JPH0644870B2 - D−α−アミノ酸の製造方法 - Google Patents

D−α−アミノ酸の製造方法

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JPH0644870B2 JP11753885A JP11753885A JPH0644870B2 JP H0644870 B2 JPH0644870 B2 JP H0644870B2 JP 11753885 A JP11753885 A JP 11753885A JP 11753885 A JP11753885 A JP 11753885A JP H0644870 B2 JPH0644870 B2 JP H0644870B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はD−α−アミノ酸の製造方法に関する。さらに
詳しくはD−α−アミノ酸アミドを生化学的に加水分解
して対応するD−α−アミノ酸を製造する方法に関す
る。
D−α−アミノ酸は抗生物質の原料、殺菌剤の原料およ
び各種工業薬品の中間体として重要なものである。
〔従来の技術、発明が解決しようとする問題点〕
従来、D−α−アミノ酸を製造する方法としては (1)D,L−α−アミノ酸のN−アシル体に微生物の有
するアシラーゼを作用させ、L−α−アミノ酸を光学分
割し、得られたD−α−アミノ酸のN−アシル体を強酸
を用いて加水分解する方法(特公昭41−22380号
公報) (2)5−置換ヒダントイン類に微生物の有するヒダント
イナーゼを作用させて対応するL−5−置換ヒダントイ
ン類とD−(N−カルバモイル)−アミノ酸とに変化さ
せ、さらにこのD−(N−カルバモイル)−アミノ酸を
脱カルバモイルしてD−α−アミノ酸を得る方法(特開
昭55−104890号公報) などが知られている。しかしながら、これらの方法は高
価な出発物質を必要とし、且つ、数段の反応を経ること
から工程が複雑となり、さらに反応系には副生物などの
多種類の不純物が含まれ、目的とするアミノ酸の分離回
収が容易でないことから実用に際して不利であるという
欠点を有している。
また従来、D−α−アミノ酸アミドを微生物が有する酵
素を利用して加水分解し、D−α−アミノ酸を製造する
方法に関しては、特表昭56−500319号が知られ
てはいるが、これには微生物としてバチルス属、バクテ
リジウム属、ミクロコツカスおよびブレビバクテリウム
属のそれぞれに属する微生物しか記載されていない。
〔問題点を解決するための手段・作用〕
本発明者等は光学的に活性なα−アミノ酸を工業的に有
利に製造する方法の開発を目的に検討を進め、先にアク
ロモバクター属、アルカリゲネス属またはクルチア属の
微生物がD−α−アミノ酸アミドの加水分解に対し強い
活性を有すること(特願昭59−039495)を見出
した。
そして、その後さらに研究を進めた結果、シユードモナ
ス属、ロドコツカス属またはセラチア属に属する微生物
が、D−α−アミノ酸アミドの加水分解に対して強い活
性を有することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は一般式が (ただし、式中Rは低級アルキル基、置換低級アルキル
基、フエニル基、置換フエニル基を示す)で表わされる
D−α−アミノ酸アミドにシユードモナス属、ロドコツ
カス属またはセラチア属に属し、D−α−アミノ酸アミ
ド加水分解活性を有する微生物の培養液、生菌体もしく
は菌体処理物を作用させて、対応するD−α−アミノ酸
を生成せしめることを特徴とするD−α−アミノ酸の製
造法である。
本発明のD−α−アミノ酸アミドの一般式におけるRの
低級アルキル基には特に制限はないが、例えばメチル、
エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル
およびSec−ブチルなどのC1〜Cの直鎖または分岐し
た低級アルキル基が好適であり、また、置換低級アルキ
ル基、置換フエニル基のそれぞれに含まれる置換基は例
えばヒドロキシ、メトキシ、メルカプト、メチルメルカ
プト、アミノ、カルボキシル、カルバモイル、ハロゲ
ン、フエニル、ヒドロキシフエニルおよびグアニルなど
である。
本発明の一般式で示されるD−α−アミノ酸アミドの代
表例として、1−メチルアミノアセトアミド、1−エチ
ルアミノアセトアミド、1−プロピル−アミノアセトア
ミド、1−イソプロピル・アミノアセトアミド・1−ブ
チル・アミノアセトアミド、1−イソブチル・アミノア
セトアミド、1−sec・ブチル・アミノアセトアミド、
1−ヒドロキシメチル・アミノアセトアミド、1−メト
キシメチル・アミノアセトアミド、1−メルカプトメチ
ル−アミノアセトアミド、1−アミノメチル・アミノア
セトアミド、1−カルボキシメチル・アミノアセトアミ
ド、1−(α−ヒドロキシエチル)・アミノアセトアミ
ド、1−(β−メチルチオエチル)・アミノアセトアミ
ド、1−(β−アミノエチル)・アミノアセトアミド、
1−(β−カルボキシエチル)・アミノアセトアミド、
1−(β−カルボクサミドエチル)・アミノアセトアミ
ド、1−クロルメチル・アミノアセトアミド、1−(γ
−カルボキシプロピル)・アミノアセトアミド、1−
(ω−グアニジノプロピル)・アミノアセトアミド、1
−(ω−アミノブチル)・アミノアセトアミド、1−
(γ−ヒドロキシ−ω−アミノブチル)・アミノアセト
アミド、1−フエニル・アミノアセトアミド、1−ベン
ジル・アミノアセトアミド、1−(4′−ヒドロキシベ
ンジル)・アミノアセトアミドおよび1−インドリルメ
チル・アミノアセトアミドなどがある。
本発明に使用される微生物は下記の属に属するものであ
る。なお、各属に属する微生物の代表例はつぎの如くで
あるが、本発明の微生物はこれらに限定されるものでは
ない。
