JPH0636048Y2 - クレーン車における運転台の移動案内機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （考案上の利用分野） この考案は、クレーン車における運転台の移動案内機構
に関するものである。

（従来の技術） 車輌のフレーム上に設けられた旋回台に起伏自在なアー
ムを有するクレーン装置を搭載して設け、クレーン装置
のクレーン操作と前記車輌の運転操作とを行うための運
転台を、ブーム側方位の旋回台上に設けてなるクレーン
車にあっては、ブームを車輌前方に倒伏させたクレーン
車の走行移動状態において、車輌の左右方向の視認性を
良くするため運転台を移動案内機構を介して車輌前方方
向へ移動させ、この前方へ移動させた運転台で車輌の運
転操作を行うようにしたものが提案されている。

ところで、従来提案されている運転台の移動案内機構
は、実開昭59−105285、あるいは実開昭61−72581に示
されているように、旋回台又は運転台の一方に固設した
ガイドレールに、他方に固設した係合部を前後方向に移
動可能に係合して構成したものであった。

そして、運転台の前方への移動量を大きくし、車輌の運
転操作を車輌の前端付近で行うようにするために、前記
ガイドレールを長尺なものとしていた。

ところが、上記構成によれば、運転台が後方位置から前
方位置への、あるいは後方位置から後方位置への移動途
中に、運転台がガイドレールを介して片持状で旋回台に
支持された状態となるので、ガイドレールのたわみによ
り運転台が揺動するという問題があった。

また、この問題に対処するためガイドレールの強度を高
めるとガイドレールそのものの重量が大きくなるという
問題があった。

本考案の目的は、上記従来技術の問題点を解決し、軽量
のガイドレールを使用するものでありながら、運転台の
前後への移動途中における運転台の揺動を可及的に防止
することのできる新規な運転台の移動案内機構を提供す
るところにある。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するため、本考案のクレーン車における
運転台の移動案内機構は、前記旋回台に配設した旋回台
側案内部、この旋回台側案内部に前後移動可能に係合し
たガイドレール、および運転台に配設され前記ガイドレ
ールに前後移動可能に係合した運転台側案内部とからな
り、前記ガイドレールは、旋回台を車輌前方に旋回させ
た状態で前方へ移動させた際その先端が車輌の前方位に
設けた係合部に係合して旋回台と車輌との間に橋架され
るようになっており、前記運転台は橋架状態にある前記
ガイドレールに案内されて前後移動可能に構成したので
ある。

（作用） このように構成した本考案のクレーン車における運転台
の移動案内機構は、運転台を後方位置（クレーン操作を
行う位置）から前方位置（車輌の運転操作を行う位置）
に移動させようとするときは、先ずガイドレールを前方
へ移動させ、その先端部を車輌前方位の係合部に係合さ
せ以ってガイドレールを旋回台と車輌間に橋架させた上
で、このガイドレールに沿って運転台を前方に移動さす
ことができる。また、運転台を前方位置（車輌の運転操
作を行う位置）から後方位置（クレーン操作を行う位
置）に移動させようとするときは、橋架状態にあるガイ
ドレールに沿って運転台を後方位置に移動させた後、ガ
イドレールを後方へ移動させるのである。このため、運
転台の移動時にあってはガイドレールは常に旋回台と車
輌でその両端部を支持されているので、従来のものに比
し運転台のその移動時の揺動が極めて小さくなる。ま
た、それだけガイドレールを軽量に製作することができ
るのである。

（実施例） 以下本考案の実施例を第１〜４図に基づいて説明する。

第１〜４図において、Ａは、車輌１のフレーム２上に設
けられた旋回台４に起伏自在なブーム５を有するクレー
ン装置６を搭載して設け、クレーン装置６のクレーン操
作と車輌１の運転操作とを行うための運転台７を、前記
ブーム５の側方位の旋回台４上に移動案内機構８を介し
て前後方向に移動自在に設けてなるクレーン車である。
尚３はエンジン部である。

