JPH0645160U - 自動変速機のバルブボディ構造 - Google Patents

自動変速機のバルブボディ構造

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JPH0645160U
JPH0645160U JP8239092U JP8239092U JPH0645160U JP H0645160 U JPH0645160 U JP H0645160U JP 8239092 U JP8239092 U JP 8239092U JP 8239092 U JP8239092 U JP 8239092U JP H0645160 U JPH0645160 U JP H0645160U
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valve
manual
pressure
manual valve
valve body
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JP8239092U
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龍利 溝部
英彦 三島
一典 榎戸
敏久 丸末
朝生 沢崎
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Mazda Motor Corp
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Mazda Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 マニュアルプレートとマニュアルバルブとの
連繋部分が該マニュアルバルブの軸線に対してオフセッ
トするように設定された自動変速機のバルブボディ構造
において、上記マニュアルバルブ側の連繋用部材の回り
止め構造を簡略化し、また、該連繋用部材の摺動による
摩耗粉の発生量を低減する。 【構成】 バルブボディ171は複数の分割ボディ17
3〜176と各分割ボディ間に介装されたセパレートプ
レート177〜179とを有して構成され、セパレート
プレート177は、バルブボディ171内の油圧回路に
設けられたマニュアルバルブ43と該マニュアルバルブ
側の連繋用部材185との結合部に対応する位置まで延
設されており、上記連繋用部材には、上記マニュアルバ
ルブの軸線回りに回動する際に、上記セパレートプレー
トの延設部177aに当接する回り止め部185bが設け
られていることを特徴とする。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この考案は、自動変速機のバルブボディ構造、特に、バルブボディ内の油圧回 路に設けられたマニュアルバルブと、自動変速機の変速レンジをシフトさせる操 作部材のシフト操作を上記マニュアルバルブへ伝達するマニュアルプレートとの 連繋部分が、上記マニュアルバルブの軸線に対してオフセットするように設定さ れた自動変速機のバルブボディ構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車等の車両の自動変速機として、変速機構に設けられた各種クラッ チやブレーキ等の摩擦要素に対する締結・解放などの操作を油圧で制御し、これ ら摩擦要素のON/OFFパターンを適宜切り換えることによって変速機構に所 定の変速作動を行わせるようにした、所謂、油圧作動式のものは一般に良く知ら れている。 かかるタイプの自動変速機では、通常、上記各種摩擦要素に対する油圧の給排 を制御するための油圧回路を備えたバルブボディを変速機構の周辺に配設し、こ のバルブボディを変速機ケースに取り付けて固定するとともに、該バルブボディ と変速機構側とを連絡油路で結び、この連絡油路を介して各種摩擦要素への油圧 の給排が行なわれる。
【0003】 ところで、上記タイプの自動変速機では、通常、運転者による変速レンジのシ フト操作に応じてバルブボディ内の油圧回路の接続状態を切り換えることができ るように、マニュアル操作の油圧バルブ(所謂、マニュアルバルブ)がバルブボデ ィ内に設けられており、また、一般に、自動変速機の変速レンジをシフトさせる 操作部材のシフト操作を上記マニュアルバルブ側に伝達するために、シャフト部 材(マニュアルシャフト)および該シャフトに固定されたプレート部材(マニュア ルプレート)が設けられている(例えば、実開昭63−171265号公報参照) 。 上記マニュアルバルブは、通常、複数段の前進レンジとリバース(後退)レンジ とニュートラル(中立)レンジとパーキング(駐車)レンジの各変速レンジの設定に 応じて、油圧回路の接続状態を切り換えることができるようになっており、運転 者がシフト操作レバーを操作して変速レンジの設定を変更した際には、この操作 レバーの操作力が上記マニュアルシャフトおよびマニュアルプレートを介してマ ニュアルバルブ側に伝達され、上記油圧回路の接続状態の切り換えが行なわれる ようになっている。
【0004】 そして、上記マニュアルシャフトに固定されたマニュアルプレートとマニュア ルバルブとを連繋させる構造として、両者の連繋部分が、上記マニュアルバルブ の軸線に対してオフセットするように設定されたものが知られている。 すなわち、例えば図9に示すように、マニュアルバルブ243のバルブスプー ル243sの端末部に、マニュアルプレート(不図示)に固定された連繋ピン28 4と係合する係合溝285aを有する連繋用部材285を、上記係合溝285aが マニュアルバルブ243の軸線(つまりバルブスプール243sの軸線)と略直交 するような方向に固定するとともに、上記連繋ピン284を上記係合溝285a に係合させる。つまり、この場合、マニュアルプレートとマニュアルバルブ24 3との連繋部分が、マニュアルバルブ243の軸線に対してオフセットするよう に設定されることになる。 かかる構成を採用することにより、シフト操作時、マニュアルシャフト(不図 示)の回動動作に伴って該マニュアルシャフトの軸回りにマニュアルプレートが 回動した際には、連繋ピン284の回動動作に伴って上記連繋用部材285がマ ニュアルバルブ243の軸線方向に移動させられ、これにより、バルブスプール 243sが駆動されてマニュアルバルブ243の油路接続状態が切り換えられる ようになっている。
