JPH06348A - 選択透過性膜及びその製造方法 - Google Patents

選択透過性膜及びその製造方法

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JPH06348A
JPH06348A JP15761492A JP15761492A JPH06348A JP H06348 A JPH06348 A JP H06348A JP 15761492 A JP15761492 A JP 15761492A JP 15761492 A JP15761492 A JP 15761492A JP H06348 A JPH06348 A JP H06348A
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JP
Japan
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membrane
group
polymer
hollow fiber
vinyl
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JP15761492A
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English (en)
Inventor
Toshio Aritomi
俊男 有冨
Nobuhiko Omura
信彦 大村
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Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 特にパーベーパレーション用分離膜に関し
て、分離処理する有機溶媒に対して優れた耐薬品性を示
し、安定な分離能を有する選択透過性膜を提供。 【構成】 ハロアルキル基を有する芳香族縮合系高分子
とビニル重合体とが、第4級アンモニウム塩基を介して
結合されてなる構造を緻密層に有することを特徴する非
対称構造の選択透過性膜及びその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、選択透過性膜及びその
製造方法に関し、特に液体混合物のパーベーパレーショ
ン法による分離膜として好適な分離能を有する選択透過
性膜を提供するものである。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】一般に有機液体の混合物
あるいは有機化合物の溶液など、とりわけ沸点近接化合
物、共沸混合物などの分離技術として有効なパーベーパ
レーション法においては、良好な分離能とともに工業的
に耐久性に優れた分離膜が求められる。すなわち、この
ようなパーベーパレーション法においては、分離膜を介
して一方に有機系の液体混合物が供給され、かつ他方を
減圧または真空にして特定の液体成分を気化させて取り
出すため、分離能とともに耐薬品性、機械的強度、寸法
安定性などの耐久性を有する分離膜が必要である。
【0003】従来、このパーベーパレーション法に用い
る分離膜としては、例えばセルロース、ポリビニルアル
コール、ポリアミド、ポリエステル、ポリスルホン、ポ
リカーボネート、ポリイミド、あるいはこれらに類似の
共重合体などからなる高分子の半透性膜が知られてい
る。さらに分離性能および耐久性を向上させるために、
第4級アンモニウム塩基を導入した芳香族エーテルイミ
ド重合体の分離膜(特開昭63ー185405、同63
−240901号公報)芳香族宿合系重合体とビニル重
合体とが第4アンモニウム塩基を介して結合されてなる
分離膜(特開平2ー35923号公報)等が提案されて
いる。しかしながら、かかる第4級アンモニウム塩基を
導入した分離膜は、いずれも上記した如き有機溶剤のパ
ーベーパレーション法に供した場合に、分離処理する該
有機溶剤が膜中に浸透して膜が膨潤するため、長期間の
安定した分離性能を得ることが不十分である。さらに、
このような分離膜の膨潤は、膜の構造を変化させ分離性
能を劣化させるばかりか、ひいては亀裂させて漏れを生
じさせる。また、一般に異種高分子を用いて、一方を支
持層とし他方を活性層とした複合化膜においては、それ
ぞれ高分子の膨潤度が異なるためになおさら亀裂が生じ
やすい。
【0004】従って、パーベーパレーション法による特
に有機溶剤の分離において、長期間の安定した分離性能
