JPH0636836U - 内層にエンボスパターンを有する床タイル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本考案は内層に木目導管柄のエンボスパターン
を形成し、このパターン凹部にインキを埋め込み、この
上に紫外線硬化型樹脂層を設けて、内層に立体的なエン
ボスパターンを有する床タイルを提供するものである。 【構成】基材の再製塩化ビニルシートに、合成樹脂から
なる積層シートを熱ラミネートした構成の床タイルにお
いて、前記積層シートが、木目柄層を設けた着色塩化ビ
ニルシートに透明塩化ビニルシートを積層し、該透明塩
化ビニルシート上にエンボスパターンを形成し、該エン
ボスパターンの凹部に塩化ビニル系インキを埋め込み、
このインキ表面を拭き取り、このパターン上を厚さ５０
μｍ〜１５０μｍの紫外線硬化型樹脂層で被覆した構成
の内層にエンボスパターンを有する床タイル。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、木目柄層を設けた着色塩化ビニルシートと透明塩化ビニルシート上 にエンボスパターンを形成し、パターン凹部にインキ層を設けその表面を紫外線 硬化型樹脂層で被覆した積層シートを、再製塩化ビニルシート上に熱ラミネート した構成の内層にエンボスパターンを有する床タイルに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来から床タイルとして、アスファルトタイル、リノリュームタイルなどが広 く用いられているが傷がつきにくい反面、クッション性、滑り易い等の問題が残 されていた。このためこれらに代って図３に示すような、グラビア印刷などによ り柄層(32)を設けた着色塩化ビニルシート(31)に透明塩化ビニルシート(35)を積 層し、その表面に木目柄等のエンボスパターン(E) を形成した積層シート(PS)を 基材の再製塩化ビニルシート(40)に熱ラミネートして、クッション性、滑り止め 効果を有する塩化ビニル床タイル(30)が当出願人から提案されている。また、図 ４に示すような、柄層(52)を設けた着色塩化ビニルシート(51)に透明塩化ビニル シート(53)を積層して、その表面に熱硬化型樹脂(55)を塗布し、メラミン樹脂板 や金属板等を用いて表面を鏡面状態にした積層シートを、基材の再製塩化ビニル シート(40)に熱ラミネートして表面強度を向上し、かつ、艶を表現した床タイル (60)が知られている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、表面にエンボスパターン(E) を形成した塩化ビニル床タイル(3 0)は、基材との熱ラミネート又は熱プレスの際に、エンボス（凹凸) の深浅が変 形して、所望の輝度感や意匠性における照りや風合を表現することが難しい。ま た、表面に熱硬化型樹脂層を設け、表面強度の向上や耐汚染性を付与し、鏡面仕 上げして艶を表現した床タイル(60)は立体感や深み等の表現に乏しく、いずれの 床タイルも表面のエンボスパターンか柄層を設けた樹脂シートを用いるかして、 ごく限られた範囲での意匠的表現しかできなかった。

【０００４】 そこで本考案は、内層に木目導管柄のエンボスパターンを形成し、このパター ン凹部をインキで埋め込み、この上を紫外線硬化型樹脂層で被覆し、内層に立体 的なエンボスパターンを有し、且つ、表面にも微細凹凸模様を形成し、表面が耐 摩耗性、耐汚染性及び耐タバコ火性の表面耐性機能を有する優れた床タイルを提 供するものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

課題を解決するために本考案は、基材の塩化ビニルシート上に合成樹脂層樹脂 からなる積層シートを熱ラミネートした構成の床タイルにおいて、前記積層シー ト(P) が、木目柄層(M) を設けた着色塩化ビニルシート(12)上に透明塩化ビニル シート(11)を積層し、該透明塩化ビニルシート上にエンボスパターン(E) を形成 し、該エンボスパターンの凹部に塩化ビニル系インキ(T) を埋め込み、このイン キ表面を拭き取り、このパターン上を厚さ５０μｍ〜１５０μｍの紫外線硬化型 樹脂層(10)で被覆した構成としたものである。 また、前記硬化型樹脂層(10)を着色紫外線硬化型樹脂層としたものである。

