JPH0636261A - 磁気記録ディスク及びその製造方法 - Google Patents

磁気記録ディスク及びその製造方法

Info

Publication number
JPH0636261A
JPH0636261A JP20949092A JP20949092A JPH0636261A JP H0636261 A JPH0636261 A JP H0636261A JP 20949092 A JP20949092 A JP 20949092A JP 20949092 A JP20949092 A JP 20949092A JP H0636261 A JPH0636261 A JP H0636261A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
magnetic layer
layer
coating
powder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP20949092A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2973383B2 (ja
Inventor
Toshio Kawamata
利夫 河俣
Masaya Kojima
正也 小島
Yasushi Endo
靖 遠藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP4209490A priority Critical patent/JP2973383B2/ja
Publication of JPH0636261A publication Critical patent/JPH0636261A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2973383B2 publication Critical patent/JP2973383B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paints Or Removers (AREA)
  • Magnetic Record Carriers (AREA)
  • Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 電磁変換特性の優れた高記録密度用磁気記録
ディスクおよびその製造方法、特に、高記録密度(高周
波記録)の可能な磁性層の薄層化媒体で、従来の無配向
化処理に比較し、円周の出力が均一でしかも高出力であ
り、重ね書き特性の優れた磁気記録ディスクとその製造
方法を提供すること。 【構成】 非磁性支持体上に強磁性金属粉末を含む磁性
層を設けてなる磁気記録ディスクにおいて、該強磁性金
属粉末は1400エルステッド以上の抗磁力を有し、該
磁性層は厚さが0.5μm以下であって、且つ水平方向
の配向度比が0.85以上で反磁界補正後の垂直方向の
角型比が0.3〜0.65であって、垂直方向の配向度
比が0.85以上である磁気記録ディスクおよびその製
造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気記録ディスクおよび
その製造方法に関するものであり、特に薄層磁性層を有
する高密度記録用の磁気記録ディスクおよびその製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】磁気記録ディスクや磁気テープ等の磁気
記録媒体は、一般に下記の如き製造方法により製造され
ている。即ち、帯状の非磁性支持体をその長手方向に連
続移送させ、且つ該支持体上に有機溶剤により溶解され
た結合剤中に強磁性微粉末粒子を分散した磁性液を塗着
し、次いで、前記磁性液を乾燥固化させた後に前記支持
体を打ち抜きあるいは裁断して製造するものである。と
ころが、磁気ディスクの製造中に、一般的に針状である
前記強磁性微粉末粒子が特定方向に配列されて磁気記録
媒体に異方性が生じると、種々の磁気特性に関しても、
前記方向に対する異方性が生じる。例えば、前記針状強
磁性微粉末粒子が塗布時の応力により、磁性液塗布方向
(即ち、非磁性支持体の移送方向)に沿って配列され、
ディスク状に打ち抜いて、一周の再生出力を測定する
と、塗布方向の再生出力信号が他方のそれに比べて高く
なってしまう。
【0003】その結果、該磁気記録ディスクからの読み
取られる再生出力信号レベルは、磁気記録ディスクの回
転に伴って、不所望にレベル変化するようになる(この
現象は、当業者においてモジュレーションと称されてい
る。)。特に、磁性液塗布層の塗布厚を薄くしたり、或
いは塗布スピードを速くした場合には前記強磁性微粉末
粒子が機械的影響を受け易く、前記特定方向に配向処理
されたような状態が高い割合で発生する。
【0004】このような不具合を防止するため、従来は
前記磁気記録ディスクの製造にあたっては、例えば、特
開昭57−198545号公報、特開昭59−1240
39号公報、特開昭63−148417号公報、特開平
1−300428号公報に記載されているような、永久
磁石や交流磁場による磁界を作用させ前記強磁性微粉末
粒子の配向を無配向化(無秩序化、ランダマイズ化)さ
せるものである。磁気記録ディスクの場合、針状強磁性
微粉末粒子がヘッド走行方向即ち円周方向に配向してい
るのが、再生出力が最も大きくなる。しかし、帯状非磁
性支持体上に磁性液を連続塗布する場合、円周方向の配
向は不可能である。このような背景から、前述の無秩序
化を行い、円周の出力を均一にしているわけであるが、
無配向では磁気特性の水平方向の角型比(飽和磁化Bm
で残留磁化Brを除した値)が、0.6〜0.7程度と
強磁性微粉末粒子の磁気特性を充分出し切っていない。
近年、磁気的記憶装置、即ち磁気記録ディスク装置や磁
気テープ装置に対してその記憶容量を高めることが強く
要望されている。
【0005】記憶容量を高めるには、磁気記録媒体の単
位面積あたりの情報記録密度を高めることが必要である
ことは言うまでもない。また、記録密度を高めるには、
磁気ヘッドから発生する書き込み磁束を微小な面積に集
中しなければならず、磁気ヘッドギャップが狭くなり、
発生磁束量も減少する。このように減ぜられた微小量の
磁束で磁化の方向を反転することができる磁性層の体積
も減ぜられ、従って磁性層の厚さを減少させなければ完
全な磁化反転を生じさせることは出来ない。
【0006】また、一方でフロッピーディスク等の磁気
記録ディスクの磁気記録方式では、記録波長の異なる記
録信号の重ね書き(オーバーライト)が不可欠であり、
高密度記録になればなるほど短波長になり、重ね書き
(オーバーライト)特性を確保するためには磁性層の抗
磁力を低下させるか、薄層化にしなければならない。し
かしながら、磁性層の抗磁力を低下させることは、記録
信号の分解能や再生出力が低下するので、高密度の記録
が不可能であった。これらの特性からも、磁性層の薄層
化が必要となり、本出願人等により、磁性層の薄層化が
種々提案されている。
【0007】そして、磁性層を1μm以下に薄層塗布
し、無配向処理する場合、特に磁性層を0.5μm以下
に制御し、前記永久磁石や交流磁場による磁界を作用さ
せ強磁性微粉末粒子の配向を無配向化(無秩序化、ラン
ダマイズ化)すると、モジュレーション特性が充分改善
されないという問題が新たに生じた。そこで、特開昭6
2−92132号公報の如く非磁性層とともに磁性層を
同時塗布し、未乾燥状態でランダマイズ化することよ
り、良化傾向にはなるが、充分ではなかった。
【0008】即ち、磁性層の薄層化により、従来の無配
向化方法ではモジュレーション特性が充分改善されない
ばかりか、円周方向の角型比の向上も不十分で再生出力
の低下につながるという課題が生じた。なお、磁気記録
媒体の配向度比(角型比の最小値をその最大値で除した
値)を向上させるために強磁性粉末の配向法を工夫した
技術が提案されてきている。例えば、以下の例を挙げる
ことができる。 1)特開昭63−66724号公報:下層磁性層を水平
配向し、上層磁性層の針状磁性粉を垂直方向に10〜7
0度の範囲内で傾斜させて配向させた磁気記録媒体を開
示している。しかし、磁気記録ディスクについての例示
がなく、上層磁性層の厚さも2μmと極めて厚いもので
ある。 2)特開平1−227221号公報:磁性層面内でラン
ダム配向した後に、垂直配向処理を施した垂直方向の角
型比を向上した垂直磁気記録用磁気記録媒体を開示して
いるが、具体的例示はテープのみでディスクの例示はさ
れていない。 3)特開昭61−63927号公報:円盤を回転させ垂
直と水平磁場を印加する第1の配向、垂直方向に配向す
る第2の配向を施した垂直磁化型磁気記録ディスクを開
示している。しかし、磁性体主体は、バリウムフェライ
トであるためσSが充分でなく良好な特性のものができ
にくいという欠点がある。 4)特開昭63−34730号公報:垂直方向に配向し
た後に円周方向に配向することにより、円周状に磁性層
面内へ磁気配向し、磁気記録ディスクの円周方向の出力
の均一化を目的としたものである。 5)特開昭58−12138号公報:垂直な磁界成分を
持った磁場ゾーンを通過させた後、塗膜面に水平な磁場
成分の磁場ゾーンを通過させ、垂直方向に配向した磁性
粒子をできるだけ少なくし、磁性層面内方向へ磁気配向
させる。
【0009】そして、上記課題を解決する有効な手段は
尚提案されておらず、その有効な解決手段が望まれてい
た。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
従来技術の問題点に鑑みなされたもので、電磁変換特性
の優れた高記録密度用磁気記録ディスクおよびその製造
方法を提供することである。特に、高記録密度(高周波
記録)の可能な磁性層の薄層化媒体で、従来の無配向化
処理に比較し、円周の出力が均一でしかも高出力であ
り、重ね書き特性の優れた磁気記録ディスクとその製造
方法を提供することが本発明の目的である。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、非磁性
支持体上に強磁性金属粉末を含む磁性層を設けてなる磁
気記録ディスクにおいて、該強磁性金属粉末は1400
エルステッド(Oe)以上の抗磁力を有し、該磁性層は
厚さが0.5μm以下であって、且つ水平方向の配向度
比が0.85以上で反磁界補正後の垂直方向の角型比が
0.3〜0.65であって、垂直方向の配向度比が0.
