JPH06337533A - 電子写真感光体およびその製造方法 - Google Patents

電子写真感光体およびその製造方法

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JPH06337533A
JPH06337533A JP14987293A JP14987293A JPH06337533A JP H06337533 A JPH06337533 A JP H06337533A JP 14987293 A JP14987293 A JP 14987293A JP 14987293 A JP14987293 A JP 14987293A JP H06337533 A JPH06337533 A JP H06337533A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高感度で解像度が高く、干渉模様の発生がな
く、高画質のプリントを出力できるレーザビームプリン
ター用の電子写真感光体を提供する。 【構成】 電子写真感光体は、粗面を有する導電性基体
と中間層と、水素、ハロゲン、第III 族元素および第V
族元素の少なくとも1種の元素を含有するアモルファス
シリコンを主体とする光導電層とを有し、中間層の表面
が導電性基体の表面よりも平滑である。この感光体は、
光導電層がアモルファスシリコン層とアモルファスシリ
コンゲルマニウム層とからなり、中間層と光導電層の間
に電荷注入阻止層、光導電層上に反射防止層および表面
層を設けることが望ましい。また、導電性基体の表面は
0.05〜5μmの微小な凹凸を有し、中間層は、アル
コキシ基またはアセチルアセトン等のキレート環を有す
るシリコン化合物、チタン化合物またはジルコニウム化
合物の乾燥硬化物よりなり、塗布法により形成されるこ
とが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真感光体、特に
半導体レーザビームプリンター用電子写真感光体および
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子写真方式を用いたレーザビー
ムプリンターがパーソナルコンピュータ、ワードプロセ
ッサ等の出力用端末として急速に普及してきた。このレ
ーザビームプリンターに用いられる感光体は赤外感度の
ある有機感光体が用いられている。しかしながら、赤外
感度、帯電特性に優れた点があるとはいえ、耐久性、耐
刷性が不足しているという問題があった。一方、長寿命
感光体としてアモルファスシリコンを有する感光体が開
発され、実用化されているが、アモルファスシリコンは
一般的に用いられている半導体レーザの780nmの波
長領域で光学吸収が小さく、結果としてアモルファスシ
リコン感光体の感度は750nmより長波長領域で急激
に低下し、半導体レーザの光は光導電層に全て吸収され
ない。その結果、表面反射光との干渉による画像上での
木目状の濃淡模様が現れ、画質を損なうものとなる。
【0003】この対策としては、特開昭54−8634
1に開示されているような反射防止層を設けることが提
案されているが、完全に消去することは困難であった。
また、基体の表面に周期的な凹凸を付与したり(特開昭
60−168156)、ランダムで微小な凹凸を付与し
(特開昭62−69272、特開昭63−2091
2)、基体上でのレーザ光の正反射光を減少させ、干渉
を減少させることが提案されている。この方法による
と、基体表面の凹凸がアモルファスシリコンの成膜後に
拡大し、感光体表面が粗面になり、解像度やクリーニン
グ性の低下あるいは欠陥の発生につながるという問題が
あった。また、アモルファスシリコン感光体の基体とし
ては、膜欠陥の防止のために高品位のアルミ基板が用い
られており[特開昭61−9546、特開昭61−95
47、T.Fukuda,S.Shirai,K.Sa
itoh & H.Ogawa,Optoelectr
onics,vol,p273(1989)]、結果
的にコスト高の原因となっていた。膜欠陥は黒点や白点
等の画質欠陥の発生原因となり、特に繰り返し複写、プ
リントによって出現するものも少なくないことから、信
頼性に欠ける原因となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、この
ようなアモルファスシリコン電子写真感光体における欠
点を解消し、高感度で信頼性の高い長寿命の電子写真感
光体を低コストで提供することにある。本発明の他の目
的は、解像度が高く、干渉模様の発生がなく、高画質の
プリントを出力できるレーザビームプリンター用の電子
写真感光体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述の問題
点を解消すべく鋭意研究を重ねた結果、粗面化した導電
性基体の表面よりその上に被覆する中間層の表面を滑ら
かにすることにより、高画質で解像度が高く、干渉模様
の発生のないレーザビームプリンターに適した電子写真
感光体が得られ、さらに、粗面化した導電性基体上に中
間層を塗布法によって形成することにより、ドライプロ
セスにおける薄膜の成長過程とウェットプロセスにおけ
る薄膜形成の下地形状依存性の違いを利用して、感光体
