JPH0638711Y2 - 筆記具の一時的インキ溜め部材 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） インキタンクとペン先との間に介在される筆記具の一時
的インキ溜め部材であって縦断面櫛歯状のインキ溜め部
を有するものに関する。

（従来の技術） 一般にジャバラと称される上述した種の一時的インキ溜
め部材は、万年筆、小管式筆記具、化粧具など生インキ
状態のインキを内蔵する多くの筆記具に使用されてい
る。この一時的インキ溜め部材は、通常、合成樹脂を用
いて射出成形により一個の成形品として作製されてい
る。

（考案が解決しようとする問題点） 一時的インキ溜め部材は、内外圧変化によるインキの不
慮の漏れ出しを防止するためのものであるから極めて精
度良く作製されなければならない。しかも、筆記具に内
蔵できるインキ量を多くするためには、できるだけ小さ
な体積でできるだけ多くのインキ量を溜めることができ
るものとすること、従って、できるだけ薄肉の成形品と
することが望まれる。

しかし、これらの要求を実際に満足することは極めて大
変なことである。しばしば得られるものは精度不足のも
のであったり、所望以上に厚肉のものとなってしまう。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、インキタンクとペン先との間に介在される筆
記具の一時的インキ溜め部材であって縦断面櫛歯状のイ
ンキ溜め部を有するものにおいて、前記インキ溜め部の
櫛歯形状の櫛歯一つ分を構成する扁平部材を複数重ね合
せることにより前記インキ溜め部の櫛歯形状を形成して
なることを特徴とする筆記具の一時的インキ溜め部材を
要旨とする。

（実施例） 添付図面に一例を示す。参照符号１が扁平部材を示し、
この扁平部材１は円盤状であって、中心部分に孔２を有
する。孔２は繊維収束体などの多孔質体とか適宜インキ
通路を有する棒状体などよりなるインキ誘導部材が挿入
される部分である。即ち、図示したものは、インキ誘導
部材を挿入使用するタイプのものの一例を示す。よく知
られているように一時的インキ溜め部材にはいろいろな
タイプのものがあり、勿論、どのタイプのものであって
もよい。同様に、円盤状とする代わりに楕円盤状などで
あっても構わない。

また、扁平部材１は、一方の面に凸部３を、他方の面に
凹部４を有している（第１図、第２図参照）。複数の扁
平部材１を並べ、隣合う凸部３と凹部４とが嵌め合わせ
られる（第３図参照）。この嵌め合わせは、インキ溜め
部の一つ分に当たる間隙５を確保する。ここで、図示は
しないが、ストレートなパイプ体の外側壁に直径の異な
る２種の円盤状体を交互に複数個嵌めることでも同様に
複数の扁平部材の重ね合わせによる間隙５に相当するも
のが確保できる。しかし、部品点数、組立の容易性を考
慮すると図示したもののほうが好ましい。

また、凸部３にはスリット６が形成されている。孔２と
間隙５とを連絡するためのものである。間隙５はともか
くもインキタンクと連絡していなければインキが溜めら
れない。スリット６はその一手段である。

スリットは、円盤状部分にも形成されている。参照符号
７で示すものである。このスリット７は間隙５を相互に
連絡するためのものである。間隙５がそれぞれ独立にイ
ンキタンクとの連絡をしていると、インキ−空気の置換
が良好になされないことが多い。即ち、内圧が低くて空
気がインキ溜め部（更にはインキタンクまで）に溜る場
合には、インキ溜め部に溜っていたインキを優先的にイ
ンキタンク側へ移さないと、繰返し圧力変化しているう
ちにインキ溜め部にはどんどんインキが溜ることにな
り、インキ溜め部としての実効体積が減少してしまう。
スリット７はこの問題を抑制するのに役立つ訳である。

インキ−空気の置換を良好にする手段は他にも図示して
ある。まず、スリット７はスリット６と連続的に形成さ
れているが、不連続に形成されている場合（例えばスリ
ット７が図における下方に形成されているような場合）
に比べてインキ−空気の置換は一般に良好になる。

また、凸部３、凹部４は対応する一部が欠落したような
円形状をしている。スリット７が一本の直線状となるよ
うに扁平部材の位置決めをするものであり、やはり、イ
ンキ−空気の置換を良好にする一手段である。

スリット6,7は間隙５より狭く形成してある。これも、
インキ−空気の交換を良好にする。

更にまた、図示はしないが、インキ−空気の置換を良好
にするためには、例えば、間隙５がスリット６や７に向
かって次第に狭くなるようにしておいたり、作製の手間
は増えるが、扁平部材１の形状をすべて同じくするので
はなく、インキタンクに近い側の間隙５の幅が違い側の
ものに比べて狭くなっているようにしたりすることもで
きる。

その他、通常の一時的インキ溜め部材は種々目的で種々
形状とされているが、本考案のものも種々形状にするこ
とができ、例えば、第３図の嵌め合わせの両端には異な
る形状のものを嵌め合わせておき、それら全体で一時的
インキ溜め部材を構成するようにしておいてもよい。

また、間隙５のインキ保持性を高めるために植毛処理な
どによる表面凹凸化をなしたりすることもできる。

（考案の効果） 扁平部材一つ一つの形状は一時的インキ溜め部材全体の
形状よりはるかに単純である。それだけ成形精度も良く
なり、また、所望するところに従って薄肉のものとする
ことも容易になり、よって、品質の優れたもの足り得
る。

【図面の簡単な説明】

図面は、本考案の一実施例を示し、第１図は扁平部材の
一方側斜視図、第２図は同じく他方側斜視図、第３図は
扁平部材の重ね合せ状態を示す要部縦断面図。 １…一時的インキ溜め部材、２…孔、３…凸部、４…凹
部、５…間隙。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】インキタンクとペン先との間に介在される
   筆記具の一時的インキ溜め部材であって縦断面櫛歯状の
   インキ溜め部を有するものにおいて、前記インキ溜め部
   の櫛歯形状の櫛歯一つ分を構成する扁平部材を複数重ね
   合せることにより前記インキ溜め部の櫛歯形状を形成し
   てなることを特徴とする筆記具の一時的インキ溜め部
   材。