JPH0336022B2 - - Google Patents

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JPH0336022B2
JPH0336022B2 JP58221855A JP22185583A JPH0336022B2 JP H0336022 B2 JPH0336022 B2 JP H0336022B2 JP 58221855 A JP58221855 A JP 58221855A JP 22185583 A JP22185583 A JP 22185583A JP H0336022 B2 JPH0336022 B2 JP H0336022B2
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JP
Japan
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active substance
polymer
liquid active
liquid
layer
Prior art date
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JP58221855A
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JPS60112436A (ja
Inventor
Giichi Musa
Chiaki Komamura
Yasuo Ninomya
Takayuki Hyori
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Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
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Publication date
Application filed by Nitto Denko Corp filed Critical Nitto Denko Corp
Priority to JP58221855A priority Critical patent/JPS60112436A/ja
Publication of JPS60112436A publication Critical patent/JPS60112436A/ja
Publication of JPH0336022B2 publication Critical patent/JPH0336022B2/ja
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  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、液状活性物質を長期間にわたつて、
実質的に一定の制御された速度で放出させるデバ
イスとして好適に用いることができる液状活性物
質含有膜及びその製造方法に関する。
活性物質の放出を制御するためのデバイスは既
に種々知られており、一般的には、特公昭56−
47881号公報に記載されているように、活性物質
を溶解含有する第1の非多孔性固体重合体からな
る担体層と、この担体層を取り囲み、上記活性物
質の透過又は拡散を制御して、環境雰囲気へ活性
物質を実質的に一定の速度で放出させる第2の非
多孔性固体重合体からなる制御層とから形成され
ている。このようなデバイスにおいては、活性物
質が液状の場合、通常、この活性物質と相溶性の
高い重合体中に活性物質を溶解含有させて均一な
固体担体相とし、活性物質に対して相溶性の小さ
い重合体で上記担体層を取り囲んで制御層として
いる。しかし、このようなデバイスによれば、活
性物質の担体層としての重合体に対する溶解度に
限界があり、通常、30重量%以上の活性物質を含
有させることが困難である。即ち、担体層をなす
重合体に30重量%を越えて多量に液状活性物質を
溶解含有させた場合は、重合体が固体マトリツク
スを形成し得ないので、通常、活性物質の含有量
は10重量%程度に抑えられている。
このため、特開昭55−19276号公報に記載され
ているキクイムシ類に対するデバイス、特開昭56
−73001号公報記載されているアブラムシ等の害
虫に対するデバイス、特開昭57−45102号公報に