の画像特性における下地の影響を最小限に止めるかある
いはその影響を完全に排除できることを見出して、本発
明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明の電子写真感光体は、粗
面を有する導電性基体と中間層と、水素、ハロゲン、周
期律表第III 族元素および第V族元素から選ばれる元素
の少なくとも1種を含有するアモルファスシリコンを主
体とする光導電層とを有し、中間層の表面が導電性基体
の表面よりも平滑であることを特徴とする。本発明の電
子写真感光体は、導電性基体の表面が0.05〜5μm
の微小な凹凸を有し、中間層がシリコン化合物、チタン
化合物およびジルコニウム化合物の1種または2種以上
の乾燥硬化物よりなり、中間層が塗布法により形成され
ることがそれぞれ好ましい。これらの化合物は、アルコ
キシ基およびアセチルアセトンのキレート環(アセチル
アセトナト環)のいずれかまたは両方を有していること
が好ましい。
【0007】本発明の電子写真感光体は、また、中間層
と光導電層の間に電荷注入阻止層を設けてもよく、光導
電層より表面側に反射防止層を、更には最上位層に表面
層を設けることが望ましい。電荷注入阻止層、反射防止
層および表面層は、そのいずれか1層だけあるいはこれ
らの中の2層または3層全てを同時に設けることができ
る。電子写真感光体の各層は、下記のような層から形成
されることが好ましい。すなわち、電荷注入阻止層は、
水素、ハロゲン、周期律表第III 族元素、第V族元素、
炭素、窒素および酸素から選ばれる元素の少なくとも1
種を含有するアモルファスシリコンからなる。光導電層
は、水素、ハロゲン、周期律表第III 族元素、第V族元
素、炭素、窒素および酸素から選ばれる元素の少なくと
も1種を含有するアモルファスシリコンを主体とする層
と、水素、ハロゲン、周期律表第III 族元素およびを第
V族元素から選ばれる元素の少なくとも1種を含有する
アモルファスシリコンゲルマニウムを主体とする層とか
らなる。表面層は、水素、ハロゲン、周期律表第III 族
元素、第V族元素、炭素、窒素および酸素から選ばれる
元素の少なくとも1種を含有するアモルファスシリコン
層、または水素、ハロゲン、周期律表第III 族元素およ
び第V族元素から選ばれる元素の少なくとも1種を含有
するアモルファス炭素層からなる。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。図1〜図
3に本発明の電子写真感光体の縦断面図を示す。図1に
は、導電性基体1上に表面が基体よりも平滑な中間層2
とアモルファスシリコンを主体とする光導電層3を順次
積層した感光体が示されている。図2においては、中間
層2と光導電層3の間に電荷注入阻止層4および光導電
層3上に表面層5が設けられており、表面層5は反射防
止層に置き換えるすることができる。また、図3におい
ては、アモルファスシリコンおよび/またはアモルファ
ス炭素の2層構造(5a、5b)からなる表面層5を設
けた感光体が示されているが、表面層5aを反射防止層
に置き換えるすることもできる。
【0009】本発明において、導電性基体を構成する支
持体としては、導電性支持体または絶縁性支持体のいず
れを用いてもよい。導電性支持体としては、ステンレス
鋼、アルミニウム、ニッケル、クロム等の金属およびそ
の合金が挙げられる。ステンレス鋼の中では、一般にオ
ーステナイト系ステンレス鋼と称されるCr−Ni含有
鋼で形成されているものを用いることができる。さらに
また、これらのオーステナイト系ステンレス鋼よりなる
導電性支持体の表面に、少なくともモリブデン、クロ
ム、マンガン、タングステンまたはチタンを主成分とす
る導電層を形成させたものが好ましく使用される。これ
らの導電層は、メッキ処理、スパッタリング法または蒸
着法によって形成することができる。また、アルミニウ
ム基板上にクロム、チタン、タングステンまたはモリブ
デンを主成分として形成された導電層を有するものを用
いることができる。さらにまた、モリブデン、タングス
テンまたはチタンから構成される導電性支持体を用いる
こともできる。絶縁性支持体としては、ポリエステル、
ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ
アミド、ポリイミド等の高分子フィルムまたはシート、
ガラス、セラミック等が挙げられる。絶縁性支持体を用
いる場合は、少なくとも他の層と接触する面に導電化処
理が施される。導電化処理は、上記導電性金属の他に、
金、銀、銅等を蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ
ーティング法で金属膜を絶縁性支持体上に形成すること
により行われる。
【0010】本発明において、粗面を有する導電性基体
は、バフ研磨、砥石研磨等により研磨剤の粗さを粗粒か
ら微粒に変えながら、表面をより平滑に研磨したものを
用いることができる。基体表面は細い筋により曇り状に
なっていてもよい。また、研削、サンドブラスト、ホー
ニング加工等により、表面に微小な凹凸を付与した導電
性基体を好ましく使用することができる。凹凸のピッチ
は規則的であっても、不規則でランダムであってもよ
い。研磨または凹凸付与後の表面粗さは、Rmax で0.