【0005】 ところで、マニュアルプレートとマニュアルバルブ243との連繋部を上記の ように構成した場合、バルブスプール243s自体は、通常、軸回りにフリーで あるので、その端末の連繋用部材285に回り止めを設ける必要がある。 すなわち、回り止めがない場合には、バルブスプール243sおよび連繋部材 285がバルブスプール243sの軸回りに回動し、上記連繋ピン284と連繋 用部材285との係合位置が変化して両者の係合関係にズレが生じる。また、こ のズレが極端な場合、両者の位置関係によっては互いの係合が外れることも考え られる。更に、バルブボディの変速機ケース側への組付け時、バルブスプール2 43sを挿入した状態でマニュアルバルブ部分を上方から組み付ける場合には、 上記連繋用部材285が回動して組立作業に支障を来すおそれもある。 尚、上記バルブボディは、その構造がある程度以上複雑なものについては、一 体物で形成することが難しいので、ボディを複数に分割しこれらの分割ボディを 相互に組み立てて構成することができる。この場合、通常、各分割ボディ間には 、各々の分割ボディに設けられた油路どうしの受け渡しや絞り部形成のための板 材277(所謂セパレートプレート)が介装される。
【0006】 上記連繋用部材285の回り止め構造としては、従来、該連繋用部材285の 下部に突起部285bを形成するとともに、バルブボディ274の上記突起部2 85bの下方に対応する部位に、マニュアルバルブ243の軸線方向へ延びる所 定深さのガイド溝274bを形成し、このガイド溝274bに上記突起部285b を係合させるようにした構造が考えられている。 かかる構造を採用することにより、バルブスプール243sおよび連繋用部材 285は、マニュアルバルブ243の軸線方向(バルブスプール243sの軸方向 )へは支障なくスライドすることができる一方、バルブスプール243sの軸回り については不用意に回動することが防止される。
【0007】
【考案が解決しようとする課題】
ところが、上記のような回り止め構造では、自動変速機の変速操作毎に上記突 起部285bがガイド溝274b内を繰り返し摺動するので、この摺動動作に伴っ て摩耗粉が発生し、この摩耗粉がマニュアルバルブ243内に噛み込んでバルブ スティック等の作動不良を引き起こす原因になり得るという問題がある。尚、上 記バルブボディ274は、通常、加工性と鋳造性に優れたアルミ合金等の軽合金 をダイキャスト鋳造して形成されるが、かかる材質を採用した場合には、一般に 鋼製とされる上記連繋用部材285の摺動による摩耗粉の発生量が特に多くなる ことが考えられる。 また、上記ガイド溝274bは、バルブボディ274の加工工数をできるだけ 少なくしてその生産性を高めるために、一般に、バルブボディ274の鋳造によ って少なくともその基本的な形状が形作られるが、この場合には、鋳型形状がそ れだけ複雑化しその製作に手間がかかることになる。
【0008】 そこで、この考案は、上記マニュアルプレートとマニュアルバルブとの連繋部 分が、該マニュアルバルブの軸線に対してオフセットするように設定された自動 変速機のバルブボディ構造において、上記マニュアルバルブ側の連繋用部材の回 り止め構造を簡略化し、また、該連繋用部材の摺動による摩耗粉の発生量を低減 することを目的としてなされたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このため、この発明は、バルブボディ内の油圧回路に設けられたマニュアルバ ルブと、自動変速機の変速レンジをシフトさせる操作部材のシフト操作を上記マ ニュアルバルブへ伝達するマニュアルプレートとの連繋部分が、上記マニュアル バルブの軸線に対してオフセットするように設定された自動変速機のバルブボデ ィ構造であって、上記バルブボディは複数の分割ボディと各分割ボディ間に介装 されたセパレートプレートとを有して構成され、該セパレートプレートは、上記 マニュアルバルブと該マニュアルバルブ側の連繋用部材との結合部に対応する位 置まで延設されており、上記連繋用部材には、上記マニュアルバルブの軸線回り に回動する際に、上記セパレートプレートの延設部に当接する回り止め部が設け られていることを特徴としたものである。
【0010】
【考案の効果】
この発明によれば、上記セパレートプレートを、マニュアルバルブと該マニュ アルバルブ側の連繋用部材との結合部に対応する位置まで延設するとともに、上 記連繋用部材に、マニュアルバルブの軸線回りに回動する際にセパレートプレー トの上記延設部に当接する回り止め部を設けるだけの簡単な構成で、上記連繋用 部材のマニュアルバルブの軸回りについての不用意な回動を防止することができ る。また、上記連繋用部材がマニュアルバルブの軸方向への変位を繰り返した場 合でも、連繋用部材とバルブボディとの直接的な摺動の防止を図ることが可能と なるので、両者間での摩耗粉の発生量を大幅に低減することができる。 すなわち、マニュアルバルブ側の連繋用部材の回り止め構造を従来に比べて簡 略化することができ、また、連繋用部材の摺動による摩耗粉の発生量を低減して バルブスティック等の不具合の発生防止を図ることができる。