【０００６】 更に、前記紫外線硬化型樹脂層上に微細凹凸模様を形成したものであり、或い は、紫外線硬化型樹脂層の表面を鏡面仕上げとしたものである。

【０００７】 本考案を詳細に説明する。本考案の床タイル(20)の基材としては、厚さ２．０ ｍｍ〜３．０ｍｍで炭酸カルシュームを添加混練した再製塩化ビニルシート(40) を用いた。この基材上に熱ラミネートする積層シート(P) は、厚さ０．１ｍｍ〜 ０．２ｍｍの着色塩化ビニルシート(12)上に塩化ビニル系印刷インキを用いてグ ラビア印刷法により３色刷〜４色刷の木目柄層(M) を設け、この印刷シート上に 厚さ０．２ｍｍ〜０．３ｍｍの透明塩化ビニルシート(11)を熱ラミネートをする と同時に、透明塩化ビニルシート上に木目導管柄の凹凸模様を表面に形成した金 属エンボスロールにより６０μｍ〜９０μｍの深いエンボスパターン(E) を形成 する。

【０００８】 上記で得られた２層シートのエンボスパターン(E) の凹んだ部分に塩化ビニル 系インキ(T) を埋め込み、表面の余分なインキを拭き取って（いわゆるワイピン グ法) 凹部を着色する。この凹部が着色されたエンボスパターン(E) 上に透明又 は着色した紫外線硬化型樹脂(10)をロールコーター等により厚さ５０μｍ〜１５ ０μｍ程度に塗布し、平滑なＰＥＴフィルム等の透明フィルムを仮貼した状態で 紫外線を照射し、硬化後ＰＥＴフィルムを剥離すると表面が鏡面に仕上げること が可能であり、また、クロス仕上げ（微細凹凸模様）のポリエチレンテレフタレ ート（ＰＥＴ）フィルムの模様面と樹脂層を合わせ仮貼した状態で紫外線を照射 し、硬化後表面のＰＥＴフィルムを剥離すると表面に微細凹凸模様(E1)を形成し た積層シート(P) が得られる。 更に、この紫外線硬化型樹脂に着色剤を添加して、着色紫外線硬化型樹脂層と することにより、一層の意匠的表現が可能となる。

【０００９】 この積層シート(P) を、前記基材の塩化ビニルシート(40)に熱ラミネートして 床タイルを得たが、この積層シートの内層に形成したエンボスパターン(E) は凹 部に埋め込まれたインキ及び上層の紫外線硬化型樹脂層(10)によって保護される ので、ラミネートの際の熱や圧力がかかっても凹凸の深浅が変形しない。また、 表面の微細凹凸模様も紫外線硬化型樹脂層に形成するので、熱による変形が起こ らない。

【００１０】 また、本考案の内層にエンボスパターンを有する床タイルに使用する金属エン ボスロールの深度は６０μｍ〜９０μｍの深いタイプの版や、深さが２種類（６ ０μｍと９０μｍ）の多段腐蝕で形成されたエンボスパターンの金属ロールを用 いた。尚本考案の床タイルの製造は、少ロットならばシート形状で、大量の場合 は連続した巻取形状での製造が可能であり適宜選択することができる。

【００１１】

【作用】 本考案に係わる内層にエンボススターンを有する床タイル(20)は、図１に示す ように、内層の透明塩化ビニルシート上に深いエンボスパターンを形成すると、 下層の着色塩化ビニル層にもパターンが達して、このパターンの凹部にワイピン グ法により塩化ビニル系インキを埋め込み、上から紫外線硬化型樹脂層で被覆す ると、床タイルの上方から内層に形成されたエンボスパターンが明瞭に認識する ことができ、立体感が生ずるとともに、基材とのラミネートの際の熱や圧力に対 して、埋め込まれたインキ層がパターンの凹凸部を支え、しかも、上層の紫外線 硬化型樹脂層によって凹凸部を保護するのでエンボスパターンの凹凸がつぶれた り低くなってしまうことがない。

【００１２】

【実施例】

＜実施例１＞ 着色塩化ビニルフィルム(12)（厚さ０．１ｍｍ，幅１０２０ｍｍ，バンドー化 学株社製) 上に塩化ビニル系顔料インキ（東洋インキ製造株製、ＵＲＷ) を用い て木目柄をグラビア印刷の４色刷を行なって印刷シートとして、この印刷シート に厚さ０．２ｍｍ，幅１０４０ｍｍの透明塩化ビニルシート(11)を熱ラミネート すると同時に、透明塩化ビニルシート(11)上に、木目導管柄を深さ６０μｍと９ ０μｍで形成した金属エンボスロールによりエンボスパターン(E) を形成する。 この２層のラミネートシート上に形成したエンボスパターンの凹部に、塩化ビニ ル系顔料インキ(T) を埋め込み、表面の余分なインキを拭き取って凹部のみにイ ンキが残るようにした。

【００１３】 このインキが埋め込まれたエンボスパターン(E) 上に、透明の紫外線硬化型樹 脂(10)（日本ペイント株製) をロールコーターによって平滑に塗布する。塗布量 はエンボスパターン及びワイピング法によるインキ層の凹凸が完全に覆われるよ うに、厚さ６０μｍとした。更にこの硬化型樹脂上にクロス仕上げのポリエチレ ンテレフタレート（ＰＥＴ）フィルム（厚さ２５μｍ）を模様面と樹脂層を合わ せ仮貼した状態で紫外線を照射して硬化させた後、表面のＰＥＴフィルムを剥離 すると表面にクロス模様（微細凹凸模様）が形成された積層シート(P) が得られ た。 この積層シート(P) を基材の再製塩化ビニルシート(40)（厚さ２．７ｍｍ）に 熱ラミネートして内層にエンボスパターンを有する床タイル(20)が得られた。

【００１４】 ＜実施例２＞ 実施例１と同様に、着色塩化ビニルフィルム(12)に木目柄(M) をグラビア印刷 した印刷シート上に、厚さ０．２ｍｍ幅１０４０ｍｍの透明塩化ビニルシート(1 1)を熱ラミネートすると同時に、深さ５０μｍの浅い木目導管柄のエンボスロー ルでエンボスパターン(E) を形成し、そのパターンの凹部に塩化ビニル系顔料イ ンキ（東洋インキ製造株製 ＵＲＷ）をワイピング法で埋め込み、このパターン 上に顔料を添加した着色紫外線硬化型樹脂(10a) を塗布し、ＰＥＴフィルムを仮 貼りして紫外線を照射し硬化させた後、ＰＥＴフィルムを剥離すると鏡面仕上げ の積層シート(P) が得られた。これ以降は実施例１と同様に行なって床タイルを 得た。

【００１５】

【考案の効果】

本考案の床タイルは、内層に形成した木目導管柄のエンボスパターンが、基材 との熱ラミネートを行っても、パターンの凹凸形状が変形せずそのまま残り、し かも、ワイピング法による凹部のインキ層によって明瞭に認識可能となり、立体 感が生ずるとともに、表面の微細凹凸模様との相乗効果によりタイルの表面に繊 細な木目導管柄が浮きでて、リアルな木質感が表現された意匠的に優れ、かつ、 表面耐性機能の優れた床タイルが得られた。

【００１６】 また、顔料を添加混練した着色紫外線硬化型樹脂を使用することにより、濃色 の木目柄を表現する際に、深み、照り、風合を有する意匠表現が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例による表面に微細凹凸模様を
形成した内層にエンボスパターンを有する床タイルの側
面図である。

【図２】本考案の他の実施例による鏡面仕上げの内層に
エンボスパターンを有する床タイルの側面図である。

【図３】表面にエンボスパターンを有する塩化ビニル床
タイルの一例を示す側面図である。

【図４】表面に硬化性樹脂層を形成した塩化ビニル床タ
イルの一例を示す側面図である。

【符号の説明】

１０ …紫外線硬化型樹脂層 １０ａ …着色紫外線硬化型樹脂層 １１，３５，５３…透明塩化ビニルフィルム １２，３１，５１…着色塩化ビニルフィルム ２０ …床タイル ３０ …塩化ビニル床タイル ４０ …基材（塩化ビニルシート） ５５ …熱硬化型樹脂層 ６０ …表面強化床タイル Ｍ，３２，５２…柄層 Ｔ …インキ層 Ｐ，Ｐｓ…積層シート Ｅ …エンボスパターン Ｅ1 …微細凹凸模様

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】基材の塩化ビニルシート上に合成樹脂から
   なる積層シートを熱ラミネートした構成の床タイルにお
   いて、前記積層シートが木目柄層を設けた着色塩化ビニ
   ルシートに透明塩化ビニルシートを積層し、該透明塩化
   ビニルシート上にエンボスパターンを形成し、該エンボ
   スパターンの凹部に塩化ビニル系インキを埋め込み、こ
   のインキ表面を拭き取り紫外線硬化型樹脂層で被覆した
   構成を特徴とする内層にエンボスパターンを有する床タ
   イル。
2. 【請求項２】前記硬化型樹脂層を着色紫外線硬化型樹脂
   としたことを特徴とする請求項１に記載の内層にエンボ
   スパターンを有する床タイル。
3. 【請求項３】前記紫外線硬化型樹脂層上に、微細凹凸模
   様を形成したことを特徴とする請求項１及び請求項２に
   記載の内層にエンボスパターンを有する床タイル。
4. 【請求項４】前記紫外線硬化型樹脂層の表面を鏡面とし
   たことを特徴とする請求項１及び請求項２に記載の内層
   にエンボスパターンを有する床タイル。