JPH0641753B2 - ダイヤフラムエア−ポンプのダイヤフラム拡張支持装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本発明は、例えば養魚槽内に収容の水中にエアーを供給
する場合等に用いられるダイヤフラムエアーポンプで、
詳しくは、ダイヤフラムの外周に沿って同芯円状に一体
に突出連設した環状突起を、自由状態における前記環状
突起の内径よりもやや大なる内径を有する状態でダイヤ
フラム取付台側に形成した環状凹溝に嵌合することによ
り、ダイヤフラムを外周方向に拡張する力を加えつつ前
記取付台に装着するとともに、ダイヤフラムの振動によ
る環状突起の収縮拡張運動に対して、外径を変え、ダイ
ヤフラムの過大な弾発力の増加を緩和する一部切欠部を
有するＣ字形リング部材を嵌着したダイヤフラムエアー
ポンプのダイヤフラム拡張支持装置に関する。

＜背景及び従来の技術＞ 一般にこの種のダイヤフラムエアーポンプは、第３図で
示す２気筒式ポンプの１気筒分の断面を表した上半部欠
切断面図のように、背反的に開閉作動する逆止弁(6),
(7)付きの吸込口(6a)、吐出口(7a)を備えたカバーケー
シング(11)とダイヤフラム取付台(10)との間にゴム製の
ダイヤフラム(4)を張設することによりポンプ圧縮室(5)
を形成し、前記ダイヤフラム(4)の中央部に端部を固定
連結した駆動桿(1)に固着した永久磁石(2)とこれの外周
に配置した電磁石(3)との相互間に働く磁力の吸引、反
発作用により駆動桿(1)を電源周波数に応じてその長手
方向に往復移動させ、もってダイヤフラム(4)を振動さ
せてポンプ室(5)の容積を増減変化させることにより、
逆止弁(6),(7)を背反的に開閉作動させてエアーの吸入
・排出作用を行なうように構成されている。

而して、このようなポンプ性能の良否は前記駆動桿(1)
を含めた振動系の動きの強弱が最も大きな要素であり、
この振動系の動きは、該振動系の質量と弾発力による固
有振動数が駆動電源周波数に同調した時が最も能率よく
作動するのである。かかる観点に立脚して、冒述の構成
手段を介して前記ダイヤフラムを外周方向に拡張して装
着することにより、振動系の質量に見合った弾発力を現
出させて前記の同調を得る手段が採用されている。然し
乍ら、従来のダイヤフラム拡張手段は、本件出願人の出
願に係る、実願昭５９−１０４７３７号（実開昭６０−
１３７１８４号）の第１図、第２図、及び本願第３図、
第４図に示すように、ダイヤフラム(4)表裏両面の外周
部位置に、環状突起(4A),(4B)を一体に突出連設し、ダ
イヤフラム取付台(10)側に内径が小なる前記一方の環状
突起(4A)が嵌合可能で、自由状態における該環状突起(4
A)の内径よりもやや大なる内径の環状凹溝(10A)を形成
するとともに、自由状態における他方の環状突起(4B)の
内径よりもやや大なる外径を有し、かつ該環状突起(4B)
よりもフープテンションが大きくて、前記環状突起(4B)
の内面側に嵌着離脱可能なリング部材(12′)を、前記ダ
イヤフラム取付台(10)及びカバーケーシング(11)とは別
体に形成し、このリング部材(12′)を、前記ダイヤフラ
ム(4)の外周部の環状突起(4B)の内側に装着した構成の
ものであった。

＜発明が解決しようとする問題点＞ そのため、ダイヤフラム(4)をそれ自身の弾性力に抗し
て外周方向に拡張するように張力を加えながら、ダイヤ
フラム取付台(10)に装着し、なお、第３，４図に示すよ
うに、リング部材(12′)が変形しない固体であるので、
ダイヤフラム(4)の中央振動部が振動する際、外周部が
内方へ引っ張られる内応力が繰り返し加わっても、前記
のように剛体製のリング部材(12′)によってダイヤフラ
ム環状突起(4B)の自由な拡張、収縮運動が押圧され抑止
されるため、振巾が大きくなれない。従って、ポンプの
吐出風量は、軽負荷圧力になって吐出風量が大きくなる
べきところ、ポンプの吐出風量が大きくならない。ま
た、一方、共振現象からみると、ダイヤフラム(4)の中
央部が振動する際、剛体製リングのためダイヤフラム環
状突起は強固に張られているので、ダイヤフラムゴムは
その平面部のみで伸縮振巾が制限されて振動系のスティ
フネスが大きくなるので、振幅が大きくなるほど固有共
振周波数が高くずれてしまい、駆動電源周波数との同調
が大きく狂うので、ポンプ効率は大巾に低下する欠点が
あった。