85以上である磁気記録ディスク、好ましくは、非磁性
粉末及び結合剤樹脂を主体とする非磁性層が前記磁性層
の下にある磁気記録ディスクにより達成される。
【0012】また、本発明の目的は、非磁性支持体上に
非磁性粉末及び結合剤樹脂を主たる成分とする非磁性層
用塗布液を塗布して、非磁性層用塗布層を形成した後、
該非磁性層用塗布層が湿潤状態にある内に、前記強磁性
金属粉末及び結合剤樹脂を主たる成分とする磁性層用塗
布液を前記非磁性層用塗布層上に塗布し、該両層が湿潤
状態にある内に磁界を印加し無配向化処理を行う第一工
程と、次に斜め配向化処理を行う第二工程からなる配向
処理を行った後に、乾燥する磁気記録ディスクの製造方
法により達成される。
【0013】即ち、本発明者らは、前記の如き欠点を解
消すべく種々検討の結果、非磁性支持体上に強磁性金属
粉末を分散した厚さ0.5μm以下の薄層磁性塗布層を
設け、磁性塗布層が未乾燥中に磁界を印加し無配向化処
理を行う第一工程と、次に斜め配向化処理を行う第二工
程からなる配向処理を行った後に乾燥することにより、
高周波数領域においても高出力で、モジュレーション特
性の良い磁気記録ディスクを製造しえる方法を見出し、
本発明を達成した。特に、本発明は連続的に走行する非
磁性支持体上に強磁性金属粉末を分散した磁性液を塗布
して磁性塗布層を設け、該磁性塗布液が未乾燥中に磁界
を印加させた後に乾燥することからなる磁気記録ディス
クの製造方法において、非磁性層用塗布層を非磁性支持
体上に形成した後、該非磁性層塗布層が湿潤状態にある
内に、前記強磁性金属粉末及び結合剤樹脂を主たる成分
とする磁性層用塗布液を前記非磁性層用塗布層上に塗布
するいわゆるウエット・オン・ウエット塗布方式によっ
て設け、両層が未乾燥中に磁界を印加し無配向化処理を
行う第一工程と、次に斜め配向化処理を行う第二工程か
らなる配向処理を行った後に乾燥する磁気記録ディスク
の製造方法であり、磁性層厚み0.5μm以下の薄層磁
性層であって、上記各特性を具備した磁気記録ディスク
を生産性よく達成できる。
【0014】本発明の磁気記録ディスクは、磁性層厚さ
が、0.5μm以下と非常に薄いため、自己減磁、記録
減磁及び厚み損失等の損失を少なくして、短波長領域で
の出力を高めまた、なによりも高密度記録化にともなう
重ね書き特性を改良することができる。また、本発明
は、水平方向の配向度比を0.85以上に制御したこと
により、円周方向での出力変動を防止でき、高密度記録
に適した高容量の磁気記録ディスクを提供できる。
【0015】この水平方向の配向度比は、振動試料型磁
束計を使用しHm10Oeの磁場をかけ測定サンプルの
水平方向に磁場を印加し、10度おきに0度〜360度
まで磁場を回転させ角型比を求め、その角型比の最小値
を最大値で割った値とする。本発明においては、この水
平方向の配向度比は、0.85以上、好ましくは0.9
以上である。
【0016】また、本発明は、反磁界補正後の垂直方向
の角型比を0.3〜0.65、好ましくは0.4〜0.
60の範囲内としたこと、即ち磁性層中の強磁性金属粉
末の磁化の向き(磁化容易軸の向き)を磁性層面に対し
て斜め方向に制御したので、従来から水平磁化用として
使用されたきた通常のリング型磁気ヘッドを使用しても
高出力が得られるようにした磁気記録ディスクである。
【0017】本発明において、反磁界補正後の垂直方向
角型比は、振動試料型磁束計を使用しHm10kOeの
磁場をかけ測定サンプルの垂直成分のB−Hを測定し、
反磁界補正を行った後の垂直成分の角型比を指す。ここ
で、反磁界補正の方法は、以下の通り行う。前記振動試
料型磁束計で垂直成分の磁化を測定し、得られた磁化曲
線から、X軸(磁界)と平行に飽和磁化量を通る平行線
を引く。この平行線上をY軸(磁束密度)との交点から
右へ、飽和磁化分に相当する磁界分(即ち、反磁界を受
けた分)の点と0点とを結び直線を引き、この直線と磁
化曲線と交差する点を通りX軸と平行線を引く。この平
行線とY軸の交点の磁束密度を反磁界補正後の残留磁化
量とし、飽和磁化量で除すことにより反磁界補正後の角
型比とした。
【0018】また、本発明の上記斜め配向は、前記水平
方向の配向度比が0.85以上であると共に垂直方向の
配向度比が0.85以上,好ましくは0.9以上に制御
できるため、記録減磁を低減し、再生出力、モジュレー
ション等の電磁変換特性を良好に確保できる。この垂直
方向の配向比は、振動試料型磁束計を使用しHm10k
Oeの磁場をかけ円盤状ディスクから、測定サンプルを
10度おきに0度〜360度まで36個準備し、それぞ
れの垂直成分のB−Hを測定し、前記反磁界補正を行っ
た後、垂直成分の角型比を求め、その角型比の最小値を
最大値で割った値とした。
【0019】また、本発明は、強磁性粉末として磁気特
性の高い強磁性金属粉末を使用したために磁性層に14
00Oe以上、好ましくは1500Oe以上の抗磁力を
確保させることができ、電磁変換特性の高い高記録密度
記録に適した磁気記録ディスクを提供できる。さらに、
本発明の磁気記録媒体は、特に非磁性層の上に薄層の磁
性層を形成すると比較的表面性の良好な磁性層を得るこ
とができ、特に、上層の磁性層の塗布及び無配向化処理
を行う第一工程と、次に斜め配向化処理を行う第二工程
からなる配向処理を下層の非磁性層および磁性層が湿潤
状態にあるうちに行うと、非磁性層が緩衝層となり、磁
性層表面の平滑性は非常に良好になる。
【0020】ところで、リング型磁気ヘッドによる記録
再生出力と磁化の向きの関係は、研究報告があり理論的
な考察及び実験的な確認がなされており、例えば、manh
attan vista effect(例えば、IEEE Trans. Mag.M
ag-20 、No.1、90(1984)に記載) と名付けられた、磁性
体粒子先端の高さが不揃いになり磁性層の表面性低下に
よる電磁変換特性の低下が知られている。
【0021】本発明では、特にウエット・オン・ウエッ
ト塗布方式により非磁性支持体の上に非磁性層および磁
性層をこの順に形成すると共に両層が湿潤状態にあるう
ちに該両配向処理を施すことにより、上記manhattan vi
sta effectを効果的に防止し、良好な表面性が得られ、
上記垂直方向の角型比と水平方向および垂直方向の各配
向度比を得ることができ出力、モジュレーション等を改
善できる。
【0022】なお、この緩衝層である非磁性層が磁性層
であると下層の磁性体の磁界の影響を受け、上記の効果
は得られにくい。本発明は、磁性層が薄層であることと
その磁化容易軸が特定の範囲の角度をもって斜めに配向
していることにより、特に、リングヘッドを使用したと
きに短波長領域での出力を著しく向上させることがで
き、磁性層が薄層であってもまた磁性層の配向を斜め方
向に行っても磁性層の表面性の劣化を防止して、強磁性
金属薄膜型磁気記録媒体に匹敵するほどの高密度記録に
適した磁気記録媒体の提供を可能にしているのである。
【0023】本発明の磁気記録媒体における前記磁性層
の磁化容易軸の方向は、前記非磁性支持体面に対して、
10〜80度、好ましくは20〜70度、特に好ましく
は30〜65度の角度を為す方向である。この磁化容易
軸の方向の角度が余り小さいと従来の非磁性支持体の面
内方向に磁化した場合と変わらず、記録減磁の低減の効
果は余りなく、短波長領域での出力を向上させることが
できない。また、逆に角度が余り大きくなると、磁性層
の表面性が低下して出力は低下する傾向がある。
【0024】なお、ここでいう磁性層の磁化容易軸の方
向とは、振動試料型磁束計で非磁性支持体に対する角度
を変化させて、抗磁力を測定し、その測定値が最小とな
る角度を磁化困難軸の方向とし、その磁化困難軸の方向
から90度差し引いた角度をもって定義される方向のこ
とである。本発明の磁気記録媒体の磁性層の厚さは、
0.5μm以下であり、好ましくは0.05〜0.48
μm、特に好ましくは0.1〜0.45μmである。
【0025】磁性層の厚さが余り厚くなると強磁性金属
粉末を斜め方向に配向したとしても自己減磁損失、記録
減磁損失が大きくなって出力が低下するので好ましくな
く、また、余り薄くすると、磁束密度が低下して、十分
な出力がとれなくなるので好ましくない。非磁性層の厚
みに関しては、特に制限はなく0.5乃至10μmであ
ることが望ましい。
【0026】なお、上記の磁性層の厚みは、磁気記録媒
体の断面の倍率が一万倍から十万倍の透過電子顕微鏡写
真上で磁性層表面及び磁性層と非磁性層または非磁性支
持体の界面の縁取りをして、それを画像解析装置にかけ
て、その縁取り線の間隔を200乃至300点測定し
て、その測定値の加算平均値をもって定義する。本発明
の磁性層の諸特性を上記の範囲に特定するためには、好
ましくは磁性層が湿潤状態にあるうちに、初めの無配向
化処理及びその後の斜め配向化処理からなる配向工程に
より強磁性金属粉末を斜め配向し、乾燥処理を行えばよ
い。
【0027】即ち、本発明の磁気記録ディスクは、磁性
層の強磁性金属粉末を斜め配向化するために無配向化処
理及びその後の斜め配向化処理の少なくとも2処理を行
うことが望ましい。無配向化処理、斜め配向化処理は、
従来公知の永久磁石や電磁石による方法を適用できる。
【0028】無配向化処理は、強磁性金属粉末の配向を
ランダマイズ化するもので、通常、永久磁石の磁極の配
置、組み合わせおよび/または電磁石による交流磁場を
印加することにより実施できる。斜め配向化処理は、無
配向化処理によりランダマイズ化した強磁性金属粉末に
印加して前記した磁性層の諸特性を有する斜め配向化強
磁性金属粉末を形成できるのであれば磁場の印加方法、
例えば、印加方向、印加強度等は任意に設定可能であ
る。通常、斜め配向化処理は、無配向化処理された磁性
層に垂直方向乃至準垂直方向に磁場印加し、磁力線の方
向は磁性層面に対し20〜80度の範囲から選択される
ことが好ましい。
【0029】上記無配向化処理および/または斜め配向
化処理は、所望により乾燥処理、好ましくは徐乾燥処理
と同時工程で行ってもよい。該乾燥方法としては、温風
を印加する方法、非磁性支持体を加熱する方法等任意の
方法を挙げることができる。従って、該乾燥条件(例え
ば、温度、風量、搬送速度等)および各配向処理条件
(磁場強度、印加方向、等)を種々選択することにより
上記本発明の磁性層特性を付与することができる。
【0030】本発明で適用できる公知の配向方法として
は、例えば、特開昭48−88910号公報に開示され
ているように異極対向磁石を斜めにする方法、放射線硬
化型の樹脂を用いる特開昭62−6442号公報に見ら
