JPH0635600Y2 - ド−ム型スピ−カ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はドーム型スピーカに係り、特に組立工程の簡略
化とリニアリティー特性の改善を図ったものに関する。

（従来の技術） 従来のドーム型スピーカは磁気回路の組立てや振動系の
組込みに際しては各部材の接着工程を経るが、これらの
中心出し及び磁気ギャップの形成には治具が用いられて
いた。

（考案が解決しようとする問題点） ところが上記した従来のドーム型スピーカにおいては組
立てが極めて面倒であると共に組立工程で各種の治具が
用いられ、接着剤固化後にこれら治具を抜き出すための
クリアランスを設定しておく必要があるから、これらの
クリアランスや各パーツの寸法公差、作業上のバラツキ
等が累積誤差となってギャップ間隔が大きくなつたり不
均一となって性能低下の要因となっていた。

上記した欠点を解消するために我々は先に、ドーム振動
板部・コイルボビン部・エッジ部一体成形型の振動系を
備えたドーム型スピーカを提案したが、この場合、エッ
ジ部が振動板部と同一素材となることからエッジ部の支
持形態を考慮しないと大振幅時におけるエッジ部のリニ
アリティーが不充分となるおそれがあり、また、ボイス
コイルへの信号入力配線構造が複雑になる等の解決すべ
き問題があった。

本考案はこの点に鑑みてなされたものであって、その目
的とするところは、上記した従来の欠点を解消し、組み
立てが容易であると共に磁気ギャップの形成、各パーツ
の中心出し及び配線処理を適確にでき、しかも振動系の
リニアリティーを改善したドーム型スピーカを提供する
ことにある。

（問題点を解決するための手段） 本考案に係るドーム型スピーカは、磁気回路の組立てに
際してガイドリング部材が使用されるが、該ガイドリン
グ部材には先端をコイルボビン部に接合するようにした
カンチレバー状のサスペンション部とボイスコイルのリ
ード線接続端子を圧入して該リード線接続端子を導出す
るための貫通孔からなる端子配線部とが一体成形されて
いて、サスペンション部先端をコイルボビン部に接合す
ることにより振動系を支持すると共にボイスコイルのリ
ード線を端子配置部の端子金具に接続し、該ガイドリン
グ部材の内周縁をヨークポール部に嵌合すると共にトッ
ププレートに形成された係合部をガイドリング部材の上
部外周に係合させることにより、磁気回路部の組立てと
振動系の支持及びボイスコイルの信号入力配線を行なわ
せるように構成したものである。

（作用） ガイドリング部材に一体成形されたサスペンション部の
先端に振動系のコイルボビン部を接合し、ボイスコイル
のリード線を端子金具に接続する。ヨーク上に接着剤を
介してマグネットを配置した状態でガイドリング部材の
内周縁をポール部外周に嵌合すると共にトッププレート
に形成された係合部をガイドリング部材の上部に係合さ
せる。これによりトッププレートは中心出しされた状態
で固定されて所定の磁気ギャップを形成することがで
き、また、ガイドリング部材に一体成形されているサス
ペンション部の先端で振動系を支持しているから上記ガ
イドリング部材の組込みによってボイスコイルが磁気ギ
ャップ内に適確に配置される。

（実施例） 本考案に係るドーム型スピーカの実施例を第１図乃至第
６図に基づいて説明するが、第１図は断面図、第２図は
ガイドリング部材を示す斜視図、第３図は振動系とガイ
ドリング部材との関連を示す斜視図、第４図は振動系と
サスペンション部との接合状態を示す拡大断面図、第５
図は端子配置部の他の構成例を示す要部の断面図、第６
図は、ガイドリング部材への端子金具の取付状態を示す
要部の斜視図である。

図において、１は磁気回路部全体を示し、ヨーク２、マ
グネット４、トッププレート５によって構成されている
が、磁気ギャップ６の位置出しをするためにガイドリン
グ部材７が配置される。このガイドリング部材７はポリ
イミド、ポリエーテルサルフォン等の耐熱性樹脂で成形
することができるが、形状的には内側壁8aと平坦部8bと
肉厚の外側壁8cとによって下面開口の中空リング部８が
形成されると共にその外側壁8cの上部に外壁部９が突成
されており、内側壁8aがヨークポール部３外周に嵌合せ
しめられるようになっている。

このガイドリング部材７には分周的に上記外壁部９から
内方向にカンチレバー状のサスペンション部10が一体成
形されると共に上記外側壁8c側に端子金具11を配置する
ための端子配置部12が一体成形されている。この端子配
置部12は上記外側壁8c内に端子挿入孔13を形成すると共
に外側壁8cの下面から筒状の導出部14を突成してこれが
ヨーク２に形成した挿通孔15内に挿入されるようになっ
ている。端子金具11は第１図及び第３図の例では断面倒
「Ｌ」字状に形成されていて上記外側壁8cにインサート
成形すなわち圧入されており、その水平部が上記平坦部
8b内に埋没すると共に下端部が上記導出部14を介してヨ
ーク底面から突出するようになっている。なお、図中、
9aは端子金具11に対応するように外壁部９に形成した切
欠部、16は上記サスペンション部10に対応するように上
記中空リング部８に形成した切欠部である。