を維持するためには、分離膜の膨潤をできるだけ抑制す
る必要がある。
【0005】
【問題点を解決するための手段】本発明者らは、上記し
た分離膜の課題を解決するために、鋭意研究した。その
結果、ビニル重合体の側鎖としての第4級アンモニウム
塩基を結合した緻密層を有する芳香族縮合系高分子を素
材とした分離膜が、特にパーベーパレーション法に於け
る選択透過性及び機械的強度の良好な分離膜として極め
て有効であるという知見を得て、本発明を提供するに至
ったものである。即ち、本発明は、ハロアルキル基を有
する芳香族縮合系高分子とビニル重合体とが第4級アン
モニウム塩基を介して結合されてなる構造を緻密層とし
て少なくとも一方の表面に有することを特徴とする非対
称構造の選択透過性膜である。また、本発明は、溶媒に
溶解したハロアルキル基を有する芳香族縮合系高分子を
第1級アミノ基、第2級アミノ基、及び第3級アミノ基
よりなる郡から選ばれた少なくとも1種の含窒素基を有
するビニル単量体を含む溶液中で相転換、次いで該ビニ
ル単量体を重合させることを特徴とする特許請求の範囲
第1項記載の選択透過膜の製造方法である。
【0006】本発明で使用し得る芳香族縮合系高分子と
しては、一般にエンジニアリングプラスチックとして広
く知られている例えばポリスルホン、ポリエーテルスル
ホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、
ポリフェニレンオキサイド、ポリー2,6ージメチルフ
ェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルフィドなどハ
ロアルキル基が導入可能な従来公知の芳香環を有する縮
合系高分子が全て有効である。
【0007】上記の芳香族縮合系高分子には、後述する
ビニル重合体と第4級アンモニウム塩基を介して結合す
るためにハロアルキル基が導入される。ハロアルキル基
としては、一般にはクロロメチル基、ブロムメチル基、
ヨードメチル基、クロルエチル基が用いられる。芳香族
縮合系高分子へのハロアルキル基の導入方法としては、
公知の方法が使用される。一般に、ハロアルキル化剤と
して、クロロメチルエ−テルなどのハロメチルエーテル
が、触媒として例えばSnCl4 ,TiCl4,AlC
3 等のフリーデルクラフト型触媒が用いられる。ま
た、芳香族縮合系高分子の溶媒あるいは膨潤剤として例
えば1,2−ジクロロエタン、テトラクロロエタン等の
ハロゲン化炭化水素を用いると、均一なハロアルキル化
を達成することができる。このような芳香族縮合系高分
子に於けるハロアルキル化の程度は、モアー法により測
定されるハロゲン含量で表示すれば一般に1〜12重量
%が好ましい。尚、上記したハロゲン含量より計算され
る芳香族縮合系高分子の繰り返し単位あたりに導入され
たハロアルキル基の個数は、一般に0.1〜2個であ
る。また 1H−核磁気共鳴スペクトルの測定により、ハ
ロアルキル基が芳香族縮合系高分子の芳香環に導入され
ていることが確認できる。
【0008】上記したハロアルキル基を有する芳香族縮
合系高分子は、有機溶媒に溶解されてドープ液と呼ばれ
る溶液が調製される。ハロアルキル基を有する芳香族縮
合系高分子を溶解する有機溶媒としては、後述する凝固
液と相溶性を有するものが好ましく採用され、例えばジ
メチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジ
メチルホルムアミド、2−ピロリドン、テトラクロロエ
タン等が挙げられる。また、ドープ液は、後述する膜状
物への成形を容易にするために、芳香族縮合系高分子の
濃度を一般に10〜30重量%、特に15〜25重量%
に調製することが好ましい。さらに必要に応じて、非対
称半透性膜の緻密層を調製するために例えばポリビニル
ピロリドン、塩化リチウム、硝酸カリウムなどを添加し
てドープ液を調製することもできる。
【0009】膜状物として平膜を得る場合には、上記の
ドープ液を平板上に流延した後、凝固液中に浸漬して固
化させる方法が採用される。また、膜状物が中空糸膜の
場合には、一般に中空糸製造用の環状ノズルによりドー
プ液を凝固液中に押し出して成形する公知手段が採用さ
れる。例えば、ノズルペッドの中央に開口しているオリ
フィスの中央にチューブが突出しているチューブ・イン
・オリフィス型ノズルを用いて、該オリフィスの開口内
周面とチューブの外周面との環状の空隙部からドープ液
を押し出し、同時にチューブの内孔から芯液を供給し
