JPH0641955U - 金型冷却装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 キャビティを有する金型に対する効率的冷却
を図り、良質の鋳造体を能率的に得しめると共に耐用性
の高い金型を提供する。 【構成】 金型１０におけるキャビティに対して穿設さ
れた冷却孔２に対し給水管３を挿入し冷却水を導入循環
せしめるようにしたものにおいて、冷却孔２の内面に銅
系又はアルミニウム系等の伝熱補強パイプ６を圧入添設
し、伝熱補強パイプ６に給水管３を挿入する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は金型冷却装置に係り、キャビティを有する金型に対する効率的冷却を 図り、良質の鋳造体を能率的に得しめると共に耐用性の高い金型を提供しようと するものである。

【０００２】

【従来の技術】

ダイカスト金型などにおいては溶湯を金型内キャビティに鋳込んで成形するが 、このような金型には冷却回路を形成し冷却水によって冷却することによりショ ットサイクルを短縮し鋳造を能率化することが必要である。

【０００３】 即ちこのような目的において採用されている従来の金型水冷機構としては１例 として図２に示すような金型１０に対して冷却水路１１を形成し冷却水を循環せ しめるに当って図３に示すように金型１０に配設された冷却孔１２に給水管１３ を有する取付軸筒４をシール材１５を介装して取付け、前記給水管１３中に給水 路１６を連結すると共に給水管１３と取付軸筒４との間の排水路１７から排水し て循環するように成っている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

上述したような従来のものはその冷却水による循環冷却を与えショットサイク ルを短縮し得るとしてもその経時的使用による金型割れを発生し水漏れや製品に おけるブリスタ発生を来す。従って前記したような冷却孔１２と金型成形面１８ との間には図３に示すように適当な厚さＴを残しておくことが必要で、この限度 以上に冷却孔１２と成形面との間の金型厚みを縮減すると金型割れを発生し易く 、金型寿命が短縮することとならざるを得ないし、冷却孔１２に送入循環される 冷却水量や冷却孔１２の配設間隔にも制限がある。

【０００５】 前記のように金型成形面１８と冷却孔１２との金型厚み縮減に制限を受けざる を得ない従来のものにおいては冷却水による冷却効果も制限されることとなり、 ショットサイクルの短縮にも限度があって能率的な鋳造を充分に図り得ない。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は上記したような従来技術における課題を解決することについて検討を 重ね、上記したような冷却孔部分における金型厚みを充分に短縮し、しかも金型 割れや水洩れなどを適切に防止し、またショットサイクルの短縮、金型寿命の延 長を図ることに成功したものであって、以下の如くである。

【０００７】 （1) 金型におけるキャビティに対して穿設された冷却孔に対し給水管を挿入 し冷却水を導入循環せしめるようにしたものにおいて、前記冷却孔の内面に銅系 またはアルミニウム系などによる伝熱補強パイプを圧入添設し、該伝熱補強パイ プ内に前記給水管を挿入したことを特徴とする金型冷却装置。

【０００８】

【作用】

金型におけるキャビティに対して穿設された冷却孔に対し給水管を挿入し冷却 水を導入循環せしめるようにしたものにおいて、前記冷却孔の内面に銅系または アルミニウム系などによる伝熱補強パイプを圧入添設することにより冷却孔内面 における伝熱作用を向上すると共に強度を高め、従ってキャビティと冷却孔との 間の肉厚を縮減してキャビティ面における冷却作用を効率化し、ショットサイク ルの短縮化を図る。

【０００９】 前記のような伝熱補強パイプ内に前記給水管を挿入したことにより伝熱補強パ イプ内に冷却水を通入循環せしめて効率的な熱交換を図ると共に金型割れによっ て惹起される製品ブリスタを防止する。

【００１０】

【実施例】

上記したような本考案によるものの具体的な実施態様を添付図面に示すものに ついて説明すると、図１に示すように金型１０に対して冷却孔２を配設し給水管 ３を有する取付軸筒４をパッキングなどのシール材５を介装して取付けること自 体は従来からのものと同様であるが、本考案においては前記冷却孔２を金型１０ のキャビティ面１０ａに対して図３に示した従来のものより充分に近接せしめ、 即ち従来のものは冷却孔２の内径以上の距離を採って相当の肉厚層（Ｔ）を以て 形成されていたのに対し冷却孔２の内径以下、好ましくは冷却孔内径の２分の１ 以下のような小さい肉厚（ｔ）を採って穿設されている。

