JPH0636164Y2 - 目地盛り上り切削用ナイフ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、目地盛り上り切削用ナイフ、即ち建築物内の
床シートの施工の途中において該シート面の目地に形成
される熔着材の盛り上りを削り取るのに使用されるナイ
フに関する。

（従来の技術） 従来一般に、工場、事務所、あるいは一般家庭の台所等
の床面には、主にポリ塩化ビニル系の床シートがよく利
用されている。

而して、この床シートの敷設施工は、従来よりまず市販
の定尺床シートを所要の寸法に裁断し、これを床面に敷
き詰め、次いでシート同士が当接する目地にＶ字溝を形
成し、続いてポリ塩化ビニル棒等を溶融しながら該目地
の溝に流し込みて熔着し、その後該目地に充填された熔
着材のうち、床シートの表面より盛り上がった余分の材
料を切削して、平滑な床面に仕上げるという手順により
行なっている。

かかる施工において、従来、床シート面より盛り上がっ
た余分の熔着材の切削には、通常、例えば第５図に示さ
れるようなナイフを用い、そして手作業にて該ナイフの
刃をほぼ水平の方向より熔着材の盛り上りに当てて削り
取る方法により行なっていた。

（考案が解決しようとする課題） しかし、上記のナイフは、第５図に示すように曲線形の
縁11を持つ刀で該縁11の片方全体に刃が形成されたもの
であった。また、熔着材盛り上りの切削に用いられたそ
の他のナイフ例えば平カッターも、同様に刀縁の全体に
刃が形成されたものであった。

従って、実際の使用の際、ナイフの刃が目地における熔
着材の盛り上りだけでなく、その両側の床シートの表面
にも当たるので、該シート表面を傷付けることが多く、
また作業者の力の加え加減によっては、熔着材の盛り上
りのみならず、その両側の床シートをも削り取ってしま
う場合があった。床シート自体の表面損傷や削り取りは
当然に重大な施工不良となる。

よって、盛り上りの切削作業は、大変神経を使って慎重
に行なう必要があった。

しかしながら、従来のナイフの場合、熔着材の盛り上り
に当たるナイフ刃の部分が特定の部位に定まっているわ
けでなかった。このため、作業者は、普通、ナイフ刃の
うち自分自身が作業しやすいある部位を決め、そしてそ
の部位が常に熔着材の盛り上りに当たるようにナイフの
向きを固定しながら、盛り上りを切削するという方法を
採用していた。従って、目地盛り上りの切削作業は、多
年の熟練を要するものであり、また時間的にも大変手間
がかかるものであった。

本考案は、かかる問題を解決するべくなされたもので、
その目的とするところは、目地の盛り上りを切削する場
合に同時に床シートの表面を傷付けたりまた床シート自
体を削り取ったりすることがなく、しかもその際かかる
不都合が起きないように特に注意を払う必要もない目地
盛り上り切削用ナイフを提供することにある。

（課題を解決するための手段） 本考案に係る目地盛り上り切削用ナイフは、直線形のナ
イフ先端の一部を切り欠きて凹状の案内溝を設け、かつ
該案内溝の縁に刃を形成したことを特徴とするものであ
る。

本考案のナイフは、刀部先端が直線形の縁で、使用時先
端の縁がすべて床シートの表面に当接する形状のもので
ある。そして、先端の一部主に中央部が切り欠かれて、
凹状の案内溝が設けられてなる。案内溝は、熔着材の盛
り上りを、床シート面と当接するナイフ先端の位置で切
除するのでなく、該先端よりやや内側の位置で切除する
ために凹状に設けたもので、その形状は任意である。Ｖ
字溝でも、Ｕ字溝でもよい。溝の幅は、盛り上がった熔
着材が同溝内に丁度収まるように目地の幅よりやや大き
めであるのが好ましく、また溝の深さは、0.3ないし1.5
cmぐらいが適当である。

そして、本考案のナイフは、刃を案内溝の縁に形成し、
その他のナイフ先端の縁には刃を形成しないことが特徴
である。

なお、本ナイフの刀部は、上記盛り上りの切削をうまく
行なうことができるような適度の弾性を有する金属材料
より構成される必要があり、また硬い金属板そのもので
は所望の柔軟性が得られ難い場合には、例えばナイフの
刀厚を基端より先端にかけて薄くして、必要な柔軟性が
得られるようにするのが好ましい。

（作用） 床シートの敷設施工の仕上げにおいて、目地における余
剰の盛り上がった熔着材を削り取る作業を行なう際、本
考案のナイフを使用した場合、熔着材の盛り上りをナイ
フ先端の案内溝の内に収めながらナイフを前方へ押し進
めると、該盛り上りは案内溝の中に導かれた後、該溝の
縁に形成された刃により削り取られ、従って目地の表面
は床シート面と面一になる。

