JPH06338282A - 走査型電子顕微鏡 - Google Patents

走査型電子顕微鏡

Info

Publication number
JPH06338282A
JPH06338282A JP5151192A JP15119293A JPH06338282A JP H06338282 A JPH06338282 A JP H06338282A JP 5151192 A JP5151192 A JP 5151192A JP 15119293 A JP15119293 A JP 15119293A JP H06338282 A JPH06338282 A JP H06338282A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sample
electron
grid electrode
chamber
gas
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5151192A
Other languages
English (en)
Inventor
Shintaro Kawada
真太郎 河田
Keitarou Hara
景太郎 原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nikon Corp filed Critical Nikon Corp
Priority to JP5151192A priority Critical patent/JPH06338282A/ja
Publication of JPH06338282A publication Critical patent/JPH06338282A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】 試料の正へのチャージアップを防ぐととも
に、2次電子が効率良く2次電子検出手段に引き寄せら
れるようにして、良好な観察像を得る。 【構成】 真空室1と、電子増倍作用のある気体が供給
されると共に、試料7が収納される試料室2と、電子銃
15からの電子線を試料7上に集束するコンデンサレン
ズ16及び対物レンズ5と、集束された電子線を試料7
上で走査する電磁偏向器17と、試料7から発生した後
に前記気体により電子増倍された2次電子を検出する圧
力制限アパーチャ板3と、圧力制限アパーチャ板3と試
料7との間の試料室2に配置され、前記気体の電子増倍
作用により生じるイオンを収集するためのイオンコレク
ターとしてのグリッド電極19と、圧力制限アパーチャ
板3とグリッド電極19との間の電界がグリッド電極1
9と試料7との間の電界よりも大きくなるような電圧
を、グリッド電極19に印加する可変電圧源20とを備
えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えばいわゆる環境
制御型の走査型電子顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】通常の走査型電子顕微鏡は、真空中に配
置された試料(ターゲット)から放出される2次電子を
シンチレータの発光により検出している。これに対し
て、いわゆる環境制御型の走査型電子顕微鏡は、水蒸気
等の低圧気体中に配置された試料からの2次電子をその
気体によりガス増倍(電子増倍)し、この増倍された2
次電子を検出電極で直接検出している。この環境制御型
の走査電子顕微鏡によれば、通常の電子顕微鏡では観察
できないような種々の試料を観察することができる。
【0003】ただし、通常の低加速走査型電子顕微鏡に
おいては、試料に入射する1次の電子線の量と試料から
放出される2次電子の量とがほぼ等しいのに対して、環
境制御型の走査型電子顕微鏡においては、電子ビームの
加速電圧が比較的大きいために、試料に入射する1次の
電子線の量よりも試料から放出される2次電子の量が減
り、試料が負にチャージアップ(帯電)する傾向にある
が、環境制御型の走査型電子顕微鏡はその試料の負のチ
ャージを中和させる機構を有している。
【0004】図4(a)は従来の環境制御型の走査型電
子顕微鏡の一例を示し、この図4(a)において、電子
銃(図示省略)が収納された真空室1(実際には、差動
排気のためにアパーチャにより区切られた複数の部屋か
らなる)と試料室2(外枠は不図示)とが圧力制限アパ
ーチャ板3を介して接している。その圧力制限アパーチ
ャ板3の周囲には絶縁体4を介して電磁レンズよりなる
