JPH0633164A - 窒化物分散Al合金部材の製造方法 - Google Patents

窒化物分散Al合金部材の製造方法

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JPH0633164A
JPH0633164A JP4209552A JP20955292A JPH0633164A JP H0633164 A JPH0633164 A JP H0633164A JP 4209552 A JP4209552 A JP 4209552A JP 20955292 A JP20955292 A JP 20955292A JP H0633164 A JPH0633164 A JP H0633164A
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aln
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nitride
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Fumio Nonoyama
史男 野々山
Mikio Kondo
幹夫 近藤
Hiroyuki Kawaura
宏之 川浦
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 Al合金粉末を用いた素材の製造プロセスの
中で、粒子分散Al合金を製造することにより、剛性、
強度、耐摩耗性に優れ、簡便に実施できる窒化物分散A
l合金部材の製造方法を提供する。 【構成】 Mgを含有するAl合金粉末を準備する工程
と、該粉末を窒素含有雰囲気中で加熱し、該粉末の表面
部に窒化物を形成させる工程と、該窒化物を表面部に生
成した粉末を所望形状部材に熱間加工する工程と、から
なることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車、航空機など
で、軽量かつ高剛性、高強度、耐摩耗性が必要とされる
部品として使用される窒化物分散Al合金部材の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】Al合金は、比重が小さく、比強度が高
いことから、航空機部品などに広く利用されている。し
かしながら、鋼に比べれば、剛性、高温強度、耐摩耗性
などに劣るという欠点を有している。Al合金のこの欠
点を補うために、セラミックスの粒子または短繊維、ウ
イスカなどを分散させたAl合金基複合材料の開発が盛
んに行われている。これらのうち、セラミックスの粒子
を分散させた粒子分散Al合金は、短繊維やウイスカ分
散Al合金に比べて、鍛造などの二次加工が比較的容易
であり、Al合金基複合材料の中では、最も実用に近い
材料と言われている。
【0003】Al合金中にセラミックス粒子を分散させ
た粒子分散Al合金部材の製造方法としては、粉末法と
呼ばれる、Al合金粉末とセラミックス粒子とを混合し
て、HIP、熱間押出しなどで成形する方法(工業材料
36−11(1988)、53)が最も多く利用されて
いる。また、鋳造法と呼ばれる、Al合金溶湯にセラミ
ックス粒子を攪拌混合して凝固させる方法(工業材料3
6−11(1988)、53)も利用されている。さら
に、Al合金中に化合物を反応生成させて分散させるA
l合金複合材料の製造法、いわゆるin−situプロ
セス(軽金属40−12(1990)、936)も研究
されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記粉末法では、Al
合金粉末とセラミックス粉末を混合後、真空または非酸
化雰囲気中で高温に保持して、水素、水分などの表面の
吸着物を除去し、その後、熱間押出し、熱間圧延などの
加工を加えて、表面の酸化物を破壊しながら成形して棒
状または板状の素材として提供される。これらの工程は
複雑で長く、また、セラミックス粒子のコストも高価な
ことから、この方法で製造した粒子分散Al合金は非常
に高価なものとなる。またこの方法では、Al合金粉末
とセラミックス粉末を混合する工程において、セラミッ
クス粉末の凝集が起こりやすく、均一に分散させるに
は、混合方法にノウハウが必要であり、多大な時間を必
要とする。したがって、多量に生産し、使用するときに
品質の安定性が問題となる。
【0005】また、鋳造法では、セラミックス粒子の分
