JPH0633808Y2 - 根切機の駆動部の給油機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、例えば木材を伐採するほか、その根を伐採
するのに使用し、オイル・タンク内に溜められた潤滑油
を減速機構部を収容するギヤボックスとチェーンを支持
する支持バーとに給油するようになした根切機の駆動部
の給油機構に関する。

〔従来の技術〕

木を伐採後、土中に残った根幹を整理したり、または庭
木用素材を得るのに山や植木畑等に植わっている樹木を
移植するためには、採取後の樹木の枯死を防止する観点
から、木の根幹を周囲の土と一緒に掘り起こす作業を必
要とする。

これには、通常、スコップ、鍬等を用いて人力により木
の根を鋸により切断しながら、根の周囲の土を掘起こし
たり、または専用の根切機を用いて自動的に根毎、木の
周囲の土を切断する等して作業を行っていた。

この場合、木材切断用の従来のチェーン・ソー（ダイレ
クト・ドライブ用のチェーン・ソー）をそのままチェー
ン、およびチェーンを支持するための支持バーを土中に
差込んで使用するわけにはいかない。

すなわち、従来のチェーン・ソーにおいては木材の切断
用として設計される構造であるので、チェーンの切歯が
土、石等との磨耗によって破損してしまう。従って、チ
ェーン自体を耐磨耗性の高い切歯を有するチェーンに交
換する必要があること、また木を切断する時よりも土に
おいてチェーンおよびチェーンを支持するための支持バ
ーを移動させる時の方が、駆動源としてのエンジンに大
きな負荷がかかり、エンジンが故障を生じたり、短命に
なるので、駆動源としてのエンジンの出力シャフトと、
この出力シャフトに取付けられてチェーンへ動力を伝達
するためのロータ部品との間に出力シャフトからの出力
を変換するための減速機構部を設けることによってチェ
ーンの回転速度を低くして高回転トルクを得る等の工夫
を必要とする。

本出願人はかかる観点から、実願平１−074897号（実開
平３−016201号）として根切機等における駆動部の減速
機構を出願済である。

この出願は、エンジンの駆動によって回転自在になる出
力シャフトと、該出力シャフトの回転を減速して受動
し、チェーンを駆動するためのロータ部品に回転を伝達
する数枚のギヤを組合わせた減速機構部とをチェーン・
ソー本体の基枠の一側に設けたギヤボックス内に収容す
る構造である。

そしてチェーンの回転を円滑にして耐磨耗性を防止する
ために、前記基枠の外側に備えたオイル・タンク内に溜
められた潤滑油を前記基枠に２本の取付ボルトを用いて
取付けられる２つの割りの支承部内を通ずる給油通路に
よりチェーンの支持バーの溝へ給油し、チェーンの駆動
を滑らかにする。

他面、減速機構部を構成する数枚の歯車部品を回転自在
に収納するように、チェーン・ソー本体の一側に設けら
れたギヤボックス内には歯車部品が回転する際の摩擦に
よって磨耗するのを防止するために、オイル・タンク内
に溜められたオイルとは異なるグリス等の粘着性が高い
潤滑油を前記給油通路とは別の給油通路を通じてギヤボ
ックス内に給油していた。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら上記根切機の駆動部の給油機構は、ギヤボ
ックス内に供給する潤滑油の消耗が激しく、逐一、ギヤ
ボックス内に給油するための手間がかかっていた。

この考案はかかる点に鑑みてなされたものであり、チェ
ーンに給油するためにオイル・タンク内に溜められた同
一の潤滑油を自動的にチェーンの支持バーと、ギヤボッ
クス内に給油し、給油の手間を簡便に行なえるようにな
した。

