JPH0642731Y2 - 吸収剤スラリの攪拌装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は湿式排煙脱硫装置の吸収剤スラリ循環タンクに
設けられる吸収剤スラリの攪拌装置に係り、特に吸収剤
スラリの攪拌装置に堆積する吸収剤スラリ液中の沈降固
形物の洗浄除去手段を設けた吸収剤スラリの攪拌装置に
関する。

〔従来の技術〕

従来、石灰石スラリを吸収剤として使用し、燃焼排ガス
中の硫黄酸化物を石膏にして吸収・除去する湿式石灰石
−石膏法による排煙脱硫装置の一例を、第２図に示す。
図において、ボイラ等で発生した排ガス５は、吸収塔１
の側面から送入され、循環ポンプ２によってノズル３を
経て噴霧される吸収剤スラリ６と向流接触する。この向
流接触によって、排ガス５中の硫黄酸化物が吸収・除去
された排ガス５は、排ガス５中に含まれる吸収剤スラリ
６のミストが、ミストエリミネータ４により除去された
後、吸収塔１の塔頂より系外に排出される。

一方、硫黄酸化物を吸収した吸収剤スラリ６は、吸収塔
１内を落下して、その下部に設けられている循環タンク
21にいったん溜められる。そして、循環ポンプ２を介し
て再びノズル３より噴霧され、硫黄酸化物の吸収処理を
繰り返して行うシステムになっている。ここで、循環タ
ンク21に溜められた吸収剤スラリ６は沈降性があるた
め、循環タンク21に設けられた吸収剤スラリ５中の固形
物の沈降防止用の攪拌機８により吸収剤スラリ６は常に
攪拌されている。循環タンク21内において、反応生成物
を含む吸収剤スラリ６の一部は、抜出しポンプ９により
抜出され、石膏濃縮槽18で石膏分離機10に供給可能な濃
度に濃縮された後、石膏分離機供給タンク16、石膏分離
機供給ポンプ17、石膏分離機スラリ供給弁22を経て、石
膏分離機10で脱水処理され、副生石膏11として回収され
る。

上述した従来の排煙脱硫装置に用いられている攪拌機８
は、第３図に示すごとくシャットオフデバイス（遮断機
構）の構造を採用している。図において、攪拌機８のイ
ンペラ24は、駆動用の電動機26により減速機27を介して
駆動される。そして、消耗品であるメカニカルシール28
の部品交換時など、プラント運転中においてもメンテナ
ンスを可能とするために、シャットオフデバイスを設け
た構造としている。すなわち、シャットオフデバイス
は、循環タンク21内の液洩れを防止するために、羽根シ
ャフト29をエンドキャップ30を介し、ジャッキボルト31
により羽根シャフト29を循環タンク21の外側に引っ張
り、マウンティングフランジ32にシャットオフカラー33
を密着させ、シャットオフカラーセットボルト34により
締め付け、循環タンク21内の液洩れを防止する構造にな
っている。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記第３図に示した従来技術では、攪拌機８をメンテナ
ンスする際に攪拌機８の運転を停止させるが、攪拌機８
を停止すると、攪拌機取り付けフランジ35の内側に吸収
剤スラリ液中の沈降固形物36が堆積し、マウンティング
フランジ32とシャットオフカラー33の間に、沈降固形物
36が詰まり、羽根シャフト29を循環タンク21の外側に引
っ張ることができなくなり、攪拌機８の部品交換などの
メンテナンスが不可能となり、プラントの連続運転がで
きなくなるという問題があった。

本考案の目的は、上記従来技術における問題点を解消
し、例えば、第１図に示すごとく、吸収剤スラリ６の循
環タンク21に設けられている吸収剤スラリ６の攪拌機８
の取り付けフランジ35部近傍に沈降し堆積される沈降固
形物36を洗浄し、マウンティングフランジ32とシャット
オフカラー33の間に堆積する沈降固形物36による詰まり
を防止し、シャットオフデバイスのスムーズな分解操作
とメカニカルシール28などのメンテナンスをスムーズに
行うことのできる吸収剤スラリの攪拌装置を提供するこ
とにある。

〔課題を解決するための手段〕

上記本考案の目的は、湿式排煙脱硫装置の吸収剤スラリ
の循環タンク内に設置される吸収剤スラリの攪拌装置に
おいて、該攪拌装置に取り付けられるシャットオフデバ
イス部に、沈降し堆積した吸収剤スラリ液中の沈降固形
物を、上記シャットオフデバイス部近傍に設置した水洗
ノズルから、加圧水を噴射させて、上記堆積した沈降固
形物を洗浄し除去する手段を設けることにより、達成さ
れる。

