JPH0638728A - バイオリアクタによる醸造酒の連続発酵方法 - Google Patents

バイオリアクタによる醸造酒の連続発酵方法

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JPH0638728A
JPH0638728A JP26200291A JP26200291A JPH0638728A JP H0638728 A JPH0638728 A JP H0638728A JP 26200291 A JP26200291 A JP 26200291A JP 26200291 A JP26200291 A JP 26200291A JP H0638728 A JPH0638728 A JP H0638728A
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liquor
fermentation
bioreactor
culture
yeast
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JP26200291A
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Hideki Inaba
英樹 稲葉
Susumu Tachikawa
進 舘川
Yasuhiko Seike
康彦 清家
Kunio Yuki
邦夫 結城
Masayuki Tanabe
正行 田辺
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NIKKA UISUKII KK
Nikka Whisky Distilling Co Ltd
Sumitomo Heavy Industries Ltd
Original Assignee
NIKKA UISUKII KK
Nikka Whisky Distilling Co Ltd
Sumitomo Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 バイオリアクタ内の温度制御が易しく、菌体
に与える酸素や栄養の供給が簡単で、チャネリングが無
い状態で発酵でき、発酵時間の大幅な短縮と工程の連続
化により効率のよい醸造酒の製法とする。 【構成】 セラミックフィルタモジュール3、熱交換器
4、脱気部5、循環ポンプ2の各装置がパイプにより連
結されてループ状に構成されたバイオリアクタを使用し
て、酒母培養と醸造酒発酵とを同じバイオリアクタ内で
循環させながら連続して培養及び発酵を行う。発酵液は
セラミックフィルタモジュール3から連続的に濾過され
て、その濾液が醸造酒となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、セラミックフィルタを
有するバイオリアクタによる醸造酒の連続発酵法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】アルコール飲料の製造においては、一般
に回分発酵法が用いられている。その一例として、醸造
酒のうち果実酒を製造する方法においては、原料果汁を
発酵タンクに仕込み、あらかじめ別途酒母タンクにて培
養した酵母を酒母として投入し、目的とする果実酒によ
って発酵温度を5〜20℃に維持して一定期間発酵を行
い、発酵終了後にフィルター濾過等で酵母を除去し製品
としている。必要によっては、一回目の発酵の後に、熟
成を主目的とする二次発酵を行ない製品としている。
【0003】従来のこのような回分発酵法は、原料果
汁、発酵液等の処理液の搬入、排出、搬送等の工程自体
が煩雑で効率が悪い。また、アルコール飲料の製造にお
いては、発酵時間を短縮するために原料に添加する酒母
の量を多くすると、製造されたアルコール飲料の品質が
低下することから、添加する酒母量を多くすることはで
きず、品質の面から酒母添加量が制限されており、且
つ、アルコール飲料の製造においては、比較的低温で発
酵を行わなければならないことから、回分式の発酵で
は、全体の発酵期間が長く、一定期間で大量に生産する
ことが困難であることが現状である。この困難性は、前
記アルコール飲料の製造に限らず、一般的にも回分発酵
法は効率が悪く大量生産に向いていない。
【0004】この点を解決するため、従来、各種の連続
発酵可能なバイオリアクタが発明されている。このよう
な目的のために、特に、微生物、或いは酵素を固定化担
