JPH06338598A - 誘電体薄膜構造物及びその製造方法 - Google Patents
誘電体薄膜構造物及びその製造方法Info
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- JPH06338598A JPH06338598A JP5128759A JP12875993A JPH06338598A JP H06338598 A JPH06338598 A JP H06338598A JP 5128759 A JP5128759 A JP 5128759A JP 12875993 A JP12875993 A JP 12875993A JP H06338598 A JPH06338598 A JP H06338598A
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Landscapes
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- Semiconductor Integrated Circuits (AREA)
- Semiconductor Memories (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 強誘電体薄膜が常誘電体薄膜によって挟まれ
ている積層構造としたことにより、誘電体薄膜の分極反
転の繰り返しによる疲労劣化を防ぐ。 【構成】 基板1上に第1層として常誘電体層、第2層
としてPLZT層、第3層として常誘電体層で構成す
る。基板1としては、酸化マグネシウム等の誘電体薄膜
とエピタキシャル関係にあるものを用いる。基板1の上
には第1層としてペロブスカイト型常誘電体のうちSr
TiO3 薄膜2を形成し、このSrTiO 3 薄膜2の上
に第2層としてペロブスカイト型強誘電体のPLZT薄
膜3を形成し、該PLZT薄膜3の上に第3層としてペ
ロブスカイト型常誘電体のSrTiO3 薄膜4を形成す
る。PLZT薄膜3は電極または基板1と直接接するこ
とがなくなり、強誘電体PLZT薄膜3の電界の繰り返
しによって引き起こされる電気特性の低下を抑えること
ができる。
ている積層構造としたことにより、誘電体薄膜の分極反
転の繰り返しによる疲労劣化を防ぐ。 【構成】 基板1上に第1層として常誘電体層、第2層
としてPLZT層、第3層として常誘電体層で構成す
る。基板1としては、酸化マグネシウム等の誘電体薄膜
とエピタキシャル関係にあるものを用いる。基板1の上
には第1層としてペロブスカイト型常誘電体のうちSr
TiO3 薄膜2を形成し、このSrTiO 3 薄膜2の上
に第2層としてペロブスカイト型強誘電体のPLZT薄
膜3を形成し、該PLZT薄膜3の上に第3層としてペ
ロブスカイト型常誘電体のSrTiO3 薄膜4を形成す
る。PLZT薄膜3は電極または基板1と直接接するこ
とがなくなり、強誘電体PLZT薄膜3の電界の繰り返
しによって引き起こされる電気特性の低下を抑えること
ができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、誘電体薄膜の構造及び
その製造方法に関する。さらに詳しくは、特定構造の積
層体を用いた誘電体薄膜の構造及びその製造方法に関す
る。
その製造方法に関する。さらに詳しくは、特定構造の積
層体を用いた誘電体薄膜の構造及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年注目されている薄膜材料にABO3
で構成されるペロブスカイト型構造を有する誘電体材料
がある。ABO3 としてAサイトがPb、Ba、Srま
たはLaの少なくとも1種、BサイトがTiおよびZr
のうち少なくとも1種の元素を含むものが挙げられ、そ
のうちPbTiO3 系、BaTiO3 系に代表される強
誘電体材料が広く知られている。これらは優れた強誘電
性、圧電性、焦電性、電気光学特性等を示し、これを利
用したセンサやフィルタなど種々の機能デバイスが検討
されている。特に半導体ICの分野においては新しいデ
バイス、DRAMおよび不揮発性メモリーへの応用が期
待されている。
で構成されるペロブスカイト型構造を有する誘電体材料
がある。ABO3 としてAサイトがPb、Ba、Srま
