JPH0641249A - 透明耐熱性樹脂材料 - Google Patents

透明耐熱性樹脂材料

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JPH0641249A
JPH0641249A JP4196930A JP19693092A JPH0641249A JP H0641249 A JPH0641249 A JP H0641249A JP 4196930 A JP4196930 A JP 4196930A JP 19693092 A JP19693092 A JP 19693092A JP H0641249 A JPH0641249 A JP H0641249A
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JP
Japan
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group
resin material
monomer
heat
resistant resin
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Pending
Application number
JP4196930A
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English (en)
Inventor
Masaya Adachi
眞哉 足立
Masaki Maekawa
正樹 前川
Yoshinobu Yasuda
祥宣 保田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Publication of JPH0641249A publication Critical patent/JPH0641249A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】耐熱性、透明性、低吸水性、吸水寸法安定性が
優れた透明耐熱性樹脂材料を提供することを目的とす
る。 【構成】一般式(1)で表される単量体を20〜98重
量%、およびビニルシクロアルカンを含有し、かつ一般
式(1)で表される単量体とビニルシクロアルカンの合
計重量割合が30重量%以上である組成物を共重合して
なることを特徴とする透明耐熱性樹脂材料。 【化1】 (式中のR1 、R2 は水素、メチル基およびエチル基か
ら選ばれる置換基を表す。R3 は炭素数1〜20のアル
キル基、アリール基、アラルキル基およびシクロアルキ
ル基から選ばれる置換基を表す。) 【効果】本発明により得られる透明耐熱性樹脂材料は、
耐熱性、光学特性および低吸水性、吸水寸法安定性等が
優れるため、表示装置用光学フィルターや液晶表示用基
板、光ディスク基板等に適した素材を与えることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、透明耐熱樹脂に関し、
表示装置用光学フィルターや液晶表示素子用基板、光デ
ィスク基板、光学レンズ等に好適に使用される。
【0002】
【従来の技術】一般にプラスチック材料は軽量で、耐衝
撃性、加工性、および大量生産性に優れていることか
ら、近年、表示装置用光学フィルター、光ディスク基
板、光学レンズ等の光学素子用材料としての需要が拡大
しつつある。これらの光学素子用プラスチック材料とし
ては、現在、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、
ポリカーボネート、アモルファスポリオレフィンおよび
ポリジエチレングリコールビスアリルカーボネート等の
透明性樹脂が主に用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、ポリメタク
リル酸メチルは熱変形温度に代表される耐熱性が劣り、
ポリスチレンは耐熱性が劣るだけでなく、複屈折が大き
いという欠点があった。また、ポリカーボネート、アモ
ルファスポリオレフィンについても、例えば液晶表示素
子用基板用途には、耐熱性が不十分であった。
【0004】また、特開昭56−131654号公報お
よび特開昭58−126119号公報においては、マレ
イミド化合物を用いたポリマからなる光ディスク基板が
示されている。しかしながら、これらの技術において
