JPH06330082A - キヤンドル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 点火使用中のキヤンドルが転倒した場合に、
瞬時に点火炎を消火し、安全性が高く、効果的な装飾性
や宗教の祭事性を付与することができるキヤンドルを提
供することにある。 【構成】 燃焼剤と燃焼芯からなるキヤンドルの点火さ
れている燃焼芯に、その点火炎の熱で燃えない材料で造
られた脱着が容易な芯挿着孔を有するリング、またはそ
のリングに炎に接して着色炎を発する物質や燃焼性を改
善する触媒を有する接触手を付けたリングを挿着し、燃
焼剤の溶融した液状溜まり部分にあるようにしたキヤン
ドルである。このキヤンドルは転倒した場合の消火効果
が驚くほど高い。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、点火使用中のキヤンド
ルが転倒した際に瞬時に消火し、安全性が高く、更に、
装飾性や宗教の祭事性を付与したキヤンドルに関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】従来、点火使用中のキヤンドルが転倒し
て火災を引き起こした例は古くから知られている。そう
した火災事故を防止するために、点火炎を自動的に消火
する試みがなされている。例えば、燭台本体に固定した
外管内に内装した圧縮バネと引紐とその上端部に設けた
消火部材から構成した自動消火装置であって、燭台の転
倒時に圧縮バネと引紐の作用で消火部材が点火炎を覆
い、消化作用をする燭台が実開昭６１−１７１１２７号
公報に提案されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従来のキヤンドルの自
動消火装置は燭台に装置されたものであって、点火中の
キヤンドルが転倒しても、キヤンドルの長さによっては
確実に作用するものばかりではない。更に、燭台に付帯
させた消化装置でキヤンドルの外観を損ねることがあ
る。そうした使用中のキヤンドルの安全性を高めること
が当業者の大きな課題であったが、キヤンドルの転倒時
に点火炎を瞬時に消火する簡便にして有効な手段が未だ
に見え出されていない。

【０００４】本発明の目的は、点火使用中のキヤンドル
が転倒した場合に、瞬時に消火し、取り扱いが簡便で安
全性の高いキヤンドルであり、更に、装飾性や宗教の祭
事性を付与したキヤンドルを提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、燃焼剤と燃焼
芯からなるキヤンドルの点火されている燃焼芯に、該点
火炎の熱で燃えない材料で造られた脱着が容易な芯挿着
孔を有するリングを挿着し、主として燃焼剤の溶融部分
にあるようにしたことを特徴とするキヤンドルである。

【０００６】また、本発明は、燃焼剤と燃焼芯からなる
キヤンドルの点火されている燃焼芯に、該点火炎の熱で
燃えない材料で造られた着脱が容易な芯挿着孔を有する
リングが、炎に接して燃焼性を改善する触媒を有する接
触手、炎に接して着色炎を発する物質を有する接触手ま
たは炎に接して着色炎を発する物質と触媒からなる組成
物を有する接触手など、接触手を付けたリングを挿着
し、主として燃焼剤の溶融部分にあるようにしたことを
特徴とするキヤンドルである。

【０００７】本発明のリングを適用するキヤンドルは、
例えば、パラフィンワックスなどの炭化水素系化合物や
ロウ、ステアリン酸などの高級脂肪酸やそのエステル、
ステアリルアルコールなどの高級脂肪族アルコールなど
を主成分とした燃焼剤と、可燃性繊維を主体とした紐状
の燃焼芯とから構成したキヤンドルであって、キヤンド
ルの形状は通常使用されるいわゆる縦長のキヤンドルは
もとより、その形状や大きさなどは特に限定されない。
更に、装飾性や宗教の祭事性を主目的とした場合には、
例えば、グラス入りキヤンドルのように容器入りキヤン
ドルとか、安定性のある形状のキヤンドルであってもよ
い。

【０００８】本発明で使用するリングは、点火炎の熱で
燃えない材料であれば如何なる材料であってもよく、例
えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリ
エステル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹
脂、ポリメチルメタアクリレート樹脂などの合成高分
子、好ましくは難燃性を付与した合成高分子、金属、ガ
ラス、セラミックス、水晶などの単一材料を加工したも
の、有機合成高分子や無機高分子、金属などから造られ
た繊維または繊維状物の布帛や紙状物、また、それら布
帛や紙状物に樹脂を付与して加工したものなどである。