〔課題を解決するための手段〕

この考案は上記点に鑑みてなされたものであり、オイル
・タンクを備えたチェーン・ソー本体の基枠の外部に、
エンジンによって駆動される出力シャフトを突出し、前
記基枠の一側には２つ割りの支承部を衝合の上、チェー
ンの支持バーを適宜数個の取付ボルトを介して取付け、
前記支承部の他側には前記出力シャフトの延長端に取付
けられたチェーン駆動用のスプロケットの減速機構部を
収容するギヤボックスを形成し、前記オイル・タンクに
一端を、また他端が支持バーに通ずる給油通路を前記支
承部内に横切って設けた根切機の駆動部の給油機構にお
いて、前記ギヤボックスに臨む他の給油機構を前記給油
通路から分岐して設け、２つ割りの該給油通路を通じて
前記オイル・タンク内の油を給油するという手段を採用
した。

〔作用〕

ポンプが駆動すると、オイル・タンク内い溜められた潤
滑油は、チェーン・ソー本体の基枠の一側に取付けられ
る支承枠内と、これから分枝して設けたそれぞれの給油
通路を通じてチェーンの支持バーと、ギヤボックス内に
収容された減速機構部の歯車部品に給油される。

〔実施例〕

以下、図面に従ってこの考案の一実施例につき説明す
る。

１はチェーン・ソー本体の基枠であり、この基枠１の外
側には潤滑油が収容されるオイル・タンク２が備えられ
ている。３は図示しないエンジンによって駆動され、前
記基枠１の外部に回転自在に突出される出力シャフトで
ある。

４は前記基枠１の一側に２本の取付ボルト５、５を用い
て取付けられる２つ割りの支承部構成片4A,4Bにて形成
される後記支持バー10の支承部であり、この支承部４の
他側にはチェーン６を駆動するロータ部品としてのスプ
ロケット７の回転を減速するための減速機構部８を収容
するギヤボックス９が形成される。

10は前記支承部４の支承部構成片4Aの外側に前記スプロ
ケット７に対向するように、前記取付ボルト５、５の先
端のネジ部5a,5bに、マウント・バー11を介してナット1
2を螺合することによって着脱自在に基端が取付けられ
る支持バーであり、この支持バー10の外周に設けられた
溝部10aには前記チェーン６が回転可能に捲回されて収
容される。

前記取付ボルト５、５は、チェーン６を耐磨耗性のもの
に交換するために、先端には前記基枠１に螺合されるネ
ジ部5bが形成され、中間には２つ割りの前記支承部構成
片4A,4B相互を衝合して前記基枠１の一側に固定するた
めのナット13が螺合されるネジ部5cが形成されている。

前記減速機構部８は、出力シャフト３に取付けられたク
ラッチ・シュー14に摩擦、係合して回転自在になる回転
ドラム15に同軸に配置された略筒状の駆動歯車16と、こ
の駆動歯車16に噛合する大径の歯車17と、この大径な歯
車17に同軸な小径歯車17aに噛合する大径な歯車18とか
ら形成される。

この歯車18の入力側の軸部18aは前記駆動歯車16の出力
端側の開口部内にベアリングを介して回転自在に支承さ
れ、また軸部18aの出力側には前記スプロケット７が、
前記ギヤボックス９の開口部9aを被閉するためのダスト
・プロテクター19とチェーン抑板20とを前後重合するよ
うに配して前記軸部18aのネジ部18bにナットＮを締付、
固定することによって取付けられる。

21は前記オイル・タンク２内の潤滑油を支持バー10に圧
送するための給油手段であり、この給油手段21としては
オイル・タンク２内に溜められた潤滑油を吸引管22を介
してポンプＰにより一端がオイル・タンク２内の前記吸
引管22に、また他端が前記支持バー10の内側に設けた開
設部10bに連通して前記支承部４、すなわち支承部構成
片4A,4B内を横切るように設置された給油通路23および
開設部10bを通じて前記支持バー10の溝10a内いオイル・
タンク２内の潤滑油を圧送する。

24は前記オイル・タンク２内に溜められた潤滑油を前記
ギヤボックス９内に供給するための他の給油通路であ
り、この給油通路24は前記支承部構成片4A,4Bの衝合面
に介在されるガスケット材25に前記給油通路23より分枝
されてその一端（先端側）が前記ギヤボックス９に連通
されることにり前記オイル・タンク２内の潤滑油をギヤ
ボックス９内に給油する。

