JPH0640696B2 - 変圧器の直流偏磁検出方法 - Google Patents

変圧器の直流偏磁検出方法

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JPH0640696B2 JP63052717A JP5271788A JPH0640696B2 JP H0640696 B2 JPH0640696 B2 JP H0640696B2 JP 63052717 A JP63052717 A JP 63052717A JP 5271788 A JP5271788 A JP 5271788A JP H0640696 B2 JPH0640696 B2 JP H0640696B2
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Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は、最小スペースで且つ損失及び騒音が発生す
ることのない変圧器の直流偏磁検出方法に関するもので
ある。
［従来の技術］ 一般に、インバータの交流出力電圧は低いため、変圧器
の一次側に接続して昇圧している。しかし、トランジス
タなどを用いたインバータにおいては、インバータ回路
の各アームの電圧降下のばらつきトランジスタの導通期
間のばらつきなどにより、交流出力電圧に直流成分が含
まれることがある。この直流成分の影響により、インバ
ータの主回路の出力端子に接続される負荷としての変圧
器が直流偏磁を生じると、鉄損、励磁電流、騒音が増大
するなどの特性の悪化を来すので、直流偏磁は防止しな
ければならない。
従来、この種の変圧器の直流偏磁を検出する方法として
は、例えば、特願昭62-28353号に記載されたような方法
がある。これは、インバータの主回路に並列に可飽和リ
アクトルを接続し、この可飽和リアクトルによって電流
を検出する電流検出手段と、この電流検出手段によって
検出されたリアクトルの電流極性をフォトカプラによっ
て判別する極性判別手段とを用いた方法である。
［発明が解決しようとする課題］ しかしながら、上記のような従来の変圧器の直流偏磁検
出方法はでは、可飽和リアクトルという別の装置を設置
ためのスペースを余計に必要とし、又、可飽和リアクト
ルそのものが損失や騒音を発生するという問題点があっ
た。
この発明は上記のような問題点を解決するためになされ
たもので、余計なスペースを必要とせず、又、損失及び
騒音が発生することのない変圧器の直流偏磁検出方法を
得ることを目的とする。
［課題を解決するための手段］ この発明に係る変圧器の直流偏磁検出方法は、変圧器の
鉄心の近傍に磁気検出器を設け、この磁気検出器の出力
電圧の波形をフーリエ級数展開し、偶数調波の有無によ
って直流偏磁を検出するものである。
［作用］ この発明においては、変圧器の鉄心が直流偏磁を生じる
と、鉄心の磁化力が正負非対称になり、磁気検出器から
の出力電圧に偶数調波が含まれることに着目し、鉄心の
磁化力の変化を直接監視して直流偏磁の有無を判別す
る。
［実施例］ 以下、この発明の一実施例を図について説明する。第１
図はこの発明の一実施例を説明するための変圧器を示す
水平断面図であり、ここでは外鉄形の変圧器を例にとっ
ている。第２図は第１図の変圧器を正面及び側面からみ
た場合の構成図であり、第１図は第２図のＡ−Ａ′断面
を示している。第３図はこの発明の一実施例に用いられ
る直流偏磁検出回路を示すブロック図である。第４図は
この発明が適用される他の変圧器を示す断面図であり、
内鉄形の変圧器の例を示している。
第１図において、鉄心(1)は変圧器(10)の磁気回路を構
成しており、この鉄心(1)には二次側の高圧コイル(2)及
び一次側の低圧コイル(3)が巻かれている。高圧コイル
(2)に負荷が接続されていない無負荷励磁状態において
は、低圧コイル(3)に励磁電流iLが流れると、この励磁
電流iLにより磁束φＬが発生し、鉄心(1)の磁化力に対
応する磁界ＨＬが発生するようになっている。
鉄心(1)の近傍には磁気検出器としてのサーチコイル(4)
が設けられている。このサーチコイル(4)は、第２図及
び第６図にも示すように、例えば鉄心(1)のほぼ中央に
位置しているが、鉄心(1)の近傍であれば他の位置に配
設されてもよい。
第２図において、タンク(5)は鉄心(1)、高圧コイル(2)
及び低圧コイル(3)を収納しており、変圧器(10)を構成
している。高圧コイル(2)の出力端子にはブッシング(6
a)及び(6b)が設けられ、タンク(5)との絶縁を確保して
いる。各ブッシング(6a)及び(6b)は出力電圧の大きさに
応じて大きさが異なっている。又、サーチコイル(4)に
は出力端子(7)が設けられ、タンク(5)から引き出されて
いる。
第３図において、変圧器(10)の低圧コイル(3)にはイン
バータ(11)が接続され、出力側の高圧コイル(2)にはブ
ッシング(6a)及び(6b)を介して所望の負荷（図示せず）
が接続されている。
サーチコイル(4)の出力端子(7)から得られる出力電圧Ｅ