すなわち、一定形状の従来のリングでは、ダイヤフラム
の弾性が、使用圧力によって大きく変動して、変位が小
さくなるという不都合があった。

本発明はかかる実情に鑑み、全く新しい技術思想のもと
に開発したリング部材によって、ポンプ性能の向上と長
期安定化を図らんとする点に目的を有する。

＜問題点を解決するための手段＞ 上記の目的を達成するために案出された本発明に係るダ
イヤフラムエアーポンプのダイヤフラム(4)の振幅の大
小により外径が変化する、一部切欠部(15)を有するＣ字
形のリング部材(12)を、ダイヤフラム(4)の外周部に一
体的に突出連設した環状突起(4B)の内側に嵌合装着した
ことを特徴とする。

＜作用＞ 上記のような特徴構成を有する本発明に係るダイヤフラ
ムエアーポンプのダイヤフラム拡張支持装置によれば、
ダイヤフラム(4)他面側の環状突起(4B)の内面側に、前
記のダイヤフラム(4)の振幅の大小により外径が変化す
る一部切欠部(15)を有するリング部材(12)を嵌着するこ
とにより、前記ダイヤフラム(4)の環状突起付根部分の
変形を矯正し、ダイヤフラム(4)全体を所期通りに拡張
して設計通りの弾発力を発揮させることができ、また、
その上、ポンプの実作動に伴なうダイヤフラム(4)の大
振巾振動を可能にして吐出風量を増大するとともに、振
動系の実効スティフネスが増大しないので、固有共振周
波数はダイヤフラム中心部の振動巾が増減しても、リン
グ部材(12)の直径を自動的に変動することによって初期
の設定値を長期に渉り一定に維持できる。

この作用は、ダイヤフラム(4)の振幅が大小に増減する
と、第２ａ図、第２ｂ図のようにリング部材(12)の切欠
部(15),(15′)の寸法が伸縮して、自動的にダイヤフラ
ム(4)の拡張量を増減するものである。

＜実施例＞ 以下本発明の実施例を図面（第１図、第２図、第５図、
第６図）に基づいて詳述する。

ゴム製のダイヤフラム(4)の一面側に、その外周に沿っ
て同芯円状の環状突起(4A)を一体に突出連設するととも
に、ダイヤフラム取付台(10)側には、前記環状突起(4A)
の半径方向の肉厚と等しいか、またはほぼ等しい巾を有
するとともに、自由状態における前記ダイヤフラム(4)
の環状突起(4A)の内径(d)よりもやや大なる内径(D)を有
する環状凹溝(10A)を形成し、もって前記環状突起(4A)
を環状凹溝(10A)内に嵌合させることによりダイヤフラ
ム(4)を、前記内径(D)と(d)の差（△Ｄ_１＝Ｄ−ｄ）だ
け半径方向に拡張して取付台(10)に装着可能にしてあ
る。一方、ダイヤフラム(4)の他面側にも、その外周に
沿って同芯円状の環状突起(4B)を一体に突出連設すると
ともに、自由状態における前記ダイヤフラム(4)の環状
突起(4B)の内径(d′)よりもやや大なる外径(D′)を有
し、具体的には前者環状突起(4A)と環状凹溝(10A)との
内径差(△D₁)と等しいか、又はほぼ等しい径の差(△Ｄ
_２＝Ｄ′−ｄ′)を有し、かつ前記環状突起(4B)よりも
フープテンションの大なるピアノ線で一部に切欠部のあ
るリング部材(12)を、前記ダイヤフラム取付台(10)及び
カバーケーシング(11)とは別体に形成し、このリング部
材(12)を、ダイヤフラム取付台(10)に前者環状突起(4A)
を、環状凹溝(10A)内に嵌合させる状態で装着したダイ
ヤフラム(4)の後者環状突起(4B)の内面側に第１図の如
く嵌着させ、かつ、その上からカバーケーシング(11)
を、その端面において環状突起(4B)及びリング(12)を、
取付台(10)にボルトを介して固定連結することによりダ
イヤフラムエアーポンプを完成させたものである。なお
第１図において他の構成はこの種の一般的なポンプと全
く同じである。

