JPH0641199A - ツェインの精製方法 - Google Patents

ツェインの精製方法

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JPH0641199A
JPH0641199A JP19222592A JP19222592A JPH0641199A JP H0641199 A JPH0641199 A JP H0641199A JP 19222592 A JP19222592 A JP 19222592A JP 19222592 A JP19222592 A JP 19222592A JP H0641199 A JPH0641199 A JP H0641199A
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JP
Japan
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zein
solution
lower alcohol
hydrous
ethanol
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Withdrawn
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JP19222592A
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English (en)
Inventor
Kazuo Kanamori
一男 金森
Akihiro Shishikura
昭弘 宍倉
Katsuhisa Yamaguchi
勝久 山口
Shigeru Matsui
茂 松井
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Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高品質のツェインを低コストで得ることがで
きる、新規なツェインの精製方法を提供する。 【構成】 ツェインの含水低級アルコール溶液に高圧ガ
スを溶解させ、貧溶媒化させることによりツェインの濃
縮液を相分離した後、ツェインを回収することを特徴と
するツェインの精製方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ツェインの精製方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】ツェインは、とうもろこし蛋白質の主要
成分の一つであり、アルコールに可溶である。また、接
着力及びフィルムや繊維の形成能を有し、耐水性、耐酸
性、耐熱性、電気絶縁性等の性能を有する被膜をつくる
ことができる。
【0003】このような性質からツェインは、製紙加工
用塗布剤、木材製品の表面塗装剤、合板等の接着剤、防
湿剤、食品、錠剤等のコーティング剤として利用されて
いる。
【0004】上記の特性を有し、各種用途に用いられる
ツェインの精製方法として、特開昭61−167700
号公報には、コーングルテンミールなどのツェイン含有
物質を、エタノール濃度70〜90%(v/v)の含水
エタノール、イソプロパノール濃度約90%(v/v)
の含水イソプロパノールなどの含水低級アルコールで抽
出処理した後、得られたツェインの含水低級アルコール
溶液から溶剤を留去することにより残渣としてツェイン
を得る方法が開示されている。
【0005】また同特許公報には、上記と同様の方法で
得られたツェインの含水低級アルコール溶液を水または
KCl、NaCl、CaSO4 などの塩類の水溶液中に
投入してツェインを沈殿させる方法も開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来方法のうち、ツェインの含水低級アルコール溶液から
溶剤を留去して、残渣としてツェインを得る方法は、着
色し、また特有の臭いをもつツェインを生じ、さらにツ
ェインの性質評価の主要基準であるエタノール溶解性も
低いという欠点や、ツェインが残渣として得られるた
め、不純物や夾雑物が含有されやすいという欠点があ
る。
【0007】またツェインの含水低級アルコール溶液を
水または塩類水溶液中に投入してツェインを沈殿させる