【0011】
【実施例】
以下、本発明の実施例を、例えば主変速機と副変速機とを備えた自動変速機の バルブボディ取付構造に適用した場合について、添付図面を参照しながら詳細に 説明する。 まず、本実施例に係る自動変速機の変速機構の基本的な構成を概略的に説明す る。図1は上記自動変速機のトルク伝達系統を表すスケルトン図であるが、この 図に示すように、上記自動変速機1は、トルクコンバータ10と、該トルクコン バータ10と同一軸線上に配置された主変速機20と、これらの軸線と平行な軸 線上に配置された副変速機30とを備えている。
【0012】 上記トルクコンバータ10は、エンジン出力軸2に連結されたコンバータケー ス11と、該ケース11に一体形成されたポンプ12と、該ポンプ12に対向配 置されて該ポンプ12により作動油を介して駆動されるタービン13と、上記ポ ンプ12とタービン13との間に配置され、かつワンウェイクラッチ14を介し て変速機ケース3に支持されたステータ15と、上記タービン13に連結された コンバータ出力軸16と、上記コンバータケース11を介してコンバータ出力軸 16をエンジン出力軸2に直結し得るロックアップクラッチ17とで構成されて いる。 尚、上記トルクコンバータ10と上記主変速機20との間には、トルクコンバ ータ10を介してエンジン出力軸2で駆動されるオイルポンプ4が配置されてい る。
【0013】 上記主変速機20は、コンバータ出力軸16上における前側(トルクコンバー タ側)に配置されたフロント遊星歯車機構21と、後側(反トルクコンバータ側) に配置されたリヤ遊星歯車機構22とを備えている。 そして、上記コンバータ出力軸16が、前進クラッチ23を介してフロント遊 星歯車機構21のサンギヤ21aに、また、直結クラッチ24を介してリヤ遊星 歯車機構22のサンギヤ22aにそれぞれ結合される得るようになっており、更 に、フロント遊星歯車機構21のサンギヤ21aとリヤ遊星歯車機構22のリン グギヤ22bとが結合されている。
【0014】 また、フロント遊星歯車機構21のリングギヤ21bと変速機ケース3との間 には、第1ワンウェイクラッチ25とローリバースブレーキ26とが並列に配置 されると共に、リヤ遊星歯車機構22のサンギヤ22aと変速機ケース3との間 には、第2ワンウェイクラッチ27と3−4ブレーキ28とが直列に配置され、 かつ、これらに並列にエンジンブレーキ用のコーストブレーキ29が配置されて いる。 更に、フロント遊星歯車機構21及びリヤ遊星歯車機構22のピニオンキャリ ア21c,22cどうしが結合され、これらに主変速機20から副変速機30への 動力を伝達する中間ギヤ5が連結されている。
【0015】 以上のような構成において、上記主変速機20では、二つの遊星歯車機構21 ,22の動力伝達経路が、各クラッチ23,24および各ブレーキ26,28,29 並びに各ワンウェイクラッチ25,27の選択的作動によって切り換えられ、エ ンジン出力軸2の出力が運転状態に応じて変速された上で、上記中間ギヤ5を介 して副変速機30側へ伝達される。 この場合において、上記各クラッチ23,24および各ブレーキ26,28,2 9並びに各ワンウェイクラッチ25,27は、所定のパターンに従ってそのON( 締結)/OFF(解放)が切り換えられるように設定されており、これにより、本 実施例では、主変速機20側において、前進の低速段,中速段および高速段と後 退段とが得られるようになっている。
【0016】 一方、副変速機30は単一の遊星歯車機構31を有し、上記主変速機20にお ける中間ギヤ5に常時噛み合った中間ギヤ6が上記遊星歯車機構31のリングギ ヤ31aに連結されると共に、該リングギヤ31aとサンギヤ31bとの間には直 結クラッチ32が配置され、かつ、サンギヤ31bと変速機ケース3との間には 、第3ワンウェイクラッチ33と減速ブレーキ34とが並列に配置されている。 そして、上記遊星歯車機構31のピニオンキャリア31cに出力ギヤ7が連結 され、該ギヤ7から差動装置を介して左右の駆動輪(図示せず)に動力が伝達され るようになっている。 この副変速機30では、上記直結クラッチ32,減速ブレーキ34および第3 ワンウェイクラッチ33のON/OFFを所定のパターンに従って切り換えるこ とにより、遊星歯車機構31による動力伝達経路が切り換えられ、主変速機20 から中間ギヤ5,6を介して入力される動力を低速段と高速段(直結段)の前進2 段に変速して出力ギヤ7に出力することができるようになっている。
【0017】 このようにして、主変速機20によって前進3段、後退1段の変速段が得られ 、また、副変速機30によって、主変速機20の出力に対して高低2段の変速段 が得られるから、自動変速機の全体としては前進については6段の変速段が得ら れ、また、後退については、主変速機20の後退段と副変速機30の減速ブレー キ34が締結された低速段との組合せで全体としての後退段が得られることにな る。そして、本実施例では、前進変速段としては上記6段のうちの所定の5段を 採用するようになっている。 ここで、この前進5段,後退1段の変速を行わせる際の各変速機20,30にお ける各クラッチやブレーキのON(締結)/OFF(解放)の切換パターンを表1に 示す。
【0018】
【表1】
【0019】 尚、上記表1において、(○)は、エンジンブレーキ用のレンジのみで締結され ることを示している。 すなわち、低速段及び中速段での減速時には、上記第1,第2ワンウェイクラ ッチ25,27がそれぞれ空転してエンジンブレーキが作動しないことになるが 、エンジンブレーキ用のレンジにおいては、低速段では第1ワンウェイクラッチ 25に並列のローリバースブレーキ26が締結されることにより、また、中速段 では第2ワンウェイクラッチ27に並列のコーストブレーキ29が締結されるこ とにより、それぞれエンジンブレーキが作動する低速段及び中速段が得られるよ うになっている。