【０００９】リングの形状や重さは、キヤンドルの燃焼
芯に挿着して、点火中のキヤンドルが転倒した場合には
燃焼芯から瞬時に脱落し、脱落時のリングで点火炎を撫
で消す作用を有するものであれば、リングの形状や芯挿
着孔の形状は適宜に設定したものでよい。リングの形状
は、例えば、平板状物、筒状物やコイル状巻物などであ
り、装飾性を付加したリングにしようとする場合には球
状物や多面体状物などでもよい。更に、少なくとも表面
部分には点火炎の熱で燃えない材料を用いた２あるいは
３以上の複数のリングの積層物でもよい。積層リングの
場合には、２以下のリングは可燃性の材料でもよいし、
溶融液状化燃焼剤中での浮力調整作用を行わせるために
重さの異なる材料を積層したものでもよい。そして、リ
ングは芯挿着孔を有する一体成形物であったり、リング
の一部に芯挿着孔から外側に向けて芯が抜け出ない程度
の切削部を付けた成形物や座金状の切り込みを有した成
形物であってもよい。

【００１０】好ましい挿着リングは、点火炎の熱でキヤ
ンドルの上部に形成される溶融した燃焼剤の液状溜まり
部分（池という）にあって、未溶融部分に埋没される部
分が無いか、埋設される部分が僅かである重さと大きさ
を備え、かつ、点火炎を撫で消すのに十分な厚みを有す
るものである。挿着したリングが大きくて、池の形成を
妨げる場合には、燃焼芯への燃焼剤の供給が不安定にな
り、炎の状態が悪くなりあるいはキヤンドル周辺に垂れ
の発生が多くなり好ましくない状態となる場合がある。
更に、挿着したリングが小さ過ぎるとか、軽いと、キヤ
ンドルが転倒しても、燃焼芯から瞬時に脱落しない場合
があり、また挿着したリングが重くて未溶融部分に埋没
が生ずると、キヤンドルが転倒しても、燃焼芯から容易
に脱落しない場合が生ずるため、高い消火効果を期待で
きないことがある。従って、使用するリングは適用する
キヤンドルの形状や燃焼状態によって最適形状を設定し
て用いることが好ましい。

【００１１】また、芯挿着孔を有するリングに、炎に接
して燃焼性を改善する触媒を有する接触手を付けてスス
の発生を抑制したり、美しい着色炎を発生させたりする
ことも好ましい。触媒としては酸化促進作用を有する物
質、例えば、白金、パラジウム、バナジウムなどの金属
またはこれらの化合物から選ばれた１種類または２種類
以上の組成物で、触媒単独または例えば、アルミナや酸
性白土などの担体に担持させたものを、例えば、ステン
レススチールやスチール、銅、真鍮などの細管に詰めて
加工したもの、金属箔に包んで加工したものなどを接触
手としてリングに接合し、接触手の少なくとも一部が点
火炎中に存在するようにしたリングである。

【００１２】更に、芯挿着孔を有するリングに、炎に接
して着色炎を発する物質を有する接触手を付けることも
装飾性を強調するうえで好ましい。炎に接して着色炎を
発する物質は、例えば、リチウム（紅色）、ストロンチ
ウム（紅色）、銅（青緑色）、バリウム（緑色）、カル
シウム（赤黄色）などの金属塩、水酸化物や酸化物、塩
化物などの炎着色化合物を、または炎着色化合物と上記
酸化促進作用を有する触媒からなる組成物を、例えば、
ステンレススチールやスチール、銅、真鍮などの細管に
詰めて加工したもの、金属箔に包んで加工したものを接
触手としてリングに接合し、接触手の少なくとも一部が
点火炎中に存在するようにして、炎着色化合物によって
点火炎の少なくとも一部に着色炎を発するようにしたリ
ングである。

【００１３】キヤンドルの燃焼芯へのリングの挿着は、
製品キヤンドルに予め所定のリングを挿着しておく方
法、キヤンドルの点火に先立ってリングを挿着する方
法、点火して使用中のキヤンドルであっても、予め用意
しておいたリングを適宜の段階で燃焼芯に挿着し、火が
消えた場合には再度点火して使用を継続する方法など、
適宜の方法でリングを燃焼芯に挿着すればよい。

