JPH06324507A - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JPH06324507A
JPH06324507A JP13693593A JP13693593A JPH06324507A JP H06324507 A JPH06324507 A JP H06324507A JP 13693593 A JP13693593 A JP 13693593A JP 13693593 A JP13693593 A JP 13693593A JP H06324507 A JPH06324507 A JP H06324507A
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JP
Japan
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photosensitive member
electrophotographic photosensitive
atoms
atom
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JP13693593A
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English (en)
Inventor
Shigenori Ueda
重教 植田
Toshiyuki Ebara
俊幸 江原
Hiroaki Niino
博明 新納
Masaya Kawada
将也 河田
Koji Yamazaki
晃司 山崎
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Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 打撃に起因して生じる画像欠陥を防止し、高
画質のコピー画像を得る。 【構成】 導電性基体201 と、有機金属化合物に水とア
ルコールと酸とを混合し加水分解・縮重合したゾル状高
分子分散液を前記導電性基体上に塗工した後に加熱によ
って前記水とアルコールと酸とを除去することで前記導
電性基体上に形成された金属酸化膜207 と、この金属酸
化膜上に形成された感光層203 と、を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子写真装置に使用され
る積層型の感光体に係り、特に、ゾルゲル法により形成
された高硬度の金属酸化膜を適用した電子写真感光体に
関する。
【0002】
【従来の技術】
(電子写真感光体の第1の従来の技術)電子写真感光体
に用いる素子部材の技術としては、セレン、硫化カドミ
ニウム、酸化亜鉛、フタロシアニン、a−Si等の各種
の材料が提案されている。中でもa−Siに代表される
珪素原子を主成分として含む非単結晶堆積膜、例えば水
素及び(または)ハロゲン(例えば弗素、塩素等)で補
償されたa−Si等のアモルファス堆積膜は高性能、高
耐久性、無公害な感光体として提案され、その幾つかは
実用化されている。特開昭54−86341号公報に
は、光導電層を主としてa−Siで形成した電子写真感
光体の技術が開示されている。
【0003】a−Si感光体は表面硬度が高く、半導体
レーザー(770nm〜800nm)などの長波長光に
高い感度を示し、しかも繰返し使用による劣化もほとん
ど認められない等、特に高速複写機やLBP(レーザー
ビームプリンター)等の電子写真感光体として賞用され
ている。
【0004】現在、このような電子写真用に用いられる
a−Si感光体は一般にプラズマ放電により水素や各種
のドーピングガスを混合したシランガスを分解し、加熱
した金属シリンダー上にa−Siの堆積膜を形成するプ
ラズマCVD法により製造されている。又、電子写真用
a−Si感光体を形成するための基体としては、ガラ
ス、耐熱性合成樹脂、ステンレス、アルミニウムなどが
提案されている。しかし、実用的には帯電、露光、現
像、転写、クリーニングといった電子写真プロセスに耐
え、又画質を低下させないために常に位置精度を高く保
つため、金属を使用する場合が多い。中でもアルミニウ
ムは加工性が良好で、コストが低く、重量が軽い点から
電子写真感光体の基体として最適な材料の一つである。
【0005】電子写真感光体用の基体の材質に関する技
術が、特開昭59−193463号公報、特開昭60−
262936号公報に記載されている。特開昭59−1
93463号公報には、支持体をFe含有率が2000
ppm以下のアルミニウム合金にすることにより、良好
な画質のアモルファスシリコン電子写真感光体を得る技
術が開示されている。更に、該公報中では円筒状(シリ
ンダー状)基体を旋盤により切削を行い鏡面加工した後
に、グロー放電によりアモルファスシリコンを形成する
までの手順が開示されている。特開昭60−26293
6号公報には、Mgを3.0〜6.0wt%を含有し、
不純物として、Mnを0.3wt%以下、Crを0.0
1wt%未満、Feを0.15wt%以下、Siを0.
12wt%以下に抑制し、残部Alからなるa−Siの
蒸着性に優れた押し出しアルミニウム合金が開示されて
いる。
【0006】電子写真感光体の表面の状態は得られる電
子写真の画像精度に非常に影響を及ぼす為に、従来より
電子写真感光体を電子写真装置へ出し入れする際には感
光体表面が傷つかないように感光体支持シャフトを手前
側に伸ばしたり、出し入れ様シャフトをとりつけたり、
露光ランプや帯電器が感光体の出し入れ時に感光体から
逃げるような構成をとる等の工夫が電子写真装置側で行
われてきた。
【0007】また、保護具を用いる方法として感光体の
出し入れ時に感光体全体をカバーする略同一径の紙筒等
を電子写真感光体にかぶせて装着、脱着し傷を防止する
事も行われている。また、特開昭61−121299号
公報には樹脂製円筒を主体とする保護具が開示されてい
る。
【0008】代表的なa−Si感光体の模式的断面図を
図11に示す。図11(A)は光導電層が単一の層から
なる単層型感光体である。図11(B)は光導電層が電
荷発生層と電荷輸送層に分離された機能分離型感光体で
ある。
【0009】同図において、101はAl等の導電性支
持体を示している。102は必要に応じて設ける電荷注
入阻止層であり、導電性支持体101からの電荷の注入
を阻止するためのものである。103は光導電層であ
る。106は少なくともシリコン原子と炭素原子を含む
非晶質材料で構成された電荷輸送層であり、105は少
なくともシリコン原子を含む非晶質材料で構成された電
荷発生層である。光照射により主として電荷発生層10
5で生成されたキャリアーは電荷輸送層106を通って
導電性支持体101に至る。104はシリコン原子と炭
素原子及び必要により水素原子またはハロゲン原子ある
いはその両方の原子を含み顕像を保持する能力をもつ表
面層である。以下では電荷注入阻止層の有無により効果
が異なる場合を除いては、電荷注入阻止層の有無は明記
しない。 (電子写真感光体の第2の従来の技術)既に述べたよう
に、従来、複写機やプリンター等の電子写真装置に使用
される感光体においては、その光導電層を構成する材料
として、一般にセレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛等の
無機系の感光材料が使用されていた。これらの感光材料
は多くの利点を有する反面、各種の問題を有していた。
例えば、セレン系感光体では製造条件が難しく、製造コ
ストが高くなると共に、熱や機械的衝撃に弱いため、取
扱いに注意を要する。また、酸化亜鉛感光体や硫化カド
ミウム感光体は多湿環境化で安定した感度が得られない
点や、増感材として添加した色素がコロナ帯電による帯
電劣化や露光による退色を生じるため、長期に渡って安
定した特性を得ることが出来ないという欠点を有してい
た。
【0010】このため、光導電層を構成する材料とし
て、上述の無機系の感光材料の他に有機系の感光材料を
用いることが検討されるようになった。そして、近年、
有機光導電体を光導電層とした電子写真感光体、いわゆ
るOPC(Organic Photoconduct
or)感光体が注目され、無公害性、低コスト、成形加
工が容易なことならびに分子構造を変えることにより分
光感度を変えられるという点で、今後一層の進展が期待
されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
(第1の従来の技術の課題)a−Si系感光体は高い硬
度を持つ反面で微小面積に高い荷重が加わると前述した
他の感光体の場合とは異なるタイプの傷が発生する。す
なわち、例えばφ=0.1mmのダイヤモンド針に荷重
50gを加えて引っ掻いた場合、表面上外傷はなんら観
察されないにも関わらず、その部分の暗部電位保持能力
が著しく低下し画像上で圧傷と称する白すじ、現像条件
によっては黒すじとして画像欠陥を生じるという問題が
あった。この圧傷現象は特にハーフトーン画像で目立ち
やすくまた、感光体を200〜240℃程度に1時間程
加熱する事によって消滅するが、市場において発生した
場合こうした対応は不可能であるし、圧傷の発生を事前
に知ることもできない。
【0012】また、a−Si系感光体の多くは画像欠陥
のもととなる導電性基体上の欠陥を嫌い、高純度のアル
ミニウム基体を用いている為に、電子写真装置の金属部
分やドライバーの先端等によって打撃をうけるとアルミ
基体そのものがへこんでしまう。それに伴って20〜4
0μmのa−Si系感光体堆積膜そのものがヒビ割れた
り時には剥れ落ちてしまうといった問題があった。
【0013】従来用いられた保護具は、上記の点に対し
十分な効果は認められるもののコストダウン、作業効率
等の観点から感光体側での根本的な改善が望まれてい
た。 (第2の従来の技術の課題)しかしながら、光導電層に
有機系の材料を用いた感光体は、一般にその表面硬度が
低く、クリーニング等によってその表面が摩耗したり、
感光体表面を帯電させる際に発生するオゾンやNOx等
によりその特性が劣化するという問題があった。そこ
で、有機系の光導電層を設けた感光体の表面を保護する
ために、感光体の表面に表面層を設けることが検討され
てきた。例えば、耐摩耗性や耐環境性の優れた特性を持
つ表面層として、特開平1−189658号公報および
特開平3−191356号公報に示されるように、OP
C感光体の表面に非晶質炭素膜からなる表面層を形成し
たものや、特公平1−58499号公報および特開平2
−154275号公報に示されるように非晶質炭化珪素
からなる表面層を形成したものが開発されるに至った。
【0014】これらにおいてはプラズマCVD法を用い
て表面層を形成しているが、このような感光体では、一
定期間の複写枚数までは感光体の特性は実用上満足され
ているものの、それを越えると急激に特性が低下するこ
とが判明した。すなわち、感光体を長期間連続して繰り
返し使用すると残留電位が増加するとともに、画像流れ
や画像欠陥が発生しやすくなるという問題があった。
【0015】そこで、本発明の目的は、上述のごとき従
来のa−Si感光体を用いた電子写真装置の問題点を克
服し、金属等の打撃による膜剥れや、特にハーフトーン
画像で目立ちやすい圧傷が発生しにくい高画質な電子写
真を得る電子写真感光体を提供することにある。
【0016】また、本発明の他の目的は、長期間繰り返
し使用しても光感度が高く、残留電位の低い長期信頼性
を達成した電子写真感光体を提供することにある。
【0017】更に、本発明の他の目的は、感光体の表面
硬度を高めて画像欠陥を抑制するとともに画像流れを防
止して長期信頼性を達成した電子写真感光体を提供する
ことにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の電子写真
感光体は、導電性基体と、有機金属化合物に水とアルコ
ールと酸とを混合し加水分解・縮重合したゾル状高分子
分散液を前記導電性基体上に塗工した後に加熱によって
前記水とアルコールと酸とを除去することで前記導電性
基体上に形成された金属酸化膜と、この金属酸化膜上に
形成された感光層と、を有するものである。
【0019】本発明の第2の電子写真感光体は、導電性
基体と、この導電性基体上に形成された感光層と、有機
金属化合物に水とアルコールと酸とを混合し加水分解・
縮重合したゾル状高分子分散液を前記感光層上に塗工し
た後に加熱によって前記水とアルコールと酸とを除去す
ることで前記感光層上に形成された金属酸化膜と、を有
するものである。
【0020】本発明の第1の電子写真感光体において、
導電性基体を保護する手段として、金属アルコキシドを
一例とする金属源を有する酸化物微粒子と水、アルコー
ル、塩酸等の触媒との混合溶液を数十度に保ち加水分解