は、耐溶剤性、耐薬品性が劣るといった問題点を有して
いた。特開平1−79208号公報においては、マレイ
ミド化合物を用いた熱硬化性樹脂レンズが示されてい
る。しかしながら、この技術においても、例えば液晶表
示素子用基板用途には、耐熱性が不十分であった。ま
た、これらのマレイミド系樹脂は、吸水率が大きいこと
から、吸水寸法安定性に劣るといった問題があった。さ
らに、高温にさらされた場合、黄変が大きく、光学特性
が不十分であった。
【0005】ポリジエチレングリコールビスアリルカー
ボネート等の熱硬化性樹脂は耐溶剤性、耐薬品性につい
ては優れているものの、やはり耐熱性が不十分であるた
め、十分な性能を有する透明耐熱樹脂を得るに至ってい
ない。
【0006】本発明は、上記問題を解決しようとするも
のであり、表示装置用光学フィルターや液晶表示素子用
基板、光ディスク基板、光学レンズ等に好適に使用され
る、耐熱性、耐溶剤性、低吸水性、吸水寸法安定性およ
び低加熱着色性に優れた透明耐熱性樹脂材料を提供する
ことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、下記の構成を有する。
【0008】「一般式(1)で表される単量体を20〜
98重量%、およびビニルシクロアルカンを含有し、か
つ一般式(1)で表される単量体とビニルシクロアルカ
ンの合計重量割合が30重量%以上である組成物を共重
合してなることを特徴とする透明耐熱性樹脂材料。
【0009】
【化2】 (式中のR1 、R2 は水素、メチル基およびエチル基か
ら選ばれる置換基を表す。R3 は炭素数1〜20のアル
キル基、アリール基、アラルキル基およびシクロアルキ
ル基から選ばれる置換基を表す。)」まず、一般式
(1)で表されるマレイミド系単量体について説明す
る。
【0010】R1 、R2 については、それぞれが同種で
あっても異種であってもよい。
【0011】R3 の具体例としては、メチル基、エチル
基、プロピル基、オクチル基、オクタデシル基などの直
鎖状アルキル基、イソプロピル基、sec-ブチル基、tert
- ブチル基、イソペンチル基などの分岐状アルキル基、
シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基などのシク
ロアルキル基、フェニル基、メチルフェニル基などのア
リール基、ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル
基など各種の例を挙げることができる。
【0012】さらに、R1 、R2 およびR3 は、フッ
素、塩素、臭素などのハロゲン基、シアノ基、カルボキ
シル基、スルホン酸基、ニトロ基、ヒドロキシ基、アル
コキシ基などの各種置換基で置換されたものであっても
よい。
【0013】一般式(1)で表される単量体の具体例と
しては、N−メチルマレイミド、N−n−ブチルマレイ
ミド、N−フェニルマレイミド、N−o−メチルフェニ
ルマレイミドマレイミド、N−m−メチルフェニルマレ
イミド、N−p−メチルフェニルマレイミド、N−o−
ヒドロキシフェニルマレイミド、N−m−ヒドロキシフ
ェニルマレイミド、N−p−ヒドロキシフェニルマレイ
ミド、N−o−メトキシフェニルマレイミド、N−m−
メトキシフェニルマレイミド、N−p−メトキシフェニ
ルマレイミド、N−o−クロロフェニルマレイミド、N
−m−クロロフェニルマレイミド、N−p−クロロフェ
ニルマレイミド、N−o−カルボキシフェニルマレイミ
ド、N−m−カルボキシフェニルマレイミド、N−p−
カルボキシフェニルマレイミド、N−o−ニトロフェニ
ルマレイミド、N−m−ニトロフェニルマレイミド、N
−p−ニトロフェニルマレイミド、N−エチルマレイミ
ド、N−イソプロピルマレイミド、N−イソブチルマレ
イミド、N−tert−ブチルマレイミド、N−シクロ
ヘキシルマレイミドなどが挙げられる。
【0014】これらの単量体は、1種、あるいは2種以
上の混合物として用いてもよい。また、前記マレイミド
単量体の中でも、無色透明性、加熱黄変、耐候性の点か
ら、特にアルキルマレイミド、シクロアルキルマレイミ
ドが好ましく、特にN−イソプロピルマレイミド、N−
シクロヘキシルマレイミドが好ましい。さらには、塊状
重合時のモノマー調整の容易さ、および前記特性に特に
優れるという点から、N−イソプロピルマレイミド、N
