JPH063866A - 静電荷像現像用コートキャリアの製造法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 流動床コーティング装置を用いて、キャリア
粒子の表面に樹脂溶液をスプレーコーティングする静電
荷像現像用コートキャリアの製造法において、流動層に
振動を付加しつつ、樹脂液のスプレーを行うことを特徴
とする静電荷像現像用コートキャリアの製造法。 【効果】 キャリア粒子の崩壊及び凝集粒子の生成量が
少なく製品歩留りが高く且つキャリア粒子の表面に樹脂
が均一にコートされたコートキャリアが得られる。そし
て、かかるコートキャリアを用いた静電荷像現像によれ
ば、画像濃度が高く、カブリが殆どなく、従って、画質
が鮮明で良好な静電画像が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、電子写真複写機に使用
する静電荷像現像用コートキャリアの製造法に関するも
のであり、詳しくは、流動床コーティング装置を用いた
製造方法であって、特に、比較的少量の流動エアーによ
り効率良く流動させ、キャリア粒子の崩壊が少なく且つ
キャリア粒子の表面に樹脂が均一にコートされるように
改良された静電荷像現像用コートキャリアの製造法に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】静電荷像の現像には、トナーとキャリア
とが混合された二成分現像剤が用いられている。そし
て、キャリアとしては、表面のスペント化による耐久性
の劣化等を改良するため、その表面を樹脂でコートした
所謂コートキャリアが用いられている。従来より、コー
トキャリアの製造方法の１つとして、流動床コーティン
グ装置を用い、大量の空気流によりキャリア粒子を浮遊
させながら樹脂溶液のスプレーを行う方法が知られてい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
方法の実施においては、キャリア粒子を激しく浮遊流動
させるために、粒子１kg当り５０〜５００Ｌ／min の大
量の空気と、粒子容量に対し１０〜５０倍の大きな空間
を必要とし、コンプレッサーを含めたコーティング装置
が極めて大きなものとなるため、装置製造コストも高く
なり経済的でない。また往々にしてキャリア粒子の崩壊
（割れ）や凝集粒子生成が見られ、得られるコートキャ
リアは粒子表面が微粉により汚染されたものとなる。そ
して、製造上、歩留りの低下をきたし、経済的に問題が
ある。また、かかるキャリアを用いた静電荷像現像は、
キャリア引き、トナー飛散およびカブリを惹起させて静
電画像の画質を低下させるという問題がある。本発明
は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、
特に、比較的少量の流動エアーにより効率良く流動さ
せ、キャリア粒子の崩壊や凝集粒子の生成が少なく且つ
キャリア粒子の表面に樹脂が均一にコートされるように
改良された静電荷像現像用コートキャリアの製造方法を
提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明者等は、種々検討
を重ねた結果、コーティング条件、特に、通常の流動層
に特殊な強制振動を加えることで送入空気量が少ない条
件下で良好な流動状態が得られ、この状態において樹脂
液をスプレーコーティングすることにより上記の目的を
容易に達成し得るとの知見を得、本発明の完成に到っ
た。

【０００５】すなわち、本発明の要旨は、流動床コーテ
ィング装置を用いてキャリア粒子の表面に樹脂溶液をス
プレーコーティングする静電荷像現像用コートキャリア
の製造法において、流動層に振動を付加しつつ、樹脂液
のスプレーを行うことを特徴とする静電荷像現像用コー
トキャリアの製造法に存する。

【０００６】以下、本発明を詳細に説明する。先ず、流
動床コーティング装置について説明する。図−１は、本
発明方法の実施例に用いられる流動床コーティング装置
の一例を示す概念図である。上記の流動床コーティング
装置は、加圧加温空気供給口（１）を備えた空気室
（２）の上部に分散板（３）を隔てて流動室（４）を設
け、本体の下部には、振動ブロック（５）があり、イン
バーター（６）に接続した振動モーター（７）をスプリ
ング（８）の上に配置し、本体の中央には、スプレーノ
ズル（９）を配置し、上方には排気口およびフィルター
（１０）を配置して構成されている。キャリア粒子（１
１）は、通常、流動室（４）内に１／２〜１／３容量の
割合で仕込まれ、加圧、加温空気により流動させられ、
更には、振動ブロックの強制振動を付加して振動流動さ
せられる。そして、スプレーノズル（９）から樹脂液が
スプレーされ、キャリア粒子（１１）は均一に流動させ
られつつ、樹脂により均一にコーティングされる。（１
２）は加温又は冷却用のジャケットであり、（１３）か
ら循環される熱媒又は冷媒により、キャリア粒子を効率
的に加温し、又、コート後製品を効率的に冷却すること
ができる。

