JPH0633326A - 紡績機械の清掃方法と装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 吹払空気流を受けることが好ましくない紡績
機械上のワークステーションに対してのみ吹払空気流が
作用しないようにするトラベリング型吹払装置を用いた
紡績機械の清掃方法と装置の提供。 【構成】 前記ドラベリング型吹払装置が走行する際
に、紡績機械の複数のワークステーション中の所定のワ
ークステーションの作動の有無を検知して、前記所定の
ワークステーションが作動中には対応する少くとも１個
の吹出しノズルからの吹出空気流を閉鎖又は偏向させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は紡績機械の清掃方法と装
置に関する。より詳しくはトラベリング型吹払装置を用
いて紡績機械を清掃する際に、吹払装置からの空気流に
よって作動中の紡績装置の所定ワークステーションでの
作動が乱されるのを防ぐことができる紡績機械の清掃方
法と装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】精紡機、撚糸機、巻糸機、粗紡機では作
業中に風綿が発生し、それらが精紡機等に堆積しやす
い。そこでこれら紡績機械に沿って走行しながら空気を
吹付けて清掃するトラベリング型吹払装置が広く用いら
れている。このトラベリング型吹払装置としてはモータ
を紡績工場の所定位置に設置し、該モータで駆動される
エンドスベルトによって装置を走行させると共に空気吸
引手段を作動するベルトドライブ型と、装置内に走行用
及び空気吸引用のモータを内蔵するダイレクトドライブ
型とがあり、何れも紡績機械の清掃に優れた効果を発揮
する。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし紡績機械の各種
作動の中にはトラベリング吹払装置による空気流によっ
て悪影響を受ける場合がある。例えば精紡機、粗紡機で
の糸又は篠継ぎ又は巻糸機での糸継ぎに際して吹払空気
が与えられると篠継ぎや糸継ぎが確実に行われない恐れ
がある。

【０００４】特に巻糸機での糸結びは最近は自動化され
ており、管糸側の糸端が中継パイプの先端で把持されて
テンサーを経由して巻取り糸パッケージ側に延び、一方
巻取り糸パッケージ側の糸端がサクションマウスの先端
で把持されて管糸側に延び、両者の糸端はスプライサに
よって継がれる。この糸継ぎ操作中に吹払空気流が与え
られると糸が正しくテンサーに挿入されない場合が生
じ、その結果糸張力がコントロールされないまゝで糸が
チーズに巻かれることになり、正常なチーズが得られな
くなる。したがって従来はトラベリング型吹払装置全体
の風流を減少させて対処しているが、このような方法を
採用すると紡績機械全体の清掃効果が得られない。又糸
継ぎを必要とする位置にトラベリング型吹払装置が到達
した時に吹払装置全体の空気吹払作業を止めるか、風量
を減少させる方法も考えられるが、このような方法を採
用すると、巻糸機の他の部分の清掃も中止又は弱められ
るのでその面での悪影響が発生し好ましくない。

【０００５】本発明は従来公知のトラベリング型吹払装
置の有する前述の問題点を解決して、吹払空気流を受け
ることが好ましくない紡績機械上のワークステーション
に対してのみ吹払空気流が作用しないようにする紡績機
械の清掃方法と該方法を実施するのに好ましい装置を提
供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の前述の目的は複
数個の吹払ノズルを具備した少くとも１本の吹払ホース
を有するトラベリング型吹払装置を用いる紡績機械の清
掃方法であって、前記トラベリング吹払装置が紡績機械
に沿って複数個の吹払ノズルから空気を吹出し乍ら走行
する際に、紡績機械の複数のワークステーション中の所
定のワークステーションの作動の有無を検知して、前記
所定のワークステーションが作動中には対応する少くと
も１個の吹払ノズルからの吹出空気流を閉鎖又は偏向す
ることを特徴とする紡績機械の清掃方法によって達成さ
れる。