−シクロヘキシルマレイミドの併用が最も好ましく、高
い耐熱性が要求される用途、例えば液晶表示素子用基板
用途には、N−イソプロピルマレイミド、N−シクロヘ
キシルマレイミドの併用が好適である。塊状重合時のモ
ノマー調整の容易さの点からは、N−イソプロピルマレ
イミド単独のほうが好ましいと言えるが、高い耐熱性が
要求される用途には、耐熱性が不十分となる傾向があ
る。耐熱性の点からは、N−シクロヘキシルマレイミド
が可能な限り多いほうが好ましいが、N−シクロヘキシ
ルマレイミドは、常温では固体であるため、溶解性に限
界があり、モノマー調整の容易さ、耐熱性のバランスか
らN−シクロヘキシルマレイミドの含有量が、全組成の
30重量%以下であることが好ましい。これより多い
と、キャスト重合時のモノマー調整が困難となる傾向が
ある。好ましくは5〜25重量%、さらに好ましくは1
0〜20重量%が、モノマー調整の容易さ、耐熱性のバ
ランスの点で良い。
【0015】さらに、本発明の透明耐熱樹脂の低吸水
性、吸水寸法安定性、低加熱着色性を向上するため、ビ
ニルシクロアルカンの共重合が必要である。
【0016】ビニルシクロアルカンとしては、環状飽和
基を有する単量体であれば、とくに限定されることなく
用いられるが、中でも、炭素数3〜20の単量体が好ま
しく、具体的には、ビニルシクロプロパン、ビニルシク
ロヘキサン、ビニルシクロオクタン、ビニルデカヒドロ
ナフタリン、ビニルノルボルナン、ビニルイソボルナ
ン、ジビニルシクロヘキサン等が挙げられる。これらの
単量体は、フッ素、塩素、臭素などのハロゲン基、シア
ノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、ニトロ基、ヒド
ロキシ基、アルコキシ基などの各種置換基で置換された
ものであってもよい。
【0017】ビニルシクロアルカンの使用量は、特許請
求の範囲内であれば制限はないが、全組成に対して1〜
70重量%が好ましい。1重量%未満の場合、十分な低
吸水性、吸水寸法安定性が得られにくく、70重量%を
越えると耐熱性が不十分となる傾向にある。5〜30重
量%がさらに好ましい。
【0018】さらに、低吸水性、低吸水寸法変化性、難
燃性を向上するため、ハロゲン原子を有する単量体の共
重合も好ましい。ハロゲン原子としては、塩素、フッ
素、臭素等が挙げられる。色調の観点から、塩素、フッ
素が好ましく、低吸水性等の点からフッ素原子含有単量
体が好ましい。また、吸水率、吸水寸法変化を効果的に
小さくするためには、ハロゲン原子をできるだけ多く含
有することが好ましい。ハロゲン原子を有する単量体の
具体例としては、p−クロロスチレン、m−クロロスチ
レン、o−クロロスチレン、p−クロロメチルスチレ
ン、p−ブロモスチレン、p−フルオロスチレン、β−
フルオロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、2,
4,6−トリクロロスチレン、2,3,4,6−テトラ
クロロスチレン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ
スチレン、2,4−ジブロモスチレン、p−クロロ−α
−メチルスチレン、4−クロロ−1−ビニルナフタレン
等のハロゲン原子を有する芳香族ビニル系単量体、塩化
ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデ
ン、、α−クロロアクロレイン、クロロトリフルオロエ
チレン、、クロロプレン、2−クロロ−1−プロピレ
ン、3−クロロ−1−プロピレン、テトラフルオロエチ
レン、ヘキサクロロ−1,3−ブタジエン、ヘキサフル
オロ−1,3−ブタジエン等のハロゲン原子を有するオ
レフィン系ビニル単量体、α−クロロアクリロニトリ
ル、α−ブロモアクリロニトリル等のハロゲン原子を有
するシアン化ビニル単量体、N−(p−クロロフェニ
ル)メタクリルイミド等の、ハロゲン原子を有するメタ
クリルイミド系単量体、(メタ)アクリル酸クロロメチ
ル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)ア
クリル酸p−クロロフェニル、(メタ)アクリル酸p−
ブロモフェニル、(メタ)アクリル酸1,2,2,2−
テトラクロロエチル、(メタ)アクリル酸2,4,6−
トリクロロフェニル、α−クロロ(メタ)アクリル酸メ