れる方法、異極対向磁石の配置を変更する特開昭62−
50888号公報、特開昭62−239426号公報に
記載された方法、対向磁石の出口の形状を工夫した特開
昭58−185031号公報に記載された方法、また、
複数の多段配向を組み合わせる特開平2−312017
号公報に記載されている方法、配向中に乾燥を加える特
公平3−38653号公報に記載されている方法等が利
用できる。
【0031】本発明の磁気記録媒体において、磁性層
は、非磁性層上に形成されることが好ましく、特に非磁
性支持体上に非磁性層及び磁性層を形成する方法として
は、非磁性塗布層が湿潤状態にあるうちに磁性層塗布液
をその上に塗布するいわゆるウェット・オン・ウェット
塗布方式が好ましく、上記配向処理は該両層が湿潤状態
のうちに行われることが好ましい。以下、単に磁性層を
上層、非磁性層を下層ともいう。
【0032】このウエット・オン・ウエット塗布方式
は、各塗布液を時間的に実質的に同時に塗布しても、異
なる時間間隔で塗布しても各塗布液が湿潤状態であれば
よい。また、磁性層あるいは非磁性層が2層以上から構
成されたものであっても上記塗布の基本概念は同じであ
る。ウエット・オン・ウエット塗布方式は、上記効果の
他、厚さが均一な極薄の磁性層が得られ且つ磁性層の厚
さが薄いと問題となる非磁性層/磁性層の密着性が改良
される。この塗布方式は、磁性層全厚が0.5μm以下
の磁性層の剥がれを防止し、ドロップアウトが生じにく
い走行耐久性の優れた磁気記録媒体を得ることができ
る。非磁性層の塗布液を塗布、乾燥して非磁性層を形成
してからその上に磁性層を塗布する方式では、磁性層が
極めて薄いためか、非磁性層と磁性層との密着性が充分
でなく非磁性支持体上に形成された層として、各層が一
体的な構造になり難いのである。
【0033】ウエット・オン・ウエット方式で留意すべ
きこととして、塗布液の粘弾性特性(チクソトロピック
性)がある。即ち、磁性層と非磁性層の各塗布液の粘弾
性特性の差が大きいと塗布した際に、各層の界面で液の
混じり合いが起こり、本発明のように磁性層の厚さが非
常に薄い場合、磁性層の表面性が低下する等の問題を起
こし易い。
【0034】塗布液の粘弾性特性をできるだけ近づける
ためには、まず、磁性層と非磁性層の各塗布液の分散粒
子を同一にすることが効果的であるが、本発明の場合
は、それができないので、磁性層の塗布液中で強磁性粉
末が磁性により形成されるストラクチャー構造がもたら
す構造粘性と合わせるために、非磁性層塗布液の非磁性
粒子としてカーボンブラックのように構造粘性を形成し
易い粒子を使用することが望ましい。そのために本発明
において、吸油量が大きく且つ粒子サイズの小さいカー
ボンブラックを使用することが有効であるが、同時にカ
ーボンブラック以外の粒子サイズの小さい非磁性無機質
粉末を使用することも有効である。例えば、1μm以下
の酸化チタン、酸化アルミ等の粒子では、適度な凝集に
より粒子の構造粘性を有した塗布液となり易い。
【0035】本発明の磁気記録媒体を得るための具体的
な塗布方法としては、例えば、 (1)磁性塗料の塗布で一般的に用いられるグラビア塗
布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗
布装置等により、まず下層を塗布し、下層が湿潤状態に
あるうちに特公平1−46186号公報、特開昭60−
238179号公報,特開平2−265672号公報に
開示されている支持体加圧型エクストルージョン塗布装
置により上層を塗布する方法。 (2)特開昭63−88080号公報、特開平2−17
971号公報,特開平2−265672号公報に開示さ
れているような塗布液通液スリットを二つ内蔵する一つ
の塗布ヘッドにより上層及び下層をほぼ同時に塗布する
方法。 (3)特開平2−174965号公報に開示されている
バックアップロール付きエクストルージョン塗布装置に
より上層及び下層をほぼ同時に塗布する方法。
【0036】なお、磁性体粒子の凝集による磁気記録媒
体の電磁変換特性等の低下を防止するため、特開昭62
−95174号公報や特開平1−236968号公報に
開示されているような方法により塗布ヘッド内部の塗布
液に剪断力を付与することが望ましい。さらに、塗布液
の粘度については、特願平1−312659号公報に開
示されている数値範囲を満足することが望ましい。
【0037】本発明の磁気記録媒体の磁性層に使用する
強磁性金属粉末としては、FeまたはNiまたはCoを
主成分(75%以上)とする強磁性金属単体粉末または
強磁性合金微粉末などの公知のものが使用できる。中で
も、高密度記録に適した磁気記録媒体とするためには、
磁気特性が良好な強磁性合金粉末が最も望ましい。そし
て、さらにその長軸長が0.05乃至0.3μm、針状
比が5乃至20であって、且つ結晶子サイズが100乃
至300Åであることが望ましい。ここで、結晶子サイ
ズは、(1,1,0)面と(2,2,0)面の回折線の
半値巾の広がりから求められる。
【0038】本発明で使用できる上記の強磁性金属粉末
には、所定の原子以外に重量比で20重量%以下の割合
でAl、Si、S,Sc、Ti、V,Cr、Cu,Y,
Mo,Rh,Pd,Ag、Sn、Sb、Te、Ba、T
a、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、
Pr、Nd、P,Co,Mn,Zn、Ni、Sr、Bな
どの原子を含んでもかまわない。
【0039】また、強磁性金属粉末には後述する分散
剤、潤滑剤、界面活性剤、帯電防止剤などで分散前にあ
らかじめ処理を行うこともできる。具体的には、特公昭
44−14090号公報、特公昭45−18372号公
報、特公昭47−22062号公報、特公昭47−22
513号公報、特公昭46−28466号公報、特公昭
46−38755号公報、特公昭47−4286号公
報、特公昭47−12422号公報、特公昭47−17
284号公報、特公昭47−18509号公報、特公昭
47−18573号公報、特公昭39−10307号公
報、特公昭48−39639号公報、米国特許3026
215号、同3031341号、同3100194号、
同3242005号、同3389014号などに記載さ
れている。
【0040】強磁性金属粉末は、少量の水酸化物、また
は酸化物を含んでもよい。強磁性金属粉末としては、公
知の製造方法により得られたものを用いることができ、
例えば、下記の方法をあげることができる。 (1)複合有機酸塩(主としてシュウ酸塩)と水素など
の還元性気体で還元する方法、(2)酸化鉄を水素など
の還元性気体で還元してFeあるいはFe−Co粒子な
どを得る方法、(3)金属カルボニル化合物を熱分解す
る方法、強磁性金属の水溶液に水素化ホウ素ナトリウ
ム、次亜リン酸塩あるいはヒドラジンなどの還元剤を添
加して還元する方法、(4)金属を低圧の不活性気体中
で蒸発させて微粉末を得る方法などである。
【0041】このようにして得られた強磁性金属粉末は
公知の徐酸化処理により、化学的に安定な者とするため
にその粒子表面に酸化被膜を形成せしめられる。その徐
酸化処理法としては、通常、(1)有機溶剤に浸漬した
のち酸素含有ガスを送り込んで表面に酸化膜を形成した
のち乾燥させる方法、(2)有機溶剤を用いず酸素ガス
と不活性ガスの分圧を調整して表面に酸化皮膜を形成す
る方法のいずれかで行われることが多い。
【0042】本発明の磁気記録媒体の磁性層の強磁性金
属粉末をBET法による比表面積で表せば25乃至80
2/gであり、好ましくは35乃至70m2/gであ
る。25m2/g以下ではノイズが高くなり、80m2/g
以上では表面性得にくく好ましくない 強磁性金属粉末の抗磁力は1400Oe以上、好ましく
は1400乃至2000Oeである。針状比は18以下
が好ましく、更に好ましくは12以下である。
【0043】強磁性金属粉末の含水率は0.01乃至2
重量%とするのが望ましい。後述する結合剤の種類によ
って強磁性金属粉末の含水率は最適化するのが望まし
い。強磁性金属粉末のタップ密度は0.2乃至0.8g
/ccが望ましい。0.8g/cc以上であると磁性体
の圧密過程で酸化が進みやすく、充分なσsを得ること
が困難になる。0.2cc/g以下では分散が不十分に
なりやすい。
【0044】強磁性金属粉末のpHは用いる結合剤との
組合せにより最適化することが望ましい。その範囲は4
乃至12であるが、好ましくは6乃至10である。強磁
性金属粉末は必要に応じ、Al、Si、Pまたはこれら
の酸化物などで表面処理を施すこともできる。その量は
強磁性金属粉末に対し0.1乃至10重量%であり表面
処理を施すと脂肪酸などの潤滑剤の吸着が100mg/
2 以下になり望ましい。強磁性金属粉末には可溶性の
Na、Ca、Fe、Ni、Srなどの無機イオンを含む
場合があるが500ppm以下であれば特に特性に影響
を与えない。
【0045】また、強磁性金属粉末は空孔が少ないほう
が好ましくその値は20容量%以下、さらに好ましくは
5容量%以下である。また形状については前記の粒子サ
イズについての特性を満足すれば針状、粒状、米粒状、
板状いずれでも使用できる。本発明の磁気記録媒体の非
磁性層は、非磁性粉末及び結合剤樹脂を主体とするもの
である。非磁性粉末は、無機質粉末及び有機質粉末を包
含し、無機質粉末を少なくとも含むことが好ましく、か
つ導電性粉末としてカーボンブラックを含むことが好ま
しい。
【0046】非磁性層におけるカーボンブラックの含有
量は、非磁性層に含まれる非磁性粉末全量の3〜20重
量%が好ましい。3重量%以下では十分に表面固有抵抗
値を低減できず、また20重量%以上では十分な表面固
有抵抗値の低減はできるが、十分に平滑な磁性層の表面
性を得ることが出来ない。比表面積は、5〜1500m
2 /gが好ましく、更に好ましくは、700〜1400
2 /gの範囲である。
【0047】これにより磁性層中のカーボンブラックの
添加量を低減することができる。該カーボンブラック
は、ストラクチャーを形成するため低い表面電気抵抗を
得る事ができる。このため磁性層の表面固有電気抵抗値
も低く抑えることができ、走行耐久性におけるドロップ
アウトの発生を低減できる。特に好ましいカーボンブラ
ックとしては、平均粒径が40mμ以下でかつDBP吸
油量が300mL(ミリリットル)/100gのカーボ
ンブラックが挙げられる。これにより、平均粒径が40
mμ以下のため磁性層下層/上層の平滑な表面性が得ら
れ記録/再生ヘッドとのスペーシングロスを少なくでき
高い再生出力が得られる。さらにDBP吸油量が300