体に固定し、充填塔に充填したバイオリアクタが開発さ
れている。このバイオリアクタを用いた方法では、連続
反応が可能である上、固定化することで微生物や酵素が
バイオリアクタ外へ流出するのを防ぐことができ、かつ
微生物や酵素を高密度に保持することで反応速度が飛躍
的に上昇する。この固定化した微生物を使用したバイオ
リアクタをアルコール飲料の製造に応用した例として、
酵母をアルギン酸ソーダやセラミックビーズに固定化
し、充填塔に充填したバイオリアクタが開発されている
(特開平2−39877号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一般
に、前記従来の固定化微生物を有するバイオリアクタを
用いる発酵方法においては、バイオリアクタ内の温度を
均一に制御することが難しかった。また、この様な固定
化微生物をカラムに充填したバイオリアクタでは、充填
槽内を通る液が流れやすい箇所に集中し易い、所謂チャ
ネリング現象が起こり、反応が均一に行われないという
問題があった。さらにそのために、カラムのどの位置に
おける固定化菌体にも菌体が必要とする酸素や栄養を、
均一に供給することが困難になることがあった。また、
固定化微生物を用いたバイオリアクタでは、微生物を固
定化するための固定化剤の選定や固定化方法も十分注意
しなければならなかった。
【0006】また、従来のバイオリアクタは、発酵液の
流れが基本的にプラグフロー(押し出し流れ)であるの
で、バイオリアクタ内では流れ方向に物質の濃度の分布
ができてしまい、発酵原料を投入する入口側では発酵原
料の濃度が高く、出口側では発酵原料の濃度が低くな
り、出口側に位置する固定化された微生物には栄養が充
分に行き渡らなくなるという問題があった。
【0007】また、従来、醸造酒の製造においては、発
酵工程は伝統的に回分発酵法で行われていた。その回分
発酵法は、前記したようにそれ自体効率の良い生産法で
はない。その理由は、発酵時間を短縮するために発酵原
料に添加する酒母の量を多くすると、製造された醸造酒
の品質が低下することから、添加する酒母量を多くする
ことはできず、その発酵温度においても比較的低温に保
持する必要があり、全体の発酵時間が長くかかっていた
からである。
【0008】本発明は前記した問題点を解決するため
に、バイオリアクタ内の温度制御が易しく、菌体に与え
る酸素や栄養の供給が簡単で、各種物質の流れを完全混
合状態に近いものにでき、チャネリングの問題がなく均
一に反応が行え、微生物を固定化することなく、発酵時
間の大幅短縮と工程の連続化により効率の良い醸造酒の
製造を行うことのできる醸造酒の製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに本発明は、セラミックフィルタモジュール、熱交換
器、脱気部、循環ポンプを含み、且つこれらの構成部が
連結されてループ状になったバイオリアクタを用いて、
酒母培養を行い、引き続き連続発酵を行うことを特徴と
するバイオリアクタによる醸造酒の連続発酵方法とする
ものである。
【0010】本発明で使用するセラミックフィルタを有
するバイオリアクタの構成を図1に示す。本装置は、原
料供給口1、循環ポンプ2、セラミックフィルタモジュ
ール3、熱交換器4、脱気部5から主として構成されて
いる。これらの各構成部は任意の順番でよく、各構成部
はループ状に連結され、培養液又は発酵液が循環される
ようになっている。
【0011】このセラミックフィルタを有するバイオリ
アクタは、微生物を固定化したバイオリアクタとは異な
り、バイオリアクタ内を微生物が培養液と共に浮遊及び
混合した状態で循環するものである。このセラミックフ
ィルタを有するバイオリアクタを醸造酒の製造方法に適
用した場合、従来の微生物の培養方法に比べ、菌体濃度
を数倍から数十倍濃度まで培養することができ、そのた
めに、醸造酒の生産速度を飛躍的に増大させるものであ
る。
【0012】セラミックフィルタモジュール3には、フ
ィルター機能を持つ管状の膜エレメント、即ちセラミッ
クフィルタを一本以上数本束ねて容器に収容して一体化
したモジュールが使用される。この管状の膜エレメント
は、酵母等の微生物を通さず発酵した醸造酒を通すよう
な孔径を持つ多孔質となっており、できるだけ透過流束
(単位膜面積を単位時間に透過する透過液量)が大きい
ものが望ましい。そして、その膜構造は、非対称構造で
