JPH0632872B2 - ステンレス鋼溶接用フラツクス入りワイヤ - Google Patents

ステンレス鋼溶接用フラツクス入りワイヤ

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JPH0632872B2
JPH0632872B2 JP61268350A JP26835086A JPH0632872B2 JP H0632872 B2 JPH0632872 B2 JP H0632872B2 JP 61268350 A JP61268350 A JP 61268350A JP 26835086 A JP26835086 A JP 26835086A JP H0632872 B2 JPH0632872 B2 JP H0632872B2
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    • B23K35/22Rods, electrodes, materials, or media, for use in soldering, welding, or cutting characterised by the composition or nature of the material
    • B23K35/24Selection of soldering or welding materials proper
    • B23K35/30Selection of soldering or welding materials proper with the principal constituent melting at less than 1550 degrees C
    • B23K35/3053Fe as the principal constituent
    • B23K35/308Fe as the principal constituent with Cr as next major constituent
    • B23K35/3086Fe as the principal constituent with Cr as next major constituent containing Ni or Mn

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ステンレス鋼のガスシールドアーク溶接に用
いるフラックス入りワイヤの改良に係り、さらに詳しく
は、100%CO2のシールドガスにおいてもスパッタの
発生が少なく良好な溶接作業性を示すと共に、ワイヤ製
造時においては、伸線性が良好で、断線発生頻度が極め
て少ないステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤに関
するものである。
〔従来の技術〕
ステンレス鋼の溶接には従来被覆アーク溶接棒による手
溶接が主に用いられていたが、能率面からガスシールド
アーク溶接による自動,半自動化が進んでいる。
フラックス入りワイヤを用いるステンレス鋼のガスシー
ルドアーク溶接は、ワイヤに内蔵されたフラックスによ
るスラグシールドとシールドガスによるガスシールドの
両方によって溶接金属を保護するので、ソリッドワイヤ
によるミグ溶接にくらべビード形状が良好で、ブローホ
ール、融合不良などの欠陥が発生しにくいという特長が
あるため急速に普及している。
特に近年、姿勢溶接やより薄板への適用性から細径ワイ
ヤへの関心が高まり、1.0mmφあるいはそれ以下のワイ
ヤの需要が増大しつつある。
しかしながら、ステンレス鋼溶接用フラックス入りワイ
ヤの場合には、軟鋼用フラックス入りワイヤにくらべ、
外皮として用いるステンレス鋼自体の加工硬化性が大き
い上に、外皮のステンレス鋼成分と、目的とする溶着金
属成分との差を調整したり、溶接による合金成分の消耗
を補償したりするための合金元素をフラックス中に多量
に含有しなければならず、必然的にフラックスの充填率
が高く、外皮の肉厚が薄くなるため、伸線加工性が劣化
し、ワイヤ製造時の伸線工程においてしばしば断線トラ
ブルが生じ、しかもこの傾向は細径となるほど顕著で、
細径ステンレス鋼フラックス入りワイヤの生産性は低い
ものとなっていた。
また、溶接時には外皮ステンレス鋼の電気抵抗が大きい
上に、外皮肉厚が薄く電流密度が高くなるためスパッタ
発生の増加が避けられなかった。
特にステンレス鋼の溶接においては、腐食の起点となり
得るので、スパッタの除去が必要であり、その作業工数