【0020】 次に、上記表1に従って各クラッチ及びブレーキを選択的に締結させることに より、運転状態もしくは運転者の要求に応じた変速段を形成する油圧回路につい て説明する。 図2に示すように、この油圧回路40には、まず、オイルポンプ4から吐出さ れる作動油の圧力を所定圧力のライン圧に調整するレギュレータバルブ41が備 えられ、該レギュレータバルブ41によって調整されたライン圧が、メインライ ン42を介して、運転者によって操作されるマニュアルバルブ43と、各種制御 用元圧を生成する第1〜第3レデューシングバルブ44,45,46とに供給され るようになっている。
【0021】 上記第1レデューシングバルブ44によって一定圧に減圧された制御用元圧は 、ライン47を介してモデュレータバルブ48に供給される。このモデュレータ バルブ48の制御ポートにはデューティソレノイドバルブ49によって調整され た制御圧が供給され、そのデューティ率(ON/OFFサイクル中のON時間の 比率)に応じて上記制御元圧からモデュレータ圧が生成される。 そして、このモデュレータ圧がライン50を介して上記レギュレータバルブ4 1の増圧ポートに供給され、これにより、ライン圧が、例えばエンジンのスロッ トル開度等に応じて設定される上記デューティ率に応じて増圧されるようになっ ている。 尚、上記ライン50には、デューティソレノイドバルブ49の周期的ON,O FF動作に起因する油圧の脈動を抑制するための第1アキュムレータ51が設置 されている。
【0022】 また、上記マニュアルバルブ43は、D,3,2,1の各前進レンジと、R(後退 )レンジと、N(中立)レンジと、P(駐車)レンジの設定が可能とされており、前 進レンジでは、上記メインライン42を前進ライン52に、Rレンジでは後退ラ イン53にそれぞれ接続させるようになっている。 上記前進ライン52は、作動油の供給時と排出時とで絞り量を異ならせたオリ フィス54を介して前進クラッチ23に導かれており、D,3,2,1の各前進レ ンジでは、前進クラッチ23が常時締結される。 尚、この前進ライン52には、前進クラッチ23の締結時におけるショック緩 和用の第2アキュムレータ55が配置されている。
【0023】 また、上記後退ライン53は、副変速機30における減速ブレーキ34側に導 かれている。尚、本実施例では、該減速ブレーキ34は、より好ましくは、受圧 面積の異なる第1および第2の二つの油圧室341,342を有しており、締結圧 が同じであれば、受圧面積が大きい第1油圧室341に締結圧が導かれた場合の 方が、受圧面積が小さい第2油圧室342に導かれた場合よりも大きな締結力が 得られるようになっている。 上記後退ライン53は、受圧面積が大きい上記第1油圧室341に直接導かれ ており、従って、Rレンジでは、マニュアルバルブ43をR位置に操作すること により、上記第1油圧室341に直接に導入されるライン圧によって、減速ブレ ーキ34が大きな締結力で締結されることになる。 尚、この後退ライン53からはレギュレータバルブ41のもう一つの増圧ポー トに通じるライン57が分岐され、大きなトルク容量が必要とされる後退速用の Rレンジでライン圧の調整値を高くするようになっている。
【0024】 一方、上記メインライン42,前進ライン52及び後退ライン53からは、主 変速機20における変速用の第1,第2,第3シフトバルブ61,62,63と、副 変速機30における変速用の第4,第5シフトバルブ64,65とにライン圧が供 給されるようになっている。 これらシフトバルブ61〜65はいずれも一端(図2における左端)に制御ポー トを備えており、上記第2レデューシングバルブ45から導かれた制御用元圧ラ イン66が主変速機用の第1〜第3シフトバルブ61〜63の各制御ポートに、 また、第3レデューシングバルブ46から導かれた制御用元圧ライン67が副変 速機用の第4,第5シフトバルブ64,65の各制御ポートにそれぞれ接続されて いる。
【0025】 上記制御用元圧ライン66,67には、第1〜第5シフトバルブ61〜65に 対応させて第1〜第5ON−OFFソレノイドバルブ71〜75が設置されてい る。これらのON−OFFソレノイドバルブ71〜75は、ON時に当該シフト バルブ61〜65の図における左端に設けた制御ポート内をドレンさせるように なっている。 そして、これらのソレノイドバルブ71〜75のON,OFFの組合せ、即ち 各シフトバルブ61〜65のスプールの位置の組合せに応じて、上記メインライ ン42,前進ライン52もしくは後退ライン53から各クラッチ及びブレーキに 通じるラインが選択的に連通され、これにより、前記表1に示すところに従って 各クラッチ及びブレーキが締結されて、1〜5速と後退速とが得られることにな る。 その場合に、各クラッチ及びブレーキに供給される締結圧は、それぞれ次のよ うにして適性値に制御されるようになっている。
【0026】 つまり、主変速機20における直結クラッチ24,コーストブレーキ29,ロー リバースブレーキ26及び3−4ブレーキ28については、ライン圧を減圧して 所定の締結圧に調整するためのコントロールバルブ(圧力調整バルブ)76,77, 78,79がそれぞれ備えられ、これらのうち、コーストブレーキ用、ローリバ ースブレーキ用及び3−4ブレーキ用のコントロールバルブ77,78,79につ いては、第1リニアソレノイドバルブ80によって調整された制御圧が、ライン 81を介して制御ポートに供給され、この制御圧に応じて締結圧がそれぞれ制御 されるようになっている。 上記直結クラッチ用コントロールバルブ76の制御ポートには、ライン82に よって直結クラッチ24に供給される締結圧自体が、ワンウェイオリフィス83 と第3アキュムレータ84とが設けられたライン85を介して制御圧として供給 され、このアキュムレータ84の作動により該締結圧の立ち上がりが制御される ようになっている。