あり、即ち、透過性能を持つ密層と、それを支える多孔
質支持層からなる構造であり、透過性能を高めると共に
その膜の強度を全体として高めたものである。また、膜
エレメントの材質には、このセラミックフィルタモジュ
ール3の蒸気殺菌、薬品洗浄に耐えるような材質、例え
ば、ジルコニアセラミック、アルミナセラミックが好適
に使用される。
【0013】このセラミックフィルタモジュール3を用
いた濾過は、液の流れ方向に垂直な方向に濾過する、い
わゆるクロスフロー濾過である。図2にクロスフロー濾
過の概念図を示す。図2に示すように、膜エレメントの
長手方向に供給される供給液は流れ方向に垂直な方向に
濾過される。このクロスフロー濾過において、膜エレメ
ントの膜面の液流速を十分なもの、例えば、膜面の流速
2〜4m/secとするため、循環流はほぼ完全混合状
態となってバイオリアクタ内部を循環する。
【0014】前記熱交換器4は、循環ポンプ2の運転等
による蓄熱を抑え熱を微生物の培養又は発酵に適した温
度に調節するためのものである。また、培養又は発酵の
初期の段階においては、最適温度に達していない場合が
あるので、その時は培養液又は発酵液を熱交換器4によ
り加温する。脱気部5は、酵母を用いて醸造酒を発酵す
ると装置の運転中に発酵液中に炭酸ガスが発生し、泡が
出てくるので、その炭酸ガスを抜くと同時に泡を消すた
めのものである。
【0015】本発明で使用するバイオリアクタは、セラ
ミックフィルタモジュール3から排出される醸造酒の量
を調整するための流量調整バルブ9を有している。この
流量調整制御には、流量調整バルブ9より下流に設けた
流量計7の示す量により流量調整バルブ9の開閉度を制
御することのできる流量コントローラ8を用いてフィー
ドバック制御してもよい。
【0016】つぎに、上記に説明したセラミックフィル
タを有するバイオリアクタを使用する醸造酒の連続発酵
方法について説明する。原料として例えば、果物の果汁
を用いた果実酒を例にして説明する。果実酒に適用でき
る原料果汁は、りんご果汁、ぶどう果汁等、果物の果汁
ならば、どのようなものでも使用可能である。酒母培養 前記したバイオリアクタを蒸気殺菌しておく。次に、必
要な処理をした原料、例えば、合成液体培地原料、また
は原料果汁からなる培地原料、をバイオリアクタ内に仕
込む。この仕込みは、培地原料を循環ポンプ2によって
吸引するか又は外部から圧送して無菌的に原料供給口1
から仕込む。
【0017】次に、予め原料果汁等の培地を用いて前培
養した種酵母の適当量をバイオリアクタ内に植菌する。
酒母培養の初期は酵母濃度が低いので、原料果汁を供給
することなく、流量調整バルブ9を閉じ、且つ、循環ポ
ンプ2により培養液をバイオリアクタ内に循環させなが
ら、酵母を培養液中で浮遊させ回分状態で培養する。あ
る程度、酵母が増殖したら、培養液の循環を維持したま
ま原料供給口1から原料の供給を行い、且つ流量調整バ
ルブ9を開き濾過を開始することにより、バイオリアク
タ内の酵母菌体濃度をさらに高める。排出される濾液
は、最終的に得られる果実酒の全体量からすると、微々
たる量であるので、最終の果実酒製品に混合して利用し
てもよい。
【0018】酒母培養の段階は、酵母菌体数の増加を目
的としており、製品である果実酒の生産を目的としてい
ないので、酒母培養の前半の回分培養及び酒母培養の後
半に行う連続培養時における培養温度を果実酒発酵温度
よりも高温、即ち、約15℃乃至25℃程度に制御して
増殖速度を速めてもよい。この時の原料の供給速度は、
酵母の増殖に見合った量を維持するような値に設定す
る。また、酵母の増殖に合わせ、時間の経過と共に原料
の供給速度を上昇させても良い。
【0019】酒母培養は、酵母菌体濃度が約1×108
〜5×109 cell/ml、好ましくは3×108
2×109 cell/mlに増大まで連続培養する。連続発酵 前記の酒母培養の後、続けて果実酒の連続発酵に移行す
る。この移行には、前記酒母培養の後半における濾過を
伴った培養に引き続き、発酵の温度条件及び原料供給条
件を変えることによって行う。発酵温度、原料供給速度
などは果実酒生産の目的に合った値に設定しなければな
らない。発酵温度は、果実酒として好ましくない香りが
つかないような値にコントロールする必要がある。例え
ば、りんご酒の製造のためには発酵温度を好ましくは0
〜25℃とし、さらに好ましくは5〜10℃とする。ま
た、ぶどうマストを使用した果実酒の製造のためには、
