上の複数のショット領域の中から選択する
ようにしても良い。しかる後、先に形成した潜像マーク
の位置から残留回転誤差(さらには投影倍率)を算出
し、特に残留回転誤差についてはレチクルRとウエハW
との相対回転誤差が零となるように、例えばウエハWを
回転させることで補正する。以上の動作が終了した後、
第1実施例と全く同様にシステムオフセットを求めるた
め、g−EGA、潜像形成、及びt−EGAを実行し、
ウエハW上のショット領域の配列座標値(Fx、Fy)
を決定するようにすれば良い。
【0101】次に、本発明の第3実施例による位置合わ
せ方法について説明する。本実施例では、第1、第2実
施例で採用したEGA方式を改良したアライメント方式
(本願出願人が先に出願した特願平4−10091号に
開示され、以下ではP−EGA方式と称す)を用いるこ
とを特徴としている。P−EGA方式とは、所定の基準
位置に位置合わせすべきショット領域と、複数のサンプ
ルショットの各々との距離に応じて、サンプルショット
毎にそのデータ(座標位置)に重み付けを行い、この重
み付けしたデータを用いて統計演算(最小二乗法)を行
うことで変換行列を決定した後、この変換行列のもとで
ショット領域の配列座標値を算出するものである。そこ
で、本実施例の位置合わせ方法を説明する前に、図17
を参照してP−EGA方式について簡単に説明する。
【0102】図17に示すようにP−EGA方式では、
位置合わせすべきウエハW上のi番目のショット領域E
Siと、m個(図中では9個)のサンプルショットSA
1 〜SA9 の各々との間の距離LK1〜LK9に応じて、9
個のサンプルショットの座標位置の各々に重み付けWis
を与える。さらに、従来のEGA方式と同様に残差の二
乗和Eiを次式で評価し、次式が最小となるように変換
行列A、O(パラメータa〜f)を決定することにな
る。尚、P−EGA方式ではショット領域毎に使用する
サンプルショットの数、及び位置は同一であるが、その
アライメントデータ(座標位置)に与える重み付けはシ
ョット領域毎に変化する。従って、P−EGA方式では
ショット領域毎にパラメータa〜fを決定してその座標
位置を算出することになる。
【0103】
【数12】
【0104】ここで、位置合わせすべきショット領域毎
に、各サンプルショットに対する重み付けWisを変化さ
せるため、次式のように重み付けWisを、位置合わせす
べきi番目のショット領域ESiとs番目のサンプルシ
ョットSAs との距離Lksの関数として表す。但し、U
は重み付けの度合いを変更するためのパラメータであ
る。
【0105】
【数13】
【0106】尚、数式13から明らかなように、位置合
わせすべきショット領域ESiとの距離Lksが短いサン
プルショットほど、そのアライメントデータ(座標位
置)に与える重み付けWisが大きくなる。ここで、数式
13においてパラメータUの値が無限大の場合、統計演
算処理の結果は従来のEGA方式で得られる結果と等し
くなる。一方、露光すべきショット領域を全てサンプル
ショットとし、パラメータUの値を零とすると、D/D
方式で得られる結果と等しくなる。すなわち、本実施例
ではパラメータUを適当な値に設定することにより、E
GA方式とD/D方式の中間の効果を得ることができ
る。特に非線形成分が大きなウエハに対しては、パラメ
ータUの値を小さく設定することで、D/D方式とほぼ
同等の効果(アライメント精度)を得ることができ、非
線形成分によるアライメント誤差を良好に除去すること
が可能となる。また、アライメントセンサーの計測再現
性が悪い場合には、パラメータUの値を大きく設定する
ことで、EGA方式とほぼ同等の効果を得ることがで
き、平均化効果によりアライメント誤差を低減すること
が可能となる。すなわちパラメータUの値を適宜変更す
ることで、EGA方式からD/D方式までその効果を変
えることができ、各種レイアに対し、例えば非線形成分
の大小、アライメントセンサーの計測再現性の良否等に
応じてアライメントを柔軟に変更させ、各レイアに対し
て最適な条件でアライメントを行うことが可能となる。
【0107】次に、本実施例による位置合わせ方法につ
いて説明するが、ここでは第1実施例との差異のみにつ
いて述べる。さて、システムコントローラ65は第1実
施例と全く同様に、まずレチクルR(図4)のローディ
ングからg−EGAまでを行う。本実施例のg−EGA
では、m個のサンプルショットの座標位置を計測した
後、潜像を形成すべき仮想ショット毎に変換行列(パラ
メータa〜f)を決定してその配列座標値を算出する。
さらに、システムコントローラ65は複数の仮想ショッ
トの配列座標値に従ってウエハステージWSをステッピ
ングさせていき、仮想ショット毎に2組のレチクルマー
クRMx1、RMy1の潜像を形成する。
【0108】しかる後、システムコントローラ65は2
組のLSA系を用いてウエハW上に形成された全ての潜
像マークの位置を計測し、第1実施例と全く同様に仮想
