JPH0641548B2 - 制電性樹脂組成物 - Google Patents

制電性樹脂組成物

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JPH0641548B2
JPH0641548B2 JP59070894A JP7089484A JPH0641548B2 JP H0641548 B2 JPH0641548 B2 JP H0641548B2 JP 59070894 A JP59070894 A JP 59070894A JP 7089484 A JP7089484 A JP 7089484A JP H0641548 B2 JPH0641548 B2 JP H0641548B2
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vinyl
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monomers
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正幸 田中
勝治 盛岡
彰彦 岸本
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Toray Industries Inc
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は永久帯電防止性を有し、衝撃強度および曲げ弾
性率に代表される機械的性質および溶融流動性が優れた
制電性樹脂組成物に関するものである。
熱可塑性樹脂はその優れた特性によつて広汎な分野に使
用されているが、一般に電気抵抗率が高く帯電しやすい
ため、静電気に起因する種々の障害が発生する。熱可塑
性樹脂に帯電防止性を付与する方法としては吸水性の化
合物や界面活性剤を練り込んだり、成形品表面に塗布す
る方法が一般に行なわれているが、これらの方法は表面
拭取処理や水洗によつて帯電防止性が消滅したり、ある
いは成形時または成形後の経時変化に伴なつて、練込み
成分が表面にブリードアウトして素材としての品質が悪
化したり帯電防止性が低下するなどの問題があり、十分
満足できるものではない。
熱可塑性樹脂に永久帯電防止性を付与する方法として、
特開昭58−98317号公報には、例えばアクリロニ
トリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂
に代表される耐衝撃性樹脂を重合するに際し、(メタ)
アクリルアミド、ポリエチレングリコール(メタ)アク
リレートおよびスチレンスルホン酸ナトリウムなどの親
水性単量体を共重合する方法が提案されている。しかし
この方法は親水性単量体を多量に共重合すると、曲げ弾
性率や衝撃強度などの機械的性質および溶融流動性が悪
化したり、熱水やアルコールに対する耐性が悪くなるた
め、親水性単量体の共重合量には制限があり、それ故に
十分な帯電防止性を実現することが困難である。その他
に、特開昭55−36237号公報などには共役ジエン
または/およびアクリル酸エステルとアルキレンオキサ
イド基を有するビニル系単量体を共重合してなる親水性
ゴム状重合体にビニル系単量体またはビニリデン単量体
をグラフト共重合して得られるグラフト共重合体を該グ
ラフト共重合体と相溶性の熱可塑性樹脂に混合する方法
も提案されている。しかしこの方法は特殊な親水性ゴム
状重合体を使用するため、その製造方法が煩雑なこと、
および得られる樹脂組成物の機械的性質が劣る欠点があ
り十分満足できるものではない。
そこで本発明者らは機械的性質、溶融流動性および永久
帯電防止性が優れた制電性樹脂の開発を目的に鋭意検討
した結果、ゴム状重合体(a)に対してポリアルキレンオ
キサイド鎖を有するビニル系単量体を特定量以上含有す
るビニル系単量体(混合物)(b)、次いで特定のビニル
系単量体(混合物)(c)の順に乳化グラフト重合してな
るグラフト共重合体(C)を特定のビニル系重合体(A)およ
び/またはグラフト共重合体(B)に混合することによ
り、上記目的が効率的に達成されることを見出し本発明
に到達した。
すなわち本発明は(A)芳香族ビニル系単量体、(メタ)
アクリル酸エステル系単量体およびシアン化ビニル系単
量体よりなる群から選ばれた少なくとも1種のビニル系
単量体を重合してなるビニル系重合体、(B)ゴム状重合