たはLaの少なくとも1種、BサイトがTiおよびZr
のうち少なくとも1種の元素を含むものが挙げられ、そ
のうちPbTiO3 系、BaTiO3 系に代表される強
誘電体材料が広く知られている。これらは優れた強誘電
性、圧電性、焦電性、電気光学特性等を示し、これを利
用したセンサやフィルタなど種々の機能デバイスが検討
されている。特に半導体ICの分野においては新しいデ
バイス、DRAMおよび不揮発性メモリーへの応用が期
待されている。
【0003】DRAMをはじめとする半導体を用いたメ
モリに関する研究開発は近年盛んに行われており、その
高密度化のかなめとなる技術として、微細加工技術とと
もにキャパシターの構成材料となる高誘電率誘電体薄膜
の開発があげられている。高誘電率材料としてSrTi
O3 などが知られているが、特に鉛系の強誘電体である
Pb(Zrx Ti1-x )O3 や(Pb1-x Lax )(Z
ry Ti1-y )1-x/4O3 (0≦x<1、0<y<1)
(以下これらをPLZTと呼ぶ)は、比誘電率1000
以上の高い値を示し、かつ印加した電界を切った状態で
も高い残留分極を保持する。このような優れた強誘電性
から、DRAMだけでなく不揮発メモリーへの応用も考
えられている。これらの誘電体は結晶方向によってその
電気的特性が異なり、それぞれの応用を考慮した結晶配
向膜を形成することにより、各種特性を最大限に引き出
すことができる。これらPLZTを結晶性よく薄膜化す
ることによって高集積化メモリセルを実現することが可
能となり、rfスパッタ、イオンビームスパッタ、ゾル
・ゲル、CVDおよびレーザアブレーション法などの方
法を用いて、PLZT薄膜作製に関する研究が現在勢力
的に行われている。
モリに関する研究開発は近年盛んに行われており、その
高密度化のかなめとなる技術として、微細加工技術とと
もにキャパシターの構成材料となる高誘電率誘電体薄膜
の開発があげられている。高誘電率材料としてSrTi
O3 などが知られているが、特に鉛系の強誘電体である
Pb(Zrx Ti1-x )O3 や(Pb1-x Lax )(Z
ry Ti1-y )1-x/4O3 (0≦x<1、0<y<1)
(以下これらをPLZTと呼ぶ)は、比誘電率1000
以上の高い値を示し、かつ印加した電界を切った状態で
も高い残留分極を保持する。このような優れた強誘電性
から、DRAMだけでなく不揮発メモリーへの応用も考
えられている。これらの誘電体は結晶方向によってその
電気的特性が異なり、それぞれの応用を考慮した結晶配
向膜を形成することにより、各種特性を最大限に引き出
すことができる。これらPLZTを結晶性よく薄膜化す
ることによって高集積化メモリセルを実現することが可
能となり、rfスパッタ、イオンビームスパッタ、ゾル
・ゲル、CVDおよびレーザアブレーション法などの方
法を用いて、PLZT薄膜作製に関する研究が現在勢力
的に行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】PLZTは上述したよ
うに高い比誘電率を有しかつ優れた強誘電特性から各種
応用が考えられているが、PLZT薄膜に電界を繰り返
してかけていくうちに、薄膜が初期に維持していた特
性、特に比誘電率と残留分極特性が低下するといったい
わゆる膜の疲労劣化の問題が以前から指摘されていた。
これはPLZT薄膜に高速度で電界のオン・オフを繰り
返しを行うメモリへの応用を考えた場合、実用化に対し
て大きな障害となっている。
うに高い比誘電率を有しかつ優れた強誘電特性から各種
応用が考えられているが、PLZT薄膜に電界を繰り返
してかけていくうちに、薄膜が初期に維持していた特
性、特に比誘電率と残留分極特性が低下するといったい
わゆる膜の疲労劣化の問題が以前から指摘されていた。
これはPLZT薄膜に高速度で電界のオン・オフを繰り
返しを行うメモリへの応用を考えた場合、実用化に対し
て大きな障害となっている。
【0005】このほか多元素からなる複合酸化物である
PLZT薄膜の作製においては、それぞれの元素の物性
の違い、特にZrとPbの親和力の悪さやPbの蒸気圧の高さ
などから理想的な組成を有する薄膜を再現性よく形成す
ることが難しい。また従来の方法ではペロブスカイト型
PLZT薄膜の形成には基板温度を600℃近くまで上
げる、もしくはそれ以下の基板温度で薄膜を形成した後