・重合反応によりゾル状態とした粘調性液体を、導電性
基体にディッピング法等により塗工した後、加熱し水、
アルコール、酸を除去し、緻密な金属酸化膜を得る手段
を用いる。こうした手法は、「ゾル−ゲル合成法」と称
され、近年無機コーティング法の一手法としてさまざま
な用途に用いられてきている。
【0021】「ゾルゲル」の主な方法として「金属アル
コキシド」と「金属キレート」を用いる例が挙げられ
る。
【0022】金属アルコキシドを用いる方法としては、 M(OR)n +nH2 O→M(OH)n +nROH (MはSi,Al,Ti,Zr,Be等の金属、RはC
3 ,C25 ,C37 等のアルキル基、nは金属の
酸化数)の反応によって加水分解し、M(OH)n が M(OH)n →MOn/2 +n/2H2 O の反応によって縮重合し、溶液中に−M−O−M−O−
の結合ができた骨格を持つ酸化物微粒子が生成しゲル化
する。これを加熱し、強固な金属酸化物被膜を得る。
【0023】次に金属キレートを用いる方法としては、
アセチルアセトナート、水、アルコール、塩酸の混合液
から金属酸化物被膜を得る方法がある。
【0024】
【化1】 更に、圧傷を有効に防止させる手法として有効なのが、
「ゾルゲル法」のチキソトロピーの活用、乃至別の手法
としてダイランシーの活用が挙げられる。
【0025】ディッピング法(詳細については後述す
る)において前者を活用し、粘度の低い状態でむらなく
塗布した後、引き上げられ溶液が静止すると粘性が上昇
し滑らかな表面の強固な塗膜が得られる。
【0026】紡糸巻き取り法(詳細については後述す
る)については後者の特性を活用し、溶液中に−M−O
−M−O−の結合ができた骨格を持つ酸化物微粒子が生
成した粘度の高いゲル状紡糸を感光体周方向に配向させ
ながら巻つけ、次いで静置することにより粘度が低下
し、膜厚むらの無い溶液膜が形成できる。
【0027】こうして、外圧から導電性基体を保護する
下引き層において大きな強度を持ち、かつ表面は滑らか
な塗膜が得られる。これは、CVD成膜等では得られな
い効果である。
【0028】こうして形成された強固な金属酸化膜によ
り、圧傷や金属等による打撃にも耐える下引き層が得ら
れる。
【0029】膜厚については、0.5μm以上ないと下
引き層としての保護機能が乏しく、10μm以上では残
留電位が生ずる為、0.5〜10μmの範囲が好まし
く、さらには1〜5μmが好ましい。
【0030】また本発明の第2の電子写真感光体は、光
導電層に有機光導電体を用いた感光層の表面に、ゾル−
ゲル法により形成した無機材料からなる表面層を設ける
ものである。
【0031】本発明者らが実験を重ねたところ、有機系
の光導電層上にプラズマCVD法によって表面層を形成
した従来の感光体について種々の実験を繰り返したとこ
ろ、以下のことが明らかになった。すなわちプラズマC
VD法で表面層を形成した感光体において残留電位が増
加する原因として、プラズマ中の高エネルギー粒子やイ
オン衝撃によるダメージによって、有機光導電体の表面
近傍に欠陥が発生し、光導電層と表面層との界面に一種
の障壁ができていることが考えられる。その結果、像露
光によって生じた光キャリアの表面への移動が妨げら
れ、繰り返し使用するうちに残留電位が蓄積し、一定期
間を経過すると残留電位が急激に増加すること、また、
光導電層と表面層との界面に光キャリアがトラップされ
やすくなって画像流れが発生しやすくなることがわかっ
た。
【0032】また、プラズマCVD法によって感光体の
表面層として満足すべき特性を有する膜厚を形成するに
は、その堆積速度が低いことからかなりの長時間を要す
る。そのためプラズマからのダメージやプラズマによる
加熱によって有機光導電体の欠陥の発生が助長されると
ころとなる。
【0033】さらに、プラズマCVD法によって表面層
を形成する場合、表面層としての硬度、耐環境性等の特
性を満足するためには、ある程度の温度、具体的には2
50℃以上で膜を形成する必要がある。しかし、通常の
有機光導電体ではバインダー樹脂の耐熱温度が約130
〜150℃であるために、それ以上の高温にした場合に
は有機光導電体が劣化してしまい、有機光導電体の持つ
本来の電位保持能、光感度が得られない。したがって、
プラズマCVD法で表面層を形成する場合、有機光導電
体が劣化しない程度の比較的低い温度領域で表面層を形
成する必要があった。ところが、このような低温で形成
した膜では化学的に不安定になりやすく、感光体の表面
層として満足すべき耐環境性、硬度が十分には得られな
いことが明らかになった。
【0034】上記問題点を解決する手段を総合的に検討
した結果、有機光導電体の表面に有機金属化合物を加水
分解したゾル状分散液を塗工後、酸触媒化にて加熱縮重
合(以下、ゾル−ゲル法と略記する)した表面層を形成
させることにより、硬度に優れた表面層を低温で形成で
きることがわかった。この方法によれば、有機光導電体
が劣化しない程度の温度範囲で表面層を形成することが
可能であり、しかも硬度に代表される耐環境性の良好な
表面層を作製することができて上記問題点を解決するこ
とができる。
【0035】また、ゾル−ゲル法によって形成した金属
酸化物層を表面層として形成すれば、本質的に有機光導
電体へのダメージがないため、有機光導電体表面の欠陥
の発生を防止することができて表面層との界面に障壁が
形成されるのを防止することができる。したがって、長
期間に渡り繰り返し使用しても残留電位の上昇がなく、
感度の優れた感光体を得ることができる。しかも支持体
温度を高くすることによっておこる有機光導電体の劣化
が実質的にない状態で高硬度の表面層を形成することが
できるため、有機光導電体本来の優れた光導電特性を損
なうことなく表面硬度が高く、耐環境性に優れた感光体
を得ることができる。また、有機光導電体の電荷発生物
質、電荷輸送物質、バインダー樹脂等の材料設計におい
てその自由度を大きくすることが可能となる。
【0036】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照しながら
詳細に説明する。 (本発明の第1の電子写真感光体の実施例)図1は、本
発明による電子写真感光体の実施例を示すa−Si感光
体の模式的断面構成図であり、図1(A)には光導電層
が単一層からなる単層型感光体が示され、図1(B)に
は光導電層が電荷発生層と電荷転送層とからなる機能分
離型感光体が示されている。
【0037】アルミニウム等の導電性支持体201上
に、本発明の特徴となる金属酸化膜の下引き層207が
ゾル−ゲル法により形成され、その上に必要に応じて電
荷注入阻止層202が形成される。電荷注入阻止層20
2は、導電性支持体201からの電荷の注入を阻止する
ためのものである。更に、光導電層203が形成され、
最後にシリコン原子と炭素原子及び必要により水素原子
又はハロゲン原子あるいはその両方の原子を含む顕像を
保持する能力を持つ表面層204が形成される。
【0038】光導電層203は、図1(B)に示すよう
に、少なくともシリコン原子を含む非晶質材料で構成さ
れた電荷発生層205と少なくともシリコン原子と炭素
原子を含む非晶質材料で構成された電荷輸送層206と
から構成されても良い。
【0039】このような構成において、光照射により主
として電荷発生層205で生成されたキャリアは電荷輸
送層206を通って導電性支持体201に至る。
【0040】以下、図1にしたがって本発明の電子写真
感光体について具体例を挙げて詳細に説明する。 (支持体201)本発明において使用されるアモルファ
スシリコン系感光体の導電性支持体としては、例えば、
Al,Cr,Mo,Au,In,Nb,Te,V,T
i,Pt,Pd,Fe等の金属、およびこれらの合金、
例えばステンレス等が挙げられる。また、ポリエステ
ル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースアセ
テート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレ
ン、ポリアミド等の合成樹脂のフィルムまたはシート、
ガラス、セラミック等の電気絶縁性支持体の少なくとも
光受容層を形成する側の表面を導電処理した支持体も用
いることができる。さらに、光導電層を形成する側とは
反対側の表面も導電処理することがより好ましい。
【0041】支持体の形状は平滑表面あるいは凹凸表面
の円筒状または板状無端ベルト状であることができ、そ
の厚さは、所望通りの電子写真感光体を形成し得るよう
に適宜決定するが、電子写真感光体としての可撓性が要
求される場合には、支持体としての機能が充分発揮でき
る範囲内で可能な限り薄くすることができる。しかしな
がら、支持体に製造上および取り扱い上、機械的強度等
の点から通常は10μm以上とされる。
【0042】特にレーザー光などの可干渉性光を用いて
像記録を行う場合には、可視画像において現われる、い
わゆる干渉縞模様による画像不良を解消するために、支
持体表面に凹凸を設けてもよい。
【0043】支持体表面に設けられる凹凸は、特開昭6
0−168156号公報、特開昭60−178457号
公報、特開昭60−225854号公報等に記載された
公知の方法により作成される。
【0044】又、レーザー光などの可干渉光を用いた場
合の干渉縞模様による画像不良を解消する別の方法とし
て、支持体表面に複数の球状痕跡窪みによる凹凸形状を
設けてもよい。即ち、支持体の表面が電子写真用感光体
に要求される解像力よりも微少な凹凸を有し、しかも該
凹凸は、複数の球状痕跡窪みによるものである。支持体
表面に設けられる複数の球状痕跡窪みによる凹凸は、特
開昭61−231561号公報に記載された公知の方法
により作成される。 (電荷輸送層206)本発明におけるアモルファスシリ
コン系感光体の電荷輸送層は、支持体側より、構成要素
としてシリコン原子と炭素原子、水素原子、弗素原子を
含むa−SiC(H、F)から成り、所望の光導電特
性、特に電荷保持特性、電荷発生特性、電荷輸送特性を
有する。
【0045】前記電荷輸送層に含有される炭素原子は分
布を成し、該分布が前記支持体の表面に各々平行な面内
では実質的に均一であり、層の厚み方向には不均一であ
る。炭素原子の含有量としては、前記支持体の設けてあ
る側の表面又は表面近傍で0.5%原子以下であれば前
述の支持体との密着性向上及び、電荷の注入阻止の機能
が悪化し、さらに静電容量の減少による帯電能向上の効
果が無くなる。また50原子%以上では残留電位が発生
してしまう。このため、実用的には0.5〜50原子
%、好ましくは1〜40原子%であり、最適には1〜3
0原子%とされるのが好ましい。
【0046】また、本発明において電荷輸送層中に水素
原子が含有されることが必要であるが、これはシリコン
原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に光導電性
および電荷保持特性を向上させるために必須不可欠であ
るからである。特に炭素原子が含有された場合、その膜
質を維持するためにより多くの水素原子が必要となるた
め、炭素含有量にしたがって含有される水素量が調整さ
れることが望ましい。よって、支持体表面の水素原子の
含有量は望ましくは1〜40原子%、より好ましくは5
〜35原子%、最適には10〜30原子%とされるのが
好ましい。
【0047】電荷輸送層に含有される弗素原子について
は、電荷輸送層に含有される炭素原子、水素原子の凝集
を抑制し、バンドギャップ中の局在準位密度を低減させ
るため、ゴースト、ガサツキを改善し、層品質の均一性
の向上に効果を発揮する。弗素含有量が1原子ppmよ
り少ないと、弗素原子によるゴースト、ガサツキの改善
効果が充分発揮されず、また、95原子ppmを越える
と逆に膜質が低下し、ゴースト現象を生じるようになっ
てしまう。したがって、弗素原子の含有量は実用的には
1〜95原子ppm、より好ましくは3〜80原子pp
m、最適には5〜50原子ppmとされるのが好まし
い。
【0048】特に、電荷輸送層に前述のごとき範囲で炭
素原子を含有せしめたときに、弗素原子の含有量を上記
した範囲に設定することにより、光導電特性、画像特性
および耐久性が著しく向上することが実験により確認さ
れた。
【0049】さらに、前記電荷輸送層に酸素原子を同時
に含有させることの相乗効果によって、堆積膜のストレ
スをより効果的に緩和して膜の構造欠陥を抑制する。こ
のために、a−SiC中でのキャリアの走行性が改善さ
れるため、特にa−SiC系の電荷輸送層で問題となる
電位シフトが減少する。さらに感度、残留電位等の表面
電位特性も改善される。
【0050】該酸素原子は、該電荷輸送層中に万偏なく
均一に分布した状態で含有されても良いし、あるいは層
厚方向には不均一な分布状態で含有している部分があっ