対物レンズ5が配置されている。試料室2には図示省略
した供給源より電子増倍作用のある気体(例えば水蒸
気)が供給されると共に、試料室2の気体の圧力は図示
省略した真空ポンプにより0.1〜数10Torr程度
に保たれている。また、試料室2の気体は圧力制限アパ
ーチャ板3のアパーチャ3aを通って真空室1中に流れ
るが、真空ポンプ6により真空室1の気体の圧力は試料
室2の内部よりも小さい圧力(高い真空度の状態)、例
えば圧力制限アパーチャ板3の真上で10-2〜10-3
orr程度に保たれている。実際には上述したように、
真空室1はアパーチャにより複数の部屋に分離されてお
り、各々の部屋に真空ポンプが設けられ電子銃は最も高
い真空度の部屋に配置されている。
【0005】試料室2の内部に観察対象とする絶縁物よ
りなる試料7が収納される。また、この従来例では、圧
力制限アパーチャ板3が2次電子検出器を兼ねており、
圧力制限アパーチャ板3に可変電圧源8より試料7に対
して正の電圧が印加されている。その圧力制限アパーチ
ャ板3から得られる2次電子信号がプリアンプ9を介し
て図示省略した処理装置に取り込まれる。
【0006】試料7の観察を行う場合には、真空室1の
電子銃から放出された電子ビームが圧力制限アパーチャ
板3のアパーチャ3aを通過して試料7上に集束され、
この集束された電子ビームが走査される。このときに、
試料7から放出される2次電子は2次電子検出器として
の圧力制限アパーチャ板3の電場により試料室2中の気
体によりガス増幅され、その結果生じた正イオンが試料
7に照射されて、電子ビームの照射により生じた試料7
の負のチャージが中和される。また、電子増倍された2
次電子は圧力制限アパーチャ板3に取り込まれ、この2
次電子信号がプリアンプ9を介して外部の処理装置に取
り込まれる。
【0007】図4(b)は従来の環境制御型の走査型電
子顕微鏡の他の例を示す。この従来例は圧力制限アパー
チャ板と2次電子検出器とを分離したものであり、この
図4(b)において図4(a)と対応する部分には同一
符号を付してその詳細説明を省略する。
【0008】図4(b)において、圧力制限アパーチャ
板3の周囲で且つ試料7の上方に、内径数mmのリング
状の2次電子検出器10が配置され、2次電子検出器1
0には可変電圧源11より正の電圧が印加されている。
また、2次電子検出器10からの2次電子信号がプリア
ンプ12を介して図示省略した処理装置に取り込まれて
いる。更に、圧力制限アパーチャ板3にも可変電圧源8
より試料7に対して正の電圧が印加されている。
【0009】この場合、絶縁物よりなる試料7から放出
される2次電子は、2次電子検出器10の電場により2
次電子検出器10の方向に運動しようとするが、この方
向は電磁レンズ5によって発生する磁力線を横切る方向
である。そこで、2次電子は直線的に2次電子検出器1
0に飛び込めなくなりレンズ磁場に絡み付くような運動
を始める。この2次電子及び試料室2の内部の気体のガ
ス増幅の結果生じた電子群は、最終的には最も電圧の高
い2次電子検出器10に吸収されることになるが、その
走行距離は直線的に飛び込む場合と比べて数倍にも長く
なる。また、圧力制限アパーチャ板3に正の電圧を多少
印加することによって、2次電子及び電子群は圧力制限
アパーチャ板3の方向に多少引っぱられながら最終的に
2次電子検出器10に吸収されることになるので、走行
距離はさらに長くなる。この結果として、図4(b)の
装置は図4(a)の装置と比べて、試料室2がより高い
真空度(気体の圧力がより小さい状態)で図4(a)の
装置と同等の電子増幅率を持つことになる。気体の圧力
が小さい状態では1次の電子ビームの散乱も少なくなる
ため、図4(b)の装置は図4(a)の装置より良好な
SN比で2次電子の検出を行うことができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、それら
図4(a)の装置及び図4(b)の装置ともに、1次の
電子ビームに比べ遥かに過剰な正イオンが試料7に降り
注ぐため、試料7の絶縁性が高い場合にはその試料7が
正にチャージアップするようになる。このチャージアッ
プの結果、2次電子検出器と試料との間の電位差が小さ
くなり、電子増幅率が減少する。そのために、2次電子
検出器のゲインが低下して得られる観察画像のSN比が
低下するという不都合がある。
【0011】また、2次電子検出器と試料との間の電位
差を2次電子検出器10の電圧の上昇で補おうとして