800℃近い温度で熱処理をすることが必要であった。
しかし半導体を用いたメモリなどへの応用を考えた場
合、500℃以上の高温で生じる基板の半導体中に形成
されているトランジスタ部や配線に用いるAlの熱拡散
から来る問題があり、低い基板温度でPLZT薄膜を形
成することが望まれていた。
PLZT薄膜の作製においては、それぞれの元素の物性
の違い、特にZrとPbの親和力の悪さやPbの蒸気圧の高さ
などから理想的な組成を有する薄膜を再現性よく形成す
ることが難しい。また従来の方法ではペロブスカイト型
PLZT薄膜の形成には基板温度を600℃近くまで上
げる、もしくはそれ以下の基板温度で薄膜を形成した後
800℃近い温度で熱処理をすることが必要であった。
しかし半導体を用いたメモリなどへの応用を考えた場
合、500℃以上の高温で生じる基板の半導体中に形成
されているトランジスタ部や配線に用いるAlの熱拡散
から来る問題があり、低い基板温度でPLZT薄膜を形
成することが望まれていた。
【0006】本発明は前記従来の課題を解決するもの
で、誘電体薄膜の分極反転の繰り返しによる疲労劣化を
防ぐ構造を提供し、またその製造方法としてデバイス作
製プロセスを考慮した基板温度以下で形成させメモリ用
素子などの応用に耐えうる高品質の誘電体薄膜の製造方
法を提供することを目的とする。
で、誘電体薄膜の分極反転の繰り返しによる疲労劣化を
防ぐ構造を提供し、またその製造方法としてデバイス作
製プロセスを考慮した基板温度以下で形成させメモリ用
素子などの応用に耐えうる高品質の誘電体薄膜の製造方
法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の第1番目の誘電体薄膜構造物は、常誘電体
薄膜と強誘電体薄膜との積層構造物であって、少なくと
も強誘電体薄膜が常誘電体薄膜によって挟まれているこ
とを特徴とする。
め、本発明の第1番目の誘電体薄膜構造物は、常誘電体
薄膜と強誘電体薄膜との積層構造物であって、少なくと
も強誘電体薄膜が常誘電体薄膜によって挟まれているこ
とを特徴とする。
【0008】前記構成においては、基板上に第1層とし
てペロブスカイト型常誘電体薄膜と、前記第1層の上に
第2層としてペロブスカイト型強誘電体薄膜と、前記第
2層の上に第3層としてペロブスカイト型常誘電体薄膜
とを備えていることが好ましい。
てペロブスカイト型常誘電体薄膜と、前記第1層の上に
第2層としてペロブスカイト型強誘電体薄膜と、前記第
2層の上に第3層としてペロブスカイト型常誘電体薄膜
とを備えていることが好ましい。
【0009】また前記構成においては、第1層及び第3
層のペロブスカイト型常誘電体がSrTiO3 であり、
第2層のペロブスカイト型強誘電体が(Pb1-x L
ax )(Zry Ti1-y )1-x/4 O3 (ただし、0≦x
<1、0<y<1)であることが好ましい。
層のペロブスカイト型常誘電体がSrTiO3 であり、
第2層のペロブスカイト型強誘電体が(Pb1-x L
ax )(Zry Ti1-y )1-x/4 O3 (ただし、0≦x
<1、0<y<1)であることが好ましい。
【0010】次に本発明の第2番目の誘電体薄膜構造物
は、基板上の第1層が(Pb1-x Lax )Ti1-x/4 O
3 (0≦x<1)の組成で構成されるペロブスカイト型
誘電体薄膜であり、前記第1層の上の第2層が(Pb
1-x Lax )(Zry Ti1-y)1-x/4 O3 (ただし、
0≦x<1、0<y<1)の組成で構成されるペロブス
カイト型誘電体薄膜、前記第2層の上の第3層が(Pb
1-x Lax )Ti1-x/4O3 (0≦x<1)の組成で構
成されるペロブスカイト型誘電体薄膜であるという構成
を備えたものである。前記第1〜2番目の構成において
は、誘電体薄膜構造物を構成する第1および第3層の膜
厚が、各々50オングストローム以下であることが好ま
しい。
は、基板上の第1層が(Pb1-x Lax )Ti1-x/4 O
3 (0≦x<1)の組成で構成されるペロブスカイト型
誘電体薄膜であり、前記第1層の上の第2層が(Pb
1-x Lax )(Zry Ti1-y)1-x/4 O3 (ただし、
0≦x<1、0<y<1)の組成で構成されるペロブス
カイト型誘電体薄膜、前記第2層の上の第3層が(Pb
1-x Lax )Ti1-x/4O3 (0≦x<1)の組成で構
