JPH0641641A - 耐震特性と耐候性に優れた鋼管または角管の製造方法 - Google Patents
耐震特性と耐候性に優れた鋼管または角管の製造方法Info
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- JPH0641641A JPH0641641A JP19558392A JP19558392A JPH0641641A JP H0641641 A JPH0641641 A JP H0641641A JP 19558392 A JP19558392 A JP 19558392A JP 19558392 A JP19558392 A JP 19558392A JP H0641641 A JPH0641641 A JP H0641641A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 耐震特性と耐候性に優れた鋼管または角管の
製造方法を提供する。 【構成】 Cu:0.10〜2.0%、P:0.070
〜0.150%の1種または2種を含む低合金鋼鋼管ま
たは角管を、Ac3+20℃以上に加熱し、引き続き10
℃/sec以下の冷却速度で200℃以下の温度まで冷
却し、必要に応じて200〜600℃の温度範囲で焼戻
しを行なうことによって、耐震特性と耐候性に優れた鋼
管または角管を得ることができる。 【効果】 特別に高価な合金元素を使用することなく、
40kgf/mm2以上の高強度を有する、耐震特性と
耐候性に優れる鋼管または角管を、安価に製造可能とす
る。
製造方法を提供する。 【構成】 Cu:0.10〜2.0%、P:0.070
〜0.150%の1種または2種を含む低合金鋼鋼管ま
たは角管を、Ac3+20℃以上に加熱し、引き続き10
℃/sec以下の冷却速度で200℃以下の温度まで冷
却し、必要に応じて200〜600℃の温度範囲で焼戻
しを行なうことによって、耐震特性と耐候性に優れた鋼
管または角管を得ることができる。 【効果】 特別に高価な合金元素を使用することなく、
40kgf/mm2以上の高強度を有する、耐震特性と
耐候性に優れる鋼管または角管を、安価に製造可能とす
る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、構造物の製作に用いら
れる鋼管または角管を対象とし、地震発生時に倒壊まで
の充分な抵抗力を有し、かつ塗覆装を省略しても大気腐
食環境において優れた耐食性を有する、耐震特性と耐候
性に優れた鋼管または角管の製造方法に関するものであ
る。
れる鋼管または角管を対象とし、地震発生時に倒壊まで
の充分な抵抗力を有し、かつ塗覆装を省略しても大気腐
食環境において優れた耐食性を有する、耐震特性と耐候
性に優れた鋼管または角管の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年鉄鋼材料を扱う各分野にわたって、
競争力向上のための使用特性の向上、製造コストの低減
など各種の要求が高まっている。
競争力向上のための使用特性の向上、製造コストの低減
など各種の要求が高まっている。
【0003】このうち建築分野では、構造物の安全性向
上のため、特に耐震特性向上のために降伏比の低下が望
まれている。これまでは主に厚板分野での要求が強かっ
たが、最近では鋼管分野でこの要求が高まっている。
上のため、特に耐震特性向上のために降伏比の低下が望
まれている。これまでは主に厚板分野での要求が強かっ
たが、最近では鋼管分野でこの要求が高まっている。
【0004】電縫鋼管の低降伏比化に関しては、成形の
際の加工硬化による降伏比上昇を押える対策があるが、
降伏比低減に限度がある。これに対して鋼管成形後の熱
処理で降伏比を低減させるという試みがなされている。
例えば特開平3−87318号公報は、成形後に鋼管ま
たは角管を(α+γ)2層域に加熱後急冷し、鋼のミク
ロ組織をフェライトと第2相の炭化物の2相組織として
降伏点を下げ、引っ張り強さを高めることによって、降
伏比を低減させることが知られている。