てもよい。酸素含有量が600原子ppmより少ない
と、さらなる膜の密着性の向上および異常成長の発生の
抑制を図ることが充分にはできず電位シフトも大きくな
る。10000原子ppmを越えると電子写真の高速化
に対応するための電気的特性が充分ではなくなる。した
がって、酸素原子の含有量としては600〜10000
原子ppmとするのが好ましい。
【0051】特に、電荷輸送層に前述のごとき範囲で炭
素原子を含有せしめたときに、弗素原子及び酸素原子の
含有量を上記した範囲に設定することにより、光導電特
性、画像特性および耐久性が著しく向上することが実験
により確認された。
【0052】本発明において、電荷輸送層は真空堆積膜
形成方法によって、所望特性が得られるように適宜成膜
パラメーターの数値条件が設定されて作成される。具体
的には、例えばグロー放電法(低周波CVD法、高周波
CVD法またはマイクロ波CVD法等の交流放電CVD
法、あるいは直流放電CVD法等)、スパッタリング
法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、光CVD
法、熱CVD法などの数々の薄膜堆積法によって形成す
ることができる。これらの薄膜堆積法は、製造条件、設
備資本投資下の負荷程度、製造規模、作成される電子写
真用感光体に所望される特性等の要因によって適宜選択
されて採用されるが、所望の特性を有する電子写真用感
光体を製造するに当たっての条件の制御が比較的容易で
あることからしてグロー放電法、スパッタリング法、イ
オンプレーティング法が好適である。そしてこれらの方
法を同一装置系内で併用して形成してもよい。例えば、
グロー放電法によってa−SiC(H,F,O)電荷輸
送層を形成するには、基本的にはシリコン原子(Si)
を供給し得るSi供給用の原料ガスと、炭素原子(C)
を供給し得るC供給用の原料ガスと、水素原子(H)を
供給し得るH供給用の原料ガスと、弗素原子(F)を供
給し得るF供給用の原料ガスと、酸素原子(O)を供給
し得るO供給用の原料ガスとを、内部が減圧にし得る反
応容器内に所望のガス状態で導入して、該反応容器内に
グロー放電を生起させ、あらかじめ所定の位置に設置さ
れてある所定の支持体表面上にa−SiC(H,F,
O)からなる層を形成すればよい。
【0053】本発明において使用されるSi供給用ガス
となり得る物質としては、SiH4,Si26 ,Si3
8 ,Si410等のガス状態の、またはガス化し得
る水素化珪素(シラン類)が有効に使用されるものとし
て挙げられ、更に層作成時の取り扱い易さ、Si供給効
率の良さ等の点でSiH4 ,Si26 が好ましいもの
として挙げられる。
【0054】また、これらのSi供給用の原料ガスを必
要に応じてH2 ,He,Ar,Ne等のガスにより希釈
して使用してもよい。
【0055】本発明において、炭素原子導入用の原料物
質となり得るものとしては、常温常圧でガス状のまた
は、少なくとも層形成条件下で容易にガス化し得るもの
が採用されるのが望ましい。
【0056】炭素原子(C)導入用の原料ガスになり得
るものとして有効に使用される出発物質は、CとHとを
構成原子とする、例えば炭素数1〜5の飽和炭化水素、
炭素数2〜4のエチレン系炭化水素、炭素数2〜3のア
セレン系炭化水素等が挙げられる。
【0057】具体的には、飽和炭化水素としては、メタ
ン(CH4 )、エタン(C26 )、プロパン(C3
8 )、n−ブタン(n−C410)、ペンタン(C5
12)、エチレン系炭化水素としては、エチレン(C2
4 )、プロピレン(C36)、ブテン−1(C4
8 )、ブテン−2(C48 )、イソブチレン(C4
8 )、ペンテン(C510)、アセチレン系炭化水素と
しては、アセチレン(C22 )、メチルアセチレン
(C34 )、ブチン(C46 )等が挙げられる。
【0058】また、SiとCとを構成原子とする原料ガ
スとしては、Si(CH34 、Si(C254
のケイ化アルキルを挙げることができる。
【0059】この他に、炭素原子(C)の導入に加え
て、弗素原子の導入も行えるという点から、CF4 、C
3 、C26 、C38 、C48 等のフッ化炭素化
合物を挙げることができる。
【0060】本発明において酸素原子(O)導入用のガ
スとなり得るものとして有効に使用される出発物質は、
たとえば、酸素(O2 ),オゾン(O3 ),一酸化窒素
(NO),二酸化窒素(NO2 ),一二酸化窒素(N2
O),三二酸化窒素(N23 ),四三酸化窒素(N2
4 ),五二酸化窒素(N25 )等を挙げることがで
きる。
【0061】この他に、炭素原子(C)の導入に加え
て、酸素原子の導入も行えるという点から、CO,CO
2 等の化合物を挙げることができる。
【0062】本発明において使用される弗素供給用ガス
として有効なのは、たとえば弗素ガス、弗素化物、弗素
をふくむハロゲン間化合物、弗素で置換されたシラン誘
導体等のガス状のまたはガス化し得る弗素化合物が好ま
しく挙げられる。また、さらにはシリコン原子と弗素原
子とを構成要素とするガス状のまたはガス化し得る、弗
素原子を含む水素化珪素化合物も有効なものとして挙げ
ることができる。本発明に於て好適に使用し得る弗素化
合物としては、具体的には弗素ガス(F2 )、BrF、
ClF、ClF3 、BrF3 、BrF5 、IF3 、IF
7 等のハロゲン間化合物を挙げることができる。
【0063】弗素原子を含む珪素化合物、いわゆる弗素
原子で置換されたシラン誘導体としては、具体的には、
たとえばSiF4 、Si26 等のフッ化珪素が好まし
いものとして挙げることができる。このような弗素原子
を含む珪素化合物を採用してグロー放電等によって本発
明の特徴的な電子写真用感光体を形成する場合には、S
i供給用ガスとしての水素化珪素ガスを使用しなくて
も、所定の支持体上に弗素原子を含むa−SiC(H、
F)からなる電荷輸送層を形成することができるが、形
成される電荷輸送層中に導入される水素原子の導入割合
の制御を一層容易になるように図るために、これらのガ
スに更に水素ガスまたは水素原子を含む珪素化合物のガ
スも所望量混合して層形成することが好ましい。又、各
ガスは単独種のみでなく所定の混合比で複数種混合して
も差し支えないものである。
【0064】本発明においては、弗素原子供給用ガスと
して上記されたフッ化物あるいは弗素を含む珪素化合物
が有効なものとして使用されるものであるが、そのほか
に、HF、SiH3 F、SiH22 、SiHF3 等の
弗素置換水素化珪素、等々のガス状態のあるいはガス化
し得る物質も有効な電荷輸送層形成用の原料物質として
挙げることが出来る。これらの物質の内、水素原子を含
む弗素化物は、電荷輸送層形成の際に層中に弗素原子の
導入と同時に、電気的あるいは光電的特性の制御にきわ
めて有効な水素原子も導入されるので、本発明において
は好適な弗素原子供給用ガスとして使用される。
【0065】水素原子を電荷輸送層中に構造的に導入す
るには、上記の他にH2 、あるいはSiH4 、Si2
6 、Si38 、Si410等の水素化珪素とSiを供
給するためのシリコンまたはシリコン化合物とを反応容
器中に共存させて放電を生起させることでも行うことが
できる。
【0066】電荷輸送層中に含有される水素原子および
/または弗素原子の量を制御するには、例えば支持体温
度、水素原子あるいは弗素原子を含有させるために使用
される原料物質の反応容器内へ導入する量、放電電力等
を制御すればよい。
【0067】さらに本発明においては、電荷輸送層には
必要に応じて伝導性を制御する原子(M)を含有させる
ことが好ましい。伝導性を制御する原子は、電荷輸送層
中に万偏なく均一に分布した状態で含有されても良い
し、あるいは層厚方向には不均一な分布状態で含有して
いる部分があってもよい。
【0068】前記の伝導性を制御する原子としては、半
導体分野における、いわゆる不純物を挙げることがで
き、p型伝導特性を与える周期律表III 族に属する原子
(以後「第III 族原子」と略記する)またはn型伝導特
性を与える周期律表V族に属する原子(以後「第V族原
子」と略記する)を用いることができる。
【0069】第III 族原子としては、具体的には、B
(硼素)、Al(アルミニウム)、Ga(ガリウム)、
In(インジウム)、Tl(タリウム)等があり、特に
B、Al、Gaが好適である。第V族原子としては、具
体的にはP(燐)、As(砒素)、Sb(アンチモ
ン)、Bi(ビスマス)等があり、特にP、Asが好適
である。
【0070】電荷輸送層に含有される伝導性を制御する
原子(M)の含有量としては、好ましくは1×10-3
5×104 原子ppm、より好ましくは1×10-2〜1
×104 原子ppm、最適には1×10-1〜5×103
原子ppmとされるのが望ましい。特に、電荷輸送層に
おいて炭素原子(C)の含有量が1×103 原子ppm
以下の場合は、電荷輸送層に含有される原子(M)の含
有量としては好ましくは1×10-3〜1×103 原子p
pmとされるのが望ましく、炭素原子(C)の含有量が
1×103 原子ppmを越える場合は、原子(M)の含
有量としては、好ましくは1×10-1〜1×104 原子
ppmとされるのが望ましい。
【0071】電荷輸送層中に、伝導性を制御する原子、
たとえば、第III 族原子あるいは第V族原子を構造的に
導入するには、層形成の際に、第III 族原子導入用の原
料物質あるいは第V族原子導入用の原料物質をガス状態
で反応容器中に、電荷輸送層を形成するための他のガス
とともに導入してやればよい。第III 族原子導入用の原
料物質あるいは第V族原子導入用の原料物質となり得る
ものとしては、常温常圧でガス状のまたは、少なくとも
層形成条件下で容易にガス化し得るものが採用されるの
が望ましい。そのような第III 族原子導入用の原料物質
として具体的には、硼素原子導入用としては、B2
6 、B410、B59 、B511、B610、B6
12、B614等の水素化硼素、BF3 、BCl3 、BB
3 等のハロゲン化硼素等が挙げられる。この他、Al
Cl3 、GaCl3 、Ga(CH33 、InCl3
TlCl3 等を挙げることができる。
【0072】第V族原子導入用の原料物質として本発明
において、有効に使用されるのは、燐原子導入用として
は、PH3 、P24 等の水素化燐、PH4 I、PF
3 、PF5 、PCl3 、PCl5 、PBr3 、PBr
5 、PI3 等のハロゲン化燐が挙げられる。この他、A
sH3 、AsF3 、AsCl3 、AsBr3 、AsF
5 、SbH3 、SbF3 、SbF5 、SbCl3 、Sb
Cl5 、BiH3 、BiCl3 、BiBr3 等も第V族
原子導入用の出発物質の有効なものとして挙げることが
できる。
【0073】また、これらの伝導性を制御する原子導入
用の原料物質を必要に応じてH2 、He、Ar、Ne等
のガスにより希釈して使用してもよい。
【0074】さらに本発明の感光体の電荷輸送層には、
周期律表第Ia族、IIa族、VIa族、VIII族から選ばれ
る少なくとも1種の元素を含有してもよい。前記元素は
前記電荷輸送層中に万偏無く均一に分布されてもよい
し、あるいは該電荷輸送層中に万偏無く含有されてはい
るが、層厚方向に対し不均一に分布する状態で含有して
いる部分があってもよい。しかしながら、いずれの場合
においても支持体の表面と平行な面内方向においては、
均一な分布で万偏無く含有されていることが、面内方向
における特性の均一化を図る点からも必要である。第I
a族原子としては、具体的にはLi(リチウム)、Na
(ナトリウム)、K(カリウム)を挙げることができ、
第IIa族原子としては、Be(ベリリウム)、Mg(マ
グネシウム)、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチ
ウム)、Ba(バリウム)等を挙げることができる。
【0075】また、第VIa族原子としては具体的には、
Cr(クロム)、Mo(モリブデン)、W(タングステ
ン)等を挙げることができ、第VIII族原子としては、F
e(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)等を挙
げることができる。
【0076】本発明において、電荷輸送層の層厚は所望
の電子写真特性が得られること及び経済的効果等の点か
ら適宜所望にしたがって決定され、電荷輸送層について
は、好ましくは5〜50μm、より好ましくは10〜4
0μm、最適には20〜30μmとされるのが望まし
い。
【0077】本発明の目的を達成し得る特性を有するa
−SiC(H、F、O)から成る電荷輸送層を形成する
には、支持体の温度、反応容器内のガスを所望にしたが
って適宜設定する必要がある。
【0078】支持体の温度(Ts)は層設計にしたがっ