mL/100g以上のカーボンブラックはストラクチャ
ーを形成しやすく結果として低い表面電気抵抗を得るこ
とができ、走行耐久性におけるドロップアウトの発生を
特に低減でき好ましい。
【0048】カーボンブラックのDBP吸油量は、カー
ボンブラック粉末にジブチルフタレートを少しづつ加
え、練り合わせながらカーボンブラックの状態を観察
し、ばらばらに分散した状態から一つの塊をなす点を見
出し、その時のジブチルフタレートの添加量(mL)を
DBP吸油量とした。カーボンブラックは、磁気記録媒
体に導電性を付与して磁気記録媒体の帯電を防止するた
めに有効であると共に磁性層と非磁性層の物理的強度を
調整するための素材としても使用される。また、カーボ
ンブラックは、非磁性層用塗布液の粘弾性特性を調整す
る機能も有する。更に、カーボンブラックは、摩擦係数
の調整、遮光性付与等種々の機能を有する非常に有用な
素材である。従って、上記と同様の主旨でカーボンブラ
ックは磁性層にも含ませることが好ましい。
【0049】また、本発明は非磁性層に使用することが
できるカーボンブラックとしては、あらゆる製法のもの
が使用できる。例えば、ファーネスブラック、サーマル
ブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、
ランプブラック等を使用することができる。具体的な例
として、三菱化成工業社製#3950B、ライオンアク
ゾ社製ケッチェンブラックEC、ケッチェンブラックE
CDJ−500、ケッチェンブラックECDJ−600
などが挙げられる。
【0050】カーボンブラックを分散剤などで表面処理
したり、樹脂でグラフト化して使用しても表面の一部を
グラファイト化したものを使用しても構わない。また、
カーボンブラックを非磁性塗料に添加する前にあらかじ
め結合剤で分散してもかまわない。これらのカーボンブ
ラックは単独、または組み合わせて使用することができ
る。
【0051】本発明で使用できるカーボンブラックは例
えば(「カーボンブラック便覧」、カーボンブラック協
会編)を参考にすることができる。本発明の非磁性層に
使用できる非磁性無機質粉末は、例えば、金属、金属酸
化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化
物、金属硫化物等が挙げられる。具体的にはTiO
2 (ルチル、アナターゼ)、TiOX 、酸化セリウム、
酸化スズ、酸化タングステン、ZnO、ZrO2 、Si
2 、Cr2 3 、α化率90%以上のるαアルミナ、
βアルミナ、γアルミナ、α酸化鉄、ゲータイト、コラ
ンダム、窒化珪素、チタンカーバイト、酸化マグネシウ
ム、窒化硼素、2硫化モリブデン、酸化銅、MgC
3 、CaCO3 、BaCO3 、SrCO3 、BaSO
4 、CaSO4 、炭化珪素などが単独または組み合わせ
て使用される。これら無機質粉末の形状、サイズは針
状、球状、サイコロ状等で任意であり、これらは必要に
応じて異なる無機質粉末を組み合わせたり、単独の非磁
性粉末でも粒径分布等を選択することもできる。粒子サ
イズとしては、0.01〜2μmから選択される。非磁
性粉末としては、次のものが好ましい。
【0052】タップ密度は0.3〜2g/cc、含水率
は0.1〜5%、pHは2〜11、比表面積は1〜30
2 /gが好ましい。DBPを用いた吸油量は5〜10
0ml/100g、好ましくは10〜80ml/100
g、更に好ましくは20〜60ml/100gである。
上記の非磁性粉末は必ずしも100%純粋である必要は
なく、目的に応じて表面を他の化合物、例えば、Al、
Si、Ti、Zr、Sn、Sb、Zn等の各化合物で処
理し、それらの酸化物を表面に形成してもよい。その
際、純度は70%以上であれば効果を減ずることにはな
らない。強熱減量は20%以下であることが好ましい。
【0053】本発明に用いられる非磁性粉末の具体的な
例としては、住友化学社製AKP−20、AKP−3
0、AKP−50、日本化学工業社製G5、G7、S−
1、戸田工業社製TF−100、TF−120、TF−
140などが挙げられる。本発明に使用される非磁性有
機質粉末は、アクリルスチレン系樹脂粉末、ベンゾグア
ナミン樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、フタロシアニン
系顔料が挙げられるが、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポ
リエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイ
ミド系樹脂粉末、ポリフッ化エチレン樹脂粉末が使用さ
れる。その製法は、特開昭62−18564号、同60
−255827号の各公報に記載されているようなもの
が使用できる。
【0054】本発明の磁性層、非磁性層に使用される結
合剤としては従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、
反応型樹脂やこれらの混合物が使用される。熱可塑性樹
脂としては、ガラス転移温度が−100〜150℃、数
平均分子量が1000〜200000、好ましくは10
000〜100000、重合度が約50〜1000程度
のものである。このような例としては、塩化ビニル、酢
酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル
酸、アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニ
トリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレ
ン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラール、ビニル
アセタール、ビニルエーテル、等を構成単位として含む
重合体または共重合体、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系
樹脂がある。
【0055】また、熱硬化性樹脂または反応型樹脂とし
てはフエノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化
型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アク
リル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹
脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂とイ
ソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリ
オールとポリイソシアネートの混合物、ポリウレタンと
ポリイソシアネートの混合物等があげられる。
【0056】これらの樹脂については朝倉書店発行の
「プラスチックハンドブック」に詳細に記載されてい
る。また、公知の電子線硬化型樹脂を非磁性層、または
磁性層に使用することも可能である。これらの例とその
製造方法については特開昭62−256219号に詳細
に記載されている。以上の樹脂は単独または組合せて使
用できるが、好ましいものとして塩化ビニル樹脂、塩化
ビニル酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニルビニルア
ルコール樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル無水マレイン酸共
重合体、ニトロセルロースの群から選ばれる少なくとも
1種とポリウレタン樹脂の組合せ、またはこれらにポリ
イソシアネートを組合せたものがあげられる。
【0057】ポリウレタン樹脂の構造はポリエステルポ
リウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテル
ポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレ
タン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタン、ポ
リカプロラクトンポリウレタンなど公知のものが使用で
きる。ここに示したすべての結合剤について、より優れ
た分散性と耐久性を得るためには必要に応じ、COO
M、SO3 M、OSO3 M、P=O(OM)2 、O−P
=O(OM)2 、(以上につきMは水素原子、またはア
ルカリ金属)、OH、NR2 、N+ 3 、(Rは炭化水
素基)、エポキシ基、SH、CN、などから選ばれる少
なくとも一つ以上の極性基を共重合または付加反応で導
入したものを用いることが好ましい。このような極性基
の量は10-1〜10-8モル/gであり、好ましくは10
-2〜10-6モル/gである。
【0058】本発明に用いられるこれらの結合剤の具体
的な例としてはユニオンカーバイト社製:VAGH、V
YHH、VMCH、VAGF、VAGD、VROH、V
YES、VYNC、VMCC、XYHL、XYSG、P
KHH、PKHJ、PKHC、PKFE、日信化学工業
社製:MPR−TA、MPR−TA5、MPR−TA
L、MPR−TSN、MPR−TMF、MPR−TS、
MPR−TM、MPR−TAO、電気化学社製:100
0W、DX80、DX81、DX82、DX83、10
0FD、日本ゼオン社製:MR105、MR110、M
R100、400X110A、日本ポリウレタン社製:
ニッポランN2301、N2302、N2304、大日
本インキ社製:パンデックスT−5105、T−R30
80、T−5201、バーノックD−400、D−21
0−80、クリスボン6109、7209、東洋紡社
製:バイロンUR8200、UR8300、UR860
0、UR5500、UR4300、RV530、RV2
80、大日精化社製:ダイフエラミン4020、502
0、5100、5300、9020、9022、702
0、三菱化成社製:MX5004、三洋化成社製:サン
プレンSP−150、旭化成社製:サランF310、F
210などがあげられる。
【0059】本発明の磁性層に用いられる結合剤は強磁
性粉末に対し、また非磁性層に用いられる結合剤は非磁
性粉末に対し、5〜50重量%の範囲、好ましくは10
〜30重量%の範囲で用いられる。塩化ビニル系樹脂を
用いる場合は、5〜100重量%、ポリウレタン樹脂を
用いる場合は2〜50重量%、ポリイソシアネートは2
〜100重量%の範囲でこれらを組合せて用いるのが好