際の加工硬化による降伏比上昇を押える対策があるが、
降伏比低減に限度がある。これに対して鋼管成形後の熱
処理で降伏比を低減させるという試みがなされている。
例えば特開平3−87318号公報は、成形後に鋼管ま
たは角管を(α+γ)2層域に加熱後急冷し、鋼のミク
ロ組織をフェライトと第2相の炭化物の2相組織として
降伏点を下げ、引っ張り強さを高めることによって、降
伏比を低減させることが知られている。
【0005】また一方、構造物でも大気中にさらされる
場合は、大気中での腐食を防止するために構造物に塗覆
装を行なうのが一般的であるが、例えば橋梁等のような
大規模な鋼構造物では腐食防止のための塗覆装費用が莫
大となる。また腐食を防止するために、例えばステンレ
ス鋼を用いた場合、ステンレス鋼は通常11%以上のC
rを含有するため、耐食性には優れるが価格が高く、塗
覆装よりもむしろ費用がかかると考えられる。以上の理
由により、大気腐食環境において塗覆装なしで用いられ
る構造部材用鋼には、比較的安価で使用環境に対して必
要にして充分な耐食性を有する必要性が知られている。
場合は、大気中での腐食を防止するために構造物に塗覆
装を行なうのが一般的であるが、例えば橋梁等のような
大規模な鋼構造物では腐食防止のための塗覆装費用が莫
大となる。また腐食を防止するために、例えばステンレ
ス鋼を用いた場合、ステンレス鋼は通常11%以上のC
rを含有するため、耐食性には優れるが価格が高く、塗
覆装よりもむしろ費用がかかると考えられる。以上の理
由により、大気腐食環境において塗覆装なしで用いられ
る構造部材用鋼には、比較的安価で使用環境に対して必
要にして充分な耐食性を有する必要性が知られている。
【0006】すなわち、低降伏比の鋼管または角管の製
造方法が知られているが、これに耐候性を付与した鋼管
または角管の製造方法は知られていない。
造方法が知られているが、これに耐候性を付与した鋼管
または角管の製造方法は知られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】建築用耐震耐候鋼管ま
たは角管として、引っ張り強さ40〜60キロレベルで
降伏比80%以下と耐候の複合特性要求がある。
たは角管として、引っ張り強さ40〜60キロレベルで
降伏比80%以下と耐候の複合特性要求がある。
【0008】また、耐震構造用として必要な鋼材の材質
特性として最近、降伏比だけでなく応力−歪曲線の形状
が注目されだした。つまり、鋼材が充分な塑性伸び能力
を持つためには、図1、図2で示したAc の増加が必要
であると言われ始めている。そのためには、YRの低下
は勿論であるが、さらに降伏点伸びの増大によってこれ
が達成できる。図1と図2を比較すると明かなように、
耐震構造用としては図2のような鋼材が適していると言
える。
特性として最近、降伏比だけでなく応力−歪曲線の形状
が注目されだした。つまり、鋼材が充分な塑性伸び能力
を持つためには、図1、図2で示したAc の増加が必要
であると言われ始めている。そのためには、YRの低下
は勿論であるが、さらに降伏点伸びの増大によってこれ
が達成できる。図1と図2を比較すると明かなように、
耐震構造用としては図2のような鋼材が適していると言
える。
【0009】つまり橋梁に用いられる鋼材は、耐震特性
の観点から低YRで降伏点伸びを有し、また大気中での
腐食を防止する際、莫大な塗覆装費用やCr添加のよう
な合金化費用を削減するために、普通鋼での耐候性向上
要求がある。
の観点から低YRで降伏点伸びを有し、また大気中での
腐食を防止する際、莫大な塗覆装費用やCr添加のよう
な合金化費用を削減するために、普通鋼での耐候性向上
要求がある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、耐候性を
付与するために多数の実験と詳細な検討を加えた結果、
CuやPの添加が耐候性向上に有効であることを確認し
た。
付与するために多数の実験と詳細な検討を加えた結果、
CuやPの添加が耐候性向上に有効であることを確認し
た。