記載されているミバエ類に対するデバイスのよう
に、多数の貫通孔を有する多孔性の重合体成形
品、例えば、多孔性膜中に液状活性物質を吸収さ
せて、これを担体層としたデバイスも提案されて
いるが、このようなデバイスによれば、活性物質
の含有量を多くすると、担体層表面が活性物質で
濡れるようになるために、この上に制御層を積層
形成することが困難であり、通常、担体層を制御
層としての膜体に封入しており、製造に手間を要
すると共に、その費用も高くなる。
また、特開昭56−83405号公報には、ペースト
状にした活性物質を合成樹脂フイルムからなる密
封容器内に封入してなるデバイスも提案されてい
るが、このデバイスによれば、容器が損傷した場
合、活性物質の制御放出の機能が著しく損なわれ
るので、その施用に種々の制約が生じる。
一方、近年、環境汚染を引き起こさない害虫防
除方法として、昆虫の性フエロモンを徐法させる
デバイスを野外で施用し、フエロモンを大気中に
放散させることにより、昆虫をトラツプに誘引し
て捕獲殺虫する所謂マス・トラツピング法や、雄
が雌を感知し、配偶行動をとるのを撹乱させる所
謂撹乱法等が注目されている。上記したような
種々のデバイスは勿論、かかるフエロモンを徐放
させるデバイスとしてある程度有用ではあるが、
しかし、多くのフエロモンは不飽和結合やアルデ
ヒド基を有するために、一般に化学的に不安定で
あつて、施用環境条件下でデバイス内で容易に変
性し、この結果、長期間にわたつてフエロモンを
その有効な誘引効果を保持させつつ、徐放させる
ことが困難である。
本発明は上記した種々の問題を解決するために
なされたものであつて、表面に緻密層を有すると
共に、この緻密層を一体的に支持する内部層に独
立した多数の微孔を有し、この微孔内に液状活性
物質が液滴として封入されている異方性重合体膜
と、その裏面に酸化防止剤層とを備え、かくし
て、上記重合体からなる内部層が担体層を構成
し、また、上記緻密層が制御層として機能し、更
に、上記酸化防止剤層が液状活性物質の変性を有
効に抑えるので、液状活性物質がアルデヒド基を
有する不安定なフエロモンのような場合にも、そ
の有効な活性を保持させつつ、長期間にわたつて
徐放させることができる新規な液状活性物質含有
膜と、かかる液状活性物質含有膜の製造方法とを
提供することを目的とする。
本発明による液状活性物質含有膜は、第1図に
その断面構造を模式的に示すように、表面に緻密
層1を有すると共に、この緻密層を一体的に支持
する内部層2に独立した多数の微孔3を有する異
方性の重合体膜4と、常温で上記重合体に対して
限られた溶解度を有し、上記微孔に液滴として封
入されている液状活性物質5と、裏面に設けた酸
化防止剤層6とを備えていることを特徴とする。
また、通常、本発明による液状活性物質含有膜に
おいては、裏面側最外面には上記酸化防止剤層を
被覆するようにバツキング材7が設けられる。
本発明において、液状活性物質とは、常温で液
状であつて、農薬活性、誘引活性、忌避活性、芳
香活性等の化学的或いは生理的活性を有する物質
をいい、例えば、農薬活性物質として、ナレド
(Naled)、ダイアジノン(Diazinon)、スミチオ
ン(Sumithion)等の殺虫剤、β−プロピオラク
トン等の殺菌剤、トリエチレングリコールモノヘ
キシルエーテル、N,N−ジエチル−m−トルア
ミド等の忌避剤、ドデジルアセテート、Z−11−
テトラデセニルアセテート、Z−11−ヘキサデセ
ナール等の誘引剤、リモネン、ベンジルアルコー
ル、炭素数6〜16の炭化水素から誘導されるエス
テル、エーテル、アルデヒド類等の芳香活性物質
等を挙げることができる。
本発明による液状活性物質含有膜は、後述する
ように、裏面に酸化防止剤層を有するために、液
状活性物質がアルデヒド基を有する場合にも、そ
の変性を効果滴に抑えて所定の活性を保持させる
ので、特に、活性物質がこのようにアルデヒド基
を有する不安定な化学物質、代表的にはフエロモ
ンのような液状活性物質を徐放させるためのデバ
イスとして使用するのに好適である。このように
アルデヒド基を有する活性物質として、例えば、
ホルモチオン等の殺虫剤、Z−11−ヘキサデセナ
ール、Z,Z,Z−9,12,15−オクタデカトリ
エナール等の誘引剤ほか、炭素数6〜16の炭化水
素から誘導される種々のアルデヒド類を挙げるこ
とができることができる。
本発明による液状活性物質含有膜は、表面に活