【００１４】次に、本発明のキヤンドルを図面にて説明
する。図１は、本発明のキヤンドルの使用状態を示す断
面模式図であり、キヤンドル１は、燃焼芯２と燃焼剤３
から成り、燃焼芯２に挿着したリング６が、燃焼芯の点
火炎５の熱によって溶融した燃焼剤の液状溜まり部分４
に在る使用状態を示したものである。図２は、点火して
いたキヤンドルが転倒し、燃焼芯挿着リングの脱落作用
で消火した状態を示す模式図であり、キヤンドル１の燃
焼芯に挿着したリングが脱落し、そのリングで点火炎が
撫で消された燃焼芯７と脱落したリング８を示したもの
であり、９はキヤンドルを置いた台である。図３は、本
発明の挿着リングの例示であり、（１）および（２）は
平板円形状リングの例、（３）および（４）は平板多角
形状リングの例、（５）および（６）は素材や形状の異
なる複数のリングを積層した例で、（５）はＡ，Ｂ２枚
の積層リングの例、（６）はＡ，Ｂ，Ｃ３枚の積層リン
グの例、（７）、（８）および（９）は球状物リングの
例、（１０）および（１１）は接触手を有するリングの
例である。６はリング、１０は燃焼芯への挿着孔、１１
は接触手である。

【００１５】

【作用】本発明は、燃焼芯から瞬時に脱落するリングを
キヤンドルの燃焼芯に挿着しておくことによって、点火
使用中のキヤンドルが転倒した場合、燃焼芯に挿着した
リングが瞬時に脱落し、その作用で点火炎を撫で消すも
のである。更に、リングに反映した炎やリングに着けた
接触手に触媒や炎着色化合物を保持させることによって
燃焼性の改善、装飾性や宗教の祭事性を付与することが
できる。

【００１６】

【実施例】次に、本発明のキヤンドルを実施例にて説明
する。 実施例１ パラフィンワックスを主材とした燃焼剤とセルロース繊
維の燃焼芯からなる灯明用キヤンドル（太さ約２０ｍ
ｍ、長さ約１５０ｍｍ）を１０本用意し、それぞれのキ
ヤンドルの燃焼芯に直径８ｍｍ、厚さ３ｍｍ、燃焼芯へ
の挿着孔の直径約３ｍｍ（燃焼芯を円筒と見なして、芯
の直径の約１．５倍）、重さ約０．７ｇの鉄製リングを
挿着して点火した。挿着したリングは燃焼剤の溶融した
液状溜まり部分にあって未溶融部分には埋没しなかっ
た。

【００１７】１０本の点火キヤンドルの倒す位置を、上
から１０分の１程度燃焼したところから、３分の２程度
燃焼したところまでの様々な位置で倒して消火効果を調
べた結果、何れの点火キヤンドルとも燃焼芯に挿着した
リングの脱落で点火炎は瞬時に消火し、十分に消火効果
を有することが分かった。また、キヤンドルの燃焼状態
は通常のキヤンドルと何ら変るところが見られなかっ
た。

【００１８】実施例２ パーティーに使用する装飾キヤンドルの挿着リングとし
て直径約１０ｍｍ、厚さ約４ｍｍ、燃焼芯への挿着孔の
直径約４ｍｍ、重さ約１ｇの鉄製リングと、その下にコ
ピー用紙（厚さ０．１ｍｍ）を裁断して造ったリングを
重ね合わせて浮きの作用をもたせた複合リングを用い、
燃焼芯に挿着して点火した。挿着したリングは燃焼剤の
溶融した液状溜まり部分にあって未溶融部分には埋没し
なかった。

【００１９】この点火キヤンドルを様々な燃焼位置で倒
して消火効果を調べた結果、何れのキヤンドルも燃焼芯
に挿着したリングの脱落で点火炎は瞬時に消火し、十分
に高い消火効果が有ることが分かった。また、キヤンド
ルの外観や装飾性、燃焼状態は通常のキヤンドルと何ら
の変化も見られなかった。