【0011】同時に降伏比を低下させるため、鋼のミク
ロ組織をフェライトと第2相(パーライト)の2相組織
とし、降伏点を下げ、引っ張り強さを高めるようにした
ものである。また降伏比を下げ、かつ充分な降伏点伸び
を出すためには、フェライト組織を歪みのないクリーン
なフェライトにすることが重要であることを確認した。
ロ組織をフェライトと第2相(パーライト)の2相組織
とし、降伏点を下げ、引っ張り強さを高めるようにした
ものである。また降伏比を下げ、かつ充分な降伏点伸び
を出すためには、フェライト組織を歪みのないクリーン
なフェライトにすることが重要であることを確認した。
【0012】本発明は、このような知見に基づき、耐震
特性と耐候性に優れた角管の製造を可能にしたもので、
その要旨とするところは、重量%にて、Cu:0.10
〜2.0%、P:0.070〜0.150%の1種また
は2種を含む低合金鋼鋼管または角管を、Ac3+30℃
以上に加熱し、引き続き10℃/sec以下の冷却速度
で200℃以下の温度範囲まで冷却し、その後必要に応
じて200〜600℃の温度範囲で焼戻しすることを特
徴とする、耐震特性と耐候性に優れた鋼管または角管の
製造方法である。
特性と耐候性に優れた角管の製造を可能にしたもので、
その要旨とするところは、重量%にて、Cu:0.10
〜2.0%、P:0.070〜0.150%の1種また
は2種を含む低合金鋼鋼管または角管を、Ac3+30℃
以上に加熱し、引き続き10℃/sec以下の冷却速度
で200℃以下の温度範囲まで冷却し、その後必要に応
じて200〜600℃の温度範囲で焼戻しすることを特
徴とする、耐震特性と耐候性に優れた鋼管または角管の
製造方法である。
【0013】ところでCuやPが耐候性を向上する理由
は、次のように考えている。つまり通常鋼が大気にさら
された時に生成するさび層は、地鉄と外層FeOOHで
構成されているが、これにCuやPが添加されると、地
鉄と外層FeOOHの間に非晶質の酸化鉄が約50〜1
00μmの厚さ生成し、その中にCuやPが濃縮してい
て、この層が耐候性に寄与していると考える。
は、次のように考えている。つまり通常鋼が大気にさら
された時に生成するさび層は、地鉄と外層FeOOHで
構成されているが、これにCuやPが添加されると、地
鉄と外層FeOOHの間に非晶質の酸化鉄が約50〜1
00μmの厚さ生成し、その中にCuやPが濃縮してい
て、この層が耐候性に寄与していると考える。
【0014】
【作用】本発明においては、加熱温度をAc3変態点以上
とし、その後徐冷することによって、パイプ成形やその
後の角管成形での加工硬化の影響を除去しつつ、クリー
ンフェライト+パーライトの2相鋼化を達成することに
成功している。
とし、その後徐冷することによって、パイプ成形やその
後の角管成形での加工硬化の影響を除去しつつ、クリー
ンフェライト+パーライトの2相鋼化を達成することに
成功している。
【0015】さらに焼戻し温度を低くすることによっ
て、第2相の部分を必要以上に軟化させないことの相乗
効果により、耐震特性に優れた鋼管または角管の製造を
可能にしたものである。
て、第2相の部分を必要以上に軟化させないことの相乗
効果により、耐震特性に優れた鋼管または角管の製造を
可能にしたものである。
【0016】次に本発明の鋼管製造、角管成形、加熱、
冷却、テンパーの条件について述べる。
冷却、テンパーの条件について述べる。
【0017】まず、鋼管の製造については特に規定はな
く、どのような方法でも許容される。例えば鋼管はその
製造方法から、シームレス鋼管、電縫鋼管、UO鋼管、
スパイラル鋼管、鍛接管等に分類できるが、本発明はこ
れらどの製造方法でも許容される。これは、その後の熱
処理での加熱温度を加工歪が除去される温度に規定する
ためである。
く、どのような方法でも許容される。例えば鋼管はその
製造方法から、シームレス鋼管、電縫鋼管、UO鋼管、
スパイラル鋼管、鍛接管等に分類できるが、本発明はこ
れらどの製造方法でも許容される。これは、その後の熱
処理での加熱温度を加工歪が除去される温度に規定する
