JPH06330133A - 転炉製鋼法 - Google Patents

転炉製鋼法

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JPH06330133A
JPH06330133A JP12613493A JP12613493A JPH06330133A JP H06330133 A JPH06330133 A JP H06330133A JP 12613493 A JP12613493 A JP 12613493A JP 12613493 A JP12613493 A JP 12613493A JP H06330133 A JPH06330133 A JP H06330133A
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和弘 堀井
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、サブランス測定により吹錬末期の
ダイナミック制御を行う転炉製鋼方法に関し、吹止成分
の制御精度を向上させることを目的とする。 【構成】 サブランス測定により吹錬末期のダイナミッ
ク制御を行う転炉製鋼方法において、サブランス測定の
タイミングのパターンを、溶銑の予備処理の有無、吹止
目標〔C〕値および吹止サブランス測定の実施の有無に
応じて、予め設定された複数のパターンから選択するよ
うに構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、サブランス測定により
吹錬末期のダイナミック制御を行う転炉製鋼方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】転炉製鋼法においては、吹止時の成分お
よび温度の制御精度を高めるために、吹錬末期にダイナ
ミック制御を行っている。すなわち、吹錬中にサブラン
ス測定を行い、得られた溶鋼成分および溶鋼温度の実測
値に基づいて、以降の上底吹条件および冷却材の投入タ
イミングを設定している。
【0003】従来、転炉のプロセスコントロール方法に
は、例えば瀬川清著「鉄冶金反応工学」(日刊工業新聞
社刊、p217〜229)によると、静的制御(スタテ
ィックコントロール)と動的制御(ダイナミックコント
ロール)とがある。一般にスタティックコントロール
は、吹錬開始前から得られる情報、例えば溶銑配合率、
吹止目標温度、吹止目標成分等から熱収支および物質収
支を計算し、必要な冷却材量および酸素量を推定するも
のである。これに対してダイナミックコントロールは、
吹錬中にサブランス等により溶鋼温度および溶鋼〔C〕
を測定し、吹止条件を得るための必要冷却材量と必要酸
素量を推定するものである。スタティックコントロール
およびダイナミックコントロールは共に熱収支と物質収
支の関係を適用して制御を実行する方法であるが、吹止
近くの時点で制御および修正を行うという点でダイナミ
ックコントロールの法が制御性に優れている。現在では
大部分の転炉で、吹錬制御方法としてこれらスタティッ
クコントロールとダイナミックコントロールとを組み合
わせて用いているが、制御性向上という点でダイナミッ
クコントロール制御精度の向上が大きな課題となってい
る。
【0004】ダイナミックコントロールでは通常、吹錬
中にサブランスを使用して溶鋼の〔C〕と温度を測定
し、その測定結果に基づいて、同時に脱炭モデルにより
推定された吹止までの〔C〕と温度の通るべき経時推移
(軌道)になるように必要酸素量および必要冷却材投入
量を算出し、軌道修正を行う。サブランス測定のタイミ
ングは通常、測定後の吹錬時間が極力短くなるようにす
ることにより、ダイナミック制御の精度向上を図ってい
る。その結果サブランス測定は、スタティック計算時に
推定した吹止までの必要時間から、軌道修正のための必
要な冷却材切り出しおよび投入時間分を遡ったタイミン
グで行うのが一般的な方法となっている。この測定タイ
ミングは、通常例えば予定の吹止タイミングから2分前
というように常に一定のタイミングとなっていた。
【0005】従来から転炉での精錬制御方法としては、
上記のダイナミック制御法に加えて吹止〔C〕の一定操
業が広く知られている。溶銑予備処理技術が開発される
では、転炉での吹止〔C〕設定は通常、脱燐に必要なス
ラグ酸素ポテンシャルを得るのに必要な〔C〕と規格
〔C〕狙いの低い方を採用し、大部分は脱燐に左右され
ていた。その結果、自然と吹止〔C〕はほぼ一定または
数種類の操業となり、制御にとっては有利な状況であっ
た。しかし、溶銑予備処理技術が開発され、コスト低減
を目的として転炉での炉内マンガン還元が広く実施され
るようになった結果、吹止〔C〕一定操業がコスト的に
最適な方法ではなくなり、熱裕度、規格P、規格Mn、
予備処理後成分(特に処理後〔P〕)等により、最適な
〔C〕を狙う操業となっている。そのため、ダイナミッ
クコントロールを実行する吹錬末期の脱炭効率や昇温効
率が大きく変動する結果、再現性が低下し、従来のダイ
ナミック制御方法で十分な精度での制御ができないとい
う問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
問題を解消し、吹止成分および吹止温度の制御精度を向