05〜5μmの範囲が適当であり、好ましくは0.1〜
3μmである。また、導電性基体の膜厚は、0.5〜5
0mmの範囲が適当であり、好ましくは1〜20mmで
ある。
【0011】本発明の中間層は、シリコン化合物、チタ
ン化合物、ジルコニウム化合物の1種以上の乾燥硬化物
より形成される。中間層の形成に適したシリコン化合物
としては、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルト
リエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキ
シ)シラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−
アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノ
エチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N
−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジ
メトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチ
ルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ト
リメチルメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラ
ン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジエトキ
シシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラ
ン、テトラn−プロポキシシラン等のシランカップリン
グ剤;テトラメチルグリコールシリケート、テトラエチ
ルグリコールシリケート、メチルポリシリケート、エチ
ルポリシリケート等のシリケート化合物;この他に、シ
リコンハードコートとして市販されているものなどを使
用することができる。これらのシリコン化合物にはシリ
カゾルを含んでいてもよい。
【0012】中間層の形成に適したチタン化合物として
は、オルソチタン酸エステル、ポリオルソチタン酸エス
テル等のオルソチタン酸の有機誘導体、あるいはチタン
キレート化合物、チタンカップリング剤などを使用する
ことができる。オルソチタン酸エステルは、下記の一般
式(I)で表される。 式中のR1 、R2 、R3 およびR4 は、同一でも異なっ
ていてもよく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、
i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、ヘキシ
ル基、オクチル基、ノニル基、セチル基、ステアリル
基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基、ベンジ
ル基等の炭化水素残基を示し、水酸基等の置換基を有す
る炭化水素基や置換アミノ基であってもよい。オルソチ
タン酸エステルの具体例としては、好ましくは、テトラ
メチルオルソチタネート、テトラエチルオルソチタネー
ト、テトラn−プロピルオルソチタネート、テトライソ
プロピルオルソチタネート、テトラn−ブチルオルソチ
タネート、テトライソブチルオルソチタネート、2−エ
チルヘキシルオルソチタネート、ノニルオルソチタネー
ト、セチルオルソチタネート、ステアリルオルソチタネ
ート、クレジルオルソチタネート、ジイソプロピル−ビ
ス−トリエタノールアミノチタネート等が挙げられる。
【0013】ポリオルソチタン酸エステルは、下記の一
般式(II)で表される。
【化1】 (式中、R1 、R2 、R3 およびR4 は、それぞれ一般
式(I)で例示したような炭化水素残基を示し、nは2
以上の整数を意味する。)ポリオルソチタン酸エステル
としては、ポリブチルチタネート、ポリクレジルチタネ
ートをはじめ、上記オルソチタン酸エステルのポリマー
が挙げられる。
【0014】チタンキレート化合物は、下記の一般式
(III )で表される。 Ti(L)n 4-n (III ) (式中、Lは酸素配位の配位子を示し、Xはエステル残
基を示す。nは1〜4の整数を意味する。)上記Lとし
ては、ヘキサンジオール、オクタンジオール等のグリコ
ール、アセチルアセトン等のβ−ジケトン、乳酸、リン
ゴ酸、酒石酸、サリチル酸等のヒドロキシカルボン酸、
アセト酢酸エステル等のケト酸エステル、ジアセトンア
ルコール等のケトアルコールなどのチタンに配位する酸
素含有化合物の配位子や、トリエタノールアミン等のア
ミノアルコールが挙げられる。チタンキレート化合物の
具体例としては、好ましくは、ビスヘキサンジオラトビ
スイソプロポキシチタン、ビスオクタンジオラトビスイ
ソプロポキシチタン、ビスアセチルアセトナトビスイソ
プロポキシチタン、ビスアセチルアセトナトチタンオキ
シド、ポリアセチルアセトナトチタン、ラクタトチタ
ン、ラクタトエトキシチタン、ラクタトチタン酸アンモ
ニウム、アセチルアセトナトラクタトチタン酸アンモニ
ウム、トリエタノールアミナトチタン等が挙げられる。
【0015】チタンカップリング剤としては、イソプロ
ピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルト
リドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロポ
キシチタントリ(ジオクチルピロホスフェート)、テト
ライソプロピルチタネートビス(ジオクチルホスファイ
ト)、テトラオクチルチタネートビス(ジトリデシルホ
スファイト)、テトラ[2,2−ジ−(アリルオキシメ
チル)ブチル]チタネートビス(ジトリデシルホスファ
イト)、オキソエチレンジオキシチタンビス(ジオクチ
ルピロホスフェート)、エチレンジオキシチタンビス