て、中空糸を形成する方法である。
【0010】一般に芯液及び凝固液としては、ポリマー
を溶解せず、かつドープ液の溶媒と相溶性を有するも
の、例えば水、アルコール類などが好ましく用いられる
が、本発明に於いては、第1級アミノ基、第2級アミノ
基及び第3級アミノ基よりなる群から選ばれた少なくと
も1種の含窒素基を有するビニル単量体を調製した溶液
を用いることが重要である。また含窒素基を有するビニ
ル単量体としては、上記の含窒素基とビニル基とを1分
子中に有するビニル単量体が何等制限なく採用される。
例えば、N−ビニルジメチルアミン、N−ビニルジエチ
ルアミン、N−ビニルジフェニルアミン、ビニルピリジ
ン、N−ビニルピロール、N−ビニルインドール、ビニ
ルキノリン、ビニルピペリジン、ビニルピラジン、N−
ビニルイミダゾール、ビニルベンジルアミン、N,N−
ジメチルビニルベンジルアミン、メタクリロイルアミノ
プロピルジメチルアミン等を挙げることができる。これ
らの中でも、特にビニルピリジンやN,N−ジメチルビ
ニルベンジルアミンが好適に用い得る。尚、上記のビニ
ル単量体に加えて、ビニル基を分子中に2個以上有する
ポリビニル化合物を用いた場合、得られる選択透過性膜
の機械的強度が向上するために好適である。ポリビニル
化合物としては、ジビニルベンゼン、ビスビニルフェニ
ルエタン、ビスビニルフェニルエーテルなどの公知の化
合物が採用される。また、ポリビニル化合物の使用量
は、前記のビニル単量体との混合物に占める割合で1〜
30重量%の範囲であることが好ましい。
【0011】このような含窒素基を有するビニル単量体
の溶液を調製する溶媒は、ビニル単量体を溶解するもの
でドープ液中のポリマーを溶解せずかつドープ液の溶媒
と相溶性を有するものであればよく、一般に水が好適に
用いられる。また、混合溶液の濃度は製膜時の凝固液温
度と凝固液溶媒への含窒素基を有するビニル単量体の飽
和濃度にも関係してくるが、一般に含窒素基を有するビ
ニル単量体の濃度が、100〜100,000ppm好
ましくは1,000〜50,000ppmに調製され
る。
【0012】前記した方法により、ドープ液を上記した
凝固液と接触させて相転換させ4級化反応を行うことに
より、緻密層に縮合系高分子のハロアルキル基と結合し
た第4級アンモニウム塩基を有する非対称構造の膜状物
が得られる。この膜状物の第4級アンモニウム塩基に重
クロム酸をイオン交換させX線マイクロアナライザーを
用いてCrの中空糸断面の線分析を行うことにより、緻
密層の部分に第4級アンモニウム塩基の大部分が存在す
ることが確認される。緻密層は、非対称構造を有する膜
状物表面から一般に0.1〜2μmの層で高分子鎖が密
に絡み合った構造をしている。また膜状物全体としての
交換容量は、0.01〜1.2mequ./g.dr
y.memb.である。
【0013】中空糸膜の場合、芯液及び凝固液のどちら
か一方もしくは両方を上記した含窒素基を有するビニル
単量体を含む混合液とすることにより、膜内側または外
側にのみ、もしくは両側の緻密層に第4級アンモニウム
塩基を有する構造を形成させ得る。
【0014】またビニル単量体の有する含窒素基が第3
級アミノ基の時は、芳香族縮合系高分子の有するハロア
ルキル基との反応により第4級アンモニウム塩基が生成
するが、ビニル単量体の有する含窒素基が第1級アミノ
基または第2級アミノ基のときはハロアルキル基との反
応によって、それぞれ第2級アミノ基または第3級アミ
ノ基が得られる。この場合には、さらに4級化剤を用い
て4級化反応を行い、これらの第2級アミノ基または第
3級アミノ基を第4級アンモニウム塩基変換する4級化
剤としては、ヨウ化メチル、1,2−ジブロモエタン、
ベンジルクロリド等の公知の化合物が用いられ、また、
第4級化反応の条件もアルコール溶媒中で10〜80℃
に加熱するなどの公知の条件が採用される。
【0015】尚、製膜時の芯液及び凝固液温度は特に2
0℃以下、好ましくは0〜10℃に維持することが、良
好な緻密層を有する半透性非対称膜を得るために推奨さ
れる。
【0016】次いでハロアルキル基を介して芳香族縮合
系高分子と結合した第4級アンモニウム塩基のビニル単
量体を重合させる。ビニル単量体の重合のためには一般
に重合開始剤が用いられる。重合開始剤としては、公知
のものが何等制限なく採用される。例えば、ベンゾイル
パーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、クメンハ
イドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサ
イド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、
アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物;ベン
ゾイン、ベンゾインメチルエ−テル、アセトインベンゾ
フェノン、カンファキノン、アセトフェノン、α−ヒド
ロキシアセトフェノン等の光重合開始剤が使用し得る。
また、過酸化アンモニウム−亜硫酸ナトリウム、過酸化
水素−第1鉄塩、過酸化ベンゾイル−ジメチルアニリン
などの酸化剤と還元剤とを組み合わせたレドックス系重
合開始剤も使用し得る。これらの重合開始剤は、前記の
ビニル単量体100重量部に対して通常0.1〜10重
量部の範囲で使用し得る。そしてこれらの重合開始剤
は、前記のビニル単量体に混合して用いることもでき、
また適当な溶媒に溶解して溶液とし、前記ビニル単量体
を有する芳香族縮合系高分子の膜状物と接触させること
によって使用することもできる。
【0017】前記のビニル単量体の重合は、それぞれの
重合開始剤に応じた方法が採用される。例えば、有機過
酸化物やアゾ化合物を用いた場合には40〜80℃程度
に昇温することにより、また光重合開始剤を用いた場合
には、紫外線の照射により重合を行うことができる。
【0018】上記した重合開始剤を用いずに、放射線に
よってもビニル単量体の重合を行うことができる。ま
た、前記したビニル単量体の中でもビニルピリジンを用
いた場合には、芳香族縮合系高分子とビニル単量体とを
10〜80℃で接触させるか、芳香族縮合系高分子とビ
ニル単量体とを接触させた後、10〜80℃に昇温する
ことにより第4級アンモニウム塩基が生成し、かつ重合
開始剤を用いなくてもビニル単量体の重合が生じる。
【0019】上記した選択透過性膜の形状は特に制限さ
れず、例えば平膜、スパイラル状膜、中空糸膜、管状膜
など分離膜としての使用態様、分離する処理液の種類な
どに応じて適宜選択される。例えば中空糸状の分離膜と
しては厚さが一般に30〜500μm、内径が0.03
〜2mmの半透性非対称膜が好適に用いられる。
【0020】
【発明の作用及び効果】本発明により提供される選択透
過性膜は、種々の膜分離法に供することができ、特にパ
ーベーパレーション法の分離膜として使用した場合には
優れた選択性を示すとともに高い透過量を示す。この効
果は、特にアルコール−水系の分離を行った場合に顕著
であり第4級アンモニウム塩基のイオン交換能により優
れた水選択性を示す。
【0021】しかも、本発明の選択透過性膜において
は、第4級アンモニウム塩基が緻密層の部分に存在して
いるため、有機溶媒中での膜の寸法安定性に優れる。こ
れは、第4級アンモニウム塩基は有機溶媒や水との親和
性が高く、膜中の全域に存在すると有機溶媒が膜中に浸
透し膜内で保持されるため膜が膨潤するが、第4級アン
モニウム塩基が膜表面の緻密層部分にのみ存在すると膜
中の溶媒の保持量が減少し膜の膨潤が抑制されることに
よる。例えば、アルコール中での膜の長さ方向への伸び
は、全体を4級化した膜が7%以上であるのに対し、緻
密層部分を4級化した膜は5%以内に抑制される。
【0022】また、膜構造の形態としては活性層である
緻密層部分に第4級アンモニウム塩基を有した複合化膜
であるが、ハロアルキル基を介した化学結合のため複合
化膜の欠点である支持体からの活性層の剥離は認められ
ない。
【0023】また本発明の選択透過性膜は、ハロアルキ
ル基を有した芳香族縮合系高分子とビニル重合体とが緻
密層部分で絡み合った構造となっているために選択透過
性膜の機械的強度が大きい。特に、ビニル重合体の生成
時にポリビニル化合物を用いた場合には、架橋構造の形
成により一段と機械的強度に優れた選択透過性膜が得ら
れ産業上の有用性が極めて大きい。
【0024】また本発明に於ける製造方法によると、製
膜工程と4級化反応工程が同一工程で成されるため、本
発明に於ける選択透過性膜の工業的生産が可能となり得
る。
【0025】
【実施例】以下、本発明の内容を具体的に実施例によっ
て説明するが、本発明はこれら実施例によって拘束され
るものではない。
【0026】実施例1 下記式で表される繰り返し単位
【0027】
【化1】
【0028】を有するポリエ−テルイミド(ゼネラル・
エレクトリック社製、商品名 ウルテム1000)10