好ましくは、5〜20℃、さらに好ましくは、10〜1
5℃とする。
【0020】また、原料供給速度によって、できあがる
果実酒の発酵度が変わるため、目的とする酒の種類、酵
母濃度レベルと原料中の糖濃度等を考慮し、適切な原料
供給速度にて連続発酵を行う。連続発酵の段階で供給さ
れた原料果汁は、バイオリアクタ内で酵母と接触し発酵
作用を受け、セラミックフィルタモジュール3で酵母を
含んだ発酵液から果実酒が分離されてバイオリアクタ外
へ流出される。
【0021】上記のようにして得られた発酵液を必要に
応じて、さらに二次発酵をしてもよい。二次発酵は熟成
を主たる目的としており、従来通りの方法で行う。即
ち、一次発酵液を別のタンクに受けて、発酵液中に酵母
濃度が好ましくは1×106 〜1×108 cell/m
lになるように酵母を添加して、低温で放置することに
よって熟成を行う。
【0022】
【作用】本発明の醸造酒の連続発酵方法は、固定化した
酵母を用いることなく、バイオリアクタ内で循環させな
がら酵母を浮遊状態で高密度に培養し、原料を連続的に
供給して醸造酒を製造する方法である。本発明で使用す
るバイオリアクタは、培養装置と発酵装置の両方の機能
を兼ね備えており、バイオリアクタ内の原料に種酵母さ
え接種すれば酒母培養ができ、同じ装置でさらに引続き
醸造酒の連続発酵ができる。したがって、醸造酒の発酵
に必要な酒母を予め別の装置で培養する必要がない。
【0023】本発明の醸造酒の連続発酵方法では、酵母
が浮遊状態で、培養液又は発酵液中に分散しているた
め、従来の回分式発酵法による浮遊状態で発酵した酵母
と同等な生理的発酵状態が保たれるので、固定化担体を
使用したバイオリアクタに発生する前記した不都合を解
消することができる。従来の回分発酵では、酵母濃度5
×106 〜1×108 cell/mlの範囲で発酵され
ていたが、本発明で使用するバイオリアクタでは1×1
8 〜5×109 cell/ml程度に高密度培養がで
きるため、従来の回分発酵に比べ発酵速度は飛躍的に上
昇する。
【0024】発酵液はセラミックフィルタモジュールを
介して流出するため、得られた醸造酒は酵母が完全に除
去されており、清澄な状態で得ることができる。セラミ
ックフィルタモジュールを構成する膜エレメントをセラ
ミック材料とすることにより、醸造酒に対する臭いが付
かず、蒸気滅菌に何回でも耐えることができる。
【0025】
【実施例1】本実施例において使用したセラミックフィ
ルタを有するバイオリアクタは、実効容積Vが6lであ
り、次のセラミックフィルタモジュールを有するものを
使用した。セラミックフィルタモジュールを構成する膜
エレメント、即ちセラミックフィルタはジルコニア製で
あり、透過孔の平均孔径は、0.08μm、の内圧管状
タイプのものとした。その内圧管状タイプとは、いわゆ
る、管の内側に圧力をかけて、管の外側に透過液を出す
タイプのものをいう。その1つの膜エレメントの膜面積
は0.023m2 で、その膜エレメントを一本セットし
たモジュールを縦に3本繋ぎ、バイオリアクタの総膜面
積を0.069m2 とした。その他の構成は前記説明し
たとおりのものである。
【0026】このセラミックフィルタを有するバイオリ
アクタを使用して、以下に説明する酒母培養及び及び連
続発酵を行って、果実酒の連続発酵を実施した。 (1)酒母培養 比重1.050のリンゴ生果汁を、脱気部5から予め滅
菌したセラミックフィルタを有するバイオリアクタ内全
体に仕込む。次に、予めリンゴ生果汁を用いて前培養し
た一般的な果実酒用酵母であるSaccharomyc
es cerevisiaeとして世界各国で市販され
ていて入手可能なUVAFERM CEG(商品名:N
OVO NORDISK A/S製、デンマーク国)
を、前培養液中の菌体濃度が5×106 cell/ml
となるように植菌した。回分状態で、即ち、図1に示さ
れた流量調整バルブ9を閉じ、循環ポンプ2により培養
液をこのバイオリアクタ内を循環させながら、25℃に
て、菌体濃度が1×108 cell/mlになるまで培
養した。
【0027】さらに、菌体を増やすために連続培養を行
った。具体的には、原料供給口よりリンゴ生果汁の供給
を開始し、それに伴って、セラミックフィルタモジュー
ルでは、透過してくる液の濾過を開始した。本実施例で
は、セラミックフィルタモジュールを構成する管状の膜
エレメントの管の内側に培養液を通し、濾液を管の外側
に透過させた。