成されるペロブスカイト型誘電体薄膜であるという構成
を備えたものである。前記第1〜2番目の構成において
は、誘電体薄膜構造物を構成する第1および第3層の膜
厚が、各々50オングストローム以下であることが好ま
しい。
【0011】次に本発明の誘電体薄膜構造物の製造方法
は、基板温度を500℃以下に保ち、荷電粒子、中性粒
子ビーム及び紫外線光から選ばれるエネルギー手段をタ
ーゲットに照射することにより、基板上に常誘電体もし
くは(Pb1-x Lax )Ti 1-x/4 O3 (0≦x<1)
の組成で構成される誘電体薄膜を形成し、次いで強誘電
体薄膜を形成し、しかる後常誘電体薄膜を形成すること
を特徴とする。
は、基板温度を500℃以下に保ち、荷電粒子、中性粒
子ビーム及び紫外線光から選ばれるエネルギー手段をタ
ーゲットに照射することにより、基板上に常誘電体もし
くは(Pb1-x Lax )Ti 1-x/4 O3 (0≦x<1)
の組成で構成される誘電体薄膜を形成し、次いで強誘電
体薄膜を形成し、しかる後常誘電体薄膜を形成すること
を特徴とする。
【0012】
【作用】前記本発明の構成によれば、強誘電体薄膜が常
誘電体薄膜によって挟まれている積層構造であることに
より、誘電体薄膜の分極反転の繰り返しによる疲労劣化
を防ぐことができる。すなわち、基板および電極との界
面における強誘電体薄膜の結晶性の劣化が原因の一つと
される疲労による強誘電特性の低下を界面に常誘電体薄
膜や(Pb1-x Lax )Ti1-x/4 O3 (O≦x<1)
薄膜(以下これをPLT薄膜と呼ぶ)などの疲労の起こ
りにくい層を介在させることにより、誘電体薄膜の特性
を長期間にわたって維持することができる。
誘電体薄膜によって挟まれている積層構造であることに
より、誘電体薄膜の分極反転の繰り返しによる疲労劣化
を防ぐことができる。すなわち、基板および電極との界
面における強誘電体薄膜の結晶性の劣化が原因の一つと
される疲労による強誘電特性の低下を界面に常誘電体薄
膜や(Pb1-x Lax )Ti1-x/4 O3 (O≦x<1)
薄膜(以下これをPLT薄膜と呼ぶ)などの疲労の起こ
りにくい層を介在させることにより、誘電体薄膜の特性
を長期間にわたって維持することができる。
【0013】前記発明の構成において、常誘電薄膜やP
LT薄膜の膜厚が50オングストローム以下であるとい
う好ましい構成によれば、PLZT薄膜などの強誘電体
薄膜の電気特性に影響を及ぼすことはない。
LT薄膜の膜厚が50オングストローム以下であるとい
う好ましい構成によれば、PLZT薄膜などの強誘電体
薄膜の電気特性に影響を及ぼすことはない。
【0014】また前記誘電体薄膜構造物を1keV程度
の運動エネルギーを有するイオンもしくは中性粒子によ
り5×10-4Torr以下の真空中でターゲットをスパッタ
リングすることにより、またはターゲットに紫外線光を
照射することにより、基板に飛来する粒子の運動エネル
ギーも比較的高くすることができ500℃以下の低い基
板温度でも高品質の誘電体薄膜の形成ができる。またこ
の方法では、ターゲットとして誘電体薄膜を構成する元
素を単体もしくは複数含有したものを複数個設置するこ
とにより多層膜形成の容易な製造方法とすることができ
る。
の運動エネルギーを有するイオンもしくは中性粒子によ
り5×10-4Torr以下の真空中でターゲットをスパッタ
リングすることにより、またはターゲットに紫外線光を
照射することにより、基板に飛来する粒子の運動エネル
ギーも比較的高くすることができ500℃以下の低い基
板温度でも高品質の誘電体薄膜の形成ができる。またこ
の方法では、ターゲットとして誘電体薄膜を構成する元
素を単体もしくは複数含有したものを複数個設置するこ
とにより多層膜形成の容易な製造方法とすることができ
る。
【0015】
【実施例】以下本発明の一実施例における誘電体薄膜の
構造および製造方法について、図面を参照しながら説明
する。
構造および製造方法について、図面を参照しながら説明
する。
【0016】(実施例1)図1に本発明にかかる誘電体
薄膜構造物の一実施例を示す。本誘電体薄膜の基板1と
しては、誘電体薄膜とエピタキシャル関係にあるものを
もちいることにより配向した結晶性薄膜を得ることがで
き、具体的には酸化マグネシウム、サファイア(α−A
l2 O3 )、チタン酸ストロンチウム等の単結晶の基板