方法は、ツェインを分離後の濾液が低級アルコールとと
もに多量(約90〜98%)の水を含むため、蒸留によ
り低級アルコールを回収するのが困難であり、仮にこれ
を行なおうとすると、別途に蒸留設備を必要とし、さら
にこの蒸留設備の運転のための人員、エネルギーを必要
とし、到底工業的にひき合うものではない。またツェイ
ンの沈殿媒体として、塩類の水溶液を用いた場合には、
多量の塩類を消費するためにコスト高になるという欠点
がある。
【0008】従って本発明の目的は、高品質のツェイン
を低コストで得ることができる、新規なツェインの精製
方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明のツェインの精製方法は、ツェインの含水低級アルコ
ール溶液に高圧ガスを溶解させ、貧溶媒化させることに
よりツェインの濃縮液を相分離した後、ツェインを回収
することを特徴とする。
【0010】以下、本発明を詳説する。
【0011】本発明において用いられるツェインの含水
低級アルコール溶液とは、含水低級アルコール中にツェ
インが溶解乃至分散している溶液を指称し、その調製方
法は問わないが、ツェイン含有物質を含水低級アルコー
ルで抽出処理することにより調製したものが好ましい。
そこでツェイン含有物質の含水低級アルコール抽出処理
によるツェインの含水低級アルコール溶液の調製法につ
いて以下に詳説する。
【0012】ツェイン含有物質としては、とうもろこし
を用いるのが好ましく、特にとうもろこしに所定の処理
を施して得られたコーングルテンミールを用いるのが好
ましい。ツェイン含有物質は、その抽出効率を上げるた
めに粉砕されたものが好ましく、特に60〜100メッ
シュの粒径を有するのが好ましい。
【0013】上記ツェイン含有物質の抽出に用いる含水
低級アルコールとしては、含水メタノール[MeOH/
2 O=50〜90/50〜10(v/v)]、含水エ
タノール[EtOH/H2 O=60〜95/40〜5
(v/v)]、含水イソプロパノール[i−PrOH/
2 O=30〜80/70〜20(v/v)]などが用
いられる。含水低級アルコールの量は、低級アルコール
の種類などにもよるが、ツェイン含有物質に対して3〜
15倍量(重量)とするのが好ましい。この抽出はバッ
チ式、半連続式、連続式などのいずれの方式でも行なう
ことができる。抽出過程においてpHを6〜10に維持
するのが好ましい。その理由は、pHが6未満であると
ツェインの溶解度が低下し、一方pHが10を超える
と、ツェインが変性しやすくなるのに対し、pHが6〜
10であると高抽出率、抽出時間の短縮化が可能となる
からである。また抽出温度は臨界的でないが、15〜6
0℃が好ましく、特に操作の点で20〜50℃であるの
が好ましい。抽出後のツェインの含水低級アルコール溶
液の回収は、遠心分離、濾過、加圧濾過、減圧濾過など
の公知の手段で不純物を除去することにより行なわれ
る。回収された含水低級アルコール中のツェイン濃度は
1〜30重量%に調整されるのが好ましい。その理由
は、1重量%未満では、後続の高圧ガスを用いる処理に
おいて著るしく高い圧力を必要とし、一方30重量%を
超えると、溶液粘度が高くなり、その後の処理効率が低
下するだけでなく、不純物の巻き込み量が増加するから
である。従って、抽出後の溶液のツェイン濃度が上記範
囲にない場合には、濃縮または希釈により上記範囲内に
調整するのが好ましい。
【0014】本発明のツェインの精製方法においては、
上記ツェインの含水低級アルコール溶液に高圧ガスを溶
解させ、貧溶媒化させることによりツェインの濃縮液を
相分離した後、ツェインを回収する。貧溶媒化剤である
高圧ガスとしては炭酸ガス、エチレン、プロピレンなど
の不飽和低級炭化水素、N2 O(笑気ガス)、フルオロ
メタンなどの弗素化低級炭化水素などが挙げられるが、
特に炭酸ガスを用いるのが好ましい。その理由は、炭酸
ガスは、n−ヘキサン程度の溶媒力を有し、貧溶媒化剤
として特に好適であること、安全性に優れていること、
安価であることなどにある。従って以下、炭酸ガスを高
圧ガスとして用いる場合のツェインの精製方法について
その好ましい条件を詳説する。
【0015】(i)ツェインの含水低級アルコール溶液 前述の理由により溶質であるツェインの含水低級アルコ
ール溶液中の濃度は1〜30重量%であるのが好まし