ためである。
【0018】また同様の理由により、鋼管から角管への
加工方法についても特に規定はない。また角管の場合、
丸管から角管に成形したものでなくとも許容される。こ
の例としては平板を溶接して角管製造する方法等がある
が、もちろん許容される。また成形後の形状を角管とし
たが、これは断面形状が正方形の角形鋼管を始め、それ
以外の広義の異形鋼管を含んでいる。
加工方法についても特に規定はない。また角管の場合、
丸管から角管に成形したものでなくとも許容される。こ
の例としては平板を溶接して角管製造する方法等がある
が、もちろん許容される。また成形後の形状を角管とし
たが、これは断面形状が正方形の角形鋼管を始め、それ
以外の広義の異形鋼管を含んでいる。
【0019】次に鋼管または角管の加熱温度をAc3変態
点以上にしたのは、この温度範囲に加熱することによっ
て、冷却後の2相鋼化を達成しつつ成形歪の除去を同時
に狙ったためである。すなわち、加熱温度がAc3変態点
以下だと、2相鋼化するものの、フェライトに加工歪が
残存するためにフェライトの強度が高く、結果的に低降
伏比を達成することができない。
点以上にしたのは、この温度範囲に加熱することによっ
て、冷却後の2相鋼化を達成しつつ成形歪の除去を同時
に狙ったためである。すなわち、加熱温度がAc3変態点
以下だと、2相鋼化するものの、フェライトに加工歪が
残存するためにフェライトの強度が高く、結果的に低降
伏比を達成することができない。
【0020】Ac3加熱後の冷却速度を10℃/sec以
下にする理由は、再加熱時にオーステナイト化してCの
濃化した部分からクリーンフェライトとパーライトの2
相組織とすることで、引っ張り強さを高め低降伏比を得
るためである。冷却速度が大きいと、オーステナイトか
らフェライト+パーライトへの変態が不十分となり、第
2相にベーナイトやマルテンサイトの含まれた組織とな
るため、降伏比は低いが降伏点伸びがなく、結局耐震特
性の劣化した材質となる。冷却速度が10℃/sec以
下であれば良いということで、通常は空冷を採用する
が、冷却速度を満足すればその方法は問わない。
下にする理由は、再加熱時にオーステナイト化してCの
濃化した部分からクリーンフェライトとパーライトの2
相組織とすることで、引っ張り強さを高め低降伏比を得
るためである。冷却速度が大きいと、オーステナイトか
らフェライト+パーライトへの変態が不十分となり、第
2相にベーナイトやマルテンサイトの含まれた組織とな
るため、降伏比は低いが降伏点伸びがなく、結局耐震特
性の劣化した材質となる。冷却速度が10℃/sec以
下であれば良いということで、通常は空冷を採用する
が、冷却速度を満足すればその方法は問わない。
【0021】ところで、鋼種によっては加熱後冷却だけ
では靭性のよくないものがあり、靭性改善のために冷却
後焼戻し処理の必要な場合がある。その際焼戻し温度と
しては、フェライトと第2相の炭化物の2相組織につい
て、その前の急冷で充分硬化した第2相部分をあまり高
温で焼戻すと軟化しすぎ、これが引っ張り強さの低下つ
まり降伏比の上昇の原因となるため、上限を600℃と
した。しかし焼戻し温度が低くて、200℃未満になる
とほとんど焼戻しの効果がなくなり、靭性が改善されな
い場合があるため、その下限を200℃とした。
では靭性のよくないものがあり、靭性改善のために冷却
後焼戻し処理の必要な場合がある。その際焼戻し温度と
しては、フェライトと第2相の炭化物の2相組織につい
て、その前の急冷で充分硬化した第2相部分をあまり高
温で焼戻すと軟化しすぎ、これが引っ張り強さの低下つ
まり降伏比の上昇の原因となるため、上限を600℃と
した。しかし焼戻し温度が低くて、200℃未満になる
とほとんど焼戻しの効果がなくなり、靭性が改善されな
い場合があるため、その下限を200℃とした。
【0022】成分の規定に関しては、特許請求範囲の項
で述べた通りであるが、各成分の規定範囲の根拠を以下
に述べる。
で述べた通りであるが、各成分の規定範囲の根拠を以下
に述べる。
【0023】Cは鋼材の強度を高める作用があり、0.