体5〜80重量部の存在下に、芳香族ビニル系単量体、
(メタ)アクリル酸エステル系単量体およびシアン化ビ
ニル系単量体よりなる群から選ばれた少なくとも1種の
ビニル系単量体95〜20重量部を重合してなるグラフ
ト共重合体および(C)(a)ゴム状重合体7〜90重量部の
存在下に(b)下記式(I)および/または式(II)で表
わされるポリアルキレンオキサイド鎖を有するビニル系
単量体70〜100重量%および該ビニル系単量体と共
重合可能な他のビニル系単量体30〜0重量%からなる
ビニル系単量体またはビニル系単量体混合物7〜90重
量部を乳化重合し、重合を実質的に完結させた後、次い
で(c)芳香族ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エス
テル系単量体およびシアン化ビニル系単量体よりなる群
から選ばれた少なくとも1種のビニル系単量体3〜60
重量部を仕込み乳化重合してなるグラフト共重合体であ
って、グラフト共重合に用いた全単量体における下記式
(I)および/または式(II)で表わされるポリアルキ
レンオキサイド鎖を有するビニル系単量体の割合が50
重量%を越えることを必須とするグラフト共重合体
((a)、(b)および(c)の合計は100重量部)を(A)およ
び/または(B)60重量部超99重量部以下並びに(C)1
重量部以上40重量部未満で、かつ(A)、(B)および(C)
の合計が100重量部となる割合で配合してなる制電性
樹脂組成物を提供するものである。
(式中R1、R3は水素原子または炭素数1〜4のアルキ
ル基、R2は水素原子またはメチル基を表わす。nは2
〜100の整数を表わす。) すなわち、本発明の組成物は、ビニル系重合体(A)およ
び/またはグラフト共重合体(B)並びにグラフト共重合
体(C)を特定量配合して得られる。
本発明におけるビニル系重合体(A)とは芳香族ビニル系
単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体およびシ
アン化ビニル系単量体よりなる群から選ばれた少なくと
も1種のビニル系単量体を重合してなるビニル系重合体
である。芳香族ビニル系単量体の具体例としてはスチレ
ン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t
−ブチルスチレンおよびビニルトルエンなどが、(メ
タ)アクリル酸エステル系単量体の具体例としてはメタ
クリル酸メチル、メタクリル酸エチルおよびアクリル酸
メチルなどが、またシアン化ビニル系単量体の具体例と
してはアクリロニトリルおよびメタクリロニトリルなど
が挙げられる。これらの中から1種または2種以上を選
んで用いることができる。上記単量体以外にも無水マレ
イン酸、N−フエニルマレイミド、N−メチルマレイミ
ド、アクリル酸およびメタクリル酸など上記単量体と共
重合可能なビニル系単量体を本発明の効果が損なわれな
い範囲で併用することができる。ビニル系重合体(A)の
製造法に関しては特に制限はなく、塊状重合、懸濁重
合、乳化重合、溶液重合および塊状−懸濁重合など通常
公知の方法で重合することができる。
本発明におけるグラフト共重合体(B)とはゴム状重合体
5〜80重量部、好ましくは10〜70重量部の存在下
に、芳香族ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステ
ル系単量体およびシアン化ビニル系単量体よりなる群か
ら選ばれた少なくとも1種のビニル系単量体95〜20
重量部、好ましくは90〜30重量部を重合してなるグ
ラフト共重合体である。ゴム状重合体としては、例えば
ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴ
ム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムおよび
ポリイソプレンゴムなどの共役ジエン系ゴム、ポリアク
リル酸ブチルなどのアクリル系ゴムおよびエチレン−プ
ロピレン−非共役ジエン三元共重合体ゴム(EPDM)
などのポリオレフイン系ゴムなどが用いられる。芳香族
ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体
およびシアン化ビニル系単量体の具体例としては前記ビ
ニル系重合体(A)で説明したものが挙げられる。これら
ビニル系単量体以外にも無水マレイン酸、N−フエニル