も、今度は2次電子検出器とその近傍のアース電位の金
属(例えばレンズ)との間の電位差が大きく成り過ぎて
それらの間に微小放電が起こる。そして、その微小放電
ノイズが観察画像上に現れて、結局はSN比を向上させ
ることができない。
【0012】この発明はこのような事情に鑑みてなされ
たもので、その課題は正イオンが試料にチャージアップ
して2次電子信号のSN比が低下するのを防止できる走
査型電子顕微鏡を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
め請求項1記載の発明の走査型電子顕微鏡は、電子線源
から射出した電子線の通路を形成する真空室と、前記真
空室に圧力制限開口を挟んで連結され、電子増倍作用の
ある気体が供給されると共に、試料が収納される試料室
と、前記電子線源により発生した電子線を前記圧力制限
開口を通して前記試料室に収納された試料上に集束する
集束手段と、前記集束された電子線を前記試料上で走査
する走査手段と、前記試料室に配置され、前記試料から
発生した後に前記気体により電子増倍された2次電子を
検出する2次電子検出手段と、を有する走査型電子顕微
鏡において、前記2次電子検出手段と前記試料との間の
前記試料室に配置され、前記気体の電子増倍作用により
生じるイオンを収集するためのグリッド電極と、前記2
次電子検出手段と前記グリッド電極との間の電界が前記
グリッド電極と前記試料との間の電界よりも大きくなる
ような電圧を、前記グリッド電極に印加する電圧源とを
備えている。
【0014】また、請求項2記載の発明の走査型電子顕
微鏡は、電子線源から射出した電子線の通路を形成する
真空室と、前記真空室に圧力制限開口を挟んで連結さ
れ、電子増倍作用のある気体が供給されると共に、試料
が収納される試料室と、前記電子線源により発生した電
子線を前記圧力制限開口を通して前記試料室に収納され
た試料上に集束する集束手段と、前記集束された電子線
を前記試料上で走査する走査手段と、前記試料室に配置
され、前記試料から発生した後に前記気体により電子増
倍された2次電子を検出する2次電子検出手段と、を有
する走査型電子顕微鏡において、前記2次電子検出手段
と前記試料との間の前記試料室に配置され、前記気体の
電子増倍作用により生じるイオンを収集するためのグリ
ッド電極と、このグリッド電極に交流電圧を印加する交
流電圧源とを備えている。
【0015】
【作用】イオンコレクターとしてグリッド電極を用い、
このグリッド電極に所定の電圧を印加することにより、
グリッド電極に大多数の正イオンを収集し、試料の正の
チャージアップを防ぐことができるとともに、2次電子
を効率良く2次電子検出手段に引き寄せることができ
る。
【0016】また、グリッド電極に交流電圧を印加する
ことにより、荷電粒子は2次電子検出手段と試料との間
を往復運動するが、電子の質量はイオンの質量に比べて
格段に小さいので、グリッド電極の交流電圧による振幅
はイオンより電子の方が格段に大きい。従って2次電子
は2次電子検出手段によって収集されるが、イオンはグ
リッド電極近傍にトラップされるようになり、最終的に
はイオンはグリッド電極によって収集されてしまう。
【0017】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて説
明する。
【0018】図1はこの発明の第1実施例に係る走査型
電子顕微鏡の概略構成を示す縦断面図である。この実施
例は、環境制御型の走査型電子顕微鏡にこの発明を適用
したものであり、この図1において、図4(a)及び
(b)に対応する部分には同一符号を付してその詳細説
明を省略する。
【0019】真空室1の上部には電子銃15が配置さ
れ、真空室1の中段の外側にはコンデンサーレンズ16
が配置され、真空室1の下段の外側には電磁偏向器17
が配置されている。なお、真空室1は概念的に一つの部
屋で示したが、実際には複数の圧力制限アパーチャ板に
て仕切られた例えば3つの部屋から構成されており、各
々の部屋が真空ポンプにより差動排気されるように構成
されている。そして、最も真空度の高い部屋に電子銃1
5が設けられる。また、真空室1と圧力制限アパーチャ
板3を挟んで絶縁性の試料7が収納された試料室2が配
置され、この試料室2には図示省略した供給源よりガス
増倍(電子増倍)作用のある気体(例えば水蒸気)が供
給されると共に、試料室2の気体の圧力は真空ポンプ1
8により0.1〜数10Torr程度に保たれている。
