JPH064308B2 - 液状活性物質含有多層膜 - Google Patents

液状活性物質含有多層膜

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JPH064308B2
JPH064308B2 JP2904484A JP2904484A JPH064308B2 JP H064308 B2 JPH064308 B2 JP H064308B2 JP 2904484 A JP2904484 A JP 2904484A JP 2904484 A JP2904484 A JP 2904484A JP H064308 B2 JPH064308 B2 JP H064308B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、2種以上の異なる液状活性物質を長期間にわ
たつて、それぞれ実質的に一定の制御された速度で放出
させるデバイスとして好適に用いることができる液状活
性物質含有多層膜に関する。
活性物質の放出を制御するためのデバイスは既に種々知
られており、一般的には、特公昭56−47881号公
報に記載されているように、活性物質を溶解含有する第
1の非多孔性固定重合体からなる担体層と、この担体層
を取り囲み、上記活性物質の透過又は拡散を制御して、
環境雰囲気へ活性物質を実質的に一定の速度で放出させ
る第2の非多孔性固定重合体からなる制御層とから形成
されている。このようなデバイスにおいては、活性物質
が液状の場合、通常、この活性物質と相溶性の高い重合
体中に活性物質を溶解含有させて均一な固体担体層と
し、活性物質に対して相溶性の小さい重合体で上記担体
層を取り囲んで制御層としている。しかし、このような
デバイスによれば、活性物質の担体層としての重合体に
対する溶解度に限界があり、通常、30重量%以上の活
性物質を含有させることが困難である。即ち、担体層を
なす重合体に30重量%を越えて多量に液状活性物質を
溶解含有させた場合は、重合体が固体マトリツクスを形
成し得ないので、通常、活性物質の含有量は10重量%
程度に抑えられている。
このため、特開昭55−19276号公報に記載されて
いるキクイムシ類に対するデバイス、特開昭56−73
001号公報記載されているアブラムシ等の害虫に対す
るデバイス、特開昭57−45102号公報に記載され
ているミバエ類に対するデバイスのように、多数の貫通
孔を有する多孔性の重合体成形品、例えば、多孔性膜中
に液状活性物質を吸収させて、これを担体層としたデバ
イスも提案されているが、このようなデバイスによれ
ば、活性物質の含有量を多くすると、担体層表面が活性
物質で濡れるようになるために、この上に制御層を積層
形成することが困難であり、通常、担体層を制御層とし
ての膜体に封入しており、製造に手間を要すると共に、
その費用も高くなる。
また、特開昭56−83405号公報には、ペースト状
にした活性物質を合成樹脂フィルムからなる密封容器内
に封入してなるデバイスも提案されているが、このデバ
イスによれば、容器が損傷した場合、活性物質の制御放
出の機能が著しく損なわれるので、その施用に種々の制
約が生じる。
一方、近年、環境汚染を引き起こさない害虫防除方法と
して、昆虫の性フエロモンを徐放させるデバイスを野外
で施用し、フエロモンを大気中に放散させることによ
り、昆虫をトラツプに誘引して捕獲殺虫する所謂マス・
トラツピング法や、雄が雌を感知し、配偶行動をとるの
を撹乱させる所謂撹乱法等が注目されている。
上記したような種々のデバイスは勿論、かかるフエロモ
ンを徐放させるデバイスとしてある程度は有用である
が、しかし、よく知られているように、多くの昆虫は、
その配偶行動において、その昆虫の種により異なるそれ
ぞれ独自の混合比の化学物質からなる複数成分系フエロ
モンをその種のことばとして利用している。従つて、単
一のフエロモン成分を含有させたデバイスによれば、マ
ス・トラツピング法の効果が不十分である。また、ある
場合には、2種以上の昆虫に対して撹乱法を適用するこ
とが必要となり、この場合にも、デバイスは2種以上の
フエロモンを放出することが要求される。
しかしながら、それぞれのフエロモン成分に対する重合
体の徐放作用を考慮して、複数のフエロモン成分を重合
体中に含有させても、その理由は必ずしも明らかではな
いが、それぞれのフエロモン成分を所定の速度で放出さ
せることが困難である場合が多い。例えば、一方のフエ
ロモン成分の放出が異常に促進され、若しくは遅滞され
る。
本発明は上記した種々の問題を解決するためになされた
ものであつて、内部層に独立した多数の微孔を有し、こ
の微孔内に液状活性物質が液滴として封入されてなる重
合体膜によれば、重合体は液状活性物質の担体層をなす
と共に、その放出を制御する制御層として機能し、更