05%以上添加されるが、0.30%を越えて添加され
ると靭性を著しく劣化するため、その含有量を0.05
〜0.30%とした。
05%以上添加されるが、0.30%を越えて添加され
ると靭性を著しく劣化するため、その含有量を0.05
〜0.30%とした。
【0024】Siは固溶体強化作用があり、鋼材の強度
および延性を改善する作用があり、0.02%以上添加
されるが、0.50%を越えて添加されると鋼材の靭性
を劣化するため、その含有量を0.02〜0.50%と
した。
および延性を改善する作用があり、0.02%以上添加
されるが、0.50%を越えて添加されると鋼材の靭性
を劣化するため、その含有量を0.02〜0.50%と
した。
【0025】MnもCと同様、鋼材の強度を高める作用
があり、0.30%以上添加されるが、その含有量が
2.0%を越えると製鋼作業が困難となるばかりでな
く、経済的でないことから、その含有量を0.30〜
2.0%とした。
があり、0.30%以上添加されるが、その含有量が
2.0%を越えると製鋼作業が困難となるばかりでな
く、経済的でないことから、その含有量を0.30〜
2.0%とした。
【0026】Alは製鋼段階の脱酸のために必要であ
り、その下限を0.001%とした。また、0.100
%を越えて添加されると介在物の量が増加して鋼の清浄
性が失われること、および製鋼作業に支障をきたすこと
等から、その範囲を0.001〜0.100%とした。
り、その下限を0.001%とした。また、0.100
%を越えて添加されると介在物の量が増加して鋼の清浄
性が失われること、および製鋼作業に支障をきたすこと
等から、その範囲を0.001〜0.100%とした。
【0027】Nは一般に不可避的不純物として鋼中に含
まれるものであるが、あまり低Nを狙うと製鋼上のコス
トが著しく増加するため、その下限を0.0005%と
した。またN量が増加すると鋼材の溶接性を劣化し、ま
た連続鋳造スラブの表面キズの発生等を助長するため、
その上限を0.0100%とした。
まれるものであるが、あまり低Nを狙うと製鋼上のコス
トが著しく増加するため、その下限を0.0005%と
した。またN量が増加すると鋼材の溶接性を劣化し、ま
た連続鋳造スラブの表面キズの発生等を助長するため、
その上限を0.0100%とした。
【0028】Cuは大気腐食環境での耐食性、つまり耐
候性を向上するために0.10%以上の添加が必要であ
るが、2.0%を越えて添加しても耐候性の上昇代がほ
とんどなくなるので、含有量の上限は2.0%とした。
Cuが耐候性を向上する理由は、次のように考えてい
る。つまり通常の鋼が大気中にさらされた時に生成する
さび層は、地鉄と外層FeOOHで構成されているが、
これにCuを添加すると地鉄と外層FeOOHの間に非
晶質の酸化鉄が約50〜100μmの厚さ生成し、その
中にCuが濃縮していて、この層が耐候性に寄与してい
るためと考える。
候性を向上するために0.10%以上の添加が必要であ
るが、2.0%を越えて添加しても耐候性の上昇代がほ
とんどなくなるので、含有量の上限は2.0%とした。
Cuが耐候性を向上する理由は、次のように考えてい
る。つまり通常の鋼が大気中にさらされた時に生成する
さび層は、地鉄と外層FeOOHで構成されているが、
これにCuを添加すると地鉄と外層FeOOHの間に非
晶質の酸化鉄が約50〜100μmの厚さ生成し、その
中にCuが濃縮していて、この層が耐候性に寄与してい
るためと考える。
【0029】PもCuと同様に大気腐食環境での耐食
性、つまり耐候性を向上するために0.070%以上の
添加が必要であるが、あまり多く添加すると鋼の靭性や
溶接性を劣化するため、含有量の上限は0.150%と
した。Pが耐候性を向上する理由はCuと同様、Pの濃
縮したさび層が地鉄とFeOOHの間に生成し、この層
が耐候性に寄与するためである。
性、つまり耐候性を向上するために0.070%以上の
添加が必要であるが、あまり多く添加すると鋼の靭性や
溶接性を劣化するため、含有量の上限は0.150%と
した。Pが耐候性を向上する理由はCuと同様、Pの濃
縮したさび層が地鉄とFeOOHの間に生成し、この層
が耐候性に寄与するためである。
【0030】Niは低温靭性の改善や耐食性の改善に有
用で添加されるが、高価な元素であるため、含有量は
9.5%を上限とした。
用で添加されるが、高価な元素であるため、含有量は
9.5%を上限とした。
【0031】Crは強度上昇や耐食性向上に有用で添加
されるが、多くなると低温靭性、溶接性を阻害するた
め、含有量は5.5%を上限とした。
されるが、多くなると低温靭性、溶接性を阻害するた
め、含有量は5.5%を上限とした。
【0032】Moは強度上昇に有用であるが、多くなる
と溶接性を阻害するため、含有量は2.0%を上限とし
た。
と溶接性を阻害するため、含有量は2.0%を上限とし
た。