て適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好ましく
は20〜500℃、より好ましくは50〜480℃、最
適には100〜450℃とするのが望ましい。
【0079】反応容器内のガス圧も同様に層設計にした
がって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好ま
しくは1×10-5〜10Torr、好ましくは5×10
-5〜3Torr、最適には1×10-4〜1Torrとす
るのが好ましい。
【0080】本発明においては、前記各層を作成するた
めの支持体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前記
した範囲が挙げられるが、これらの層作成ファクターは
通常は独立的に別々に決められるものではなく、所望の
特性を有する電荷輸送層を形成すべく相互的且つ有機的
関連性に基づいて、各層作成ファクターの最適値を決め
るのが望ましい。
【0081】本発明の感光体においては、電荷輸送層と
電荷発生層との間に、組成を連続的に変化させた層領域
を設けてもよい。該層領域を設けることにより各層間で
の密着性をより向上させることができる。
【0082】さらに本発明の感光体においては、電荷輸
送層の前記支持体側に、少なくともアルミニウム原子、
シリコン原子、炭素原子および水素原子が層厚方向に不
均一な分布状態で含有する層領域を有することが望まし
い。 (電荷発生層205)本発明におけるアモルファスシリ
コン系感光体の電荷発生層は、構成要素として少なくと
もシリコン原子と水素原子を含むa−Si:Hから成
り、所望の光導電特性、特に電荷発生特性、電荷輸送特
性を有する。
【0083】単層型感光体の場合、光導電層は、後述電
荷発生層を主体として構成されるが必要に応じて、電荷
輸送層の成分をも含み得る。
【0084】電荷発生層は、シリコン原子、水素原子か
らなる非単結晶質であり、水素原子を1〜40原子%含
有している。この電荷発生層は光キャリアを効率良く生
成し、長波長の光の吸収を高めるため、感度の向上のた
めに設けられる。また、他の効果としては、帯電極性と
逆極性のキャリアの走行性が電荷輸送層より良いため、
ゴーストが軽減されるという予期せぬ効果も得られる。
【0085】本発明において、電荷発生層は真空堆積膜
形成方法によって、所望特性が得られるように適宜成膜
パラメーターの数値条件が設定されて作成される。具体
的には、例えばグロー放電法(低周波CVD法、高周波
CVD法またはマイクロ波CVD法等の交流放電CVD
法、あるいは直流放電CVD法等)、スパッタリング
法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、光CVD
法、熱CVD法などの数々の薄膜堆積法によって形成す
ることができる。これらの薄膜堆積法は、製造条件、設
備資本投資下の負荷程度、製造規模、作成される電子写
真用光受容部材に所望される特性等の要因によって適宜
選択されて採用されるが、所望の特性を有する電子写真
用光受容部材を製造するに当たっての条件の制御が比較
的容易であることからしてグロー放電法、スパッタリン
グ法、イオンプレーティング法が好適である。そしてこ
れらの方法を同一装置系内で併用して形成してもよい。
例えば、グロー放電法によってa−Si:H電荷発生層
を形成するには、基本的にはシリコン原子(Si)を供
給し得るSi供給用の原料ガスと、水素原子(H)を供
給し得るH供給用の原料ガスとを、内部が減圧にし得る
反応容器内に所望のガス状態で導入して、該反応容器内
にグロー放電を生起させ、あらかじめ所定の位置に設置
されてある所定の支持体表面上にa−Si:Hからなる
層を形成すればよい。
【0086】本発明において使用されるSi供給用ガス
となり得る物質としては、SiH4,Si26 ,Si3
8 ,Si410等のガス状態の、またはガス化し得
る水素化珪素(シラン類)が有効に使用されるものとし
て挙げられ、更に層作成時の取り扱い易さ、Si供給効
率の良さ等の点でSiH4 ,Si26 が好ましいもの
として挙げられる。また、これらのSi供給用の原料ガ
スを必要に応じてH2,He,Ar,Ne等のガスによ
り希釈して使用してもよい。
【0087】形成される電荷発生層中に導入される水素
原子の導入割合の制御を一層容易になるように図るため
に、これらのガスに更に水素ガスまたは水素原子を含む
珪素化合物のガスも所望量混合して層形成することが好
ましい。又、各ガスは単独種のみでなく所定の混合比で
複数種混合しても差し支えないものである。
【0088】水素原子を電荷発生層中に構造的に導入す
るには、上記の他にH2 、あるいはSiH4 、Si2
6 、Si38 、Si410等の水素化珪素とSiを供
給するためのシリコンまたはシリコン化合物とを反応容
器中に共存させて放電を生起させることでも行うことが
できる。
【0089】電荷発生層中に含有される水素原子の量を
制御するには、例えば支持体温度、水素原子を含有させ
るために使用される原料物質の反応容器内へ導入する
量、放電電力等を制御すればよい。
【0090】さらに本発明においては、電荷発生層には
必要に応じて伝導性を制御する原子(M)を含有させる
ことが好ましい。伝導性を制御する原子は、電荷発生層
中に万偏なく均一に分布した状態で含有されても良い
し、あるいは層厚方向には不均一な分布状態で含有して
いる部分があってもよい。前記の伝導性を制御する原子
としては、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げ
ることができ、p型伝導特性を与える周期律表III 族に
属する原子(以後「第III 族原子」と略記する)または
n型伝導特性を与える周期律表V族に属する原子(以後
「第V族原子」と略記する)を用いることができる。第
III 族原子としては、具体的には、B(硼素)、Al
(アルミニウム)、Ga(ガリウム)、In(インジウ
ム)、Tl(タリウム)等があり、特にB、Al、Ga
が好適である。第V族原子としては、具体的にはP
(燐)、As(砒素)、Sb(アンチモン)、Bi(ビ
スマス)等があり、特にP、Asが好適である。
【0091】電荷発生層に含有される伝導性を制御する
原子(M)の含有量としては、好ましくは1×10-3
5×104 原子ppm、より好ましくは1×10-2〜1
×104 原子ppm、最適には1×10-1〜5×103
原子ppmとされるのが望ましい。電荷発生層中に、伝
導性を制御する原子、たとえば、第III 族原子あるいは
第V族原子を構造的に導入するには、層形成の際に、第
III 族原子導入用の原料物質あるいは第V族原子導入用
の原料物質をガス状態で反応容器中に、電荷発生層を形
成するための他のガスとともに導入してやればよい。第
III 族原子導入用の原料物質あるいは第V族原子導入用
の原料物質となり得るものとしては、常温常圧でガス状
のまたは、少なくとも層形成条件下で容易にガス化し得
るものが採用されるのが望ましい。そのような第III 族
原子導入用の原料物質として具体的には、硼素原子導入
用としては、B26 、B410、B59 、B5
11、B610、B612、B614等の水素化硼素、
BF3 、BCl3 、BBr3 等のハロゲン化硼素等が挙
げられる。この他、AlCl3 、GaCl3 、Ga(C
33 、InCl3 、TlCl3 等を挙げることがで
きる。
【0092】第V族原子導入用の原料物質として本発明
において、有効に使用されるのは、燐原子導入用として
は、PH3 、P24 等の水素化燐、PH4 I、PF
3 、PF5 、PCl3 、PCl5 、PBr3 、PBr
5 、PI3 等のハロゲン化燐が挙げられる。この他、A
sH3 、AsF3 、AsCl3 、AsBr3 、AsF
5 、SbH3 、SbF3 、SbF5 、SbCl3 、Sb
Cl5 、BiH3 、BiCl3 、BiBr3 等も第V族
原子導入用の出発物質の有効なものとして挙げることが
できる。
【0093】また、これらの伝導性を制御する原子導入
用の原料物質を必要に応じてH2 、He、Ar、Ne等
のガスにより希釈して使用してもよい。
【0094】さらに本発明に用いることができる感光体
の電荷発生層には、周期律表第Ia族、IIa族、VIa
族、VIII族から選ばれる少なくとも1種の元素を含有し
てもよい。前記元素は前記電荷発生層中に万偏無く均一
に分布されてもよいし、あるいは該電荷発生層中に万偏
無く含有されてはいるが、層厚方向に対し不均一に分布
する状態で含有している部分があってもよい。しかしな
がら、いずれの場合においても支持体の表面と平行な面
内方向においては、均一な分布で万偏無く含有されてい
ることが、面内方向における特性の均一化を図る点から
も必要である。第Ia族原子としては、具体的にはLi
(リチウム)、Na(ナトリウム)、K(カリウム)を
挙げることができ、第IIa族原子としては、Be(ベリ
リウム)、Mg(マグネシウム)、Ca(カルシウ
ム)、Sr(ストロンチウム)、Ba(バリウム)等を
挙げることができる。
【0095】また、第VIa族原子としては具体的には、
Cr(クロム)、Mo(モリブデン)、W(タングステ
ン)等を挙げることができ、第VIII族原子としては、F
e(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)等を挙
げることができる。
【0096】本発明において、電荷発生層の層厚は所望
の電子写真特性が得られること及び経済的効果等の点か
ら適宜所望にしたがって決定され、電荷発生層について
は、好ましくは0.5〜15μm、より好ましくは1〜
10μm、最適には1〜5μmとされるのが望ましい。
【0097】本発明の目的を達成し得る特性を有するa
−Si:Hから成る電荷発生層を形成するには、支持体
の温度、反応容器内のガス圧を所望にしたがって、適宜
設定する必要がある。
【0098】支持体の温度(Ts)は、層設計にしたが
って適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好まし
くは20〜500℃、より好ましくは50〜480℃、
最適には100〜450℃とするのが望ましい。
【0099】反応容器内のガス圧も同様に層設計にした
がって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好ま
しくは1×10-5〜10Torr、好ましくは5×10
-5〜3Torr、最適には1×10-4〜1Torrとす
るのが好ましい。
【0100】本発明においては、前記各層を作成するた
めの支持体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前記
した範囲が挙げられるが、これらの層作成ファクターは
通常は独立的に別々に決められるものではなく、所望の
特性を有する電荷発生層を形成すべく相互的且つ有機的
関連性に基づいて、各層作成ファクターの最適値を決め
るのが望ましい。
【0101】本発明に用いることができる感光体におい
ては、電荷発生層と表面層との間に、組成を連続的に変
化させた層領域を設けてもよい。該層領域を設けること
により各層間での密着性をより向上させることができ
る。 (表面層204)本発明における表面層は、構成要素と
してシリコン原子と炭素原子、窒素原子及び酸素原子を
同時に含有し、さらに水素原子およびハロゲン原子とを
含有する非単結晶材料で構成される。表面層には光導電
層中に含有されるような伝導性を制御する物質は実質的
に含有されない。
【0102】該表面層に含有される炭素原子、窒素原子
及び酸素原子は該層中に万偏なく均一に分布されても良
いし、あるいは層厚方向には万偏なく含有されてはいる
が、不均一に分布する状態で含有している部分があって
もよい。しかしながら、いずれの場合にも支持体の表面
と平行面内方向においては、均一な分布で万偏なく含有
されることが面内方向における特性の均一化をはかる点
からも必要である。
【0103】本発明における表面層の全層領域に含有さ
れる炭素原子、窒素原子及び酸素原子は、同時に含有さ
れるときに著しい高暗抵抗化、高硬度化等の効果を奏す
る。表面層中に含有される炭素原子及び窒素原子及び酸
素原子の含有量の和は、好適には40〜90原子%、よ
り好適には45〜85原子%、最適には50〜80原子
%とされるのが望ましい。本発明における効果をより一
層発揮するには、酸素原子、窒素原子の含有量は共に1
0原子%以下が好ましい。
【0104】また、本発明における表面層に含有される
水素原子およびハロゲン原子はa−SiC、O、N
(H、X)内に存在する未結合手を補償し膜質の向上に
効果を奏し、電荷発生層と表面層の界面にトラップされ