に、重合体膜が表面に緻密層を有し、この緻密層を一体
的に支持する内部層に独立した多数の微孔を有し、この
微孔内に液状活性物質が液滴として封入されてなる異方
性重合体膜によれば、表面の緻密層が液状活性物質の放
出を抑制するので、より徐放性にすぐれた液状活性物質
含有膜を得ることができると共に、液状活性物質を透過
させない基材シートの一面に第1の液状活性物質を含有
する第1の液状活性物質含有膜を形成し、他面に第2の
液状活性物質を含有する第2の液状活性物質含有膜を形
成し、かくして、多層の液状活性物質含有膜を形成する
ことにより、それぞれの液状活性物質を所定の実質的に
一定の速度で放出させることができ、従つて、マス・ト
ラツピング法や撹乱法を一層効果的に行ない得ることを
見出して、本発明に至つたものである。
本発明による液状活性物質含有多層膜は、液状活性物質
を透過させない基材シートの一面に常温で液状である第
1の活性物質を含有する第1の重合体膜が形成され、上
記基材シートの他面に常温で液状である第2の活性物質
を含有する第2の重合体膜が形成され、上記第1及び第
2の液状活性物質がそれぞれ所定の実質的に一定の速度
で放出されることを特徴とする。
第1図は、本発明による好ましい液状活性物質含有多層
膜の断面構造を模式的に示す。即ち、本発明による液状
活性物質含有多層膜は、液状活性物質を透過させない基
材シート1の一面に、表面に緻密層2を有すると共に、
この緻密層を一体的に支持する内部層3に独立した多数
の微孔4を有する異方性の第1の重合体膜5と、常温で
上記重合体に対して限られた溶解度を有し、上記微孔に
液滴として封入されている第1の液状活性物質6とから
なる第1の液状活性物質含有膜7が形成されていると共
に、上記基材シート1の他面に、表面に緻密層2'を有す
ると共に、この緻密層を一体的に支持する内部層3'に独
立した多数の微孔4'を有する異方性の第2の重合体膜5'
と、常温で上記重合体に対して限られた溶解度を有し、
上記微孔に液滴として封入されている第2の液状活性物
質6'とからなる第2の液状活性物質含有膜7'が形成され
ている。
本発明において、液状活性物質とは、常温で液状であつ
て、農薬活性、誘引活性、忌避活性、芳香活性等の化学
的或いは生理的活性を有する物質をいい、例えば、農薬
活性物質として、ナレド(Naled)、ダイアジノン(Diazin
on)、スミチオン(Sumithion)等の殺虫剤、β−プロピオ
ラクトン等の殺菌剤、トリエチレングリコールモノヘキ
シルエーテル、N,N-ジエチル−m−トルアミド等の忌避
剤、ドデシルアセテート、Z−11−テトラデセニルアセ
テート、Z−11−ヘキサデセナール等の誘引剤、リモネ
ン、ベンジルアルコール、炭素数6〜16の単価水素か
ら誘導されるエステル、エーテル、アルデヒド類等の芳
香活性物質等を挙げることができる。
本発明による好ましい液状活性物質含有多層膜において
は、前記したように、第1及び第2の重合体膜はそれぞ
れ、表面に活性物質の放出の制御層としての緻密層を有
し、この緻密層が多数の独立した微孔を有する多孔性担
体層としての内部層によつて一体的に支持された異方性
構造を有し、上記微孔は、通常、孔径が0.5〜20μ
の範囲にあり、且つ、厚み0.1〜10μの範囲の薄い
隔壁によつて区画され、相互に独立している。液状活性
物質はこのような微孔内に液状で封入され、内部層内に
分散されている。第1及び第2の重合体膜における膜厚
は特に制限されるものではないが、通常、それぞれ10
〜500μの範囲にあり、また、上記緻密層は、通常、
それぞれ0.1〜200μ、好ましくは1〜20μの範
囲の厚みを有する。このように、本発明による液状活性
物質含有多層膜は、第1及び第2の重合体異方性膜が極
めて大きい空孔率を有するので、70重量%程度までの
液状活性物質を含有することができる。
本発明において、第1及び第2の重合体膜を形成するた
めのそれぞれの重合体は、これに含有されるそれぞれの
液状活性物質に対して限られた溶解度を有することが必
要であり、ここに、溶解度とは、鵜重合体100重量部
に溶解し得る液状活性物質の重量部数をいい、また、限
られた溶解度とは、重合体100重量部に対して活性物
質が5重量部以下の範囲でのみ溶解することを意味し、
特に、0.01〜2重量部の範囲で溶解させる重合体が
好ましく用いられる。本発明において、液状活性物質
は、このような重合体の有する独立した微孔内にその溶
解度を越えて液滴として封入されているのである。
このような重合体は、用いる液状活性物質に応じて適宜
で選ばれるが、例えば、具体例として、ポリスルホン、
ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリアリル
エーテル、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル
共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共
重合体、ポリメチルメタクリレートを含むポリ(メタ)
アクリル酸エステル、ポリアミド、ポリビニリデンクロ
ライド、ポリビニリデンフロライド、セルロースエステ
ル、再生セルロース、ポリウレタン、ポリビニルアルコ
ール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセテート、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重
合体、ポリスチレン−ポリブタジエンブロツク共重合体
等の1種又は2種以上の混合物を挙げることができる。
尚、第1及び第2の重合体膜における重合体は、同一で
も、異なつていてもよい。
また、液状活性物質を透過させないシート基材として
は、例えば、金属の箔や薄いシート、樹脂フイルム、或
いは金属箔と紙の積層体等が好適に用いられる。
本発明による液状活性物質含有多層膜は、含有される液
状活性物質が、例えば、アルデヒド基を有する場合等の
ように不安定であるときは、その液状活性物質を含有す
る重合体膜とシート基材との間に酸化防止剤層を有して
もよい。ここに、酸化防止剤は液状活性物質の種類や性
質に応じて適宜に選ばれるが、例えば具体例として、2,
6-ジ−t−ブチル−4-メチルフエノール、アルキル化ビ
スフエノール等のフエノール系酸化防止剤、トリスノニ
ルフエニルホスフアイト、トリフエニルホスフアイト等
のリン酸系酸化防止剤、2-メルカプトベンツイミダゾー
ル等のイミダゾール系酸化防止剤、ジステアリル−3,3'
−チオジプロピオネート、ジアリル−3,3'−チオジプロ
ピオネート等のチオジプロピオネート系酸化防止剤、ノ
ニル化ジフエニルアミン、N,N'−ジアリル−p−フエニ
レンジアミン等のアミン系酸化防止剤、n−オクタデシ
ル−3-(3',5'-ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフエニ
ル)プロピオネート等のプロピオネート系酸化防止剤等
を挙げることができる。これらは単独で、又は2種以上
の混合物として用いられる。
上記酸化防止剤層は、例えば、上記異方性膜の裏面に酸
化防止剤単独から形成される層であつてもよく、或いは
酸化防止剤と適宜の重合体の混合物の層であつてもよ
い。この酸化防止剤層は重合体膜に積層されていてもよ
く、また、重合体裏面に含浸形成されていてもよい。
本発明による液状活性物質含有多層膜は、好ましくは、
本発明に従つて、第1の重合体とこの重合体に対して常
温で限られた溶解度を有する常温で液状の第1の活性物
質とを、これら活性物質及び重合対の両方を溶解し得る
と共に、上記活性物質よりも易揮発性の有機溶剤に溶解
し、この溶液を上記液状活性物質を透過させない基材シ
ートの一面に塗布し、上記溶剤を蒸発させることによつ
て、基材シートの一面に第1の液状活性物質を含有する
第1の重合体膜を形成させ、同様にして、上記基材シー
トの他面に、第2の液状活性物質を含有する第2の重合
体膜を形成させることによつて製造される。勿論、第1
及び第2の重合体膜を同時に形成させてもよく、或いは
逐次的に形成させてもよい。
上記有機溶剤としては、上記したように、用いる活性物
質と重合体を共に溶解させ得ると共に、活性物質よりも
易揮発性であることを要し、用いる活性物質と重合体の
種類に応じて適宜に選ばれるが、具体的には、例えば、
塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等の低級脂肪
族ハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール等の低
級脂肪族アルコール、これらの酢酸エステルのほか、ア
セトニトリル、アセトン、エチルエーテル、テトラヒド
ロフラン等の1種又は2種以上の混合物を挙げることが
できる。好ましくは、塩化メチレンのような低級脂肪族
ハロゲン化炭化水素が用いられる。しかし、液状活性物
質が比較的難揮発性のときは、ジメチルホルムアミドの
ような比較的高沸点の溶剤も用いることができる。
上記溶液における液状活性物質と重合体の合計量の濃度
は、液状活性物質を重合体膜から放出させる所定の速度
を考慮して、適正な範囲に選ばれるが、通常、10〜5
0重量%が適当であり、好ましくは15〜40重量%で
ある。
上記有機溶剤を蒸発させる際の温度は、通常、0〜10
0℃、好ましくは15〜70℃の範囲であつて、且つ、
溶剤の沸点以下の温度である。しかし、通常は、特に加
熱することなく、常温で溶剤を蒸発させればよい。ま
た、必要に応じて、減圧下に溶剤を蒸発させてもよい。