【0033】Nbはオーステナイト粒の細粒化や強度上
昇に有用で添加されるが、多くなると溶接性を阻害する
ため、含有量の上限は0.15%とした。
昇に有用で添加されるが、多くなると溶接性を阻害する
ため、含有量の上限は0.15%とした。
【0034】Vは析出強化に有用であるが、多くなると
溶接性を阻害するため、含有量は0.3%を上限とし
た。
溶接性を阻害するため、含有量は0.3%を上限とし
た。
【0035】Tiはオーステナイト粒の細粒化に有用で
添加されるが、多くなると溶接性を阻害するため、含有
量を0.3%を上限とした。
添加されるが、多くなると溶接性を阻害するため、含有
量を0.3%を上限とした。
【0036】Bは微量の添加によって、鋼の焼入れ性を
著しく高める効果を有する。この効果を有効に得るため
には、少なくとも0.0003%を添加することが必要
である。しかし過多に添加するとB化合物を生成して、
靭性を劣化させるので、上限は0.0030%とした。
著しく高める効果を有する。この効果を有効に得るため
には、少なくとも0.0003%を添加することが必要
である。しかし過多に添加するとB化合物を生成して、
靭性を劣化させるので、上限は0.0030%とした。
【0037】Caは硫化物系介在物の形態制御に有用で
添加されるが、多くなると鋼中介在物を形成し鋼の性質
を悪化させるため、含有量は0.0080%を上限とす
る。
添加されるが、多くなると鋼中介在物を形成し鋼の性質
を悪化させるため、含有量は0.0080%を上限とす
る。
【0038】
【実施例】表1に供試鋼の化学成分を示し、表2に鋼管
または角管のサイズ、熱処理条件と、得られた鋼管の機
械的性質、および得られた鋼管を工業地帯にて4年間の
大気暴露試験を行なった際の腐食減量を示す。この時、
腐食減量にて8.0g/100cm2 を越える場合に
は、耐候性を示さないと判断した。
または角管のサイズ、熱処理条件と、得られた鋼管の機
械的性質、および得られた鋼管を工業地帯にて4年間の
大気暴露試験を行なった際の腐食減量を示す。この時、
腐食減量にて8.0g/100cm2 を越える場合に
は、耐候性を示さないと判断した。
【0039】表2で示した鋼管NoA1,B1,C1,
D1,H1,I1,J1,K1,L1,M1,N1,O
1,P1,Q1,R1,S1,T1,U1,V1はそれ
ぞれ本発明の狙いとする耐震特性(降伏比70%以下&
降伏点伸び1.0%以上)と高耐候性(4年間の大気暴
露試験での腐食減量<8.0g/100cm2 )を同時
に達成している。
D1,H1,I1,J1,K1,L1,M1,N1,O
1,P1,Q1,R1,S1,T1,U1,V1はそれ
ぞれ本発明の狙いとする耐震特性(降伏比70%以下&
降伏点伸び1.0%以上)と高耐候性(4年間の大気暴
露試験での腐食減量<8.0g/100cm2 )を同時
に達成している。
【0040】これに対し、A2,A3は加熱温度が低す
ぎるために降伏比が高くなっている(フェライトが完全
にクリーンとなっていない)。A4は加熱後の冷却速度
が高すぎるために降伏点伸びが少なくなっている。A5
は焼戻し温度が高すぎるため降伏比が高くなっている。
ぎるために降伏比が高くなっている(フェライトが完全
にクリーンとなっていない)。A4は加熱後の冷却速度
が高すぎるために降伏点伸びが少なくなっている。A5
は焼戻し温度が高すぎるため降伏比が高くなっている。
【0041】また、B2は焼戻し温度が高すぎるため降
伏比が高くなっている。C2は加熱後の冷却速度が高す
ぎるために降伏点伸びが少なくなっている。D2は加熱
温度が低すぎるために降伏比が高くなっている。またE
1,F1,G1は、CuもPも必要量を満たしていない
ために、耐候性が目標値を満足していない。
伏比が高くなっている。C2は加熱後の冷却速度が高す
ぎるために降伏点伸びが少なくなっている。D2は加熱
温度が低すぎるために降伏比が高くなっている。またE
1,F1,G1は、CuもPも必要量を満たしていない
ために、耐候性が目標値を満足していない。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【発明の効果】以上詳細に説明した通り、本発明は特別
に高価な合金元素を使用することなく、40kgf/m
m2 以上の高強度を有する低降伏比でかつ耐候性に優れ
る鋼管または角管を、安価に製造可能としたもので、産
業上その効果は大である。
に高価な合金元素を使用することなく、40kgf/m
m2 以上の高強度を有する低降伏比でかつ耐候性に優れ
る鋼管または角管を、安価に製造可能としたもので、産
業上その効果は大である。
【図1】鋼材のストレス−ストレインの関係を示す図。
【図2】鋼材のストレス−ストレンの関係を示す図。
Claims (5)
- 【請求項1】 重量%にて、Cu:0.10〜2.0
%、P:0.070〜0.150%の1種または2種を
