JPH0636988U - 車両用ドアミラーのガセット構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 車内外側リップの配置形状を改良して、この
両リップのみによりガラス位置のバラツキを吸収可能に
する。 【構成】 フロントドア１の前端上部に立設されてドア
ミラー３を支持するガセット１０が、ゴム材による横断
面略Ｕ字形のガセット本体１１を有し、このガセット本
体１１の内部にドアガラス２を案内する案内溝１３を設
け、案内溝１３の開口側の両側部に車内側リップ１４と
車外側リップ１５を、前後方向にずらして略ガセット本
体中心まで湾曲するように形成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、乗用車等の車両のフロントドアの前端上部に立設されてドアミラー を支持するガセットの構造に関し、詳しくは、車内側リップと車外側リップの形 状に関する。

【０００２】

【従来の技術】

フロントドアにドアミラーを取付ける場合の構造として、サッシュレスドアの コーナピースと同様に形成されるガセットをフロントドアの前端上部に立設し、 このガセットにドアミラーを水平に突出して取付けるものがある。この場合のガ セットは、コーナピースと同様にドアガラスの前端部をシールして案内するよう に構成されている。

【０００３】 従来、上記ガセットに類似するコーナピースに関して、例えば特開平１−１１ ４５１５号公報、特開平３−２２７７１９号公報の先行技術がある。ここでコー ナピース本体を、側面視三角形で、横断面略Ｕ字形に成形する。そして本体の内 部の案内溝によりドアガラス開閉時にその前端部を案内して、案内溝の開口部に 車内側リップと車外側リップを略同一長さに設けてドアガラスに対してシールす る。またドアガラスの組付けのバラツキに対してシール性を確保するため、サブ リップを各別に設けてドアガラスとの隙間に挟み込んだり、またはアジャストボ ルトにより挟圧力を調整することが示されている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、上記先行技術のものにあっては、サブリップやアジャストボルトを 付加するものであるから、構造が複雑になり、見栄えも悪化する。またドアガラ スの案内や摺動を制限する等の問題がある。

【０００５】 本考案は、この点に鑑みてなされたもので、車内外側リップの配置形状を改良 して、この両リップのみによりガラス位置のバラツキを吸収可能にすることを目 的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため、本考案は、フロントドアの前端上部にドアミラーを 支持するガセットが立設され、このガセットはゴム材による横断面略Ｕ字形のガ セット本体を有し、このガセット本体の内部にドアガラスを案内する案内溝が設 けられ、案内溝の開口側の両側部に車内側リップと車外側リップとが設けられる 構造において、車内側リップと車外側リップを前後方向にずらして略ガセット本 体中心まで湾曲するように形成するものである。

【０００７】

【作用】

上記構成に基づき、ガセット本体の車内側リップと車外側リップは、ドアガラ スに対するラップ量が大きくなる。そして両リップは、案内溝に挿入されるドア ガラスに対して共に偏平化するように変形しながら、先端をガラス両面に弾性接 触してシールする。またドアガラスの位置の組付け時の誤差によるバラツキに対 しては、両リップの変形の度合いで吸収して、シール状態が確保されるようにな る。

【０００８】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。図４において、フロントド ア部の概略について説明すると、符号１はフロントドアであり、このフロントド ア１にドアガラス２が昇降して開閉するように装着される。またフロントドア１ の前端上部には側面視三角形の板状のガセット１０が立設して固着され、このガ セット１０にドアミラー３が水平に突出して取付けられている。

【０００９】 図１において、ガセット１０の構成について説明すると、ガセット本体１１が ゴム材により横断面略Ｕ字形に成形され、このガセット本体１１の略全周には補 強用の芯金１２が埋設され、内部にドアガラス２の幅に応じた案内溝１３が車体 前後方向の後方を開口して設けられる。またガセット本体１１において案内溝１ ３の開口部の両側部には、車内側リップ１４と車外側リップ１５がそれぞれ設け られる。

【００１０】 この場合に車内側リップ１４は車体前方でガセット本体１１の略中心線Ｏまで 湾曲し、車外側リップ１５は車体後方で同様にガセット本体１１の略中心線Ｏま で湾曲して設けられる。こうして車内外側リップ１４，１５は前後方向にずれて ラップし、ドアガラス２に対してラップ量を増大するように形成される。そして ガセット本体１１の案内溝１３にはドアガラス２が出入り可能に挿入され、車内 外側リップ１４，１５がドアガラス２の両面に所定の押付け力で弾性的に接する ように構成される。