(ジオクチルピロホスフェート)等が挙げられる。
【0016】中間層の形成に適したジルコニウム化合物
としては、ジルコニウムアルコキシド(ジルコニウム酸
エステル)、ジルコニウム錯体、ジルコニウムキレート
化合物等を使用することができる。ジルコニウムアルコ
キシドとしては、ジルコニウムテトラn−プロポキシ
ド、ジルコニウムテトラn−ブトキシド等が挙げられ、
また、ジルコニウム錯体としては、ジルコニウムトリフ
ルオロアセチルアセトン等が挙げられる。ジルコニウム
キレート化合物の配位子としては、前記符号Lで示され
る酸素含有化合物の配位子が挙げられる。このキレート
化合物の具体例としては、好ましくは、テトラキスアセ
チルアセトナトジルコニウム、ビスアセチルアセトナト
ビスブトキシジルコニウム、アセチルアセトナトトリス
ブトキシジルコニウム、アセトアセタトテトラキスエチ
ルジルコニウム、アセトアセタトブトキシトリスエチル
ジルコニウム、アセトアセタトビスブトキシビスエチル
ジルコニウム、アセトアセタトエチルトリスブトキシジ
ルコニウム、ラクタトテトラキスエチルジルコニウム、
ラクタトビスブトキシビスエチルジルコニウム、アセト
アセタトビスアセチルアセトナトビスエチルジルコニウ
ム、アセトアセタトアセチルアセトナトトリスエチルジ
ルコニウム、ラクタトビスアセチルアセトナトビスエチ
ルジルコニウム等が挙げられる。
【0017】以上の周期律表第IV族化合物の中でも、第
IV族元素にアルコキシ基が置換したアルコキシド化合物
(第IV族元素の酸エステル)、第IV族元素にアセチルア
セトンが配位してアセチルアセトナ環を形成したキレー
ト化合物やアセチルアセトナ環を形成したアルコキシド
化合物等が、好ましく用いられる。また、第IV族化合物
は単独でもあるいは2種以上の混合物として用いること
ができる。中間層の形成に際しては、接着性の改善、抵
抗値の制御等の理由から、結着樹脂との混合物として用
いることもでき、必要に応じて、第IV族化合物に水、
酸、アルカリを加えてもよい。
【0018】中間層の形成は、スプレー塗布、浸漬塗
布、ナイフ塗布、ロール塗布等の適宜の方法が採用でき
る。すなわち、第IV族化合物の塗布液を塗布した後、室
温〜250℃の温度で放置または加熱しながら乾燥、硬
化させて、第IV族化合物の乾燥硬化物からなる中間層を
形成することができる。この乾燥、硬化処理は、大気中
でも窒素気流中でもあるいは溶剤揮発後真空中で行って
もよい。また、塗布液中の第IV族化合物の濃度を段階的
または連続的に変えながら、塗布液を複数回塗布して中
間層に濃度勾配をもたせることもできる。さらに、中間
層は濃度勾配をもたせるかあるいはもたせることなく複
数層形成してもよい。一方、干渉模様や画質欠陥の発生
のない感光体を製造するためには、形成される中間層の
表面を導電性基体より平滑にする必要がある。その表面
粗さは、導電性基体と相対的な関係にあり、一義的に述
べることは困難であるが、Rmax で一般に2μm以下、
特に1.0μm以下とすることが好適である。上述の塗
布法によって中間層を形成すると、その表面を容易に平
滑に仕上げることができ、最終的に感光体の表面も平滑
となる。また、中間層の膜厚は、任意に設定されるが、
3μm以下、特に0.1〜1μmの範囲が好適である。
【0019】本発明の電子写真感光体は中間層上に光導
電層を有する。所望により、中間層と光導電層の間に電
荷注入阻止層を、また光導電層上に反射防止層および/
または表面層を設けることが望ましい。電荷注入阻止層
は、基板または光導電層との接着性、電荷注入阻止能を
向上させるために、水素、ハロゲン、第III 族元素、第
V族元素、炭素、窒素および酸素の少なくとも1種を含
有するアモルファスシリコンからなる。添加元素として
第III 族元素または第V族元素のいずれを用いるかは、
感光体の帯電極性によって決められる。電荷注入阻止層
の膜厚は0.01〜10μmの範囲が適当であり、好ま
しくは0.1〜10μmである。本発明においては、電
荷注入阻止層と導電性基体との間に、更に接着層等の補
助層を設けてもよい。この補助層は、例えば炭素、窒
素、酸素等の少なくとも1種を含有するアモルファスシ
リコンからなる。アモルファスシリコンに炭素、窒素、
酸素を含有するa−SiCx 、a−SiNy 、a−Si
z の場合、含有量x、y、zは、それぞれ0.01<
x<0.5、0.01<y<0.3、0.01<z<
0.5の範囲が好ましい。補助層の膜厚は0.1〜3μ
mの範囲が好ましい。
【0020】光導電層は、水素、ハロゲン、第III 族元
素および第V族元素の少なくとも1種を含有するアモル
ファスシリコンを主体とする層(以下、a−Si層とい
う)からなる。この光導電層は、水素およびハロゲンの
少なくとも1種を含有するアモルファスシリコンを主体
として形成され、これに不純物元素としてホウ素等の第
III 族元素またはリン素等の第V族元素を含有させて、
電荷保持性を高めることが好ましい。特にハロゲンは暗
減衰を低下させるのに効果がある。水素および/または
ハロゲンの含有量は3〜40原子%の範囲が適当であ
る。また、第III族元素または第V族元素の含有量は、
感光体の帯電極性、必要な分光感度によって決定され、
0.01〜1000ppmの範囲が適当である。光導電
層には、帯電性の向上、暗減衰の低減、感度の向上等の
目的で、更に炭素、窒素、酸素等の元素を添加すること
も可能である。また、ゲルマニウムおよびスズの少なく
とも1種が含有されていてもよい。光導電層の膜厚は1
〜100μmの範囲が好ましい。本発明においては、光
導電層は電荷発生層と電荷輸送層との二種類から構成さ
れていてもよい。
【0021】本発明において、光導電層は、また、水
素、ハロゲン、第III 族元素、第V族元素、炭素、窒素
および酸素の少なくとも1種を含有するa−Si層と、
水素、ハロゲン、第III 族元素および第V族元素の少な
くとも1種を含有するアモルファスシリコンゲルマニウ