【0028】この時、原料供給速度は1.8l/hとし
た。35時間の培養で酵母濃度は5×108 cell/
mlとなった。実績では5×109 cell/mlまで
培養可能だが、実験操作上ハンドリングしやすくするた
め5×108 cell/mlにとどめた。制約がない限
り、できるだけ高い酵母濃度にする方がよいことはいう
までもない。
【0029】(2)リンゴ酒の連続発酵 前記の酒母培養の後、引き続き比重1.050のリンゴ
生果汁を原料として供給し、リンゴ酒の連続発酵を開始
した。この連続発酵の開始条件は、発酵温度を前記酒母
培養の温度より低く、即ち、発酵温度は8℃に制御し
た。同時に、原料供給速度を480ml/hにして、比
重1.0235のリンゴ酒が得られた。発酵は810時
間にわたって安定して行うことができ、製造されたリン
ゴ酒の糖度、アルコール濃度は一定に保たれた。
【0030】得られたリンゴ酒の品質を評価した官能評
価の結果を次の表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】この表1の結果によれば、各分析値、特に
官能評価において、従来法で製造されたリンゴ酒に比較
して本発明による方法が優れた品質のリンゴ酒であるこ
とが分かる。従来の回分発酵では一回の発酵時間が約一
ヵ月であることに比べ、本発明では滞留時間(先に示し
た希釈率Dの逆数で示される。即ち、V/F)は12.
5時間(原料供給速度480ml/h)でバッチ式の従
来の発酵槽と同一容積の本発明のバイオリアクタを用い
た場合、その製造時間を短縮することができる。即ち、
30(日)×24(時間)÷12.5(時間)=57.
6となり、本実施例のバイオリアクタを使用した場合、
従来の回分発酵に比べ、約58倍も速い果実酒の発酵の
生産速度が実現できることになる。
【0033】更に、得られた発酵液を、別のタンクに受
けて、この発酵液中に発酵液中の酵母の濃度が5×10
6 cell/mlになるようにさらに酵母を添加し、熟
成を主たる目的とする二次発酵を低温で放置することに
よって行ったところ、更にフレーバー豊かなリンゴ酒が
得られた。
【0034】
【実施例2】実施例1と同様に、ぶどう濃縮果汁である
ぶどうマストを発酵原料とし、セラミックフィルタを有
するバイオリアクタを用いた連続発酵方法による果実酒
の製造方法の実施例を示す。原料のぶどうマストは希釈
して比重を1.080に調整した。実施例1と同様に2
5℃にて回分培養から連続培養を行って、酵母濃度が5
×108 cell/mlになるまで酒母培養を行った。
続けて温度を10℃に制御し、原料供給速度を240〜
480ml/hの範囲で調節しながら連続発酵を行っ
た。
【0035】目的のもろみの比重は1.002とした。
本実施例のバイオリアクタの実効容積Vは前記したとお
り6lと一定の値であるので、本実施例の場合の希釈率
Dは、D=0.48/6=0.08(1/h)となる。
得られたもろみのアルコール濃度は10%前後で、約一
か月の間安定して連続発酵ができた。得られた果実酒の
分析結果を次の表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】実施例1と同様、表2によれば、従来の回
分法との比較において本発明の方法は優れた品質の果実
酒が得られたことが分かる。この連続発酵の開始時の酵
母菌体濃度は、前記(1)酒母培養で調整した通り5×
108 cell/mlである。この連続発酵の間、アル
コール濃度は3〜4%であった。
【0038】以上、本発明を詳細に説明したが、本発明
は上記した実施例等に限定されるものではなく、本発明
の趣旨に従って、種々の変形が可能である。本発明の醸
造酒の連続発酵方法の説明は、主として、果実酒を例に
して説明を行ったが、本発明は、果実酒に限定されるこ
となく、前記バイオリアクタを用いて日本酒の酒母培養
及び連続発酵を上記実施例と同様にして行うことができ
るものである。この日本酒の場合には、バイオリアクタ
に原料として、米もしくは米麹の糖化液を投入すること
によって、果実酒と同様な方法で発酵を行うことができ
る。
【0039】
【発明の効果】
(1)本発明は、醸造酒製造のための酒母培養を別の装
置で行う必要がなく、同一のバイオリアクタで酒母培養
及びそれに引き続く連続発酵を行うことができる。 (2)本発明は、酵母を固定化担体に固定化することな
く、発酵液又は培養液に浮遊させた状態で循環させて酒