【０００７】本発明において、キャリア粒子としては、
特に制限されず、従来公知の磁性粒子を使用することが
できる。具体的には、酸化または未酸化の鉄、ニッケ
ル、コバルト、フェライト等が挙げられる。キャリア粒
子の平均粒径は、通常２０〜２００μｍ、好ましくは４
０〜１５０μｍの範囲とされる。

【０００８】本発明において、コート用樹脂としては、
特に制限されず、従来公知のいずれの樹脂も使用するこ
とができる。具体的には、シリコーン系樹脂、アクリル
系樹脂、フッ素系樹脂、塩素系樹脂、塩化ビニリデン系
樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。上記のコー
ト用樹脂は、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレ
ン、ジクロロメタン、クロロホルム等の適宜の溶媒に溶
解されて使用される。

【０００９】本発明の特徴は、流動床の形成を通常の流
動層に強制振動を付加して、樹脂溶液のスプレーを行う
点にある。この時、流動床内の雰囲気温度が３０〜９０
℃の範囲であり、かつ、流動エアー量がキャリア粒子１
kg当り５〜５０Ｌ／min の範囲の条件が好ましい。流動
床内の雰囲気温度が３０℃未満の場合は、乾燥不足のた
めにキャリアが相互に凝集し易くなる。一方、雰囲気温
度が９０℃を超える場合は、乾燥が速過ぎるためにキャ
リア表面に形成される樹脂膜が不均一になる。雰囲気温
度は、４０〜８０℃の範囲が好ましい。流動エアー量が
キャリア粒子１kg当り５Ｌ／min 未満の場合は、攪拌不
足のためにコートの不均一化およびキャリアの凝集を生
じ易い。一方、流動エアー量がキャリア粒子１kg当り５
０Ｌ／min を超える場合は、流動が激し過ぎるため、摩
擦、衝撃によるキャリア粒子の崩壊（割れ）が増加し、
また、スプレーされた樹脂液のミストが空気流に同伴さ
れ、系外に運び出されるため、粒子のコートが効率的に
行なわれなくなり、キャリア表面に形成される樹脂膜が
不均一になる。流動エアー量は、キャリア粒子１kg当り
１０〜４０Ｌ／min の範囲が特に好ましい。

【００１０】流動層に付加する振動は、流動層の少なく
とも一部に与えればよく、好ましくは流動エアー供給口
に近い流動層の下部を振動すると良い。流動層に付加す
る強制振動の振幅は０．５〜５mmの範囲の条件が好まし
い。振動の振幅が０．５mm以下の場合は、流動が悪くな
り、コートの不均一化およびキャリアの凝集を生じ易
い。一方、振動の振幅が５mmを超える場合は、流動が激
しくなり、摩擦及び衝突によるキャリア粒子の崩壊が増
加し、実写画像に悪影響を及ぼす。又、振動の振動数は
６００〜２４００回／min 程度が好ましい。

【００１１】また、樹脂溶液中の樹脂濃度は、０．２〜
２０重量％の範囲が好ましく、１〜１０重量％の範囲が
特に好ましい。樹脂濃度が０．２重量％未満の場合は、
生産性が低下し、２０重量％を超える場合は、溶液濃度
が増して粘度が高くなるためにキャリアの凝集を生じ易
い。また、樹脂溶液の使用量は、特に制限はないが、樹
脂のコート量と生産性を考慮し、キャリア粒子１kg当り
０．３〜１００mlの範囲が好ましい。そして、樹脂溶液
のスプレー速度は、キャリア粒子１kg当り０．３〜５ml
／min の範囲が好ましく、０．５〜２．５ml／min の範
囲が特に好ましい。樹脂溶液のスプレー速度がキャリア
粒子１kg当り０．３ml／min より遅い場合には生産性に
劣り、５ml／min より速い場合には乾燥が不十分となり
凝集体を形成し易い。キャリア粒子への樹脂のコート量
は通常、コア粒子重量に対して０．０５〜５重量％であ
り、コートキャリアの必要特性に応じて任意に選択され
る。

【００１２】本発明方法で製造されたコートキャリア
は、公知の方法に従い、バインダー樹脂中に着色剤、必
要に応じ、電荷制御剤、磁性粒子等のトナー特性付与剤
を分散したトナーと混合し二成分系現像剤として用いら
れる。

【００１３】

【実施例】次に、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。 実施例１ 〈コートキャリアの製造〉図１に示した流動床コーティ
ング装置を用い、下記で示される条件を採用し、ノンコ
ートキャリア（体積平均粒径１２０μｍのフェライトキ
ャリア、パウダーテック社製、商品名「ＦＬ−１０
０」）に塩化ビニリデン／アクリロニトリル＝７０／３
０重量％の共重合樹脂（重量平均分子量３２万）を１．
０重量％コーティングした。続いて、コーティング処理
したキャリアを４０μｍ及び１８０μｍの目開きの篩で
分級し、４０〜１８０μｍの粒子と、微粉量（４０μｍ
＞）及び凝集粒子量（１８０μｍ＜）を調べた。本実施
例では、キャリア粒子の崩壊（割れ）は少なく、微粉の
生成量はわずかであった。また、凝集粒子の生成も少量
であり、４０〜１８０μｍの篩分級品の歩留りは９７．
４８％であった。なお、樹脂溶液の調整には、溶媒とし
てテトラヒドロフランを用いた。

【００１４】〈実施例１の製造条件〉

【表１】 キャリア量 ：１０kg 雰囲気温度 ：５０℃ 流動エアー量 ：３００Ｌ／min 振動振幅 ：２．２mm 振動数 ：１５００回／min 樹脂濃度 ：４重量％ スプレー速度 ：１０ml／min

【００１５】〈トナーの製造〉スチレンとｎ−ブチルア
クリレートとの共重合体樹脂１００重量部、カーボンブ
ラック５重量部、低分子量ポリプロピレン２重量部、四
級アンモニウム塩系帯電制御剤（オリエント化学社製、
商品名「Ｐ−５１」）２重量部の混練粉砕物から成る平
均粒径１０μｍのトナー１００重量部に対し、疎水性シ
リカ微粉末（デグサ社製、商品名「Ｒ−９７２」）０．
１重量部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合してシリ
カ外添トナーを得た。 〈二成分系現像剤の調製〉篩分級により捕集した４０〜
１８０μｍのコートキャリア１００重量部とシリカ外添
トナー４重量部とを混合して現像剤を調製した。 〈評価〉有機光導電体を搭載した市販の複写機を用い、
上記の現像剤を使用した実写耐久試験を行い、画像濃度
の測定およびカブリの判定による評価を行ったところ、
終始安定した鮮明なカブリの少ない画像が得られた。結
果を表−１に示す。

【００１６】実施例２〜６ 実施例１において、雰囲気温度（℃）、流動エアー量
（Ｌ／min ）及び振動の振幅を表１に記載の通りに変更
した他は、実施例１と同様にコートキャリアの製造、ト
ナーの製造、現像剤の調製および評価を行った。各例に
おけるキャリア粒子崩壊による微粉生成量（重量％）、
凝集粒子量（重量％）並びに４０〜１８０μｍ篩分級品
歩留り率（重量％）及び画像濃度、カブリの評価結果を
表−１に示す。なお、表中において、画像濃度とカブリ
の評価に使用した記号の意味は次の通りである。 ○：良好 △：やや悪い ×：悪い

【００１７】比較例１〜２ 実施例１において、振動の振幅がない条件及び流動エア
ーを使用しない条件について評価した結果を表−１に示
す。実施例１〜６に比較して、キャリア粒子の崩壊は比
較的少なかったが、凝集粒子の生成が極端に増加し製品
歩留りが悪くなった。また、粒子の流動が不十分のた
め、コーティングが不均一となり、現像剤の市販複写機
を用いた実写耐久試験の結果は画像濃度、カブリが劣っ
ていた。

【００１８】

【表２】

【００１９】

【発明の効果】本発明の製造方法によれば、キャリア粒
子の崩壊及び凝集粒子の生成量が少なく製品歩留りが高
く且つキャリア粒子の表面に樹脂が均一にコートされた
コートキャリアが得られる。そして、かかるコートキャ
リアを用いた静電荷像現像によれば、画像濃度が高く、
カブリが殆どなく、従って、画質が鮮明で良好な静電画
像が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明方法の実施に用いられる流動床コーティ
ング装置の一例を示す概念図である。

【符号の説明】

１ 加圧加温空気供給口 ２ 空気室 ３ 分散板 ４ 流動室 ５ 振動ブロック ６ インバーター ７ 振動モーター ８ スプリング ９ スプレーノズル １０ 排気口およびフィルター １１ キャリア粒子 １２ ジャケット １３ 冷媒又は熱媒循環口

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 流動床コーティング装置を用いて、キャ
   リア粒子の表面に樹脂溶液をスプレーコーティングする
   静電荷像現像用コートキャリアの製造法において、流動
   層に振動を付加しつつ、樹脂液のスプレーを行うことを
   特徴とする静電荷像現像用コートキャリアの製造法。
2. 【請求項２】 流動床内の雰囲気温度が３０〜９０℃で
   あり、かつ流動エアー量がキャリア粒子１kg当り５〜５
   ０Ｌ／min であり、振動の振幅が０．５〜５mmであるこ
   とを特徴とする請求項１記載の静電荷像現像用コートキ
   ャリアの製造法。