ムを主体とする層(以下、a−SiGe層という)とか
らなる積層構造であってもよい。a−Si層は可視光域
において高い光感度を有しており、a−SiGe層は特
に750〜800nmの長波長域において高い光感度を
有する。したがって、両者を組み合わせることによって
可視光から800nmまでの長波長域にわたって高い光
感度を示す。両者の積層構造は、通常a−Si層とa−
SiGe層の順であるが、a−Si層とa−SiGe層
を逆の順で積層しても、あるいはa−SiGe層がa−
Si層により挟まれたサンドウィッチ状であってもよ
い。
【0022】a−SiGe層との組み合わせにかかる上
記a−Si層は、光導電層として単層構造の前記a−S
i層と同様のものが用いられる。他方、a−SiGe層
にあっては、ケイ素に対するゲルマニウムの原子比は
0.01〜1の範囲が好ましい。a−SiGe層の膜厚
は、0.1〜50μmの範囲が適当であり、好ましくは
0.5〜20μmである。このa−SiGe層には、光
導電性の改善のために、ハロゲンを1〜50原子%程度
含有させてもよい。また、暗減衰、残留電位および光疲
労を低減するために、ホウ素等の第III 族元素またはリ
ン素等の第V族元素を含有させておくことが好ましい。
その場合、例えばケイ素およびゲルマニウムに対するホ
ウ素の含有量は、ケイ素およびゲルマニウム量と感光体
の帯電極性とにより決定されるが、0.01〜1000
ppmの範囲が適当であり、好ましくは0.1〜100
ppmである。また、リンの含有量は、ケイ素およびゲ
ルマニウム量と感光体の帯電極性とにより決定される
が、0.01〜100ppmの範囲が適当であり、好ま
しくは0.01〜10ppmである。さらに、前述と同
様の目的で、炭素、窒素および酸素の少なくとも1種を
含有させてもよい。
【0023】本発明においては、光導電層より表面側に
反射防止層を設けることが望ましい。反射防止層は、反
射スペクトルの極小値を使用する光源の波長に合わせる
ように膜厚と屈折率を調整すればよい。膜厚は屈折率を
nとするとλ(2m+1)/4n(ここに、λ:光源の
波長、m:0,1,2・・・)とすればよく、屈折率は
光導電層の屈折率n1 の平方根(n1 1/2 )に近似させ
ればよい。この屈折率は、シリコンに対する炭素、窒
素、酸素の含有量により約4から2まで変化させること
ができる。反射防止層は、電荷注入阻止層の役目を持っ
てもよいし、表面保護層の働きを兼ねてもよい。その膜
厚は、0.01〜5μmの範囲が適当であり、好ましく
は0.1〜2μmである。膜厚が、0.01μmより薄
い場合には、反射スペクトルの極小値を十分得ることが
できず、一方、5μmより厚い場合には、反射スペクト
ルのピーク幅が狭くなり、感光体の作製が膜厚分布等の
点から難しくなる。
【0024】本発明においては、感光体の最上位層に表
面層を設けることが望ましい。この表面層は、水素、ハ
ロゲン、第III 族元素、第V族元素、炭素、窒素および
酸素の少なくとも1種を含有するアモルファスシリコン
層からなるか、水素、ハロゲン、第III 族元素および第
V族元素の少なくとも1種を含有するアモルファス炭素
層からなる。第III 族元素、第V族元素は、電荷保持能
を向上させ、また残留電位を低下させるために、帯電極
性に応じて選択される。さらに、光透過率や電荷保持能
を向上させるために、炭素、窒素、酸素を添加すること
ができる。また、コロトロンへの付着物を阻止する目的
で、フッ素等のハロゲンを添加してもよい。これらのア
モルファスシリコン層および/またはアモルファス炭素
層は複数層積層されていてよい。図3はその例を示すも
のであって、表面層5が第一の表面層5aと第二の表面
層5bとの2層構造からなる。表面層が水素および/ま
たはハロゲンを含有するアモルファス炭素層の場合に
は、層中に含まれる多量の水素またはハロゲンは、層中
に鎖状の−CH2 −結合、−C(ハロゲン)2 −結合ま
たは分岐状の−CH3 結合を増加させ、結果として層の
硬度を損なうことになるため、層中の水素および/また
はハロゲンの量は50原子%以下であることが必要であ
る。また、表面層の膜厚は、0.01〜10μmの範囲
が適当であり、好ましくは0.1〜5μmである。表面
層は、純水の水滴による接触角が60°以上であること
が好ましく、特に80°以上であることがより好まし
い。また、表面硬度がビッカース硬度で500kg/m
2 以上あることが好ましく、1000kg/mm2
上であることがより好ましい。
【0025】次に、中間層上に設けられる前記各層を形
成する方法について説明する。中間層上に形成する各層
はいずれも、プラズマCVD法によるグロー放電分解
法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、真空
蒸着法等の手段によって形成することができるが、グロ
ー放電分解法が特に好ましい。その際、原料ガスとして
は、光導電層ならびに必要に応じて形成される補助層、
電荷注入阻止層および反射防止層の場合は、ケイ素を含
む主原料ガスが用いられ、また、表面層の場合は、ケイ
素を含む主原料ガスあるいは炭化水素またはそのハロゲ
ン置換体を含む主原料ガスが用いられる。
【0026】グロー放電分解法によってアモルファスシ
リコンまたはアモルファス炭素を形成する場合、ガス状
原料を減圧容器内に導入し、グロー放電を生起させれば
よい。原料ガスとしては、上記主原料ガスおよび必要に
応じて添加元素を含む原料ガスの混合ガスを用いる。こ
の混合ガスに更に水素ガスあるいはヘリウム、アルゴ
ン、ネオン等の不活性ガスをキャリアガスとして混合す
ることもできる。グロー放電分解は直流および交流放電
のいずれを採用してもよい。また、成膜条件は、周波数
5GHz以下(アモルファス炭素層を形成する場合は、
0.1〜2.45GHz、好適には5〜20MHz)、
反応器内圧10-5〜10Torr(0.001〜133
3Pa)[アモルファス炭素層を形成する場合は、0.
