JPH0644126U - 静止誘導電気機器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 静電シールドの端部の電界集中を小さくして
絶縁的信頼度を向上させるとともに静止誘導電気機器の
小形化を図るようにしたものである。 【構成】 シート巻線１と主絶縁部１ａとの間に静電シ
ールド３を配設する。この静電シールド３はシート材４
の表面に導電体層５を塗布するとともに、シート材４の
端部に丸棒形状の心材６を巻き付けて、曲面を持った構
造に形成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案はシート巻線変圧器におけるシート巻線の端部に電界緩和シールドを 施した静止誘導電気機器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

図３はシート巻線変圧器の巻線端部の基本構造を示すもので、１はシート巻線 、２は電界緩和シールドリングである。シート巻線１は主絶縁部１ａに続いて金 属シート１ｂと絶縁シート（レヤー絶縁用）１ｃを重ねて巻いてコイル部とした もので、側縁部がフィラー部１ｄとなる。シート巻線１の主絶縁部１ａの外側の １層〜３層には図５に示すように導電体層（あるいは半導電体層）１ｅをターン を形成しないように周方向に多数に分割した形で形成している。なお、導電体層 １ｅは塗布（印刷も含む）などにより形成される。前記シールドリング２は図４ に示すように電界の高くない凹んだ位置に複数の支持片２ａを有する形状に構成 され、図示しない巻線支持ピースに取り付けられる。

【０００３】 上記のように、主絶縁部１ａに形成された導電体層１ｅの外側にはシールドリ ング２が配設されているので、シールドリング２は導電体層１ｅとの静電結合に よりシート巻線１の巻線電位と殆ど同じ電位となる。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

前述のようにシート巻線１とシールドリング２の電位的つながりを静電結合用 の導電体層１ｅを用いて行うため、シート巻線１とシールドリング２間が図３の 符号Ｄとして示すように物理的に大きくなってしまう。この結果変圧器が大形化 になってしまう問題がある。また、静電結合用導電体層１ｅの端部の電界集中を 無くすため、シールドリング２の被覆体（図示省略）はできるだけ薄くしないと 、導電体層１ｅとシールドリング２との間隔が広くなって導電体層１ｅの電界が 大きくなる問題がある。さらに、最も電界が高くなるシールドリング２と主絶縁 部１ａとの間にはクサビ状のギャップＧが形成される。このギャップＧは、絶縁 強度上の弱点であるから、通常このギャップＧの部分に絶縁物を埋め込む場合が ある。しかし、この絶縁物を埋め込んで固定するためにはシールドリング２の被 覆体を厚くしないと、絶縁物をうまく固定できない。上述のように被覆体を厚く すると、導電体層１ｅの端部の電界が高くなって、その部分で放電が発生し、最 悪の場合にはそのために絶縁破壊を発生させるおそれがある。

【０００５】 この考案は上記の事情に鑑みてなされたもので、シート巻線とシールドリング 間を静電シールド構造にし、導電体層の端部の電界集中を小さくして絶縁的信頼 度を向上させるとともに電気機器の小形化を図るようにした静止誘導電気機器を 提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

この考案は上記の目的を達成するために、第１考案は金属シートと絶縁シート を重ねて巻いて成るシート巻線を用い、かつ巻線端部の電界緩和のためのシール ドリングを備えたシート巻線変圧器において、主絶縁部とシート巻線との間にシ ート巻線と同電位か、ほぼ同電位の導電体層あるいは半導電体層を有する静電シ ールドを設け、その静電シールドの端部は曲面を持った構造体に構成したことを 特徴とするものである。

【０００７】 第２考案はシート材表面に導電体層あるいは半導電体層を塗布した静電シール ドからなるものである。

【０００８】 第３考案は、曲面を持った構造体が丸棒形状の心材の周方向をシート材で覆っ て形成したものである。

【０００９】 第４考案は導電体層を金属フィルムで構成したものである。

【００１０】

【作用】 静電シールドの端部を曲面を持った構造体に形成したので、電界集中が小さく なり、また、シールドリングと導電体層を静電結合しないため、シート巻線とシ ールドリング間のＤ寸法を小さくでき、電気機器の小形化を図ることができる。

【００１１】

【実施例】

以下この考案の一実施例を図面に基づいて説明するに、図３と同一部分は同一 符号を付して示す。図１において、３は静電シールドで、この静電シールド３は 主絶縁部１ａとシート巻線１との間に配設される。静電シールド３は図２に示す ようにシート材４の表面に導電体層５を塗布し、そのシート材４の端部に曲面を 持った丸棒形状の心材６を設ける。シート材４は丸棒形状の心材６の軸方向外周 を覆うように巻き付けられる。このように構成された静電シールド３の丸棒形状 の心材６をシート巻線１のフィラー部１ｄの端部に配設すれば、シート巻線１と シールドリング２端のＤ寸法は小さくなり、静止誘導電気機器なすわち変圧器の 小形化が図れる。 なお、前述した丸棒形状の心材６としては金属線、高分子樹脂線、各種素材の 紐等が用いられる。また、導電体層を金属フィルムにして、このフィルムにてシ ート材をサンドイッチ状に形成してもよい。図１の２点鎖線で示すものはシール ドリング２の支持部材である。

【００１２】

【考案の効果】

以上述べたように、この考案によれば、シート巻線とシールドリング間の静電 シールドの端部の電界集中が小さくなるので、絶縁的信頼度が向上するとともに 、シート巻線とシールドリング間の高さ方向の寸法を低くできるので、電気機器 の小形化を図ることができる。また、シールドリングの被覆体を極く薄くできる ようになるため、シールドリングと主絶縁部との間に形成されるギャップを絶縁 物で埋めて高電界下にて適用できるようになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例を示す概略構成説明図であ
る。

【図２】静電シールドの概略構成説明図である。

【図３】従来の構成を示す断面図である。

【図４】シールドリングの構造を示す概略図である。

【図５】静電結合用導電体層の斜視図である。

【符号の説明】

１…シート巻線 １ａ…主絶縁部 １ｂ…金属シート １ｃ…レヤー絶縁シート １ｄ…フィラー部 ２…シールドリング ３…静電シールド ４…シート材 ５…導電体層 ６…丸棒形状の心材

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 金属シートと絶縁シートを重ねて巻いて
   成るシート巻線を用い、かつ巻線端部の電界緩和のため
   のシールドリングを備えたシート巻線変圧器において、
   主絶縁部とシート巻線との間にシート巻線と同電位か、
   ほぼ同電位の導電体層あるいは半導電体層を有する静電
   シールドを設け、その静電シールドの端部は曲面を持っ
   た構造体に構成したことを特徴とする静止誘導電気機
   器。
2. 【請求項２】 前記静電シールドはシート材表面に導電
   体層あるいは半導電体層を塗布した請求項１記載の静止
   誘導電気機器。
3. 【請求項３】 曲面を持った構造体は丸棒形状の心材の
   周方向をシート材で覆って形成した請求項１又は２記載
   の静止誘導電気機器。
4. 【請求項４】 導電体層を金属フィルムで構成したこと
   を特徴とする請求項１，２又は３記載の静止誘導電気機
   器。