ましい。
【0060】本発明において、ポリウレタン樹脂を用い
る場合はガラス転移温度が−50〜100℃、破断伸び
が100〜2000%、破断応力は0.05〜10Kg
/cm2 、降伏点は0.05〜10Kg/cm2 が好ま
しい。本発明の磁気記録ディスクは基本的には非磁性層
と磁性層の二層からなるが、非磁性層、上層を各々複数
の層で形成してもかまわない。ここで、各層の塗布液組
成は、同一でも異なってもよく、粉体の種類、サイズ等
を種々選択できる。これら各層塗布液のウエット・オン
・ウエット塗布方式による塗布法は、基本的には前記し
た方法を準用すればよい。
【0061】従って、結合剤量、結合剤中に占める塩化
ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイソシアネー
ト、あるいはそれ以外の樹脂の量、磁性層を形成する各
樹脂の分子量、極性基量、あるいは先に述べた樹脂の物
理特性などを必要に応じ各層塗布液で変えることはもち
ろん可能である。本発明に用いるポリイソシアネートと
しては、トリレンジイソシアネート、4−4′−ジフエ
ニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシ
アネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−
1,5−ジイソシアネート、o−トルイジンイソシアネ
ート、イソホロンジイソシアネート、トリフエニルメタ
ントリイソシアネート等のイソシアネート類、また、こ
れらのイソシアネート類とポリアルコールとの生成物、
また、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイ
ソシアネート等を使用することができる。これらのイソ
シアネート類の市販されている商品名としては、日本ポ
リウレタン社製:コロネートL、コロネートHL、コロ
ネート2030、コロネート2031、ミリオネートM
R、ミリオネートMTL、武田薬品社製:タケネートD
−102、タケネートD−110N、タケネートD−2
00、タケネートD−202、住友バイエル社製:デス
モジュールL、デスモジュールIL、デスモジュール
N、デスモジュールHL等があり、これらを単独または
硬化反応性の差を利用して二つもしくはそれ以上の組合
せで各層に用いることができる。
【0062】本発明の磁性層あるいは非磁性層に用いら
れる研磨剤としては、α化率90%以上のα−アルミ
ナ、β−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリ
ウム、α−酸化鉄、コランダム、人造コランダム、エメ
リー(主成分:コランダムと磁鉄鉱)、人造ダイアモン
ド、窒化珪素、炭化珪素、チタンカーバイト、酸化チタ
ン、二酸化珪素、窒化ホウ素、など主としてモース硬度
5以上の公知の材料が単独または組合せで使用される。
また、これらの研磨剤どうしの複合体(研磨剤を他の研
磨剤で表面処理したもの)を使用してもよい。これらの
研磨剤には主成分以外の化合物または元素が含まれる場
合もあるが主成分が90%以上であれば効果にかわりは
ない。
【0063】これら研磨剤の平均粒径は0.05〜2μ
mび大きさのものが効果があり、好ましくは0.2〜
1.0μmである。特に磁性層に使用する場合は少なく
とも0.5μmが好ましい。必要に応じて粒子サイズの
異なる研磨剤を組合せたり、単独の研磨剤でも粒径分布
を広くして同様の効果をもたせることもできる。タップ
密度は0.3〜2g/cc、含水率は0.1〜5%、p
Hは2〜11、比表面積は1〜30m2 /g、が好まし
い。本発明に用いられる研磨剤の形状は針状、球状、サ
イコロ状、のいずれでも良い。
【0064】これら研磨剤は非磁性層、磁性層の各結合
剤樹脂100重量部に対して3〜20重量部の範囲で添
加される。3重量部より少ないと十分な耐久性が得られ
ず、又20重量部より多すぎると充填度が減少し、十分
な出力が得られない。これら研磨剤は、非磁性層におい
ては、含有する非磁性粉末の量、種類、磁性層のおいて
は強磁性粉末の量、種類に応じてその組合せを変え、目
的に応じて使い分けることはもちろん可能である。例え
ば、磁性層表面の耐久性を向上させる場合は、非磁性層
の研磨剤量を多くする、磁性層端面の耐久性を向上させ
る場合は磁性層の研磨剤量を多くするなどの工夫を行う
ことができる。これらの研磨剤はあらかじめ結合剤で分
散処理したのち磁性塗料、非磁性塗料中に添加してもか
まわない。本発明の磁気記録ディスクの磁性層表面およ
び磁性層端面に存在する研磨剤は5個/100μm2
上が好ましい。
【0065】本発明に用いられる研磨剤の具体的な例と
しては、住友化学社製:AKP−20,AKP−30,
AKP−50,HIT−50、日本化学工業社製:G
5,G7,S−1、戸田工業社製:TF−100、TF
−140、100ED、140EDなどがあげられる。
本発明に使用する分散剤(顔料湿潤剤)としては、カプ
リル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パル
ミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エラ
イジン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアロール酸等
の炭素数12〜18個の脂肪酸(R1 COOH、R1
炭素数11〜17個のアルキルまたはアルケニル基);
前記の脂肪酸のアルカリ金属(Li、Na、K等)また
はアルカリ土類金属(Mg、Ca、Ba)からなる金属
石鹸;前記の脂肪酸エステルの弗素を含有した化合物;
前記脂肪酸のアミド;ポリアリキレンオキサイドアルキ
ルリン酸エステル;レシチン;トリアルキルポリオレフ
ィンオキシ第4級アンモニウム塩(アルキルは炭素数1
〜5個、オレフィンはエチレン、プロピレン等);等が
使用される。この他に炭素数12以上の高級アルコー
ル、及びこれらの他に硫酸エステル等も使用可能であ
る。これらの分散剤は縮合剤樹脂100重量部に対して
0.5〜20重量部の範囲で添加される。
【0066】潤滑剤としては、ジアルキルポリシロキサ
ン(アルキルは炭素数1〜5個)、ジアルコキシポリシ
ロキサン(アルコキシ基は炭素数1〜4個)、モノアル
キルモノアルコキシポリシロキサン(アルキルは炭素数
1〜5個、アルコキシ基は炭素数1〜4個)、フェニル
ポリシロキサン、フロロアルキルポリシロキサン(アル
キル基は炭素数1〜5個)などのシリコンオイル;グラ
ファイト等の導電性微粉末;二硫化モリブデン、二硫化
タングステン等の無機粉末;ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリエチレン塩化ビニル共重合体、ポリテトラフ
ルオロエチレン等のプラスチック微粉末;α−オレフィ
ン重合物;常温で液状の不飽和脂肪族炭化水素(n−オ
レフィン二重結合が末端の炭素に結合した化合物、炭素
数約20);炭素数12〜20個の一塩基性脂肪酸と炭
素数3〜12個の一価のアルコールから成る脂肪酸エス
テル類、フルオロカーボン類等は使用できる。
【0067】中でも脂肪酸エステルが最も好ましい。脂
肪酸エステルの原料となるアルコールとしては、エタノ
ール、ブタノール、フェノール、ベンジルアルコール、
2−メチルブチルアルコール、2−ヘキシルデシルアル
コール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エ
チレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレング
リコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモ
ノブチルエーテル、s−ブチルアルコール等のモノアル
コール類、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ソルビタン
誘導体等の多価アルコールが挙げられる。
【0068】同じく脂肪酸としては、酢酸、プロピオン
酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ラウリン酸、
ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン
酸、アラキン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン
酸、エライジン酸、パルミトレイン酸等の脂肪族カルボ
ン酸またはこれらの混合物が挙げられる。脂肪酸エステ
ルとしての具体例は、ブチルステアレート、s−ブチル
ステアレート、イソプロピルステアレート、ブチルオレ
エート、アミルステアレート、3−メチルブチルステア
レート、2−エチルヘキシルステアレート、2−ヘキシ
ルデシルステアレート、ブチルパルミテート、2−エチ
ルヘキシルミリステート、ブチルステアレートとブチル
パルミテートの混合物、ブトキシエチルステアレート、
2−ブトキシ−1−プロピルステアレート、ジプロピレ
ングリコールモノブチルエ−テルをステアリン酸でアシ
ル化したもの、ジエチレングリコールジパルミテート、
ヘキサメチレンジオールをミリスチン酸でアシル化して
ジエステルとしたもの、グリセリンのオレエート等の種
々のエステル化合物を挙げることができる。
【0069】さらに、磁気記録ディスクを高湿度下で使
用する時、しばしば生ずる脂肪酸エステルの加水分解を
軽減すために、原料の脂肪酸及びアルコールの分岐/直
鎖、シス/トランス等の異性構造、分岐位置を選択する
ことがなされる。潤滑剤としては、更に以下の化合物を
使用することもできる。即ち、シリコンオイル、グラフ
アイト、二硫化モリブデン、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、
フッ素アルコール、ポリオレフィン、ポリグリコール、
アルキル燐酸エステル、二硫化タングステン等である。
【0070】これらの潤滑剤は、結合剤樹脂100重量
部に対して0.2〜20重量部の範囲で添加される。本
発明で使用されるこれらの潤滑剤等は磁性層、非磁性層
でその種類、量を必要に応じ使い分けることができる。
例えば、各層で融点の異なる脂肪酸を用い表面へのにじ
み出しを制御する、沸点や極性の異なるエステル類を用
い表面へのにじみ出しを制御する、潤滑剤の添加量を非
磁性層で多くして潤滑効果を向上させるなどが考えら
れ、無論ここに示した例のみに限られるものではない。