【０００７】本発明によるトラベリング型吹払装置は紡
績機械に沿って走行可能であり、且つ空気吸引手段を有
するキャリッジと、該キャリッジから機台の側方に沿っ
て下方に延びる少くとも１本の吸引ホースと、該吸引ホ
ースにフィルタ装置を介して連結された少くとも１本の
吹払ホースを含んで成り、該吹払ホースには紡績機械上
の清掃されることになり複数のワークステーションに向
けて空気を吹出す複数の吹払ノズルが設けられているト
ラベリング型吹払装置であって、該吹払装置に、紡績機
械の所定のワークステーションの作動の有無を検知する
センサ、前記所定のワークステーションを清掃するため
の吹払ノズル用の閉鎖又は偏向ダンパ及び前記センサか
らの信号に基づいて前記ダンパを作動するコントローラ
が設けられていることを特徴とする。

【０００８】前記センサとして光電センサを用い、且つ
センサを吹払ホースに配置すると好ましい。又前記閉鎖
又は偏向ダンパを、吹払ノズルの外側に揺動可能に配置
して吹出空気流を偏向する板状体で構成すれば対応する
吹払ノズルの吹払風量を抑制することなく、所定のワー
クステーションに吹払空気流が当ることを防ぐことがで
きるので好ましい。又前記ダンパを駆動する手段にロー
タリソレノイドを用いればセンサからの信号に基づいて
速やかにダンパを作動することができるので好ましい。

【０００９】

【実施例】本発明のトラベリング型吹払装置の一例を示
す添付図面を参照して本発明を詳述する。図１に本発明
によるトラベリング型吹払装置が配備された巻糸機の側
断面図を示し、図２にその正面図を示す。図１および図
２に示すように、本発明のトラベリング型吹払装置は紡
績機械（この場合は巻糸機５０）に沿ってレール７ａ，
７ｂ上を車輪８ａ，８ｂを用いて走行可能であり、且空
気吸引用のファン５を有するキャリッジを有し、このキ
ャリッジから図１に示すように水平方向に延びる空気輸
送手段を介して、巻糸機５０の側方に沿って下方に２本
の吹払ホース３，４が延びている。吹払ホース３は巻糸
機５０の前側を清掃するためのホースであり、吹払ホー
ス４は巻糸機５０の後側を清掃するためのホースであ
る。一方図２に示すようにキャリッジ２には前記吹払ホ
ース３に平行して吸引ホース１８が連結されており、し
たがって吸引ホース１８の先端の吸引ノズル１９から床
上の風綿と共に吸引された空気は吸引ホース１８からキ
ャリッジ２に達し、キャリッジ２内のフィルタ１７で風
綿が除去された後に吹払ホース３を経て、吹払ホース３
の長手方向に配置された複数の吹払ノズル１１ａ〜１１
ｇおよび１２，１３から巻糸機５０の前側の各ワークス
テーションに向けて吹き出して清掃する。この空気の吸
引はキャリッジ２内に配置したファン５によって行われ
る。吹払ホース４に対しても同様に空気が送られて吹払
ホース４の吹払ノズル２０ａ〜２０ｉから巻糸機５０の
後側の各ワークステーションに向けて吹き出して清掃す
る。

【００１０】ここにいうワークステーションとは紡績機
械、この場合は巻糸機の清掃を必要とされる部所を示
し、その中には図３に詳細に示すドラム３３、スプライ
ザ４２の如く作動を行う部材だけでなく、図１の吹払ノ
ズル１１ａの対象区域の如くハウジング上の如き風綿の
貯る処も含むものとする。

【００１１】図３に本発明のトラベリング型吹払装置の
要部を巻糸機との関係で示す。図３に示した巻糸機では
管糸３０からテンサー３２を経て糸が上方に延び、溝３
４を表面に有するドラム３３に接するチーズ３５に巻か
れる。糸切れ等によって糸継ぎが必要になった時には、
中継パイプ３６が回転軸３７を中心として回転し、中継
パイプ３６の先端３６ａが軌道３８に沿って管糸３０に
達し、管糸３０の糸端を把持して、再び図示の位置に戻
る。その際管糸３０からの糸はテンサー３２とスプライ
サ４２を通過する。一方サクションマウス３９は回転軸
４０を中心として回転し、サクションマウス３９の先端
３９ａが軌道４１に沿ってチーズ３５に達し、チーズ３
５上の糸端を把持して再び図示の位置に戻る。その際チ
ーズ３５からの糸はドラム３３とスプライサ４２を通過
する。したがって両方の糸がスプライサ４２上で重ねら
れて継がれることになる。