チル、α−ブロモ(メタ)アクリル酸メチル、α−フル
オロ(メタ)アクリル酸メチル、下記一般式(2)で表
される単量体等のハロゲン原子を有する(メタ)アクリ
ル酸およびそのエステル系単量体等が挙げられる。
【0019】 Rf (CH2 n OCOCR4 =CH2 (2) (Rfはフッ素原子数1以上のフロロアルキル基、また
はパーフロロアルキル基含有の置換基であり、nは1〜
4の整数、R4 は水素またはメチル基を表す。)これら
のハロゲン原子を有する単量体は1種、あるいは2種以
上の混合物として用いてもよい。
【0020】本発明の透明耐熱性樹脂材料は、三次元架
橋させるため多官能単量体を使用することが好ましい。
これにより透明性、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、機械
的特性の優れたものが得られる。かかる多官能単量体と
しては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロー
ル(ジ/トリ)(メタ)アクリレート、トリメチロール
プロパン(ジ/トリ)(メタ)アクリレート、ペンタエ
リスリトール(ジ/トリ/テトラ)(メタ)アクリレー
トなどの多価アルコールのジ−、トリ−、テトラ−(メ
タ)アクリレート類、(メタ)アクリル酸ビニルエステ
ル、(メタ)アクリル酸アリルエステルなどのエステル
類、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、ジ
アリルフタレートなどのジアリル化合物、ブタジエン、
ヘキサジエン、ペンタジエンなどのジエン類、ジクロロ
ホスファゼンを原料として重合性多官能基を導入したホ
スファゼン骨格を有する多官能単量体、トリアリルジイ
ソシアヌレートなどの異原子環状骨格を有する多官能単
量体、一般式(3)で表される多官能マレイミド誘導体
化合物、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
【0021】
【化3】 (式中のR5 、R6 は、水素、メチル基およびエチル基
から選ばれる置換基を表す。R7 は、炭素数1〜4のn
価の有機基であり、マレイミドの窒素とN−C結合で結
合されている。nは、2〜10の整数を表す。)R5
6 については、それぞれが同種であっても異種であっ
てもよい。
【0022】R7 は、n価の有機基であり、特に、合成
の容易さから、2価の有機基を有するものが最も好まし
い。かかる2価の有機基の具体例としては、メチレン
基、エチレン基、プロピレン基などのアルキレン基、シ
クロヘキシレン基、メチルシクロヘキシレン基などの脂
環式アルキレン基、フェニレン基、メチルフェニレン基
などのアリーレン基など、各種の例が挙げられる。さら
には、有機基中に酸素、窒素、ハロゲン、リン、硫黄な
どの原子を含んでいてもよい。上記以外の具体例とし
て、さらに以下に示すようなものも挙げられる。
【0023】
【化4】 これらの多官能単量体は一種あるいは二種以上の混合物
でもよい。
【0024】これらの多官能単量体の中でも、透明性、
耐熱性、成形性の観点から、ジビニルベンゼンの共重合
が最も好ましい。
【0025】ジビニルベンゼンは各種異性体が混在して
いてもさしつかえないが、透明耐熱性樹脂材料の耐熱性
の点から、ジビニルベンゼン中のパラ体の割合が、30
重量%以上であることが好ましい。30重量%未満であ
れば十分な耐熱性が得られない傾向がある。好ましくは
60重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上が耐
熱性の点で良い。また、工業的に入手できるジビニルベ
ンゼンの不純物であるエチルビニルベンゼン、ジエチル
ベンゼン等はできるだけ少ない方が好ましい。エチルビ
ニルベンゼン、ジエチルベンゼンは、耐熱性を低下させ
たり、キャスト重合を行う場合に、表面欠陥の原因とな
る傾向にある。ジビニルベンゼンの純度は50重量%以
上が好ましく、80重量%以上がさらに好ましい。
【0026】さらに、本発明に使用される透明耐熱性樹
脂材料には、機械的強度の向上、低複屈折化、高屈折率
化、低吸水率化、染色性向上、耐熱性向上、耐衝撃性向
上等を目的として各種重合可能な単量体を使用すること
ができる。
【0027】かかる使用可能な単量体としては、芳香族