【0020】前記圧力制限アパーチャ板3のアパーチャ
3aを通って、試料室2の気体が真空室1に漏れるが、
真空ポンプ6により真空室1の気体の圧力は試料室2よ
りも高い真空度(小さい圧力)に維持されている(実際
には、差動排気により順次真空度が高くなる)。この実
施例においても、その圧力制限アパーチャ板3が2次電
子検出器を兼ねており、その圧力制限アパーチャ板3に
は試料室2の側壁の絶縁性のハーメチックシール21a
を介して可変電圧源8より試料7に対して正の電圧が供
給され、その圧力制限アパーチャ板3からの2次電子信
号がプリアンプ9を介して図示省略した処理装置に取り
出されている。
【0021】この実施例では、その圧力制限アパーチャ
板3と試料7との間の試料室2の内部に、イオンコレク
ターとして格子状電極であるグリッド電極19を配置す
る。また、試料室2の側壁の絶縁性のハーメチックシー
ル21bを介して、そのグリッド電極19には可変電圧
源20より試料7に対して正の電圧を供給する。可変電
圧源20よりグリッド電極19に供給される電圧は0〜
500V程度に設定される。この電圧は圧力制限アパー
チャ板3とグリッド電極19との間の電界Edをグリッ
ド電極19と試料7との間の電界Eiより大きくなるよ
うにする(Ed>Ei)。これにより質量の小さい2次
電子は電界Ed,Eiにより加速され、グリッド電極1
9に収集されることなく通過する。イオンの方は質量が
大きく、スピードが遅いのでEd/Eiの比に応じて大
部分がグリッド電極19に収集される。
【0022】なお、必要に応じてイオンコレクター19
には負の電圧を印加する場合もある。
【0023】この実施例の動作の説明を行うに、電子銃
15から放出された電子ビームは、コンデンサーレンズ
16により集束された後に、圧力制限アパーチャ板3の
アパーャ3a及びグリッド電極19を通過して試料室2
の内部の試料7上に照射される。また、その電子ビーム
は電磁偏向器17により試料7上で走査されると共に、
対物レンズ5によりその試料7上での電子ビームのスポ
ット径が所定の値に設定される。その1次の電子ビーム
の照射により試料7から2次電子が発生する。
【0024】図2に示すように、試料7から発生した2
次電子は、電気力線に沿うようにしてグリッド電極19
を通過した後に、2次電子検出器としての圧力制限アパ
ーチャ板3が作る電場によりその圧力制限アパーチャ板
3の方向へと引き寄せられる。この途中で2次電子が試
料室2の内部の気体成分と衝突を繰り返すことにより、
多量の正のイオンが発生するが、圧力制限アパーチャ板
3と試料7との間にグリッド電極19が存在するため、
グリッド電極19に供給する電圧を前述のように(Ed
>Ei)設定することによりグリッド電極19を通過し
て試料7に向かうイオン以外の大多数のイオンがグリッ
ド電極19に収集される。そのため、試料7が正にチャ
ージアップするのを防止できる。
【0025】また、イオンコレクターとして中央に円形
の孔を有する単なる電極板を用いた場合には、試料7か
らの2次電子はその孔を通じてしか圧力制限アパーチャ
板3に達することができないので、2次電子の多くが圧
力制限アパーチャ板3によってカットされて2次電子信
号のロスが生じるが、この実施例ではイオンコレクター
としてグリッド電極19を用いたので、すべての2次電
子がグリッド電極19を通過し、効率良く圧力制限アパ
ーチャ板3に引き寄せられる。一方、ほとんどのイオン
はスピードが遅いのでグリッド電極19によって収集さ
れるが、イオンの一部は試料7に達し、試料7の負のチ
ャージアップの中和を行う。
【0026】上述のようにして、試料7と2次電子検出
器としての圧力制限アパーチャ板3との間の電圧はほぼ
一定に保たれ、圧力制限アパーチャ板3からは常に一定
で且つ高いSN比の2次電子信号が得られ、最終的にS
N比が高いレベルで一定の良好な観察画像が得られる。
【0027】なお、図1の実施例では圧力制限アパーチ
ャ板3が2次電子検出器を兼用しているが、変形例とし
て図3に示すように、圧力制限アパーチャ板3とは別体
の2次電子検出器を設けてもよい。
【0028】即ち、図3において、圧力制限アパーチャ
板3の周囲で且つグリッド電極19の上方にリング状の
2次電子検出器10を配置し、この2次電子検出器10
に、試料室2の側壁の絶縁性のハーメチックシール21
cを介して可変電圧源11より試料7に対して正の電圧
を供給し、その2次電子検出器10からの2次電子信号