【００１２】図３の左側に本発明の要部であるダンパ付
き吹払ホース１０を示す。図３中の吹払ノズル１２，１
３は巻糸機のテンサー３２近傍の風綿を除去するために
用いられる。糸継ぎ操作が行われてない時には管糸から
の糸はテンサー３２を経てドラム３３迄延びているので
吹払ノズル１２，１３から吹払空気流によって乱される
ことがない。しかし糸継ぎ操作中では中継パイプ３６の
回転によって運ばれる糸が吹払空気流によって片寄せさ
れてテンサー３２に正しく挿入されない場合がある。こ
の場合には糸継ぎされた後に管糸３０からの糸は直接ド
ラム３３に達し、張力無制御状態でチーズ３５に巻かれ
ることになり、緩やかな巻付けになって所定の硬度のチ
ーズが得られなくなる。

【００１３】そこで本発明では、ダンパ付き吹払ホース
１０にセンサ１４を配置して、中継パイプ３６が図示の
位置に配置しているかどうかを検知する。図示の位置に
ある時には糸継ぎ作業が行われてないことを示す。一方
図３の左下側に示すように、ダンパ付き吹払ホース１０
にブラケット２３ａ，２３ｂを固定し、このブラケット
２３ａ，２３ｂにピン２２ａ（図示せず）、２２ｂを介
してダンパ１６を揺動可能に取付ける。ダンパ１６は取
付時に吸払ノズル１２，１３の先端から間隔を保つこと
ができるような内側表面を有する弧状プレート１６ａと
その両端に固定したフランジ２１ａ，２１ｂから成る。
ダンパ１６の揺動はブラケット２３ａ上に配置され、フ
ランジ２１ａのピン２２ａに連結されたロータリソレノ
イド１５を作動することによって与えられる。

【００１４】図４に本発明の清掃装置のフローチャート
を示す。

【００１５】コントローラ６はダンパ１６の作動時間を
設定するタイマを含む。前述の実施例は本発明の一態様
を示すのみであって、構成する各部材については同一の
機能を発揮し得るものであれば他の部材を用いることが
できる。例えば光電センサ以外にリミットスイッチ、近
接スイッチ等を用いることができ、ダンパ１６を吸払ノ
ズル１２，１３の内側に配置してもよい。さらにダンパ
１６の駆動手段としてギャモータ等を用いてもよい。さ
らに又センサを光電センサの如き非接触型センサに代え
て機械的接触に基づいてダンパが位置変更するように構
成してもよい。

【００１６】図１から図４に基づいた前述の説明は図５
（Ａ）に示すベルトドライプタイプトラベリング型吹払
装置について行っている。ドライプタイプトラベリング
型吹払装置は図５（Ａ）に示すように紡績機械の機台の
端部に固定されたモータ４３によって駆動されるエンド
レスベルト４５によってキャリッジ２の走行とファン５
の回転を行わせるものである。本発明は図５（Ｂ）に示
すダイレクトドライブタイプトラベリング型吹払装置に
対しても適用できる。すなわちダイレクトタイプトラベ
リング型吹払装置は図５（Ｂ）に示すように、紡績機械
に沿って給電ケーブル４６を配置し、一方キャリッジ２
内にファン５用のモータ４４とキャリッジ２走行用のモ
ータ４８を内蔵したものである。

【００１７】本発明は前述の巻糸機の清掃の他に精紡
機、粗紡機等の清掃にも用いることができる。

【００１８】

【発明の効果】本発明の方法及び装置を用いれば紡績機
械の清掃に用いられる吹払空気流によって紡績機械の作
業に悪影響を与えることを避けることができると共に、
清掃に必要とする充分な風量をトラベリング型吹払装置
によって供給することができ、その結果本発明の方法及
び装置によって紡績機械の完全な清掃を達成できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によるトラベリング型吹払装置が配備さ
れた巻糸機の一例を示す側断面図である。