第５図においては端子金具11は雌型端子金具となってい
て上記外側壁8c内に配置されており、ヨーク底面側から
入力コード18の先端に設けたピン端子19を上記導出部14
から挿入することにより接続するように構成されてい
る。

トッププレート５の下面内周側には係合部（係合段部）
17が周設されており、このトッププレート５をマグネッ
ト上に配置した際に該係合部17が上記ガイドリング部材
７の外壁部９上端に係合して固定されるようになってい
る。なお、上記係合部17は外壁部９に係合する係合ダボ
等であってもよい。

振動系21は実施例ではドーム振動板部22とコイルボビン
部23とを一体成形してこれにボイスコイル24を形成した
ものであるが、コイルボイビン部23の下端には水平方向
に取付部５が形成されており、これを上記サスペンショ
ン部10の先端部に形成した取付段部10aに固定するこに
よりガイドリング部材７によって振動系が支持されるよ
うになっている。なお、振動系21はコイルボビン部23を
ドーム振動板部22に接合したものであってもよいこと勿
論である。

次に組立例を説明するに、ガイドリング部材７に形成し
たサスペンション部10先端に振動系21の上記取付部25を
接合すると共にボイスコイル24のリード線26を端子金具
11にハンダ付けし、ヨーク２上に接着剤を介してマグネ
ット４を配置した状態でガイドリング部材７をその中空
リング部８をポール部３外周に圧入嵌合する。

次に、マグネット４上にトッププレート５を配置すると
係合部17が外壁部９の上部に密に係合してトッププレー
ト５が固定され、中心出しされると共に所定の磁気ギャ
ップを形成することができる。また、これによって上記
ガイドリング部材７で支持されている振動系21は所定位
置にセットされ、ボイスコイル24は磁気ギャップ６内に
適確に配置される。

（考案の効果） 本考案に係るドーム型スピーカによれば、磁気回路組立
て用のガイドリング部材にサスペンション部と端子配置
部とが一体成形されているから、サスペンション部の先
端へのコイルボビン部の接合とボイスコイルのリード線
の端子金具への接続だけで振動系の組立配線をしたガイ
ドリング部材を得ることができ、これを一つのモジュー
ルとして取り扱うことができる。このため次工程のガイ
ドリング部材のポール部への圧入嵌合とトッププレート
の配置によってユニットを簡単に組み立てることがで
き、製造方法に多種の対応が可能となって組立てにおけ
る自動化範囲を多くできる。特に磁気ギャップの形成と
ボイスコイルの磁気ギャップ内での位置出しを容易にで
きるから治具等は不要となり、組立て工数を低減できる
と共にリード線の配線処理も狭い作業空間で行なう必要
がないから作業性を向上できてコストダウンを図ること
ができる。

また、サスペンション部を備えたガイドリング部材を形
成する場合にその材料としては振動板部とは異なる材料
を用いることができるから、目的の性能を得るために自
由度の高い設計が可能であり、大振幅時におけるリニア
リティーを改善することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第５図は本考案に係るドーム型スピーカの実
施例を示し、第１図は断面図、第２図はガイドリング部
材を示す斜視図、第３図は振動系とガイドリング部材と
の関連を示す斜視図、第４図は振動系とサスペンション
部との接合状態を示す拡大断面図、第５図は端子配置部
の他の構成例を示す要部の断面図、第６図は端子配置部
に端子金具が取り付けられる状態を示す斜視図である。 1:磁気回路部全体、2:ヨーク、3:ポール部、4:マグネッ
ト、5:トッププレート 6:磁気ギャップ、7:ガイドリング部材、8:中空リング
部、9:外壁部 10:サスペンション部、11:端子金具、12:端子配置部、1
3:端子挿入孔 14:導出部、15:挿通孔、17:係合部、21:振動系、22:ド
ーム振動板部 23:コイルボビン部、24:ボイスコイル、26:リード線

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ヨークポール部にガイドリング部材を嵌合
   すると共にトッププレートに設けた係合部をガイドリン
   グ部材の上部外周に係合させることにより磁気ギャップ
   が形成保持されるドーム型スピーカであって、 上記ガイドリング部材には先端をコイルボビン部に接合
   するようにしたサスペンション部とボイスコイルのリー
   ド線接続端子を圧入して該リード線接続端子を導出する
   ための貫通孔からなる端子配置部とが一体成形されてい
   ることを特徴とするドーム型スピーカ。
2. 【請求項２】ガイドリング部材が、ポリイミド、ポリエ
   ーテルサルフォンその他の耐熱性樹脂で成形されている
   ことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項記載の
   ドーム型スピーカ。