ショット毎の潜像マークの位置を用いてt−EGAを行
い、変換行列At、Otを算出する。本実施例のt−E
GAは第1実施例と全く同様、すなわち従来のEGA演
算を用いて1組の変換行列At、Otを算出することに
なる。次に、EGA演算ユニット62はg−EGAで計
測した全てのサンプルショットの座標位置と、t−EG
Aで算出した変換行列Ot、すなわちオフセット誤差
(Otx、Oty)とを用いて、ウエハW上のショット領域
毎に変換行列A、Oを決定してその配列座標値(Fx、
Fy)を算出する。すなわち、本実施例ではショット領
域毎に、上記の如き重み付けを行ったサンプルショット
の座標位置を用いて変換行列を決定した後、この決定し
た変換行列とオフセット誤差(Otx、Oty)とに基づい
てその配列座標値が算出されることになる。この結果、
EGA演算ユニット62での演算結果(Fx、Fy)に
従ってウエハステージWSをステッピングさせていく
と、レチクルパターンの投影像とショット領域とが正確
に重ね合わされて露光されることになる。
【0109】以上のように本実施例では、本露光におい
てP−EGA方式を採用する場合でも、EGA方式を適
用してシステムオフセットを算出でき、高速、高精度の
重ね合わせ露光が可能となる。ところで、本実施例では
システムオフセットの計測、補正のみについて述べた
が、例えば図14に示したレチクルRを用いることで、
第2実施例と全く同様にレチクルRの残留回転誤差、及
び投影光学系の投影倍率までも計測でき、上記と同様の
手法で補正を行うようにしても良い。また、本実施例で
はt−EGAの後でショット領域の配列座標値を算出し
ていたが、g−EGAにおいて複数の仮想ショットとと
もに、全てのショット領域の配列座標値を算出してお
き、この配列座標値に従ってウエハステージWSを位置
決めする際、t−EGAで算出したオフセット誤差だけ
ずらして位置決めするようにしても良い。さらに、P−
EGA方式ではショット領域と複数のサンプルショット
の各々との距離に応じてそのアライメントデータに重み
付けを行うようにしたが、例えばi番目のショット領域
とウエハセンタとの距離と、複数のサンプルショットの
各々とウエハセンタとの距離とに応じてそのアライメン
トデータに重み付けを行うようにしても良い。このと
き、上記2つの距離の差が零、もくしは最も小さくなる
サンプルショットに与える重み付けが最も大きくなる。
【0110】ところで、以上の各実施例ではショット領
域毎に2組のウエハマークを設けていたが、3組以上の
ウエハマークを設けるようにしても良く、例えば4組の
ウエハマークをショット領域の4隅に配置するようにし
ても良い。このとき、レチクルRにおいても4組のレチ
クルマークをパターン領域の4隅に形成しておき、上記
実施例と同様の動作で4組のウエハマークを用いてg−
EGAを行う。ここで、g−EGAでサンプルショット
毎にその座標位置を決定する際には、各ショットの4隅
に形成されたウエハマークの各位置を用いて(平均値を
もって)決定する。続いて、g−EGAの結果に基づい
て複数の仮想ショット毎に4組のレチクルマークの潜像
を形成した後、t−EGAにおいて仮想ショット毎にそ
の座標位置を、4隅に形成される4つの潜像の各位置を
用いて(例えば平均をとることで)決定し、さらに上記
の各実施例と同様にg−EGAとt−EGAとの各結果
に基づいてシステムオフセットを決定する。以上のよう
に、サンプルショットや仮想ショットの座標位置を、そ
の4隅に形成されたマークを用いて決定するようにすれ
ば、投影光学系の結像特性(ディストーション等)やウ
エハの伸縮(スケーリング)等に起因した各ショット内
の最大位置ずれ量を大幅に低減でき、システムオフセッ
トの算出精度、すなわちアライメント精度をより一層向
上させることが可能となる。さらに、g−EGAとt−
EGAとの各々において4組のマーク位置から各ショッ
トの回転誤差や倍率(歪み量を含む)を求めることが望
ましく、これによりショット領域毎の回転誤差(チップ
ローテーション)や倍率誤差(歪み)、及び投影光学系
の結像特性(投影倍率、ディストーション等)やレチク
ルRの製造誤差等までも補正することが可能となる。
尚、4組のウエハマークやレチクルマークの形成位置は
4隅でなくても良いが、最外周である4隅では位置ずれ
が最大になることから、実際には4隅に設けることが各
種誤差の計測精度の点で有利である。さらに、ショット
毎に5組以上のウエハマークやレチクルマークを設ける
ようにしても良く、より一層計測精度等を向上させるこ
とができる。また、ウエハマークやレチクルマークとし
ては図14(b)に示したマークを用いると良い。
【0111】尚、以上の各実施例において図14に示し
たレチクルRを使用すれば、システムオフセットの他に
レチクルRの残留回転誤差や投影光学系13の投影倍率
を計測することができる。このとき、1つの仮想ショッ
トで形成される潜像マークの数、すなわちレチクルマー
クの数を増やせば、投影光学系13のディストーション