【0027】 上記第1リニアソレノイドバルブ80は、上記第1レデューシングバルブ44 からライン47を介して供給される制御元圧をコントローラ(不図示)からの制御 信号に応じて調整して、そのときの変速段や運転状態に応じた制御圧を生成する ようになっている。 また、上記直結クラッチ用コントロールバルブ76と、上記ローリバースブレ ーキ用コントロールバルブ78の一端に設けられたポートには、上記後退ライン 53から分岐された調圧動作禁止用ライン86がそれぞれ接続され、Rレンジで は、これらのポートにライン圧が供給されてスプールが左側の位置に固定される ことにより、該直結クラッチ用及びローリバースブレーキ用コントロールバルブ 76,78の調圧動作が阻止されるようになっている。 更に、3−4ブレーキ用コントロールバルブ79の一端のポートには、コース トブレーキ29に供給される締結圧がライン87を介して供給され、該コントロ ールバルブ79の調圧動作が制御されるようになっている。
【0028】 また、上記第1リニアソレノイドバルブ80によって生成された制御圧は、ラ イン81を介してアキュムレータ用コントロールバルブ88の制御ポートにも供 給されるようになっている。 このコントロールバルブ88は、メインライン42からライン89を介して供 給されるライン圧を、上記第1リニアソレノイドバルブ80からの制御圧に応じ て調整し、第3アキュムレータ84及び第4アキュムレータ90用の背圧を生成 して両アキュムレータ84,90の背圧ポートに供給するようになっている。
【0029】 一方、副変速機30における締結圧の制御用としては、直結クラッチ32側に 供給される締結圧を調整する直結クラッチ用コントロールバルブ101と、減速 ブレーキ34の第2油圧室342に供給される締結圧を調整する減速ブレーキ用 コントロールバルブ102と、第2リニアソレノイドバルブ103とが備えられ ている。 尚、本実施例では、より好ましくは、上記直結クラッチ32の締結用ピストン として2重構造のピストンが採用され、各ピストンの背面側には受圧面積が異な る第1,第2の油圧室321,322が設けられており、締結圧が同じであれば、受 圧面積が大きい第1油圧室321に締結圧が導かれた場合の方が、受圧面積が小 さい第2油圧室322に導かれた場合よりも大きな締結力が得られるようになっ ている。
【0030】 上記第2リニアソレノイドバルブ103は、第1リニアソレノイドバルブ80 と同じく、所謂、電磁ソレノイドバルブで構成されたもので、メインライン42 からライン圧が制御元圧として供給され、これをコントローラ160からの制御 信号に応じて調整した上で、上記第5シフトバルブ65を介して減速ブレーキ用 コントロールバルブ102の制御ポートもしくは直結クラッチ32の第1油圧室 321に供給する。 そして、上記減速ブレーキ用コントロールバルブ102は、第2リニアソレノ イドバルブ103で生成された制御圧が制御ポートに供給されているときに、メ インライン42から第4シフトバルブ64および第5シフトバルブ65を順次介 して供給されるライン圧を上記制御圧に応じて調整し、これを減速ブレーキ34 の第2油圧室342に供給する。
【0031】 一方、直結クラッチ用コントロールバルブ101には、メインライン42から 第4シフトバルブ64を介してライン圧が供給され、これを調整した上で、ワン ウェイオリフィス112及び第5シフトバルブ65を介して、直結クラッチ32 の第1油圧室321もしくは第2油圧室322に選択的に供給するようになってい る。 そして、この直結クラッチ用コントロールバルブ101の制御ポートには、上 記直結クラッチ32側に供給される締結圧自体が、ワンウェイオリフィス115 及び第5アキュムレータ116が設けられたライン117を介して制御圧として 供給されるようになっている。従って、上記締結圧は、第5アキュムレータ11 6の作動により一定の棚圧状態を経て立ち上がることになる。
【0032】 以上のように構成された油圧回路40において、第1〜第5ON−OFFソレ ノイドバルブ71〜75のON,OFFの組合せパターンは表2に示す通りであ り、これにより前進の1〜5速と後退速とが得られるようになっている。この表 2において、(1),(2)はエンジンブレーキ用レンジでの1速及び2速を示す。
【0033】
【表2】
【0034】 また、以上の構成に加えて、この油圧回路40には、トルクコンバータ10内 のロックアップクラッチ17を制御するためのロックアップ第1、第2シフトバ ルブ141,142と、ロックアップコントロールバルブ143とが備えられて いる。 そして、メインライン42から第1シフトバルブ141とコントロールバルブ 143とにコンバータライン144が導かれると共に、第1シフトバルブ141 の一端の制御ポートには、上記第2レデューシングバルブ45からの制御ライン 66がライン145を介して接続されている。このライン145にはロックアッ プ制御用のON−OFFソレノイドバルブ146が設置され、該バルブ146が OFFのときに、上記第1シフトバルブ141の制御ポートに制御圧が導入され ることにより、該バルブ141のスプールが左側に位置するようになっている。 このとき、上記コンバータライン144のライン圧がトルクコンバータ10内の ロックアップ解放室17aに供給され、これによってロックアップクラッチ17 が解放される。