このようにして、有機溶剤を蒸発させるに従つて、液状
活性物質は重合体に対して限られた溶解度を有するのみ
であると共に、活性物質は重合体に対してその溶解度を
越えて多量に配合されているから、活性物質と重合体の
間で相分離が生じ、活性物質の微小な液滴が重合体マト
リツクス中に均一に分散され、従つて、重合体は独立し
た多数の微孔を有して、この微孔内に液状活性物質が封
入されることとなると共に、重合体の表面においては、
溶剤の蒸発に伴つて重合体濃度が高まり、通常、遂には
上記多孔性の内部層と一体化された緻密層が形成され
る。
かかる方法によつて、前記したように、重合体中に形成
される微孔は、通常、厚み0.1〜10μの隔壁によつ
て区画され、孔径は0.5〜20μ程度であるので、3
0〜80%程度の空孔率を有し、最大70重量%程度ま
での液状活性物質を含有することができるが、実用上は
最大50〜60重量%程度とするのが適当である。ま
た、条件にもよるが、上記のようにして形成される緻密
層の厚みは、0.1〜200μ、前記したように、殆ど
の場合、1〜20μの範囲である。
尚、本発明によれば、上記緻密層からの環境雰囲気への
活性物質の放出を一層遅くし、又は一層厳密に制御する
ために、必要に応じて、上記緻密層の表面に重合体フイ
ルムからなる制御層が設けられていてもよい。この制御
層を形成するための重合体フイルムは、異方性重合体膜
を形成する重合体よりも液状活性物質に対する溶解度が
更に小さい重合体からなるフイルムが選ばれ、通常、例
えば、ポリアルキレンテフタレートフイルムやポリエチ
レンフイルムが用いられる。
本発明による液状活性物質含有多層膜によれば、上記の
ようにして得られる各重合体膜において、液状活性物質
が重合体に対して限られた溶解度を有すると共に、表面
には緻密層が形成されているので、微孔中の液状活性物
質は、重合体中への拡散が抑えられ、しかも、表面の緻
密層によって、環境雰囲気への放出が抑えられるので、
各重合体膜から所定の実質的に一定の速度で放出され、
かくして、本発明による液状活性物質含有多層膜は、2
種以上の液状活性物質をそれぞれ所定の速度で放出させ
るための所謂徐放デバイスとして好適に用いることがで
きる。
また、本発明の液状活性物質含有膜によれば、例えば、
前記したような貫通孔を有する多孔質体に単に液状活性
物質を含浸吸収させたものと異なり、担体多孔質層の有
する微孔は相互に独立しているため、例えば、施用上の
必要に応じて任意の寸法、形状に切断でき、また、担体
重合体や基材シートの素材を選ぶことにより、膜に可撓
性をもたせることができ、かくして、用途に応じて自由
に変形させることもできる。
特に、本発明による液状活性物質含有多層膜によれば、
基材シートの両面にそれぞれ異なる液状活性物質、例え
ば、フエロモン成分をそれぞれ含有する重合体膜が形成
されているので、各フエロモン成分は他のフエロモン成
分から独立して、それぞれ所定の実質的に一定の速度で
放出され、かくして、昆虫の種に応じて、それぞれ独自
の混合フエロモンを放出させることができるので、マス
・トラツピング法を効果的に行なうことができる。ま
た、2種以上の昆虫に対しても、効果的に撹乱法を適用
することができる。
以下に本発明の実施例を挙げるが、本発明は実施例によ
り何ら限定されるものではない。
実施例1 昆虫誘引物質の1種であるZ−11−テトラデセニルアセ
テート1mlを塩化メチレン10mlに溶解した後、ポリス
ルホン(ユニオン・カーバイト社製P-1700)1gを加え
て室温にて溶解させて均一な溶液を調製した。
アルミニウム箔の両面にコートボール紙をラミネートし
たラミネート紙の片面に上記溶液を塗布し、温度30℃
で塩化メチレンを蒸発させて、ラミネート紙の一面上に
上記誘引剤を約50重量%含有する厚み約80μの第1
の液状活性物質含有膜を形成させた。
別に、他の昆虫誘引物質であるZ−7−エイコセン−11
−オン0.7mlを塩化メチレン10mlに溶解した後、上
記と同じポリスルホン3.5gを加えて室温にて溶解さ
せて均一な溶液を調製した。この溶液を前記ラミネート
紙の他面に塗布し、温度30℃で塩化メチレンを蒸発さ
せて、ラミネート紙の他面上に上記誘引剤を約17重量
%含有する厚み約40μの第2の液状活性物質含有膜を
形成させ、かくして、ラミネート紙の両面に異なる昆虫
誘引物質を含有する重合体膜を有する多層膜を得た。
尚、Z−11−テトラデセニルアセテート及びZ−7−エ
イコセン−11−オンのポリスルホンに対する溶解度はそ
れぞれ0.8部及び0.5部である。
この多層膜について、誘引剤の全量が放出された後のZ
−11−テトラデセニルアセテート含有膜側の断面の走査
型電子顕微鏡写真(倍率1000倍)を第2図に示す。
この膜においては上記写真から明らかなように、膜中の
微孔は孔径が1〜5μ、微孔隔壁は厚みが0.2〜0.