い。また水分濃度は30重量%以下、特に5〜30重量
%であるのが好ましい。その理由は30重量%を超える
と、炭酸ガスの溶解による貧溶媒化によってツェインの
濃縮液が相分離する前に水相が分離し、その後の操作が
複雑になるからである。
【0016】(ii)ツェインの含水低級アルコール溶液
への炭酸ガスの溶解およびツェインの濃縮液の相分離 ツェインの含水低級アルコール溶液を晶析槽に仕込み、
同溶液の温度を10〜60℃に設定した後、晶析槽に
(好ましくはその底部から)炭酸ガスを導入し、所定の
圧力(例えば5〜90kg/cm2 G)に達するまで炭
酸ガスを溶解させる。溶解に際して、場合により機械的
撹拌を行なってもよい。含水低級アルコール溶液中に炭
酸ガスが溶解することにより貧溶媒化が起り、晶析槽に
おいてツェインの濃縮液が液滴として相分離する。
【0017】しかし、ツェインの含水低級アルコール溶
液への炭酸ガスの溶解およびツェインの濃縮液の相分離
は、それぞれポンプ輸送されたツェインの含水低級アル
コール溶液と炭酸ガスとをミキシングライン等の混合領
域に導き、上記所定圧力下に両者を強制的に混合した
後、分離槽に導き、同分離槽でツェインの濃縮液を沈殿
させることによって行なうのが、連続処理が可能とな
り、生産効率を高めることができるので、より好まし
い。
【0018】(iii)ツェインの濃縮液の回収 晶析槽でツェインの濃縮液を相分離させた場合には、同
一圧力条件下で静置後、晶析槽底部からツェインの濃縮
液を抜き出す。また、分離槽でツェインの濃縮液を相分
離させた場合には、同様に同一圧力条件下で静置後、分
離槽の底部からツェインの濃縮液を抜き出す。晶析槽ま
たは分離槽から抜き出されたツェインの濃縮液は脱圧さ
れ、無色透明の粘稠な溶液として回収される。
【0019】一方、ツェインの濃縮液を分離した後の含
水低級アルコールは、抽出に用いた新規含水低級アルコ
ールとその組成が近似しているので、水分濃度の再調整
などの簡易な処理を施すことにより、ツェイン抽出工程
にリサイクルすることが可能である。このことは、ツェ
インの含水低級アルコール溶液を水または塩類の水溶液
に投入してツェインを沈殿させる従来方法が、溶剤のリ
サイクルが不可能であることを考慮すると、優れた技術
的効果ということができる。但し、含水低級アルコール
を3回程度リサイクルすると、リサイクル溶剤中に不純
物が多くなるので、蒸留、吸着剤処理などにより、溶剤
を再生するのが好ましい。
【0020】(iv)ツェインの濃縮液からの精製ツェイ
ンの製造 上記のように回収されたツェインの濃縮液を、スプレー
ドライヤーや熱風を用いて50〜120℃程度で乾燥す
ることにより粉末状の精製ツェインを得ることができ
る。また回収されたツェインの濃縮液を5〜20倍量
(v/v)程度の水中に徐々に投入することによってツ
ェインを沈殿させ、その後乾燥することによって精製ツ
ェインを得ても良い。
【0021】このようにして得られた精製ツェインは、
後述の実施例によっても示されるように、エタノール溶
解性に優れ、また色調も白色で臭いもないことから、こ
れに限定されるものではないが、食品、錠剤などのコー
ティング剤として特に好ましく使用される。
【0022】
【実施例】以下実施例により本発明を更に説明する。 実施例−1 コーングルテンミール100gに含水エタノール[Et
OH/H2 O=90/10(v/v)]500gを加
え、40℃で1時間抽出を行ない、ツェインの含水エタ
ノール溶液を得た。この抽出処理の間、溶液のpHを1
N水酸化ナトリウム溶液で7.0に維持した。抽出終了
後、不溶分をブフナーロートで吸引しながら濾過し、溶
液を回収した。回収された含水エタノール溶液は、44
0.2gであり、溶質として蛋白質純度89.3%のツ
ェインを5.4wt%溶解していた。
【0023】このツェインの含水エタノール溶液を晶析
槽に仕込み、温度30℃、圧力55kg/cm2 Gの条
件下で炭酸ガスを溶解し、貧溶媒化させることにより、
ツェインの濃縮液滴を析出させた。2時間静置した後、
同一条件下で下相のツェイン濃縮液相を系外へ抜き出
し、脱圧することによりツェインの濃縮液を回収し、さ
らにこの濃縮液を真空乾燥し、ツェインの粉末を得た。
このツェイン粉末の蛋白質純度は96.8%であり、濃
縮液からのツェイン回収率は92.4wt%で、19.