や、これらの基板に加えて半導体などの表面に白金など
の電極を配向させて蒸着したものを用いた。基板1の上
には第1層としてペロブスカイト型常誘電体のうちSr
TiO3 薄膜2を形成し、このSrTiO3 薄膜2の上
に第2層としてペロブスカイト型強誘電体のPLZT薄
膜3を形成し、該PLZT薄膜3の上に第3層としてペ
ロブスカイト型常誘電体のSrTiO3 薄膜4を形成し
た。このように強誘電体PLZT薄膜3を常誘電体Sr
TiO3 薄膜2および4ではさむことにより、PLZT
薄膜3は電極または基板1と直接接することがなくな
り、電極や基板1との界面での結晶性劣化が原因の一つ
である強誘電体PLZT薄膜3の電界の繰り返しによっ
て引き起こされる電気特性の低下を抑えることができ
た。
薄膜構造物の一実施例を示す。本誘電体薄膜の基板1と
しては、誘電体薄膜とエピタキシャル関係にあるものを
もちいることにより配向した結晶性薄膜を得ることがで
き、具体的には酸化マグネシウム、サファイア(α−A
l2 O3 )、チタン酸ストロンチウム等の単結晶の基板
や、これらの基板に加えて半導体などの表面に白金など
の電極を配向させて蒸着したものを用いた。基板1の上
には第1層としてペロブスカイト型常誘電体のうちSr
TiO3 薄膜2を形成し、このSrTiO3 薄膜2の上
に第2層としてペロブスカイト型強誘電体のPLZT薄
膜3を形成し、該PLZT薄膜3の上に第3層としてペ
ロブスカイト型常誘電体のSrTiO3 薄膜4を形成し
た。このように強誘電体PLZT薄膜3を常誘電体Sr
TiO3 薄膜2および4ではさむことにより、PLZT
薄膜3は電極または基板1と直接接することがなくな
り、電極や基板1との界面での結晶性劣化が原因の一つ
である強誘電体PLZT薄膜3の電界の繰り返しによっ
て引き起こされる電気特性の低下を抑えることができ
た。
【0017】なお薄膜2および4の常誘電体薄膜の代わ
りに、強誘電性を示すPLT薄膜を用いた場合もPLT
薄膜がPLZT薄膜よりも強誘電性が劣るため、電極と
の界面での結晶性劣化が少なく、電気特性低下を抑える
ことができた。
りに、強誘電性を示すPLT薄膜を用いた場合もPLT
薄膜がPLZT薄膜よりも強誘電性が劣るため、電極と
の界面での結晶性劣化が少なく、電気特性低下を抑える
ことができた。
【0018】これらの常誘電薄膜またはPLT薄膜2お
よび4の膜厚としてはPLZT薄膜3の電気特性に影響
を及ぼさない点から50オングストローム以下であるの
が好ましい。
よび4の膜厚としてはPLZT薄膜3の電気特性に影響
を及ぼさない点から50オングストローム以下であるの
が好ましい。
【0019】(実施例2)図2に本発明にかかる薄膜形
成装置の一実施例を示す。本形成装置の主たる堆積機構
として、イオン源5、6、7および8による最大4元の
イオンビームスパッタ機構を有しており、それに対応し
てターゲット9、10、11および12を設置する。イ
オンビーム電流の制御およびシャッタリングによって、
誘電体薄膜13の組成および構造制御を行うことができ
る。ペロブスカイト構造の結晶性薄膜を成長させる基板
1としては、酸化マグネシウム、サファイア(α−Al
2 O 3 )チタン酸ストロンチウム等の単結晶の基板やシ
リコン単結晶基板の上部に白金を配向させて蒸着着たも
のなどが有効である。なおターゲットを照射する粒子と
してイオンを一旦中性化したものを用いると、金属以外
のターゲットを使用した場合有効であった。このほかイ
オン源の代わりに5、6、7及び8から紫外線光を入射
させることによってターゲットをスパッタする方法にす
ると、イオンによる照射の場合と違い形成槽内の真空度
をはじめとする雰囲気を自由に変えることができ、超高
真空中、または低真空中で誘電体薄膜を形成する場合有
効であった。
成装置の一実施例を示す。本形成装置の主たる堆積機構
として、イオン源5、6、7および8による最大4元の
イオンビームスパッタ機構を有しており、それに対応し
てターゲット9、10、11および12を設置する。イ
オンビーム電流の制御およびシャッタリングによって、
誘電体薄膜13の組成および構造制御を行うことができ
る。ペロブスカイト構造の結晶性薄膜を成長させる基板
1としては、酸化マグネシウム、サファイア(α−Al
2 O 3 )チタン酸ストロンチウム等の単結晶の基板やシ