5μであり、膜表面に緻密層を有することが認められ
る。
比較のために、上と同じ誘引剤Z−11−テトラデセニル
アセテート1mlとZ−7−エイコセン−11−オン0.2
mlとを塩化メチレン10mlに溶解した後、これに上と同
じポリスルホン1gを溶解させ、この溶液をラミネート
紙の表面に塗布し、温度30℃で塩化メチレンを蒸発さ
せて、ラミネート紙上に上記誘引剤混合物を約55重量
%含有する厚み約80μの液状活性物質含有膜を形成さ
せた。
これら本発明品及び比較品をそれぞれ25℃の開放雰囲
気に放置し、膜中に残存するそれぞれの活性物質の重量
からその徐放性を調べた。結果を第3図に示す。
本発明品によれば、第1の重合体膜の厚み約80μ、第
2の重合体膜の厚み約40μであつて、それぞれの誘引
剤は実質的に一定の所定の速度で適正に放出される。比
較品は、重合体膜における各誘引剤の含有量は本発明品
とほぼ同じであるが、重合体膜の厚みは約80μであ
る。しかし、第2の液状活性物質であるZ−7−エイコ
セン−11−オンの放出が著しく促進されており、実施例
1で定めた所定の速度で放出されない。
実施例2 酸化防止剤2,6−ジ−t−ブチル−4-メチルフエノール
0.15gを塩化メチレン10mlに溶解し、この溶液を
ラミネート紙表面に塗布し、20℃にて塩化メチレンを
蒸発させ、酸化防止剤層を有するラミネート紙を得た。
前記と同じポリスルホン1.5gを室温にて塩化メチレ
ン10mlに溶解した後、これに更にZ−11−ヘキサデセ
ナール1.5mlを加えて室温で溶解させ、かくして得た
均一な溶液を、上記ラミネート紙の酸化防止剤層を有す
る表面側に塗布し、温度20℃で塩化メチレンを蒸発さ
せて、ラミネート紙の一面上に上記誘引剤を約50重量
%含有する厚み約100μの第1の液状活性物質含有膜
を形成させた。
別に、Z−11−テトラデセニルアセテート0.2mlを塩
化メチレン10mlに溶解した後、この溶液をポリカーボ
ネート(モーベイ・ケミカル社製Merlon)1gを加えて
室温で溶解させ、かくして得られた均一な溶液を上記ラ
ミネート紙の他面に塗布し、温度20℃で塩化メチレン
を蒸発させて、ラミネート紙の他面上に上記誘引剤を約
17重量%含有する厚み約50μの第2の液状活性物質
含有膜を形成させ、かくして、本発明による液状活性物
質含有多層膜を得た。
尚、Z−11−ヘキサデセナールのポリスルホンに対する
溶解及びZ−11−テトラデセニルアセテートのポリカー
ボネートに対する溶解度は共に0.7部である。
比較のために、上記と同じZ−11−ヘキサデセナール1
mlとZ−11−テトラデセニルアセテート0.2mmとを室
温にて塩化メチレン10mlに溶解した後、これに前記と
同じポリスルホン1gを溶解させ、かくして得た均一な
溶液を、上記と同じくラミネート紙の酸化防止剤層を有
する表面側に塗布し、温度20℃で塩化メチレンを蒸発
させて、ラミネート紙上に上記誘引剤混合物を約55重
量%含有する厚み約100μの液状活性物質含有膜を形
成させた。
これら本発明品及び比較品について、実施例1と同じ条
件下における各誘引剤の徐放性を調べた結果を第4図に
示す。実施例1と同様に、本発明品によれば、第1及び
第2の液状活性物質は実質的に一定の所定の速度で放出
されるが、比較品によれば、重合体膜における各液状活
性物質の含有量が本発明品とほぼ同じであるにもかかわ
らず、第2の液状活性物質の放出速度が著しく大きい。
実施例3 前記と同じポリスルホン1gを室温にて塩化メチレン1
0mlに溶解した後、これに更にZ−11−テトラデセニル
アセテート1mlを加え、室温にて溶解させて均一な溶液
を調製した。この溶液をラミネート紙の片面に塗布し、
温度30℃で塩化メチレンを蒸発させて、ラミネート紙
の一面上に上記誘引剤を約50重量%含有する厚み約8
