JPH0642687Y2 - 消火栓のホース繰出し装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は消火栓のホース繰出し装置に関する。

〔従来の技術〕

消防用のホースをホースリールに巻き付けて格納し、消
火活動に備えるようにした消火栓において、従来のホー
ス繰出し装置はリール軸にホースリールを回転自在に支
持したものであり、ホースを引き出すとホースリールが
それに追従回転してホースが繰り出されるようになって
いた。

一方、消火活動時などの消火栓の使用時においては、放
水個所まで人がホースを持ってホースリールから引き出
しながら走って行くのが普通であるが、その途中で急に
止まって再び走り出す場合や、走る速度が途中で鈍った
りする場合など様々な場合がある。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところが、ホースを持った人が走っている途中で急に止
まると、ホースの引出しに追従回転してホールを繰り出
していたホースリールがそのときの惰性で短時間ながら
回転を続け、その惰性回転によってホースリールに巻き
付いているホースに弛みが生じ、再び人が走り出してホ
ースが引っ張られたときにホースが絡んでホースリール
がうまく追従回転しなくなり、ホースが円滑に繰り出さ
れなくなるという不都合を生じることがある。また、ホ
ースを引き出す人の走る速度が途中で鈍ったような場合
には、ホースの引出し速さよりもホースリールの惰性回
転によるホースの繰出し速さが速くなってホースに弛み
が生じ、同様の不都合を生じることがある。

本考案は以上の事情に鑑みてなされたもので、ホースの
引出しが急に停止されたときにホースリールの回転が瞬
時に停止するように工夫することによって、ホースの引
出しが停止した後やホースの引出し速さが鈍った後のホ
ースの円滑な繰出しを保証する消火栓のホース繰出し装
置を提供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

本考案による消火栓のホース繰出し装置は、ホースリー
ルから繰り出されるホースと擦れ合いながらそのホース
の引出し始端部を案内するホースガイドが起立姿勢と前
傾姿勢との間で揺動可能でかつ起立姿勢になるように常
時付勢された状態で格納箱が設けられ、上記ホースガイ
ドが起立姿勢のときに上記ホースリールの側面に接触し
ホースガイドが前傾姿勢になるのに伴って上記ホースリ
ールから離れる摺接部材が上記ホースガイドに支軸を介
して回転自在に連結されていると共に、この摺接部材に
上記ホースリールの外周端面に対応するブレーキシュー
が設けられ、上記ホースの引出しに追従して上記ホース
リールが回転したとき、上記摺接部材がそのホースリー
ルの側面と擦れ合うことによって上記ブレーキシューと
共に上記支軸の周りで回転し、上記ブレーキシューが上
記ホースリールの外周端面に圧接するように構成したこ
とを特徴とする。

〔作用〕

この構成において、ホースを引き出すと、ホースガイド
がそのホースと擦れ合うことにより引っ張られて前傾姿
勢になり、摺接部材がホースリールの側面から離れる。
そのためホースリールはホースの引出しに追従して円滑
に回転する。一方、ホースの引出し速度が遅くなったと
きやホースの引出しが停止されたときにはホースガイド
がホースによって引っ張られなくなって起立姿勢に復帰
し、摺接部材がホースリールの側面に接触する。このと
きにホースリールが惰性回転していると、そのホースリ
ールの側面に接触している上記摺接部材がホースリール
の側面と擦れ合ってブレーキシューと共に支軸の周りで
回転し、ブレーキシューが上記ホースリールの外周端面
に圧接ないし喰い込んでホースリールの回転を停止させ
る。

〔実施例〕

第１図は消火栓の内部を示す正面図、第２図は扉を閉め
た状態の格納箱の内部を示す縦断面図である。

格納箱１は前面が開放された薄型のもので、建築物の壁
に埋め込まれる場合や壁面に取り付けられる場合などが
ある。そして、格納箱１には一般的に火災通報用の押し
ボタンや警報器などを備えたパネルボックス２が装備さ
れている。扉３は格納箱１の側端部に縦軸周りに開閉動
可能に取り付けられている。

格納箱１の取付枠４に水平なリール軸５を介してリール
６が回転可能に取り付けられている。リール６の取付位
置は格納箱１の内部中央付近である。

格納箱１の底部にホースガイド７が設けられている。第
３図および第４図に示すように、ホースガイド７は、取
付台８にヒンジ12を介して取り付けられた矩形の取付フ
レーム９に横向ロール10と二本の縦向ロール11,11とを
門形に配列して取り付けたものであって、取付枠９と取
付台８との間には斜めにばね13が張設されている。そし
て、上記取付台８を格納箱１の底部に固着してある。こ
の状態において上記ホースガイド７は第３図および第４
図のように取付フレーム９の下板部9aが取付台８に当た
る起立姿勢（縦向ロール11,11がやゝ前倒れ状態になっ
ている。）と上記下板部9aが取付台８から浮き上がる前
傾姿勢との間においてヒンジ12の周りで揺動可能になっ
ている。また、ホースガイド７は上記ばね13のばね力に
より起立姿勢になるように常時付勢されている。