上させた転炉製鋼方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の転炉製鋼方法は、サブランス測定により
吹錬末期のダイナミック制御を行う転炉製鋼方法におい
て、サブランス測定のタイミングのパターンを、溶銑の
予備処理の有無、吹止目標〔C〕値および吹止サブラン
ス測定の実施の有無に応じて、予め設定された複数のパ
ターンから選択することを特徴とする。
【0008】
【作用】本発明者は、従来の知見から判断して吹錬制御
精度向上方法として、ダイナミックコントロールでの制
御精度を向上させることが最も効果的であると考えた。
末期の脱炭速度の推定精度が向上すれば、制御精度は向
上する。一般的に、末期の脱炭速度は下記に示す幾つか
の公知の式からも分かるように、時間とともに低下して
ゆく。
【0009】−dC/dt=k〔C〕 ・・・(藤井、荒木、松川:鉄と鋼,53(973)1967) −dC/dt=α+βe×p(γ〔C〕) ・・・ (H.W.Meyer, J.A.Glasgow: Iron & Steel Eng.,
1966, 7) −dC/dt=αe×p(−βt) ・・・ (IRSID:フランス特許第 1459900号 (1965年)) ただし、−dC/dt:脱炭速度、〔C〕:溶鋼中C
%、t:吹錬時間、k,α,β,γ:定数 これらの脱炭速度式をもとに、上式を積分すれば吹止ま
での時間や必要酸素量が推定できる。
【0010】ところで、本発明者は実操業データについ
て詳細に層別・解析した結果、上式で例示されるような
末期の脱炭速度または脱炭効率が、吹止〔C〕値および
転炉炉内生成スラグ量によって最も大きく影響され、従
来法ではこれらの影響が取り込まれないために制御精度
が悪化していることに着目した。すなわち、これらの影
響は下記のようにして取り込むことができる。
【0011】吹止〔C〕の影響 上式から分かるように、末期の脱炭効率は〔C〕値によ
って大きく影響される。すなわち、〔C〕の高い領域で
は脱炭効率が高く、脱炭が進むにつれて脱炭効率が急激
に低下する。しかし、従来のダイナミック制御では、サ
ブランス測定タイミングをスタティック計算で推定した
予定吹止タイミングから一定時間遡ったタイミング(時
点)として決定している。スタティック計算時は、前述
したよういに、熱収支と物質収支のみで推定しているた
め、結果的に吹錬開始から吹止までの平均脱炭効率で酸
素量を計算していることになる。したがって、吹錬末期
のように脱炭効率が急激に変動する領域については、誤
差が非常に大きくなることが避けられない。その結果従
来法では、吹止〔C〕の高い吹錬時には、脱炭速度が速
いためにダイナミックコントロールの時間が不足し、特
に冷却材の投入が間に合わない事態が発生し、それを防
止するためにサブランス測定タイミングを早くせざるを
得ず、制御精度を悪化させている。一方、吹止〔C〕の
低い吹錬時には、逆に常にダイナミック制御時間が必要
以上に長い状態となっていた。
【0012】ところで、ダイナミック制御時間は、精度
向上のために極力短い方が望ましい。また、ダイナミッ
ク制御に必要な最低時間は主に冷却材投入時間で制約さ
れており、吹止〔C〕によらず一定と考えてよい。した
がって、本発明者はダイナミック制御精度向上は、吹止
〔C〕によらず常にダイナミック制御受感軸を同一とな
るようにサブランス測定タイミングを決定することによ
り達成されることを見出した。
【0013】このことを図1を参照して更に詳細に説明
する。図1は末期の脱炭特性を示す。吹錬末期では図1
に示すように脱炭が進行する。ここで、ダイナミック制
御に用意する時間を冷却材投入に要する最低必要時間の
一定時間とするためには、吹止〔C〕の高い吹錬時の脱
炭量(図中ΔC1)は吹止〔C〕の低い吹錬時の脱炭量
(図中ΔC2)よりダイナミック制御時の脱炭量が多く
なるようにサブランス測定タイミングを設定することに
なる。すなわち、吹錬末期の脱炭速度または脱炭効率等
で示されるモデル式から予めダイナミックコントロール
に必要な時間(一定)中の脱炭量を算出しておき、吹止
〔C〕にこの脱炭量を加えた時点でサブランス測定を行
えばよいことが判明した。前述したように、現在では吹
止〔C〕は種々の値をとることが多く、そのそれぞれの
吹止〔C〕値毎に適当なサブランス測定〔C〕値が決定
されることになるが、一方では、転炉の再現性向上によ
る制御精度向上を得るために、ダイナミック制御開示の
サブランス測定タイミングは、吹止目標〔C〕値でグル
ーピングした方がより効果的である。また各グループ毎
に脱炭速度または脱炭効率、昇温に関する係数を学習す
ることにより更に制御精度が向上する。
【0014】スラグ量の影響 一般的に吹錬末期の脱炭は、溶鋼中の〔C〕の反応界面
への供給律速すなわち溶鋼の攪拌律速であると言われて
いる。転炉製鋼法においては、溶鋼への攪拌力は上吹転
炉では上吹酸素ジェットによるエネルギー、上底吹では
上吹酸素ジェットと底吹ガス上昇による攪拌エネルギー
の和で与えられ、両方法とも上吹ジェットによる攪拌エ
ネルギーが脱炭に重要な影響を及ぼしている。ここで、
上吹ジェットは炉内でスラグ層を貫通してあるいは周囲
へ押し退けて溶鋼に達すると考えられるため、スラグ量
によって溶鋼に付与される攪拌エネルギーが変動する。
