JPH0641953U - 高圧鋳造用プランジャチップ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 高圧鋳造機において、プランジャチップによ
る溶湯加圧時、該チップの摺動面を溶湯にさらすことな
く押湯室の容積を縮小させて該室の溶湯の冷却、凝固を
早める。 【構成】 プランジャチップ１５のヘッド面に、鋳造
時、鋳型の押湯室に突入する円錐台形の突出部１６を一
体に形成し、このプランジャチップ１５内に形成される
冷却室１９を突出部１６内まで延長させる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、スリーブ内に注入された溶湯を鋳型の押湯室を通してキャビティに 加圧充填すべくスリーブ内に嵌装される高圧鋳造用プランジャチップに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来のプランジャチップは、スリーブ内の溶湯に接するヘッド面が円弧、若し くは平坦になっている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

高圧鋳造機では、キャビティ内の溶湯に、これが凝固するまで充填圧力を加え る必要から、押湯室の容積を比較的大きく設定している。このため、押湯室の溶 湯は、キャビティ内の溶湯よりも可成り遅れて凝固するので、それだけ鋳造サイ クルが長くかかってしまい、量産効果の障害となる。

【０００４】 そこで、鋳造時は、プランジャチップのヘッド部を押湯室へ突出させて押湯室 の容積を減少させて該室の溶湯の冷却を速めることが考えられるが、そのように すると、プランジャチップのヘッド部外周の摺動面までが溶湯にさらされること になり、該摺動面の寿命が著しく損われる。

【０００５】 本考案は、かゝる点に鑑みてなされたもので、鋳造時、摺動面を溶湯にさらす ことなく押湯室の容積を縮小させて押湯室の溶湯の冷却、凝固を早めることがで きる高圧鋳造用プランジャチップを提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案は、スリーブ内で溶湯に接するプランジャ チップヘッド面に、鋳造時、鋳型の押湯室に突入する円錐台形の突出部を一体に 形成したことを第１の特徴とする。

【０００７】 また本考案は、上記特徴に加えて、プランジャチップ内部に形成される冷却室 を突出部内まで延長させたことを第２の特徴とする。

【０００８】

【実施例】

以下、図面により本考案の一実施例について説明する。

【０００９】 先ず図１において、高圧鋳造機１は鋳型２と、この鋳型２内のキャビティ３に 溶湯を加圧充填する溶湯充填装置４とからなる。鋳型２は、固定金型５と、この 固定金型５に対し水平方向に開閉移動し得る可動金型６とから構成され、両金型 ５，６を閉じたとき、これらの対向面には、キャビティ３、このキャビティ３に 開口するゲート７、このゲート７に連なる押湯室８、及びこの押湯室８に連なり 両金型５，６外面に開口する案内孔９が画成されるようになっている。

【００１０】 溶湯充填装置４は、支持腕１０と、この支持腕１０の上面に固定されていて前 記案内孔９に嵌合し得るスリーブ１１と、このスリーブ１１に摺動自在に嵌装さ れるプランジャ１２と、このプランジャ１２の下端に連結されて、これを軸方向 に往復駆動し得る油圧シリンダ等の駆動源１３とを備える。而して、この溶湯充 填装置４は、図１に鎖線で示すようにスリーブ１１を案内孔９に嵌合させるまで 上昇させたり、また実線で示すように、スリーブ１１を下降させた状態で固定金 型５の下部側方位置まで傾動させるもので、その傾動時にスリーブ１１内への注 湯が行われる。

【００１１】 図２において、前記プランジャ１２は、前記駆動源１３に直接連結される長尺 のプランジャ本体１４と、このプランジャ本体１４の先端に着脱可能に連結され て前記スリーブ１１内周面に摺動自在に嵌合するプランジャチップ１５とから構 成され、このプランジャチップ１５のヘッド面には、円錐台状の突出部１６が段 部１７を介して一体に形成される。また、このプランジャチップ１５は、その下 端面に開口する取付孔１８と、この取付孔１８に連なる冷却室１９とを有し、こ の冷却室１９は上半部１９ａが円錐台形となっていて前記突出部１６の内部にま で延びている。

【００１２】 一方、プランジャ本体１４は上端に連結軸２０を有し、これにプランジャチッ プ１５の取付孔１８が螺着される。こうして、プランジャチップ１５はプランジ ャ本体１４に着脱可能に連結される。