ビニル系単量体、オレフィン系ビニル単量体、メタクリ
ル酸(メタ)アクリル酸およびそのエステル系単量体、
多価カルボン酸無水物等が挙げられる。好ましく使用さ
れる単量体の具体例としては、メチルメタクリレート、
シクロヘキシルメタクリレート、ノルマルボルニル(メ
タ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレー
ト、ノルボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル
(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート
等のホモポリマーが高いガラス転移温度を与えるアクリ
ル系単量体が挙げられる。さらに、スチレン、α−メチ
ルスチレン等のスチレン系単量体、無水マレイン酸等が
挙げられる。中でも、光学特性、耐熱性、機械的強度の
バランスが良く、最も好ましく使用される単量体とし
て、スチレンおよびα−メチルスチレンが挙げられる。
これらは、それぞれが単独、あるいは混合して用いられ
てもよい。スチレンは、10重量%以上共重合されてい
ることが、光学特性、機械的強度の点で好ましく、さら
には15〜60重量%が好ましく、60重量%を越える
と、耐熱性が不十分となる傾向にある。α−メチルスチ
レンは、3〜20重量%共重合されていることが好まし
く、3重量%未満では、耐熱性が不十分となり、20重
量%を越えると、加熱着色が大きくなり光学特性に問題
がでる傾向にある。
【0028】さらに、耐候性、耐酸化劣化性、帯電防止
性などを向上させる目的から、各種紫外線吸収剤、酸化
防止剤、帯電防止剤を添加することも有用である。特
に、耐薬品性や耐熱性を低下させずにこれらの特性を向
上させることが可能であることから、紫外線吸収性、あ
るいは酸化防止性を有する単量体を共重合することが好
ましい。かかる単量体の好ましい例としては、不飽和二
重結合を有するベンゾフェノン系紫外線吸収剤、不飽和
二重結合を有するフェニルベンゾエート系紫外線吸収
剤、ヒンダードアミノ基を置換基として有する(メタ)
アクリル系単量体などが挙げられる。
【0029】不飽和二重結合を有するベンゾフェノン系
紫外線吸収剤としては、例えば、下記一般式(4)で示
される構造を有するものが挙げられる。
【0030】
【化5】 8 、R9 、R10、R11のうち、少なくとも1つは不飽
和二重結合を有する有機基であり、その他の官能基は、
水素、またはアルキル基、アルケニル基、アラルキル
基、アリール基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリ
ーロキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン基、スルホン酸
基、スルホン酸エステル基、カルボン酸基、カルボン酸
エステル基、リン酸基、リン酸エステル基など特に限定
されるものではなく、さらには、それぞれが同種であっ
ても異種であってもよい。
【0031】また、不飽和二重結合を有するフェニルベ
ンゾエート系紫外線吸収剤としては、例えば、下記一般
式(5)で示される構造を有するものが挙げられる。
【0032】
【化6】 ここで、R12〜R17のうち、少なくとも1つは不飽和二
重結合を有する有機基であり、その他の官能基は、水
素、またはアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、
アリール基、アルコキシ基、アラルコキシ基、アリーロ
キシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン基、スルホン酸基、ス
ルホン酸エステル基、カルボン酸基、カルボン酸エステ
ル基、リン酸基、リン酸エステル基など特に限定される
ものではなく、さらには、それぞれが同種であっても異
種であってもよい。
【0033】ヒンダードアミノ基を置換基として有する
アクリル系単量体、およびメタクリル系単量体におい
て、ヒンダードアミノ基としては、例えば下記の構造式
(6)で示される置換基が挙げられる。
【0034】
【化7】 (式中のR18、R19、R21およびR22は、炭素数1〜5
のアルキル基であり、R20は、炭素数1〜5のアルキル
基、および水素から選ばれる。)かかるヒンダードアミ
ノ基を置換基として有するアクリル系単量体、およびメ