前記移動案内機構８は、旋回台４に配設した旋回台側案
内部９、この旋回台側案内部９に前後移動可能に係合し
たガイドレール10、および、運転台７に配設され前記ガ
イドレール10に前後移動可能に係合した運転台側案内部
11とから構成されている。移動案内機構８におけるガイ
ドレール10は、第４図に示すように、左右一対のコ字型
のレール部材10a、10bとこれらレール部材10a、10bの長
手方向複数個所を互に連結する連結材10c、10cで構成さ
れている。旋回台側案内部９は、ブーム５側方位の旋回
台４前端部付近に設けられ左右のレール部材10a、10bに
夫々係合して前記ガイドレール10を前後方向に移動自在
に案内する左右一対の支承案内部9a、9bとから構成され
ている。この例では、左右一対の支承案内部は、夫々前
後に離隔して設けられ対応するレール部材10a又は10bに
下方から転接する前後一対の支承ローラ12,12とこれら
ローラ12,12の上方位置において対応するレール部材10a
又は10bに上方から摺接するスライドシュー13、13とか
ら構成されている。また、運転台側案内部11は、運転台
７の下側に設けられ左右のレール部材10a、10bに夫々係
合して前記ガイドレール10上での運転台７の前後方向へ
の移動を案内する左右一対の支承案内部11a、11bとから
構成されている。この例では、左右一対の支承案内部
は、夫々前後に離隔して運転台７の下側に設けられ対応
するレール部材10a又は10bに上方から転接する前後一対
のローラ14、14と、これらローラ14、14の下方位置にお
いて対応するレール部材10a又は10bに下方から摺接する
スライドシュー15、15とから構成されている。16は、ガ
イドレール10と旋回台４間に介装された油圧シリンダで
あって、この油圧シリンダ16により、ガイドレール10を
旋回台４上で前後に移動させるよう構成している。油圧
シリンダ16により、ガイドレール10を後方へ移動させた
とき（第１図の状態）は、このガイドレール10の先端が
旋回台４の前端付近に位置し、旋回台４を車輌１前方に
旋回させた状態でガイドレール10を前方に移動させたと
き（第２図の状態）は、このガイドレール10の先端が車
輌１のフレーム２前方位に設けた係合部17に係合する位
置になるよう、ガイドレール10の長さおよび油圧シリン
ダ16のストロークが設定されている。

18は、運転台７と旋回台４間に介装された油圧シリンダ
であって、この油圧シリンダ18により、運転台７をガイ
ドレール10上で前後に移動させるよう構成している。油
圧シリンダ18により運転台７を後方へ移動させたとき
（第１図の状態）は、運転台７の前端が旋回台４の前端
付近に位置し（クレーン操作位置）、運転台７を前方へ
移動させたとき（第３図の状態）は、この運転台７の前
端が伸長状態にあるガイドレールの前端付近に位置する
よう、油圧シリンダ17のストロークが設定されている。

次に作用を説明する。運転台７を第１図に示す位置（ク
レーン操作位置）から、第３図に示す位置（車輌１の運
転操作位置）に移動させる場合は、先ず油圧シリンダ16
を伸長させ、ガイドレール10を伸長させ当該ガイドレー
ル10の先端を車輌１のフレーム前方向の係合部17に係合
させる。この状態（第２図の状態）では、ガイドレール
10は、旋回台４側の旋回台側案内部９とフレーム２上の
係合部17間で橋架状態となる。次いで、油圧シリンダ18
を伸長させ、運転台７を、橋架状態にあるガイドレール
10に沿って前方に移動させ、第３図の位置（車輌１の運
転操作位置）に移動させるのである。第３図の位置（車
輌１の運転操作位置）から第１図の位置（クレーン操作
位置）に移動させる場合は、上記手順の逆を行なえば良
い。何れの場合であっても、運転台７の移動時には、運
転台を案内するガイドレール10は、車輌１前方位と旋回
台４間に橋架支持されているのである。

尚、上記実施例図では、ガイドレール10を前方に向って
斜下方に移動するように示しているが、このように構成
するときは、運転台７を車輌１の運転操作位置としたと
き、ブーム５下側からの側方視界を良好にすることがで
きるものである。

また、上記実施例ではガイドレール10および運転台７の
移動用に油圧シリンダ16,18を用いたが、他の適宜の駆
動装置を用いて良いこと勿論である。

尚、運転台７と旋回台４間の油圧回路又は電気回路は、
運転台７と旋回台４の相対移動を妨げないように可撓性
のホース又はケーブルで構成していること勿論である。

（効果） 以上の如く構成し作用する本考案のクレーン車における
運転台の移動案内機構は、従来のものに比べ、運転台が
その移動時に揺動することが極めて小さくなるという効
果を有し、且つガイドレールひいては移動案内機構を軽
量に製作することができるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図は本考案を実施したクレーン車の側面図
であり、第１図は、運転台をクレーン操作位置とした側
面図、第３図は運転台を車輌の運転操作位置とした側面
図である。第４図は、本考案の移動案内機構の断面説明
図である。 4;旋回台,9;旋回台側案内部、10;ガイドレール,11;運転
台側案内部、17;係合部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】車両のフレーム上に設けられた旋回台に起
   伏自在なブームを有するクレーン装置を搭載して設け、
   クレーン装置のクレーン操作と前記車輌の運転操作を行
   うための運転台を、ブーム側方位の旋回台上に移動案内
   機構を介して前後方向に移動自在に設けてなるクレーン
   車における前記運転台の移動案内機構であって、前記旋
   回台に配設した旋回台側案内部、この旋回台側案内部に
   前後移動可能に係合したガイドレール、および運転台に
   配設され前記ガイドレールに前後移動可能に係合した運
   転台側案内部とからなり、前記ガイドレールは、旋回台
   を車輌前方に旋回させた状態で前方へ移動させた際その
   先端が車輌のフレーム前方位に設けた係合部に係合して
   旋回台と車輌との間に橋架されるようになっており、前
   記運転台は橋架状態にある前記ガイドレールに案内され
   て前後移動可能に構成してあることを特徴とするクレー
   ン車における運転台の移動案内機構。