リコン単結晶基板の上部に白金を配向させて蒸着着たも
のなどが有効である。なおターゲットを照射する粒子と
してイオンを一旦中性化したものを用いると、金属以外
のターゲットを使用した場合有効であった。このほかイ
オン源の代わりに5、6、7及び8から紫外線光を入射
させることによってターゲットをスパッタする方法にす
ると、イオンによる照射の場合と違い形成槽内の真空度
をはじめとする雰囲気を自由に変えることができ、超高
真空中、または低真空中で誘電体薄膜を形成する場合有
効であった。
【0020】図2に示す装置を用いて誘電体薄膜の製造
方法について述べる。基板1として酸化マグネシウムMg
O(100)単結晶基板および単結晶Si上部にPt(111) に蒸着
したものを用いた。ターゲット9、10、11および1
2にはそれぞれPb、Sr、ZrおよびTiの金属ターゲットを
用い、イオン源5、6、7および8によりアルゴンイオ
ンビームを照射して、基板1上にスパッタリング蒸着す
る。このときの基板表面の温度は450℃に保持し、形
成槽内には酸化性ガスを減圧下で流しており、形成する
誘電体薄膜が十分酸化するようにした。なお基板表面に
イオンビーム照射および紫外線照射を行うと更に基板温
度を下げることが可能であった。
方法について述べる。基板1として酸化マグネシウムMg
O(100)単結晶基板および単結晶Si上部にPt(111) に蒸着
したものを用いた。ターゲット9、10、11および1
2にはそれぞれPb、Sr、ZrおよびTiの金属ターゲットを
用い、イオン源5、6、7および8によりアルゴンイオ
ンビームを照射して、基板1上にスパッタリング蒸着す
る。このときの基板表面の温度は450℃に保持し、形
成槽内には酸化性ガスを減圧下で流しており、形成する
誘電体薄膜が十分酸化するようにした。なお基板表面に
イオンビーム照射および紫外線照射を行うと更に基板温
度を下げることが可能であった。
【0021】まず第1層を形成するためSrおよびTiター
ゲットにそれぞれArイオンビームを照射し、膜厚約30
オングストロームのSrTiO3 薄膜2を形成した。ひ
きつづきPb,Zr,及びTiターゲットによるイオンビームス
パッタを行い、SrTiO3薄膜2の上に(Pb1-x L
ax )(Zry Ti1-y )1-x/4 O3 (x=0,y=50)の組成
を有する約700オングストロームのPLZT薄膜3を
形成した。この後引続きPLZT薄膜3の上にSrTi
O3 薄膜4を形成した。
ゲットにそれぞれArイオンビームを照射し、膜厚約30
オングストロームのSrTiO3 薄膜2を形成した。ひ
きつづきPb,Zr,及びTiターゲットによるイオンビームス
パッタを行い、SrTiO3薄膜2の上に(Pb1-x L
ax )(Zry Ti1-y )1-x/4 O3 (x=0,y=50)の組成
を有する約700オングストロームのPLZT薄膜3を
形成した。この後引続きPLZT薄膜3の上にSrTi
O3 薄膜4を形成した。
【0022】図3は(100)MgOに(100)Pt を蒸着した基板
上に形成した誘電体薄膜構造物のX線回折強度を示す図
である。(100) に配向したSrTiO3 及び(001) に配
向したPLZT薄膜の形成が確認できた。
上に形成した誘電体薄膜構造物のX線回折強度を示す図
である。(100) に配向したSrTiO3 及び(001) に配
向したPLZT薄膜の形成が確認できた。
【0023】図4はMgO(100)基板上に形成した誘電体薄
膜構造物の分極反転特性を示す図である。このときの残
留分極は20μC/cm2 の良好な強誘電特性を示してお
り、また比誘電率は800以上の値を示した。この後、
周波数1kHz、7Vの交流を誘電体薄膜にかけ、108 回分
極反転を行ったがPLZTのみの誘電体薄膜の場合残留
分極および比誘電率はそれぞれ30%以上の特性低下が
おこるが、誘電体薄膜の上部電極および下部電極との間
にSrTiO3 薄膜2および4を形成した本実施例の構
成を採ることにより、残留分極および比誘電率の10%
以上の特性低下はみられなかった。
膜構造物の分極反転特性を示す図である。このときの残
留分極は20μC/cm2 の良好な強誘電特性を示してお
り、また比誘電率は800以上の値を示した。この後、
周波数1kHz、7Vの交流を誘電体薄膜にかけ、108 回分