【0071】また本発明で用いられる添加剤のすべてま
たはその一部は、磁性塗料製造のどの工程で添加しても
かまわない、例えば、混練工程前に強磁性粉末と混合す
る場合、強磁性粉末と結合剤と溶剤による混練工程で添
加する場合、分散工程で添加する場合、分散後に添加す
る場合、塗布直前に添加する場合などがある。本発明で
使用されるこれら潤滑剤の商品例としては、日本油脂社
製:NAA−102,NAA−415,NAA−31
2,NAA−160,NAA−180,NAA−17
4,NAA−175,NAA−222,NAA−34,
NAA−35,NAA−171,NAA−122,NA
A−142,NAA−160,NAA−173K,ヒマ
シ硬化脂肪酸,NAA−42,NAA−44,カチオン
SA,カチオンMA,カチオンAB,カチオンBB,ナ
イミーンL−201,ナイミーンL−202,ナイミー
ンS−202,ノニオンE−208,ノニオンP−20
8,ノニオンS−207,ノニオンK−204,ノニオ
ンNS−202,ノニオンNS−210,ノニオンHS
−206,ノニオンL−2,ノニオンS−2,ノニオン
S−4,ノニオンO−2,ノニオンLP−20R,ノニ
オンPP−40R,ノニオンSP−60R,ノニオンO
P−80R,ノニオンOP−85R,ノニオンLT−2
21,ノニオンST−221,ノニオンOT−221,
モノグリMB,ノニオンDS−60,アノンBF,アノ
ンLG,ブチルステアレート,ブチルラウレート,エル
カ酸、関東化学社製:オレイン酸、竹本油脂社製:FA
L−205,FAL−123、新日本理化社製:エヌジ
エルブLO,エヌジエルブIPM,サンソサイザーE4
030、信越化学社製:TA−3,KF−96,KF−
96L,KF−96H,KF410,KF420,KF
965,KF54,KF50,KF56,KF−90
7,KF−851,X−22−819,X−22−82
2,KF−905,KF−700,KF−393,KF
−857,KF−860,KF−865,X−22−9
80,KF−101,KF−102,KF−103,X
−22−3710,X−22−3715,KF−91
0,KF−3935、ライオンアーマー社製:アーマイ
ドP,アーマイドC,アーモスリップCP、ライオン油
脂社製:デュオミンTDO、日清製油社製:BA−41
G、三洋化成社製:プロフアン2012E,ニューポー
ルPE61,イオネットMS−400,イオネットMO
−200,イオネットDL−200,イオネットDS−
300,イオネットDS−1000,イオネットDO−
200などがあげられる。
【0072】本発明に用いられる非磁性支持体は、可撓
性でバランスタイプの支持体が好ましく、ポリエチレン
テレフタレート、ポリエチレンナフタレート、等のポリ
エステル類、ポリオレフイン類、セルローストリアセテ
ート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポ
リアミドイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホ
ン、アラミド、芳香族ポリアミド、シンジオタクチック
ポリスチレンなどの公知のフイルムが使用できる。一般
的にはポリエチレンテレフタレートが好ましい。非磁性
支持体の厚味は、ヤング率により異なるが、一般には1
0〜100μmが適し、好ましくは30〜80μmであ
り、高記録密度として更に好ましくは50〜75μmで
ある。これらの支持体にはあらかじめコロナ放電処理、
プラズマ処理、易接着処理、熱処理、除塵処理、などを
おこなっても良い。
【0073】本発明の目的を達成するには、非磁性支持
体として中心線平均表面粗さ(Ra)(カットオフ値
0.25mm)が0.03μm以下、好ましくは0.0
2μm以下、さらに好ましくは0.01μm以下のもの
を使用するのが望ましい。また、これらの非磁性支持体
は単に中心線平均表面粗さが小さいだけではなく、1μ
m以上の粗大突起がないことが好ましい。また、表面の
粗さ形状は、必要に応じて支持体に添加されるフィラー
の大きさと量により自由にコントロールされるものであ
る。これらのフィラーとしては一例としてはCa、S
i、Tiなどの酸化物や炭酸塩の他、アクリル系などの
有機微粉末が挙げられる。
【0074】本発明に用いられる非磁性支持体のウエブ
走行方向(長手方向)のF−5値は好ましくは5〜50
Kg/mm2 、ウエブ幅方向のF−5値は好ましくは3
〜30Kg/mm2 であり、ウエブ長手方向のF−5値
がウエブ幅方向のF−5値より高いのが、一般的である
が、特に幅方向の強度を高くする必要があるときはその
限りでない。
【0075】また、本磁気記録ディスクの厚味構成は、
非磁性支持体が好ましくは30〜80μm、非磁性層が
0.5〜10μm、磁性層が0.5μm以下である。ま
た、非磁性支持体と非磁性層の間に密着性向上のための
下塗り層を設けてもかまわない。この厚味は0.01〜
2μm、好ましくは0.05〜0.5μmである。ま
た、非磁性支持体の磁性層側と反対側にバックコート層
を設けてもかまわない。この厚みは0.1〜2μm、好
ましくは0.3〜1.0μmである。これらの下塗り
層、バックコート層は公知のものが使用できる。本発明
磁気記録ディスクは、両面もしくは片面に磁性層を設け
ることができる。また、磁性層表面に樹脂および/また
は潤滑剤の層を保護層として設けてもよい。
【0076】また、非磁性支持体のウエブ走行方向およ
び幅方向の100℃30分での熱収縮率は好ましくは3
%以下、さらに好ましくは1.5%以下、80℃30分
での熱収縮率は好ましくは1%以下、さらに好ましくは
0.5%以下である。破断強度は両方向とも5〜100
Kg/mm2 、弾性率は100〜2000Kg/mm2
が好ましい。
【0077】本発明の磁気記録ディスクの磁性層塗布
液、非磁性層塗布液を製造する工程は、少なくとも混練
工程、分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応
じて設けた混合工程からなる。個々の工程はそれぞれ2
段階以上にわかれていてもかまわない。本発明に使用す
る強磁性粉末、非磁性粉末、結合剤、カーボンブラッ
ク、研磨剤、帯電防止剤、潤滑剤、溶剤などすべての原
料はどの工程の最初または途中で添加してもかまわな
い。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加
してもかまわない。例えば、ポリウレタンを混練工程、
分散工程、分散後の粘度調整のための混合工程で分割し
て投入してもよい。
【0078】各塗布液の混練分散に当たっては、各種の
混練機が使用される。例えば、二本ロールミル、三本ロ
ールミル、ボールミル、ペブルミル、トロンミル、サン
ドグラインダー、ゼグバリ(Szegvari)、アト
ライター、高速インペラー分散機、高速ストーンミル、
高速衝撃ミル、ディスパー、ニーダー、高速ミキサー、
ホモジナイザー、超音波分散機などを用いることができ
る。
【0079】本発明の目的を達成するためには、従来の
公知の製造技術を一部の工程として用いることができる
ことはもちろんであるが、混練工程では連続ニーダや加
圧ニーダなど強い混練力をもつものを使用することによ
り本発明の磁気記録ディスクの高いBrを得ることがで
きる。連続ニーダまたは加圧ニーダを用いる場合は強磁
性粉末と結合剤のすべてまたはその一部(ただし全結合
剤の30重量%以上が好ましい)および強磁性粉末10
0部に対し15〜500部の範囲で混練処理される。こ
れらの混練処理の詳細については特開平1−10633
8号、特開昭64−79274号に記載されている。ま
た、非磁性層塗布液を調製する場合には高比重の分散メ
ディアを用いることが望ましく、ジルコニアビーズ、金
属ビーズが好適である。
【0080】本発明では、特開昭62−212933号
に示されるような同時重層塗布方式を用いることによ
り、より効率的に生産することができる。ウエット・オ
ン・ウエット塗布により非磁性支持体に塗設された非磁
性層及び磁性層は、配向処理、乾燥工程を経て、カレン
ダー処理されることが好ましい。カレンダ処理ロールと
してエポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドア
ミド等の耐熱性のあるプラスチックロールを使用する。
また、金属ロール同志で処理することもできる。処理温
度は、好ましくは70℃以上、さらに好ましくは80℃
以上である。線圧力は好ましくは200kg/cm、さ
らに好ましくは300kg/cm以上である。
【0081】磁性層の0.5%伸びでの弾性率は走行方
向、幅方向とも好ましくは100〜2000Kg/mm
2 、破断強度は好ましくは1〜30Kg/cm2 、磁気
記録ディスクの弾性率は走行方向、幅方向とも好ましく
は100〜1500Kg/mm2 、残留のびは好ましく
は0.5%以下、100℃以下のあらゆる温度での熱収
縮率は好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%
以下、もっとも好ましくは0.1%以下である。
【0082】磁性層中に含まれる残留溶媒は好ましくは
100mg/m2 以下、さらに好ましくは10mg/m
2 以下であり、磁性層に含まれる残留溶媒が非磁性層に
含まれる残留溶媒より少ないほうが好ましい。磁性層、
非磁性層が有する空隙率は、ともに好ましくは30容量
%以下、さらに好ましくは10容量%以下である。非磁
性層の空隙率が磁性層の空隙率より大きいほうが好まし
いが、非磁性層の空隙率が5%以上であれば小さくても
かまわない。
【0083】本発明の磁気記録ディスクを複数層で構成
する場合、目的に応じ各層でこれらの物理特性を変える
ことができるのは容易に推定されることである。例え
ば、非磁性層の弾性率を磁性層の弾性率よりも高くし
て、磁気記録ディスクに対する磁気ヘッド当たりを改善
すること、非磁性層及び磁性層ともにその弾性率を高く
して、走行耐久性を向上させること等の効果が容易に予
測できる。
【0084】ウエット・オン・ウエット塗布方式によ
り、支持体上に塗布された磁性層は、本発明の配向処理
を施したのち、形成した磁性層を乾燥する。又、必要に
より表面平滑化加工を施したり、所望の形状に裁断した
りして、本発明の磁気記録媒体を製造する。本発明磁気
記録ディスクは、高密度の磁気記録が可能であり、特
に、コンピューター情報を保存・読み出しに使用される
ディジタルデータ記録媒体に必須の重ね書き特性、再生
出力等の電磁変換特性が、例えば、最短記録波長が1.
