JPH0642638A - 歯車変速機のインターロック機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】極めて簡単な構造で、ダブルギヤを確実に防止
できる歯車変速機のインターロック機構を提供するこ
と。 【構成】シフトフォークをセレクトしかつシフト操作す
るため直角な２方向に傾動するシフトセレクトレバー
と、変速機ケースに固定され、ガイド部を有するロック
プレートと、ロックプレートのガイド部に対してセレク
ト方向にのみスライド自在に係合するインターロックカ
ムとを備える。インターロックカムには、上記シフトセ
レクトレバーをシフト方向に移動自在に挿通する挿通穴
と、シフトセレクトレバーが係合しているシフトフォー
クを除く他のシフトフォークに係合する爪部とが一体に
設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は歯車変速機のインターロ
ック機構、特にセレクトされたシフトフォークをシフト
する際に他のシフトフォークの動きを止めるための機構
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、ＦＦ車用横置き形変速機のケーブ
ル式変速操作装置として、例えば実開平３−５２４６５
号公報に記載のように、切換レバー機構，インターロッ
ク機構，セレクトリターン機構およびリバースミスシフ
ト防止機構などの主要機構を１つのユニットとして一体
化し、組付性および分解作業性を改善したものが知られ
ている。この変速操作装置では、一端部がシフトケーブ
ルおよびセレクトケーブルと連結され、セレクト操作に
より軸方向に移動するとともに、シフト操作により回転
する切換レバーシャフトと、切換レバーシャフトに嵌合
固定され、一端部がフォークヘッドと選択的に係合して
切換レバーシャフトの動きをフォークヘッドへ伝える切
換レバーと、切換レバーを間に挟むようにして切換レバ
ーシャフトに挿通されたインターロックプレートと、ミ
ッションケースに取り付けられ、切換レバーシャフトの
両端部を回転方向および軸方向に移動自在に案内する切
換レバーサポートとを備えている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
な構造の場合、インターロックプレートは切換レバーシ
ャフトに挿通されたスプリングによって両側から保持さ
れ、位置決めされているが、これでは部品点数が多く、
かつインターロックプレートの位置決め精度が悪いとい
う欠点があった。そのため、中央の切換レバーと両側の
インターロックプレートの爪部との位置精度が悪く、複
数のシフトフォークが同時にシフトする所謂ダブルギヤ
を確実に防止できない恐れがあった。そこで、本発明の
目的は、極めて簡単な構造で、ダブルギヤを確実に防止
できる歯車変速機のインターロック機構を提供すること
にある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、シフトフォークのうちの１つをセレクト
し、かつこのシフトフォークをシフトするため直角な２
方向に傾動するシフトセレクトレバーと、変速機ケース
に固定され、ガイド部を有するロックプレートと、ロッ
クプレートのガイド部に対してセレクト方向にのみスラ
イド自在に係合するインターロックカムとを備え、イン
ターロックカムには、上記シフトセレクトレバーをシフ
ト方向に移動自在に挿通する挿通穴と、シフトセレクト
レバーが係合しているシフトフォークを除く他のシフト
フォークに係合する爪部とが一体に設けられていること
を特徴とする。

【０００５】

【作用】シフトセレクトレバーがセレクト方向に傾動す
ると、傾動につれてインターロックカムがセレクト方向
にスライドし、シフトセレクトレバーの先端部が何れか
のシフトフォークに係合する。次に、シフトセレクトレ
バーをシフト方向に傾動させると、シフトセレクトレバ
ーはインターロックカムの挿通穴を移動しながら傾動
し、その先端部がセレクトされたシフトフォークをシフ
トさせる。この時、他のシフトフォークにはインターロ
ックカムの爪部が係合しているため、動きが止められ、
ダブルギヤを防止できる。

【０００６】

【実施例】図１はケーブル式のチェンジレバー機構を示
す。図において、チェンジレバー１は図２に示されるシ
フトパターンを得るため、下端部近傍に設けた軸ボルト
２を支点として前後方向（シフト方向）に揺動可能に支
持され、かつ軸ボルト３を支点として左右方向 (セレク
ト方向) に揺動可能に支持されている。そして、チェン
ジレバー１のシフト方向の動きはレバー４を介してシフ
トケーブル５へ伝えられ、セレクト方向の動きはレバー
６を介してセレクトケーブル７へ伝えられる。シフトケ
ーブル５およびセレクトケーブル７は車体前方へ延設さ
れ、その先端部がミッションケース８のディファレンシ
ャル装置部分の上部に固定されたブラケット９，10で夫
々支持されている。