るキャリアーを減少させるため、画像流れを改善する。
【0105】さらにハロゲン原子は表面層の撥水性を向
上させるので、水蒸気の吸着による高湿流れをも減少さ
せる。表面層中のハロゲン原子の含有量は20原子%以
下であり、さらに水素原子とハロゲン原子の含有量の和
は好適には30〜70原子%、より好適には35〜65
原子%、最適には40〜60原子%とするのが望まし
い。
【0106】さらに本発明において表面層に、周期律表
第Ia族、IIa族、VIa族、VIII族から選ばれる少なく
とも1種の元素を含有してもよい。前記元素は表面層中
に万偏無く均一に分布されてもよいし、あるいは該表面
層中に万偏無く含有されてはいるが、層厚方向に対し不
均一に分布する状態で含有している部分があってもよ
い。しかしながら、いずれの場合においても支持体の表
面と平行な面内方向においては、均一な分布で万偏無く
含有されていることが、面内方向における特性の均一化
を図る点からも必要である。
【0107】第Ia族原子としては、具体的にはLi
(リチウム)、Na(ナトリウム)、K(カリウム)を
挙げることができ、第IIa族原子としては、Be(ベリ
リウム)、Mg(マグネシウム)、Ca(カルシウ
ム)、Sr(ストロンチウム)、Ba(バリウム)等を
挙げることができる。
【0108】また、第VIa族原子としては具体的には、
Cr(クロム)、Mo(モリブデン)、W(タングステ
ン)等を挙げることができ、第VIII族原子としては、F
e(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)等を挙
げることができる。
【0109】本発明において、表面層の層厚は所望の電
子写真特性が得られること、及び経済的効果等の点から
好ましくは0.01〜30μm、より好ましくは0.0
5〜20μm、最適には0.1〜10μmとされるのが
望ましい。
【0110】本発明においてa−SiC、O、N(H、
X)で構成される表面層を形成するには、前述の電荷輸
送層、電荷発生層を形成する方法と同様の真空堆積法が
採用される。
【0111】本発明の目的を達成し得る特性を有する表
面層を形成する場合には、支持体の温度、ガス圧が前記
表面層の特性を左右する重要な要因である。支持体温度
は適宜最適範囲が選択されるが、好ましくは20〜50
0℃、より好ましくは50〜480℃、最適には100
〜450℃とするのが望ましい。
【0112】反応容器内のガス圧も適宜最適範囲が選択
されるが、好ましくは1×10-5〜10Torr、より
好ましくは5×10-5〜3Torr、最適には1×10
-4〜1Torrとするのが望ましい。
【0113】本発明においては、表面層を形成するため
の支持体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前記し
た範囲が挙げられるが、これらの層作成ファクターは通
常は独立的に別々に決められるものではなく、所望の特
性を有する表面層を形成すべく相互的且つ有機的関連性
に基づいて各層作成ファクターの最適値を決めるのが望
ましい。
【0114】以下、高周波(RF,VHF)プラズマC
VD法およびマイクロ波プラズマCVD法によって堆積
膜を形成するための装置及び形成方法について詳述す
る。
【0115】図2は高周波プラズマCVD(以下「RF
/VHF−PCVD」と表記する)法による電子写真用
感光体の製造装置の一例を示す模式的な構成図、図3、
図4、図5、はマイクロ波プラズマCVD(以下「μW
−PCVD」と表記する)法によって電子写真用感光体
用の堆積膜を形成するための堆積膜形成用反応炉の一例
を示す説明図である。
【0116】図2に示すRF/VHF−PCVD法によ
る堆積膜の製造装置の構成は以下の通りである。この装
置は大別すると、堆積装置(4100)、原料ガスの供
給装置(4200)、反応容器(4111)内を減圧に
するための排気装置(図示せず)から構成されている。
堆積装置(4100)中の反応容器(4111)内には
円筒状支持体(4112)、支持体加熱用ヒーター(4
113)、原料ガス導入管(4114)が設置され、更
に高周波マッチングボックス(4115)が接続されて
いる。
【0117】原料ガス供給装置(4200)は、SiH
4 、H2 、CH4 、NO、NH3 、SiF4 等の原料ガ
スのボンベ(4221〜4226)とバルブ(4231
〜4236、4241〜4246、4251〜425
6)およびマスフローコントローラー(4211〜42
16)から構成され、各原料ガスのボンベはバルブ(4
260)を介して反応容器(4111)内のガス導入管
(4114)に接続されている。
【0118】この装置を用いた堆積膜の形成は、例えば
以下のように行うことができる。
【0119】まず、反応容器(4111)内に円筒状支
持体(4112)を設置し、不図示の排気装置(例えば
真空ポンプ)により反応容器(4111)内を排気す
る。続いて、支持体加熱用ヒーター(4113)により
円筒状支持体(4112)の温度を20℃〜500℃の
所定の温度に制御する。
【0120】堆積膜形成用の原料ガスを反応容器(41
11)に流入させるには、ガスボンベのバルブ(423
1〜4236)、反応容器のリークバルブ(4117)
が閉じられていることを確認し、また、流入バルブ(4
241〜4246)、流出バルブ(4251〜425
6)、補助バルブ(4260)が開かれていることを確
認して、まずメインバルブ(4118)を開いて反応容
器(4111)およびガス配管内(4116)を排気す
る。
【0121】次に真空計(4119)の読みが約5×1
-6Torrになった時点で補助バルブ(4260)、
流出バルブ(4251〜4256)を閉じる。その後、
ガスボンベ(4221〜4226)より各ガスをバルブ
(4231〜4236)を開いて導入し、圧力調整器
(4261〜4266)により各ガス圧を2kg/cm
2 に調整する。次に、流入バルブ(4241〜424
6)を徐々に開けて、各ガスをマスフローコントローラ
ー(4211〜4216)内に導入する。
【0122】以上のようにして成膜の準備が完了した
後、円筒状支持体(4112)上に光導電層、表面層の
各層の形成を行う。
【0123】円筒状支持体(4112)が所定の温度に
なったところで流出バルブ(4251〜4256)のう
ちの必要なものおよび補助バルブ(4260)を徐々に
開き、ガスボンベ(4221〜4226)から所定のガ
スをガス導入管(4114)を介して反応容器(411
1)内に導入する。次にマスフローコントローラー(4
211〜4216)によって各原料ガスが所定の流量に
なるように調整する。その際、反応容器(4111)内
の圧力が1Torr以下の所定の圧力になるように真空
計(4119)を見ながらメインバルブ(4118)の
開口を調整する。内圧が安定したところで、RF電源
(不図示)を所望の電力に設定して、高周波マッチング
ボックス(4115)を通じて反応容器(4111)内
にRF/VHF電力を導入し、RF/VHFグロー放電
を生起させる。この放電エネルギーによって反応容器内
に導入された原料ガスが分解され、円筒状支持体(41
12)上に所定のシリコンを主成分とする堆積膜が形成
されるところとなる。所望の膜厚の形成が行われた後、
RF/VHF電力の供給を止め、流出バルブを閉じて反
応容器へのガスの流入を止め、堆積膜の形成を終える。
【0124】同様の操作を複数回繰り返すことによっ
て、所望の多層構造の光受容層が形成される。
【0125】それぞれの層を形成する際には必要なガス
以外の流出バルブはすべて閉じられていることは言うま
でもなく、また、それぞれのガスが反応容器(411
1)内、流出バルブ(4251〜4256)から反応容
器(4111)に至る配管内に残留することを避けるた
めに、流出バルブ(4251〜4256)を閉じ、補助
バルブ(4260)を開き、さらにメインバルブ(41
18)を全開にして系内を一旦高真空に排気する操作を
必要に応じて行う。
【0126】また、膜形成の均一化を図る場合は、膜形
成を行なっている間は、円筒状支持体(4112)を駆
動装置(不図示)によって所定の速度で回転させる。
【0127】上述のガス種およびバルブ操作は各々の層
の作成条件にしたがって変更が加えられることは言うま
でもない。
【0128】支持体の加熱方法は、真空仕様である発熱
体であればよく、より具体的にはシース状ヒーターの巻
き付けヒーター、板状ヒーター、セラミックヒーター等
の電気抵抗発熱体、ハロゲンランプ、赤外線ランプ等の
熱放射ランプ発熱体、液体、気体等を温媒とし熱交換手
段による発熱体等が挙げられる。加熱手段の表面材質
は、ステンレス、ニッケル、アルミニウム、銅等の金属
類、セラミックス、耐熱性高分子樹脂等を使用すること
ができる。また、それ以外にも、反応容器以外に加熱専
用の容器を設け、加熱した後、反応容器内に真空中で支
持体を搬送する等の方法が用いられる。
【0129】次に、μW−PCVD法によって形成され
る電子写真用感光体の製造方法について説明する。図2
に示した製造装置におけるRF−PCVD法による堆積
装置(4100)を図3、図4、図5に示す堆積装置
(5100)に交換して原料ガス供給装置(4200)
と接続することにより、μW−PCVD法による以下の
構成の電子写真用感光体製造装置を得ることができる。
【0130】この装置は、真空気密化構造を成した減圧
にし得る反応容器(5111)、原料ガスの供給装置
(4200)、および反応容器内を減圧にするための排
気装置(不図示)から構成されている。反応容器(51
11)内にはマイクロ波電力を反応容器内に効率よく透
過し、かつ、真空気密を保持し得るような材料(例えば
石英ガラス、アルミナセラミックス等)で形成されたマ
イクロ波導入窓(5112)、スタブチューナー(図示
せず)およびアイソレーター(図示せず)を介してマイ
クロ波電源(図示せず)に接続されているマイクロ波の
導波管(5113)、堆積膜を形成すべき円筒状支持体
(5115)、支持体加熱用ヒーター(5116)、原
料ガス導入管(5117)、プラズマ電位を制御するた
めの外部電気バイアスを与えるための電極(5118)
が設置されており、反応容器(5111)内は排気管
(5121)を通じて不図示の拡散ポンプに接続されて
いる。原料ガス供給装置(4200)は、SiH4 ,H
2 ,CH4 ,NO,NH3 ,SiF4 等の原料ガスのボ
ンベ(4221〜4226)とバルブ(4231〜42
36、4241〜4246、4251〜4256)およ
びマスフローコントローラー(4211〜4216)か
ら構成され、各原料ガスのボンベはバルブ(4260)
を介して反応容器内のガス導入管(5117)に接続さ
れている。また、円筒状支持体(5115)によって取
り囲まれた空間(5130)が放電空間を形成してい
る。
【0131】μW−PCVD法によるこの装置での堆積
膜の形成は、以下のように行なうことができる。
【0132】まず、反応容器(5111)内に円筒状支
持体(5115)を設置し、駆動装置(5120)によ
って支持体(5115)を回転し、不図示の排気装置
(例えば真空ポンプ)により反応容器(5111)内を
排気管(5121)を介して排気し、反応容器(511
1)内の圧力を1×10-6Torr以下に調整する。続
いて、支持体加熱用ヒーター(5116)により円筒状
支持体(5115)の温度を20℃〜500℃の所定の
温度に加熱保持する。
【0133】堆積膜形成用の原料ガスを反応容器(51
11)に流入させるには、ガスボンベのバルブ(423
1〜4236)、反応容器のリークバルブ(不図示)が
閉じられていることを確認し、また、流入バルブ(42
41〜4246)、流出バルブ(4251〜425
6)、補助バルブ(4260)が開かれていることを確
認して、まずメインバルブ(不図示)を開いて反応容器
(5111)およびガス配管(5122)内を排気す
る。
【0134】次に真空計(不図示)の読みが約5×10
-6Torrになった時点で補助バルブ(4260)、流
出バルブ(4251〜4256)を閉じる。その後、ガ
スボンベ(4221〜4226)より各ガスをバルブ
(4231〜4236)を開いて導入し、圧力調整器
(4261〜4266)により各ガス圧を2kg/cm
2に調整する。次に、流入バルブ(4241〜424
6)を徐々に開けて、各ガスをマスフローコントローラ
ー(4211〜4216)内に導入する。
【0135】以上のようにして成膜の準備が完了した
後、円筒状支持体(5115)上に光導電層、表面層の
各層の形成を行う。
【0136】円筒状支持体(5115)が所定の温度に
なったところで流出バルブ(4251〜4256)のう
ちの必要なものおよび補助バルブ(4260)を徐々に