この考案の一実施例は以上のような構成からなり、樹木
の根切等を行うためにエンジンが駆動して出力シャフト
３が回転されると、この出力シャフト３に取付けられて
いるクラッチシュー14も出力シャフト３と一体に回転し
て遠心力により拡がって回転ドラム15の内周に摩擦、係
合することにより、出力シャフト３からの回転は回転ド
ラム15に伝達され、駆動歯車16を回転する。

そして出力シャフト３の回転は、減速機構部８の駆動歯
車16、歯車17、終段の歯車18を介して減速され、ロータ
部品としてのスプロケット７が回転され、チェーン６は
回転される。

この時、ポンプＰが駆動されると、吸引管22を介してオ
イル・タンク２内に溜められた潤滑油は吸引され、次い
で支承部４内に横切るように設けられた給油通路23およ
びこの給油通路23に接続するようにチェーン６の支持バ
ー10に設けた開設部10bを通じて潤滑油は自動的に支持
バー10の外周に設けた溝10a内に供給され、チェーン６
の駆動を滑らかにし、木材に対する磨耗を少なくする。

しかもこの給油通路24に分岐して支承部構成片4Aと支承
部構成片4Bとの衝合面に介在されるガスケット材25に設
けられた給油通路24を通じてオイル・タンク２内の潤滑
油はポンプＰにより自動的にギヤボックス９内に給油さ
れる。

なお、上記実施例においてはポンプＰによって潤滑油を
チェーン６の支持バー10に供給するようにギヤボックス
９内に設けられた給油通路23の途中から分岐してギヤボ
ックス９内に連絡するうように給油通路24がガスケット
材25に設けられているが、ガスケット材25ではなく、支
承部構成片4Aまたは支承部構成片4Bの衝合面の何れか一
方、または双方に直接にギヤボックス９内に伸びる給油
通路24を形成するようにしてもよい。

〔考案の効果〕

以上のようにこの考案は、エンジンが駆動すると、ポン
プ等の圧送手段が駆動することにより、オイル・タンク
内に溜められた潤滑油は、２つ割り構造の支承部構成片
を横切るように、またはこれから分枝するように設けら
れた異なる２つの給油通路を通じてチェーンの支持バー
および減速機構部の歯車部品を収納するギヤボックス内
に自動的に給油される。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す正面図、 第２図は分解斜視図、 第３図は第１図のＩ−Ｉ断面図、 第４図は同じく第１図のII-II断面図である。 ２…オイル・タンク、３…出力シャフト、４…支承部、
4A,4B…支承部構成片、６…チェーン、７…スプロケッ
ト、８…減速機構部、９…ギヤボックス、10…支持バ
ー、23,24…給油通路、25…ガスケット材。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】オイル・タンクを備えたチェーン・ソー本
   体の基枠の外部にエンジンによって駆動される出力シャ
   フトを突出し、前記基枠の一側には２つ割りの支承部を
   衝合の上、チェーンの支持バーを適宜数個の取付ボルト
   により取付け、前記支承部の他側には前記出力シャフト
   の延長端に取付けられたチェーン駆動用のスプロケット
   の減速機構部を収容するギヤボックスを形成し、前記オ
   イル・タンクに一端を、また他端が前記支持バーに通ず
   る給油通路を前記支承部内に横切って設けた根切機の駆
   動部の給油機構において、前記ギヤボックスに臨む他の
   給油通路を前記給油通路から分岐して設け、２つの該給
   油通路を通じて前記オイル・タンク内の潤滑油を給油す
   ることを特徴とした根切機の駆動部の給油機構。
2. 【請求項２】前記ギヤボックスに連通する他の給油通路
   を２つの割りの支承部の衝合面に介在するガスケット材
   に形成したことを特徴とする請求項第１項記載の根切機
   の駆動部の給油機構。