4gの白色粉末を回収することができた。
【0024】実施例−2 コーングルテンミール100gに含水エタノール[Et
OH/H2 O=80/20(v/v)]500gを加
え、60℃で0.5時間抽出した後に濾過してツェイン
の含水エタノール溶液を回収した。抽出操作の間、溶液
のpHは8.1〜8.4に保った。このツェインの含水
エタノール溶液を10ml/minで連続的に送液しな
がら、30℃、61kg/cm2 Gの条件で炭酸ガスと
ミキシングラインで混合した後、分離槽に導き、ツェイ
ンの濃縮液を相分離した。析出したツェインの濃縮液相
は分離槽で滞留時間25分間静置することによって沈殿
分離されれ、濃縮液として連続的に回収された。さらに
真空乾燥することによって、20.6gの粉末を得た。
この粉末は蛋白質純度92.7%の白色粉末であった。
【0025】実施例−3 コーングルテンミール100gに含水エタノール[Et
OH/H2 O=90/10(v/v)]500gを加
え、60℃で1.5時間抽出した後に濾過してツェイン
の含水エタノール溶液を回収した。抽出操作の間、溶液
のpHを6.7〜7.1の範囲で維持した。この溶液を
実施例−2と同様のやり方で40℃、58kg/cm2
Gの条件で炭酸ガスと混合し、ツェインの濃縮液を分離
した。その後、実施例−2と同様の処理により19.3
gのツェイン粉末を得た。得られた粉末は蛋白質純度が
97.9%であり、白色であった。
【0026】比較例−1 コーングルテンミール100gに含水エタノール[Et
OH/H2 O=90/10(v/v)]500gを加
え、60℃、pH9.1で2時間抽出し、遠心分離によ
り不純物を除去した。この溶液を濃縮・乾燥することに
より蛋白質純度87.4%の黄色のツェイン粉末を2
3.2g得た。
【0027】比較例−2 比較例−1と同様にツェインの含水エタノール溶液を調
製し(pH8.6〜8.8)、この溶液を溶質濃度が2
0wt%になるまでエバポレーター(60℃)で濃縮し
た後、この濃縮液を10倍量(w/w)の5%NaCl
水溶液中へ滴下してツェインを沈殿させ、遠心分離によ
り回収し、真空乾燥して粉末とした。ツェイン粉末は蛋
白質純度75.8%であり、17.4g回収された。
【0028】試験例 実施例1〜3で得られたツェインと比較例1〜2で得ら
れたツェインについて、食品、錠剤などのコーティング
剤として用いる場合の重要な要件であるエタノール溶解
性および色調、臭いを評価した。なお、エタノール溶解
性は、100gのEtOH/H2 O混液(90/10
(v/v))に5gのツェインを室温にて分散・溶解
し、24時間放置後の状態を観察することにより評価し
た。また色調は目視により、臭いは鼻で嗅ぐことにより
評価した。エタノール溶解性および色調、臭いの評価結
果を表1に示した。なお同表には、各実施例および比較
例における収率、蛋白質純度も併記した。
【0029】
【表1】 表1より、実施例1〜3で得られたツェインは、蛋白質
純度が高く、エタノール溶解性および色調、臭いのいず
れも優れていた。これに対して比較例1で得られたツェ
インは蛋白質純度が低く、黄色で臭いがあり、また比較
例2で得られたツェインはエタノール溶解性に劣り、ま
た色調も淡黄色であった。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、蛋白質純度、エタノー
ル溶解性および色調、臭いの点で優れ、これに限定され
るものではないが、食品、錠剤などのコーティング剤と
して特に好適なツェインを収率良く得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松井 茂 東京都千代田区丸の内三丁目1番1号 出 光石油化学株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ツェインの含水低級アルコール溶液に高
    圧ガスを溶解させ、貧溶媒化させることによりツェイン
    の濃縮液を相分離した後、ツェインを回収することを特
    徴とするツェインの精製方法。
  2. 【請求項2】 ツェインの含水低級アルコール溶液が、
    ツェイン含有物質を含水低級アルコールで抽出処理する
    ことにより得られたものである、請求項1に記載の方
    法。
  3. 【請求項3】 ツェイン含有物質がコーングルテンミー
    ルである、請求項2に記載の方法。
JP19222592A 1992-07-20 1992-07-20 ツェインの精製方法 Withdrawn JPH0641199A (ja)

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Effective date: 19991005