1)シユードモナス属 シユードモナス フローレツセンス (Pseudomonas fluorescens) IFO 12055 2)ロドコツカス属 ロドコツカス エリスロポリス (Rhodococcus erythropolis) JCM 3201 3)セラチア属 セラチア マルセツセンス (Serratia marcescens) IAM 12143 これらのうち、ロドコツカス エリスロポリスが好まし
い。
前記に代表例として挙げられた微生物はいずれも公知の
ものであり、東京大学応用微生物研究所(IAM)、財
団法人発酵研究所(IFO)理化学研究所(JCM)な
どの保存機関を通じて容易に入手することができる。
これらの微生物の培養は、資化し得る炭素源窒素源、各
微生物に必須の無機塩、栄養などを含有させた通常の培
地を用いて行なわれる。なお菌体濃度が低い培養初期に
培養液中に、D−α−アミノ酸を存在させることにより
高い酵素活性が得られるので好ましい。このD−α−ア
ミノ酸アミドの一部はD−アミノ酸に変化せしめられ
る。D−α−アミノ酸アミドは本発明の一般式で示され
るD−α−アミノ酸アミドであればいずれでも良いが、
目的とするD−α−アミノ酸に対応するD−α−アミノ
酸アミドを用いることがなお効果的である。
培養時の培養液のpHは4〜10の範囲であり、温度は2
0〜50℃である。培養は1日〜1週間程度、好気的に
行なわれる。
このようにして培養した微生物は、培養液、分離菌体、
菌体破砕物、乾燥菌体あるいは分離精製した酵素などの
菌体処理物の形態で反応に使用される。
勿論、常法に従つて固定化された菌体または酵素を使用
することもできる。
本発明の反応は、前記の微生物の培養液中、または水も
しくは緩衝液のような水性媒体に前記の微生物の培養
液、生菌体もしくは菌体処理物を添加した液中で行なわ
れる。
本発明における反応条件は、本発明における反応を触媒
する酵素が失活しないような条件であればよく、また酵
素の加水分解活性の強さ、D−α−アミノ酸アミドの種
類などによつて異り、一概に特定しえないが、通常はた
とえば反応液中のD−α−アミノ酸アミド濃度は1〜4
0wt%、D−α−アミノ酸アミドに対する微生物の使用
量は乾燥菌体として重量比で0.005〜10、反応温
度 20〜70℃およびpH5〜13とされる。なお、微
生物の培養液中で反応させるときには菌体濃度は通常は
0.01〜10%(乾燥菌体基準)程度とされる。
加水分解反応で生成したD−α−アミノ酸は公知の方
法、例えば反応生成液から遠心分離などの通常の固液分
離手段により微生物を除き、さらに必要に応じて限外
過などによつて酵素を除いたのち減圧濃縮後エタノール
を加えてD−α−アミノ酸を析出させ、このD−α−ア
ミノ酸を回収することにより容易に高純度結晶として得
ることが出来る。
〔実施例〕以下実施例により本発明を説明するが、本発
明はこれのみに限定されるものではない。
実施例 1 次の組成を有する培地を調製し、この培地100mlを5
00ml三角フラスコに入れ、滅菌後、各種微生物を接種
し、30℃で48時間振盪培養を行なつた。
次いで培養液から遠心分離により生菌体約5gを得、こ
れに5wt% D−1−イソプロピル−アミノアセトアミ
ド水溶液(pH9) 100mlを加え、40℃で4時間振
盪した。反応後、反応生成液を遠心分離して除菌し、上
澄を約10mlになるまで濃縮した後、エタノール 50
mlを加え析出した結晶を取し、結晶の比旋光度を測定
した。
結果を第1表に示す。
これらの結晶の一部を水に溶かして、この液を液体クロ
マトグラフイで分析した処、これらの結晶の純度はいず
れも実質的に100%であつた。
実施例 2 培地に添加したD−1−イソプロピル・アミノアセトア
ミドを反応原料の各種D−α−アミノ酸アミドに替えた
以外は、実施例1と同様にして各種微生物を培養した。
次いで培養液を遠心分離後、常法により凍結乾燥菌体を
得た。
各種2.5wt%D−α−アミノ酸アミド水溶液(pH8)
10mlに、この凍結乾燥菌体100mgをそれぞれ加え、
40℃で4時間振盪後、反応生成液中の生成D−α−ア
ミノ酸含量を液体クロマトグラフイーで分析した。結果
を第2表に示す。
実施例 3 培地にD−1−イソプロピルアミノアセトアミドを添加
しなかつた以外は実施例1と同様にして行なつた。
結果を第3表に示す。
なお、結晶の純度はいずれも実質的に100%であつ
た。
〔発明の効果〕
本発明方法によつて比較的安価なD−α−アミノ酸アミ
ドから、例えばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイ
シン、セリン、スレオニン、システイン、シスチン、メ
チオニン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン
酸、グルタミン、アルギニン、フエニルグリシン、フエ
ニルアラニン、チロシンおよびトリプトフアンなどの重
要なD−α−アミノ酸を容易に、且つ効率よく製造する
ことが可能となつた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12P 13/04 C12R 1:43)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 (ただし、式中Rは低級アルキル基、置換低級アルキル
    基、フエニル基または置換フエニル基を示す)で表され
    るD−α−アミノ酸アミドにシユードモナス属、ロドコ
    ツカス属またはセラチア属に属し、D−α−アミノ酸ア
    ミド加水分解活性を有する微生物の培養液、生菌体もし
    くは菌体処理物を作用させて対応するD−α−アミノ酸
    に変化せしめることを特徴とするD−α−アミノ酸の製
    造方法。
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