1〜5Torr(13.3〜667Pa)]、放電電力
10〜3000W、基体温度30〜300℃(アモルフ
ァス炭素層を形成する場合は、30〜400℃)であ
り、各層の膜厚は放電時間の調整により適宜設定するこ
とができる。
【0027】アモルファスシリコンまたはこれを主体と
する層を形成する場合は、ケイ素を含む主原料ガスとし
て、シラン類、特にシラン(SiH4 )および/または
ジシラン(Si2 6 )が使用される。本発明におい
て、ケイ素を含む主原料ガスと混合される原料ガスとし
ては、水素、ハロゲン、炭素、窒素(第V族元素の1
種)、酸素、第III 族元素、第V族元素等の添加元素を
含むガスが使用される。
【0028】水素を含む原料ガスとしては、通常水素ガ
スが用いられるが、主原料ガスおよび/または混合ガス
中に水素を含んでいれば、場合により特に添加しなくて
もよい。ハロゲンを含む原料ガスとしては、SiF4
SiCl4 、SiHF3 、SiHCl3 、SiH
2 2 、SiH2 Cl2 等を使用することができる。炭
素、窒素および酸素を含有させるための原料ガスとして
は、炭素を含む原料ガスでは、メタン、エタン、プロパ
ン、アセチレンのような炭化水素、CF4 、C2 6
ようなハロゲン化炭化水素を用いることができ、窒素を
含む原料ガスでは、N2 単体ガスや、NH3 、N
2 4 、HN3 等の水素化窒素化合物のガスを用いるこ
とができ、さらに、酸素を含む原料ガスでは、O2 、N
2 O、CO、CO2 等を用いることができる。第III 族
元素を含む原料ガスとしては、B、Al、Ga、In等
を含むガスを使用することができ、典型的にはジボラン
(B2 6 )が挙げられる。また、第V族元素を含む原
料ガスとしては、上記の窒素を含むガスの他に、P、A
s、Sb等を含むガスを使用することができる。典型的
にはホスフィン(PH3 )またはアンモニア(NH3
が挙げられる。前記a−SiGe層を形成するために
は、四水素化ゲルマニウム(GeH4 )等のゲルマンま
たは四フッ化ゲルマニウム(GeF4 )等のハロゲン化
ゲルマニウム含有ガスを使用することができる。
【0029】アモルファス炭素層を形成する主原料とし
ては次のようなものが使用される。すなわち、主体とな
る炭素の原料としては、メタン、エタン、プロパン、ブ
タン、ペンタン等の一般式Cn 2n+2で示されるパラフ
ィン系炭化水素、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペ
ンテン等の一般式Cn 2nで示されるオレフィン系炭化
水素、アセチレン、アリレン、ブチン等の一般式Cn
2n-2で示されるアセチレン系炭化水素などの直鎖状また
は分岐状の脂肪族炭化水素、シクロプロパン、シクロブ
タン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタ
ン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン等
の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナ
フタレン、アントラセン等の芳香族炭化水素、あるいは
これらの炭化水素置換体が挙げられる。また、アモルフ
ァス炭素層にハロゲンを含有させる場合は、例えば、四
塩化炭素、クロロホルム、四フッ化炭素、トリフルオロ
メタン、クロロトリフルオロメタン、ジクロロジフルオ
ロメタン、ブロモトリフルオロメタン、パーフルオロエ
タン、パーフルオロプロパン等のハロゲン化炭化水素を
用いることができる。これらの炭素原料は、常温でガス
状であっても固体状または液状であってもよく、固体状
または液状である場合には気化して用いられる。さら
に、必要に応じて炭化水素またはそのハロゲン置換体を
含む主原料ガスと混合される原料ガスとしては、前述し
た窒素、酸素、第III 族元素、第V族元素等を含むガス
が挙げられる。
【0030】
【実施例】以下に実施例および比較例を示して、本発明
をさらに詳細に説明する。 実施例1 基体としてRmax 0.5μmのアルミニウム製円筒状基
板を使用し、この基体上にジルコニウム化合物とシリコ
ン化合物よりなる中間層、電荷注入阻止層、光導電層お
よびアモルファス窒化シリコンの2層構造からなる膜厚
0.25μmの表面層を順次設けたアモルファスシリコ
ン感光体を、次のようにして作製した。テトラキスアセ
チルアセトナトジルコニウム2重量部、γ−アクリロキ
シプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM50
3、信越化学社製)1重量部およびイソプロパノール2
0重量部からなる溶液を上記円筒状基板上に塗布し、1
50℃で2時間乾燥して平均膜厚0.6μmの中間層を
形成した。形成された中間層の表面粗さはRmax 0.0
5μmであった。
【0031】次いで、円筒用容量結合型プラズマCVD
反応器内を十分に排気し、シラン、水素およびジボラン
の混合ガスを導入してグロー放電分解することにより、
中間層上に膜厚4μmの電荷注入阻止層を形成した。そ
の際の成膜条件は次のとおりであった。 100%シランガス流量:180cm3 /min 100%水素ガス流量:90cm3 /min 200ppm水素希釈ジボランガス流量:90cm3
min 反応器内圧:133.3Pa(1.0Torr) 放電電力:200W 放電時間:60min 放電周波数:13.56MHz 基体温度:250℃ なお、以下の各層の成膜条件における放電周波数および
基体温度は上記の値に固定した。
【0032】電荷注入阻止層の形成後、反応器内を十分
に排気し、シラン、水素およびジボランの混合ガスを導
入してグロー放電分解することにより、電荷注入阻止層
上に膜厚20μmの光導電層を形成した。その際の成膜
条件は次のとおりであった。 100%シランガス流量:180cm3 /min 100%水素ガス流量:162cm3 /min 20ppm水素希釈ジボランガス流量:18cm3 /m