タクリル系単量体は、ヒドロキシヒンダードアミンと各
種の(メタ)アクリル酸とのエステル化、あるいは(メ
タ)アクリル酸クロライドなどとの反応によって調整さ
れる。
【0035】かかるヒンダードアミノ基を置換基として
有するアクリル系単量体、およびメタクリル系単量体の
具体例としては、2,2,6,6−テトラメチル−4−
ピペリジニルアクリレート、2,2,6,6−テトラメ
チル−4−ピペリジニルメタクリレート、1,2,2,
6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルアクリレー
ト、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジ
ニルメタクリレートなどが挙げられる。
【0036】本発明の透明耐熱性樹脂の重合方法に関し
ては、特に制限はなく、通常公知の方法で重合すること
ができる。
【0037】例えば、エポキシ樹脂を適用する場合には
アミン系、酸無水物系、イミダゾール系、各種金属化合
物系などの硬化剤や硬化促進剤を用いて行うことが可能
である。また、水酸基などの活性水素を有する重合体、
オリゴマー、さらには単量体をイソシアネート化合物で
重合させることも可能である。さらには、マレイミド系
単量体、アクリル系単量体やスチレンなどのビニル系単
量体の重合に際しては、ラジカル発生性開始剤の存在
下、または非存在下に、前記の単量体混合物を所定の温
度条件下に保つことによって重合することができる。重
合方法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化
重合およびキャスト重合などが挙げられる。
【0038】ラジカル発生性開始剤としては、各種パー
オキシド化合物、アゾ化合物などが挙げられる。特に、
加熱後の黄変防止の観点からはアゾ化合物が好ましく使
用される。具体例としては、2,2´−アゾビスイソブ
チロニトリル、1,1´−アゾビス(シクロヘキサン−
1−カルボニトリル)、2,2´−アゾビス(4−メト
キシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´−
アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、
2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)、2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリ
ル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]
フォルムアミド、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−
2,4−ジメチルバレロニトリルなどのアゾニトリル化
合物、2,2´−アゾビス(2−メチル−N−フェニル
プロピオンアミジン)二塩基酸塩などのアゾアミジン化
合物、2,2´−アゾビス[2−(5−メチル−2−イ
ミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩基酸塩などの環
状アゾアミジン化合物、2,2´−アゾビス{2−メチ
ル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒ
ドロキシエチル]プロピオンアミド}などのアゾアミド
化合物、2,2´−アゾビス(2,4,4−トリメチル
ペンタン)などのアルキルアゾ化合物が挙げられる。ま
た、重合条件としては、使用する単量体、および開始剤
によって適宜、実験的に定められるべきであるが、重合
率を高くし、未反応単量体をできる限り少なくするとい
う観点から、注型重合においては、型内で100℃以
上、さらに好ましくは170℃以上で、少なくとも10
分間以上加熱されることが好ましい。また、重合温度を
連続的または、半連続的に昇温させることも光学的に均
一な樹脂を得るためには好ましい方法である。
【0039】本発明の樹脂の重合率に関しては、特に制
限はないが、高い方が好ましく、後処理として、ハード
ーコート、反射防止膜、ガスバリア膜、導電膜などを施
す場合においては、溶液コーティング、真空蒸着などを
考慮すると90%以上が好ましい。
【0040】本発明の樹脂の成形方法に関しても特に制