マレイミド、N−メチルマレイミド、アクリル酸および
メタクリル酸などの他のビニル系単量体を本発明の効果
を損なわない範囲で併用することもできる。グラフト共
重合体(B)においてゴム状重合体とビニル系単量体の割
合はゴム状重合体5〜80重量部、好ましくは10〜7
0重量部に対してビニル系単量体95〜20重量部、好
ましくは90〜30重量部である。この範囲外の割合で
はグラフト共重合体(B)の耐衝撃性樹脂または衝撃改質
剤としての性能が十分発揮されないため好ましくない。
グラフト共重合体(B)の製造方法に関しては特に制限は
なく、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、溶液重合および
塊状−懸濁重合など通常公知の方法で重合することがで
きる。
本発明におけるグラフト共重合体(C)とはゴム状重合体
(a)7〜90重量部の存在下にポリアルキレンオキサイ
ド鎖を有するビニル系単量体(以下、PEG系ビニル系
単量体と呼ぶ)を70〜100重量%および該PEG系
ビニル単量体と共重合可能な他のビニル系単量体30〜
0重量%からなるビニル系単量体またはビニル系単量体
混合物(以下ビニル系単量体(混合物)(b)と呼ぶ)7
〜90重量部を乳化重合し、重合を実質的に完結させた
後、次いで芳香族ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸
エステル系単量体およびシアン化ビニル系単量体よりな
る群から選ばれた少なくとも1種のビニル系単量体(以
下、ビニル系単量体(c)と呼ぶ)3〜60重量部を仕込
み乳化重合してなるグラフト共重合体であって、グラフ
ト共重合体に用いた全単量体における下記式(I)および
/または式(II)で表わされるポリアルキレンオキサイド
鎖を有するビニル系単量体の割合が50重量%を越える
ことを必須とするグラフト共重合体である。
グラフト共重合体(C)におけるゴム状重合体(a)の具体例
としてはポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共
重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴ
ムおよびポリイソプレンゴムなどの共役ジエン系ゴム、
ポリアクリル酸ブチルゴムなどのアクリル系ゴム、エチ
レン−プロピレン−非共役ジエン三元共重合体ゴム(E
PDM)およびエチレン−プロピレン共重合体ゴム(E
PR)などのポリオレフイン系ゴム等が挙げられる。ゴ
ム状重合体(a)の形状に関しては特に制限はないが、ラ
テツクス状のものが乳化グラフト重合を行なうのに便利
であり、好ましくは用いられる。
グラフト共重合体(C)におけるビニル系単量体(混合
物)(b)のうち、PEG系ビニル単量体とは下記式
(I)および/または式(II)で表わされるポリアルキ
レンオキサイド鎖を有するビニル系単量体である。
(I)式および(II)式中、R1、R3は水素原子または
炭素数1〜4のアルキル基、R2は水素原子またはメチ
ル基を表わす。nは2〜100、好ましくは4〜50、
特に好ましくは5〜30の整数を表わす。nが2未満で
は制電性が不十分であり、100を越える場合は単量体
の重合性が劣るため好ましくない。PEG系ビニル単量
体は上記(I)式および/または(II)式で表わされる
ポリアルキレンオキサイド鎖を有するビニル系単量体で
あれば特に制限はないが、具体例としてはポリエチレン
グリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメタ
クリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレ
ート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレー
ト、ポリエチレングリコールマレート、メトキシポリエ
チレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコ
ールアクリルアミド、メトキシポリエチレングリコール
アクリルアミド、ポリエチレングリコールジアクリレー
トおよびポリエチレングリコールジメタクリレートなど
を挙げることができ、これらを2種以上併用してもよ
い。ビニル系単量体(混合物)(b)のうち、PEG系ビ
ニル単量体と共重合可能な他のビニル系単量体に関して
