JPH0638209U - 超電導磁石用クライオスタット - Google Patents
超電導磁石用クライオスタットInfo
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本考案は、熱遮蔽板が凍結して抜けなくなる
のを防ぐことを目的とする。 【構成】 本考案の超電導磁石用クライオスタットは、
熱遮蔽板81の先端を寒剤通路管22の上端から全長の
1/3の位置より上に配置されるように構成されてい
る。
のを防ぐことを目的とする。 【構成】 本考案の超電導磁石用クライオスタットは、
熱遮蔽板81の先端を寒剤通路管22の上端から全長の
1/3の位置より上に配置されるように構成されてい
る。
Description
【0001】
本考案はNMR(Nuclear Magnetic Resonance:核磁気共鳴)分析装置用超電 導磁石を冷却する超電導磁石用クライオスタットに関し、熱遮蔽板が凍結して抜 けなくなるのを防いだ超電導磁石用クライオスタットに関する。
【0002】
従来の超電導磁石用クライオスタットとして、例えば、図4に示されるものが ある。このクライオスタットは、超電導磁石1と、これを4.2Kの温度に冷却 する液体ヘリウム20を収容した液体ヘリウム槽2と、熱シールド槽3を介して 液体ヘリウム槽2を包囲すると共に、液体窒素21を収容した液体窒素槽4と、 これらの外周を包囲する真空槽5と、液体ヘリウム槽2の内部に形成され、分析 試料が配置される常温ボア9より構成されている。
【0003】 液体ヘリウム槽2は、液体ヘリウム20を供給する,或いは蒸発したヘリウム ガスを排出するための2本のヘリウム通路管(このうち、1本のヘリウム通路管 は超電導磁石1を励磁するときの電流リードの挿入路ともなる)22を有してお り、このヘリウム通路管22と常温連結部26を介して真空槽5の上部内壁から 吊り下げられている。
【0004】 熱シールド槽3,及び液体窒素槽4は、上記ヘリウム通路管22の所定の位置 からそれぞれ吊り下げられており、各々がヘリウム通路管22と熱的な接続を取 っている。この接続部をサーマルアンカと称しており、ヘリウム通路管22に熱 シールド槽3との接続部として77Kサーマルアンカ61と、液体窒素槽4との 接続部として40Kサーマルアンカ62を設けることによって、液体ヘリウム槽 2への熱浸入を極力小さくし、液体ヘリウム20の蒸発量を抑えている。
【0005】 2本のヘリウム通路管22は、ヘリウムガス通路23によって連結されたヘリ ウムポート25をそれぞれ有しており、ヘリウムポート25は液体ヘリウム20 を供給するときや、超電導磁石1を励磁するとき以外は後述する封止栓7によっ て閉塞されている。ヘリウムガス通路23は蒸発したヘリウムガスを放出する放 出弁24を有しており、放出弁24は空気の侵入を防止するため、逆止弁として 機能するもの、すなわち、大気圧に対してヘリウムガス通路側が正圧のときのみ 開く構成のものを使用している。
【0006】 封止栓7は、ヘリウム通路管22に挿入されるバッフル8と一体化して構成さ れて、通常、前述したヘリウムポート25を閉塞している。バッフル8は熱遮蔽 を行うための銅やアルミ等の光沢面等から成る複数(4〜6枚)の熱遮蔽板81 を有し、このうち先端の熱遮蔽板81は温度が40〜50K程度の深さ、すなわ ち、40Kサーマルアンカ62付近まで挿入されている。熱遮蔽板81は熱遮蔽 効果を高めるため、通常、ヘリウム通路管22の内径より僅かに小さい直径を有 する円板状に形成されているか,或いは超電導磁石1に異常が生じて液体ヘリウ ム20が急激にガス化したときのガス通路を確保するために半円板状に形成され て、これを図示のように向きを交互に配置したものになっている。
【0007】
しかし、従来の超電導磁石用クライオスタットによると、熱遮蔽効果を高める ために、バッフル先端の熱遮蔽体を40Kサーマルアンカ付近まで挿入している ため、液体ヘリウムの補充や、電流リードの挿入のために封止栓を抜いたとき、 又は封止栓を挿入しても気密状態が不完全のとき、ヘリウム通路管に空気(酸素 ガスと窒素ガス)が侵入し、ヘリウムガスより比重が高い空気はヘリウム通路管 を落下してゆき、窒素ガスは63K以下のところで、また、酸素ガスは54K以 下のところで凍結して、40〜50K程度の位置に配置された熱遮蔽板とヘリウ ム通路管が固着してしまう。このため、バッフルと一体化した封止栓が抜けなく なり、液体ヘリウム補充や、超電導磁石の電流調整ができなくなってしまう。