【００１１】 また、本考案においては前記のように形成された冷却孔２に対してその取付軸 筒４より先端側に銅系またはアルミニウム系のような金型１０よりは伝熱性およ びのびの優れた材質による伝熱補強パイプ６を圧入添設し、該伝熱補強パイプ６ 内に上記した取付軸筒４内に設けられた給水管３を挿入開口したものである。

【００１２】 前記取付軸筒４の基端には連結部７が設けられ、該連結部７には導水管８およ び排水管８ａが連結され、給水管８からの冷却水は給水管３によって伝熱補強パ イプ６の奥部に導かれ、該パイプ６内に逆流して間隙９から排水管８ａに到るよ うに構成されている。

【００１３】 上記したような本考案によるものについて、図３に示した従来例のものと比較 して検討した結果を説明すると、６５０Ｔダイカストマシンにおいてスリーブ内 溶湯温度が６２０℃のアルミニウムを鋳込み、１５kgの鋳造体を得るようにされ た金型において、従来の図３に示すような冷却装置は径１５mmの冷却孔１２がキ ャビティ面より２０mmの肉厚を採って形成され、該冷却孔１２の各１個に対して １０リットル／min の冷却水を送入循環させて実施する場合、６００℃以上の成 形面を２００℃以下まで冷却するそのショットサイクルは１１５〜１３０sec で あって、型表面に割れが生ずるまでの耐用期間は２００００〜３００００ショッ トである。

【００１４】 前記のような従来のものに対し、図１に示した本考案のものは、上記したとこ ろと同じダイカストマシンにおいて径１５mmの冷却孔２を型表面から５mmの肉厚 を採った状態に形成し、該冷却孔２の内面に対し厚さ0.１mmの銅製伝熱補強パイ プ６を圧入セットしたものとなし、冷却水を上記同様に供給循環させて冷却しな がらそのショットサイクルを９３〜１０５sec として実施したものは５００００ 〜７００００ショットの耐用性を有することが確認された。

【００１５】 即ち本考案によるものはそのショットサイクルを一般的に８０％前後に短縮す ることができ、しかもその耐用性を２倍以上高め得るものであって、卓越した有 利なダイカスト鋳造をなし得ることが確認された。

【００１６】 また上記したところと同じ本考案の装置において、各冷却孔２に供給される冷 却水量を７リットル／min と低減し、従ってそのショットサイクルを１２０sec 程度として実施した場合において型表面に割れの生ずる耐用期間は６００００〜 ８００００ショットであって、冷却エネルギーの少い条件下においても従来法に 比べて卓越した有利なダイカスト鋳造を実施し得ることが確認された。

【００１７】

【考案の効果】

以上説明したような本考案によるときはこの種水冷方式による金型の冷却を効 率化してショットサイクルの好ましい短縮を図り、鋳造作業を能率化し得ると共 に金型の耐用性を適切に向上し、良質の製品を的確に提供し得るものであって、 更には冷却水量を低減せしめ、あるいは金型に若干の割れが発生しても水漏れを 生じ難いなどの効果を有しており、工業的にその効果の大きい考案である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案による金型冷却装置の１例についての要
部を示した部分的断面図である。

【図２】この種金型冷却装置の全般的構成を示した断面
図である。

【図３】その従来技術による金型冷却装置についてその
要部を図１と同様に示した断面図である。

【符号の説明】

２ 冷却孔 ３ 給水管 ４ 取付軸筒 ５ シール材 ６ 伝熱補強パイプ ７ 連結部 ８ 導水管 ８ａ 排水管 ９ 間隙 １０ 金型 １１ 冷却水路 １２ 従来の冷却孔 １３ その給水管 １４ その取付軸筒 １５ そのシール材 １６ その給水路 １７ その排水路

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 安井 和夫 静岡県庵原郡蒲原町蒲原161番地 日本軽 金属株式会社蒲原製造所内 (72)考案者 古牧 直之 静岡県庵原郡蒲原町蒲原161番地 日本軽 金属株式会社蒲原製造所内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 金型におけるキャビティに対して穿設さ
   れた冷却孔に対し給水管を挿入し冷却水を導入循環せし
   めるようにしたものにおいて、前記冷却孔の内面に銅系
   またはアルミニウム系などによる伝熱補強パイプを圧入
   添設し、該伝熱補強パイプ内に前記給水管を挿入したこ
   とを特徴とする金型冷却装置。