は特に制限はないが、例えばスチレン、p−メチルスチ
レン、p−t−ブチルスチレン、α−メチルスチレンな
どの芳香族ビニル系単量体、アクリロニトリル、メタク
リロニトリルなどのシアン化ビニル系単量体およびメタ
クリル酸メチル、アクリル酸メチルなどの(メタ)アク
リル酸エステル系単量体などを挙げることができる。ま
たN−ビニルピロリドン、2−ヒドロキシエチルメタク
リレート、アクリルアミドおよびスチレンスルホン酸ナ
トリウムなどの親水性単量体、ジビニルベンゼン、イソ
シアヌル酸トリアリルなどの多官能性ビニル系単量体、
無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、N−フエ
ニルマレイミドなどのビニル系単量体を用いることもで
きる。ビニル系単量体(混合物)(b)におけるPEG系
ビニル単量体と他のビニル系単量体の割合はPEG系ビ
ニル単量体70〜100重量%に対して他のビニル系単
量体30〜0重量%である。PEG系ビニル単量体の割
合が70重量%未満では制電性が十分発揮されないので
好ましくない。
グラフト共重合体(C)におけるビニル系単量体(c)とは芳
香族ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単
量体およびシアン化ビニル系単量体よりなる群から選ば
れた少なくとも1種のビニル系単量体であり、その具体
例としてはグラフト共重合体(A)で説明したものが挙げ
られる。
本発明のグラフト共重合体(C)においてゴム状重合体
(a)、ビニル系単量体(混合物)(b)およびビニル系単量
体(c)の割合はゴム状重合体(a)が7〜90重量部、好ま
しくは10〜80重量部、特に好ましくは20〜70重
量部、ビニル系単量体(混合物)(b)が7〜90重量
部、好ましくは10〜80重量部、特に好ましくは20
〜70重量部およびビニル系単量体(c)が3〜60重量
部、好ましくは5〜50重量部、特に好ましくは10〜
40重量部で、かつ(a)、(b)および(c)の合計が100
重量部となる割合である。グラフト共重合体(C)の重合
に際してはゴム状重合体(a)の存在下にビニル系単量体
(混合物)(b)の乳化重合を行ない、実質的に重合を完
結させて後、次いでビニル系単量体(c)を仕込んで乳化
重合することが必須である。ここでビニル系単量体(混
合物)(b)の重合段階においては重合率をできるだけ上
げることが望ましく、実質的に重合を完結させることが
必要である。通常は仕込んだビニル系単量体(混合物)
(b)の重合率が80重量%以上、好ましくは85重量%
以上、特に好ましくは90重量%以上に達して後にビニ
ル系単量体(c)を仕込んで重合を行なう。ビニル系単量
体(混合物)(b)の重合率が十分高くない段階でビニル
系単量体(c)を仕込んだり、ビニル系単量体(混合物)
(b)とビニル系単量体(c)を同時に仕込む場合は、制電性
が劣つたり、グラフト共重合体(C)がビニル系重合体(A)
および/またはグラフト共重合体(B)と十分混和しなか
つたりして本発明の効果が十分発揮されないので好まし
くない。ゴム状重合体(a)とビニル系単量体(混合物)
(b)の仕込方法に関しては特に制限はなく、両者を同時
に初期一括して、また連続仕込みしてもよく、ゴム状重
合体(a)を初期一括仕込みし、ビニル系単量体(混合
物)(b)を連続仕込みしてもよい。グラフト共重合体(C)
の重合方法は乳化重合法が必須である。塊状重合、溶液
重合および懸濁重合等他の重合方法では得られる樹脂組
成物の溶融流動性、曲げ弾性率などが著しく低下し、制
電性も十分発揮しないので好ましくない。乳化重合法で
重合した場合のみ、溶融流動性、機械的性質および制電
性がともにすぐれた樹脂組成物が得られる。乳化重合の
方法に関しては上記条件が満足される限り特に制限はな
く、通常公知の方法で行なうことができる。例えば、乳
化剤としてラウリン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム
などの高級脂肪酸のアルカリ塩、ラウリル硫酸ナトリウ
ムなどの高級アルコール硫酸エステルのアルカリ塩、ド
デシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベ
ンゼンスルホン酸のアルカリ塩など、通常のアニオン系
または非イオン系界面活性剤を用い、重合開始剤として