in 反応器内圧:133.3Pa(1.0Torr) 放電電力:300W 放電時間:200min
【0033】光導電層の形成後、反応器内を十分に排気
し、シラン、水素およびアンモニアの混合ガスを導入し
てグロー放電分解することにより、光導電層上に膜厚
0.15μmの第一の表面層を形成した。その際の成膜
条件は次のとおりであった。 100%シランガス流量:20cm3 /min 100%水素ガス流量:180cm3 /min 100%アンモニアガス流量:30cm3 /min 反応器内圧:66.7Pa(0.5Torr) 放電電力:50W 放電時間:30min
【0034】第一の表面層の形成後、反応器内を十分に
排気し、シラン、水素およびアンモニアの混合ガスを導
入してグロー放電分解することにより、第一の表面層上
に膜厚0.1μmの第二の表面層を形成した。その際の
成膜条件は次のとおりであった。 100%シランガス流量:15cm3 /min 100%水素ガス流量:180cm3 /min 100%アンモニアガス流量:43cm3 /min 反応器内圧:66.7Pa(0.5Torr) 放電電力:50W 放電時間:20min
【0035】以上のようにして作製された電子写真感光
体を半導体レーザプリンター(XP−9;富士ゼロック
ス社製)に装着して画像試験を行った。その際、クリー
ナ装置にはポリウレタン樹脂製ブレードを用いた。ま
た、現像剤として2成分現像剤を使用し、磁気ブラシ現
像を行った。得られた画像は鮮明であり、しかもカブリ
は全く認められなかった。また、黒点や白点は全くなか
った。ただし、若干の干渉模様が見られた。
【0036】実施例2 基体としてRmax 2.0μmに液体ホーニング加工した
アルミニウム製円筒状基板を使用し、その上に中間層を
下記のようにして形成した以外は、実施例1と同様にし
てアモルファスシリコン感光体を作製した。ビスアセチ
ルアセトナトビスブトキシジルコニウム2重量部、γ−
アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:前
記KBM503)1重量部およびイソプロパノール20
重量部からなる溶液を上記円筒状基板上に塗布し、15
0℃で2時間乾燥して平均膜厚0.8μmの中間層を形
成した。形成された中間層の表面粗さはRmax 0.7μ
mであった。作製された電子写真感光体について実施例
1と同様の画像試験を行ったところ、得られた画像は鮮
明で、黒点や白点もなく、干渉模様も見られなかった。
【0037】実施例3 基体として、Rmax 0.8μmの表面粗さを有する砥石
研磨された円筒状のオーステナイトステンレス鋼(SU
S316)を使用し、この基体上に下記のジルコニウム
化合物とシリコン化合物よりなる中間層、n型の電荷注
入阻止層、光導電層および表面層を順次設けたアモルフ
ァスシリコン感光体を、次のようにして作製した。ビス
アセチルアセトナトビスイソプロポキシチタンおよびγ
−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:
前記KBM503)を重量比で1:1とした以外は、実
施例1と同様にして、表面粗さがRmax 0.05μmで
平均膜厚1.0μmの中間層を形成した。
【0038】次いで、前記反応器内を十分に排気し、シ
ラン、水素およびアンモニアの混合ガスを導入してグロ
ー放電分解することにより、上記中間層上に膜厚0.8
μmのアモルファス窒化シリコンからなる電荷注入阻止
層を形成した。その際の成膜条件は次のとおりであっ
た。 100%シランガス流量:60cm3 /min 100%水素ガス流量:100cm3 /min 100%アンモニアガス流量:60cm3 /min 反応器内圧:133.3Pa(1.0Torr) 放電電力:200W 放電時間:30min
【0039】電荷注入阻止層の形成後、シランに対して
ジボランの濃度を0.1ppmの割合で混合ガスを導入
した以外は、実施例1と同様にして光導電層を形成し
た。その後、下記の成膜条件で光導電層上に膜厚0.6
μmのアモルファス炭化シリコンからなる表面層を形成
した。 100%シランガス流量:50cm3 /min 100%エチレンガス流量:50cm3 /min 200ppm水素希釈ジボランガス流量:100cm3
/min 反応器内圧:133.3Pa(1.0Torr) 放電電力:100W 放電時間:30min
【0040】実施例4および5 中間層の形成材料として、実施例4ではビスアセチルア
セトナトビスイソプロポキシジルコニウムを、実施例5
ではビスアセチルアセトナトビスイソプロポキシチタン
とテトラメトキシシランとの混合物を使用した以外は、
実施例3と同様にしてアモルファスシリコン感光体を作
製した。なお、基体の表面粗さ、中間層の表面粗さおよ
びその平均膜厚は表1に示すとおりである。
【0041】実施例6 実施例3と同様にして、オーステナイトステンレス鋼基
体上に中間層、電荷注入阻止層、光導電層を形成した。
この光導電層上に膜厚が2μmでゲルマニウムの含有量
が20原子%のアモルファスシリコンゲルマニウムから
なる層を形成した。その際の成膜条件は次のとおりであ
った。 100%シランガス流量:160cm3 /min 100%水素ガス流量:160cm3 /min 50%ゲルマンガス流量:80cm3 /min 反応器内圧:133.3Pa(1.0Torr) 放電電力:200W 放電時間:30min その後、このアモルファスシリコンゲルマニウムからな
る層上に、実施例3と同様にして、表面層を形成した。
【0042】比較例 基体として表面粗さRmax 2.0μmのアルミニウム製
円筒状基板を使用し、中間層を形成しなかった以外は、
実施例1と同様にしてアモルファスシリコン感光体を作
製した。
【0043】以上のようにして作製された各電子写真感
光体を負帯電用レーザビームプリンター(XP−11;