【0035】 一方、上記ON−OFFソレノイドバルブ146がONとなって、第1シフト バルブ141の上記制御ポートから制御圧がドレンされることにより、該バルブ 141のスプールが右側に位置すると、上記コンバータライン144のライン圧 はトルクコンバータ10内のロックアップ締結室17bに供給され、これにより ロックアップクラッチ17が締結される。そして、このとき、上記ロックアップ 解放室17aには、ロックアップ解放圧としてロックアップコントロールバルブ 143で調整された作動圧が、第1シフトバルブ141を介して供給される。 つまり、上記コントロールバルブ143の一端の制御ポートには、上記第1レ デューシングバルブ44から導かれた制御ライン150が接続されると共に、こ の制御ライン150にはデューティソレノイドバルブ151が設置され、上記制 御ポートに供給される制御圧をそのデューティ率に応じて調整することにより、 上記解放圧を調整するようになっているのである。
【0036】 また、上記デューティソレノイドバルブ151によって生成された制御圧は、 第2シフトバルブ142の一端の制御ポートにも供給される。そして、該制御圧 が所定値以下の場合には、第2シフトバルブ142のスプールが右側に位置する ことにより、メインライン42から導かれたライン153が第2シフトバルブ1 42を介して上記コントロールバルブ143の調圧阻止ポート143bに連通し て、該ポート143bにライン圧を供給する。これにより、コントロールバルブ 143による解放圧の調整動作が阻止され、このとき、ロックアップクラッチ1 7は締結圧のみが供給された完全締結状態となる。 そして、上記制御圧が所定値以上となったときに、コントロールバルブ143 による解放圧の調整動作が行われ、この解放圧に応じてロックアップクラッチ1 7がスリップ制御されるようになっている。ここで、上記第2シフトバルブ14 2のスプールは、制御圧の非導入時に右側に位置し、このとき、上記前進クラッ チ23に通じるライン52上のオリフィス54をバイパスするライン155を開 通させるようになっている。
【0037】 尚、この油圧回路40に備えられたライン圧調整用のデューティソレノイドバ ルブ49、変速用の第1〜第5ON−OFFソレノイドバルブ71〜75、締結 圧調整用の第1、第2リニアソレノイドバルブ80,103、ロックアップ制御 用のON−OFFソレノイドバルブ146及びデューティソレノイドバルブ15 1は、図3に示すように、コントローラ160からの制御信号によって制御され る。 そして、このコントローラ160には、車速を検出するセンサ161からの信 号、エンジンのスロットル開度を検出するセンサ162からの信号、及び運転者 によって選択されたシフト位置(レンジ)を検出するセンサ163からの信号等が 入力され、これらの信号によって示される運転状態や運転者の要求に応じて上記 各ソレノイドバルブを制御するようになっている。
【0038】 本実施例では、図2に示す油圧回路40が、主変速機20における各摩擦要素 及びロックアップクラッチ17を制御する主変速機制御部と、副変速機30にお ける直結クラッチ32及び減速ブレーキ34を制御する副変速機制御部とに分割 されており、それぞれが別体とされた第1および第2バルブボディ171および 172によって構成されている。 すなわち、図4に示すように、主変速機制御部を構成する第1バルブボディ1 71は、少なくともその下部が、自動変速機1における主変速機20の下方に配 設されたオイルパン170内に位置するように配置され、一方、副変速機制御部 を構成する第2バルブボディ172は、上記主変速機20に隣接してやや斜め上 方に位置する副変速機30の上方に配置されている。 尚、第1バルブボディ171の主変速機制御部から副変速機30の制御用とし て、メインライン42と後退ライン53とが導かれているのであるが、このうち 、メインライン42は上記第2バルブボディ172に接続されて該ボディ172 の各部にライン圧を供給するのに対して、後退ライン53は、第2バルブボディ 172に接続されることなく、主変速機用の第1バルブボディ171におけるマ ニュアルバルブ43から変速機ケース内を通過して、副変速機30における減速 ブレーキ34の第1油圧室341に直接導かれるようになっている。
【0039】 上記各バルブボディ171,172は、自動変速機の変速機ケース3に対して 所定位置に位置決めした状態で取り付けられている。 本実施例では、より好ましくは、上記第1バルブボディ171を変速機ケース 3に取り付けるに際して、自動変速機のシフト操作レバー(不図示)のシフト操作 を第1バルブボディ171内に配設されたマニュアルバルブ43側に伝達するた めのシャフト部材(マニュアルシャフト)とバルブボディ171とを直接に位置決 めすることにより、両者の位置精度を高めるようにしている。 以下、上記第1バルブボディ171の取付構造について説明する。尚、この第 1バルブボディ171は、例えばアルミニウム(Al)合金等の軽合金をダイキャ スト鋳造して形成した複数(例えば4個)の分割ボディ173〜176で構成され 、これら各分割ボディ173〜176間には、各々の分割ボディに設けられた油 路どうしの受け渡しや絞り部形成のために、多数の貫通穴を有する例えば鋼板製 のセパレートプレート177〜179が介装されている。