含む低合金鋼鋼管を、Ac3+20℃以上に加熱し、引き
続き10℃/sec以下の冷却速度で200℃以下の温
度まで冷却することを特徴とする、耐震特性と耐候性に
優れた鋼管の製造方法。 - 【請求項2】 重量%にて、Cu:0.10〜2.0
%、P:0.070〜0.150%の1種または2種を
含む低合金鋼鋼管を、Ac3+20℃以上に加熱し、引き
続き10℃/sec以下の冷却速度で200℃以下の温
度まで冷却し、その後200〜600℃の温度範囲で焼
戻しすることを特徴とする、耐震特性と耐候性に優れた
鋼管の製造方法。 - 【請求項3】 重量%にて、Cu:0.10〜2.0
%、P:0.070〜0.150%の1種または2種を
含む低合金鋼角管を、Ac3+20℃以上に加熱し、引き
続き10℃/sec以下の冷却速度で200℃以下の温
度まで冷却することを特徴とする、耐震特性と耐候性に
優れた角管の製造方法。 - 【請求項4】 重量%にて、Cu:0.10〜2.0
%、P:0.070〜0.150%の1種または2種を
含む低合金鋼角管を、Ac3+20℃以上に加熱し、引き
続き10℃/sec以下の冷却速度で200℃以下の温
度まで冷却し、その後200〜600℃の温度範囲で焼
戻しすることを特徴とする、耐震特性と耐候性に優れた
角管の製造方法。 - 【請求項5】 低合金鋼鋼管または角管が、下記第1群
あるいは第2群のいずれかの成分からなる低合金鋼管ま
たは角管である請求項1、請求項2、請求項3または請
求項4に記載の耐震特性と耐候性に優れた鋼管または角
管の製造方法 第1群 重量%で、C:0.05〜0.30%、 Si:0.02〜0.50%、 Mn:0.30〜2.00%、 Al:0.001〜0.100%、 N:0.0005〜0.0100%、 Cu:0.10〜2.00%、 P:0.070〜0.150% を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる低合金
鋼 第2群 重量%で、C:0.05〜0.30%、 Si:0.02〜0.50%、 Mn:0.30〜2.00%、 Al:0.001〜0.100%、 N:0.0005〜0.0100%、 Cu:0.10〜2.00%、 P:0.070〜0.150% に加えて、 Ni:9.5%以下、 Cr:5.5%以下、 Mo:2.0%以下、 Nb:0.15%以下、 V:0.3%以下、 Ti:0.15%以下 B:0.0003〜0.0030%、 Ca:0.0080%以下のうち1種または2種以上 を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる低合金
鋼
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19558392A JPH0641641A (ja) | 1992-07-22 | 1992-07-22 | 耐震特性と耐候性に優れた鋼管または角管の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19558392A JPH0641641A (ja) | 1992-07-22 | 1992-07-22 | 耐震特性と耐候性に優れた鋼管または角管の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0641641A true JPH0641641A (ja) | 1994-02-15 |
Family
ID=16343557
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19558392A Withdrawn JPH0641641A (ja) | 1992-07-22 | 1992-07-22 | 耐震特性と耐候性に優れた鋼管または角管の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0641641A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007301574A (ja) * | 2006-05-09 | 2007-11-22 | Nakajima Steel Pipe Co Ltd | 鋼管の製造方法および鋼管の製造設備 |
-
1992
- 1992-07-22 JP JP19558392A patent/JPH0641641A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007301574A (ja) * | 2006-05-09 | 2007-11-22 | Nakajima Steel Pipe Co Ltd | 鋼管の製造方法および鋼管の製造設備 |
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