上記のような実施例においては、リング部材(12)はダイ
ヤフラム(4)の内部において、内方へ収縮する力に抗し
て環状突起(4B)を内方から外方に向けて、フープテンシ
ョンによる押圧力を加えつつ、ダイヤフラム(4)を拡張
支持している。

そして、ポンプの吐出風量(F)は、第１図、第３図、第
５図に示すように、Ｆ＝ダイヤフラム実効面積(a)×変
位(d₀)によって表わされている。そして、実効面積(a)
は外径が定まれば自ずと定まる定数であって、振巾とは
無関係である。振巾の変位(d₀)はダイヤフラム(4)の振
動系の実効スティフネス(S)によって定まる。即ち、変
位はダイヤフラム(4)の材質、厚さなどによるがそれら
が、いずれも一定とすると、ダイヤフラム(4)の内部の
内応力による変化が大きい。この場合、第３図のような
従来例においては、ダイヤフラム(4)の外周部の環状突
起(4B)が、堅固にリング部材(12)によって抑止されてい
るから、ダイヤフラム(4)の振動につれて、外周部が内
方へ引っ張られる応力が働いても、ダイヤフラム(4)は
振巾を抑止されて、ある程度の振巾以上は振動しない。

即ち、振動系の実効スティフネス(S)が大きいので、変
位(d₂)は大きくならない。従って、Ｆ＝(a)×(d₂)の値
も大きくならないので、吐出風量は小さい。つまり、第
５図の点線で示すカーブのように、振巾(d₂)が小さく押
さえられるので、吐出風量Ｆ＝(a)×(d₂)は小さく能率
が低い。

一方、この発明のポンプでは、ダイヤフラム(4)の外周
に一体形成した環状突起(4B)が、一部に切欠部を有する
リング部材(12)によって内方より外方へ向けてフープテ
ンションをもって、加圧されているとともに、環状突起
(4B)の外周がダイヤフラム(4)の振動によって、内方へ
収縮する方向に、内応力が働くと、それに追随してリン
グ部材(12)の外周が収縮して、切欠部(15)の間隙が縮ま
って、環状突起(4B)の内応力を吸収できる。またその逆
に環状突起(4B)が外方へ拡張すると、それに追随してリ
ング材(12)の切欠部(15)の間隙が拡がって、環状突起(4
B)の内応力による外形の変化を自由に行わしめる。この
ように、ダイヤフラム(4)の環状突起(4B)の収縮、拡張
する運動は、応動するリング部材(12)の弾性によって抑
制されずに自由に行えるので、ダイヤフラム(4)の振動
振巾(d₁)は第１図のように大きくとれる。従って、ポン
プの吐出風量Ｆ＝(a)×(d₁)は大きくとれる。即ち、高
能率のポンプとなる。

さらに、本発明を第６図について説明する。

従来のリング部材(12′)の場合、ダイヤフラム(4)の静
止時の拡張量は２mm程度であるが、ダイヤフラム(4)の
中央振動部の振動による変位に比例して３〜４mmまで増
大し、ダイヤフラム(4)の弾発力を必要以上に強くする
ため、その振動系の固有周波数を引き上げ、駆動電源周
波数との同調を著しく狂わし、効率は下り、吐出風量が
大きく減少する。