この実施例の消火栓にはリール６の回転を制動する二つ
の機構が設けられている。そのうち、第一制動機構20は
上記ホースガイド７に取り付けられている一方、第二制
動機構30はリール軸５に取り付けられている。

第３図ないし第６図に第一制動機構20を示してある。こ
の第一制動機構20は、上記ホースガイド７の取付フレー
ム９の上板部9bにブラケット14および支軸15を介して上
下に回転（揺動）自在に取り付けられた取付アーム16
と、ゴムや皮革などのように滑りにくい材料よりなる厚
手の部材21とを備えている。上記厚手の部材21には切欠
状の凹入部が形成されており、その凹入部の立上り壁が
リール６の側面に対して接離される摺接部材22とされて
いる一方、その凹入部の傾斜した底面がリール６の外周
端面に対して接離されるブレーキシュー23とされ、ブレ
ーキシュー23には多数の切溝24…が形成されている。そ
して、上記厚手の部材21の内外両面にサポート板25,26
を配設することによって上記摺接部材22とブレーキシュ
ー23の耐変形性を向上させてある。また、上記取付アー
ム16と上記厚手の部材21とは蝶番27により連結され、か
つ蝶番27に組み込んだねじりばね28のばね力によって上
記厚手の部材21の下面が上記取付アーム16に押し付けら
れるように構成してある。ここで、上記摺接部材22とブ
レーキシュー23との間の凹所には第１図、第２図、第５
図および第６図のように上記リール６の一部が配置さ
れ、上記ホースガイド７が起立姿勢のときには上記摺接
部材22がリール６の側面に接触し、そのホースガイド７
が前傾姿勢になるのに伴って上記摺接部材22がリール６
の側面から離れるようになっている。また、上記ブレー
キシュー23は、上記ホースガイド７が起立姿勢のときに
取付アーム16が支軸15の周りで回転するとリール６の外
周端面に圧接するようになっている。なお、上記支軸15
はホースガイド７が起立姿勢のときでも前下がりに傾斜
した状態になっている。

第７図に第二制動機構30を示してある。第二制動機構11
はリール軸５のねじ部5aにねじ込まれてロックナット31
によって緩み止めされたばね押え32と、リール軸５にそ
の軸心方向に摺動自在に嵌め込まれたばね受け33と、ば
ね受け33の切欠孔33aに挿通されてリール軸５にねじ込
まれた止めねじ34と、ばね受け33とスイベルジョイント
35の端面35aとの間に介在されたブレーキパッド36と、
ばね押え32とばね受け33との間に介在されてばね受け33
をブレーキパッド36に押圧させる圧縮コイルばね37とを
備えており、上記止めねじ34によってリール軸５とばね
受け35との相対回転が阻止されている。なお、38は上記
取付枠４にねじ止めされたリテーナ、38,40はリール軸
５とリール６との間に介在された滑り軸受であり、リテ
ーナ38に形成されている通水路41の始端にホース継手42
を介して連結ホース43が接続されていると共に、上記通
水路41の終端部にリール軸５に形成した通水路44が連通
されている。また、リール軸５の通水路44はスイベルジ
ョイント35を介して連結ホース45に接続され、この連結
ホース45がホースリール６に巻き付けられているホース
47の始端部に接続されている。したがって、ホース47に
はバルブ48（第１図および第２図参照）、連結ホース4
3、ホース継手42、通水路41、通水路44、スイベルジョ
イント35および連結ホース45を経て圧力水が送水され
る。

以上説明した消火栓において、ホースガイド７を通して
ホース47を引き出すと、ホースガイド７の横向ロール10
や縦向ロール11,11によってホース47の引出し始端部47a
が案内されるため、ホース47の引出し方向がどの方向で
あってもリール６からのホース47の繰出し始端部47bが
常に定位置に定まり、安定した繰出しが行われる。ま
た、ホース47を引き出しているときには上記横向ロール
10や縦向ロール11,11がホース47と擦れ合うため、その
ときの摩擦抵抗によってホースガイド７が引っ張られて
起立姿勢からヒンジ12を支点として前傾姿勢に傾き、第
一制動機構20の摺接部材22が第５図に仮想線で示すよう
にリール６の側面から離れる。これに対し、ホース47の
引出しが停止されると、ホースガイド７がホース47によ
って引っ張られなくなるため、ばね13のばね力によって
ホースガイド７が傾斜姿勢から起立姿勢に復帰し、上記
摺接部材22が第５図に実線で示すようにホースリール６
の側面に接触する。このときにホースリール６が惰性回
転していると、そのホースリール６の側面に接触した上
記摺接部材22がホースリール６の側面と擦れ合ってブレ
ーキシュー23と共に支軸15の周りで回転し、第６図に仮
想線で示すようにブレーキシュー23が上記ホースリール
６の外周端面に圧接ないし喰い込んでホースリールの惰
性回転を瞬時に確実に停止させる。したがって、リール
６が惰性回転することによってホース47に弛みが生じる
ことはなく、再びホース47が引っ張られたときにはホー
ス47が絡まることなく円滑に繰り出される。ホース47の
引出し速さが鈍ったときにも同様の作用が行われる。