低減の観点からも、スパッタ発生量の低減が各方面より
強く求められていた。
この点に関し、本発明者らは先に、フラックス入りワイ
ヤによるステンレス鋼のガスシールドアーク溶接におけ
るスパッタ低減を目的に種種検討した結果、スパッタ発
生量はワイヤ中のスラグ成分含有量が少ない程減少する
傾向を見出し、スラグ量が少なくても十分なスラグ被包
性と良好なスラグ剥離性を示すスラグ系としてSiO2-ZrO
2-TiO2系成分範囲を見出すに到り特願昭60-206222号と
して提案した。
しかし、実生産においては、用いる外皮ステンレス鋼の
チャージによっては伸線中にしばしば断線が発生し、特
にワイヤ径1.0mm以下の極細径ワイヤの断線頻度が高い
ため、極めて生産性が低く、新たに断線防止対策を講ず
る必要に迫られた。
このような問題点の改善方法として、充填するフラック
スの粒度を細かくし、粗粒原料粒子の外皮内壁へのくい
込みを減少させることによって断線を防止する技術が特
開昭56-131097号公報あるいは特開昭56-154300号公報に
開示されているが、これらの方法をステンレス鋼を外皮
とするフラックス入りワイヤの製造に適用した場合、断
線回数の若干の減少効果は認められるものの、フラック
ス充填率が高い場合や極細径ワイヤの断線回数を皆無に
するまでには到らないばかりか、細粒化による原料コス
トの増加やフラックスの充填工程におけるフラックスの
供給性が劣化し、フラックスフィーダーやホッパーから
のフラックスの定常的な排出ができなくなることによる
充填むらの原因ともなる。
また、特開昭59-130698号公報には熱処理を施すことに
よって外皮のビッカース硬度を300以下に維持して伸
線を行う技術が開示されているが、このような方法は熱
処理回数が増し、生産能率が劣り、コスト高とならざる
を得ない。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明は、以上のような問題点を解決すべくなされたも
のであって、その目的とするところは、スパッタ発生量
が少なく溶接作業性が良好で、しかも伸線性にすぐれ、
特に細径ワイヤの伸線時にも断線が極めて発生しにくい
鋼溶接用フラックス入りワイヤの提供にある。
〔問題を解決するための手段〕
本発明者らは、フラックス入りワイヤによるステンレス
鋼のガスシールドアーク溶接におけるスパッタ低減を目
的に鋭意検討した結果、スパッタ発生量はワイヤ中に含
まれるスラグ成分量が少ない程減少する傾向が認めら
れ、少ないスラグ量でも十分なスラグ被包性と良好なス
ラグ剥離性を示すスラグ系としてSiO2-ZrO2-TiO2系成分
範囲を見出すに到った。
一方、ステンレス鋼フラックス入りワイヤの伸線時に発
生する断線の防止には、前述のようなフラックスの細粒
化や熱処理による効果もさることながら、本質的には、
外皮として用いるステンレス鋼自体の伸線性を改善する
ことが必要で、そのためには外皮ステンレス鋼の合金成
分Ni,Crの含有量を従来よりも高くすることが有効であ
るとの結論に達した。
本発明は、上記の知見に基づくものであって、その要旨
とするところは、Ni含有量が9.5〜15%、Cr含有量が
16〜27%で、かつ3.2×Ni(%)+Cr(%)が50
%以上であるオーステナイト系ステンレス鋼外皮内に、
フラックス成分として少なくともワイヤ全重量に対し1.
6〜3.7%のSiO2、0.7〜2.0%のZrO2、0.7〜4.2%のTi
O2、0.1〜0.7%の金属フッ化物、0.3〜2.3%のMnを含有
し、かつフラックス中のスラグ成分の合計がワイヤ全重
量の4.5〜9.5%であることを特徴とするステンレス鋼溶
接用フラックス入りワイヤにある。
以下に本発明を作用と共に詳細に説明する。
〔作用〕
まず、本発明のフラックス入りワイヤとは第1図(a)〜
(d)にその一例を示すような断面形状のワイヤで、パイ
プあるいは帯鋼から成る外皮1によって充填フラックス
2を被包したものを意味する。
本発明は以下の実験結果に基づくものである。
まず、SUS 304L鋼の帯鋼およびパイプを用いて、第1図
に示すような断面形状のフラックス組成および充填率の
異なるJIS Z 3323 YF-308L相当のワイヤ径1.2mmのフラ
ックス入りワイヤを製造し、SUS 304L鋼平板上にDCRP 2
00A 31V30cm/minの溶接条件で炭酸ガスアーク溶接を行
ない、その時発生したスパッタを銅製捕集容器内に集
収,秤量することによって、比較し、スパッタ発生量に