過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩系
開始剤、過酸化水素、クメンヒドロペルオキシドなどヒ
ドロペルオキシド系開始剤を用い、水性媒体中、乳化状
態で重合を行なうことができる。
本発明におけるグラフト共重合体(C)はゴム状重合体(a)
をベースゴムとし、グラフト成分としてポリアルキレン
オキサイド鎖を有するビニル系単量体を含有する親水性
成分((b)成分)およびビニル系重合体鎖成分((c)成
分)を含有するので、ゴム的弾性と導電性が優れると同
時に、ビニル系重合体(A)および/またはグラフト共重
合体(B)との混和性も良好である。さらに乳化重合法で
重合されるのでグラフト共重合体(C)は微細粒子状であ
り、ビニル系重合体(A)および/またはグラフト共重合
体(B)と混合した場合、微細粒子状の分散相として存在
する。したがつてマトリツクス樹脂相中には親水性成分
は存在しないので、樹脂組成物の機械的性質や溶融流動
性が悪化することはない。またポリアルキレンオキサイ
ド鎖成分は化学的に結合された状態でグラフト共重合体
(C)(分散相)中に存在するので優れた永久帯電防止性
か発揮される。
本発明の樹脂組成物においてビニル系重合体(A)、グラ
フト共重合体(B)およびグラフト共重合体(C)の配合比は
(A)および/または(B)が60重量部超99重量部以下、
好ましくは60重量部超95重量部以下、特に好ましく
は60重量部超90重量部に対して(C)が1重量部以上
40重量部未満、好ましくは5重量部以上40重量部未
満、特に好ましくは10重量部以上40重量部未満でか
つ(A)、(B)および(C)の合計が100重量部となる割合
である。ここでグラフト共重合体(C)の配合量が1重量
部未満では制電性が発揮されず、40重量部以上では機
械的性質が劣るため好ましくない。
本発明の樹脂組成物の混合方法、製造方法に関しては特
に制限はなく、通常公知の方法で行なうことができる。
例えば、原料の形態に応じて、ラテツクスブレンドやパ
ウダブレンドしたり、またはヘンシエルミキサーを使つ
て予備混合した後または予備混合せずに押出機へ供給
し、溶融混練、ペレタイズする方法などが挙げられる。
以下参考例、実施例および比較例により本発明をさらに
詳しく説明する。体積固定抵抗値は射出成形した厚さ3
mmの角板を用い、室温23℃、湿度50%RH雰囲気下
で測定した。測定には東亜電波工業(株)製の超絶縁抵
抗計SM−10型を用いた。曲げ弾性率はASTM 7
90、アイゾツト衝撃強さはASTM D256A法に
従つて測定した。溶融粘度は高化式フローテスターを使
つて樹脂温度220℃で測定した。以下、部数および%
は重量部および重量%を表わす。
参考例1(ビニル系重合体(A)の製造) 表1に示した組成を有するビニル系単量体(混合物)を
乳化重合法、懸濁重合法または塊状重合法によりそれぞ
れラテツクス状、ビーズ状またはペレツト状のビニル系
重合体(A−1)〜(A−6)を製造した。用いた重合
法とポリマーの形態を表1に併せて示した。
参考例2(グラフト共重合体(B)の製造) 表2に示した所定量のゴム状重合体の存在下に所定量の
ビニル系単量体混合物を乳化重合法、懸濁重合法または
溶液重合法によつて重合したグラフト共重合体(B−
1)〜(B−4)を製造した。
参考例3(グラフト共重合体(C)の製造) 次の方法により表3に示した組成を有するグラフト共重
合体(C)を製造した。
(C−1)〜(C−6):窒素置換した重合槽に純水2
00部、ブドウ糖0.5部、ピロリン酸ソーダ0.5部、硫酸
第1鉄0.005部および表3に示した所定量のゴム状重合
体(a)(ラテツクス、部数は固形分換算重量を表わす)
を仕込み、十分攪拌した。次いで槽内温度を60℃に温
調しつつ、一方の仕込口から純水100部、オレイン酸
カリウム(乳化剤)5.0部およびクメンヒドロペルオキ
シド(開始剤)0.4部からなる水溶液を11時間かけて
等速仕込みした。同時に並行して別の仕込口から表3に
示した所定量のビニル系単量体(混合物)(b)を4時間
かけて等速仕込みした。ビニル系単量体(混合物)(b)
の仕込み終了後、1時間温調、攪拌を継続した。この時
点で重合槽内の重合ラテツクスを少量採取し、硫酸マグ
ネシウムを添加、凝固し、分離して固形分重量を測定す
ることによりビニル系単量体(混合物)(b)の重合率を
測定した。次いで、さらに温調と攪拌を継続しながら、
表3に示した所定量のビニル系単量体(c)を4時間かけ