散性に問題があり安定した品質が得られない。
【0006】さらに、in−situプロセスは、研究
段階であり、反応生成物の分散性や大きさの制御に課題
を残している。
【0007】本発明者らは、前記した従来技術の問題に
関し、詳細な研究を行った。粉末法によりAl合金基複
合材料を製造する場合には前述の問題点を有しているも
のの、Al合金粉末を用いた素材は、結晶粒の微細化や
晶出物、析出物の微細化が図れ、鋳造法で製造した複合
材料に比べて優れた機械的性質を有している。そこで、
粉末法の特長を生かしたまま、従来より工程が簡便で耐
摩耗性に優れたAl合金基複合材料を提供する方法を開
発すべく鋭意研究を重ね、以下の点に着眼した。
【0008】従来、Al合金からAlNを生成させるた
めにはAl合金を800℃以上に加熱し溶融状態で窒素
と反応させる必要があった。そのため、Al合金粉末の
表面に溶融温度以下、例えば500〜600℃の温度で
AlNを生成させることは不可能と考えられていた。と
ころが、本発明者らは、Mgを含むAl合金粉末を窒素
雰囲気中で加熱したところ、500〜600℃の固相ま
たは半固相領域で、該粉末表面に多量のAlNが生成す
ることを見出した。そこでこのAl合金粉末を塑性変形
させ、その表面に生成したAlNを細かく粉砕させれ
ば、従来とはまったく異なった方法により、Al合金粉
末の素材製造プロセスの中で粒子分散Al合金を製造で
きるのではないかと考え研究を重ねた結果、本発明を成
すに至ったものである。
【0009】本発明は、前述の如く、Al合金粉末の素
材製造プロセスの中で、粒子分散Al合金を製造するこ
とにより、剛性、強度、耐摩耗性に優れ、さらに簡便に
実施できる、Al合金基複合材料の製造方法を提供する
ことを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の窒化物分散Al
合金部材の製造方法は、Mgを含有するAl合金粉末を
準備する工程と、該粉末を窒素含有雰囲気中で加熱し、
該粉末の表面部に窒化物を生成させる工程と、該窒化物
を表面部に生成した粉末を所望形状部材に熱間加工する
工程とからなることを特徴とする。
【0011】Al合金粉末を準備する工程において、準
備するAl合金粉末中には、Mgが含まれなければなら
ないが、その製造方法は特に限定しない。次の工程であ
るMgを含有するAl合金粉末を窒素含有雰囲気中で加
熱し、表面にAlNを生成させる方法は、特に限定しな
い。例えば、Al合金粉末を容器に充填させるか、また
は加圧により成形して圧粉体とし、窒素ガス中で加熱保
持してもよい。また、流動層炉などを用いて、Al合金
粉末を窒素雰囲気中で流動させながら、該粉末表面にA
lNを生成させてもよい。
【0012】次に、熱間加工する工程についてもその方
法は特に限定しないが、好ましくは、熱間押出し、また
は熱間圧延等の方法により行うとよい。
【0013】
【作用】前記したように、従来AlN粉末の製造法とし
て、純Al粉末を窒素ガス中で、加熱保持して製造する
方法がある。この方法はAlNの生成に触媒を必要とす
るとともに加熱温度を1000℃以上にする必要があ
る。したがって、Alは溶融状態にあるためAl粉末を
成形体とし窒化させる場合にはその形状を維持できない
という問題点がある。
【0014】本発明の方法においては、先ずMgを含む
Al合金粉末を準備する。次の工程で、このAl合金粉
末表面部にAlNを生成させる。Mgを含むAl合金粉
末を用いると、窒素雰囲気中で500〜600℃の低い
温度で加熱するのみで、触媒を必要とせずにAlが窒化
され、粉末表面にAlNを生成することができる。組成
中のMgがAl合金粉末の窒化温度を下げる作用につい
ては未だ明らかではないが、Al合金粉末表面には強固
な酸化膜が存在するため、それが窒化や内部へのさらな
る酸化などの表面反応を妨げているといわれている。M
gはこの粉末表面の酸化膜を破壊する作用があると考え
られる。この酸化膜の破壊によって、表面のAlが窒化
され、AlNをすると推定される。前記500〜600
℃の温度範囲では、Al合金は固相または半固相領域に
あり、Al合金粉末を用いる素材の製造プロセスの中で
Al合金基複合材料、すなわちAlN分散Al合金を製
造することができる。
【0015】次の工程において、前記AlNを表面部に
生成した粉末に熱間加工を施す。AlNは、硬いが非常
に脆い物質であるため、熱間加工によってAl合金粉末
を塑性変形させると、破壊して、Al合金中に分散す
る。このとき、加工度が大きいほど、AlNは細かく破
壊でき、分散性も向上する。さらに、Al合金粉末間の
結合、およびAl合金とAlNの結合も強くなる。
【0016】この方法で製造した窒化物分散Al合金部
材は、該Al合金にセラミックス粉末を混合した金属基
複合材料と同じように、Al合金マトリックス中に、A
lNが微細に均一に分散した組織になる。したがって、
該Al合金の剛性(ヤング率)、室温および高温強度、
耐摩耗性を向上させることができる。
【0017】
【発明の効果】本発明の窒化物分散Al合金の製造方法
によれば、通常行われているAl合金粉末の素材製造プ
ロセスにおいて行われている、脱ガスおよび熱間加工を
行うための真空または無酸化雰囲気加熱を、窒素雰囲気
中で行い、その温度および時間の管理条件を変更するの
みで窒化物分散Al合金を製造することができる。さら
に、Al合金粉末間の結合は熱間加工で行うことを前提
にしており、通常の粉末法の場合のように粉末表面の清
浄度は特に問題としていない。
【0018】熱間加工においては、その加工度を大きく
し、Al合金粉末表面に形成されたAlNを破壊するこ
とのみで、窒化物分散Al合金部材を製造することがで
きる。そのため、剛性、強度、耐摩耗性に優れた粒子分
散Al合金を簡便に低コストで提供することができる。
【0019】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を説明する。
【0020】(本発明の具体例)Al合金中のMgの含
有量は、0.2〜5%が望ましい。この範囲において実
用上十分な厚さのAlN層を生成できる。Al合金中に
Mgが含有されることによりAl合金粉末を溶融せずに
該粉末の表面にAlNを形成できるのである。合金元素
のうちMgのみがかかる作用を呈することは以下の実験
によって確かめた。表1に示すMgを含有する合金と含
有しない各Al合金粉末を容器に充填し、加熱温度54
0℃、加熱保持時間1時間として、窒化物生成処理を行
い、各粉末の重量変化率を求め、Mgの効果を確認し
た。理論密度に対する加熱前の圧粉体の密度比は、約5
0%である。
【0021】
【表1】
【0022】結果を示した図1から、組成中にMgを含
むAl合金(A2024、A5052、A6061、A
7475)は、重量が増加、すなわちAlNが多量に生
成されているが、組成中にMgを含まないAl合金(A
1050、A3003、BA4343)は、重量がほと
んど変化していない。すなわち、AlNがほとんど生成
されていない。なお、AlNはX線回折により確認し
た。
【0023】また、準備するAl合金粉末は、粒径が1
49μm (100メッシュ通過)以下が良い。望ましく
は、20〜50μm の範囲が良い。粒径が149μmを
越えると表面積が減少するため、所定量の窒化物を生成
させるのに時間が長くなるとともに、熱間加工後のAl
Nの分散が不均一になる。50〜100μmでは、それ
以上に比べれば良好であるが、均一に分散させるために
は50μm以下が望ましい。また、20μm未満では粉
末の取り扱いが悪くなるので好ましくない。
【0024】次に、Al合金粉末を圧粉体とする場合、
理論密度に対する該圧粉体の密度の比は、60〜85%
が望ましい。Al合金粉末をA2024とした場合の理
論密度に対する加熱前の圧粉体の密度比と、AlN生成
量との関係を示した図2からわかるように圧粉体の密度
が低い、すなわち粉体間の空隙が多いほど、AlNを多
量に生成できる。しかし、該密度比が60%未満では、
圧粉体の形状を保持できず、圧粉体の搬送が困難とな
る。この場合には、Al合金粉末を容器内に充填するな
ど、形状を保持させる手段が必要である。また、85%
を越えると粉体内部にまで窒素ガスが侵入せず、均一な
AlNが生成されにくい。
【0025】次に、Al合金粉末を容器に充填または圧
粉体として窒素ガス中で加熱保持する場合、該加熱温度
は500〜600℃とする。500℃より低い場合に
は、生成されるAlNの量が少ない。また、Al合金の
種類によって異なるが、550〜600℃を越えると、
Al合金粉末が溶融して圧粉体の形状が保持できない。
さらに、AlN生成時に成形体の収縮が急速に起こり、
成形体の内部にまで窒素ガスが侵入せず、そのためAl
Nが成形体全体に均一に生成されにくい。
【0026】図3は、Al合金粉末(A2024)を用
いた場合の窒素雰囲気中での加熱温度に対するAlN生
成量を調べた結果である。理論密度に対する加熱前の圧
粉体の密度比は84%、加熱保持時間は1時間である。
図3から、加熱温度が540℃付近でピークとなり、そ
れ以上では減少することがわかる。これは、高温では、
圧粉体の表層部は急速に窒化するが、反面それに伴う収
縮によって、粉末間の空隙が閉じてしまい、内部への窒
素ガスの侵入を妨げ、内部の窒化を抑制するためであ
る。なお、Al合金粉末を容器に充填して窒素雰囲気中
で加熱した場合にも図3に示す傾向は変わらない。
【0027】保持時間は、生成されるAlNの量に応じ
て、加熱温度に合わせて制御する。窒素雰囲気の条件
は、特に限定しない。例えば、通常の工業用に使用され
ている窒素ガスを流入させる雰囲気炉であってもよい。
したがって、脱ガスのための雰囲気ほど条件管理は厳し
くない。また、容器に充填してAlNを生成する場合に
は、均一にAlNを形成させるため、一度処理を行った
後、容器の解放部と底部を反転して、さらに再加熱保持
するとよい。
【0028】また、Al合金粉末を容器に充填して窒化
物を生成させる場合も、加熱温度、時間は圧粉体の場合
とほぼ同様である。
【0029】また、AlNの形成には、流動化用のガス
に窒素ガスを用いる流動層炉を用いて、Al合金粉末が
固まらないようにして窒素ガス中で加熱し、表面に均一
なAlN層を形成させたAl合金粉末を製造してもよ
い。このとき、加熱温度範囲は前記と同様であり、加熱
保持時間も前記同様に、生成させるAlNの量に応じ
て、加熱温度に合わせて制御する。このAlN層を生成
させた該AlN合金粉末を圧粉体成形し、加熱して次の
熱間加工を行う。
【0030】このように、Al合金に複合化するAlN
量は、圧粉体の密度、加熱温度、さらに加熱時間を管理
することにより制御することができる。
【0031】次に、熱間加工は、Al合金粉末成形体全
体に均一に塑性変形を与えることができれば、特に限定
するものではなく、通常行われている熱間押出しや熱間
圧延あるいは鍛造、スウェージなどの方法を用いてもよ
い。加工温度は400〜500℃の範囲が望ましい。熱
間加工は、窒素雰囲気中で500〜600℃に加熱した
Al合金粉末の成形体を直接熱間加工温度まで冷却する
か、一旦室温まで冷却した後、熱間加工温度まで再加熱
してから行うのがよい。望ましくは真空または無酸化雰
囲気中で加熱するのがよい。熱間加工は、金型による加
工中の冷却を抑制するため、金型温度を300〜500
℃に加熱するのがよい。望ましくは成形体の温度である
熱間加工温度と金型温度を等しくするのがよい。これに
より、成形体の延性が最も高い加工温度、加工速度を選
ぶことができる。
【0032】熱間押出しによる場合は、押出し比は10
以上が望ましい。10未満では該Al合金粉末表面に形
成したAlNを、細かく破壊して、均一に分散すること
ができない。押出し比は大きいほどよい。押出し比の上
限は、押出し温度と押出し速度から決まるAl合金の変
形抵抗と金型強度との関係で決めればよい。
【0033】熱間圧延についても、圧延条件すなわち加
工温度、加工速度、金型温度は、熱間押出しと同様であ
り、加工度を表す圧下率は80%以上が望ましい。
【0034】(実施例)
【0035】(窒化物分散Al合金の製造)粒径が74
μm(200メッシュ通過)以下のAl合金粉末(A2
024)を準備した。次に、該粉末を表2に示す処理条
件で圧粉体とし、窒化処理を行った後、熱間押出しを行
い、さらに熱処理(T6処理)を行って窒化物分散Al
合金部材(実施例A、B、C)を作製した。
【0036】
【表2】
【0037】図4は、窒化処理した試料(実施例C)の
一部を熱間コイニングにより固化して試料断面の金属組
織をEPMAで分析した結果を示す。この結果から、A
2024粉末表面にできた膜は、AlとNが主成分であ
ることがわかる。また、X線回折法により、同試料の結
晶構造も調査した。その結果、A2024粉末表面にで
きた膜は、稠密六方晶のAlNであり、Mgを含む化合
物ではない。結晶化したAlNは、化学便覧によればモ
ース硬度が9の非常に硬い物質である。
【0038】熱間押出しは、加熱温度500℃、金型温
度350℃、押出し比12で行い、Al合金粉末表面に
形成されたAlNを粉砕した。その後、試料をT6処理
(溶体化490℃、時効180℃×8時間)した。こう
してできた窒化物分散Al合金を用いて、AlN体積
率、硬さ、引張り強さ、および伸びを測定した。
【0039】また、比較例として、窒化処理を行ってい
ないA2024(比較例C1)、2%のSiC粉末(粒
径2μm)を分散させたA2024(比較例C2)、お
よび耐摩耗Al合金(Al−17%Si合金)(比較例
C3)の3種を準備した。耐摩耗Al合金は急冷凝固粉
末を熱間加工して、また、SiC分散A2024はSi
C粉末とA2024粉末を混合後熱間加工してそれぞれ
作製した。これらはSiならびにSiCを分散させた分
散強化Al合金であり、耐摩耗性材料として使われてい
る。これら比較例の試料のうち、C1については実施例
と同様、AlN体積率、硬さ、引張り強さ、および伸び
を測定した。また、比較例C2、C3についてはC1と
併せて後記する耐摩耗性試験も行った。
【0040】AlN体積率は、押出し後の比重を測定
し、A2024合金およびAlNの比重から計算により
求めた。硬さは、ビッカース硬度計を用いて測定した。
このとき、荷重は1kgとした。引張り強さは、万能試
験機により測定した。このとき、用いた試験片の直径は
5mm、標点間距離は30mmである。なお、該試験片
製作にあたっては、素材の押出し方向を試験片の引張り
方向とした。また、伸びは破断後の標点間距離を測定し
て求めた。
【0041】表2には、前記各項目の測定結果も同時に
示す。この結果から、AlNの体積率が大きいほど、硬
さ、引張り強さは増加し、伸びは低下していることがわ
かる。また、これらの測定値は、比較例として示す窒化
処理を行っていないA2024の試料に比べ、いずれも
優れた値を示している。
【0042】図5には、表2中、A、B、Cに対応する
試料の断面の金属組織の写真を示す。いずれもAl合金
粉末表面に生成したAlNが粉砕されて、AlNがAl
合金マトリックス中に分散している様子が観察される。
【0043】(耐摩耗性試験)表2に示す本実施例の方
法により製造したA、B、Cの試験片を用いて、耐摩耗
性試験を行った。試験はピンオンディスク法により行っ
た。ピン試験片には、表2に示すA、B、Cの試験片を
用い、ディスク材(相手材)にはS55C(Hv30
0)を用いた。100℃に保持したベースオイル(無添
加鉱油)中において、面圧50kgf/mm2 で、ピン
をディスクに加圧接触させ、摺動速度を0.3m/sに
設定し、30分間摺動させ、その後のピンおよびディス
クの重量変化を測定して摩耗量を求めた。
【0044】図6には試験結果を比較例とともに示す。
同図において、横軸は試験片の種類を示し、縦軸はピン
およびディスクの重量変化を示す。本実施例の方法で製
造した窒化物分散Al合金は、摩耗量が少なく、また相
手材であるディスクもほとんど摩耗していない。さら
に、AlNの生成量が多くなるにつれ、ほとんど摩耗し
なくなっている。このことから、本実施例の方法により
製造したAlN分散Al合金は、優れた耐摩耗性を有し
ていることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】各種工業用Al合金に対するAlN生成量の変
化を示す図である。
【図2】Al合金粉末(A2024)を窒素雰囲気中で
加熱処理したときの理論密度に対する加熱前の圧粉体の
密度比と重量変化率(AlN生成量)の関係を示す図で
ある。
【図3】Al合金粉末(A2024)を窒素雰囲気中で
加熱処理したときの加熱温度と重量変化(AlN生成
量)の関係を示す図である。
【図4】実施例において、試料を窒素雰囲気中で加熱処
理した後の試料断面の金属組織をEPMAで分析した結
果を示す図である。
【図5】実施例において、AlN生成量を変化させたと
きの試料断面の金属組織を示す図である。
【図6】実施例において、耐摩耗性試験結果を示す図で
ある。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Mgを含有するAl合金粉末を準備する
    工程と、 該粉末を窒素含有雰囲気中で加熱し、該粉末の表面部に
    窒化物を生成させる工程と、 該窒化物を表面部に生成した粉末を所望形状部材に熱間
    加工する工程と、からなることを特徴とする窒化物分散
    Al合金部材の製造方法。
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