【0008】 従って、本考案の目的は熱遮蔽板が凍結して抜けなくなるのを防ぐことができ る超電導磁石用クライオスタットを提供することである。
【0009】
本考案は上記問題点に鑑み、熱遮蔽板が凍結して抜けなくなるのを防ぐため、 熱遮蔽板の先端を寒剤通路管の上端から全長の1/3の位置より上に配置した超 電導磁石用クライオスタットを提供するものである。
【0010】 寒剤通路管の上端から全長の1/3の位置は、第2の寒剤槽が連結されている 77Kサーマルアンカの位置である。
【0011】
上記構成に基づく本考案の超電導磁石用クライオスタットによると、気密状態 が破れたとき、寒剤通路管に侵入した空気は先端の熱遮蔽板が位置する77K付 近では凍結せずにそのまま落下してゆくため、寒剤通路管と熱遮蔽板が凍結して 熱遮蔽板が抜けなくなるのを防ぐことができる。
【0012】
以下、本考案の超電導磁石用クライオスタットについて添付図面を参照しなが ら詳細に説明する。
【0013】 図1には、本考案の一実施例に係る超電導用クライオスタットの部分的な構成 が示されている。図示されていない他の部分は、図4と同一であるため、説明を 省略する。
【0014】 封止栓7と一体化したバッフル8は、4枚の熱遮蔽板81を有し、封止栓7を ヘリウムポート25に挿入したとき、先端の熱遮蔽板81がヘリウム通路管22 の上端、すなわち、常温連結部26から全長の1/3の位置より上に配置される ように構成されている。この常温連結部26から全長の1/3の位置とは、液体 窒素槽4が連結された77Kサーマルアンカ61の部分である。
【0015】 次に、バッフル8の先端の熱遮蔽板81を常温連結部26から全長の1/3の 位置(77Kサーマルアンカ)より上に配置する根拠について図2を参照しなが ら説明する。
【0016】 図2において、ヘリウム通路管22は、内径24mm,長さ500mmのステ ンレス管で、上端の温度は300K(常温),下端(液体ヘリウム槽2)の温度 は4.2Kになっている。77Kサーマルアンカ61,及び40Kサーマルアン カ62はそれぞれヘリウム通路管22の全長を三等分する位置に設けられ、77 Kサーマルアンカ61は液体窒素槽と熱的に接続されてほぼ77Kの温度に、ま た、40Kサーマルアンカ62は熱シールド槽と熱的に接続されてほぼ40Kの 温度になっている。
【0017】 以上の条件において、バッフルがない場合にヘリウム通路管22を通して液体 ヘリウム槽2に入ってくる輻射熱の割合を計算すると、上方の常温部からの熱が 88%で、残り12%がヘリウム通路管22の壁からの輻射熱である。更に、ヘ リウム通路管22の壁から入ってくる12%の輻射熱の割合を計算すると、ヘリ ウム通路管22の上端から全長の1/6の長さまでの部分からの熱が7%で、残 り5%が全長の下側5/6の部分からの熱にあり、このうち、下側1/3の部分 からの分は2%である。従って、ヘリウム通路管の上端から全長の1/6くらい までの位置、すなわち、上部,及び上端から77Kサーマルアンカ61までの中 間付近からの輻射熱が全体の95%を占めていることになる。このため、バッフ ル8の先端の熱遮蔽板81を、常温連結部26から全長の1/3の位置に配置し ても輻射熱の殆どを遮蔽することができる。一方、ヘリウム通路管22に侵入し てくる空気で最も凍結温度が高い窒素ガスが63K以下で凍結するので、77K サーマルアンカ61より上に配置された先端の熱遮蔽板81が凍結することはな い。
【0018】 次に、熱遮蔽板の通路管上端からの距離と熱遮蔽効果の関係を調べた。図3の グラフにはその結果が示されている。これから判るように、従来のクライオスタ ットの熱遮蔽板の先端位置はBに示す位置であり、熱遮蔽効果は97〜98%に なるが、窒素の凍結温度以下である。一方、本考案のクライオスタットの熱遮蔽 板の先端位置はAに示す位置であり、熱遮蔽効果は88〜96%であると共に、 窒素凍結温度より十分高い温度のところにある。このため、万一空気が侵入して もバッフルの部分で凍結することがない。このように、本考案は熱遮蔽効果を低 下させずにバッフル先端が凍結して抜けなくなるのを防ぐことができる。
【0019】 上記実施例において、バッフルの熱遮蔽板の枚数は2〜4枚が望ましいが、1 枚でも良い。また、先端の熱遮蔽板の位置は、77Kサーマルアンカ付近に限定 するものではなく、例えば、ヘリウム通路管の上端,或いはその上部でも良い。 この場合でも、バッフルがない場合の輻射熱の88%を遮蔽することができ、バ ッフルとして十分の効果を得ることができる。更に、液体窒素槽がなく、代わり に極低温冷凍機によって70〜80Kに冷却されたシールド槽が形成されるクラ イオスタットにおいては、そのシールド槽と接続された部分を77Kサーマルア ンカとしてこれより上に熱遮蔽体を配置すれば良い。