をプリアンプ12を介して図示省略した処理装置に取り
出す。また、圧力制限アパーチャ板3には可変電圧源8
より正の電圧が供給されている。他の構成は図1の実施
例と同様である。
【0029】この図3の走査型電子顕微鏡においては、
電子銃からの電子ビームは、圧力制限アパーチャ板3の
アパーチャ及びグリッド電極19を通過して試料7に入
射する。そして、試料7から発生した2次電子は、グリ
ッド電極19を通過して、ガス増倍されながら2次電子
検出器10に捕捉される。この場合、グリッド電極19
が正イオンを収集して、試料7の正電位へのチャージア
ップが防止されるので、図1の実施例と同様に、常に一
定で且つ高いSN比の2次電子信号が得られる。更に、
図3の場合には、ガス増倍される際の2次電子の走行距
離が長くなり、より高い真空度(より小さい圧力)で図
1の実施例と同等な電子増倍率が得られる。従って、1
次の電子ビームの散乱を少なくして、SN比を更に改善
できる。
【0030】次に、この発明の第2実施例について説明
する。第2実施例では、第1実施例におけるイオンコレ
クターとしてのグリッド電極へ電圧を印加する電圧源を
交流電圧源にした。
【0031】この実施例において、グリッド電極のイオ
ンコレクターに交流電圧を印加することにより荷電粒子
はイオンコレクターを中心に2次電子検出器と試料との
間を往復運動することになり、その振幅はイオンコレク
ター電圧に比例し、その周波数の2乗及び荷電粒子の質
量に反比例する。この実施例の走査型電子顕微鏡では、
電子とイオンとがイオンコレクターの近傍に存在し、そ
れらの質量は3〜4桁の差がある。この結果電子とイオ
ンとでは、イオンコレクターの交流電圧による振幅は、
3〜4桁差となる。例えば電子が2次電子検出器まで数
mm運動するとき、2次電子は2次電子検出器に収集さ
れるが、イオンはほとんどイオンコレクター近傍にトラ
ップされているようになり、最後にはイオンはイオンコ
レクターに収集されてしまう。このような条件下におい
て、試料の正へのチャージアップが防止される。
【0032】但し、イオンコレクターへ印加する交流電
場は一般には走査型電子顕微鏡像のノイズとなるが、電
子顕微鏡像1画素の取り込みに必要な周波数以上である
と平均化されてノイズにならない。交流の周波数ν,1
フレームの走査時間t,画素数n×nとすると、ノイズ
にならない条件は ν≧1/(t×n×n)Hz であり、印加する交流はこれを満足する必要がある。
【0033】上述の実施例においては、格子状のグリッ
ド電極を用いているが、電子ビームの光軸に対称な複数
の孔をもった金属板をグリッド電極として用いてもよ
い。
【0034】
【発明の効果】以上説明したようにこの発明の走査型電
子顕微鏡によれば、質量が大きくスピードの遅い正イオ
ンの大多数はグリッド電極により収集され、試料の正へ
のチャージアップを防ぐことができるとともに、質量が
小さく、スピードの速い2次電子は、グリッド電極を通
過し、効率良く2次電子検出手段に引き寄せられる結
果、良好な観察像を得ることができる。
【0035】また、グリッド電極に交流電圧印加するこ
とにより、荷電粒子はグリッド電極が配置された2次電
子検出手段と試料との間を往復運動するが、電子とイオ
ンとではグリッド電極の交流電圧による振幅はイオンよ
り電子の方が格段に大きいので、2次電子は2次電子検
出手段によって収集され、イオンはグリッド電極近傍に
トラップされるようになり、最終的にはイオンはグリッ
ド電極によって収集されるため、試料の正へのチャージ
アップを防ぐことができ、良好な観察像を得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はこの発明の第1実施例に係る走査型電子
顕微鏡の概略構成を示す縦断面図である。
【図2】図2は図1の走査型電子顕微鏡の一部を拡大し
た断面図である。
【図3】図3は第1実施例の変形例に係る走査型電子顕
微鏡の要部を示す断面図である。
【図4】図4は従来の環境制御型の走査型電子顕微鏡の
概略構成を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 真空室 2 試料室 3 圧力制限アパーチャ板 3a アパーチャ 5 対物レンズ 6,18 真空ポンプ 7 試料 8,11,20 可変電圧源 9,12 プリアンプ 10 2次電子検出器 15 電子銃 16 コンデンサーレンズ 17 電磁偏向器 19 グリッド電極 20 可変電圧源