これに対して、本発明の一部に切欠部を有するリング部
材(12)の場合、静止時拡張量２．５mmを理想拡張量（３
mm）即ち同調時の拡張量に近付けておいても、最大振巾
時でも、その切欠部(15)が、ダイヤフラム(4)の振動に
応動して自動的に縮まって、拡張量の増加を抑えて、最
大限の張りでも(３．５mm)に止めることができるので、
振動系の固有共振周波数の変動を極力抑え、ポンプの効
率をより良く維持することができ、吐出風量が増大す
る。即ち、ダイヤフラム(4)の形状の変化に応じて自己
の外径を自動的に伸縮対応せしめて、ダイヤフラム(4)
の弾発力の変化を抑え、同調振動状態を広範囲駆動に亘
って保ち、常に効率よく最大の吐出風量を得られる。

＜その他の実施例＞ このように、この発明においては、ダイヤフラムの外周
部に形成された環状突起を、内方から外方へ押圧力を加
えながら保持し、ダイヤフラムの振動によって生ずる環
状突起の収縮、拡張運動に追随して、収縮、拡張する切
欠部を有するピアノ線のような剛体製の弾性体のリング
部材を用いることによって、ダイヤフラムの振動を自由
ならしめているが、これ以外に例えば、ウレタンゴムの
リング体、あるいはコイルスプリングをリング形状に巻
いたものなどを用いても、同等の効果を挙げることがで
きる。また、リング部材(12)は、ダイヤフラム(4)と上
・下両面に嵌着することもできる。

以上本発明の代表的と思われる実施例について説明した
が、本発明は必ずしもこれらの実施例構造のみに限定さ
れるものではなく、本発明にいう構成要件を備えかつ、
本発明にいう目的を達成し、以下にいう効果を有する範
囲内において適宜改変して実施することができるもので
ある。

＜発明の効果＞ 従って、本発明による時は、 (1) ダイヤフラム取付台(10)及びカバーケーシング(1
1)は、従来のダイヤフラム拡張支持装置の場合と同様な
構成で何等改造の要なく、ダイヤフラム(4)の振幅の大
小により、外径が追随して変化する、一部切欠部(1)を
有するＣ字形リング部材12を付加するだけの簡単でかつ
安価な手段でありながら、 (2) 振動系の質量に見合った弾発力を確実に現出しか
つ維持させて、該振動系の固有振動数と駆動電源周波数
との同調による最大効率のポンプ作動を長期に亘って安
定化できる。

(3) しかも、ダイヤフラム(4)の振幅により、外径が追
随して変化する別体の、一部切欠部(15)を有するＣ字形
のリング部材(12)の使用によって、例えばカバーケーシ
ング(11)側にそれと同様な機能の環状突起を一体突出形
成する場合に比べて、寸法的に高精度なものを得易くて
前記(2)項でいうところのポンプ性能を一段と向上でき
るとともに、 (4) 全体の組付けが容易である。

以上の如く、本発明のダイヤフラムエアーポンプのダイ
ヤフラム拡張支持装置は全く新しい技術思想に基づくも
ので、ダイヤフラム(4)の振幅の変化に従って拡張リン
グ(12)の一部を切欠して、Ｃ字形とすることによって、
自動的にダイヤフラム(4)の弾力を増減し、振幅の増大
と振動部の固有振動周波数を駆動電源周波数に近く保持
するという２つの効果をえることができ、タイヤフラム
エアーポンプの性能を著しく向上させ得るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例の上半部欠切断面外観図、
第２a図は第１図のカバーケーシングを取り除いた平面
図、第２b図は第２a図の拡張リングの切欠部が開いたと
ころを示す図、第３図は従来例のポンプの上半部欠切断
面外観図、第４図は第３図のカバーケーシングを取り除
いた平面図、第５図はこの発明装置を有するポンプと、
従来例の入力−振巾特性を表す図、第６図はこの発明装
置を有するポンプと従来例の振巾−同調度及び振巾−拡
張量の関係を比較して表した図である。 図中、(4)はダイヤフラム、(4B)は環状突起、(12)はＣ
字形リング部材、(15)は一部切欠部である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ゴム製ダイヤフラムの振幅の大小により、
   外径が追随して変化する、一部切欠部(15)を有するＣ字
   形リング部材(12)を、ダイヤフラム(4) の外周部に一体
   的に突出連設した環状突起(4B)の内側に、嵌合装着した
   ことを特徴とするダイヤフラムエアーポンプのダイヤフ
   ラム拡張支持装置。