【００１１】 図３において、上記ガセット本体１１の特にリップ部を加硫成形する金型につ いて説明する。この場合の金型２０は、下型２１、上型２２及び中子２３を有し て、下型２１の湾曲した凹部２１ａと上型２２の湾曲した凹部２２ｂとが前後に ずれて設けられる。また中子２３の端部においては、下方の湾曲した凸部２３ａ と上方の湾曲した凸部２３ｂとが前後にずれて設けられ、両凸部２３ａ，２３ｂ が水平部２３ｃで接続して形成される。そしてこれらの下型２１、上型２２及び 中子２３を組合わせることで、下型２１と中子２３により湾曲した舌片状のキャ ビティ２４が、上型２２と中子２３により同様の他方のキャビティ２５が、それ ぞれ型抜き可能に形成される。そこでこのような金型２０において、両キャビテ ィ２４，２５に芯金１２を設置してゴム材Ａを充填するのであり、これにより一 方のキャビティ２４で車内側リップ１４が、他方のキャビティ２５で車外側リッ プ１５がそれぞれ前後方向にずれてラップするように成形される。

【００１２】 次に、この実施例の作用について説明すると、フロントドア１のドアガラス２ が昇降して開閉する際に、そのドアガラス２の前端部がガセット本体１１の案内 溝１３に出入りして案内される。ここで車内側リップ１４と車外側リップ１５が 前後方向にずれてラップするように配置されているため、ドアガラス２の前端部 が案内溝１３に挿入すると、両リップ１４，１５がそのドアガラス２により押し 開かれて、図２の一点鎖線の状態から実線のようにドアガラス２の厚さに応じ偏 平化するように変形する。そして両リップ１４，１５の先端が、その変形に伴う 押付け力によりドアガラス２の両面２ａ，２ｂに強く弾性接触して確実にシール される。

【００１３】 一方、ドアガラス２の組付け時の誤差により、ドアガラス２が例えば内側寄り に設置される場合は、車内側リップ１４が多く偏平化するように変形する。また 逆にドアガラス２が外側寄りに設置される場合には、車外側リップ１５が多く偏 平化するように変形し、こうして両リップ１４，１５の弾性変形の度合いにより ドアガラス２の組付け時の誤差によるバラツキが吸収される。そしてこれらのい ずれの場合も、両リップ１４，１５の先端がドアガラス２の両面２ａ，２ｂに弾 性接触してシール状態に確保される。

【００１４】 以上、本考案の実施例について説明したが、これのみに限定されない。

【００１５】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案によれば、フロントドアの前端上部に立設されて ドアミラーを取付け支持するガセットにおいて、車内側リップと車外側リップが 前後方向にずれてドアガラスに対するラップ量が大きく形成されるので、シール 性が向上する。またドアガラスの位置の組付け時のバラツキに対しては、両リッ プの弾性変形の度合いにより確実に吸収することができる。更に、両リップの形 状は金型の凹凸部により成形されて、製造が容易である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る車両用ドアミラーのガセット構造
の実施例を示す断面図。

【図２】ドアガラスに対する車内側リップと車外側リッ
プの接触状態を示す断面図。

【図３】ガセットを製造する金型を示す断面図。

【図４】フロントドアの部分を示す斜視図。

【符号の説明】

１ フロントドア ２ ドアガラス ３ ドアミラー １０ ガセット １１ ガセット本体 １３ 案内溝 １４ 車内側リップ １５ 車外側リップ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 フロントドアの前端上部にドアミラーを
   支持するガセットが立設され、このガセットはゴム材に
   よる横断面略Ｕ字形のガセット本体を有し、このガセッ
   ト本体の内部にドアガラスを案内する案内溝が設けら
   れ、案内溝の開口側の両側部に車内側リップと車外側リ
   ップとが設けられる構造において、車内側リップと車外
   側リップを前後方向にずらして略ガセット本体中心まで
   湾曲するように形成することを特徴とする車両用ドアミ
   ラーのガセット構造。