〔作用〕

吸収剤スラリ循環タンク内に設置されている攪拌装置、
特に横型の攪拌装置のシャットオフデバイス内に溜った
沈降固形物は、高圧の水でジェット水洗することによっ
て、シャットオフデバイス内より容易に沈降固形物を排
出させることができる。したがって、横型の攪拌装置に
設けられたシャットオフデバイスの機能を十分に作動さ
せることができ、プラントの長期連続運転が可能とな
る。

〔実施例〕

以下に本考案の一実施例を挙げ、図面に基づいて、さら
に詳細に説明する。第１図は、本考案による横型の攪拌
機の構造の一例を示す。上記攪拌機の全体の構成および
構成部品の相互関係は、上述した第３図に示す従来技術
とほぼ同様であるので、ここでは説明を省略する。

図において、横型の攪拌機８のメカニカルシール28のメ
ンテナンスをする際に、循環タンク21内の吸収剤スラリ
を抜かずにシャットオフカラー33をマウンティングフラ
ンジ32に密着させ、循環タンク21内の吸収剤スラリの液
洩れを防止して行う。

この時、吸収剤スラリ液中の沈降固形物36が攪拌機取り
付けフランジ35に沈降し、マウンティングフランジ32と
シャットオフカラー33との間に沈降固形物36が堆積され
て詰まるので、羽根シャフト29を移動操作する際には、
沈降固形物36を洗浄し除去する必要がある。本実施例に
おいては、攪拌機取り付けフランジ35部に設けられた水
洗配管37に設けられた水洗弁38を開放することにより、
水洗ノズル39より高圧の水が噴射され、沈降固形物36を
容易に洗浄し除去することができる。

攪拌機取り付けフランジ35の内部に沈降し堆積した沈降
固形物36を、水洗弁38を開放して洗浄することにより、
次の効果が期待できる。すなわち、攪拌機取り付けフラ
ンジ35内のマウンティングフランジ32とシャットオフカ
ラー33の間への沈降固形物36の詰まりを防止し、羽根シ
ャフト29の移動操作が可能となり、循環タンク21内の大
量の吸収剤スラリを抜かずに、かつプラント運転中にお
いてもメカニカルシール28のメンテナンスが可能とな
る。

〔考案の効果〕

以上詳細に説明したごとく、本考案によれば、湿式排煙
脱硫装置の吸収剤スラリの循環タンクに設置される吸収
剤スラリの攪拌機において、シャットオフデバイス部に
沈降固形物の水洗除去手段を設けた本考案の攪拌装置を
用いると、吸収剤スラリ循環タンク内の大量の吸収剤ス
ラリを抜く必要がなく、かつプラントの運転中において
も、容易に攪拌機のメカニカルシール等の取換えなどの
メンテナンスを容易に実施することができ、湿式排煙脱
硫装置を極めて効率よく運用することができ、その経済
的効果は極めて大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例において例示した湿式排煙脱硫
装置の吸収剤スラリ循環タンクに設けた攪拌装置の構造
の一例を示す断面図、第２図は従来の湿式排煙脱硫装置
の全体の構成を示す系統図、第３図は従来の攪拌装置の
構造を示す断面図である。 １…吸収塔、２…循環ポンプ ３…ノズル、４…ミストエリミネータ ５…排ガス、６…吸収剤スラリ ７…空気、８…攪拌機 ９…抜出しポンプ、10…石膏分離機 11…副生石膏、12…排液タンク 13…吸収剤補給水、14…排液ポンプ 15…上澄水タンク 16…石膏分離機供給タンク 17…石膏分離機供給ポンプ 18…石膏濃縮槽、19…上澄水ポンプ 20…沈降固形物、21…循環タンク 22…石膏分離機スラリ供給弁 23…石膏スラリ戻りライン 24…インペラ、26…電動機 27…減速機、28…メカニカルシール 29…羽根シャフト、30…エンドキャップ 31…ジャッキボルト 32…マウンティングフランジ 33…シャットオフカラー 34…シャットオフカラーセットボルト 35…攪拌機取り付けフランジ 36…沈降固形物、37…水洗配管 38…水洗弁、39…水洗ノズル

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】湿式排煙脱硫装置の吸収剤スラリ循環タン
   クに設置される吸収剤スラリの攪拌装置において、上記
   攪拌装置のシャットオフデバイス部近傍に沈降し堆積さ
   れる吸収剤スラリ液中の沈降固形物を、上記シャットオ
   フデバイス部近傍に設置された水洗ノズルから加圧水を
   噴射させて、上記堆積された沈降固形物を洗浄し除去す
   る手段を設けたことを特徴とする吸収剤スラリの攪拌装
   置。