JPH0640146U - 建築用パネル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 工場段階にて予め建築物の基礎部への結合構
造または、パネル相互間の結合構造を形成した建築用パ
ネルの建築現場における設置作業の容易化、迅速化およ
び正確化を図ること。 【構成】 四角形の表裏面形状を有する建築用パネル１
０、１６の表面に標示１２を付した。この標示は、建築
用パネルの設置方向を決定するための矢印１２ａ及び設
置の順番を示す番号１２ｂから構成される。これによっ
て、工場段階において結合構造が既に付加され、設置の
方向性の限定された状態の建築用パネルの建築現場での
設置の方向及び設置順の認識が視覚的に極めて容易にな
される。従って建築用パネルの現場における設置作業が
より迅速かつ正確化されることとなる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、建築用パネル、特に建築物の壁部や床部を構成する建築用パネルの 建築現場における設置方向や設置位置を容易に認識できる建築用パネルに関する ものである。

【０００２】

【従来の技術】

いわゆるパネル工法においては、壁パネルや床パネル、さらに屋根パネルなど の種々の建築用パネルが用いられる。このような建築用パネルは、複数連続して 連結設置されることにより壁部や床部さらに屋根部などを構成する。

【０００３】 これらの建築用パネルは、設置するときに建築物の基礎部との間で連結を行う 必要がある。例えば、壁パネルや床パネルにおいては、建築物の基礎部側から伸 長するアンカーボルトに対する固定作業が必要である。また、この固定作業を行 うため、壁パネルや床パネルには、その設置場所、例えば建築物の角部、外縁部 あるいは中央部の如何によってアンカーボルトを取り付けるための切欠構造や貫 通孔などを異なった位置に形成しなければならない。

【０００４】 このような建築用パネルの上記固定のための構造部は、建築現場において一枚 ごとに形成し、形成が完了する度に、基礎部に固定することも行えるが、建築現 場における作業をできるだけ省力化するという工業化の要請がある。この要請の 下では、建築用パネルを工場段階で製造するときに基礎部との固定のための構造 部も同時に形成することが望ましく、工場段階においてそのような形成作業が付 加されることが多くなっている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、建築用パネルの工場段階における製造工程において、アンカー ボルト取付用の穴などを形成すると、その建築用パネルの設置場所によってその 形成位置が異なっているので、必然的にその建築用パネルを設置する方向および 位置が限定されることとなる。

【０００６】 従って、建築現場においてその設置の方向や設置順を誤ることのないように注 意する必要があり、建築現場の作業者の労力を大きなものにしていた。また、設 置方向や設置順などを誤ると、取り外して、適切な方向及び位置で設置し直さな ければならず、無駄な作業が増えることになる。

【０００７】 特に、壁パネルにおいて外壁を構成するパネルは、内外の仕様が異なるので、 表裏面の区別がつき易く、その方向性や設置位置を把握することは比較的容易で あるが、内壁に用いられる壁パネルは、内外の仕様が同じなので、表裏面の判定 や設置方向の判断が極めて困難である。また、床パネルなどについても同様にそ の方向性や設置順を判断するのは困難であり、建築現場においてこれらを誤るこ とのないように作業を行うことは、建築物構築の迅速化に反するものであった。

【０００８】 さらに、各建築用パネル相互間も結合金具によって連結されるが、設置の方向 や順番を誤ると結合金具の雄雌の組付けが不能となるような場合も生じる。

【０００９】 本考案は、上記種々の問題点を解決することを課題としてなされたものであり 、その目的は設置の方向性及び設置順を視覚的に極めて容易に判断認識すること のできる建築用パネルを提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため、本考案に係る建築用パネルは、 建築物の一部を構成する建築用パネルにおいて、 前記建築用パネルの特定の一面に、 該建築用パネルの設置位置における、パネル自体の設置方向を示す方向標示と 、 連設する順番を示す順番標示とを付したことを特徴としている。

【００１１】

【作用】

上記構成の建築用パネルによれば、標示が建築パネル自体の設置方向を示して いるので、該建築用パネルを設置するときに方向性の誤りを防止することができ る。また、建築用パネルを連設して設置する順番も、その設置順を示す標示を利 用することにより視覚的に認識することができ、設置の順番を誤ることがなくな る。

【００１２】 このように設置の方向や順番を視覚的に認識することができるので、設置作業 自体を極めて迅速に行うことができるだけでなく、建築用パネルの建築現場への 運搬時や保管時においてその方向性などを誤らないようにするための管理を行う 必要がない。例えば、仮置きされている建築用パネルを任意に取り出してもその 設置の方向や順番が視覚的に容易に認識できるので、設置作業を誤るおそれがな い。

【００１３】

【実施例】

以下、図面に基づいて本考案の実施例について詳細に説明する。

【００１４】 図１（Ａ）及び（Ｂ）には、壁パネルについて本考案を適用した場合の実施例 が示されている。

【００１５】 同図（Ａ）に示した壁パネル１０には、その表面１０ａに標示１２が付されて おり、特許請求の範囲にいう特定の一面が、ここでは表面に対応する。この標示 １２は、特許請求の範囲にいう方向標示に対応する矢印１２ａと、順番標示に対 応する番号１２ｂの２種類の符号からなっている。この標示１２は、矢印１２ａ によって壁パネル１０の設置位置における、壁パネル１０自体の設置方向を示し 、番号１２ｂによって、この壁パネル１０を連設する順番を示している。

【００１６】 同図（Ｂ）は、他の形状の壁パネル１６が示されている。この壁パネル１６の 表面１６ａにも同様に標示１２が付されており、壁パネル１６自体の設置方向を 示す矢印１２ａ及び連設の順番を示す番号１２ｂが付されている。

【００１７】 上記図（Ａ）及び（Ｂ）の各壁パネル１０及び１６は、それぞれ異なった構成 を有しており、それぞれ異なった場所に設置される。従って、アンカーボルトの 取付用穴２０もそれぞれ異なった位置に形成されている。

【００１８】 従って、このような壁パネル１０及び１６をその位置を誤って設置すると、ア ンカーボルトとの対応がとれず、設置することができないこととなる。また、壁 パネル１６の構成は左右対称ではなくアンカーボルトの取付穴２０も対称性がな いことから表と裏面を誤って設置するとアンカーボルトだけでなく他の構成部材 との対応もとれないこととなってしまう。

【００１９】 従って、実施例のように矢印マーク１２を付したことにより、壁パネル１０お よび１６の表面側が明確に認識され、かつパネル自体の設置方向を視覚的に確実 に認識できるので、建築物の一定の方向を向くように配置することにより正確な 壁パネル１０および１６の設置がなされる。

【００２０】 そして、例えば壁パネル１６は番号１２ｂが示すように３番目の設置順で、壁 パネル１０は番号１２ｂが示すように５番目の設置順である。このように設置順 も容易に認識することができ、その順番に従って設置することによりパネル相互 の連結金具による結合も雄雌を確実に対応させて連結でき、連結及び設置が不能 となるような事態を有効に回避することができる。

【００２１】 また、このように設置の方向及び順番が明確に表示されているので、壁パネル の設置作業が熟練を要することなくスムーズに行われることとなる。

【００２２】 次に、図２（Ａ）及び（Ｂ）は、床パネルの例を示しており、同図（Ａ）は床 パネル２２の構成を示す斜視図、同図（Ｂ）は床パネル２２と基礎から伸長する アンカーボルト２６との組付け部分の構成を示す部分斜視図である。

【００２３】 図において、床パネル２２は前述した壁パネル１０および１６と同様に表面及 び裏面の平面形状が四角形であり、両面にボードを固着して所定厚さに形成され ている。そして、側端面にはアンカーボルトを係止させるための切欠２４がアン カーボルト２６に対応する位置に形成されている。この切欠２４の形成位置は、 床パネル２２の設置場所によって種々異なっている。従って、設置方向を誤ると アンカーボルト２６との対応がとれず設置することができない。

【００２４】 そこで、本実施例に係る床パネル２２には、表面２２ａに標示１２が付されて おり、図１の実施例と同様に矢印１２ａと番号１２ｂとからなっている。この標 示１２によって床パネル２２自体の設置方向および連設する順番が示され、所定 の方向に向けて設置することによりアンカーボルト２６と切欠２４とが正確に対 応するように設置することができる。

【００２５】 なお、アンカーボルト２６の位置は設計段階で予め設定することができるので 、床パネル２２の工場段階における製造時にその設置位置に対応した切欠２４を 予め形成しておくことができる。そして、建築現場においては標示１２に従って 床パネル２２を設置することによりアンカーボルト２６に対応させて正確に設置 することができる。

【００２６】 図３は、図２に示したような床パネル２２を用いて順次床部を形成している例 を示す平面図である。

【００２７】 図示のように、各床パネル２２は、設置方向を示す矢印１２ａを図において手 前方向に向けることにより正確な方向での設置がなされている。そして、番号１ ２ｂの順番で設置することにより互いの組付けを確実なものとし、最後までスム ーズかつ完全に設置ができるようになっている。

【００２８】 上記各実施例によれば、標示１２の矢印１２ａ及び番号１２ｂによって各建築 用パネルの設置方向と設置順が容易に認識される。これにより、予め工場段階に おいて建築物の他の構成部材との固定部を構成している場合でも建築現場におい て迅速かつ正確なパネル設置作業を行うことができる。

【００２９】 なお、本考案は、上記実施例の構成に限定されるものではなく、考案の要旨の 範囲内で種々の変形が可能である。たとえば、標示１２の構成は上記のような矢 印１２ａ及び番号１２ｂに限らず、何等かの形でパネルの設置方向及び設置の順 番を示すような記号であれば足りる。

【００３０】 また、上記実施例では、標示１２がパネルの面材側表面に付されているが、こ れに限定されるものではなく、パネルの側面に付される場合であってもよい。た だし、この場合、パネルの表面と裏面の区別が付くように、別の符号を付けてお く必要がある。

【００３１】 さらに、上記実施例では、壁パネルおよび床パネルに本考案を適用した場合を 示したが、これに限定されず、屋根パネルに適用することもできる。

【００３２】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案に係る建築用パネルによれば、工場段階で予め建 築物の他の構成部材との結合のための構造又は他の建築用パネルとの相互結合を 行うための構造を形成しておく場合でも、建築現場においてそのような建築用パ ネルの設置方向や設置順を視覚により容易に認識することができる。これにより 、建築現場における各種建築用パネルの設置作業が極めて迅速かつ正確なものと なり、パネル工法による建築物の構築作業の迅速化に貢献することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】（Ａ）及び（Ｂ）は実施例を壁パネルに応用し
た例を示す斜視図である。

【図２】（Ａ）及び（Ｂ）は実施例に係る床パネルの斜
視図及びその床パネルの基礎部との対応関係を示す概略
斜視図である。

【図３】実施例の床パネルの設置状態を示す説明図であ
る。

【符号の説明】

１０，１６ 壁パネル １２ 標示 １２ａ パネルの設置方向を示す矢印 １２ｂ パネルの連設順を示す番号 ２０ アンカーボルト取付用穴 ２２ 床パネル

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 建築物の一部を構成する建築用パネルに
   おいて、 前記建築用パネルの特定の一面に、 該建築用パネルの設置位置における、パネル自体の設置
   方向を示す方向標示と、 連設する順番を示す順番標示とを付したことを特徴とす
   る建築用パネル。