開き、ガスボンベ(4221〜4226)から所定のガ
スをガス導入管(5117)を介して反応容器(511
1)内の放電空間(5130)に導入する。次にマスフ
ローコントローラー(4211〜4216)によって各
原料ガスが所定の流量になるように調整する。その際、
放電空間(5130)内の圧力が1Torr以下の所定
の圧力になるように真空計(不図示)を見ながらメイン
バルブ(不図示)の開口を調整する。圧力が安定した
後、マイクロ波電源(不図示)により周波数500MH
z以上の、好ましくは2.45GHzのマイクロ波を発
生させ、マイクロ波電源(不図示)を所望の電力に設定
し、導波管(5113)、マイクロ波導入窓(511
2)を介して放電空間(5130)にμWエネルギーを
導入して、μWグロー放電を生起させる。それと同時併
行的に、電源(5119)から電極(5118)に例え
ば直流等の電気バイアスを印加する。かくして支持体
(5115)により取り囲まれた放電空間(5130)
において、導入された原料ガスは、マイクロ波のエネル
ギーにより励起されて解離し、円筒状支持体(511
5)上に所定の堆積膜が形成される。この時、層形成の
均一化を図るため支持体回転用モーター(5120)に
よって、所望の回転速度で回転させる。
【0137】所望の膜厚の形成が行われた後、μW電力
の供給を止め、流出バルブを閉じて反応容器へのガスの
流入を止め、堆積膜の形成を終える。
【0138】同様の操作を複数回繰り返すことによっ
て、所望の多層構造の光受容層が形成される。
【0139】それぞれの層を形成する際には必要なガス
以外の流出バルブはすべて閉じられていることは言うま
でもなく、また、それぞれのガスが反応容器(511
1)内、流出バルブ(4251〜4256)から反応容
器(5111)に至る配管内に残留することを避けるた
めに、流出バルブ(4251〜4256)を閉じ、補助
バルブ(4260)を開き、さらにメインバルブ(不図
示)を全開にして系内を一旦高真空に排気する操作を必
要に応じて行う。
【0140】上述のガス種およびバルブ操作は各々の層
の作成条件にしたがって変更が加えられることは言うま
でもない。
【0141】支持体の加熱方法は、真空仕様である発熱
体であればよく、より具体的にはシース状ヒーターの巻
き付けヒーター、板状ヒーター、セラミックヒーター等
の電気抵抗発熱体、ハロゲンランプ、赤外線ランプ等の
熱放射ランプ発熱体、液体、気体等を温媒とし熱交換手
段による発熱体等が挙げられる。加熱手段の表面材質
は、ステンレス、ニッケル、アルミニウム、銅等の金属
類、セラミックス、耐熱性高分子樹脂等を使用すること
ができる。また、それ以外にも、反応容器以外に加熱専
用の容器を設け、加熱した後、反応容器内に真空中で支
持体を搬送する等の方法が用いられる。
【0142】μW−PCVD法においては、放電空間内
の圧力としては、好ましくは1×10-3Torr以上1
×10-1Torr以下、より好ましくは3×10-3To
rr以上5×10-2Torr以下、最も好ましくは5×
10-3Torr以上3×10-2Torr以下に設定する
ことが望ましい。
【0143】放電空間外の圧力は、放電空間内の圧力よ
りも低ければよいが、放電空間内の圧力が1×10-1
orr以下では、又、特に顕著には5×10-2Torr
以下では、放電空間内の圧力が放電空間外の圧力の3倍
以上の時、特に堆積膜特性向上の効果が大きい。
【0144】マイクロ波の反応炉までの導入方法として
は導波管による方法が挙げられ、反応炉内への導入は、
1つまたは複数の誘電体窓から導入する方法が挙げられ
る。この時、炉内へのマイクロ波の導入窓の材質として
はアルミナ(Al23 )、窒化アルミニウム(Al
N)、窒化ボロン(BN)、窒化珪素(SiN)、炭化
珪素(SiC)、酸化珪素(SiO2 )、酸化ベリリウ
ム(BeO)、テフロン、ポリスチレン等マイクロ波の
損失の少ない材料が通常使用される。
【0145】電極と支持体間に発生させる電界は直流電
界が好ましく、又、電界の向きは電極から支持体に向け
るのがより好ましい。電界を発生させるために電極に印
加する直流電圧の平均の大きさは、15V以上300V
以下、好ましくは30V以上200V以下が適する。直
流電圧波形としては、特に制限はなく、種々の波形のも
のが本発明では有効である。つまり、時間によって電圧
の向きが変化しなければいずれの場合でもよく、例え
ば、時間に対して大きさの変化しない定電圧はもちろ
ん、パルス状の電圧、及び整流機により整流された時間
によって大きさが変化する脈動電圧でも有効である。
【0146】また、交流電圧を印加することも有効であ
る。交流の周波数は、いずれの周波数でも問題はなく、
実用的には低周波では50Hzまたは60Hz、高周波
では10KHz〜450MHzが適する。交流の波形と
してはサイン波でも矩形波でも、他のいずれの波形でも
よいが、実用的には、サイン波が適する。但し、この時
電圧はいずれの場合も実効値を言う。
【0147】電極の大きさ及び形状は、放電を乱さない
ならばいずれのものでも良いが、実用上は直径0.1c
m以上5cm以下の円筒状の形状が好ましい。この時、
電極の長さも、支持体に電界が均一にかかる長さであれ
ば任意に設定できる。
【0148】電極の材質としては、表面が導電性となる
ものならばいずれのものでも良く、例えば、ステンレ
ス,Al,Cr,Mo,Au,In,Nb,Te,V,
Ti,Pt,Pd,Fe等の金属、これらの合金または
表面を導電処理したガラス、セラミック、プラスチック
等が通常使用される。
【0149】次に、ゾルゲル法による中間層乃至表面層
の塗工・成膜手段について説明する。ゾル様の該被覆部
材は「スプレー塗布」と「ディッピング塗布」等公知の
塗布工程で、高価な装置、大量のエネルギーを用いるこ
となく容易に張り替えが可能である。
【0150】次に、ゾルゲル法による下引き層の塗工・
成膜手段について説明する。ゾル状態の前駆体溶液は
「スプレー塗布」と「ディッピング塗布」等公知の塗布
工程で塗工が可能である。
【0151】図6に、スプレー法による塗布手段を説明
する。
【0152】図6において、801はシリンダー、80
2は塗布液ポット、803はチャッキングフランジ、8
04はスプレーノズル、805はゾル状態の前駆体溶
液、806は撹拌モーター、807はシリンダー回転モ
ーターである。
【0153】図6において、撹拌モーター806によ
り、塗布液ポット802の中のゾル状態の前駆体溶液8
05が撹拌されている。シリンダー801はチャッキン
グフランジ803によりスプレーノズル804の前に固
定され、ゾル状態の前駆体溶液805が軸方向に往復動
作するスプレーノズル804から塗工され、シリンダー
801の表面にゾル状態の前駆体溶液層を形成する。
【0154】図7に、ディッピング法による塗布手段を
説明する。
【0155】図7において、901はシリンダー乃至a
−Si系感光体、902は塗布ポット、903はチャッ
キングクランプ、904は突き上げシリンダー、905
はゾル状態の前駆体溶液、906は撹拌機、907は撹
拌モーターである。
【0156】図7において、撹拌モーター907により
撹拌機906が回転し、塗布ポット902の中のゾル状
態の前駆体溶液905が撹拌されている。シリンダー9
01はチャッキングクランプ903により突き上げシリ
ンダー904の上に固定され、ゾル状態の前駆体溶液9
05へ浸漬し次に上昇させ10mm/min〜1000
mm/minの速度で上昇させシリンダー901の表面
にゾル状態の前駆体溶液塗工層を形成する。
【0157】図8に、紡糸法による塗布手段を説明す
る。
【0158】図8において、1001はシリンダー、1
002は液ポット、1003はチャッキングフランジ、
1004は紡糸ノズル、1005はゾル状態の前駆体溶
液、1006は撹拌モーター、1007はシリンダー回
転モーターである。
【0159】図8において、撹拌モーター1006によ
り、液ポット1002の中のゾル状態の前駆体溶液10
05が撹拌されている。シリンダー1001はチャッキ
ングフランジ1003により紡糸ノズル1004の前に
固定され、ゾル状態の前駆体溶液1005が軸方向に微
速移動するスプレーノズル1004から紡糸状膨潤体が
巻き取られ、シリンダー1001の表面に螺旋状膨潤体
層を形成する。
【0160】次に、電子写真感光体の使用例を説明す
る。
【0161】図9はa−Si感光体を用いた複写機の画
像形成プロセスのクリーニング装置にカウンターブレー
ドを用いた一例を示す概略図であって、矢印X方向に回
転する、ヒータ323によって温度コントロールされ
た、感光体301の周辺には、主帯電器302、静電潜
像形成部位303、現像器304、転写紙供給系30
5、転写帯電器306(a)、分離帯電器306
(b)、クリーナ307、搬送系308、除電光源30
9などが配設されている。
【0162】以下、さらに具体例を以て画像形成プロセ
スを説明すると、感光体301は+6〜8kVの高電圧
を印加した主帯電器302により一様に帯電され、これ
に静電潜像形成部位より導き投影された静電潜像が形成
され、この潜像に現像器304からネガ極性トナーが供
給されてトナー像となる。
【0163】一方、転写紙供給系305を通って感光体
方向に供給される転写材Pは+7〜8kVの高電圧を印
加した転写帯電器306(a)と感光体301の間隙に
おいて背面から、トナーとは反対極性の正電界を与えら
れ、これによって感光体表面のネガ極性トナー像は転写
材Pに転移する。12〜14kVp−p、300〜60
0Hzの高圧AC電圧を印加した分離帯電器306
(b)により、転写材Pは転写紙搬送系308を通って
定着装置(不図示)に至り、トナー像は定着されて装置
外に排出される。
【0164】以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明
する。尚、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。 [実施例1]アルミシリンダー上に図6に示したような
スプレー塗工手段により、In(OC254 、水、
アルコール、塩酸の混合液を塗布する。次いで、40〜
90度に加熱乾燥させ乾燥ゲル体とした。更に300度
に加熱し3μmのIn−O下引き層207を形成した。
【0165】次に表1及び図1(A)に示す様な、電荷
注入阻止層202、光導電層203、表面層204を図
2で示したような、RF成膜法装置により成膜しa−S
i系感光体を形成した。得られたa−Si系感光体に対
し以下の引っ掻き傷テスト及び、衝撃テストを行った。
【0166】
【表1】 (引っ掻き傷テスト)ヘイドン表面性試験機を用い先端
φ=0.1mmの曲率を持つダイヤモンド針に30g,
40g,50g,60g,70g,の荷重を加えて円筒
形感光体の軸方向に引っ掻き傷を入れた。
【0167】次いで、図9に示したような複写機に設
置、反射濃度0.4〜0.5のハーフトーン画像出しを
行ったところ、白すじ等のない良好な画像が得られた。
【0168】又金属顕微鏡により感光体表面の観察を行
ったがダイヤモンド針による傷は、観察されなかった。 (衝撃テスト)ドライバー(全長18cm、重さ80
g、先端部分の面積1mm2 )の柄の部分を支持し先端
を感光体表面に対して垂直に2cm,4cm,6cmの
高さから落下させ衝撃に対する強度をテストした。その
結果いずれの高さからドライバーを落下した場合にも感
光体表面にはヒビ割等の欠陥は確認されなかった。 [比較例1]下引き層を形成しないこと以外は、実施例
1と同様にa−Si系感光体を図2に示したようなRF
成膜法装置により成膜した。
【0169】得られたa−Si系感光体を実施例1と同
様の引っ掻きテストを行い感光体表面を金属顕微鏡によ
り観察した結果ダイヤモンド針による傷の発生はなかっ
たが、図9に示したような複写機に設置、画像出しを行
ったところ、50g,60g,70g,に白すじ状の圧
傷による画像欠陥が認められ、良好な画像が得られなか
った。
【0170】つぎにドライバー(全長18cm、重さ8
0g、先端部分の面積1mm2 )の柄の部分を支持し先
端を感光体表面に対して垂直に2cm,4cm,6cm
の高さから落下させ衝撃に対する強度をテストした。そ
の結果いずれの高さからドライバーを落下した場合にも
感光体表面にはヒビ割れが確認された。 [実施例2]図6に示したようなスプレー塗工手段によ
り、アルミ基体上にZn(OC254 、水、アルコ
ール、塩酸の混合液を塗布した後に、300度に加熱し
3μmのZn−O下引き層を形成した。
【0171】次いで、上記下引き層の上に実施例1と同
様のa−Si系感光体を図2に示したようなRF成膜法
装置により成膜した。
【0172】得られたa−Si系感光体に対し実施例1
と同様の引っ掻き傷テスト及び、衝撃テストを行った。