限はなく、射出成形、押し出し成形、圧縮成形、ベルト
プレス成形、注型成形などがが挙げられる。効果的な成
形方法としては、注型重合法が挙げられる。
【0041】注型重合法において使用されるモールドと
してはガラス、中でもフロート法によるガラス板、ある
いは表面研磨されたガラス板が、表面精度に優れた透明
耐熱性樹脂を得るためには好適である。一方、連続注型
重合として、ベルトプレス成形である金属製ベルトを用
いる方法も生産性と薄板における良好な厚み精度を達成
可能であるなどの観点から好ましい。
【0042】本発明によって得られる透明耐熱性樹脂材
料は、透明性、耐熱性、耐候性、耐衝撃性、グレージン
グ性、耐溶剤性、耐薬品性、低吸水性、低吸水寸法安定
性、難燃性、低複屈折性、加熱着色性などに優れること
から、眼鏡用レンズ、サングラスレンズ、カメラ用レン
ズ、ビデオカメラ用レンズ、コンタクトレンズなどの光
学用レンズ、さらには表示装置用光学フィルターや液晶
ディスプレイ用基板、液晶ディスプレイの光拡散板、エ
レクトロルミネッセンス用基板、液晶ライトバルブ用基
板、光ディスク基板、さらには自動車、航空機、家屋、
家庭用電気機器などのウィンド用などに好ましく適用さ
れるものである。また、液晶ディスプレイ用基板向けに
おいては、TN型、STN型、TFT型、強誘電性液晶
など、いずれにも適用可能であるが、STN型や強誘電
性液晶を用いた液晶ディスプレイの薄型、軽量化のため
に、とくに好ましく用いられる。
【0043】
【実施例】以下、本発明を実施例をもとにさらに具体的
に説明する。
【0044】実施例において用いられるガラス転移温度
は、JIS規格K−7121に従って、Metller
社製DSC 30により測定した。値はTmgを示す。
【0045】YI値はスガ試験機(株)製、SMカラー
コンピューターを用いて測定した。空気雰囲気下で、1
70℃、2時間加熱処理を行い、そのYI値と加熱処理
前のYI値の差をΔYIとした。
【0046】飽和吸水率は、真空乾燥で絶乾した試料片
を、23℃に保った純水中に7日間浸漬し、その前後の
重量変化率で示した。
【0047】吸水寸法変化は、飽和吸水率と同様な処理
を行った後、その前後の寸法変化率で示した。寸法の測
定は、大日本スクリーン製造(株)製 デジタル式精密
測長機DR−800−Bを用いて行なった。
【0048】実施例1 N−イソプロピルマレイミド32g、N−シクロヘキシ
ルマレイミド15g、ビニルシクロヘキサン17g、ス
チレン21g、α−メチルスチレン7g、新日鐵化学
(株)製“DVB−810”8g、アゾビスイソブチロ
ニトリル0.5gを混合溶解させ、調合モノマをキャス
ト重合により成形した。キャスト重合は次のように行っ
た。
【0049】大きさ150mm×150mm、厚さ5m
mの2枚のガラス板の外周変部を、軟質塩化ビニル製ガ
スケットで貼り、2枚のガラス板の間の距離が2mmに
なるように組み立てた。この組み立てたガラス板の中
へ、前記の単量体混合物をガスケット内部を完全に満た
すまで注入し、70℃にて8時間、190℃にて1時間
重合し、透明な板状の重合体を得た。この板状重合体の
特性値を表1に示す。
【0050】また、得られた板状重合体を基板とし、該
基板上に、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン加水分解物とビスフェノールA型エポキシ樹脂(固形
分重量比50対50)およびアルミニウム系硬化触媒か
らなるオルガノポリシロキサン系ハードコートを設け、
さらに酸化ジルコニウム、酸化タンタルおよび二酸化ケ
イ素をこの順に、それぞれ光学膜厚を1/4λ(λ=5
20nm)に設定して、無機酸化物からなる多層反射防
止膜を真空蒸着法により被覆させた。この反射防止膜を
有する透明耐熱樹脂は、100℃、2時間の耐熱性試験
においても全くクラック発生や反射防止効果に変化が認
められず、表示装置用光学フィルターとして、優れた耐
熱性を有していた。
【0051】実施例2 N−イソプロピルマレイミド36g、N−シクロヘキシ
ルマレイミド17g、ビニルシクロヘキサン38g、新
日鐵化学(株)製“DVB−810”9g、アゾビスイ
ソブチロニトリル0.5gを混合溶解させ、調合モノマ
をキャスト重合により成形した。キャスト重合は、実施
例1において、2枚のガラス板の間の距離が0.6mm