【００１３】 またプランジャ本体１４は中空円筒状に形成されており、その中空部１４ａに は、前記冷却室１９に上端を突入させて開口する内管２１が同心に配設される。 図１及び図２に示すように、この内管２１の中空部２１ｃは冷却水往路２２に、 また内管２１外側のプランジャ本体１４の中空部１４ａは冷却水復路２３にそれ ぞれ連なっており、冷却水往路２２には、水タンク２４から冷却水を汲上げる水 ポンプ２５及びそれから吐出される水を冷却する冷却器２６が設けられ、冷却水 復路２３は水タンク２４に開放される。

【００１４】 次にこの実施例の作用について説明する。

【００１５】 鋳造に際しては、先ず図１に示すように、溶湯充填装置４において、プランジ ャ１２を下降させた状態でスリーブ１１をも下降させ、このスリーブ１１を固定 金型５の下部側方へ傾動させてスリーブ１１内に溶湯を注入する。

【００１６】 注湯後は、図３に示すように、型閉状態となった固定金型５及び可動金型６間 に形成された案内孔９の直下にスリーブ１１を起立させ、そしてこのスリーブ１ １を案内孔１８に嵌合してから駆動源１３によりスリーブ１１に沿ってプランジ ャ１２を上昇させることになり、スリーブ１１内の溶湯を押湯室８及びゲート７ を通してキャビティ３に加圧充填する。而して、プランジャ１２の上昇位置では 、プランジャチップ１５外周の摺動面全体はスリーブ１１内に残り、円錐台形の 突出部１６が押湯室８内に突入して該室８の容積を縮小させる。

【００１７】 この状態で所定時間が経過すると、押湯室８及びキャビティ３内で溶湯が冷却 して凝固する。この間、押湯室８では、円錐台形のプランジャチップ１５の突入 により良好な押湯効果が発揮される。またプランジャチップ１５により押湯室８ の容積が縮小されるため、押湯室８での溶湯の冷却、凝固が早められる。しかも 、水ポンプ２５の常時作動により、水タンク２４の冷却水は水ポンプ２５から冷 却器２６、冷却水往路２２、冷却室１９、冷却水復路２３を順次経て水タンク２ ４に戻るので、突出部１６内部まで広がる冷却室１９では突出部１６を含むプラ ンジャチップ１５全体を効果的に冷却し、プランジャチップ１５の溶湯による食 われを防止して、その耐久性を高めることができる。

【００１８】

【考案の効果】

以上のように本考案の第１の特徴によれば、スリーブ内で溶湯に接するプラン ジャチップヘッド面に、鋳造時、鋳型の押湯室に突入する円錐台形の突出部を一 体に形成したので、鋳造時、プランジャチップの突出部により押湯室の容積を縮 小させて押湯室の溶湯の冷却、凝固を早め、鋳造サイクル時間の短縮に寄与し得 る。しかもプランジャチップの摺動面は溶湯にさらさずに済むことから該摺動面 の耐久性を確保することができる。

【００１９】 また本考案の第２の特徴によれば、プランジャチップ内部に形成される冷却室 を突出部内まで延長させたので、冷却水が冷却室に導入されたとき、その冷却水 により突出部が効果的に冷却され、突出部の溶湯による食われを極力防止するこ とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のプランジャチップを備えた高圧鋳造機
の概略縦断側面図

【図２】図１の２−２線拡大断面図

【図３】上記高圧鋳造機の作用説明図

【符号の説明】

１ 高圧鋳造機 ２ 鋳型 ３ キャビティ ４ 溶湯充填装置 ８ 押湯室 １１ スリーブ １２ プランジャ １４ プランジャ本体 １５ プランジャチップ １６ 突出部 １９ 冷却室

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 スリーブ（１１）内に注入された溶湯を
   鋳型（２）の押湯室（８）を通してキャビティ（３）に
   加圧充填すべくスリーブ（１１）内に嵌装される高圧鋳
   造用プランジャチップにおいて、 スリーブ（１１）内で溶湯に接するプランジャチップヘ
   ッド面に、鋳造時、鋳型（２）の押湯室（８）に突入す
   る円錐台形の突出部（１６）を一体に形成したことを特
   徴とする、高圧鋳造用プランジャチップ。
2. 【請求項２】 請求項１記載のものにおいて、 プランジャチップ内部に形成される冷却室（１９）を突
   出部（１６）内まで延長させたことを特徴とする、高圧
   鋳造用プランジャチップ。