【０００７】図３において、ミッションケース８の油面
より上部には、変速操作装置を収納するための角筒状の
収納部11が一体に形成されており、この収納部11の上面
開口には蓋12がボルト止めされている。蓋12の中央部に
は、図４〜図６に示すように開口穴13が設けられ、この
開口穴13には球面座を構成するシート部材14が嵌着さ
れ、このシート部材14にシフトセレクトレバー15の球状
部15a が傾動自在に支持されている。開口穴13とシフト
セレクトレバー15との間にはダストブーツ16が介装さ
れ、ゴミ等の異物がシート部材14に噛み込むのを防止し
ている。蓋12の上方へ突出したシフトセレクトレバー15
の上端部にはジョイント部材17が装着され、このジョイ
ント部材17の一方のピン17a にシフトケーブル５の一端
が連結され、他方のピン17b にセレクトケーブル７の一
端が連結される。これらピン17a ，17b はシフトセレク
トレバー15の軸心方向から見てほぼ直角位置に設けら
れ、かつシフトケーブル５とセレクトケーブル７は上記
ブラケット９，10で互いにほぼ直角方向に支持されるた
め、これらケーブル５，７の作動に伴ってシフトセレク
トレバー15を直角な２方向に傾動させることができる。
なお、18はセレクトリターンスプリングである。

【０００８】変速操作装置は、シフトセレクトレバー1
5、ロックプレート20、インターロックカム21、リバー
スレストリクトカム22、レストリクトピン23、トーショ
ンスプリング24等で構成され、これら部品が蓋12に一体
的に組み付けられている。シフトセレクトレバー15の下
端部はミッションケース８の内部に挿入され、その先端
部には１−２速切換用フォークヘッド25、３−４速切換
用フォークヘッド26、５速−Ｒ切換用フォークヘッド27
のいずれか１つに選択的に係合する係合部15b が一体に
形成されている。

【０００９】ロックプレート20、インターロックカム2
1、リバースレストリクトカム22、レストリクトピン2
3、トーションスプリング24は図７に示すように一体に
組み付けられている。ロックプレート20の隅部には、蓋
12への固定用ボルト28の挿通穴29が形成されている。ロ
ックプレート20の中央部にはほぼ矩形のガイド穴30が形
成され、このガイド穴30にはインターロックカム21がス
ライド自在に係合している。また、ロックプレート20お
よびインターロックカム21のＵ字溝31にはレストリクト
ピン23が挿通され、その先端にワッシャ32を圧入するこ
とによって相互に連結されている。そのため、インター
ロックカム21はセレクト方向のみスライドでき、シフト
方向には動かない構造となっている。インターロックカ
ム21の内部には２個のディテントボール33が幅方向へ移
動自在に収納されており、スプリング34によって突出方
向に付勢されたディテントボール33はガイド穴30の内側
面に形成された凹部30ａに係合可能である。そのため、
インターロックカム21は中立位置において節度感をもっ
て保持されるとともに、１−２速方向へのセレクト時に
比べて５速−Ｒ方向へのセレクト時の方が抵抗力が大き
くなり、２速から５速へのミスシフトを抑制している。

【００１０】インターロックカム21の中央部にはシフト
セレクトレバー15の下端部が挿通されるシフト方向に長
い挿通穴35が形成され、この挿通穴35の対向する内側面
に、シフトセレクトレバー15の係合部15b を間にして対
向する一対の爪部36が突設されている。これら爪部36が
フォークヘッド25，26，27に係合することにより、１つ
のフォークヘッドにシフトセレクトレバー15の係合部15
b が係合してシフトするとき、他のフォークヘッドの動
きを止め、複数のフォークヘッドが同時にシフトする所
謂ダブルギヤを防止している。