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子線源から射出した電子線の通路を形
    成する真空室と、 前記真空室に圧力制限開口を挟んで連結され、電子増倍
    作用のある気体が供給されると共に、試料が収納される
    試料室と、 前記電子線源により発生した電子線を前記圧力制限開口
    を通して前記試料室に収納された試料上に集束する集束
    手段と、 前記集束された電子線を前記試料上で走査する走査手段
    と、 前記試料室に配置され、前記試料から発生した後に前記
    気体により電子増倍された2次電子を検出する2次電子
    検出手段と、を有する走査型電子顕微鏡において、 前記2次電子検出手段と前記試料との間の前記試料室に
    配置され、前記気体の電子増倍作用により生じるイオン
    を収集するためのグリッド電極と、 前記2次電子検出手段と前記グリッド電極との間の電界
    が前記グリッド電極と前記試料との間の電界よりも大き
    くなるような電圧を、前記グリッド電極に印加する電圧
    源とを備えていることを特徴とする走査型電子顕微鏡。
  2. 【請求項2】 電子線源から射出した電子線の通路を形
    成する真空室と、 前記真空室に圧力制限開口を挟んで連結され、電子増倍
    作用のある気体が供給されると共に、試料が収納される
    試料室と、 前記電子線源により発生した電子線を前記圧力制限開口
    を通して前記試料室に収納された試料上に集束する集束
    手段と、 前記集束された電子線を前記試料上で走査する走査手段
    と、 前記試料室に配置され、前記試料から発生した後に前記
    気体により電子増倍された2次電子を検出する2次電子
    検出手段と、を有する走査型電子顕微鏡において、 前記2次電子検出手段と前記試料との間の前記試料室に
    配置され、前記気体の電子増倍作用により生じるイオン
    を収集するためのグリッド電極と、 このグリッド電極に交流電圧を印加する交流電圧源とを
    備えていることを特徴とする走査型電子顕微鏡。
JP5151192A 1993-05-28 1993-05-28 走査型電子顕微鏡 Pending JPH06338282A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5151192A JPH06338282A (ja) 1993-05-28 1993-05-28 走査型電子顕微鏡