極反転を行ったがPLZTのみの誘電体薄膜の場合残留
分極および比誘電率はそれぞれ30%以上の特性低下が
おこるが、誘電体薄膜の上部電極および下部電極との間
にSrTiO3 薄膜2および4を形成した本実施例の構
成を採ることにより、残留分極および比誘電率の10%
以上の特性低下はみられなかった。
【0024】以上のように本発明の実施例では、基板上
の第1層として常誘電体もしくはPLT層、第2層とし
てPLZT層、第3層として常誘電体もしくはPLT層
とする構造によって、誘電体薄膜の分極反転の繰り返し
による特性低下を防ぐ構造とすることが出来た。このよ
うな多層構造の誘電体薄膜を形成する方法として、基板
温度を500℃以下とし、複数のターゲットにイオンビ
ーム、中性粒子ビ−ムもしくは紫外線光を照射すること
によって高品質の誘電体薄膜を製造することが出来た。
の第1層として常誘電体もしくはPLT層、第2層とし
てPLZT層、第3層として常誘電体もしくはPLT層
とする構造によって、誘電体薄膜の分極反転の繰り返し
による特性低下を防ぐ構造とすることが出来た。このよ
うな多層構造の誘電体薄膜を形成する方法として、基板
温度を500℃以下とし、複数のターゲットにイオンビ
ーム、中性粒子ビ−ムもしくは紫外線光を照射すること
によって高品質の誘電体薄膜を製造することが出来た。
【0025】
【発明の効果】以上説明した通り、前記本発明によれ
ば、強誘電体薄膜が常誘電体薄膜によって挟まれている
積層構造であることにより、誘電体薄膜の分極反転の繰
り返しによる疲労劣化を防ぐことができる。すなわち、
基板および電極との界面における強誘電体薄膜の結晶性
の劣化が原因の一つとされる疲労による強誘電特性の低
下を界面に常誘電体薄膜や(Pb1-x Lax )Ti
1-x/4 O3 (O≦x<1)薄膜(以下これをPLT薄膜
と呼ぶ)などの疲労の起こりにくい層を介在させること
により、誘電体薄膜の特性を長期間にわたって維持する
ことができる。
ば、強誘電体薄膜が常誘電体薄膜によって挟まれている
積層構造であることにより、誘電体薄膜の分極反転の繰
り返しによる疲労劣化を防ぐことができる。すなわち、
基板および電極との界面における強誘電体薄膜の結晶性
の劣化が原因の一つとされる疲労による強誘電特性の低
下を界面に常誘電体薄膜や(Pb1-x Lax )Ti
1-x/4 O3 (O≦x<1)薄膜(以下これをPLT薄膜
と呼ぶ)などの疲労の起こりにくい層を介在させること
により、誘電体薄膜の特性を長期間にわたって維持する
ことができる。
【0026】次に本発明の製造方法によれば、基板温度
を500℃以下に保ち、荷電粒子、中性粒子ビーム及び
紫外線光から選ばれるエネルギー手段をターゲットに照
射することにより、基板上に強誘電体薄膜を形成し、次
いで常誘電体薄膜を形成し、しかる後強誘電体薄膜を形
成することにより、効率良く合理的に誘電体薄膜構造物
を得ることができる。
を500℃以下に保ち、荷電粒子、中性粒子ビーム及び
紫外線光から選ばれるエネルギー手段をターゲットに照
射することにより、基板上に強誘電体薄膜を形成し、次
いで常誘電体薄膜を形成し、しかる後強誘電体薄膜を形
成することにより、効率良く合理的に誘電体薄膜構造物
を得ることができる。
【図1】本発明の一実施例における誘電体薄膜構造物の
構成断面図。
構成断面図。
【図2】本発明の一実施例における誘電体薄膜の製造方
法に用いる薄膜形成装置の構成断面図。
法に用いる薄膜形成装置の構成断面図。
【図3】本発明の一実施例における誘電体薄膜の製造方
法により(100)MgOに(100)Pt を蒸着した基板上に形成さ
れた誘電体薄膜構造物のX線回折強度を示す図。
法により(100)MgOに(100)Pt を蒸着した基板上に形成さ
れた誘電体薄膜構造物のX線回折強度を示す図。
【図4】本発明の一実施例における誘電体薄膜の製造方
法により形成された誘電体薄膜構造物の分極反転特性を
示す図。
法により形成された誘電体薄膜構造物の分極反転特性を
示す図。
1 基板 2 SrTiO3 薄膜 3 PLZT薄膜 4 SrTiO3 薄膜 5 イオン源 6 イオン源 7 イオン源 8 イオン源 9 ターゲット 10 ターゲット 11 ターゲット 12 ターゲット
Claims (6)
- 【請求項1】 常誘電体薄膜と強誘電体薄膜との積層構