母培養及びそれに引き続く連続発酵を行ったので、バイ
オリアクタ内の温度制御が易しく、菌体に与える酸素や
栄養の供給が簡単で、各種物質の流れを完全混合状態に
近いものにでき、チャネリングの問題がなく均一に反応
が行え、発酵時間の大幅短縮と工程の連続化により効率
の良い醸造酒の連続発酵方法を提供することができる。
【0040】(3)醸造酒製造のための酒母培養におい
て、従来の回分培養に比較して、菌体濃度を高めて、高
密度に培養することができる。 (4)酵母を高密度状態にするため発酵速度は飛躍的に
増大し、従来の回分発酵に比べ同一容積の発酵槽で飛躍
的に増大した生産速度、例えば、58倍もの速度を実現
することができる。また、従来法での仕込み、払い出
し、などの操作及びそれに要する時間が必要なくなる。
【0041】(5)長期にわたり安定的に連続発酵が可
能である。 (6)バイオリアクタから直接、清澄化された醸造酒が
得られる。 (7)本発明の方法によって製造された醸造酒は、官能
評価において優れた品質のものとなる。 (8)本発明の方法によって製造された醸造酒にさらに
二次発酵を行うことでよりフレーバー豊かな醸造酒が得
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用するセラミックフィルタを有する
バイオリアクタの構成を示す図。
【図2】クロスフロー濾過の概念図を示す。
【符号の説明】
1 原料供給口 2 循環ポンプ 3 セラミックフィルタモジュール 4 熱交換器 5 脱気部 6 醸造酒 7 流量計 8 流量コントローラ 9 流量調整バルブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12M 1/00 D 1/40 Z (72)発明者 清家 康彦 神奈川県平塚市夕陽ケ丘63番30号 住友重 機械工業株式会社平塚研究所内 (72)発明者 結城 邦夫 千葉県柏市東中新宿4−1−5 (72)発明者 田辺 正行 千葉県松戸市胡録台146−401

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックフィルタモジュール、熱交換
    器、脱気部、循環ポンプを含み且つこれらの構成部が連
    結されてループ状になったバイオリアクタを用いて、酒
    母培養を行ない、引き続き連続発酵を行うことを特徴と
    するバイオリアクタによる醸造酒の連続発酵方法。
  2. 【請求項2】 酒母培養は、培養液をバイオリアクタ内
    で循環させ、酵母を浮遊させた状態で行うことを特徴と
    する請求項1記載のバイオリアクタによる醸造酒の連続
    発酵方法。
  3. 【請求項3】 酒母培養は、酒母培養の後半の時期にお
    いてセラミックフィルタモジュールで培養液の一部を濾
    過することにより行うことを特徴とする請求項1又は2
    記載のバイオリアクタによる醸造酒の連続発酵方法。
  4. 【請求項4】 酒母培養は、酵母菌体濃度が1×108
    〜5×109 cell/ml、好ましくは3×108
    2×109 cell/mlに増大するまで行うことを特
    徴とする請求項1、2、又は3から選ばれた何れか1項
    記載のバイオリアクタによる醸造酒の連続発酵方法。
  5. 【請求項5】 連続発酵は、発酵液をバイオリアクタ内
    で循環させ、酵母を浮遊させた状態で且つ、セラミック
    フィルタモジュールで発酵液の一部を濾過しながら行う
    ことを特徴とする請求項1記載のバイオリアクタによる
    醸造酒の連続発酵方法。
JP26200291A 1991-10-09 1991-10-09 バイオリアクタによる醸造酒の連続発酵方法 Withdrawn JPH0638728A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015126704A (ja) * 2013-12-27 2015-07-09 サントリーホールディングス株式会社 果実酒の製造方法

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JP2015126704A (ja) * 2013-12-27 2015-07-09 サントリーホールディングス株式会社 果実酒の製造方法

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