0gをジクロロエタン832gに窒素雰囲気下50℃で
加熱撹拌しながら均一に溶解した後、クロロメチルエー
テル67gおよび塩化亜鉛11gを投入し、撹拌しつつ
25℃で8時間反応させた。次いで、反応液を30℃ま
で冷却した後、大過剰のメタノール中に沈澱させ減圧乾
燥後、クロロホルムで溶解、再精製した。得られたクロ
ロメチル化ポリエーテルイミドは、モアー法によって測
定した塩素含量が6.6重量%であり、この塩素含量か
ら計算で求められる重合体の繰り返し単位あたりの導入
されたクロロメチル基の数は1.2個である。さらに、
このクロロメチル化ポリエーテルイミドをプロトン核磁
気共鳴スペクトルで評価した4.56ppmに現れるメ
チレン基濃度と一致し、クロロメチル化されていること
を確認した。
【0029】上記のクロロメチル化ポリエーテルイミド
をN−メチル−2−ピロリドンの溶媒に溶解して20重
量%の濃度である均一溶液のドープ液を調製した。また
第1表に示す各アミンをイオン交換水に溶解させて芯液
を調製した。このドープ液および芯液を用いて中空糸製
造用環状ノズルから中空糸膜を押し出し、5℃の水を凝
固液として中空糸膜の内部および外部から凝固させ、水
洗浄させた後乾燥させて内側の緻密層に第4級アンモニ
ウム塩基を有するクロロメチル化ポリエーテルイミドを
得た。走査型電子顕微鏡により中空糸断面を観察した結
果、外径1.57mm、内径1.22mm、膜厚0.1
8mmで非対称構造であることが確認された。また第4
級アンモニウム塩基に重クロム酸をイオン交換させX線
マイクロアナライザーによりCrの線分析を行った結
果、内側の緻密層部5μmにCrの存在最大ピークを認
めた。
【0030】次いで、過硫酸アンモニウムおよび亜硫酸
ナトリウム(各1000ppm)の水位溶液に25℃で
8時間浸漬した。得られた中空糸膜についてフーリエ変
換赤外吸収スペクトルおよび13C−核磁気共鳴スペクト
ルで分析した。その結果、フーリエ変換赤外吸収スペク
トルでは、ビニル基の吸収が消失していることが確認さ
れた。13C−核磁気共鳴スペクトルでは、ビニル基に帰
属されるピークの消失およびメチレン鎖に帰属されるピ
ークの出現が確認された。
【0031】ついで、上記の中空糸膜をそれぞれ15c
mに切断して、それらの10本を束ねてガラス管に挿入
し両端を樹脂による端末処理を行いモジュール化した。
このモジュールを装着したパーベーパレーション用装置
を用いて、供給液を中空糸内部に10cm/secの線
速で通液し、中空糸膜の外部を2Torrにして、水/
イソプロピルアルコール=10/90(wt%比)の混
合液を供給液として60℃においてパーベーパレーショ
ン分離を実施して、透過流束(g/hr.m2)及び分
離係数率について測定を行った。
【0032】なお、透過流束は透過側ガスをドライアイ
スメタノールトラップで補集し、単位膜面積および単位
時間あたりの透過液の重量で表したものである。また、
分離係数(α)は、水−アルコールの混合液においては
【0033】
【数1】
【0034】で定義されるものである。式中のF(H2
O)とF(ROH)は、それぞれ供給液の水の重量分率
とアルコールの重量分率を、またP(H2O)とP(R
OH)は、それぞれ透過液の水の重量分率とアルコール
の重量分率をそれぞれ示すものでありガスクロマトグラ
フでそれぞれ定量した。膜の伸び率(%)は、
【0035】
【数2】
【0036】で定義され、Xはパーベーパレーションの
実施前における膜の長さ方向の長さ、Yはパーベーパレ
ーション実施後における膜の長さ方向の長さを示す。そ
れらの結果を第1表に示す。
【0037】
【表1】
【0038】実施例2 実施例1と同様にして得られたクロロメチル化ポリエ−
テルイミドをN−メチル−2−ピロリドンに溶解させて
20重量%のドープ液を調製した。また4−ビニルピリ
ジンをイオン交換水に溶解させて第2表に示す各濃度の
芯液を調製した。このドープ液及び芯液を用いて中空糸
製造用環状ノズルから中空糸膜を押し出し、5℃の水を
凝固液として中空糸膜の内部および外部から凝固させ水
洗浄させた後、乾燥させて中空糸膜を得た。得られた中
空糸膜について中空糸膜について13C−核磁気共鳴スペ
クトルを測定した結果、ビニル基に帰属されるピークの
消失及びメチレン鎖に帰属されるピークの出現が確認さ
れた。また得られた中空糸膜について交換容量(meq
u./g.dry.memb.)及び実施例1と同様に