影響を及ぼす要因について検討した。この時の充填率の
検討範囲は9〜30%であった。
その結果、ワイヤ中のスラグ成分量とスパッタ発生量の
間に明らかな相関が認められた。
すなわち第2図は、ワイヤ中のスラグ成分含有量とスパ
ッタ発生量との関係を示すものであり、スパッタの発生
量は、フラックス処方、ワイヤ断面形状、フラックス充
填率にはほとんど関係なく、ワイヤ中のスラグ成分量の
減少と共に減少することが明らかとなった。これはワイ
ヤ中のスラグ成分含有量の低いワイヤは、フラックス充
填率が低く、外皮肉厚が厚いか、もしくはフラックス中
の金属成分量が多くなっており、ワイヤ断面における金
属物質の占める割合が多くなる結果、溶接時の電流密度
が実質的に低下したことによるものと考えられる。
しかしながら、ガスシールドアーク溶接用フラックス入
りワイヤにおけるスラグは、ビード形状を整え、溶接金
属を保護する働きがあり、一般にその量が不足すれば、
上記の効果が発揮できず、ビード形状、ビード外観が悪
化したり、スラグがビード表面にこびりついたりするた
め、単純にはスラグ量を低下させることはできない。そ
こで少ないスラグ量でもスラグ被包性やスラグ剥離性を
損なわないスラグ成分系とするためにスラグ融点、流動
性について検討を重ねた結果、後述するような数値範囲
のSiO2-ZrO2-TiO2系スラグを見出した。
次に、ワイヤの伸線性の改善を目的に、伸線性におよぼ
す外皮ステンレス鋼成分の影響を調査するため、第1表
に示すようにNi,Cr量を変化させた15種類の帯鋼から
外径8mm、肉厚1.1mmのパイプを作成し、その中にSiO2
10%,ZrO26%,TiO25%,FeO2%,A
%,NaF1%,Mn5%,A−Mg1%,Ni18%,Cr4
8%から成るフラックスを充填率が24%となるように
充填し、充管伸線、および3回の被輝焼鈍を経て1.6mm
φのフラックス入りワイヤを得た。
そして、1.6mmφにおける最終焼鈍の後、1.0mmφの仕上
げ径に到るまでの各ワイヤの断線回数を各ダイス毎に調
査した。
その結果は第2表に示すとおりでNi,Crの合金成分含有
量の多い外皮を用いたワイヤ程断線頻度が少なく、細径
まで断線なく伸線が可能な傾向を示した。
そこで、さらに詳しくこれらNi,Cr含有量の影響を確認
するため横軸に外皮ステンレス鋼中のCr含有量、縦軸に
Ni含有量をとり、伸線性の良否を◎(非常に良好)、○
(良好)、△(やや劣る)、×(劣る)で表わすことに
より第3図を得た。
この図が示すように、外皮ステンレス鋼中のNi,Cr含有
量が増加する程断線しにくくなり、特に3.2×Ni(%)
+Cr(%)の値が50以上になるとほとんど断線が発生
しないことが判った。
なお、第3図における○印(外皮NO.6,7,9)は最
終伸線で数回の断線が発生したが、この程度の断線であ
れば、実生産時のダイススケジュールの若干の調整によ
って防止可能な範囲と判断した。
以上に本発明において規定した、上記以外の各数値の限
定理由について述べる。
まず、ステンレス鋼外皮中のNi含有量を9.5〜15%と
したのは、9.5%未満では溶着金属中のNi量が少なくな
り、例えばJIS Z 3323に規定されるようなフラックス入
りワアヤの処方設計が困難になる。またCr含有量が比較
的多い場合にはフェライト量が多くなり、熱間圧延時に
割れが発生し帯鋼やパイプにすることができなくなる。
15%を超えた場合には、溶着金属中のNiが多くなりす
ぎ、フラックス入りワイヤの現行規格からして、15%
を超えたNi量は必要がない。
ステンレス鋼外皮中のCr含有量を16〜27%としたの
も、16%未満では溶着金属中のCr量が少なくなりす
ぎ、ワイヤの処方設計ができなくなることによる。
Cr含有量が27%を超えた場合にはフェライトが多くな
り、前述のように熱間圧延時に割れが発生する。また、
現行のワイヤ規格からして27%を超えたCr量は必要が
ない。
次に、フラックス成分については、SiO2は被包性の良い
スラグを形成するに必要な成分であるが、1.6%未満で
はその効果が発揮できず、スラグ被包性が劣化し、3.7
%を超えるとスラグの焼付きを生じ剥離性が劣化する。
SiO2原材料としてはケイ砂,ケイ石、およびケイ灰石、
ジルコンサンド,カリ長石等の原料の副成分を利用でき
る。
ZrO2は、スラグに流動性を与え、スラグ量低減に有効な
成分であり、0.7%未満ではその効果が不十分であり、
逆に2.0%を超えた場合にはフラックスが溶けにくくな
り、ワイヤ外皮と内部フラックスとの溶融時間差が拡が