富士ゼロックス社製)に装着して画像試験を行った。そ
の結果をまとめて表1に示す。なお、表1に示す評価基
準は下記のとおりである。 a.干渉縞 ◎ : 干渉模様は全く見られなかった ○ : 干渉模様は殆ど見られなかった △ : 若干の干渉模様が見られた b.解像度 ◎ : 画像は鮮明であった ○ : 実用上全く問題がなかった × : 画像は不鮮明であった c.白点/黒点 ◎ : カブリは全く認められず、黒点や白点の発生は
全くなかった ○ : カブリは認められないが、黒点や白点が多少発
生した × : カブリが認められ、黒点や白点も発生した
【0044】
【表1】 中間層を形成しなかった比較例の感光体は、干渉縞の出
現はないが、感光体の表面粗さが大きく、解像度が不十
分であり、画質欠陥が発生した。
【0045】
【発明の効果】本発明の電子写真感光体は、粗面を有す
る導電性基体、中間層およびアモルファスシリコンを主
体とする光導電層を有し、中間層の表面が導電性基体の
表面よりも平滑としたものである。その結果、本発明の
電子写真感光体は、レーザビームプリンター用感光体と
して、基板上でのレーザ光の正反射光を減少させること
ができるので、表1からも明らかなように、高感度で解
像度が高く、干渉模様の発生がなく、高画質のプリント
を出力できる。特に、中間層を塗布法で形成すると、感
光体の表面を容易に平滑とすることができるので、黒点
や白点等の画質欠陥を発生することがなく、信頼性の高
い電子写真感光体を低コストで製造することが可能にな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電子写真感光体の縦断面図を示す。
【図2】 本発明の電子写真感光体の他の縦断面図を示
す。
【図3】 本発明の電子写真感光体の別の縦断面図を示
す。
【符号の説明】
1…導電性基体、2…中間層、3…光導電層、4…電荷
注入阻止層、5…表面層または反射防止層、5a…第一
の表面層または反射防止層、5b…第二の表面層。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粗面を有する導電性基体と中間層と、水
    素、ハロゲン、周期律表第III 族元素および第V族元素
    から選ばれる元素の少なくとも1種を含有するアモルフ
    ァスシリコンを主体とする光導電層とを有し、中間層の
    表面が導電性基体の表面よりも平滑であることを特徴と
    する電子写真感光体。
  2. 【請求項2】 導電性基体の表面が0.05〜5μmの
    微小な凹凸を有する請求項1記載の電子写真感光体。
  3. 【請求項3】 中間層が、シリコン化合物、チタン化合
    物およびジルコニウム化合物の1種または2種以上の乾
    燥硬化物よりなる請求項1または2記載の電子写真感光
    体。
  4. 【請求項4】 シリコン化合物、チタン化合物またはジ
    ルコニウム化合物が、アルコキシ基を有する請求項3記
    載の電子写真感光体。
  5. 【請求項5】 チタン化合物またはジルコニウム化合物
    が、アセチルアセトナト環を有する請求項3記載の電子
    写真感光体。
  6. 【請求項6】 チタン化合物またはジルコニウム化合物
    が、分子中にアルコキシ基およびアセチルアセトナト環
    を有する請求項3記載の電子写真感光体。
  7. 【請求項7】 中間層と光導電層の間に電荷注入阻止層
    を設けた請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真感光
    体。
  8. 【請求項8】 電荷注入阻止層が、水素、ハロゲン、周
    期律表第III 族元素、第V族元素、炭素、窒素および酸
    素から選ばれる元素の少なくとも1種を含有するアモル
    ファスシリコンからなる請求項7記載の電子写真感光
    体。
  9. 【請求項9】 光導電層が、水素、ハロゲン、周期律表
    第III 族元素、第V族元素、炭素、窒素および酸素から
    選ばれる元素の少なくとも1種を含有するアモルファス
    シリコンを主体とする層と、水素、ハロゲン、周期律表
    第III 族元素およびを第V族元素から選ばれる元素の少
    なくとも1種を含有するアモルファスシリコンゲルマニ
    ウムを主体とする層とからなる請求項1〜8のいずれか
    に記載の電子写真感光体。
  10. 【請求項10】 光導電層より表面側に反射防止層を設
    けた請求項1〜9のいずれかに記載の電子写真感光体。
  11. 【請求項11】 最上位層に、水素、ハロゲン、周期律
    表第III 族元素、第V族元素、炭素、窒素および酸素か
    ら選ばれる元素の少なくとも1種を含有するアモルファ
    スシリコン層、または水素、ハロゲン、周期律表第III
    族元素および第V族元素から選ばれる元素の少なくとも
    1種をアモルファス炭素層からなる表面層を設けた請求
    項1〜10のいずれかに記載の電子写真感光体。
  12. 【請求項12】 中間層が塗布法によって形成されるこ
    とを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の電子
    写真感光体の製造方法。
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EP0725316A1 (en) * 1995-01-30 1996-08-07 Konica Corporation Electrophotographic photoreceptor
JPH09197696A (ja) * 1996-01-11 1997-07-31 Showa Alum Corp 感光ドラム基体用アルミニウム管の製造方法

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