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5151192A JPH06338282A (ja) 1993-05-28 1993-05-28 走査型電子顕微鏡

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06338282A true JPH06338282A (ja) 1994-12-06

Family

ID=15513281

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5151192A Pending JPH06338282A (ja) 1993-05-28 1993-05-28 走査型電子顕微鏡

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06338282A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004251800A (ja) * 2003-02-21 2004-09-09 Ricoh Co Ltd 表面電荷分布測定方法および装置
JP2006228586A (ja) * 2005-02-18 2006-08-31 Hitachi High-Tech Science Systems Corp 走査電子顕微鏡
JP2008145242A (ja) * 2006-12-08 2008-06-26 Sii Nanotechnology Inc 原子間力顕微鏡の加工用ダイヤモンド探針の観察方法及び加工方法
JP2009245939A (ja) * 2008-03-31 2009-10-22 Fei Co マルチステージ・ガス・カスケード増幅器
WO2009139461A1 (ja) * 2008-05-16 2009-11-19 株式会社日立ハイテクノロジーズ 電極ユニット、及び荷電粒子線装置

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004251800A (ja) * 2003-02-21 2004-09-09 Ricoh Co Ltd 表面電荷分布測定方法および装置
JP2006228586A (ja) * 2005-02-18 2006-08-31 Hitachi High-Tech Science Systems Corp 走査電子顕微鏡
JP4636897B2 (ja) * 2005-02-18 2011-02-23 株式会社日立ハイテクサイエンスシステムズ 走査電子顕微鏡
JP2008145242A (ja) * 2006-12-08 2008-06-26 Sii Nanotechnology Inc 原子間力顕微鏡の加工用ダイヤモンド探針の観察方法及び加工方法
JP2009245939A (ja) * 2008-03-31 2009-10-22 Fei Co マルチステージ・ガス・カスケード増幅器
WO2009139461A1 (ja) * 2008-05-16 2009-11-19 株式会社日立ハイテクノロジーズ 電極ユニット、及び荷電粒子線装置
JP2009277587A (ja) * 2008-05-16 2009-11-26 Hitachi High-Technologies Corp 電極ユニット、及び荷電粒子線装置
US8153966B2 (en) 2008-05-16 2012-04-10 Hitachi High-Technologies Corporation Electrode unit and charged particle beam device

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5396067A (en) Scan type electron microscope
CA1293337C (en) Secondary electron detector for use in a gaseous atmosphere
JP5053359B2 (ja) 荷電粒子ビーム器具用の改善された検出器
EP1028452B1 (en) Scanning electron microscope
JP2919170B2 (ja) 走査電子顕微鏡
JP4176159B2 (ja) 改善された2次電子検出のための磁界を用いた環境制御型sem
JPH09171791A (ja) 走査形電子顕微鏡
US6184525B1 (en) Environmental SEM with a multiple fields for improved secondary electron detection
US5500528A (en) Scanning electron microscope
JPH06338282A (ja) 走査型電子顕微鏡
JPH0660841A (ja) 走査型電子顕微鏡
JPH0935679A (ja) 走査電子顕微鏡
US4107527A (en) Ion-emission microanalyzer microscope
JPH06338280A (ja) 環境制御型の走査型電子顕微鏡
EP0278736A2 (en) Secondary ion mass spectrometer
US6833546B2 (en) Scanning electron microscope
JPH03295141A (ja) 検出器
JPH06236744A (ja) 走査型電子顕微鏡
JPH01115042A (ja) 走査型電子顕微鏡の試料台
JPH08124512A (ja) 反射電子検出器を備えた粒子線装置
JP2001110350A (ja) 荷電粒子線装置
JPH06223763A (ja) 走査型電子顕微鏡
JP2000182557A (ja) 荷電粒子線装置
JPS60189855A (ja) 2次電子検出器
JPH06187940A (ja) 荷電粒子検出器

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20030401