【0173】その結果実施例1と同様に良好な画像が得
られ、圧傷及び、ヒビ割れ、膜剥れ等の欠陥は発生しな
かった。 [実施例3]まず、アルミシリンダー上に図7に示した
ようなディッピング塗工手段により、テトラメトキシシ
ランIn(OCH34 、チタンイソプロポキシドZn
(OC374 、水、アルコール、塩酸の混合液を塗
布する。次いで、40〜90度に加熱乾燥させ乾燥ゲル
体とした。更に320度に加熱し5μmの−In−O−
Zn−O−下引き層を形成した。
【0174】次いで、下引き層の上に表2に示す様な、
電荷注入阻止層、光導電層、表面層を図3で示したよう
な、μW成膜法装置により成膜しa−Si系感光体を形
成した。
【0175】
【表2】 得られたa−Si系感光体に対し実施例1と同様の引っ
掻き傷テスト及び、衝撃テストを行った。
【0176】その結果実施例1と同様に良好な画像が得
られ、圧傷及び、ヒビ割れ、膜剥れ等の欠陥は発生しな
かった。 [実施例4]まず、アルミシリンダー上に図8に示した
ような紡糸塗工手段により、Sn(OC254
水、アルコール、塩酸の混合液を塗布する。次いで、4
0〜90度に加熱乾燥させ乾燥ゲル体とした。更に27
0度に加熱し3μmのSn−O下引き層を形成した。
【0177】次いで、下引き層の上に表1に示す様な、
電荷注入阻止層、光導電層、表面層を図2で示したよう
な、RF成膜法装置により成膜しa−Si系感光体を形
成した。
【0178】得られたa−Si系感光体に対し実施例1
と同様の引っ掻き傷テスト及び、衝撃テストを行った。
【0179】その結果実施例1と同様に良好な画像が得
られ、圧傷及び、ヒビ割れ、膜剥れ等の欠陥は発生しな
かった。
【0180】実施例1〜4で得られた電子写真感光体を
図9に示した電子写真装置に設置し、暗部電位を400
Vに設定し白紙を原稿台にセットした状態で画像露光の
光量を1.8lux・secで点灯させた時の明部電位
を残留電位として測定した。その結果実施例1〜4の感
光体の残留電位は、いずれも10〜20Vと低い値であ
り良好な画像が得られた。 [比較例2]まず、アルミシリンダー上に図6に示した
ようなスプレー塗工手段により、下図に示したようなテ
トラエトキシシランSi(OC254 、水、アルコ
ール、塩酸の混合液を塗布する。次いで、40〜90度
に加熱乾燥させ乾燥ゲル体とした。更に240度に加熱
し0.5μmのSi−O下引き層を形成した。
【0181】つぎに、表1に示す様な、電荷注入阻止
層、光導電層、表面層を図2で示したような、RF成膜
法装置により成膜しa−Si系感光体を形成した。
【0182】得られたa−Si系感光体に対し実施例1
と同様の引っ掻き傷テスト及び、衝撃テストを行った。
【0183】その結果実施例1と同様に良好な画像が得
られ、圧傷及び、ヒビ割れ、膜剥れ等の欠陥は発生しな
かった。
【0184】次いで、図9に示したような複写機に設
置、電位測定したところ50Vの残留電位が確認され、
良好な画像が得られなかった。
【0185】同様に多種の金属源についても下引き層の
形成を行ったところ、Al,Ti,Zr,Beについて
引っ掻き傷テスト及び、衝撃テストに関しては良好な結
果が得られたが電位特性に関しては、いずれも残留電位
が50Vと高く良好な画像は得られなかった。 (本発明の第2の電子写真感光体の実施例)以下、図面
にしたがって本発明の別の電子写真感光体、即ち感光層
上に金属酸化膜の表面層を形成した感光体について具体
例を挙げて詳細に説明する。
【0186】図10は本発明の電子写真感光体の好適な
層構成を説明するために模式的に示した構成図である。
図10(A)に示す電子写真感光体6100は、電子写
真感光体用としての導電性支持体6101の上に、有機
光導電体で構成される光導電層6102と、ゾル−ゲル
法によって形成した表面層6103からなる層構成を有
し、表面層6103は自由表面6110を有する構成の
ものである。図10(B)に示す電子写真感光体610
0は、導電性支持体6101の上に有機光導電体で構成
される光導電層6102と表面層6103からなる点で
は図10(A)と同様であるが、光導電層6102は、
更に像露光により光キャリアを発生させる電荷発生層6
104と光キャリアを表面に輸送する電荷輸送層610
5とから構成される。 (支持体6101)本発明において使用される導電性支
持体としては、例えば、Al,Cu,Cr,Mo,A
u,In,Nb,Te,V,Ti,Pt,Pd,Fe等
の金属、およびこれらの合金、例えばステンレス等をド
ラムもしくはシート状に成形した物が挙げられる。ま
た、AlやCu等の金属箔をポリエステル、ポリエチレ
ン、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリプ
ロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド
等の合成樹脂のフィルムまたはシート、ガラス、セラミ
ック等の電気絶縁体にラミネートまたは蒸着したもの、
あるいは導電性物質を単独あるいは好適なバインダー樹
脂とともに塗布して導電性の層を設けた金属もしくはプ
ラスチックフィルム等が挙げられる。
【0187】この導電層に用いられる導電性物質として
は、Al、Cu、Ni、Ag等の金属粉体、金属箔およ
び金属短繊維、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化
スズ、ITO等の導電性金属酸化物、ポリピロール、ポ
リアニリン、高分子電解質等の高分子導電材カーボンフ
ァイバー、カーボンブラック、グラファイト粉体、有機
及び無機の電解質または上述の導電性物質で表面を被覆
した導電性粉体等が挙げられる。また、導電層に用いら
れるバインダー樹脂としてはポリアミド樹脂、ポリエス
テル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミノ酸エステル、ポリ
酢酸ビニル、ポリカーボネート、ポリビニルホルマー
ル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルキルエーテ
ル、ポリアルキレンエーテル、ポリウレタンエラストマ
ー等の熱硬化性樹脂や熱硬化性ポリウレタン、フェノー
ル樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0188】導電性物質とバインダー樹脂の混合比とし
ては、5:1から1:5程度であることが好ましい。こ
の混合比は、導電層の抵抗値、表面性、塗布適性等を考
慮して決定される。導電性物質が粉体の場合にはボール
ミル、ロールミル、サンドミル等を用いて常法により混
合物を調整することができる。
【0189】また、他の添加剤として界面活性剤、シラ
ンカップリング剤、チタネートカップリング剤、シリコ
ーンオイル、シリコーンレベリング剤等が挙げられる。
【0190】支持体の形状は平滑表面あるいは凹凸表面
の円筒状または板状無端ベルト状であることができ、そ
の厚さは、所望通りの電子写真感光体を形成し得るよう
に適宜決定するが、電子写真感光体としての可撓性が要
求される場合には、支持体としての機能が充分発揮でき
る範囲内で可能な限り薄くすることができる。しかしな
がら、支持体の製造上および取り扱い上、機械的強度等
の点から通常は10μm以上とされる。 (光導電層6102)本発明における光導電層は、有機
光導電体により構成され、所望の光導電特性、特に電荷
保持特性、電荷発生特性、電荷輸送特性を有する。
【0191】そして光導電層は、単層型であっても、電
荷の発生と輸送とを分担させた機能分離型の積層構造の
ものであってもよい。電荷発生層は、スーダンレッド、
ダイアンブルー等のアゾ顔料、ピレンキノン、アントア
ントロン等のキノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレン
顔料、インジゴ、チオインジゴ等のインジゴ顔料、アズ
レニウム塩顔料、銅フタロシアニン、チタニルオキシフ
タロシアニン等のフタロシアニン顔料、等の電荷発生物
質をポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポ
リスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ポリビニ
ルピロリドン、エチルセルロース、酢酸酪酸セルロース
等の結着剤樹脂に分散させて、この分散液を前述の導電
層の上に塗工することによって形成することができる。
電荷発生層の膜厚は5μm以下、好ましくは0.01〜
4μm、最適には0.05〜2μmとされるのが望まし
い。
【0192】電荷発生層上に塗設される電荷輸送層は、
主鎖もしくは副鎖にビフェニレン、アントラセン、ピレ
ン、フェナントレン等の構造を有する多芳香族化合物、
インドール、カルバゾール、オキサジアゾール、ピラゾ
リン等の含窒素環式化合物、ヒドラゾン化合物、スチリ
ル化合物等の電荷輸送性の化合物を被膜形成性の樹脂に
溶解させた塗工液を用いて形成される。かかる成膜性を
有する樹脂としては、具体的には例えば、ポリエステ
ル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸エステル、ポ
リスチレン、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリレー
ト樹脂、ポリスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミ
ド樹脂、ポリフェニレンサルファイドポリエーテルエー
テルケトン樹脂等を挙げることができる。
【0193】かかる電荷輸送層の膜厚としては、好まし
くは5〜40μm、より好ましくは8〜35μm、最適
には10〜30μmとされるのが望ましい。
【0194】前述の電荷発生層、電荷輸送層の各層は浸
漬塗布法、スプレー塗布法、ロール塗布法等の従来公知
の方法で形成することができる。また、電荷発生層と電
荷輸送層の積層順は帯電極性、露光光源等により任意に
選択できる。 (表面層6103)本発明における表面層は、金属アル
コキシドを一例とする有機金属化合物と水、アルコール
等の分散剤と塩酸等の触媒との混合溶液を数十度に保ち
ゾル状態とした液体を、導電性支持体上に形成した有機
光導電体層上にディッピング法等の公知の方法により塗
工した後、加水分解・重合反応によりゲル化を進行さ
せ、その後加熱縮重合により緻密な金属酸化膜を得る手
段を用いて形成する。本発明において、「ゾル−ゲル
法」によって形成する金属酸化物としては酸化珪素、酸
化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化
ベリリウム等の絶縁性金属酸化物が好適に用いられる。
【0195】本発明において表面層の形成に用いられ
る、「ゾル−ゲル法」の主な方法として、「金属アルコ
キシド」と「金属キレート」を用いる例が挙げられる。
【0196】金属アルコキシドを用いる方法は、 M(OR)n +nH2 O→M(OH)n +nROH (MはSi,Al,Ti,Zr,Be等の金属、RはC
3 ,C25 ,C37 等のアルキル基、nは金属の
酸化数)の反応によって加水分解し、M(OH)n が M(OH)n →MOn/2 +n/2H2 O の反応によって縮重合し、溶液中に−M−O−M−O−
の結合ができた骨格を持つ酸化物微粒子が生成しゲル化
する。これを加熱し、強固な金属酸化物被膜を得る。
【0197】金属キレートを用いる方法は、アセチルア
セトナート、水、アルコール、塩酸の混合液から金属酸
化物被膜を得るものである。
【0198】
【化2】 更に、ゾル状の金属酸化物を感光体上に塗布する手法と
しては、「ゾル−ゲル法」のチキソトロピーやダイラン
シーの活用が有効である。
【0199】本発明の図7に示したディッピング法にお
いては前者を活用し、粘度の低い状態でムラなく塗布し
た後引き上げられ溶液が静止すると粘性が上昇し液ダレ
がないようになる。また、本発明の図8に示したような
紡糸巻き取り法については後者の特性を活用する。溶液
中に−M−O−M−O−の結合ができた骨格を有する酸
化物粒子が生成した粘度の高いゲル状紡糸を感光体周方
向に配向させながら巻きつけ、次いで静置することによ
り粘度が低下し膜厚ムラのない溶液膜が形成できる。こ
のようにして感光体表面に滑らかな金属酸化物の塗膜が
形成できる。
【0200】次に、ゾル−ゲル法による金属酸化物層の
塗工・成膜手段について説明する。ゾル用の前駆体溶液
は「スプレー塗布」、「ディッピング塗布」等高知の塗
布工程で塗工が可能である。なお、塗布手段について
は、既に図6,図7,図8を用いて説明したスプレー法
による塗布手段、ディッピング法による塗布手段、紡糸
