JPH0637776U - ネットワークアナライザの出力切換回路 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ネットワークアナライザのＤＵＴ出力信号レ
ベルが所定値以下に下ったとき、それを検出して挿入さ
れている減衰器を自動的に除去し、測定信号のダイナミ
ックレンジを大きくする。 【構成】 ＤＵＴ３１の出力端子３３の交流電圧を直流
電圧に変換する交直電圧変換回路４２と、所定の直流電
圧ｂＶを出力する比較電圧電源４６と、交直電圧変換回
路４２と比較電圧電源４６との両者の出力電圧を比較し
前者の方が後者より大きいときは信号“０”、そうでな
いときは信号“１”を出力する比較器４７と、検出電圧
の補正抵抗器４５およびその切換スイッチ４３，４４か
らなり、信号“０”が出力されたときは減衰器２１が投
入され、信号“１”が出力されたときは減衰器２１が除
去され、代りに直通回路２２が投入される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、被測定物の伝送特性および反射特性を正弦波電力を用いて解析する ネットワークアナライザに関し、特に被測定物からの出力を用いて印加電力を切 換える出力切換回路に関する。

【０００２】

【従来の技術】

ネットワークアナライザによる被測定物（ＤＵＴ）の解析は、測定対象のＤＵ Ｔに所定のレベルの正弦波信号電力をある周波数範囲にわたって掃引しながら印 加し、ＤＵＴからの出力信号をＡ／Ｄ変換部に送ってディジタル信号に変換し、 Ａ／Ｄ変換部で同様にディジタル信号に変換されたＤＵＴの入力信号と比較した 結果、または出力信号のみを表示あるいは記録することによって行われる。従来 は、Ａ／Ｄ変換部に送る信号のダイナミックレンジを最大とするため、図２に示 すように、信号電源１０と測定回路３０との間に固定の減衰量ａｄＢｍの減衰器 ２１と直通回路２２からなる減衰回路２０を設け、スイッチ２３，２４により減 衰器２１と直通回路２２を切換えて測定回路２０への入力レベルを調整していた 。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ＤＵＴの出力側のレベルは、周波数によって異なるが、それらのうちの最大の レベルに対応して減衰量ａｄＢｍが設定されるので、最大出力レベルの周波数と 異なる周波数においては、減衰器挿入による減衰量が過大となりＤＵＴ出力側の レベルが小さく、したがって、測定誤差が大きくなる。従来は、ある出力レベル 以上の周波数範囲の測定中は減衰器を挿入して測定し、その後手動により減衰器 を取り除いて残りの周波数範囲の測定を行っていたので、全周波数範囲の測定を 行うのに長時間を要するという欠点があった。

【０００４】 本考案の目的は、測定出力信号レベルに応じて測定入力信号レベルを自動的に 加減してダイナミックレンジを改善できるネットワークアナライザの出力切換回 路を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案のネットワークアナライザの出力切換回路は、被測定物から出力された 交流電力の電圧を直流電圧に変換する交直電圧変換回路と、所定の値の直流電圧 を出力する比較電圧電源と、交直電圧変換回路の出力電圧と比較電圧電源の出力 電圧とを比較し、前者が後者より大きいときは第１の信号を、前者が後者以下の ときは第２の信号を出力する比較器と、第１の信号が入力されたときは被測定物 の入力回路に所定の減衰量の減衰器を挿入し、第２の信号が入力されたときは減 衰器をこの入力回路から除去する減衰器切換回路とを有する。

【０００６】

【作用】

測定開始時に、測定周波数範囲内の最大出力レベルに対応した減衰量の減衰器 を挿入して測定を開始すると、測定中に被測定物の出力電圧が比較電圧電源の電 圧値以下になったことが検出されると、減衰器切換回路によって減衰器が除去さ れて出力レベルが高められ、ダイナミックレンジが改善される。

【０００７】

【実施例】

次に本考案の実施例について図面を参照して説明する。

【０００８】 図１は本考案の一実施例の回路図である。この回路は、低周波数から高周波数 まで広い周波数範囲の正弦波の測定信号を出力する信号電源１０と、測定対象の 被測定物ＤＵＴ３１が挿入され、不図示のＡ／Ｄ変換部へ測定入力信号とＤＵＴ ３１の出力信号とを出力する端子３４，３３を有する測定回路３０と、所定の減 衰量ａｄＢｍの減衰器２１、信号電源部１０から出力された測定信号を減衰する ことなく測定回路３０に供給する直通回路２２、および減衰器２１と直通回路２ ２を切換える切換スイッチ２３，２４からなる減衰部２０と、測定出力信号端子 ３３に分岐接続され、その出力である交流電圧を直流電圧に変換する交直電圧変 換回路４２、所定の電圧ｂＶを出力する比較電圧電源４６、交直電圧変換回路４ ２の出力電圧を比較電圧電源４６の出力電圧ｂＶと比較して前者が大きい場合は 第１の信号“０”、等しいか小さい場合は第２の信号“１”を発生する比較器４ ７、検出電圧の補正抵抗器４５およびその切換用のスイッチ４３，４４からなる 出力切換回路４０とからなる。各スイッチ２３、２４は、第１の信号“０”で減 衰器２１側、第２の信号“１”で直通回路２２側に、スイッチ４３は、第１の信 号“０”でオン側、第２の信号“１”でオフ側に、スイッチ４４は、第１の信号 “０”でオフ側、第２の信号“１”でオン側にそれぞれ動作する。