0μの第1の液状活性物質含有膜を形成させた。
別に、酢酸セルロース(イーストマン・コダツク社製CA
-435-75S)0.5gを室温にて塩化メチレン10mlに溶
解した後、これに更に昆虫誘引物質の1種である10−メ
チルドデシルアセテート0.1mlを加えて溶解させた。
この溶液を、上記ラミネート紙の他面に塗布し、温度1
5℃で塩化メチレンを蒸発させて、ラミネート紙の片面
上に上記誘引剤を約17重量%含有する厚み約80μの
第2の液状活性物質含有膜を形成させ、かくして、本発
明よる液状活性物質含有多層膜を得た。
尚、Z−11−テトラデセニルアセテートのポリスルホン
に対する溶解度及び10−メチルドデシルアセテートの酢
酸セルロースに対する溶解度はそれぞれ0.8部及び
1.6部である。
比較のために、前記と同じポリスルホン1gを塩化メチ
レン10mlに溶解させ、これに上記と同じZ−11−テト
ラデセニルアセテート1mlと10−メチルドデシルアセテ
ート0.2mlを溶解し、かくして得た均一な溶液をラミ
ネート紙に塗布し、温度30℃で塩化メチレンを蒸発さ
せて、ラミネート紙上に上記誘引剤混合物を約55重量
%含有する厚み約80μの液状活性物質含有膜を形成さ
せた。
これら本発明品及び比較品について、実施例1と同じ条
件下における誘引剤の徐放性を調べた結果を第5図に示
す。実施例1と同様に、本発明品によれば、第1及び第
2の液状活性物質は実質的に一定の所定の速度で放出さ
れるが、比較品によれば、重合体膜における各液状活性
物質の含有量が本発明品とほぼ同じであるにもかかわら
ず、第2の液状活性物質の放出速度が著しく大きい。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明による液状活性物質含有膜を模式的に示
す断面図、第2図乃至第4図は本発明による膜からの活
性物質の放出量の経時変化を示すグラフである。 1…基材シート、2、2'…緻密層、3、3'…内層、4、
4'…微孔、5、5'…重合体膜、6、6'…液状活性物質、
7、7'…液状活性物質含有膜。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】液状活性物質を透過させない基材シートの
    一面に、表面に緻密層を有すると共に、この緻密層を一
    体的に支持する内部層を有し、この内部層に独立した多
    数の微孔を有する第1の重合体膜が形成されており、こ
    の微孔に常温で上記第1の重合体に対して限られた溶解
    度を有する第1の液状活性物質が液滴として封入されて
    いると共に、上記基材シートの他面に、表面に緻密層を
    有すると共に、この緻密層を一体的に支持する内部層を
    有し、この内部層に独立した多数の微孔を有する第2の
    重合体膜が形成されており、この微孔に常温で上記第2
    の重合体に対して限られた溶解度を有する第2の液状活
    性物質が液滴として封入されており、上記第1及び第2
    の液状活性物質がそれぞれ所定の実質的に一定の速度で
    放出されることを特徴とする液状活性物質含有多層膜。
  2. 【請求項2】活性物質が農薬活性、誘引活性、忌避活
    性、芳香活性等の化学的或いは生理的活性を有する化学
    物質であることを特徴とする特許請求の範囲第1項に記
    載の液状活性物質含有多層膜。
  3. 【請求項3】重合体に対する活性物質の限られた溶解度
    が、重合体100重量部に対して5重量部以下であるこ
    とを特徴とする特許請求の範囲第1項又は第2項に記載
    の液状活性物質含有多層膜。
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