法による塗布手段を用いることができ、図6,図7,図
8におけるシリンダー801,901,1001を有機
光導電体層を形成した感光体に置き換えることで塗工を
行うことができる。
【0201】本発明において、表面層の膜厚は所望の電
子写真特性が得られること、及び経済的効果等の点から
好ましくは0.01〜1μm、より好ましくは0.03
〜0.7μm、最適には0.05〜0.5μmとされる
のが望ましい。膜厚が0.01μmより薄いと機械的強
度が不足し、1μmより厚いと残留電位が多くなるので
表面層の膜厚は上記範囲とすることが必要である。
【0202】本発明において、表面層の組成は必要とさ
れる機械的強度、耐環境性を満足するように適宜選択さ
れるが、いずれにしても像露光波長に対して実質的に透
明であることが必要であり、前露光および像露光波長に
対して光感度を有する必要はない。
【0203】上述のようにして作製された本発明の電子
写真感光体は、複写機、レーザープリンター、LEDプ
リンター、液晶シャッター式プリンター等の電子写真装
置一般において、特に優れた耐久性、光感度を示す。
【0204】以下、実施例により本発明を更に詳細に説
明するが、本発明にこれらによってなんら限定されるも
のではない。 [実施例5]10%の酸化アンチモンを含有する酸化ス
ズで被覆した導電性酸化チタン粉体50部、フェノール
樹脂25部、メチルセロソルブ20部、メタノール5
部、及びシリコーンオイル(ポリジメチルシロキサンポ
リオキシアルキレン共重合体、平均分子量3000)
0.002部をφ1mmガラスビーズを用いたサンドミ
ル装置で2時間分散して導電層塗料を得た。これを、直
径108mm、長さ360mmのアルミニウムシリンダ
ー上に浸漬塗布し、140℃で30分乾燥して、膜厚2
0μmの導電層を形成した。
【0205】つぎに、N−メトキシメチル化ナイロン5
部をメタノール95部に溶解し、中間層塗料を得た。こ
の塗料を前記導電層上に浸漬塗布によって塗布し100
℃で20分間乾燥して0.6μmの中間層を形成した。
【0206】ついで、構造式
【0207】
【化3】 のチタニルフタロシアニン顔料3部、ポリビニルベンザ
ール(ベンザール化率80%、重量平均分子量1100
0)2部およびシクロヘキサノン35部をφ1mmガラ
スビーズを用いたサンドミル装置で12時間分散した
後、メチルエチルケトン60部を加えて電荷発生層用分
散液を得た。この分散液を前記した中間層上に浸漬塗布
して80℃で20分間乾燥して、膜厚0.2μmの電荷
発生層を得た。
【0208】次ぎに、構造式
【0209】
【化4】 の化合物10部、ポリカーボネートZ(重量平均分子量
46000)10部をメチルエチルケトン20部、トル
エン40部の混合溶媒中に溶解し、この溶液を前述の電
荷発生層上に浸漬塗布して120℃で60分間乾燥し、
膜厚18μmの電荷輸送層を形成した。
【0210】ついで、図6に示した塗工手段により、テ
トラエトキシシラン[Si(OC254 ]、アルコ
ール、水、塩酸の混合液を60℃に加熱した溶液を塗布
した後、130度に加熱しSi−Oからなる表面層を形
成して電子写真感光体を作製した。 [比較例3]表面層を形成しない以外は実施例5と同様
に、導電性支持体上に光導電層を形成した電子写真感光
体を作製した。 [比較例4]実施例5と同様に導電性支持体上に有機光
導電層を形成した後、公知の円筒型プラズマCVD装置
により、SiH4 とCH4 を原料ガスとして用いて支持
体温度100℃において膜厚0.5μmの非晶質炭化珪
素の表面層を形成した電子写真感光体を作製した。
【0211】実施例5、比較例3および比較例4で作製
した感光体を、実験用に改造したキヤノン製複写機NP
−5540にセットして、帯電能、感度、画像欠陥(黒
スジ)、画像流れの各項目について耐久試験を行ってそ
の特性を評価した。その際、帯電能、感度についてはそ
れぞれの感光体の作製直後の値を100としたときの相
対評価を行い、画像欠陥、画像流れについてはABCの
3段階評価(Aは良好、Bは実用上問題なし、Cは実用
上問題あり)を行った。その結果、表3に示すように、
比較例5の感光体は3万枚でいずれの特性も低下し、比
較例6の感光体は5万枚を越えると特に画像特性が低下
するが、実施例5の感光体は10万枚を経過した時点で
もいずれの項目も初期の特性をほぼ維持し良好な結果を
示した。
【0212】
【表3】 [実施例6]実施例5と同様に導電性支持体上に光導電
層を形成した後、図7に示した塗工手段により、テトラ
エトキシシラン[Si(OC254 ]60重量%、
チタンイソプロポキシド[Ti(OC374 ]40
重量%と水、アルコール、塩酸の混合液を80℃に加熱
した溶液を塗布する。次いで、150℃に加熱してSi
−Oを主成分としTi−Oを含有する表面層を有する電
子写真感光体を作製した。
【0213】作製した感光体を実施例5と同様の評価を
したところ、実施例5と同様に良好な特性を示した。 [実施例7]実施例5と同様に導電性支持体上に光導電
層を形成した後、図8に示した塗工手段により、テトラ
メトキシシラン[Si(OCH34 ]65重量%、ア
ルミニウムイソプロポキシド[Al(OC373
35重量%と水、アルコールの混合液を60℃に加熱し
た溶液を塗布する。次いで、150℃に加熱してSi−
Oを主成分としAl−Oを含有する表面層を有する電子
写真感光体を作製した。
【0214】作製した感光体を実施例5と同様の評価を
したところ、実施例5と同様に良好な特性を示した。 [実施例8]実施例5と同様に導電性支持体上に光導電
層を形成した後、図6に示した塗工手段により、トリス
アセチルアセトナトシリコン70重量%、テトラキスア
セチルアセトナトジルコニウム30重量%と水、アルコ
ール、塩酸の混合液を80℃に加熱した溶液を塗布す
る。次いで、150度に加熱しSi−Oを主成分としZ
r−Oを含有する表面層を形成した電子写真感光体を作
製した。作製した感光体を実施例5と同様の評価をした
ところ、実施例5と同様に良好な特性を示した。 [実施例9]実施例5と同様に導電性支持体上に光導電
層を形成した後、図6に示した塗工手段により、トリス
アセチルアセトナトシリコン50重量%、トリスアセチ
ルアセトナトチタン30重量%、ビスアセチルアセトナ
トベリリウム20重量%と水、アルコールの混合液を8
0℃に加熱した溶液を塗布する。次いで、150度に加
熱しSi−Oを主成分としTi−OおよびBe−Oを含
有する表面層を形成した電子写真感光体を作製した。
【0215】作製した感光体を実施例5と同様の評価を
したところ、実施例5と同様に良好な特性を示した。
【0216】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
特にa−Si感光体のAl基体に対する打撃に起因して
生じる画像欠陥を極めて有効に防止し、高画質のコピー
画像を提供できる電子写真感光体および感光体の提供が
可能になった。本発明の別の効果として、低抵抗の金属
酸化物材料を選択する事により残留電位の減少が認めら
れた。
【0217】また本発明によれば、従来の表面層を有す
る有機感光体に比べて表面硬度が高く、耐環境性に優
れ、長期間繰り返し使用しても帯電能や感度が低下する
ことなく、残留電位の低い、長期信頼性の優れた感光体
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるa−Si感光体の実施例の模式的
断面構成図である。
【図2】本発明による感光体を製造するための高周波プ
ラズマCVD装置の模式的構成図である。
【図3】本発明による感光体を製造するためのマイクロ
波プラズマCVD装置の反応炉の断面構成図である。
【図4】図3の反応炉の概略的平面構成図である。
【図5】前記マイクロ波プラズマCVD装置の模式的構
成図である。
【図6】スプレー法による塗布装置の概略的構成図であ
る。
【図7】ディッピング法による塗布装置の概略的構成図
である。
【図8】紡糸法による塗布装置の概略的構成図である。
【図9】本発明による感光体の使用例である電子写真装
置の概略的構成図である。
【図10】本発明による有機光導電体を用いた感光体の
実施例の模式的断面構成図である。
【図11】従来の感光体の構成例の模式断面図である。
【符号の説明】
201、6101 導電性支持体 202 電荷注入阻止層 203、6102 光導電層 204、6103 表面層 205、6104 電荷輸送層 206、6105 電荷発生層 207 下引き層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河田 将也 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 山崎 晃司 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基体と、有機金属化合物に水とア
    ルコールと酸とを混合し加水分解・縮重合したゾル状高
    分子分散液を前記導電性基体上に塗工した後に加熱によ
    って前記水とアルコールと酸とを除去することで前記導
    電性基体上に形成された金属酸化膜と、この金属酸化膜
    上に形成された感光層と、を有する電子写真感光体。
  2. 【請求項2】 前記感光層は水素化アモルファスシリコ
    ン系感光層であることを特徴とする請求項1記載の電子
    写真感光体。
  3. 【請求項3】 前記ゾル状高分子分散液は、金属アルコ
    キシドから形成されることを特徴とする請求項1記載の
    電子写真感光体。
  4. 【請求項4】 前記ゾル状高分子分散液は、アセチルア
    セトナートから形成されることを特徴とする請求項1記
    載の電子写真感光体。
  5. 【請求項5】 前記金属酸化膜の金属源は、In、S
    n、及びZnの少なくとも1つを含むことを特徴とする
    請求項1〜請求項4のいずれかに記載の電子写真感光
    体。
  6. 【請求項6】 前記金属酸化膜の膜厚は、0.5〜10
    μmであること特徴とする請求項1〜請求項5のいずれ
    かに記載の電子写真感光体。
  7. 【請求項7】 導電性基体と、この導電性基体上に形成
    された感光層と、有機金属化合物に水とアルコールと酸
    とを混合し加水分解・縮重合したゾル状高分子分散液を
    前記感光層上に塗工した後に加熱によって前記水とアル
    コールと酸とを除去することで前記感光層上に形成され
    た金属酸化膜と、を有する電子写真感光体。
  8. 【請求項8】 前記感光層は有機光導電体であることを
    特徴とする請求項7記載の電子写真感光体。
  9. 【請求項9】 前記ゾル状高分子分散液は、金属アルコ
    キシドから形成されることを特徴とする請求項7記載の
    電子写真感光体。
  10. 【請求項10】 前記ゾル状高分子分散液は、アセチル
    アセトナートから形成されることを特徴とする請求項7
    記載の電子写真感光体。
  11. 【請求項11】 前記金属酸化膜は酸化珪素を主成分と
    し、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウ
    ム、及び酸化ベリリウムの少なくとも1つを含むことを
    特徴とする請求項7〜請求項10のいずれかに記載の電
    子写真感光体。
  12. 【請求項12】 前記金属酸化膜の膜厚は、0.01〜
    1μmであること特徴とする請求項7〜請求項11のい
    ずれかに記載の電子写真感光体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001305772A (ja) * 2000-04-18 2001-11-02 Fuji Xerox Co Ltd 電子デバイス、電子写真感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置
JP2014006350A (ja) * 2012-06-22 2014-01-16 Fuji Xerox Co Ltd 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び電子写真感光体の製造方法

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JP2001305772A (ja) * 2000-04-18 2001-11-02 Fuji Xerox Co Ltd 電子デバイス、電子写真感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置
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