JPH0632859B2 - 消耗電極式ア−ク溶接における短絡・ア−ク判別方法 - Google Patents

消耗電極式ア−ク溶接における短絡・ア−ク判別方法

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JPH0632859B2
JPH0632859B2 JP60078576A JP7857685A JPH0632859B2 JP H0632859 B2 JPH0632859 B2 JP H0632859B2 JP 60078576 A JP60078576 A JP 60078576A JP 7857685 A JP7857685 A JP 7857685A JP H0632859 B2 JPH0632859 B2 JP H0632859B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は短絡を伴う消耗電極式アーク溶接における短絡
とアークとを判別する方法に関する。
〔従来の技術〕
この種のアーク溶接においては、溶接電源の出力を制御
して短絡時の電圧・電流、アーク時の電圧・電流をそれ
ぞれ適切なレベルに制御することにより、スパツタを減
少し、溶接品質・作業性を向上し得ることが知られてい
るが、これには、短絡とアークを正確に判別することが
前提となる。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、従来は、判別レベルを固定して上記短絡
とアークとを判別するようにしているので、短絡の終期
にアークが発生していないにもかかわらずアークである
と誤判別したり、逆に、アークであるのに短絡と誤判別
することが往々にして発生する。以下、これについて詳
述する。
消耗電極式アーク溶接においては、短絡時の電圧をV
s、短絡直前あるいはアーク再生直後の短アーク時の電
圧をVaとすると、これらは下記式で表わされる。
Vs=R×I・・・・・・・・・・・・・・・(1) Va=V(I)+R×I・・・・・・・・・・(2) ここで、R(以下、比例要素と云う)は溶接ワイヤ突出
部(溶接チツプからの突出部分)の抵抗であつて、ワイ
ヤ材質Y、ワイヤ径φ及びワイヤの給電チツプからの突
出長で決まる値であり、例えば、ワイヤ材質Yが定ま
ると、R=f(φ、)で表わすことができる。この比
例要素Rは1次式で表わされることが本発明者等の実験
により確認されており、材質Yが、YCW−2の場合に
は、 R=0.9+6(mΩ)・ワイヤ径0.9mm R=0.7+3(mΩ)・ワイヤ径1.2mm R=0.7+0.8(mΩ)・ワイヤ径1.6mm ・・・・・・
・(3) のような実験式を得た。
また、Iは溶接電流、V(I)はアーク電圧降下分であ
つて、電流Iにより変化する。
第3図は、ワイヤ径1.2φの溶接ワイヤ(材質YCW−
2)を使用した場合の溶接時の電流−電圧特性を示した
もので、図において、直線A及びBはアーク時の特性、
直線A′及びB′は短絡時の特性であり、直線Nは従来
の判別レベルを示している。
このように、電圧−電流特性はほぼ一次特性を呈し、か
つ、その勾配(比例要素)はワイヤ材質Y、ワイヤ径φ
及びワイヤ突出長により変化するにもかかわらず、従
来は直線Nで示す一定値を判別レベルとしているので、
低電流域になるほど判別レベルNとアーク時電圧Vaの
差が小さくなり、逆に高電流域になると判別レベルNと
短絡時電圧Vsとの差が小さくなるので、前記したよう
に、アーク中であるにもかかわらず短絡と判定したり、
短絡中であるにもかかわらずアークと判定したりするこ
とが起こり、溶接電源の誤制御を招き前記した所期の目
的が達せられなくなると云う問題があつた。
〔発明の目的〕
本発明は上記問題を解消するためになされたもので、短
絡とアークとを正確に判別することができ、溶接電源が
状態変化に確実に即応して該状態に適した出力を正確に
送出することを可能にする消耗電極式アーク溶接におけ
る短絡・アーク判別方法を得ることを目的とする。
〔問題を解決するための手段〕
本発明は、上記目的を達成するため、比例要素と、溶接
電流との積に定数を加えた値を判別レベルとして該判別
レベルと溶接電圧検出値とを用いて演算・比例する構成
としたものである。
〔実施例〕
第1図は本発明を実施した溶接電源の出力制御装置をブ
ロツク図で示したものである。同図において、1は溶接
電源装置、2及び3は給電線、4は給電チツプ、5は溶