【００１１】リバースレストリクトカム22はロックプレ
ート20の上面に配置されており、レストリクトピン23の
頭部に摺動自在に嵌合する長孔37が形成されている。こ
の長孔37はリバースレストリクトカム22が回転方向およ
びセレクト方向に移動できるように、長円形状となって
いる。またレストリクトピン23の頭部にはトーションス
プリング24が挿着されており、このスプリングの一端は
リバースレストリクトカム22の角部38に係合され、他端
はロックプレート20の窓穴39の係止部39ａに係止されて
いる。そのため、リバースレストリクトカム22は図４の
左回り方向に付勢されるとともに、図４の右方向に付勢
されている。左回り方向の回転については、リバースレ
ストリクトカム22のストッパ片40が窓穴39の内縁に当た
ることによって停止しており、右方向への動きについて
は長孔37の内縁がレストリクトピン23に当たることによ
って停止している。このリバースレストリクトカム22の
停止位置が初期位置であり、中立位置にあるシフトセレ
クトレバー15と一定の隙間を持って離れている。この隙
間は、３速から４速へのシフト時にシフトセレクトレバ
ー15が誤ってリバースレストリクトカム22と係合しない
ようにするためである。

【００１２】ここで、図８の（ａ）〜（ｃ）にしたがっ
て、リバースレストリクトカム22の動作、即ちリバース
ミスシフト防止機構の動作について説明する。まず、シ
フトセレクトレバー15を５速，Ｒ方向へセレクト操作す
ると、図８（ａ）のようにシフトセレクトレバー15がリ
バースレストリクトカム22を押し、リバースレストリク
トカム22はトーションスプリング24の力に逆らって長孔
37とストッパ片40のガイドによって左方へスライドす
る。セレクト終端位置でＲ方向へシフトすると、図８
（ａ）に二点鎖線で示すようにシフトセレクトレバー15
はリバースレストリクトカム22の側面を滑ってＲ位置へ
シフトできる。この時、リバースレストリクトカム22は
回転しない。一方、セレクト終端位置において、５速方
向へシフトすると、図８（ｂ）のようにリバースレスト
リクトカム22を押していたシフトセレクトレバー15の支
えが外れるので、リバースレストリクトカム22はトーシ
ョンスプリング24の力によって初期位置へ戻ることにな
る。５速位置からＲ方向へシフトしようとすると、図８
（ｃ）のようにシフトセレクトレバー15がリバースレス
トリクトカム22に当たり、リバースレストリクトカム22
をトーションスプリング24のばね力に逆らって回転させ
る。そして、リバースレストリクトカム22のストッパ片
40が窓穴39の側縁に当たることによってシフトセレクト
レバー15のＲ方向への動きが阻止され、５速からＲへ直
接シフトすること、つまりリバースミスシフトを防止で
きる。シフトセレクトレバー15が中立位置へ戻れば、リ
バースレストリクトカム22もトーションスプリング24の
ばね力によって初期位置（図４参照）に戻る。

【００１３】上記実施例のようにシフトセレクトレバー
15、ロックプレート20、インターロックカム21、リバー
スレストリクトカム22、レストリクトピン23、トーショ
ンスプリング24等の部品が蓋12に一体的に組み付けられ
るため、蓋12を含む部品を１ユニットとして変速機本体
とは別工程で組立て、これをミッションケース８の収納
部11に収納すれば、変速操作装置を非常に簡単に組み付
けることができる。また、サービス点検時においても、
蓋12を取り外すだけで変速操作装置を簡単に分解できる
ので、作業性が向上する。さらに、上記欠く部品がミッ
ションケース８の油面より上部の収納部11に収納され、
蓋12とともにミッションケース８に固定されるため、蓋
12を外した時に油漏れを起こさず、組付および分解時の
作業性が良好となる。また、ロックプレート20、リバー
スレストリクトカム22は単なる平板であるため、加工が
容易でかつ厚みを薄くでき、薄型の変速操作装置を実現
できる。

【００１４】また上記実施例では、シフトセレクトレバ
ー15のシフト動作範囲および１−２速方向へのセレクト
動作範囲をロックプレート20のガイド穴30で規定し、リ
バースレストリクトカム22の動きをロックプレート20の
窓穴39で規定するようにしたので、動作範囲規制用の部
品が不要となり、部品数を削減できるとともに、精度の
向上が図れ、セレクトおよびシフト時のガタや誤動作を
防止できる。なお、５−Ｒ方向へのセレクト動作規定
は、Ｕ字溝31とレストリクトピン23とで行っているが、
これもガイド穴30で行うことが可能である。また、上記
ガイド穴30にはセレクトディテント用の凹部30ａも設け
られるので、構成が更に簡素となるという利点がある。