までも計測でき、これらも結像特性補正部19により補
正可能である。また、結像特性補正部19は投影光学系
13を構成する複数のレンズエレメントのうちの少なく
とも1つを駆動するものであるが、それ以外、例えば2
つのレンズエレメントに挟まれた空間を密封し、その密
封空間の圧力を制御する方式であっても良く、さらに当
該方式で投影倍率を微調整し、レンズエレメント、また
はレチクルの駆動によりディストーションを微調整する
ようにしても構わない。
【0112】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、EGA方
式を適用してシステムオフセットを算出するので、高
速、高精度なオフセット計測が可能で、しかも潜像マー
クを感光基板上の任意の位置に形成でき、潜像形成に際
して場所上の制約が少ないといった利点がある。特に未
露光領域に潜像を形成すれば、感光基板上のアライメン
トマークの近傍に潜像が配置されることがなく、潜像に
より下地に形成され得る疑似的なアライメントマークに
よる次層でのアライメント精度の低下を防止できるとい
う効果が得られる。さらに、ウエハマークと潜像マーク
とを別々のアライメントセンサーで検出できる、すなわ
ち各マークの検出に最適なアライメントセンサーを選択
して使用できるので、特にシステムオフセットの計測精
度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例による位置合わせ方法を適
用するのに好適な投影露光装置の概略的な構成を示す
図。
【図2】図1中のTTL方式のアライメントセンサーの
具体的な構成を示す図。
【図3】図1に示した装置の制御系のブロック図。
【図4】第1実施例で使用されるレチクルの具体的な構
成を示す図。
【図5】ウエハ上の1つのショット領域の様子を示す
図。
【図6】基準部材の具体的な構成の一例を示す図。
【図7】ウエハ上に配列されるショット領域の様子を示
す図。
【図8】第1実施例による位置合わせ方法の説明に供す
る図。
【図9】LIA系を潜像検出に用いた様子を説明する
図。
【図10】第1実施例で使用するレチクルの変形例を示
す図。
【図11】図8に示したウエハの部分拡大図。
【図12】図8に示したウエハの部分拡大図。
【図13】図8に示したウエハの部分拡大図。
【図14】本発明の第2実施例による位置合わせ方法に
好適なレチクルの具体的な構成を示す図。
【図15】図8に示したウエハの部分拡大図。
【図16】図15中の1つの仮想ショットを表す図。
【図17】本発明の第3実施例による位置合わせ方法の
原理説明に供する図。
【符号の説明】
62 EGA演算ユニット 63 記憶部 65 システムコントローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡本 洋基 東京都品川区西大井1丁目6番3号 株式 会社ニコン大井製作所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マスクに形成されたパターンを露光すべ
    き感光基板に所定の配列座標に従って2次元的に形成さ
    れた複数の露光領域の各々を、前記基板の移動位置を規
    定する静止座標系内の所定の露光位置に対して位置合わ
    せする方法において、 前記複数の露光領域のうち、予め選択された少なくとも
    3つの露光領域の前記静止座標系上における座標位置を
    計測し、該計測された複数の座標位置を統計演算するこ
    とにより算出される複数の第1パラメータを用いて、前
    記静止座標系上での前記複数の露光領域の計算上の配列
    座標を算出する第1工程と;該算出された計算上の配列
    座標に従って前記感光基板を移動して前記露光位置に位
    置決めしながら、前記感光基板上の予め定められた複数
    の位置の各々に、前記マスクに形成された特定マークを
    露光する第2工程と;該露光された複数の特定マークの
    像のうち、少なくとも3つの特定マークの像の前記静止
    座標系上における座標位置を計測し、該計測された複数
    の座標位置を統計演算することによって、前記複数の特
    定マークの各々の前記静止座標系上における座標位置を
    求めるために用いられる複数の第2パラメータを算出す
    る第3工程とを含み、 前記複数の第1パラメータのうちの配列オフセットを表
    すパラメータと前記複数の第2パラメータのうちの配列
    オフセットを表すパラメータとの偏差に応じて、前記複
    数の露光領域の各々を前記露光位置に対して順次位置合
    わせすることを特徴とする位置合わせ方法。
  2. 【請求項2】 前記マスクの特定マークは、前記感光基
    板の外周付近の未露光領域内に露光することを特徴とす
    る請求項1に記載の位置合わせ方法。
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