また、この実施例では上記第一制動機構20と共に第二制
動機構30もリール６の惰性回転を防止する。すなわち、
第二制動機構30によれば、圧縮コイルばね37のばね圧に
応じた力でブレーキパッド36がばね受け33とスイベルジ
ョイント35の端面35aとによって挾圧され、また、ブレ
ーキパッド36の内周面がリール軸５と接触している。し
たがって、ホース２が引き出されるのに伴ってホースリ
ール６が滑り軸受39,40およびスイベルジョイント35と
共に従動回転した場合、ブレーキパッド36がスイベルジ
ョイント35の端面35a、ばね受け33、リール軸５のうち
のいずれか一個所か二個所、または三個所と擦れ合い、
上記ばね圧に相応する力で常時ホースリール６の従動回
転が制動される。このときの制動力は上記ばね圧を調節
することによって調節されるから、ホース47の引出しが
急に停止したときにホースリール６が惰性で回転せず、
しかもホースリール６を従動回転させるホース47の引出
し力にあまり影響を及ぼさない程度に定めることは容易
であり、そのようにしておけばホース47を引き出すのに
要する力やホース47をホースリール６に巻き取らせるの
に必要な力を従来の消火栓のホース繰出し装置と同程度
に維持したまま、ホース47の引出しが急に停止されたと
きのホースリール６の惰性回転が防止される。ここで、
上記制動力は圧縮コイルばね37のばね圧に相応するもの
であって、ばね受け33はリール軸５の軸心方向に摺動自
在であるから、ブレーキパッド36に摩耗が生じても上記
制動力はほとんど変わらない。

上記ブレーキパッド36には公知の摩擦材を用いることが
できるが、ブレーキパッド36に水がかかると擦合面の摩
擦係数が変化して上述した制動作用に悪影響の及ぶ心配
がある。そこで、この実施例では、第８図に拡大して示
したように、通水路44側からの漏水をスイベルジョイン
ト35とリール軸５との間に挾み込んだＯリングなどのシ
ール材45により防止していると共に、ばね受け33に筒状
部46を一体に突出し、かつスイベルジョイント35に鍔形
の突出部47をリング状に一体形成して上記筒状部46の内
周面に臨ませることにより外部の水がブレーキパッド36
のところに入り込みにくい構造にしてある。こうしてお
けば、ブレーキパッド36が水に濡れて上記制動作用に悪
影響が及びにくくなる。上記筒状部46と突出部47とは接
触していても接触していなくてもよいが、接触していな
場合には両者の隙間ができるだけ狭くなっていることが
望ましい。

なお、この実施例では第一制動機構20に加えて第二制動
機構30を設けてあるが、第二制動機構30を省略してもホ
ースリール６の惰性回転に伴うホース47の弛みを確実に
防止できることはいうまでもない。

〔考案の効果〕

以上のように本考案による消化栓のホース繰出し装置に
よれば、ホースを持って走っている人が途中で急に止ま
ってホースの引出しが停止されたときには瞬時にホース
リールの回転も止まってホースの繰り出しが停止するた
め、再びホースが引き出されたときにそのホースが絡ん
でホースリールからの円滑なホースの繰出しが阻害され
ることがない。ホースを持って走る人の走る速度が途中
で鈍ったときも同様である。また、ホースが引き出され
るときには摺接部材やブレーキシューがホースリールか
ら離れるため、それらによってホースの引出しが阻害さ
れることもない。

【図面の簡単な説明】

第１図は消火栓の内部を示す正面図、第２図は扉を閉め
た状態の格納箱の内部を示す縦断面図、第３図はホース
ガイドと第一制動機構の正面図、第４図は同側面図、第
５図は第一制動機構の作用を説明するための側面図、第
６図は同背面図、第７図は第二制動機構の断面図、第８
図は第７図のＸ部拡大図である。 １…格納箱、６…ホースリール、７…ホースガイド、13
…ばね、15…支軸、22…摺接部材、23…ブレーキシュ
ー、47…ホース、47a…ホースの引出し始端部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ホースリールから繰り出されるホースと擦
   れ合いながらそのホースの引出し始端部を案内するホー
   スガイドが起立姿勢と前傾姿勢との間で揺動可能でかつ
   起立姿勢になるように常時付勢された状態で格納箱に設
   けられ、上記ホースガイドが起立姿勢のときに上記ホー
   スリールの側面に接触しホースガイドが前傾姿勢になる
   のに伴って上記ホースリールから離れる摺接部材が上記
   ホースガイドに支軸を介して回転自在に連結されている
   と共に、この摺接部材に上記ホースリールの外周端面に
   対応するブレーキシューが設けられ、上記ホースの引出
   しに追従して上記ホースリールが回転したとき、上記摺
   接部材がそのホースリールの側面と擦れ合うことによっ
   て上記ブレーキシューと共に上記支軸の周りで回転し、
   上記ブレーキシューが上記ホースリールの外周端面に圧
   接するように構成したことを特徴とする消火栓のホース
   繰出し装置。