【0040】 図5は上記自動変速機の主変速機制御部の内部構造を示す縦断面説明図、また 、図6は該主変速機制御部の内部構造を底面側から見て示した説明図であるが、 これらの図に示すように、上記自動変速機の主変速機制御部(第1バルブボディ 171側)には、運転者がマニュアル操作するシフト操作レバー(不図示)のシフ ト操作をマニュアルバルブ43側に伝達するために、上下方向に延びるマニュア ルシャフト181と、該シャフト181の下端側に固定された水平面内に広がる 扇形のマニュアルプレート182とが設けられている。該マニュアルプレート1 82は、ロックナット183によってマニュアルシャフト181の下端部の近傍 に固定されている。 また、上記マニュアルシャフト181は、その比較的上側の途中部が、変速機 ケース3を延長して形成された支持フランジ部3fにより、軸回りに回動自在に 支持されている。 尚、図5においては、4つの分割ボディ173〜176のうち、上から2番目 の分割ボディ174のみが示され、他の分割ボディ173,175,176につい てはその図示が省略されている。
【0041】 上記マニュアルプレート182には、扇形の円弧の一部に、前進1速(1)から パーキング(P)までの各変速レンジに対応して形成された波形のディテント溝1 82aが形成されるとともに、一端側には下方に向かって突出する連繋ピン18 4が固着されている。 一方、マニュアルバルブ43は、第1バルブボディ171の例えば上から2番 目の分割ボディ174の一端側に設けられ、図7および図8から良く分かるよう に、そのバルブスプール43sの端末部には、上記連繋ピン184に係合する係 合溝185aを有する例えば鋼製の連繋用部材185が、上記係合溝185aの方 向がマニュアルバルブ43の軸線(つまりバルブスプール43sの軸線)と略直交 するように固着されている。 すなわち、この場合、マニュアルプレート182とマニュアルバルブ43とを 連繋させる上記連繋ピン184は、上記マニュアルバルブ43の軸線に対して外 方へオフセットするようにその位置が設定されることになる。
【0042】 そして、シフト操作レバー(不図示)の操作時、マニュアルシャフト181の回 動動作に伴って、該シャフト181の軸回りにマニュアルプレート182が回動 した際には、連繋ピン184の回動動作に伴って、上記連繋用部材185がマニ ュアルバルブ43の軸線方向に移動させられ、これにより、バルブスプール43 sが駆動されてマニュアルバルブ43の油路接続状態が切り換えられるようにな っている。 尚、上記マニュアルプレート182には、パーキングロッド192の一端が係 合されたパーキングアシストレバー191が取り付けられており、上記シフト操 作レバー(不図示)が、図5および図6に示されるように、パーキング位置に操作 された場合には、上記パーキングロッド192を介して、パーキングロッドカム 193が回動させられ、これによりパーキングポール194が駆動されてパーキ ングギヤ195と係合し、自動変速機の変速機構がパーキング状態に維持される ようになっている。
【0043】 本実施例では、自動変速機の変速機構の下方に位置するオイルパン170内に 配設された上記第1バルブボディ171は、より好ましくは、自動変速機の変速 機ケース3に対して2箇所で位置決めした状態で取り付けられている。 すなわち、第1バルブボディ171の底面視における略中央右側(図5および 図6参照)に、位置決め用の第1ノックピン186が設けられ、該第1ノックピ ン186は、変速機ケース3の所定の位置に固定されている。そして、より好ま しくは、上記マニュアルシャフト181の下端部に第2のノックピン187が固 定されている。 一方、上記分割ボディ174側には、マニュアルシャフト181を変速機ケー ス3に対して組み付けた状態において該マニュアルシャフト181の下端側に対 応する部位に、上記第2ノックピン187と係合する係合部174hが設けられ ており、第1バルブボディ171は、上記係合部174hが上記マニュアルシャ フト181の下端部に固定した第2ノックピン187に係合した位置決め状態で 、上記変速機ケース3に取り付けられている。 つまり、第1バルブボディ171は、上記第1ノックピン186と第2ノック ピン187とで、自動変速機1の変速機ケース3に対して所定位置に正確に位置 決めした状態で取り付けられている。
【0044】 ところで、本実施例では、バルブスプール43sおよび連繋部材185がバル ブスプール43sの軸回りに回動することにより、上記連繋ピン184と連繋用 部材185との係合位置が変化し、両者の係合関係にズレが生じたり、あるいは 極端な場合には両者間の係合が外れたりすることを防止するとともに、バルブボ ディ171を変速機ケース3側へ組み付ける際、バルブスプール43sを挿入し た状態でマニュアルバルブ部分を上方から組み付ける場合などに、上記連繋用部 材185が回動して組立作業に支障を来すことがないように、上記連繋用部材1 85に対する回り止めが設けられている。 本実施例では、特に、この連繋用部材185の回り止め構造を簡略化するとと もに、また、マニュアルバルブ43が設けられたバルブボディ(分割ボディ17 4)上を上記連繋用部材185が摺動することによる摩耗粉の発生量を低減する ために、マニュアルバルブ43が設けられた分割ボディ174とその上側の分割 ボディ173との間に介装されたセパレートプレート177を利用して、上記連 繋用部材185の回り止めを構成するようにしている。
【0045】 すなわち、上記セパレートプレート177が、マニュアルバルブ43のバルブ スプール43sと連繋用部材185との結合部に対応する位置まで延設されてお り、上記連繋用部材185には、該部材185がマニュアルバルブ43の軸線回 りに回動する際に、上記セパレートプレート177の延設部177aに当接する 回り止め部185bが設けられている。該回り止め部185bは、連繋用部材18 5のバルブスプール43sとの結合部の上側部分を所定量だけ上方に突出させて 形成されている。 かかる回り止め構造を設けることにより、バルブスプール43sおよび連繋用 部材185は、バルブスプール43sの軸線方向(つまりマニュアルバルブ43の 軸線方向)へは支障なくスライドすることができ、かつ、バルブスプール43sの 軸回りについては不用意に回動することが防止される。