造物であって、少なくとも強誘電体薄膜が常誘電体薄膜
によって挟まれていることを特徴とする誘電体薄膜構造
物。 - 【請求項2】 基板上に第1層としてペロブスカイト型
常誘電体薄膜と、前記第1層の上に第2層としてペロブ
スカイト型強誘電体薄膜と、前記第2層の上に第3層と
してペロブスカイト型常誘電体薄膜とを備えた請求項1
に記載の誘電体薄膜構造物。 - 【請求項3】 第1層及び第3層のペロブスカイト型常
誘電体がSrTiO3であり、第2層のペロブスカイト
型強誘電体が(Pb1-x Lax )(Zry Ti 1-y )
1-x/4 O3 (ただし、0≦x<1、0<y<1)である
請求項2に記載の誘電体薄膜構造物。 - 【請求項4】 基板上の第1層が(Pb1-x Lax )T
i1-x/4 O3 (0≦x<1)の組成で構成されるペロブ
スカイト型誘電体薄膜であり、前記第1層の上の第2層
が(Pb1-x Lax )(Zry Ti1-y )1-x/4 O
3 (ただし、0≦x<1、0<y<1)の組成で構成さ
れるペロブスカイト型誘電体薄膜、前記第2層の上の第
3層が(Pb1-x Lax )Ti1-x/4 O3 (0≦x<
1)の組成で構成されるペロブスカイト型誘電体薄膜で
ある誘電体薄膜構造物。 - 【請求項5】 誘電体薄膜構造物を構成する第1および
第3層の膜厚が、各々50オングストローム以下である
請求項2、3または4に記載の誘電体薄膜構造物。 - 【請求項6】 基板温度を500℃以下に保ち、荷電粒
子、中性粒子ビーム及び紫外線光から選ばれるエネルギ
ー手段をターゲットに照射することにより、基板上に常
誘電体もしくは(Pb1-x Lax )Ti1-x/4 O3 (0
≦x<1)の組成で構成される誘電体薄膜を形成し、次
いで強誘電体薄膜を形成し、しかる後常誘電体薄膜を形
成することを特徴とする誘電体薄膜構造物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5128759A JPH06338598A (ja) | 1993-05-31 | 1993-05-31 | 誘電体薄膜構造物及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5128759A JPH06338598A (ja) | 1993-05-31 | 1993-05-31 | 誘電体薄膜構造物及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06338598A true JPH06338598A (ja) | 1994-12-06 |
Family
ID=14992767
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5128759A Pending JPH06338598A (ja) | 1993-05-31 | 1993-05-31 | 誘電体薄膜構造物及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06338598A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100275120B1 (ko) * | 1997-12-30 | 2001-01-15 | 김영환 | 캐패시터의강유전체박막형성방법 |
KR100324587B1 (ko) * | 1998-12-24 | 2002-04-17 | 박종섭 | 고온 열처리로 인한 전극의 특성 저하를 방지할 수 있는 강유전체 캐패시터 제조 방법 |
-
1993
- 1993-05-31 JP JP5128759A patent/JPH06338598A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100275120B1 (ko) * | 1997-12-30 | 2001-01-15 | 김영환 | 캐패시터의강유전체박막형성방법 |
KR100324587B1 (ko) * | 1998-12-24 | 2002-04-17 | 박종섭 | 고온 열처리로 인한 전극의 특성 저하를 방지할 수 있는 강유전체 캐패시터 제조 방법 |
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