モジュール化し分離係数(α)、透過流速(Q)、伸び
率(%)を測定し、その結果を第2表に示した。
【0039】
【表2】
【0040】比較例1 実施例1と同様にして得られたクロロメチル化ポリエ−
テルイミドをN−メチル−2−ピロリドンに溶解させて
20重量%のドープ液を調製した。芯液、凝固液共に5
℃の水を用いて実施例1と同様に中空糸膜を得た。得ら
れた中空糸膜を第3表に示す1重量%の各アミン水溶液
中に50℃、6時間浸漬し、膜全体を4級化した。そし
て、交換容量(meq./g.dry.memb.)及
び実施例1と同様にモジュール化し分離係数(α)、透
過流速(Q)、伸び率(%)を測定し、その結果を第3
表に示した。
【0041】
【表3】
【0042】No.1,No.2共に伸び率が著しく大
きく、2ヶ月後の分離係数は共に100以下に低下し
た。
【0043】実施例3 アモコケミカルジャパン(株)より入手した下記式で表
される繰り返し単位
【0044】
【化2】
【0045】を有するポリスルホン(商品名:Udel
u Polysulfon)を用いる以外は、実施例1
と同様にしてクロロメチル化反応を行いクロロメチル化
ポリスルホンを得た。得られたクロロメチル化ポリスル
ホンを用いて実施例2と同様に第3表に示す各濃度の4
−ビニルピリジン水溶液を芯液として中空糸膜を得た。
得られた中空糸膜について13C−核磁気共鳴スペクトル
を測定した結果、ビニル基に帰属されるピークの消失及
びメチレン鎖に帰属されるピークの出現が確認された。
また得られた中空糸膜について交換容量(meq./
g.dry.memb.)及び実施例1と同様にモジュ
ール化し分離係数(α)、透過流速(Q)、伸び率
(%)を測定し、その結果を第4表に示した。
【0046】
【表4】
【0047】実施例4 実施例3と同様にして得られたクロロメチル化ポリスル
ホンを用いてドープ液を作成し、芯液に水、凝固液に第
4表に示す各アミン化合物0.1重量%及び光重合開始
剤(商品名:Darocur1116 メルク社製)
0.01重量%のメタノール溶液を用いて、実施例1と
同様な方法により紡糸して外側緻密層部に第4級アンモ
ニウム塩基を有する中空糸膜を作成した。次いで、光重
合用高圧水銀ランプを用いて出力80W/cm、光源か
らの距離を20cmとして10秒間中空糸膜の外側を垂
直回転下で光照射した。得られた中空糸膜について13
−核磁気共鳴スペクトルを測定した結果、ビニル基に帰
属されるピークの消失及びメチレン鎖に帰属されるピー
クの出現が確認された。また得られた中空糸膜について
交換容量(meq./g.dry.memb.)及び実
施例1と同様にモジュール化し分離係数(α)、透過流
速(Q)、伸び率(%)を測定し、その結果を第5表に
示した。
【0048】
【表5】
【0049】比較例2 実施例3と同様にして得られたクロロメチル化ポリスホ
ンをN−メチル−2−ピロリドンに溶解させて20重量
%のドープ液を調製した。芯液、凝固液共に5℃の水を
用いて実施例3と同様にして中空糸膜を得た。得られた
中空糸膜を第6表に示す1重量%の各アミン水溶液中に
50℃、6時間浸漬し膜全体を4級化した。そして交換
容量(meq./g.dry.memb.)及び実施例
1と同様にモジュール化し、分離係数(α)、透過流速
(Q)、伸び率(%)を測定し、その結果を第6表に示
した。
【0050】
【表6】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハロアルキル基を有する芳香族縮合系高
    分子とビニル重合体とが、第4級アンモニウム塩基を介
    して結合されてなる構造を少なくとも一方の表面に緻密
    層として有することを特徴とする非対称構造の選択透過
    性膜。
  2. 【請求項2】 溶媒に溶解したハロアルキル基を有する
    芳香族縮合系高分子を、第1級アミノ基、第2級アミノ
    基及び第3級アミノ基よりなる郡から選ばれた少なくと
    も1種の含窒素基を有するビニル単量体を含む溶液中で
    相転換、次いで該ビニル単量体を重合させることを特徴
    とする特許請求の範囲第1項記載の選択透過性膜の製造
    方法。
JP15761492A 1992-06-17 1992-06-17 選択透過性膜及びその製造方法 Pending JPH06348A (ja)

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