この場合、本考案では、ナイフ先端が直線形の縁である
ので、ナイフ先端部を床シート表面に安定に押し付ける
ことができ、よって前記盛り上りの切削のときナイフを
そのような安定な姿態に保ち続けることができる。ま
た、本考案では、熔着材の盛り上りの切除は、ナイフ先
端の縁全体を用いずに、案内溝の内縁の刃を使ってなさ
れる。したがって、ナイフの向きを一定に固定する必要
無く、前記盛り上りのみが収まるような特定の部位で以
って、盛り上りの切削を行なうことができ、よってその
切削作業は、特別の熟練を必要とせずに、安定にかつ容
易に行なうことができる。

さらに、本考案では、ナイフ先端のうち案内溝の両側の
部分には刃が形成されていないので、これを用いた熔着
材の盛り上りの切削作業の際、たとえナイフ先端を床シ
ートの表面に押圧しても、シート表面が傷付いたりまた
表面部分が削り取られたりすることがない。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面により説明する。

第１図および第２図は本考案の目地盛り上り切削用ナイ
フの平面図および側面図である。

第１図および第２図に於て１は本考案のナイフの刀部
を、また２は柄をそれぞれ示す。ナイフの刀部１の先端
の縁部3a、3bは直線形をなしており、その中央部には凹
状の案内溝４が設けられており、該案内溝４の縁には刃
５が形成されている。

凹状の案内溝４の先端の溝幅は盛り上がった熔着材の幅
よりは僅かに大きくし、熔着材が溝４内に案内された
後、刃５で切削されるように構成されている。

またナイフの刀厚は先端部を薄くし、柄２に向って僅か
に厚くなるように構成されている。

第３図は、上記本考案のナイフを用いて目地の盛り上り
部分を切削するプロセスを示す斜視図、また第４図は第
３図のIV−IV線における床シートの目地付近の断面図で
ある。

第３図および第４図に於て6aおよび6bは塩化ビニル樹脂
の床シートであり、該床シート6aと6bの接合端縁には凹
状形、Ｕ形、Ｖ形等のノッチ９が形成され、該ノッチ９
内には、塩化ビニル樹脂等の熔着材８が熱熔融下に充填
されている。

ノッチ９内に充填された熔着材は床シートの表面よりｈ
だけ上方に盛り上がっている。この目地盛り上り部分を
切削するに際しては、第３図に示すようにナイフの刀部
先端裏面を床シート表面に押し付け、密着させた状態で
ナイフの先端の案内溝４内に目地の盛り上り部分を導入
し、ナイフを目地の長手方向にスライドさせることによ
り、案内溝の刃５により目地の盛り上り部分を床シート
の表面と画一の仕上げ面を形成すするように削り取るの
である。

床シートの接合部の熔着は、熱処理によって行なうた
め、床シートは処理時には膨張しており、経時的に収縮
するため、削り落しの際に床シート面と同一高さに削り
取ると、目地部分にくぼみが生じることが多い。このよ
うな場合には、ナイフの裏面部分に適当なスペーサを設
け、削り落とし部分を加減することにより、より完全に
目地部分を仕上げることが可能となる。

またスペーサを配設したナイフを使用して過剰部分を削
り落した後、床シートの冷却を待ってスペーサを外して
再度ナイフによる処理を行なうことにより、より完全な
目地面を得ることも可能である。

（考案の効果） 以上説明したように、本考案に係る目地盛り上り切削用
ナイフは、刀部先端の中央の案内溝のみに刃を形成した
構造のナイフとしたことにより、これを用いれば、目地
の両側の床シートについて表面損傷（汚線など）や削り
取り等の不良を発生させることなく、目地溝に余剰に充
填された熔着材の盛り上りを切削して目地の表面を床シ
ート面と同一にすることができ、しかもかかる平滑化作
業は、表面損傷等の不良が起きないように特に注意を払
う必要もなく、簡便かつ迅速に行なうことができ、従っ
て目地の仕上げの作業性が格段に向上し、また従来はあ
る程度必要とされた作業の熟練さが要らなくなる。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案の実施例の目地盛り上り切削
用ナイフを示す平面図および側面図、 第３図は第１図、のナイフを用いた目地の盛り上りの切
削プロセスを示す斜視図、 第４図は第３図のIV−IV線における床シートの目地付近
の断面図、 第５図は従来のナイフの一例を示す平面図である。 図中、 １……刀部 3a、3b……ナイフ先端の縁 ４……案内溝 ５……刃 6a、6b……床シート ７……目地 ８……熔着材 ｈ……熔着材の盛り上り

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】直線形のナイフ先端の一部を切り欠きて凹
   状の案内溝を設け、かつ該案内溝の縁に刃を形成したこ
   とを特徴とする目地盛り上り切削用ナイフ。