性物質の放出の制御層としての緻密層を有し、こ
の緻密層が多数の独立した微孔を有する多孔性担
体層としての内部層によつて一体的に支持された
異方性構造の重合体膜を有し、上記微孔は、通
常、孔径が0.5〜20μの範囲にあり、且つ、厚み
0.1〜10μの範囲の薄い隔壁によつて区画され、相
互に独立している。液状活性物質はこのような微
孔内に液状で封入され、内部層内に分散されてい
る。膜厚は特に制限されるものではないが、通
常、10〜500μの範囲にあり、また、上記緻密層
は、通常、0.1〜200μ、好ましくは1〜20μの範囲
の厚みを有する。このように、本発明の膜は極め
て大きい空孔率を有するので、70重量%程度まで
の液状活性物質を含有することができる。
本発明において、重合体は、用いる液状活性物
質に対して限られた溶解度を有することが必要で
あり、ここに、溶解度とは、重合体100重量部に
溶解し得る液状活性物質の重量部数をいい、ま
た、限られた溶解度とは、重合体100重量部に対
して活性物質が5重量部以下の範囲でのみ溶解す
ることを意味し、特に、0.01〜2重量部の範囲で
溶解させる重合体が好ましく用いられる。本発明
において、液状活性物質は、このような重合体の
有する独立した微孔内にその溶解度を越えて液滴
として封入されているのである。
このような重合体は、用いる液状活性物質に応
じて適宜に選ばれるが、例えば、具体例として、
ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカー
ボネート、ポリアリルエーテル、ポリスチレン、
スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロ
ニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリ
メチルメタクリレートを含むポリ(メタ)アクリ
ル酸エステル、ポリアミド、ポリビニリデンクロ
ライド、ポリビニリデンフロライド、セルロース
エステル、再生セルロース、ポリウレタン、ポリ
ビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリビニル
アセテート、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩
化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン−
ポリブタジエンブロツク共重合体等の1種又は2
種以上の混合物を挙げることができる。
本発明による液状活性物質含有膜は、その裏面
に酸化防止剤層を有する。ここに、酸化防止剤は
液状活性物質の種類や性質に応じて適宜に選ばれ
るが、例えば具体例として、2,6−ジ−t−ブ
チル−4−メチルフエノール、アルキル化ビスフ
エノール等のフエノール系酸化防止剤、トリスノ
ニルフエニルホスフアイト、トリフエニルホスフ
アイト等のリン酸系酸化防止剤、2−メルカプト
ベンツイミダゾール等のイミダゾール系酸化防止
剤、ジステアリル−3,3′−チオジプロピオネー
ト、ジアリル−3,3′−チオジプロピオネート等
のチオジプロピオネート系酸化防止剤、ノニル化
ジフエニルアミン、N,N′−ジアリル−p−フ
エニレンジアミン等のアミン系酸化防止剤、n−
オクタデシル−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−
4′−ヒドロキシフエニル)プロピオネート等のプ
ロピオネート系酸化防止剤等を挙げることができ
る。これらは単独で、又は2種以上の混合物とし
て用いられる。
上記酸化防止剤層は、例えば、上記異方性膜の
裏面に酸化防止剤単独から形成される層であつて
もよく、或いは酸化防止剤と適宜の重合体の混合
物の層であつてもよい。この酸化防止剤層は重合
体膜に積層されていてもよく、また、重合体裏面
に含浸形成されていてもよい。
本発明による液状活性物質含有膜においては、
通常、上記酸化防止剤層を被覆するバツキング材
が最外面に形成される。このバツキング材は活性
物質の透過を阻止するシートであつて、通常、例
えば、金属の箔の薄いシート、樹脂フイルム、或
いは金属箔と紙の積層体等が用いられる。
本発明におけるように、多孔質重合体が有する
微孔内に液状活性物質が液滴状で封入されている
内部層と、その表面層としての緻密層を有し、こ
の緻密層が上記活性物質の放出を制御するデバイ
スにおいては、その理由は必ずしも明らかではな
いが、有機溶剤に液状活性物質と共に酸化防止剤
層を溶解させ、これを支持体上に塗布し、溶剤を
蒸発させるときは、前記したような表面に緻密層
を有する異方性膜を形成させることができず、従
つて、活性物質の放出速度が著しく早くなり、活
性物質徐放デバイスとしては好ましくない。
上記のような液状活性物質含有膜を製造する方
法は、本発明に従つて、 (a) 重合体とこの重合体に対して常温で限られた
溶解度を有する常温で液状の活性物質とを、こ
れら活性物質及び重合対の両方を溶解し得ると
共に、上記活性物質よりも易揮発性の有機溶剤
に溶解し、この溶液を適宜の支持体の表面に塗
布し、上記溶剤を蒸発させて、上記重合体の膜
内に液状活性物質を微小な液滴状に分散含有さ
せて、異方性の重合体膜を形成する工程と、 (b) 上記重合体膜の裏面に酸化防止剤層を形成す
る工程とを有することを特徴とする。
本発明による好ましい方法によれば、先ず、酸
化防止剤を含有する溶液を適宜の支持体上に塗布
し、溶剤を蒸発させて、上記支持体上に酸化防止
剤層を形成する工程を行ない、次いで、重合体と
この重合体に対して常温で限られた溶解度を有す
る常温で液状の活性物質とを、これら活性物質及
び重合体の両方を溶解し得ると共に、上記活性物
質よりも易揮発性の有機溶剤に溶解し、この溶液
を上記支持体の酸化防止剤層の上に塗布し、上記
溶剤を蒸発させて、上記重合体の膜内に液状活性
物質を微小な液滴状に分散含有させて、異方性の
重合体膜を形成させる工程を行なうことによつて
製造される。
上記の方法において、液状活性物質、重合体及
び溶解度については、既に説明したとおりであ
る。
上記したように、本発明による好ましい方法に
よれば、酸化防止剤層はその溶液を適宜の支持体
上に塗布し、必要に応じて加熱して溶剤を蒸発さ
せることによつて、支持体上に予め形成され、こ
の後に、この酸化防止剤層の上に液状活性物質を
含有する異方性膜が形成される。
ここに、酸化防止剤溶液を調製するための溶剤
は、用いられる酸化防止剤の種類を考慮し、且
つ、支持体を劣化させないものが適宜に選ばれる
が、特に支障がなければ、通常、後述するよう
に、重合体と液状活性物質とを共に溶解させる溶
剤と同じものが用いられる。具体例としては、例
えば、塩化メチレン、クロロホルム等の低級塩素
化炭化水素、メタノール、エタノール等の低級ア
ルコールほか、アセトン、酢酸エチル等の1種又
は2種以上の混合物が用いられる。必要に応じ
て、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素やこ
れらと上記溶剤との混合溶剤も用いられる。
尚、上記のようにして、予め酸化防止剤層を形
成する場合、上記支持体は前記したバツキング材
であつてよく、従つて、樹脂フイルムや金属箔、
或いは金属箔と紙の積層体等が好ましく用いられ
る。
しかし、酸化防止剤層を形成する方法は上述し
た方法に限定されるものではなく、例えば、前記
したように、適宜の支持体で微孔内に液状活性物
質を含有する異方性膜を形成させ、その支持体を
剥離し、かくして得られた異方性膜の裏面に酸化
防止剤溶液を塗布含浸させ、溶剤を蒸発させるこ
とにより、重合体膜裏面に一体化された酸化防止
剤層を形成してもよい。また、必要に応じて、こ
の酸化防止剤溶液は適宜の重合体を含有していて
もよく、これを膜裏面に塗布し、溶剤を蒸発させ
て、重合体と酸化防止剤との混合物からなる酸化
防止剤層を形成させてもよい。更に、別の方法に
よれば、適宜の支持体、例えばアルミニウム箔を
ラミネートしたフイルム若しくは紙上に酸化防止
剤溶液を塗布し、溶剤を蒸発させて酸化防止剤層
を形成させ、かくして得られる支持体の酸化防止
剤層側を活性物質を含有する異方性膜の裏面に適
宜の接着剤にて接着してもよい。
次に、本発明に従つて、表面に緻密層を有する
と共に、内部層の有する微孔内に液状活性物質を
液滴状に含有させた異方性重合体膜を形成させる
ための有機溶剤としては、用いる活性物質と重合
体を共に溶解させ得ると共に、活性物質よりも易
揮発性であることを要し、用いる活性物質と重合
体の種類に応じて適宜に選ばれるが、具体的に
は、例えば塩化メチレン、クロロホルム、四塩化
炭素等の低級脂肪族ハロゲン化炭化水素、メタノ
ール、エタノール等の低級脂肪族アルコール、こ
れらの酢酸エステルのほか、アセトニトリル、ア
セトン、エチルエーテル、テトラヒドロフラン等
の1種又は2種以上の混合物を挙げることができ
る。好ましくは、塩化メチレンのような低級脂肪
族ハロゲン化炭化水素が用いられる。しかし、液
状活性物質が比較的難揮発性のときは、ジメチル
ホルムアミドのような比較的高沸点の溶剤も用い
ることができる。
上記溶液における液状活性物質と重合体の合計
量の濃度は、通常、10〜40重量%が適当であり、
好ましくは15〜30重量%である。
本発明の好ましい方法によれば、上記のような
有機溶剤に液状活性物質と重合体とを溶解し、こ
の溶液を前記したように予め酸化防止剤層を形成
した支持体上に塗布し、上記有機溶剤を蒸発させ
る。
上記有機溶剤を蒸発させる際の温度は、通常、
0〜100℃、好ましくは15〜70℃の範囲であつて、
且つ、溶剤の沸点以下の温度である。しかし、通
常は、特に加熱することなく、常温で溶剤を蒸発
させればよい。また、必要に応じて、減圧下に溶
剤を蒸発させてもよい。
このようにして、有機溶剤を蒸発させるに従つ
て、液状活性物質は重合体に対して限られた溶解
度を有するのみであると共に、活性物質は重合体
に対してその溶解度を越えて多量に配合されてい
るから、活性物質と重合体の間で相分離が生じ、
活性物質の微小な液滴が重合体マトリツクス中に
均一に分散され、従つて、重合体は独立した多数
の微孔を有して、この微孔内に液状活性物質が封
入されることとなると共に、重合体の表面におい
ては、溶剤の蒸発に伴つて重合体濃度が高まり、
遂には上記多孔性の内部層と一体化された緻密層
が形成される。
かかる方法によつて、前記したように、重合体
中に形成される微孔は、通常、厚み0.1〜10μの隔
壁によつて区画され、孔径は0.5〜20μ程度である
ので、30〜80%程度の空孔率を有し、最大70重量
%程度までの液状活性物質を含有することができ
るが、実用上は最大50重量%程度とするのが適当
である。また、条件にもよるが、上記のようにし
て形成される緻密層の厚みは、0.1〜200μ、殆ど
の場合、1〜20μの範囲である。
このようにして得られる膜は、液状活性物質が
重合体に対して限られた溶解度を有すると共に、
表面には緻密層が形成されているので、微孔中の
液状活性物質は、重合体中への拡散が抑えられ、
しかも、表面の緻密層によつて、環境雰囲気への
放出が抑えられるので、実質的に一定の制御され
た速度で放出され、かくして、本発明による液状
活性物質含有膜は、活性物質のための所謂徐放デ
バイスとして好適に用いることができる。
特に、本発明の液状活性物質含有膜によれば、
膜裏面に酸化防止剤層を有するので、液状活性物
質がアルデヒド基を有して不安定な場合にも、お
そらくは酸化防止剤が重合体膜中に拡散し、その
変性を効果的に防止するので、例えば、活性物質
がフエロモンのような場合にも、その有効な活性
を保持しつつ、長期間にわたつて実質的に一定の
速度で放出させることができる。
更に、本発明の液状活性物質含有膜によれば、
例えば、前記したような貫通孔を有する多孔質体
に単に液状活性物質を含浸吸収させたものと異な
り、担体多孔質層の有する微孔は相互に独立して
いるため、例えば、施用上の必要に応じて任意の
寸法、形状に切断でき、また、担体重合体やバツ
キング材の素材を選ぶことにより、膜に可撓性を
もたせることができ、かくして、用途に応じて自
由に変形させることもできる。
更に、本発明によれば、上記緻密層からの環境
雰囲気への活性物質の放出を一層遅くし、又は一
層厳密に制御するために、必要に応じて、上記緻
密層の表面に重合体フイルムからなる制御層が設
けられていてもよい。この制御層を形成するため
の重合体フイルム、異方性重合体膜を形成する重
合体よりも液状活性物質に対する溶解度が更に小
さい重合体からなるフイルムが選ばれ、通常、例
えば、ポリアルキレンテレフタレートフイルムや
ポリエチレンフイルムが用いられる。
以下に本発明の実施例を挙げるが、本発明は実
施例により何ら限定されるものではない。
実施例 1 酸化防止剤n−オクタデシル−3−(3′,5′−
ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフエニル)プロ
ピオネート0.05gをクロロホルム10mlに溶解し、
この溶液を裏面をアルミニウム箔でラミネートし
たコートボール紙(以下、ラミネート紙と称す
る。)の表面に塗布し、15℃にてクロロホルムを
蒸発させ、酸化防止剤層を有するラミネート紙を
得た。
別に、昆虫誘引物質の1種であるZ,Z,Z−
9,12,15−オクタデカトリエナール1mlを塩化
メチレン10mlに溶解した後、ポリカーボネート
(モーベイ・ケミカル社製 Merlon)1gを加え
て室温にて溶解させて得た均一な溶液を調製し
た。この溶液を上記ラミネート紙の酸化防止剤層
を有する表面上に、厚み900μに塗布し、温度40
℃で塩化メチレンを蒸発させて、上記誘引剤を約
50重量%含有する厚み約40μの液状活性物質含有
膜を得た。この膜において、酸化防止剤は膜の単
位面積当り、活性物質の重量の約5重量%含まれ
る。
尚、Z,Z,Z−9,12,15−オクタデカトリ
エナールのポリカーボネートに対する溶解度は
0.7部である。
この膜について、誘引剤の全量が放出された後
の断面の走査型電子顕微鏡写真(倍率1000倍)を
第1図に示す。この膜においては上記写真から明
らかなように、膜中の微孔は孔径が1〜5μ、微
孔隔壁は厚みが0.2〜0.5μであり、膜表面の緻密
層は厚みが約4μであつた。
比較のために、上と同じ誘引剤1mlと酸化防止
剤0.05gとを塩化メチレン10mlに溶解した後、こ
れに上と同じポリカーボネート1gを溶解させ、
この溶液をラミネート紙上に厚み900μに塗布し、
温度40℃で塩化メチレンを蒸発させて、上記誘引
剤を約50重量%含有する厚み約40μの比較例品を
得た。
これら本発明品及び比較例品をそれぞれ30℃の
開放雰囲気に放置し、膜中に残存する活性物質の
重量からその徐放性を調べた。結果を第3図に示
す。本発明品によれば、誘引剤は適正な速度で放
出されるが、比較例品によれば、走査型電子顕微
鏡写真による観察の結果、その表面には緻密層が
形成されておらず、この結果、誘引剤の徐放機能
が損なわれて、その放出速度が著しく速められて
いる。
実施例 2 酸化防止剤2,6−ジ−t−ブチル−4−メチ
ルフエノール0.15gを塩化メチレン10mlに溶解
し、この溶液をラミネート紙表面に塗布し、20℃
にて塩化メチレンを蒸発させ、酸化防止剤層を有
するラミネート紙を得た。
ポリスルホン(ユニオン・カーバイド社製P−
1700)1.5gを室温にて塩化メチレン10mlに溶解
した後、これに更に昆虫誘引物質の1種であるZ
−11−ヘキサデセナール1.5mlを加えて室温で溶
解させ、かくして得た均一な溶液を、上記ラミネ
ート紙の酸化防止剤層を有する表面側に厚み
900μに塗布し、温度15℃で塩化メチレンを蒸発
させて、上記誘引剤を約50重量%含有する厚み約
80μの液状活性物質含有膜を得た。この膜におい
て、酸化防止剤は膜の単位面積当り、活性物質の
重量の約5重量%含まれる。
尚、Z−11−ヘキサデセナールのポリスルホン
に対する溶解度は0.7部である。
比較のために、上と同じ誘引剤1.5mlと酸化防
止剤0.15gとを塩化メチレン10mlに溶解した後、
これと上に同じポリスルホン1.5gを溶解させ、
この溶液をラミネート紙上に厚み900μに塗布し、
温度15℃で塩化メチレンを蒸発させて上記誘引剤
を約50重量%含有する厚み約80μの比較例品を得
た。
これら本発明品及び比較例品について、実施例
1と同じ条件下における誘引剤の徐放性を調べた
結果を第4図に示す。実施例1と同じ傾向が認め
られる。
実施例 3 酸化防止剤2−メルカプトベンツイミダゾール
0.01gをメタノール10mlに溶解し、この溶液をラ
ミネート紙表面に塗布し、50℃にてメタノールを
蒸発させ、酸化防止剤層を有するラミネート紙を
得た。
酢酸セルロース(イーストマン・コダツク社製
CA−435−75S)0.5gを室温にて塩化メチレン10
mlに溶解した後、これに更に昆虫誘引物質の1種
であるZ−11−ヘキサデセナール0.5mlを加えて
室温で溶解させた。この溶液を、上記ラミネート
紙の酸化防止剤層を有する表面側に厚み900μに
塗布し、温度30℃で塩化メチレンを蒸発させて、
上記誘引剤を約50重量%含有する厚み約40μの液
状活性物質含有膜を得た。この膜において、酸化
防止剤は膜の単位面積当り、活性物質の重量の約
5重量%含まれる。
尚、Z−11−ヘキサデセナールの上記酢酸セル
ロースに対する溶解度は0.6部である。
比較のために、上と同じ誘引剤0.5mlと酸化防
止剤0.01gとを塩化メチレン10mlに溶解した後、
これに上と同じ酢酸セルロース0.5gを溶解させ、
この溶液をラミネート紙上に厚み900μに塗布し、
温度30℃で塩化メチレンを蒸発させて、上記誘引
剤を約50重量%含有する厚み約40μの比較例品を
得た。
これら本発明品及び比較例品について、実施例
1と動じ条件下における誘引剤の徐放性を調べた
結果を第5図に示す。実施例1と同じ傾向が認め
られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による液状活性物質含有膜を模
式的に示す断面図、第2図は本発明による液状活
性物質含有膜の一実施例の断面構造を示す走査型
電子顕微鏡写真(倍率1000倍)、第3図乃至第5
図は本発明による膜からの活性物質の放出量の経
時変化を示すグラフである。 1……緻密層、2……内部層、3……微孔、4
……重合体膜、5……液状活性物質、6……酸化
防止剤層、7……バツキング材。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 表面に緻密層を有すると共にこの緻密層を一
    体的に支持する内部層に独立した多数の微孔を有
    する異方性の重合体膜と、常温で上記重合体に対
    して限られた溶解度を有し、上記微孔に液滴とし
    て封入されている液状活性物質と、裏面に設けた
    酸化防止剤層とを備えていることを特徴とする液
    状活性物質含有膜。 2 液状活性物質が常温で液状であつて、農薬活
    性、誘引活性、忌避活性、芳香活性等の化学的或
    いは生理的活性を有する化学物質であることを特
    徴とする特許請求の範囲第1項記載の液状活性物
    質含有膜。 3 液状活性物質がアルデヒド基を有する化学物
    質であることを特徴とする特許請求の範囲第2項
    記載の液状活性物質含有膜。 4 重合体に対する液状活性物質の限られた溶解
    度が、重合体100重量部に対して5重量部以下で
    あることを特徴とする特許請求の範囲第1項乃至
    第3項いずれか1項に記載の液状活性物質含有
    膜。 5 酸化防止剤層を被覆してバツキング材が設け
    られていることを特徴とする特許請求の範囲第1
    項記載の液状活性物質含有膜。 6 (a) 重合体とこの重合体に対して常温で限ら
    れた溶解度を有する常温で液状の活性物質と
    を、これら活性物質及び重合体の両方を溶解し
    得ると共に、上記活性物質よりも易揮発性の有
    機溶剤に溶解し、この溶液を適宜の支持体の表
    面に塗布し、上記溶剤を蒸発させて、上記重合
    体の膜内に液状活性物質を微小な液滴状に分散
    含有させて、異方性の重合体膜を形成する工程
    と、 (b) 上記重合膜の裏面に酸化防止剤層を形成する
    工程とを有することを特徴とする液状活性物質
    含有膜の製造方法。 7 液状活性物質が常温で液状であつて、農薬活
    性、誘引活性、忌避活性、芳香活性等の化学的或
    いは生理的活性を有する化学物質であることを特
    徴とする特許請求の範囲第6項記載の液状活性物
    質含有膜の製造方法。 8 液状活性物質がアルデヒド基を有する化学物
    質であることを特徴とする特許請求の範囲第7項
    記載の液状活性物質含有膜の製造方法。 9 重合体に対する液状活性物質の限られた溶解
    度が、重合体100重量部に対して5重量部以下で
    あることを特徴とする特許請求の範囲第6項乃至
    第8項いずれか1項に記載の液状活性物質含有膜
    の製造方法。 10 酸化防止剤を含有する溶液を適宜の支持体
    上に塗布し、溶剤を蒸発させて支持体上に酸化防
    止剤層を形成する工程の次に、重合体とこの重合
    体に対して常温で限られた溶解度を有する常温で
    液状の活性物質とを、これら活性物質及び重合体
    の両方を溶解し得ると共に、上記活性物質よりも
    易揮発性の有機溶剤に溶解し、この溶液を上記支
    持体の酸化防止剤層の上に塗布し、上記溶剤を蒸
    発させて、上記重合体の膜内に液状活性物質を微
    小な液滴状に分散含有させて、異方性の重合体膜
    を形成させる工程を行なうことを特徴とする特許
    請求の範囲第6項乃至第9項いずれか1項に記載
    の液状活性物質含有膜の製造方法。
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