【図２】図１に例示したトラベリング型吹払装置が配備
された巻糸機の一例を示す正面図である。

【図３】本発明のトラベリング型吹払装置の要部を巻糸
機との関係で示す斜視図である。

【図４】本発明の清掃方法の作動を示すフローチャート
である。

【図５】本発明の構成を具備するトラベリング型吹払装
置の２つの駆動手段を示す斜視図であって、（Ａ）はベ
ルトドライブ型駆動手段、（Ｂ）はダイレクトドライブ
型駆動手段を示す。

【符号の説明】

１…トラベリング型吹払装置 ２…キャリッジ ３…吹払ホース ４…吹払ホース ５…ファン ６…コントローラ ７ａ，７ｂ…レール ８ａ，８ｂ…車輪 ９…プーリ １０…ダンパ付吹払ホース １１ａ〜ｇ…吹払ノズル １２…吹払ノズル １３…吹払ノズル １４…センサ １５…ロータリソレノイド １６…ダンパ １６ａ…弧状プレート １７…フィルタ １８…吸引ホース １９…吸引ノズル ２０ａ〜２０ｉ…吹払ノズル ２１ａ，２１ｂ…ダンパフランジ ２２ａ，２２ｂ…ダンパピン ２３ａ，２３ｂ…ダンパブラケット ３０…管糸 ３１…中継パイプオープナ ３２…テンサー ３３…ドラム ３４…ドラム溝 ３５…チーズ ３６…中継パイプ ３６ａ…中継パイプ先端 ３７…中継パイプ回転軸 ３８…中継パイプ軌道 ３９…サクションマウス ３９ａ…サクションマウス先端 ４０…サクションマウス回転軸 ４１…サクションマウス軌道 ４２…スプライサ ４３…モータ ４４…モータ ４５…エンドレスベルト ４６…給電ケーブル ４７…給電ケーブルガイド ４８…モータ ５０…巻糸機

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数個の吹払ノズルを具備した少くとも
   １本の吹払ホースを有するトラベリング型吹払装置を用
   いる紡績機械の清掃方法において、 前記トラベリング型吹払装置が紡績機械に沿って複数個
   の吹払ノズルから空気を吹出し乍ら走行する際に、紡績
   機械の複数のワークステーション中の所定のワークステ
   ーションの作動の有無を検知して、前記所定のワークス
   テーションが作動中には対応する少くとも１個の吹払ノ
   ズルからの吹出空気流を閉鎖又は偏向することを特徴と
   する紡績機械の清掃方法。
2. 【請求項２】 前記紡績機械が巻糸機であり、前記所定
   のワークステーションがテンション装置であることを特
   徴とする請求項１記載の方法。
3. 【請求項３】 紡績機械に沿って走行可能であり、且つ
   空気吸引手段を有するキャリッジと、該キャリッジから
   機台の側方に沿って下方に延びる少くとも１本の吸引ホ
   ースと、該吸引ホースにフィルタ装置を介して連結され
   た少くとも１本の吹払ホースを含んで成り、該吹払ホー
   スには紡績機械上の清掃されることになる複数のワーク
   ステーションに向けて空気を吹出す複数の吹払ノズルが
   設けられているトラベリング型吹払装置において、 該吹払装置に、紡績機械の所定のワークステーションの
   作動の有無を検知するセンサ、前記所定のワークステー
   ションを清掃するための吹払ノズル用の閉鎖又は偏向ダ
   ンパ及び前記センサからの信号に基づいて前記ダンパを
   作動するコントローラが設けられていることを特徴とす
   るトラベリング型吹払装置。
4. 【請求項４】 前記センサが光電センサであり、該光電
   センサが吹払ホースに配置されていることを特徴とする
   請求項３記載の装置。
5. 【請求項５】 前記閉鎖又は偏向ダンパが吹払ノズルの
   外側に揺動可能に配置されて吹出空気流を偏向する板状
   体から成ることを特徴とする請求項３記載の装置。
6. 【請求項６】 前記閉鎖又は偏向ダンパを駆動する手段
   にロータリソレノイドを用いることを特徴とする請求項
   ３記載の装置。
7. 【請求項７】 前記コントローラが前記閉鎖又は偏向ダ
   ンパによる閉鎖時間を設定するタイマを有することを特
   徴とする請求項３記載の装置。