【０００９】 次に、本実施例の動作について説明する。このネットワークアナライザによっ てＤＵＴ３１を測定するときは、まず、信号電源部１０の周波数を全測定範囲の ｆ₀ からｆ₂ まで掃引したとき、出力端子３３に表れる出力が最大レベルの測定 可能範囲内になるように、減衰器２１を投入して、測定信号入力端子２４の信号 レベルｃｄＢｍを（信号電源部１０の出力レベルＡｄＢｍ）−（減衰器２１の減 衰量ａｄＢｍ）に等しくする。このとき、スイッチ２３，２４は減衰器２１の側 に、スイッチ４３はオン、スイッチ４４はオフの状態にある。

【００１０】 この状態で測定を始めると、ＤＵＴ３１の出力端子３３の電圧が交直電圧変換 回路４２で直流電圧に変換され、比較器４７で比較電圧電源４６の出力ｂＶと比 較されて、ｂＶより大きい場合は、比較器４７から第１の信号“０”が出力され 、各スイッチの状態はそのまま継続される。測定が進行して周波数ｆ₁ まで掃引 したとき、出力端子３３から検出された電圧がｂＶ以下になると、比較器４７が それを検出して第２の信号“１”を全スイッチ２３，２４，４３，４４に送る。 そうすると、スイッチ２３，２４は直通回路２２の側に、スイッチ４３はオフ、 スイッチ４４はオンとなって、減衰器２１が除去され、測定信号の入力端子２４ のレベルＣ＋ａ＝ＡｄＢｍとなり、したがって出力端子３３，３４の出力レベル ａｄＢｍ上昇する。補正抵抗４５は、出力端子３３の検出電圧が減衰器２１の有 無によりａｄＢｍ変化することに対するｂＶとの比較電圧値の補正用である。

【００１１】 比較器４７は、その後もこの補正された検出電圧を比較電圧電源４６の出力と 比較して、ｂＶを越えたことを検出すると再び第１の信号“０”を出し、スイッ チ２３，２４，４３，４４を切換え、減衰器２１を回路に挿入する。

【００１２】 このように、ＤＵＴ３１の出力信号のレベルが比較電圧電源４６のｂＶ以下に なると減衰器２１が自動的に除去されて測定信号の出力レベルがａｄＢｍ上昇さ れるので、測定のダイナミックレンジが広げられ、測定の正確度を増加すること ができる。

【００１３】 また、本実施例の出力切換回路は、各構成素子をいずれもアナログ部品とする ことができるので、高速動作が可能である。

【００１４】

【考案の効果】

上述のように本考案は、測定対象の被測定物の出力信号を検出して直流電圧に 変換する交直電圧変換回路と、所定の電圧の比較電圧電源と、前２者の出力の大 小を比較する比較器とを設けて、比較器の出力により測定信号入力部の減衰器挿 入・除去に切換えることにより、測定信号の出力レベルが所定の値の上下に変化 するたびに入力レベルが自動的に調整されて、測定出力信号のダイナミックレン ジが改善できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の出力切換回路の一実施例の回路図であ
る。

【図２】従来の出力切換回路の回路図である。

【符号の説明】

１０ 信号電源 ２０ 減衰回路 ２１ 減衰器（ＡＴＴ） ２２ 直通回路 ２３，２４ 切換スイッチ ３０ 測定回路 ３１ 被測定物（ＤＵＴ） ３２ 入力信号出力回路 ３３，３４ 出力端子 ４０ 出力切換回路 ４２ 交直電圧変換回路 ４３，４４ スイッチ ４５ 補正抵抗器 ４６ 比較電圧電源 ４７ 比較器

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 被測定物に所定の周波数範囲の正弦波電
   力を入力して、各周波数ごとに前記被測定物の入・出力
   電力の値をそれぞれディジタルデータに変換して両者を
   比較し、その結果または出力電力のみを表示あるいは登
   録するネットワークアナライザにおいて、 前記被測定物から出力された交流電力の電圧を直流電圧
   に変換する交直電圧変換回路と、 所定の値の直流電圧を出力する比較電圧電源と、 前記交直電圧変換回路の出力電圧と前記比較電圧電源の
   出力電圧とを比較し、前者の方が後者より大きいときは
   第１の信号を出力し、前者が後者以下のときは第２の信
   号を出力する比較器と、 前記第１の信号が入力されたときは、前記被測定物の入
   力回路に所定の減衰量の減衰器を挿入し、前記第２の信
   号が入力されたときは、前記減衰器の前記入力回路から
   除去して測定信号電源の出力を直接前記入力回路に入力
   する切換回路とを有することを特徴とするネットワーク
   アナライザの出力切換回路。