【００２０】実施例３ 実施例２の挿着リングとして、直径約１０ｍｍ、厚さ約
１ｍｍ、燃焼芯への挿着用孔径約４ｍｍの鉄製リングの
一面に、炎着色剤としてリチウム化合物を詰めた直径
０．６５ｍｍの鉄製パイプを接触手として芯挿着孔を挟
んで対称に付け、更に鉄製リングの他の面にメルトブロ
ーン法で得たポリプロピレン微細繊維不織布を熱プレス
成形した厚さ約０．２ｍｍの加工不織布を裁断して造っ
たリングを重ね合わせて浮きの作用をもたせた複合リン
グを用い、燃焼芯に挿着して点火した。挿着したリング
は燃焼剤の溶融した液状溜まり部分に留まっていた。こ
のキヤンドルの点火炎はおおむね紅色に着色し、パーテ
ィーに装飾性を添えるものとなった。更に、倒して点火
炎の消火効果を調べたところ、燃焼芯に挿着したリング
の脱落で点火炎は瞬時に消火し、十分に高い消火効果の
有ることが分かった。

【００２１】実施例４ 実施例３の挿着リングの接触手に詰める炎着色剤組成物
として、塩化白金酸から調整した白金触媒とリチウム化
合物を炎着色剤にした組成物を用いた複合リングを燃焼
芯に挿着して点火した。このキヤンドルの点火炎はスス
の発生も無く、きれいな紅色に着色し、パーティーに装
飾性を添えるものとなった。更に、倒して点火炎の消火
効果を調べたところ、燃焼芯に挿着したリングの脱落で
点火炎は瞬時に消火し、十分に高い消火効果の有ること
が分かった。

【００２２】

【発明の効果】本発明のキヤンドルは取り扱いが簡便
で、点火使用中に転倒した場合、燃焼芯に挿着したリン
グの脱落作用で点火炎を瞬時に消火し、その消火効果は
驚くほど高いものである。更に、挿着リングの形状をキ
ヤンドルの使用雰囲気に合わせて選ぶことによって、ま
たリングに着けた炎に接して着色炎を発する物質や触媒
を有する接触手の作用によって燃焼性の改善、効果的な
装飾性や宗教の祭事性を付与することができる。しか
も、キヤンドルの性能や外観を損なうことがない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のキヤンドルの使用状態を示す断面模式
図である。

【図２】燃焼芯に点火したキヤンドルが転倒し、燃焼芯
に挿着したリングの脱落作用で消火した状態を示す模式
図である。

【図３】本発明の挿着リングの形状の例示である。

【符号の説明】

１ キヤンドル、 ２ 燃焼芯、 ３ 燃焼剤、 ４ 溶融した燃焼剤、 ５ 点火炎、 ６ リング、 ７ 消火した燃焼芯、 ８ 脱落したリング、 ９ 台、 １０ 燃焼芯への挿着孔、 １１ 炎に接する接触手、 Ａ 素材Ａのリング、 Ｂ 素材Ｂのリング、 Ｃ 素材Ｃのリング。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 燃焼剤と燃焼芯からなるキヤンドルの点
   火されている燃焼芯に、該点火炎の熱で燃えない材料で
   造られた脱着が容易な芯挿着孔を有するリングを挿着
   し、主として燃焼剤の溶融部分にあるようにしたことを
   特徴とするキヤンドル。
2. 【請求項２】 点火炎の熱で燃えない材料で造られたリ
   ングの形状が、燃焼芯への着脱が容易な芯挿着孔を有す
   る平板状物、筒状物、球状物、多面体状物、コイル状巻
   物、少なくとも表面が点火炎の熱で燃えない材料からな
   るリングの積層物である請求項１に記載のキヤンドル。
3. 【請求項３】 点火炎の熱で燃えない材料で造られた、
   燃焼芯への着脱が容易な芯挿着孔を有するリングが、炎
   に接して燃焼性を改善する触媒を有する接触手を付けた
   リングであることを特徴とする請求項１または請求項２
   に記載のキヤンドル。
4. 【請求項４】 点火炎の熱で燃えない材料で造られた、
   燃焼芯への着脱が容易な芯挿着孔を有するリングが、炎
   に接して着色炎を発する物質または炎に接して着色炎を
   発する物質と触媒からなる組成物を有する接触手を付け
   たリングであることを特徴とする請求項１または請求項
   ２に記載のキヤンドル。