りアーク状態が劣化する。原材料としては酸化ジルコニ
ウム,ジルコンフラワー,ジルコンサンド等を用い得
る。
TiO2は、ち密で剥離性の良いスラグを形成するが0.7%
未満ではその効果が発揮されず、4.2%を超えるとスラ
グの流動性が劣化し、スラグ被包性を確保するために必
要なスラグ量が増大し、スパッタが発生しやすくなる。
原材料としては、ルチール,チタン白,チタンスラグ,
イルミナイト、さらにはチタン酸カリ,チタン酸ソー
ダ,チタン酸カルシウム等のチタン酸塩が単独、あるい
は複合で用いられる。
金属フッ化物はスラグの融点調整や耐ピット性改善のた
めに添加され、0.1%未満では耐ピット性が確保でき
ず、逆に0.7%を超えるとスラグ融点が低くなり過ぎ、
ビード形状が劣化すると共に、フッ素ガス発生によって
スパッタ量が増す。金属フッ化物としてはCaF2,NaF,
AF,MgF2,LiF等を単独又は複合で用いるが、上
記範囲内であれば、その効果はどのフッ化物も特に差違
は認められなかった。
本発明においてスラグ成分とは、酸化物,フッ化物等の
非金属成分を意味するものであり、先に述べた酸化物,
フッ化物の他には、スラグ塩基度の調整やスラグの融
点、流動性の微調整に用いるA,FeO,MgO,Ca
O,MnO,BaO,合金歩留りの調整に用いるCr2O3,NiO,
アーク状態の調整に用いるNa2O,K2O,Li2O3,さらには
スラグ剥離性の改善に用いるPbO,Bi2O3等さらには、こ
れら原料の不純物としてのP,S等も含まれる。
本発明では、これらを含めた全スラグ成分がワイヤ全重
量に対し4.5〜9.5%の範囲とすることがひとつのポイン
トであるが、これはスラグ成分量が9.5%を超えた場合
には前述のようにスパッタ発生量が急激に多くなるばか
りでなく、ワイヤの伸線性も劣化する。
4.5%未満では、いかに被包性の良いスラグ系といえど
もスラグ量が不足しスラグがビード表面を覆うことが不
可能となることによる。
なお、Na2O,K2O等のアルカリ金属酸化物は過多となる
とスパッタ増加の原因となるので合計0.6%以内が、Bi2
O3,PbO等低融点化合物は、ビード形状の劣化や靱性の
低下をもたらすので総量0.2%以下がそれぞれ望まし
い。
また、フラックスは原材料粒度、フラックス成分、充填
方法等に応じて、固着剤によって造粒して用いることも
あるが、その場合には固着剤からもたらされる成分、例
えば水ガラスの場合ではSiO2,Na2O,K2O等が増加する
ことをあらかじめ考慮して原料配合を行うことが必要で
ある。
次に、Mnは脱酸剤として添加するものであり、耐割れ性
を改善しアークの安定化の効果もあるが、0.3%未満で
はその効果が発揮できず、2.3%を超えるとスラグの流
動性,スラグ剥離性を損う。
なお、ここで言うMnは、金属マンガンあるいはフェロマ
ンガンを用いるものであり、鉄粉やステンレス鋼粉から
もたらされるMnは含まないものとする。
これは鉄粉やステンレス鋼粉中に含まれるたかだか2%
程度のMnでは脱酸剤としての効果が期待できないことに
よる。
さて次に、ワイヤ断面形状について言及するならば、最
初に述べたように本発明では特にワイヤ断面形状にはと
らわれない。しかしながら第1図(a)〜(c)のような単純
円型断面のワイヤにおいては、溶接電流がワイヤの外皮
のみに流れ、芯部のフラックスの溶融が遅れる結果、ア
ークが乱れたり、アークの集中性が悪くなって、スラグ
巻込みが発生したりする傾向が認められるが、このよう
な場合にはフラックス中の金属成分量を多く(例えば6
5%以上)にすることが望ましい。これはスラグ主成分
を形成するSiO2,TiO2,ZrO2など高融点酸化物の間に比
較的低融点の金属粉が多量に入りこむことによって、金
属自体がアークの発生点になったり、アーク発生点にな
らなくても高融点酸化物より先に溶融されるためフラッ
クス全体が極めて溶融されやすくなる結果、外皮との溶
融のタイミングのずれがなくなることによるものと考え
られる。
それには、用いる外皮成分、目的とする溶着金属成分に
よって、用いる合金剤の合金成分濃度やフラックス充填
率を決定する必要がある。
以下に実施例により本発明の効果をさらに具体的に示
す。
〔実施例〕
第3表に示す組成のステンレス鋼のパイプおよび帯鋼を
用いて、第4表に示す組成のJIS Z 3323相当の各種ワイ
ヤを製造した。すなわち、外皮としてパイプを用いたも
のは第1図(a)に示すシームレスタイプとし、ワイヤ径
1.10mmで最終焼鈍した後0.8mmφまで線引きし仕上げ径