になるように設定変更し、70℃にて8時間、190℃
にて1時間重合した以外はすべて同様に行い、透明な板
状の重合体を得た。この板状重合体の特性値を表1に示
す。
【0052】また、この板状重合体上に、実施例1で使
用したオルガノポリシロキサン系ハードコート組成物
に、さらに平均粒子径が50mμのシリカゾルを50重
量部添加した系からなるハードコートを設け、さらに該
ハードコート膜状にインジウム・錫酸化物からなる透明
導電膜をスパッタリング法で約1000オングストロー
ムの厚みに被覆させた。この透明導電膜を有する透明耐
熱樹脂は、150℃、2時間の耐熱性試験においても全
くクラック発生や、被膜剥離などの問題は認められず、
液晶表示用基板としての優れた耐熱性を有していた。
【0053】実施例3 N−イソプロピルマレイミド36g、N−シクロヘキシ
ルマレイミド17g、ビニルシクロヘキサン11g、p
−クロロスチレン27g、新日鐵化学(株)製“DVB
−810”9g、アゾビスイソブチロニトリル0.2g
を混合溶解させ、実施例2と同様の条件でキャスト重合
を行い、透明な板状の重合体を得た。この板状重合体の
特性値を表1に示す。
【0054】比較例1 N−イソプロピルマレイミド47g、N−シクロヘキシ
ルマレイミド10g、スチレン31g、新日鐵化学
(株)製“DVB−570”12g、アゾビスイソブチ
ロニトリル0.2gを混合溶解させ、実施例1と同様の
条件でキャスト重合を行い、透明な板状の重合体を得
た。この板状重合体の特性値を表1に示す。
【0055】比較例2 N−イソプロピルマレイミド40g、N−シクロヘキシ
ルマレイミド19g、スチレン22g、α−メチルスチ
レン9g、新日鐵化学(株)製“DVB−810”10
g、アゾビスイソブチロニトリル0.2gを混合溶解さ
せ、実施例2と同様の条件でキャスト重合を行い、透明
な板状の重合体を得た。この板状重合体の特性値を表1
に示す。
【0056】比較例3 N−イソプロピルマレイミド35g、メチルメタクリレ
ート60g、トリメチロールプロパントリメタクリレー
ト5g、アゾビスイソブチロニトリル0.5gを混合溶
解させ、実施例1と同様の条件でキャスト重合を行い、
透明な板状の重合体を得た。この板状重合体の特性値を
表1に示す。
【0057】比較例4 ビニルシクロヘキサン30g、メチルメタクリレート6
0g、トリメチロールプロパントリメタクリレート10
gを混合溶解させ、実施例1と同様の条件でキャスト重
合を行い、透明な板状の重合体を得た。この板状重合体
の特性値を表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【発明の効果】本発明により得られる透明耐熱性樹脂材
料は、耐熱性、光学特性、低吸水性、吸水寸法安定性、
低加熱着色性等が優れるため、表示装置用光学フィルタ
ーや液晶表示用基板、光ディスク基板等に適した素材を
与えることができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1)で表される単量体を20〜9
    8重量%、およびビニルシクロアルカンを含有し、かつ
    一般式(1)で表される単量体とビニルシクロアルカン
    の合計重量割合が30重量%以上である組成物を共重合
    してなることを特徴とする透明耐熱性樹脂材料。 【化1】 (式中のR1 、R2 は水素、メチル基およびエチル基か
    ら選ばれる置換基を表す。R3 は炭素数1〜20のアル
    キル基、アリール基、アラルキル基およびシクロアルキ
    ル基から選ばれる置換基を表す。)
  2. 【請求項2】請求項1において、一般式(1)で表され
    る単量体がN−イソプロピルマレイミドおよび/または
    N−シクロヘキシルマレイミドであることを特徴とする
    透明耐熱性樹脂材料。
  3. 【請求項3】請求項1において、組成物中に多官能単量
    体を含有することを特徴とする透明耐熱樹脂材料。
  4. 【請求項4】請求項3において、多官能単量体がジビニ
    ルベンゼンであることを特徴とする透明耐熱樹脂材料。
  5. 【請求項5】請求項1において、ビニルシクロアルカン
    がビニルシクロヘキサンであることを特徴とする透明耐
    熱樹脂材料。
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