て等速仕込みした。仕込み終了後2時間60℃を保持
し、次いで75℃に昇温して1時間保持した。その結
果、ラテツクス状のグラフト共重合体(C−1)〜(C
−6)を得た。仕込んだビニル系単量体(混合物)(b)
の重量率を表3に示した。いずれも高重合率であり、ビ
ニル系単量体(混合物)(b)の重合が実質的に完結して
いることが明らかである。
(C−7):窒素置換した重合槽に純水200部、ブド
ウ糖0.5部、ピロリン酸ソーダ0.5部、硫酸第1鉄0.005
部および表3に示した所定量のゴム状重合体(a)(ラテ
ツクス)を仕込み、十分攪拌した。次いで槽内温度を6
0℃に温調しつつ、一方の仕込口から表3に示した所定
量のビニル系単量体(c)を4時間かけて等速仕込みし
た。同時に並行して別の仕込口から純水50部、オレイ
ン酸カリウム2.5部およびクメンヒドロペルオキシ0.2部
からなる水溶液を6時間かけて等速仕込みした。仕込み
終了後、75℃に昇温し、さらに1時間温調することに
よつて重合を完結させ、ラテツクス状のグラフト共重合
体(C−7)を製造した。
(C−8)および(C−9):ビニル系単量体(c)を用
いず、純水50部、オレイン酸カリウム2.5部およびク
メンヒドロペルオキシド0.25部からなる水溶液を6時間
にわたつて等速仕込みし、該水溶液の仕込み終了後、7
5℃に昇温して1時間保持して重合を完結させた以外は
上記(C−1)〜(C−6)と同じ方法でラテツクス状
のグラフト共重合体(C−8)および(C−9)を製造
した。
(C−10):ゴム状重合体(a)を用いない以外は上記
(C−1)〜(C−6)と同じ方法でグラフト共重合体
(C−10)を製造した。
(C−11):攪拌機付オートクレーブを窒素置換した
後、ポリブタジエンゴム(固形)30部、メチルエチル
ケトン80部および過酸化ベンゾイル(開始剤)0.8部
を仕込み十分攪拌、溶解した。次いで槽内温度を80℃
に温調しつつ、表3に示した所定量のビニル系単量体
(混合物)(b)を4時間にわたつて等速仕込みした。仕
込み終了後2時間保持し、この時点で槽内の重合溶液を
少量採取し、トルエン中に投入、沈殿させ、固形分重量
を測定することによつてビニル系単量体(混合物)(b)
の重合率を測定した。次いでさらに温調と攪拌を継続し
ながら、表3に示した所定量のビニル系単量体(c)を4
時間にわたつて等速仕込みした。ビニル系単量体(c)の
仕込み終了後、80℃を2時間保持し、さらに95℃に
昇温して1時間保持することによつて重合を完結させ
た。重合終了後、脱溶媒してグラフト共重合体(C−1
1)を製造した。
実施例および比較例 参考例で製造したビニル系重合体(A)、グラフト共重合
体(B)およびグラフト共重合体(C)を表4に示した配合比
で混合した。混合は次の方法で行なつた。ポリマーがす
べてラテツクスの場合はラテツクスブレンドした後、硫
酸マグネシウムで凝固し、回収した。ラテツクス状ポリ
マーと固体状(ペレツト、ビーズなど)ポリマーの混合
の場合は、ラテツクス状ポリマーを硫酸マグネシウムで
凝固し、回収した後ドライブレンドした。三成分混合に
おいて二成分がラテツクス状の場合は、二成分をあらか
じめラテツクスブレンドし、硫酸マグネシウムで凝固、
回収して後、固体状ポリマーとドライブレンドした。す
べてが固体状ポリマーの場合はドライブレンドした。次
に混合したポリマーを40mmΦ押出機に供給し、樹脂温度
220℃で溶融混練し、押出すことによつてペレツトを
製造した。次いで射出成形機により、シリンダー温度2
20℃、金型温度50℃で各試験片を成形し、各物性を
測定した。
体積固有抵抗率は、射出成形した厚さ3mmの角板を用
い、次の各条件で測定した。
(1)成形直後、50%RH、23℃で24時間調湿して
測定した。
(2)成形直後、洗剤ママレモン(ライオン油脂(株)
製)水溶液で洗浄し、続いて蒸留水で十分洗浄してから
表面の水分を取除いた後、50%RH、23℃で24時
間調湿して測定した。
(3)成形後、50%RH、23℃中に100日間放置し
た後測定した。
(4)成形後、50%RH、23℃中に100日間放置し
た後、洗浄ママレモン水溶液で洗浄、続いて蒸留水で十
分洗浄してから表面の水分を取除いて後、50%RH、
23℃で24時間調湿して測定した。
各物性の測定結果を表4に示した。
実施例および比較例の結果から次のことが明らかであ
る。すなわち、ビニル系重合体(A)および/またはグラ