その結果、スラグ量毎に脱炭効率が変動し、現状はダイ
ナミック制御精度を悪化させていることが判明した。本
発明者は、実操業で大きくスラグ量の異なる要因とし
て、溶銑予備処理の有無により層別することにより、上
記課題を解決し、再現性を向上させ、制御精度向上が得
られることを見出した。
【0015】更に実操業においては、吹止サンプリング
をせずに出鋼する、いわゆる迅速出鋼を行うことがあ
る。その際には、従来の中間サンプリングに加えて、吹
止サンプルによる出鋼可否判断が不可能になることを補
う方法として、吹止直前のタイミングでサンプリングす
ることがある。このタイミングとして、吹止時の酸素量
の微調整が可能なタイミングに設定すればよいことにな
り、予定吹止酸素量から一定時間前にサンプリングすれ
ばよい。本発明者は操業管理上、予定酸素量から一定酸
素量を遡ることによりこの目的を達成した。ただし、単
純に時間を遡って測定したり、場合によってはこの吹止
前のサンプリングを省略してもよい。
【0016】更に吹止サンプリングのタイミングは、出
鋼時間の短縮の観点でなるべく早い方がよい。一方で、
吹止直後は炉内でのスラグフォーミング等の反応が終了
していないことがあり、あまり早く測定するとスラグ噛
み込み等により分析不能となることがあり、適当なタイ
ミングが存在する。本発明者は、吹止サンプルの測定を
吹止後の時間で指定することにより、常に適正なタイミ
ングで再現性良くサンプリングすることを可能とした。
【0017】また、従来は、サンプリングのタイミング
が一定していなかったため、サブランスのプローブは通
常一種類しか用いることができなかった。本発明の方法
によれば、各パターン毎に測定タイミングが一定となる
ため、サンプル採取毎に最適なプローブを選択すること
が可能になり、サンプリング毎に使用するプローブを限
定して選択することにより、測定精度の向上が図れる。
プローブの選択は、計算機に予めサンプリングタイミン
グと同時にパターン化しておくと、吹錬作業者の作業負
荷低減が図れる。
【0018】
【実施例】本発明により、サブランス測定のタイミング
を表1のように4つのパターンにグループ分けした。更
に、吹止〔C〕毎にサブランス測定タイミングをパター
ン化し、再現性を向上させるために、吹止〔C〕により
表2に示すように7分類にグルーピングした。表1中、
グループ1のパターンは、中間サンプリングを2回行
い、吹錬中の軌道修正を2回行うことによりダイナミッ
クコントロール精度を向上させる。グループ2のパター
ンは、吹止サンプルを採取せずに迅速出鋼するパターン
である。グループ3のパターンは溶銑予備処理なしの吹
錬時、グループ4は溶銑予備処理ありの吹錬時のパター
ンである。各パターンともに中間サンプリングタイミン
グを〔C〕値で狙い、脱炭効率から測定タイミングを吹
錬開始時からの積算酸素量で指定している。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】本発明による上記方法により吹錬を行った
結果、表3で示すように、吹止時の〔C〕と温度の同時
的中率および再吹錬率が大幅に改善され、精錬制御性の
向上が確認された。
【0022】
【表3】
【0023】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
サブランス測定により吹錬末期ダイナミック制御を行う
転炉製鋼法において、吹止成分および吹止温度の制御精
度を著しく向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は吹錬末期における脱炭の進行状況を示す
グラフである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 サブランス測定により吹錬末期のダイナ
    ミック制御を行う転炉製鋼方法において、サブランス測
    定のタイミングのパターンを、溶銑の予備処理の有無、
    吹止目標〔C〕値および吹止サブランス測定の実施の有
    無に応じて、予め設定された複数のパターンから選択す
    ることを特徴とする転炉製鋼方法。
  2. 【請求項2】 上記サブランス測定のタイミングを
    〔C〕指定値または〔C〕指定値と脱炭効率とから算出
    したO2 指定量により決定することを特徴とする請求項
    1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 上記サブランス測定のタイミングを
    〔C〕指定値または〔C〕指定値と脱炭効率とから算出
    したO2 指定量および指定O2 量で決定することを特徴
    とする請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 吹止サンプル採取のタイミングを吹止後
    の時間で決定することを特徴とする請求項1から3まで
    のいずれか1項に記載の方法。
  5. 【請求項5】 サンプル採取毎に使用するプローブを選
    択することを特徴とする請求項1から4までのいずれか
    1項に記載の方法。
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