【0020】
以上説明したように、本考案の超電導磁石用クライオスタットによると、熱遮 蔽板の先端を寒剤通路管の上端から全長の1/3の位置、すなわち、77Kサー マルアンカより上に位置させたため、熱遮蔽板が凍結して抜けなくなるのを防ぐ ことができる。
【図1】本考案の一実施例を示す断面図。
【図2】ヘリウム通路管における輻射熱の侵入の割合を
算出する説明図。
算出する説明図。
【図3】ヘリウム通路管の上端からの熱遮蔽板の位置と
熱遮蔽効果を示すグラフ。
熱遮蔽効果を示すグラフ。
【図4】従来の超電導磁石用クライオスタットを示す断
面図。
面図。
1 超電導磁石 2 液
体ヘリウム槽 3 熱シールド槽 4 液
体窒素槽 5 真空槽 7 封
止栓 8 バッフル 9 常
温ボア 20 液体ヘリウム 21 液
体窒素 22 ヘリウム通路管 23 ヘ
リウムガス通路 24 放出弁 25 ヘ
リウムポート 26 常温連結部 61 7
7Kサーマルアンカ 62 40Kサーマルアンカ 81 熱
遮蔽板
体ヘリウム槽 3 熱シールド槽 4 液
体窒素槽 5 真空槽 7 封
止栓 8 バッフル 9 常
温ボア 20 液体ヘリウム 21 液
体窒素 22 ヘリウム通路管 23 ヘ
リウムガス通路 24 放出弁 25 ヘ
リウムポート 26 常温連結部 61 7
7Kサーマルアンカ 62 40Kサーマルアンカ 81 熱
遮蔽板
Claims (2)
- 【請求項1】 超電導磁石と第1の寒剤を収容した第1
の寒剤槽と、その外周にシールド槽を介して設けられ、
第2の寒剤を収容した第2の寒剤槽と、前記第1,及び
第2の寒剤槽を真空状態で包囲する真空槽を備え、前記
シールド槽,及び前記第2の寒剤槽が、前記第1の寒剤
の充填等に使用される寒剤通路管の所定の部分にそれぞ
れ連結されていると共に、前記寒剤通路管に複数の熱遮
蔽板が挿入された超電導磁石用クライオスタットにおい
て、 前記複数の熱遮蔽板の先端が、前記寒剤通路管の上端か
ら全長の1/3の位置より上に配置されていることを特
徴とする超電導磁石用クライオスタット。 - 【請求項2】 前記寒剤通路管の上端から全長の1/3
の位置は、前記第2の寒剤槽が連結されているサーマル
アンカの位置である請求項1の超電導磁石用クライオス
タット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP078863U JPH0638209U (ja) | 1992-10-19 | 1992-10-19 | 超電導磁石用クライオスタット |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP078863U JPH0638209U (ja) | 1992-10-19 | 1992-10-19 | 超電導磁石用クライオスタット |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0638209U true JPH0638209U (ja) | 1994-05-20 |
Family
ID=13673671
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP078863U Pending JPH0638209U (ja) | 1992-10-19 | 1992-10-19 | 超電導磁石用クライオスタット |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0638209U (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2019225721A1 (ja) * | 2018-05-23 | 2021-06-10 | 日本製鉄株式会社 | 磁場発生装置及び磁場発生装置の着磁方法 |
-
1992
- 1992-10-19 JP JP078863U patent/JPH0638209U/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2019225721A1 (ja) * | 2018-05-23 | 2021-06-10 | 日本製鉄株式会社 | 磁場発生装置及び磁場発生装置の着磁方法 |
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