【0046】 この場合、上記回り止め部185bの上方への突出量を適当に設定してセパレ ートプレート177の延設部177aとの間隙を調整することにより、連繋用部 材185がバルブスプール43sの軸回りに回動した場合には、連繋用部材18 5のいずれも部分もバルブボディ174側に接触することなく、回り止め部18 5bが上記延設部177aに当接した状態で回り止めされるように設定することが できる。従って、鋼製の連繋用部材185がアルミ軽合金製のバルブボディ17 4上を摺動することが防止され、摩耗粉の発生量が大幅に低減される。 尚、本実施例では、より好ましくは、上記連繋用部材185の係合溝185a は底付き構造とされており、例えば、連繋用部材185に対して特に大きい軸回 りのモーメント荷重が作用し、上記セパレートプレート177の延設部177a による回り止めでは不十分な場合には、上記係合溝185aの底部185cが連繋 ピン184の下端部に当接することにより、連繋用部材185のそれ以上の回動 が阻止されるようになっている。
【0047】 以上、説明したように、本実施例によれば、上記セパレートプレート177を 、マニュアルバルブ43と該マニュアルバルブ43側の連繋用部材185との結 合部に対応する位置まで延設するとともに、上記連繋用部材185に、マニュア ルバルブ43の軸線回りに回動する際にセパレートプレート177の上記延設部 177aに当接する回り止め部185bを設けるだけの簡単な構成で、上記連繋用 部材185のマニュアルバルブ43の軸回りについての不用意な回動を防止する ことができる。また、上記連繋用部材185がマニュアルバルブ43の軸方向へ の変位を繰り返した場合でも、連繋用部材185とバルブボディ(分割ボディ1 74)との直接的な摺動の防止を図ることが可能となるので、両者間での摩耗粉 の発生量を大幅に低減することができる。 すなわち、マニュアルバルブ43側の連繋用部材185の回り止め構造を従来 に比べて簡略化することができ、また、連繋用部材185の摺動による摩耗粉の 発生量を低減してバルブスティック等の不具合の発生防止を図ることができるの である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例に係る自動変速機のトルク伝
達系統を示すスケルトン図である。
【図2】 上記自動変速機の油圧制御装置の油圧回路図
である。
【図3】 上記油圧回路に設けられた各ソレノイドバル
ブに対する制御を説明するためのブロック図である。
【図4】 上記自動変速機の正面説明図である。
【図5】 上記自動変速機の主変速機制御部の内部構造
を示す縦断面説明図である。
【図6】 上記主変速機制御部の内部構造を底面側から
見て示した説明図である。
【図7】 上記主変速機制御部のマニュアルバルブとマ
ニュアルプレートとの連繋部分を拡大して示す縦断面説
明図である。
【図8】 上記マニュアルバルブ側の連繋用部材と連繋
ピンとの係合状態を示す斜視図である。
【図9】 従来例に係るマニュアルバルブ側の連繋用部
材と連繋ピンとの係合状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…自動変速機 40…油圧回路 43…マニュアルバルブ 171…第1バルブボディ 174…分割ボディ 177…セパレートプレート 177a…延設部 182…マニュアルプレート 185…連繋用部材 185b…回り止め部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 丸末 敏久 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)考案者 沢崎 朝生 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バルブボディ内の油圧回路に設けられた
    マニュアルバルブと、自動変速機の変速レンジをシフト
    させる操作部材のシフト操作を上記マニュアルバルブへ
    伝達するマニュアルプレートとの連繋部分が、上記マニ
    ュアルバルブの軸線に対してオフセットするように設定
    された自動変速機のバルブボディ構造であって、 上記バルブボディは複数の分割ボディと各分割ボディ間
    に介装されたセパレートプレートとを有して構成され、
    該セパレートプレートは、上記マニュアルバルブと該マ
    ニュアルバルブ側の連繋用部材との結合部に対応する位
    置まで延設されており、上記連繋用部材には、上記マニ
    ュアルバルブの軸線回りに回動する際に、上記セパレー
    トプレートの延設部に当接する回り止め部が設けられて
    いることを特徴とする自動変速機のバルブボディ構造。
JP8239092U 1992-11-30 1992-11-30 自動変速機のバルブボディ構造 Pending JPH0645160U (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012241810A (ja) * 2011-05-19 2012-12-10 Honda Motor Co Ltd 自動変速機の変速操作機構及びその組立方法
JP2018179253A (ja) * 2017-04-20 2018-11-15 マツダ株式会社 自動変速機のバルブボディ構造

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