5μm以下であるような高密度記録になっても低下せず
且つ安定して得られ、しかも走行耐久性も低下しないと
いう利点を有する。
【0085】また、記録波長が短波長化した場合だけで
なく、トラック密度が高くなった場合にも本発明の磁気
記録ディスクを使用することにより、信号のクロストー
クが少なく、ピークシフトの分離性に優れた記録ができ
る。そのため、記録トラック幅が50μm以下、トラッ
ク密度14トラック/mm以上の条件で、最短記録波長
が1.5μm以下の記録をしても重ね書き適性に優れ、
走行耐久性も良好な記録・再生が可能である。
【0086】本発明の好ましい態様の一例を図を参照し
て説明する。図1は、本発明の一実施態様による磁気記
録ディスクの製造装置1を示すものである。送り出しロ
ール2に巻かれた長尺、帯状の非磁性支持体3は、矢印
A方向に連続移送され、巻取りロール4に巻き取られる
ようになっている。移送される非磁性支持体3の表面に
近接する位置には、同時重層塗布装置5が配設されてお
り、この塗布装置5により非磁性支持体3上に非磁性層
塗布液6および磁性層塗布液7が同時重層塗布され、未
硬化二層構造が形成される。
【0087】上記塗布装置5から支持体移送方向Aの下
流側には、磁性塗布層を未乾燥中に磁界を印加させて無
配向化処理を行う第一の配向装置8および次に斜め配向
化処理を行う第二の配向装置9からなる配向装置10が
この順に配設され、そしてさらに下流に乾燥装置11が
配設されている。前述のように非磁性支持体3上に形成
された未硬化二層中の磁性層内の強磁性金属粉末は、上
記第一の配向装置8内を未硬化状態で通過する際に無配
向化(ランダマイズ化)され、さらに第二の配向装置9
内を通過する際に斜め方向に配向される。次いで、乾燥
装置11を通過すると、該未硬化二層塗膜が乾燥、固化
し、非磁性支持体3上に非磁性層、その上に前記強磁性
金属粉末を含む磁性層をこの順に形成されてなるシート
状の磁気記録ディスク媒体12が得られる。この磁気記
録ディスク媒体をその後のカレンダー処理、裁断、打ち
抜き、表面処理等を行い、フロッピーディスクを形成す
ることができる。前述の第一の配向装置8及び第二の配
向装置9が設けられた配向装置10には、必要に応じ徐
乾燥が可能な乾燥工程あるいは乾燥装置が設れていても
よい。
【0088】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説
明する。ここに示す成分、割合、操作順序等は、本発明
の精神から逸脱しない範囲において変更しうるものであ
ることは本業界に携わるものにとっては容易に理解され
ることである。従って、本発明は下記の実施例に制限さ
れるべきではない。尚、「部」とあるのは全て「重量
部」のことである。
【0089】実施例1 下記2つの塗料のそれぞれについて、各成分を連続ニー
ダーで混練したのち、サンドミルを用いて分散させた。
得られた分散液にポリイソシアネートを非磁性層の塗布
液には10部、磁性層の塗布液には12部を加え、さら
にそれぞれに酢酸ブチル40部を加え、1μmの平均孔
径を有するフィルターを用いて濾過し、非磁性層形成用
及び磁性層形成用塗布液を夫々調製した。
【0090】得られた非磁性層形成用塗布液を乾燥後の
厚さが2μmになるように、その直後にその上に磁性層
の乾燥後の厚さが0.45μmになるように、厚さ62
μmで中心平均表面粗さが0.01μmのポリエチレン
テレフタレート支持体上に同時重層塗布を行い、両層が
まだ未乾燥の湿潤状態にあるうちに周波数50Hz、磁
場強度200ガウスまた周波数50Hz、120ガウス
の2つの交流磁場発生装置中を通過させ、無配向化処理
を行い、次いで両層がまだ未乾燥の湿潤状態にあるうち
に塗布面に対し垂直方向に、垂直面上で2000Gにな
るように永久磁石を非磁性支持体の上下に設置し、その
間を通過させ斜め配向化処理を行い、その後乾燥処理を
行った。巻取り後7段のカレンダーで温度90℃、線圧
300Kg/cmにて処理を行い、3.5インチサイズ
に打ち抜き表面研磨処理を施し、熱処理をした後、ライ
ナーを内側に設置済みの3.5インチカートリッジに入
れ、直径が29mm径のセンターコアを使用し、そのほ
かは所定の機構部品を付加し、3.5インチフロッピー
ディスクを得た。
【0091】以下の処方で非磁性塗料及び磁性塗料を調
製した。 非磁性塗料 非磁性無機質粉末 90部 粒状TiO2 (石原産業社製 TY50) 平均粒径 0.34μm BET法による比表面積 5.9 m2 /g pH 5.9 カーボンブラック 10部 (ライオンアグゾ社製ケッチェンブラックEC) 平均粒径 30mμ DBP吸油量 350ml/100g BET法による比表面積 950m2 /g 塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体 14部 −N(CH3 3 + Cl- の極性基を5×10-6eq/g含有 組成比 86:13:1 重合度 400 ポリエステルポリウレタン樹脂 5部 ネオペンチルグリコール/カプロラクトンポリオール/MDI =0.9/2.6/1 −SO3 Na基 1×10-4eq/g含有 sec−ブチルステアレート 5部 2−ブトキシ−1−プロピルステアレート 5部 オレイン酸 1部 メチルエチルケトン 200部 磁性塗料 強磁性金属微粉末 100部 組成 Fe/Ni=96/4 Hc 1600Oe、BET法による比表面積 58m2 /g 結晶子サイズ 195Å 平均粒径(長軸長) 0.20μm、針状比 10 飽和磁化( σS ) 130emu/g 塩化ビニル系共重合体 14部 −SO3 Na基 1×10-4eq/g含有 ポリエステルポリウレタン樹脂 3部 ネオペンチルグリコール/カプロラクトンポリオール/MDI =0.9/2.6/1 −SO3 Na基 1×10-4eq/g含有 αアルミナ(平均粒径 0.3μm) 2部 カーボンブラック(平均粒径 0.10μm) 0.5部 イソヘキサデシルステアレート 6部 オレイン酸 2部 メチルエチルケトン 200部 実施例2 実施例−1の磁性層形成用塗布液のみを用い実施例1と
同様に、磁性層の厚さが0.45μmになるように、厚
さ62μmで中心線表面粗さが0.01μmのポリエチ
レンテレフタレート支持体上に塗布を行い、磁性層がま
だ未乾燥の湿潤状態にあるうちに周波数50Hz、磁場
強度200ガウスまた周波数50Hz、120ガウスの
2つの交流磁場発生装置中を通過させ、無配向化処理を
行い、次いで塗布面に対し垂直方向に、垂直面上で20
00Gになるように永久磁石を非磁性支持体の上下に設
置し、その間を通過させ斜め配向化処理を行い、その後
乾燥処理を行った。巻取り後7段のカレンダーで温度9
0℃、線圧300Kg/cmにて処理を行い、3.5イ
ンチサイズに打ち抜き表面研磨処理を施し、熱処理をし
た後、ライナーを内側に設置済みの3.5インチカート
リッジに入れ、直径が29mm径のセンターコアを使用
し、そのほかは所定の機構部品を付加し、3.5インチ
フロッピーディスクを得た。
【0092】実施例3 実施例1の磁性層形成用塗布液と非磁性層形成用塗布液
を用い実施例1と同様に先ず非磁性層形成用塗布液を、
乾燥後の厚さが2μmになるように厚さ62μmで中心
平均表面粗さが0.01μmのポリエチレンテレフタレ
ート支持体上に塗布を行い、乾燥後、その上に磁性層の
乾燥後の厚さが0.45μmになるように塗布を行い、
磁性層がまだ未乾燥の湿潤状態にあるうちに周波数50
Hz、磁場強度200ガウスまた周波数50Hz、12
0ガウス(G)の2つの交流磁場発生装置中を通過さ
せ、無配向化処理を行い、次いで塗布面に対し垂直方向
に、垂直面上で2000Gになるように永久磁石を非磁
性支持体の上下に設置し、その間を通過させ斜め配向化
処理を行い、その後乾燥処理を行った。巻取り後7段の
カレンダーで温度90℃、線圧300Kg/cmにて処
理を行い、3.5インチサイズに打ち抜き表面研磨処理
を施し、熱処理をした後、ライナーを内側に設置済みの
3.5インチカートリッジに入れ、直径が29mm径の
センターコアを使用し、そのほかは所定の機構部品を付
加し、3.5インチフロッピーディスクを得た。
【0093】比較例1 実施例1の無配向化処理後の斜め配向処理を除いた以外
は、実施例1と同一方法、条件で3.5インチフロッピ
ーディスクを得た。 比較例2 実施例1の無配向化処理を除いた以外は、実施例1と同
一方法、条件で3.5インチフロッピーディスクを得
た。
【0094】比較例3 実施例2の無配向化処理後の斜め配向化処理を除いた以
外は、実施例2と同一方法、条件で3.5インチフロッ
ピーディスクを得た。 比較例4 実施例2の無配向化処理を除いた以外は、実施例2と同
一方法、条件で3.5インチフロッピーディスクを得
た。
【0095】比較例5 実施例1の無配向化処理後の斜め配向化処理を塗布面上
で3000Gになるように永久磁石を非磁性支持体の上
下に3組、1m間隔で設置した構成で行った。それ以外
は、実施例1と同一方法、条件で3.5インチフロッピ
ーディスクを得た。
【0096】比較例6 実施例1において、磁性層の厚さを0.8μmとした以
外は、実施例1と同一の条件で3.5インチのフロッピ
ーディスクの試料を作成した。 比較例7 実施例1の磁性塗料の強磁性金属粉末を下記のものに替
えた以外は、実施例1と同一の条件で3.5インチのフ
ロッピーディスクの試料を作成した。
【0097】組成 Fe/Ni/A
l=96/3/1 Hc 1200Oe BET法による比表面積 38m2 /g 平均粒径(長軸長) 0.32μm 針状比 10 飽和磁化( σS ) 125emu/g このようにして得られたフロッピーディスクの各試料
は、下記の評価方法で測定した。
【0098】水平方向の配向度比:振動試料型磁束計
(東英工業社製)を使用しHm10Oeの磁場をかけ測
定サンプルの水平方向に磁場を印加し、10度おきに0
度〜360度まで磁場を回転させ角型比を求め、その角
型比の最小値を最大値で割った値を算出し配向度とし
た。 垂直方向の配向比:振動試料型磁束計(東英工業社製)
を使用しHm10kOeの磁場をかけ円盤状ディスクか
ら、測定サンプルを10度おきに0度〜360度まで3
6個準備し、それぞれの垂直成分のBHを測定し、反磁
界補正を行った後、垂直成分の角型比を求め、その角型
比の最小値を最大値で割った値を算出し垂直方向の配向
度比とした。
【0099】反磁界補正後の垂直方向角型比:振動試料
型磁束計(東英工業社製)を使用しHm10kOeの磁
場をかけ測定サンプルの垂直成分のBHを測定し、反磁
界補正を行った後、垂直成分の角型比を求めた。 再生出力の測定:再生出力の測定は、東京エンジニアリ
ング製ディスク試験装置SK606B型を用いギャップ
長0.45μmのメタルインギャップ水平リングヘッド
を用い、それぞれ記録周波数を625kHzで半径2
4.6mmの位置において記録した後、ヘッド増幅機の
再生出力をテクトロニクス社製のオシロスコープ763
3型で測定した。再生出力の平均値は、JIS−X62
21の測定法で算出した。再生出力は、各実施例、比較
例の再生出力の平均値は、実施例1の値を100として
相対値として記載した。
【0100】モジュレーション:再生出力と同一の条
件、装置を使用し、再生波形の1週における最大値Vm
axとVminから 100×(Vmax−Vmin)÷(Vmax+Vmi
n)〔%〕を求めた。 重ね書き特性:上記の試験装置、東京エンジニアリング
社製ディスク試験装置を使用して、ディスク上半径3
9.5mmの位置で、交流消去済みサンプルに312.
