JPH0639037A - 注射針固定用の接着組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 注射針の針もとと針管の接合を短時間で終了
出来、かつ接着剤塗布状況が容易に目視検査可能な白色
接着剤を提供することを目的とする。 【構成】 注射針の針もと２と針管１とを接合する接着
剤３として、紫外線硬化性樹脂に酸化アルミニウム粉末
を配合比率が紫外線硬化性樹脂の１００重量部に対して
１〜２００重量部、望ましくは１０〜１５０重量部とし
て混練し、白色化したものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は注射針の製造に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般的な注射針の構造は図１に示すよう
なものであり、構成上針管１（カヌラ）と針もと２（ハ
ブ）に分けることが出来る。

【０００３】針管１はステンレス製のチューブで出来て
おり、先端の刃先１ａは斜めに研磨されている。

【０００４】針もと２は以前はポリ塩化ビニルも用いら
れたが、ポリ塩化ビニルには塩素を含んでいるため、最
近ではポリプロピレン、ポリアセタール等の成形品が主
に使用されている。

【０００５】この針もと２に針管１を挿入し、接着剤３
で接合して製造しているが、針もと２の接着性が悪い場
合は接着加工前に針もと２を表面加工してから使用して
いた。この表面加工には一般にオゾンによる表面処理が
行われている。

【０００６】上述の接合に使用する接着剤３としてエポ
キシ樹脂が使用されていた。このエポキシ樹脂接着剤は
一般に高粘度であるため、注射針の製造の場合には接着
剤３の回り込みを良くするために針管挿入部分の隙間を
大きくとった成形品の針もと２に接着剤３を塗布した針
管１を回転させながら差し込んでいた。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】上述のエポキシ樹脂接
着剤は１液型エポキシ樹脂接着剤と２液型エポキシ樹脂
接着剤の何れかが使用されていた。

【０００８】１液型エポキシ樹脂接着剤を使用する場合
は、硬化プロセスに加熱が必要であり、例えば８０℃で
３０分程度の時間が必要である。このため、針もと２に
使用されているポリプロピレン等の熱可塑性樹脂の場合
では、硬化時間の短縮を図るためにより高温での加熱は
困難である。

【０００９】又、針もと２の変形を防止するための低温
硬化では保持時間が長く、製造ラインでの乾燥炉が長大
となってしまうという問題がある。

【００１０】２液型エポキシ樹脂接着剤を使用する場合
は、室温で硬化するが硬化時間が数時間乃至数日間と長
く、又本剤と硬化剤との混合比によって強度のばらつき
が大きい。

【００１１】又、２液型エポキシ樹脂接着剤の場合は混
合直後から硬化が開始されるので、大量に本剤と硬化剤
を混合しておくことが出来ず、更に塗布装置は機械的に
煩雑なメンテナンスが必要であり、清掃、保守が大変で
ある。

【００１２】本発明は上述の問題を解決して、接合作業
を簡単化できる接着組成物を提供することを課題とす
る。

【００１３】

【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
めに、注射針製造工程で針もと２に針管１を固定する接
着組成物において、紫外線硬化性樹脂に白色顔料を混練
した接着組成物（接着剤３）としたものである。

【００１４】上述の白色顔料として酸化アルミニウム粉
末であり、この酸化アルミニウム粉末の配合比率は紫外
線硬化性樹脂の１００重量部に対して１〜２００重量
部、望ましくは１０〜１５０重量部であるものである。

【００１５】

【作用】上述のように、紫外線硬化性樹脂であるので、
短い硬化時間で良く、又白色であるので、接着剤の均一
な塗布を確認することが容易である。

【００１６】

【実施例】図１は一般的な注射針の側面図である。この
注射針は上述のように針管１と針もと２とを挿入状態で
接着剤３で接着したことは従来の注射針と同じである
が、接着に使用する接着剤３は後述する接着剤を使用し
ている。

【００１７】この接着剤３として従来の針もと２に使用
されている接着剤と同等以上の強度を有する紫外線硬化
性樹脂を使用するものである。この場合、完全塗布状態
が確認出来るように白色顔料を混練した接着剤３を使用
している。

【００１８】一般にエポキシ樹脂をはじめとして樹脂を
白色に着色する際には、多くの場合酸化チタン（チタン
白、ホワイトカーボン）、酸化亜鉛（亜鉛華）、酸化鉛
（鉛白）等を配合して白色化していた。

【００１９】しかし、紫外線硬化性樹脂にこれらの白色
顔料を添加した場合は紫外線が遮断されて充分な厚さの
硬化層が得られないが、酸化アルミニウム粉末（アルミ
ナ粉末）を添加することで比較的厚膜硬化性に優れた白
色の紫外線硬化性樹脂が得られた。

【００２０】実験例１ 積算光量３０００ｍＪ／ｃｍ² を照射して紫外線硬化性
樹脂の硬化する厚さを測定した。この場合の紫外線硬化
性樹脂にはスリーボンド（登録商標）３０４２Ｂを使用
した。この実験例で白色顔料添加量（樹脂１００部に対
して）と厚膜硬化性（単位ｍｍ）は次表の通りである。

【００２１】

【表１】

【００２２】実験例２ 積算光量３０００ｍＪ／ｃｍ² を照射した注射針につい
て抜き強度を測定した。厚膜硬化については実験例１と
同じであり、酸化アルミニウム添加量に対する樹脂強度
（ｋｇｆ）と厚膜硬化性（ｍｍ）は次表の通りである。

【００２３】

【表２】

【００２４】

【発明の効果】上述のように、紫外線硬化性樹脂を使用
しているので、硬化時間が短く、量産性が良好である。

【００２５】又、紫外線硬化性樹脂そのものは透明であ
っても、白色顔料が添加してあるので塗布後の塗布状況
が目視出来、塗布不良を事前に発見することが可能であ
る。

【００２６】更に、接着剤部分が白色で、内部構造が見
えないので、外観的にも好ましい。

【図面の簡単な説明】

【図１】一般的な注射針の側面図である。

【符号の説明】

１ 針管 １ａ 刃先 ２ 針もと ３ 接着剤

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 注射針製造工程で針もとに針管を固定す
   る接着組成物において、紫外線硬化性樹脂に白色顔料を
   混練した接着組成物としたことを特徴とする注射針固定
   用の接着組成物。
2. 【請求項２】 前記白色顔料が酸化アルミニウム粉末で
   ある請求項１の注射針固定用の接着組成物。
3. 【請求項３】 前記酸化アルミニウム粉末の配合比率は
   紫外線硬化性樹脂の１００重量部に対して１〜２００重
   量部、望ましくは１０〜１５０重量部であることを特徴
   とする請求項１、２の注射針固定用の接着組成物。