は積分器(12)により積分され、積分後の出力電圧ＥＨは
フーリエ級数展開器(13)に印加されて展開信号Ｆｎとな
る。この展開信号Ｆｎは偶数調波検出器(14)に入力され
て偶数調波Ｆ２、Ｆ４、…の有無が判別され、偶数調波
Ｆ２、Ｆ４、…が検出されたときは検出信号Ｄが出力さ
れるようになっている。
次に、第１図〜第４図を参照しながら、サーチコイル
(4)の出力電圧Ｅをフーリエ級数展開して直流偏磁を検
出するこの発明の一実施例について説明する。
サーチコイル(4)の出力電圧Ｅ[V]は、サーチコイル(4)
が設置されている空間の磁界Ｈの時間微分であるから、 Ｅ＝Ｎ・Ｓ・μｄＨ／dt… 但し、Ｎ：サーチコイル巻数 Ｓ：サーチコイル断面積［m2］ μ：サーチコイルの磁心透磁率［Ｈ／ｍ］ Ｈ：磁界［Ａ／ｍ］ で表わされる。
又、積分器(12)の出力電圧ＥＨは、サーチコイル(4)の
出力電圧Ｅの時間積分であるから、 ＥＨ＝Ａ∫Ｅdt 但し、Ａ：積分器の積分定数 で表わされ、式を代入すれば、 ＥＨ＝（Ａ／Ｎ・Ｓ・μ）Ｈ… となる。
こうして積分された出力電圧ＥＨは、フーリエ級数展開
器(13)により展開信号Ｆｎ（ｎは正の整数）となって偶
数調波検出器(14)に入力される。このとき、直流偏磁が
生じていなければ、鉄心(1)の磁化力は正負対称である
から、磁界Ｈの正負に関するピーク値は対称になり、展
開信号Ｆｎに偶数調波Ｆ２、Ｆ４、…は含まれない。
一方、直流偏磁が生じると、鉄心(1)の磁化力が正負非
対称となるため、磁界Ｈの正負に関するピーク値は非対
称となり、出力電圧ＥＨの展開信号Ｆｎに偶数調波が含
まれるようになる。従って、偶数調波検出器(14)から検
出信号Ｄが出力され、これにより直流偏磁が生じている
ことが分かる。
この発明が適用される変圧器(10)としては、第１図及び
第２図のように外鉄形であっても、又は、第４図のよう
に内鉄形であってもよく、共に同等の効果を奏すること
は言うまでもない。
尚、上記実施例では、磁気検出器としてサーチコイル
(4)を用いたが、ホール素子（図示せず）を用いてもよ
い。この場合、ホール素子を駆動するための電源が別に
必要となるが、第３図と同構成の直流偏磁検出回路を用
いることができる。
又、ノイズ成分を減衰させるため、積分後の出力電圧Ｅ
Ｈをフーリエ級数展開するようにしたが、ノイズによる
影響が少ない場合は、サーチコイル(4)の出力電圧Ｅを
直接フーリエ級数展開してもよい。この場合、ノイズ成
分に減衰されなくなるが、出力電圧Ｅに含まれる偶数調
波成分の減衰を防ぐことができる。
［発明の効果］ 以上のようにこの発明によれば、変圧器の鉄心が直流偏
磁を生じると、その出力電圧波形に偶数調波が含まれる
ことに着目し、鉄心の近傍に磁気検出器を設け、この磁
気検出器の出力電圧の波形をフーリエ級数展開し、偶数
調波の有無を判別することによって直流偏磁を検出した
ので、別の装置を設置する必要がなくなり、余計なスペ
ースを必要とせず、又、損失及び騒音が発生することの
ない変圧器の直流偏磁検出方法が得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
第１図はこの発明の一実施例を説明するための外鉄形の
変圧器の水平断面図、第２図は第１図の変圧器を正面及
び側面からみた構成図、第３図はこの発明の一実施例に
用いられる直流偏磁検出回路を示すブロック図、第４図
はこの発明が適用される内鉄形の変圧器を示す断面図で
ある。 (1)……鉄心、(4)……サーチコイル (10)……変圧器、(11)……インバータ (12)……積分器 (13)……フーリエ級数展開器 (14)……偶数調波検出器、Ｅ……出力電圧 ＥＨ……積分後の出力電圧 Ｆｎ……展開信号、Ｄ……検出信号 尚、図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】変圧器の鉄心の近傍に磁気検出器を設け、
    この磁気検出器の出力電圧の波形をフーリエ級数展開
    し、偶数調波の有無によって直流偏磁を検出することを
    特徴とする変圧器の直流偏磁検出方法。
  2. 【請求項２】磁気検出器の出力電圧の波形は、積分後に
    フーリエ級数展開されることを特徴とする特許請求の範
    囲第１項記載の直流偏磁検出方法。
  3. 【請求項３】磁気検出器としてサーチコイルを用いたこ
    とを特徴とする特許請求の範囲第１項又は第２項記載の
    変圧器の直流偏磁検出方法。
  4. 【請求項４】磁気検出器としてホール素子を用いたこと
    を特徴とする特許請求の範囲第１項又は第２項記載の変
    圧器の直流偏磁検出方法。
  5. 【請求項５】変圧器は外鉄形であることを特徴とする特
    許請求の範囲第１項乃至第４項のいずれかに記載の変圧
    器の直流偏磁検出方法。
  6. 【請求項６】変圧器は内鉄形であることを特徴とする特
    許請求の範囲第１項乃至第４項のいずれかに記載の変圧
    器の直流偏磁検出方法。
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