フト共重合体(B)のみからなる樹脂(組成物)(NO.16
〜27)に比べ、グラフト共重合体(C)を含有する本発
明の樹脂組成物(NO.1〜15)は曲げ弾性率、衝撃強
度および溶融流動性がほとんど劣ることなく、導電性が
著しく優れている。しかもその導電性は水洗処理や経時
変化に伴なつて低下することがなく、永久帯電防止性が
優れている。一方、ビニル系単量体(混合物。)(b)中
のPEG系ビニル単量体の割合が35重量%未満である
グラフト共重合体(C−6)および(C−7)を配合し
た樹脂組成物(NO.28および29)は制電性が発揮さ
れない。ビニル系単量体(c)を重合しないグラフト共重
合体(C−8)を混合した組成物(NO.30および3
1)は曲げ弾性率および衝撃強度が劣るばかりでなく、
制電性も不十分である。ビニル系単量体(混合物)(b)
およびビニル系単量体(c)を同時に仕込んで重合したグ
ラフト共重合体(C−9)を混合した組成物(NO.3
2)は2段階仕込みで重合したグラフト共重合体(C−
1)を用いた組成物(NO.1)に比べ制電性および機械
的性質ともに劣る。ゴム状重合体(a)を含有しないグラ
フト共重合体(C−10)を用いた組成物NO.33およ
び34は制電性および機械的性質ともに不十分である。
乳化重合法以外の方法で重合したグラフト共重合体(C
−11)を用いた組成物(NO.35および36)は制電
性および機械的性質が不十分なばかりでなく溶融流動性
が著しく劣る。
以上説明したように本発明の樹脂組成物は曲げ弾性率と
衝撃強度に代表される機械的性質、溶融流動性および永
久帯電防止性が均衡して優れた制電性樹脂組成物であ
り、今後種々の分野への応用が期待される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C08L 25/00 51:04 51:00) (C08L 33/04 51:04 51:00) (C08L 33/18 51:04 51:00)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)芳香族ビニル系単量体、(メタ)ア
    クリル酸エステル系単量体およびシアン化ビニル系単量
    体からなる群から選ばれた少なくとも1種のビニル系単
    量体を重合してなるビニル系重合体、 (B)ゴム状重合体5〜80重量部の存在下に、芳香族
    ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体
    およびシアン化ビニル系単量体からなる群から選ばれた
    少なくとも1種のビニル系単量体95〜20重量部を重
    合してなるグラフト共重合体および (C)(a)ゴム状重合体7〜90重量部の存在下に
    (b)下記式(I)および/または式(II)で表わされ
    るポリアルキレンオキサイド鎖を有するビニル系単量体
    70〜100重量%および該ビニル系単量体と共重合可
    能な他のビニル系単量体30〜0重量%からなるビニル
    系単量体またはビニル系単量体混合物7〜90重量部を
    乳化重合し、重合を実質的に完結させた後、次いで
    (c)芳香族ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エス
    テル系単量体およびシアン化ビニル系単量体よりなる群
    から選ばれた少なくとも1種のビニル系単量体3〜60
    重量部を仕込み、乳化重合してなるグラフト共重合体で
    あって、グラフト共重合に用いた全単量体における下記
    式(I)および/または式(II)で表わされるポリアル
    キレンオキサイド鎖を有するビニル系単量体の割合が5
    0重量%を越えることを必須とするグラフト共重合体
    ((a)、(b)および(c)の合計は100重量部)
    を(A)および/または(B)60重量部超99重量部
    以下並びに(C)1重量部以上40重量部未満でかつ
    (A)、(B)および(C)の合計が100重量部とな
    る割合で配合してなる制電性樹脂組成物。 (式中R1、R3は水素原子または炭素数1〜4のアルキ
    ル基、R2は水素原子またはメチル基を表わす。nは2
    〜100の整数を表わす。)
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