5kHzの信号を記録し、アドバンテスト社製TR41
71型ペクトラムアナライザで312.5kHzの出力
01(dB)を測定した後、直ちに1MHzを重ね書き
して、そのときの312.5MHz成分の出力02(d
B)を測定し、(02の出力)−(01の出力)(d
B)をもって重ね書き特性とした。通常、磁気記録ディ
スクにおいては、−30dB以下のオーバーライト特性
が必要とされる。
【0101】以上の評価方法で得られた実施例、比較例
のそれぞれの特性値の評価結果を表1に示した。
【0102】
【表1】
【0103】表1の結果から、従来のランダム配向処理
のみ行った比較例1に比較し、実施例1は、再生出力、
モジュレーションとも良化している。このことは、ラン
ダム配向処理後に斜め配向処理を行うことにより、垂直
成分の角型比が良化していることが関係していると思わ
れ、特に短波長記録において高出力が期待出来るもので
ある。また、モジュレーションも良化していることか
ら、ランダム配向処理後、斜め配向することにより、強
磁性金属粉末はさらに無秩序化していることが考えられ
る。
【0104】また、実施例1と実施例2、3の比較にお
いて、本発明は同時重層により、より効果を発揮するも
のと言う事ができる。比較例5で垂直成分の角型比が
0.71においては、本発明のリングヘッドではかえっ
て出力は実施例に比較し低いものとなった。磁性層の厚
い比較例6では、オーバーライト特性が悪い。また、強
磁性金属粉末の抗磁力の低い比較例7では、再生出力が
十分でない。
【0105】
【発明の効果】本発明は、連続的に走行する非磁性支持
体上に強磁性金属粉末を分散した磁性液を塗布して磁性
塗布層を設け、該磁性塗布層が未乾燥中に磁界を印加
し、無配向化処理を行う第一工程と、次に斜め配向化処
理を行う第二工程からなる配向を行った後に乾燥するこ
とからなる磁気記録ディスクとその製造方法であり、特
に、薄層磁性層で高記録密度ディスクにおいて、高出
力、モジュレーション特性の優れたディスクとその製造
方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様による磁気記録ディスクの
製造装置の構成の概略を説明するための図。
【符号の説明】
1 本発明磁気記録ディスクの製造装置 2 送り出しロール 3 非磁性支持体 4 巻取りロール 5 同時重層塗布装置 6 非磁性層塗布液 7 磁性層塗布液 8 第一の配向装置 9 第二の配向装置 10 配向装置 11 乾燥装置 12 シート状の磁気記録ディスク媒体
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年8月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正内容】
【0065】本発明に用いられる研磨剤の具体的な例と
しては、住友化学社製:AKP−20,AKP−30,
AKP−50,HIT−50、日本化学工業社製:G
5,G7,S−1、戸田工業社製:TF−100、TF
−140、100ED、140EDなどがあげられる。
本発明に使用する分散剤(顔料湿潤剤)としては、カプ
リル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パル
ミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エラ
イジン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアロール酸等
の炭素数12〜18個の脂肪酸(R1 COOH、R1
炭素数11〜17個のアルキルまたはアルケニル基);
前記の脂肪酸のアルカリ金属(Li、Na、K等)また
はアルカリ土類金属(Mg、Ca、Ba)からなる金属
石鹸;前記の脂肪酸エステルの弗素を含有した化合物;
前記脂肪酸のアミド;ポリアリキレンオキサイドアルキ
ルリン酸エステル;レシチン;トリアルキルポリオレフ
ィンオキシ第4級アンモニウム塩(アルキルは炭素数1
〜5個、オレフィンはエチレン、プロピレン等);等が
使用される。この他に炭素数12以上の高級アルコー
ル、及びこれらの他に硫酸エステル等も使用可能であ
る。これらの分散剤は合剤樹脂100重量部に対して
0.5〜20重量部の範囲で添加される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0102
【補正方法】変更
【補正内容】
【0102】
【表1】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に強磁性金属粉末を含む
    磁性層を設けてなる磁気記録ディスクにおいて、該強磁
    性金属粉末は1400エルステッド以上の抗磁力を有
    し、該磁性層は厚さが0.5μm以下であって、且つ水
    平方向の配向度比が0.85以上で反磁界補正後の垂直
    方向の角型比が0.3〜0.65であって、垂直方向の
    配向度比が0.85以上である磁気記録ディスク。
  2. 【請求項2】 非磁性粉末及び結合剤樹脂を主体とする
    非磁性層が前記磁性層の下にある請求項1記載の磁気記
    録ディスク。
  3. 【請求項3】 非磁性支持体上に非磁性粉末及び結合剤
    樹脂を主たる成分とする非磁性層用塗布液を塗布して、
    非磁性層用塗布層を形成した後、該非磁性層用塗布層が
    湿潤状態にある内に、前記強磁性金属粉末及び結合剤樹
    脂を主たる成分とする磁性層用塗布液を前記非磁性層用
    塗布層上に塗布し、該磁性層が湿潤状態にある内に磁界
    を印加し無配向化処理を行う第一工程と、次に斜め配向
    化処理を行う第二工程からなる配向処理を行った後に、
    乾燥する請求項2記載の磁気記録ディスクの製造方法。
JP4209490A 1992-07-15 1992-07-15 磁気記録ディスク及びその製造方法 Expired - Fee Related JP2973383B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4209490A JP2973383B2 (ja) 1992-07-15 1992-07-15 磁気記録ディスク及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4209490A JP2973383B2 (ja) 1992-07-15 1992-07-15 磁気記録ディスク及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0636261A true JPH0636261A (ja) 1994-02-10
JP2973383B2 JP2973383B2 (ja) 1999-11-08

Family

ID=16573683

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4209490A Expired - Fee Related JP2973383B2 (ja) 1992-07-15 1992-07-15 磁気記録ディスク及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2973383B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10275325A (ja) * 1997-03-28 1998-10-13 Fuji Photo Film Co Ltd ディスク状磁気記録媒体

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10275325A (ja) * 1997-03-28 1998-10-13 Fuji Photo Film Co Ltd ディスク状磁気記録媒体
US6037030A (en) * 1997-03-28 2000-03-14 Fuji Photo Film Co., Ltd. Disc-like magnetic recording medium

Also Published As

Publication number Publication date
JP2973383B2 (ja) 1999-11-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2566096B2 (ja) 磁気記録媒体
JP2789065B2 (ja) 磁気記録媒体
JPH04238111A (ja) 磁気記録媒体
JP2715359B2 (ja) フレキシブル磁気記録ディスク及びその製造方法
US6582815B2 (en) Magnetic recording medium and manufacturing method of the same
JP2835661B2 (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
JP2655379B2 (ja) 磁気記録ディスク
US5455093A (en) Flexible magnetic disk and process for preparing the same
JP2973383B2 (ja) 磁気記録ディスク及びその製造方法
JPH0954943A (ja) 磁気ディスクおよび磁気ディスクの処理方法
JP2805404B2 (ja) 磁気記録ディスク並びにその製造方法
JP3094134B2 (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JP2982086B2 (ja) 磁気記録ディスク及びその製造方法
JP2805412B2 (ja) 磁気記録媒体
JPH05197946A (ja) 磁気記録媒体
JP2002092846A (ja) 磁気記録媒体
JPH08306031A (ja) 磁気記録媒体
JP2571351B2 (ja) 磁気記録媒体
JP2946257B2 (ja) 磁気記録ディスク
JP2003263716A (ja) 磁気記録媒体
JP2002230743A (ja) 磁気記録媒体
JPH06139547A (ja) 磁気記録媒体
JPH05109063A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JP2001060314A (ja) 磁気記録ディスク
JPH04370521A (ja) 磁気記録媒体

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 8

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070903

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees