JPH06330228A - 遠心鋳造製スリーブロールの製造方法 - Google Patents

遠心鋳造製スリーブロールの製造方法

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JPH06330228A
JPH06330228A JP12181593A JP12181593A JPH06330228A JP H06330228 A JPH06330228 A JP H06330228A JP 12181593 A JP12181593 A JP 12181593A JP 12181593 A JP12181593 A JP 12181593A JP H06330228 A JPH06330228 A JP H06330228A
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roll
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JP12181593A
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Inventor
Koji Yuda
浩二 湯田
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Publication date
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  • Reduction Rolling/Reduction Stand/Operation Of Reduction Machine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐摩耗性、耐クラック性、及び強靱性を兼備
した外層と内層からなる遠心鋳造製スリーブロールにお
いて、外層と内層間に発生する巣等の鋳造欠陥を防止す
る。 【構成】 C:1.0 〜3.5 %、Si:2.0 %以下、Mn:2.
0 %以下、Cr:12.0%以下、Mo:8.0 %以下、V:3.0
〜10.0%、Nb:0.6 〜7.0 %を含有し、残部Feよりなる
外層材を鋳造し、C:1.0 〜2.0 %、Si:1.6 〜2.4
%、Mn:0.2 〜1.0%、P:0.05%以下、S:0.03%以
下、Ni:0.7 %以下、Cr:1.0 %以下、Mo:3.0 %以下
を含有し、残部Feよりなる内層材を鋳造する前に、C:
1.4 〜2.4 %、Si:0.4 〜1.2 %、Mn:0.3 〜1.0 %、
P:0.1 %以下、S:0.1 %以下、Ni:0.1 〜2.5 %、
Cr:1.0 %以下、Mo:0.1 〜2.0 %を含有し、残部Feよ
りなる中間層を鋳造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐摩耗性、耐クラック
性、及び強靱性を兼備し、圧延用ロール等として用いて
好適な遠心鋳造製スリーブロールとその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、例えばH形鋼用ユニバーサルミル
における圧延ロールには、外層材として特殊アダマイト
鋼、合金ダクタイル鋳鉄あるいはニッケルグレーン鋳鉄
等の高硬度系の材料を用い、内層材として靱性に優れる
球状黒鉛鋼又はダクタイル鋳鉄を用いた複合スリーブが
多用されている。
【0003】前記複合スリーブは、周知の遠心力鋳造に
より鋳造され、所定の熱処理及び機械加工を経て、軸材
に焼嵌によりセットされ、一対組立ロールとされるのが
一般的である。近年の圧延条件の苛酷化及び圧延におけ
る生産性向上の要求から、より一層の耐摩耗性、耐クラ
ック性及び強靱性を備えた圧延用ロールの提供が要求さ
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】然しながら、前記複合
スリーブの外層材では、圧延側の要求レベル、チャンス
フリー等の長期継続使用に対しては、特に耐摩耗性の点
で限界があり、圧延側の将来構想に対し、ロールがネッ
クになっているのが実状である。従って、このような要
求に対処可能な現材質より著しく性能に優れた外層材の
開発が望まれている。
【0005】また、内層材に関しても、例えばH形鋼圧
延における巾可変用ロール圧延等の高負荷圧延に対して
は、まだ強度が不十分で、巾薄サイズの圧延が困難等の
種々の制約を余儀なくされている。このような状況か
ら、例えば特開昭60−124407号公報、特開昭61−177355
号公報には、従来の遠心力鋳造ロールの外層材として高
V鋳鉄を用いることが提案されている。然しながら、遠
心力鋳造ロールの外層材として高V鋳鉄を用いる圧延用
ロールでは、比重の小さいV炭化物が遠心分離し、ロー
ル外層内の特性が肉厚方向で不均一になる。この傾向は
大型ロールで外層肉厚が大きくなるほど著しく、実用ロ
ールとしての使用に耐えることができないという問題点
がある。
【0006】尚、特開昭58−87249 号公報、特開平1−
96355 号公報には、高速度鋼なみに高合金化した鋳鋼、
鋳鉄を用いたロール材が提案されている。然しながら、
特開昭58−87249 号公報は、遠心鋳造によらない小径の
鋳物を対象としたもので問題にならない。また、特開平
1−96355 号公報は、特殊な鋳掛肉盛法、遠心力鋳造法
以外の特殊な製造手法しか適用できず、生産性、経済性
の面で問題がある。
【0007】即ち、圧延用ロールの製造に際し、ロール
外層にVを多量に含有させることにより、耐摩耗性を著
しく向上させることは可能であるが、複合ロール製造時
に生産性、経済性が最も優れているとして一般に実施さ
れている遠心力鋳造法を採用した場合には、炭化物の遠
心分離を生じ、所定の特性を均一に得られないという問
題点がある。
【0008】そこで本発明者は、外層を形成する合金成
分を適正化し、炭化物組成を限定することにより、遠心
力作用下でも偏析の生じない耐摩耗性と耐クラック性の
均一な外層材を使用するとともに、内層材に強靱性に富
む黒鉛鋼を使用し、外層と内層を冶金学的に完全に結合
させて一体とした遠心鋳造製スリーブロールを提供する
ことを目指した。しかしながら、外層材として好ましい
材料はハイス系の材料であり、その凝固温度が1200℃前
後と低いのに対し、内層材の黒鉛鋼はその凝固温度が13
20℃前後と高く、内外部の境界部に図1に示すように巣
が生じ易かった。
【0009】本発明の目的は、この巣の問題も解消した
遠心鋳造製スリーブロールの製造方法を提案することで
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、外層材と、該
外層材と溶着一体化した中間層材と該中間層材と溶着一
体化した黒鉛鋼の内層材とからなる遠心鋳造製スリーブ
ロールの製造方法である。すなわち、本発明は、遠心鋳
造製スリーブロールを製造するに際して、まず外層材と
して、C:1.0 〜3.5 %、Si:2.0 %以下、Mn:2.0 %
以下、Cr:12.0%以下、Mo:8.0 %以下、V:3.0 〜1
0.0%、Nb:0.6 〜7.0 %を含有し、さらに必要に応じ
てNi:8.0 %、Co:10.0%以下、Cu:2.0 %以下、Ti:
2.0 %以下、Zr:2.0 %以下、W:1.0 %以下、B:0.
1 %以下のうちから選ばれた1種又は2種以上を含有
し、残部Fe及び不可避的不純物よりなる溶鋼を鋳造し、
次いで、中間層材として、C:1.4 〜2.4 %、Si:0.4
〜1.2 %、Mn:0.3 〜1.0 %、P:0.1 %以下、S:0.
1 %以下、Ni:0.1 〜2.5 %、Cr:1.0 %以下、Mo:0.
1 〜2.0 %を含有し、残部Fe及び不可避的不純物よりな
る溶鋼を鋳造し、次いで、内層材として、C:1.0 〜2.
0 %、Si:1.6 〜2.4 %、Mn:0.2 〜1.0.%、P:0.05
%以下、S:0.03%以下、Ni:0.7 %以下、Cr:1.0 %
以下、Mo:3.0 %以下を含有し、残部Fe及び不可避的不
純物よりなる溶鋼を鋳造することを特徴とする遠心鋳造
製スリーブロールの製造方法である。
【0011】
【作用】
(A)外層材における合金元素の限定理由 C:1.0 〜3.5 % Cはロール外層材の耐摩耗性を向上する硬い炭化物を形
成するための必須元素で1.0 %以上必要であるが、3.5
%を越えると耐クラック性が著しく低下するため上限を
3.5 %とする。
【0012】Si:2.0 %以下 Siは脱酸剤及び鋳造性の確保に必要な元素で添加する
が、2.0 %を越えると耐クラック性を低下するため上限
を2.0 %とする。 Mn:2.0 %以下 Mnも上記Siと同様必要であるが、2.0 %を越えると耐ク
ラック性が低下するため好ましくなく上限を2.0 %とす
る。
【0013】Cr:12.0%以下、 Crは炭化物を形成し、耐摩耗性を向上するために必要な
元素であるが、12.0%を越えると本発明が対象とする
V、Nbを添加した場合には耐摩耗性が劣化するため上限
を12.0%とする。 Mo:8.0 %以下 MoはCrと同様に炭化物を形成して耐摩耗性の向上に有効
であるとともに、基地の焼入性、焼もどし軟化抵抗を向
上し、基地組織の強化に有効であるが、8.0 %を越える
と耐クラック性が低下するため、上限を8.0 %とする。
【0014】Ni:8.0 %以下、Co:10.0%以下 Niは焼入性を向上し、基地組織を強化するために添加す
るが、8.0 %を越えると残留γの存在等不安定な組織を
形成するため好ましくなく、上限を8.0 %とする。Coは
高温における組織を安定化させるために添加するが、1
0.0%を越えるとその耐熱性向上効果が飽和するため経
済性の点から上限を10.0%とする。
【0015】Cu:2.0 %以下、W:1.0 %以下 Cu、Wはともに基地組織を強化し、高温硬さを向上する
ため添加するが、Cuは2.0 %を越えるとロールの表面性
状を劣化するとともに耐摩耗性、耐クラック性を低下す
るため上限を2.0 %とし、Wは比重の大きな元素であり
過剰に添加すると遠心分離によるV系炭化物の偏析を助
長するため上限を1.0 %とする。
【0016】Ti:2.0 %以下、Zr:2.0 %以下、B:0.
1 %以下 Ti、Zr、Bはともに粗大な共晶炭化物の形成を抑制し、
耐摩耗性、耐クラック性を向上するため添加するが、Ti
とZrは2.0 %を越えるとV、Nb複合炭化物の形状を劣化
し逆に耐摩耗性を低下するため上限を2.0 %とし、Bは
0.1 %を越えると粒界に偏析して耐クラック性を低下す
るので上限を0.1 %とする。
【0017】V:3.0 〜10.0%、Nb:0.6 〜7.0 % V、Nbは本発明における最も重要な必須元素であり、こ
れらの複合添加と含有量制限条件が本発明の最大の特徴
である。Vは耐摩耗性の向上に最も有効な硬いMCまた
はM4 3 炭化物を形成するための必須元素で、その効
果を発揮するためには 3.0%以上必要であるが、10.0%
を越えると耐クラック性の低下、製造上の問題を生じる
ため上限を10.0%とする。
【0018】NbもVと同様耐摩耗性に有効な硬いMC型
炭化物を形成するが、単独添加では粗大な塊状炭化物と
なりその効果が得られないだけでなく耐クラック性が問
題となる。尚、本発明の外層材にあっては、上述のNi、
Co、 Cu 、Ti、Zr、W、Bを必ずしも含有することを要
しない。
【0019】更に、本発明の外層材において、VとNbを
複合添加した場合の母材硬さに及ぼすC量との関係、お
よび遠心力鋳造したリング材の炭化物分布に起因する外
層、中間層間の熱間摩耗比、熱衝撃試験におけるクラッ
クの最大深さとNb、Vの含有量比Nb/Vとの関係を調べ
た結果、耐摩耗熱間圧延用ロールとして必要な硬さH S
75以上を得るためにはV+1.8Nb ≦7.5 C−6.0 (%)
を満足することが望ましい。
【0020】また、遠心力鋳造法で製造した場合にも均
一な外層材を得ることができ、かつ耐クラック性を損な
わないためには 0.2≦Nb/V≦0.8 を満足することが望
ましい。更に、付言すると本発明の外層材に施す熱処理
条件としては、1000〜1150℃でオーステナイト化した
後、冷却後の組織がベイナイトになるように制御冷却す
る。従って、対象とするロール材の組成、形状、サイズ
により冷却条件は異なるものとなる。
【0021】尚、焼もどしは500 〜600 ℃の範囲で最適
条件を選んで実施する。 (B)中間層材における合金元素の限定理由 複合ロールにおいては、外層と内層を冶金的に結合させ
るために、外層内面側と内層を混合させることが不可欠
である。さらに、内層と外層の接合部に収縮巣等の鋳造
欠陥を発生させてはならない。このため、本発明では、
組成を特定した中間層を介在させることにより、この種
の欠陥が効果的に防止できることを見出した。
【0022】このため、鋳造条件を選定し、中間層部へ
の外層の混入比(内層材中に混入した外層材重量が、全
内層材溶湯重量に対してなす重量%)を適切な範囲に保
つことが極めて重要である。本発明では、この範囲を5
〜35%に規制するのが最適であることを見出した。即
ち、5%以下では、遠心力分離によって外層最内面に形
成されたC、Siの濃厚偏析層が完全に洗われずに残留す
るため、境界層の健全性を確保できない。また、35%を
越えると、外層成分のうち、中間層であるアダマイト材
の特性を特に劣化させるCr、Cが多量に混入し、凝固後
の中間層組織が高C−Cr系となり、中間層の黒鉛形状不
良及び著しい白銑化を招き、その機能が減退する。
【0023】従って、外層混入比を5〜35%の範囲で規
制し、これによる成分上昇を考慮して凝固後の中間層組
成が、下記範囲を満足するように溶湯の化学組成を選択
する必要がある。 C:1.4 〜2.4 % Cは、外層材のC(高C系)と内層材のC(低C系)の
中間とすることにより、両者の凝固温度の中間となるの
で、それぞれの境界部に収縮巣等の鋳造欠陥のない健全
なる品質を得る成分範囲とする。1.4 %未満では、内層
の球状黒鉛鋼の凝固温度(以下TS と称する)と近くな
り、外層とのTS 温度差が大きい上に、外層材のTS
りも高くなるので、外層と中間層との境界に巣を生じ易
くなる。一方、2.4 %を超えると、外層のハイス系材料
のTS と近くなり、内層のそれとの差が大きい上に、内
層材のTS の方が高くなるので、中間層と内層との境界
に巣を生じ易くなる。また2.4 %を超えると、炭化物量
が増えるので脆くなり、耐事故性が劣化する。
【0024】Si:0.4 〜1.2 % 本材質では、Siは脱酸を主目的としており、0.4 %未満
ではその効果が不足し、一方1.2 %を越えると材質が脆
くなる。 Mn:0.3 〜1.0 MnはSの害を抑えるのに有効であるが、0.3 %未満では
その効果が充分でなく、また1.0 %を越えると、材質を
脆化させるので、0.3 〜1.0 %の範囲に規定する。
【0025】P:0.1 %以下 Pは溶湯の流動性を増加させるが、材質を脆弱にするた
め、0.1 %以下とする。 S:0.1 %以下 SはPと同様に材質を脆弱にするため、0.1 %以下に抑
える。
【0026】Ni:0.1 〜2.5 % Niは材質の強度及び靱性の確保に有効であるが、0.1 %
未満では効果はなく2.5 %を越えても効果はほとんど飽
和し、しかもコスト上昇を招くため、その含有量は必要
かつ充分な0.1 〜2.5 %とする。 Cr:1.0 %以下 Crは、白銑化元素であり、低い方が望ましく、そのため
鋳込前の溶湯でのCr含有量は1.0 %以下とし、外殻層か
ら再溶解拡散されて入ってくるCr%との合計で、結果的
に1〜10%となるものである。
【0027】Mo:0.1 〜2.0 % MoはNiと同様に強靱性を増加させる。しかし0.1 %未満
ではその効果はなく、一方2.0 %を越えると、相応の効
果がなく経済的に不利となる。よって0.1 〜2.0 %とし
た。 (C)内層材における合金元素の限定理由 複合ロールにおいては、中間層と内層を冶金的に結合さ
せるために、中間層内面側と内層を混合させることが不
可欠である。然しながら、内層の機能である優れた強靱
性を損なうまで過度に中間層を混入比(内層材中に混入
した中間層材重量が、全内層材溶湯重量に対してなす重
量%)を適切な範囲に保つことが極めて重要である。本
発明では、この範囲を5〜35%に規制するのが最適であ
ることを見出した。即ち、5%以下では、遠心力分離に
よって中間層最内面に形成されたC、の濃厚偏析層が完
全に洗われずに残留するため、境界層の健全性を確保で
きない。また、35%を越えると、中間層成分のうち、内
層黒鉛鋼の特性を特に劣化させるCが多量に混入し、凝
固後の内層組織が高C系となり、内層の黒鉛形状不良及
び著しい白銑化を招き、その機能が減退する。
【0028】従って、外層混入比を前記5〜35%の範囲
で規制し、これによる成分上昇を考慮して凝固後の内層
組成が、下記範囲を満足するように溶湯の化学組成を選
択する必要がある。 C:1.0 〜2.0 % Cは黒鉛鋼材質の場合、基地中に溶け込んで強度を確保
するとともに、一部グラファイトとなって、収縮巣やガ
ス欠陥の発生を抑止する作用がある。C含有量が1.0 %
未満ではその効果が不十分であり、一方、2.0 %を越え
ると、Cは炭化物生成元素でもあるために炭化物が多く
なり強靱性が劣化する。よって、Cは1.0 〜2.0 %と規
定する。
【0029】Si:1.6 〜2.4 % Siはグラファイトを晶出させる効果があるが、1.6 %未
満ではその効果が期待できず、2.4 %を越えると、フェ
ライト中に溶け込んだSiが材質強度を劣化するので、1.
6 〜2.4 %の範囲とする。 Mn:0.2 〜1.0 % Mnは材質強度を向上させる効果があるが、多過ぎた場合
の粒界への偏析が靱性を劣化させることを考慮して、0.
2 〜1.0 %の範囲とする。
【0030】P:0.05%以下 Pは溶湯の流動性を増加させるが、材質を脆弱にするた
め低いほど良く、好ましくは0.05%以下とする。 S:0.03%以下 SはPと同様に材質を脆弱にするため、その含有量は低
いほど良く、0.03%以下とする。
【0031】Ni:0.7 %以下 Niは強度及び靱性の確保に有効であるが、0.7 %を越え
るとコストアップになるため、必要かつ十分な0.7 %以
下とした。 Cr:1.0 %以下 Crは強靱性を劣化させるために低い方が望ましいが外層
及び中間層のCr混入を完全に防止できないため、鋳込み
前の溶湯でのCr含有量は1.0 %未満とし、外層から再溶
解拡散されて入ってくるCr%との合計で、結果的に3.5
%以下となるようにする。
【0032】Mo:3.0 %以下 MoはNiと同様に強靱性を確保の点で重要な元素である
が、3.0 %を越えても、添加量の割には効果が得られな
いので、経済性を考慮して3.0 %以下とする。また、脱
酸剤としてAl、Ti、Zr等を0.1 %以下使用することもで
きる。凝固後の内層組成が前記範囲を満足するように鋳
造することにより、内層材として用いる黒鉛鋼の機能が
得られる。
【0033】これは、凝固後の内層組織を前記範囲に保
つことにより、炭化物の生成が抑制されることに加え、
結晶粒微細化作用を有する。本発明に係る遠心鋳造製ス
リーブロールは、前記詳述した構成を有しているもので
あり、このロールの製造方法について図3に示す例によ
って説明する。まず、遠心力鋳造機の上で回転し、内面
に耐火物を被覆した金属製鋳型10の中に、外層1を形成
すべき溶湯を鋳込んだ後、その外層1の内面が未凝固の
間に又は凝固後に中間層3を鋳込み、この外層1、中間
層3を完全に冶金学的に結合させる。次いで内層2を鋳
込み一体のスリーブ式ロールとする。内層2の鋳込後も
回転を継続し、中間層3及び内層2が完全に凝固するの
を待って停止する。
【0034】図3は本発明に係る遠心鋳造性スリーブロ
ールであり、アーバー4に内層2の中空部を焼嵌により
セットされ、使用に供される。
【0035】
【実施例】
実施例1 図2に模式的に示すように断面が三層構造を有し、製品
胴径φ880mm 、内径φ524mm 、巾420mm のロールを製造
した。 (1)外層として肉厚100mm の溶湯を遠心鋳造機上で回
転する金型に1530℃の鋳込温度で鋳込んだ。 (2)外層を鋳込み始めてから22分後に中間層溶湯とし
て肉厚30mmを回転鋳型中に1500℃の鋳込温度で鋳込ん
だ。 (3)その後、外層を鋳込み始めてから27分後に内層溶
湯として肉厚80mmを回転鋳型中に1470℃で鋳込んだ。 (4)外層を鋳込み始めてから65分後に外層、中間層お
よび内層は完全に凝固する。 (5)その後、鋳型を常温まで徐冷する。 (6)完全に冷却後ロールを鋳型から取出し、熱処理及
び機械加工した。 (7)ロール胴部の超音波探傷と切断調査の結果、外層
の厚さは中間層の鋳込みにより70mmとなっており、中間
層の厚さは20mm、内層の厚さは110mm であり、外層と中
間層および内層はお互いに完全に結合しており、巣など
の鋳造欠陥もなく、組織的な連続性が認められた。
【0036】外層、中間層、内層の溶湯段階での化学組
成は表1で、鋳込まれたロールの凝固後の化学組成は表
2の如くである。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】実施例2 製品胴径φ1060mm、内径φ550mm 、巾460mm のロールを
製造した。 (1)外層として肉厚210mm の溶湯を遠心鋳造機上で回
転する金型に1510℃の鋳込温度で鋳込んだ。 (2)外層を鋳込み始めてから43分後に中間層溶湯とし
て肉厚40mmを回転鋳型中に1490℃の鋳込温度で鋳込ん
だ。 (3)その後、外層を鋳込み始めてから50分後に内層溶
湯として肉厚70mmを回転鋳型中に1470℃で鋳込んだ。 (4)外層を鋳込み始めてから100 分後に外層、中間層
および内層は完全に凝固する。 (5)その後、鋳型を常温まで徐冷する。 (6)完全に冷却後ロールを鋳型から取出し、熱処理及
び機械加工した。 (7)ロール胴部の超音波探傷と切断調査の結果、外層
の厚さは中間層の鋳込みにより180mm となっており、中
間層の厚さは30mm、内層の厚さは100mm であり、外層と
中間層および内層はお互いに完全に結合しており、巣な
どの鋳造欠陥もなく組織的な連続性が認められた。
【0040】外層、中間層、内層の溶湯段階での化学組
成は表3で、鋳込まれたロールの凝固後の化学組成は表
4の如くである。
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】実施例3 製品胴径φ1060mm、内径φ550mm 、巾460mm のロールを
製造した。 (1)外層として肉厚150mm の溶湯を遠心鋳造機上で回
転する金型に1520℃の鋳込温度で鋳込んだ。 (2)外層を鋳込み始めてから31分後に中間層溶湯とし
て肉厚40mmを回転鋳型中に1490℃の鋳込温度で鋳込ん
だ。 (3)その後、外層を鋳込み始めてから35分後に内層溶
湯として肉厚120mm を回転鋳型中に1470℃で鋳込んだ。 (4)外層を鋳込み始めてから100 分後に外層、中間層
および内層は完全に凝固する。 (5)その後、鋳型を常温まで徐冷する。 (6)完全に冷却後ロールを鋳型から取出し、熱処理及
び機械加工した。 (7)ロール胴部の超音波探傷と切断調査の結果、外層
の厚さは中間層の鋳込みにより120mm となっており、中
間層の厚さは25mm、内層の厚さは155mm であり、外層と
中間層および内層はお互いに完全に結合しており、巣な
どの鋳造欠陥もなく組織的な連続性が認められた。
【0044】外層、中間層、内層の溶湯段階での化学組
成は表5で、鋳込まれたロールの凝固後の化学組成は表
6の如くである。
【0045】
【表5】
【0046】
【表6】
【0047】
【発明の効果】以上にように本発明によれば、外層を形
成する合金成分を適正化し、内層材に強靱性に富む黒鉛
鋼を使用するとともに、中間層として凝固温度が外層、
内層の中間のアダマイト系組成の材料を用いたので、外
層、中間層および内層のそれぞれは完全に結合してお
り、巣などの鋳造欠陥は認められなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】外層にハイス系材料、内層に黒鉛鋼を用いた場
合の巣の発生の説明図である。
【図2】本発明ロールの製造方法を示す模式図である。
【図3】本発明ロールを示す模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/00 301 L 302 E 38/56

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 遠心鋳造製スリーブロールを製造するに
    際して、 まず外層材として、 C:1.0 〜3.5 %、Si:2.0 %以下、Mn:2.0 %以下、
    Cr:12.0%以下、Mo:8.0 %以下、V:3.0 〜10.0%、
    Nb:0.6 〜7.0 %を含有し、さらに必要に応じてNi:8.
    0 %、Co:10.0%以下、Cu:2.0 %以下、Ti:2.0 %以
    下、Zr:2.0 %以下、W:1.0 %以下、B:0.1 %以下
    のうちから選ばれた1種又は2種以上を含有し、残部Fe
    及び不可避的不純物よりなる溶鋼を鋳造し、 次いで、中間層材として、 C:1.4 〜2.4 %、Si:0.4 〜1.2 %、Mn:0.3 〜1.0
    %、P:0.1 %以下、S:0.1 %以下、Ni:0.1 〜2.5
    %、Cr:1.0 %以下、Mo:0.1 〜2.0 %を含有し、残部
    Fe及び不可避的不純物よりなる溶鋼を鋳造し、 次いで、内層材として、 C:1.0 〜2.0 %、Si:1.6 〜2.4 %、Mn:0.2 〜1.0.
    %、P:0.05%以下、S:0.03%以下、Ni:0.7 %以
    下、Cr:1.0 %以下、Mo:3.0 %以下を含有し、残部Fe
    及び不可避的不純物よりなる溶鋼を鋳造することを特徴
    とする遠心鋳造製スリーブロールの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101109884B1 (ko) * 2008-11-27 2012-02-14 현대제철 주식회사 원심주조롤의 제조방법

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