とした。さらに断線なく仕上ったワイヤについては、DC
RP 130A 27V20cm/minの溶接条件でSUS 304L鋼板上に平
板溶接を行い溶接作業性を調査した。
また外皮として帯鋼を用いたものは第1図(d)に示す断
面形状とし、2.0mmφで成型した後、1.2mmφの仕上げ径
まで線引きした。さらに断線なく仕上ったワイヤについ
ては、DCRP 200A 31V30cm/minの溶接条件で上記同様の
平板溶接を行ない溶接作業性を比較した。
その結果は第4表に合わせて示すとおりで、Ni含有量や
3.2×Ni(%)+Cr(%)値が低いステンレス鋼の帯鋼
やパイプを外皮として用いたワイヤNO.1,2,3,
4,5,6,7,20,48では、いずれも伸線性が劣
り、伸線工程でワイヤの断線が発生した。
また、SiO2,ZrO2,金属フッ化物含有量の少ないワイヤ
NO.12,15,17,26,30,31,38,4
1,42,スラグ成分量の少ないワイヤNO.12,2
3,TiO2含有量の多いワイヤNO.43ではスラグの被包
性が不十分であった。
さらに、SiO2あるいはMn含有量の多いワイヤNO.19,
24,37,TiO2含有量の少ないワイヤNO.23,2
5,41ではスラグの剥離性が劣った。
ZrO2含有量の多いワイヤNO.16,25、およびMn含有
量の低いワイヤNO.10ではアーク状態が劣った。
また、金属フッ化物あるいはワイヤ中のスラグ成分量の
多いワイヤNO.18,38,11,36,53の場合に
はいずれもスパッタ発生量が増加する結果となった。
特にスラグ成分量が多く、しかもフラックス充填率の高
いワイヤNO.27の場合には、外皮ステンレス鋼の伸線
性は良好であるにもかかわらず断線が発生した。
これらに対し、外皮ステンレス鋼のNi,Cr含有量が高く
しかも3.2×Ni(%)+Cr(%)の値が50以上の帯
鋼,パイプを用い、フラックス成分範囲、スラグ成分量
が適正な本発明フラックス入りワイヤの場合は、いずれ
も断線の発生がなく、アーク状態が良好で、スパッタ発
生量が少なく、スラグ被包性,スラグ剥離性にも問題は
なく、極めて良好な溶接作業性を示した。
なお、第4表における溶接作業性の評価は、 ◎:極めて良好、○:良好、△:やや不良、×:不良を
示すものである。
〔発明の効果〕
以上のように本発明は、外皮として用いるステンレス鋼
合金成分量を特定し、かつ、内包されるフラックス成
分,スラグ成分量を特定することにより、伸線工程にお
けるワイヤ断線を防止し、溶接作業性の良好なステンレ
ス鋼溶接用フラックス入りワイヤの生産性を高めたもの
であり、特に極細径ワイヤの生産において効果が大き
い。
【図面の簡単な説明】
第1図(a),(b),(c),(d)は各種フラックス入りワイヤ
の断面形状を示す模式図、第2図はワイヤ中のスラグ成
分含有量とスパッタ発生量の関係を示す図、第3図は外
皮ステンレス鋼の伸線におよぼすNiおよびCr含有量の影
響を示す図である。 1……外皮、2……充填フラックス 3……継目。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石坪 紀久雄 神奈川県相模原市淵野辺5−10−1 新日 本製鐵株式會社第2技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭61−238495(JP,A) 特公 昭61−25475(JP,B2)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Ni含有量が9.5〜15%、Cr含有量が16
    〜27%で、かつ3.2×Ni(%)+Cr(%)が50%以
    上であるオーステナイト系ステンレス鋼外皮内に、フラ
    ックス成分として少なくともワイヤ全重量に対し1.6〜
    3.7%のSiO2、0.7〜2.0%のZrO2、0.7〜4.2%のTiO2
    0.1〜0.7%の金属フッ化物、0.3〜2.3%のMnを含有し、
    かつフラックス中のスラグ成分の合計がワイヤ全重量の
    4.5〜9.5%であることを特徴とするステンレス鋼溶接用
    フラックス入りワイヤ。
JP61268350A 1986-11-11 1986-11-11 ステンレス鋼溶接用フラツクス入りワイヤ Expired - Lifetime JPH0632872B2 (ja)

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