【００１５】図９〜図１１はロックプレートおよびイン
ターロックカムの他の実施例を示す。ロックプレート50
は外形が矩形の金属板で構成され、その中央部に方形の
開口穴51が設けられている。このロックプレート50はボ
ルト挿通穴52にボルトを挿通し、上記実施例の蓋12の内
面に締着することにより固定される。一方、インターロ
ックカム53も金属板で形成され、２個の腕片54をロック
プレート50を抱き込むように裏側へ折り曲げ、この腕片
54がロックプレート50の側縁を摺動することによって、
インターロックカム53はロックプレート50に対してセレ
クト方向にのみスライド自在に取り付けられる。また、
インターロックカム53には上記腕片54と直角方向にも２
個の腕片55が設けられ、これら腕片55はロックプレート
50に対してセレクト方向に余裕を持って裏側へ折り曲げ
られ、その先端には対向するように爪部56が形成されて
いる。インターロックカム56の上面中央部にはシフト方
向に長い挿通穴57が形成され、この挿通穴57にはシフト
セレクトレバー15の係合部15ｂがシフト方向に移動自在
に挿入される。

【００１６】シフトセレクトレバー15の係合部15ｂは、
上記挿通穴57および開口穴51に挿入され、シフトフォー
クヘッド25，26，27のいずれかに係合する。図１０のよ
うに、シフトセレクトレバー15が３−４速切換用フォー
クヘッド26に係合している時、爪部56は１−２速切換用
フォークヘッド25と５速−Ｒ切換用フォークヘッド27と
に係合し、これらフォークヘッド25，27の動きを止め、
ダブルギヤを防止する。シフトセレクトレバー15のセレ
クト方向およびシフト方向の動作範囲は、シフトセレク
トレバー15が開口穴51の内縁に当たることによって規定
される。

【００１７】

【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よれば、ロックプレートを変速機ケースに固定し、この
ロックプレートによってインターロックカムをセレクト
方向にのみガイドさせるようにしたので、位置決め精度
が高く、しかも構造が簡単で構成部品が少なくて済むた
め、信頼性の高いインターロック機構を実現できる。ま
た、シフトセレクトレバーが直角方向に傾動することに
よりシフト操作およびセレクト操作を行うようにしたの
で、従来に比べて動作機構が簡素化されるとともに、従
来のように切換レバーシャフトの軸方向移動に伴う摺動
抵抗がなく、シフト操作およびセレクト操作を極めて円
滑に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明にかかる変速機とチェンジレバー機構と
の斜視図である。

【図２】シフトパターン図である。

【図３】本発明にかかる変速操作装置を備えた変速機の
平面図である。

【図４】図３の蓋部分を切り欠いた拡大平面図である。

【図５】図４のＡ−Ａ線断面図である。

【図６】図４のＢ−Ｂ線断面図である。

【図７】変速操作装置の要部の斜視図である。

【図８】（ａ）〜（ｃ）はリバースミスシフト防止機構
の動作説明図である。

【図９】ロックプレートおよびインターロックカムの他
の実施例の斜視図である。

【図１０】図９のＣ−Ｃ線断面図である。

【図１１】図９のＤ−Ｄ線断面図である。

【符号の説明】

１ チェンジレバー ５ シフトケーブル ７ セレクトケーブル ８ ミッションケース 11 収納部 12 蓋 14 シート部材（球面座） 15 シフトセレクトレバー 20，50 ロックプレート 21，53 インターロックカム 22 リバースレストリクトカム 23 レストリクトピン 24 トーションスプリング 25 １−２速切換用フォークヘッド 26 ３−４速切換用フォークヘッド 27 ５速−Ｒ切換用フォークヘッド

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】セレクトされたシフトフォークをシフトす
   る際に他のシフトフォークの動きを止めるための歯車変
   速機のインターロック機構において、 上記シフトフォークのうちの１つをセレクトし、かつこ
   のシフトフォークをシフトするため直角な２方向に傾動
   するシフトセレクトレバーと、変速機ケースに固定さ
   れ、ガイド部を有するロックプレートと、ロックプレー
   トのガイド部に対してセレクト方向にのみスライド自在
   に係合するインターロックカムとを備え、 インターロックカムには、上記シフトセレクトレバーを
   シフト方向に移動自在に挿通する挿通穴と、シフトセレ
   クトレバーが係合しているシフトフォークを除く他のシ
   フトフォークに係合する爪部とが一体に設けられている
   ことを特徴とする歯車変速機のインターロック機構。