接ワイヤ、6は溶接母材である。7は電圧検出器であつ
て、給電チツプ4と溶接母材4間に現れる電圧Vを検出
する。8は電流検出器であつて、給電線2、3を通して
溶接電流Iを検出する。なお、Arcはアークを示す。
9は比例要素設定器であつて、前記(1)式及び(2)式に関
して説明したR(比例要素)が設定される。10は定数
設定器であつて、定数kが設定される。11は演算器で
あつて、上記比例要素Rと定数kが入力されると共に電
流検出器8が検出した溶接電流Iが導かれ、下記(4)式
の1次特性判別レベルVn Vn=k+R×I・・・・・・・・・・・・(4) を演算する。12は比較器であつて、電圧検出器7が検
出した溶接電圧Vと上記判別レベルVnとが導かれ、 (a)V>Vnである場合には、: アーク信号Arを溶接電源装置1に送出し、 (b)V<Vnの場合には、: 短絡信号Sを溶接電源装置1に送出する。
溶接電源装置1はアーク信号Arを受けると出力をアー
ク設定出力値に制御し、短絡信号Sを受けると出力を短
絡設定出力値に調整する。
比例要素設定器9は、例えば、第2図に示すように構成
される。同図において、91は溶接ワイヤ径設定器、9
2は溶接ワイヤ突出長設定器、93は溶接ワイヤ材質設
定器であつて、それぞれ溶接ワイヤ径φ、溶接ワイヤ突
出長、材質Yが設定され、その設定値を演算器94に
入力する。演算器94は、上記φ、及びYに基づき比
例要素R=f(φ、、Y)を演算して出力する。
次に、上記(4)式の1次特性を持つ判別レベルVnにつ
いて説明する。
この判別式の第1項の定数は、0<k<V(I))(前
記(2)式の第1項)の範囲の値が選ばれ、現実には、上
記範囲のほぼ中間値とする。該判別式は、その第2項が
前記(1)式の第2項と同一であるので、定数Kを上記の
如く設定すると、前記短絡時電圧Vs及びアーク時電圧
Vaとある間隔を隔てて平行する1次特性を示すことに
なる。
例えば、溶接材質YCW−2、溶接ワイヤ径1.2の溶接
ワイヤを使用する場合(但し、ワイヤ突出長の変化巾が
小さいものとする)、R=0.023、K=8ボルトに設定
すると、判別レベルVnは第3図に点線M1で示す直線
となり、アーク時のワイヤ突出長の短い場合の電圧・電
流特性B及び短絡時のワイヤ突出長の長い場合の電圧・
電流特性A′とほぼ平行し、0〜600アンペアの電流
範囲において、判別レベルが特性B及びA′との間に誤
判別範囲を充分に超える間隔を有していることがわか
る。
従って、ワイヤ径φが一定の場合には、ワイヤ突出長
の実用上の変動範囲(斜線を施した領域)では、比較器
12が誤判別する危険は全くなく、全電流領域におい
て、アークと短絡とを正確に判別する。
溶接時の電圧・電流特性は、ワイヤ材質Yが同じであつ
ても、ワイヤ径が変わると、第4図に示すように変化す
るので、使用する溶接ワイヤのワイヤ径を溶接ワイヤ径
設定器91に設定しなおし比例要素Rの値を調節する。
これを第4図について説明する。同図において、C、
D、E、Fはアーク時の電圧Va、C′、D′、E′、
F′は短絡時の電圧Vsを示す。ワイヤ径φが0.9mmの
場合には、比例要素Rとして0.027が与えられると、判
別レベルVnは同図に点線M4で示される直線となり、
特性D、C′とほぼ平行する。また、ワイヤ径φが1.6
の場合には比例要素として0.013が与えられると判別レ
ベルVnは同図に点線M3で示される直線となり、特性
F及びE′とほぼ平行する。
直線M2は比例要素Rを0.02とした場合の判別レベルを
示したもので、高電流域では特性Fと特性C′に近づく
が、誤判別を招く程度には近づかないので、この判別レ
ベルはワイヤ径が0.9〜1.6の範囲の溶接ワイヤに対して
共用することができる。
このように、1つの判別レベルを複数のワイヤ径に対す
る判別レベルとして使用させるため、ワイヤ径をグルー
プ単位にまとめ溶接ワイヤ径設定器91が該単位に対し
て1つの設定値を発生する構成としてもよい。
なお、上記各例では、ワイヤ突出長の変化巾が小さいも
のと仮定して、材質Y及びワイヤ突出長を一定とし、
ワイヤ径φを変化させて比例要素Rを調節する場合につ
いて説明したが、ワイヤ突出長の変化巾が大きい使用態
様の場合には、ワイヤ突出長を検出し、この検出値を用
いて、演算器94により前記(3)式に示されるような演
算を行わせるようにすればよい。勿論、ワイヤ突出長の
変化巾が小さい場合にも、ワイヤ突出長を考慮して比
例要素Rの値を定めれば、より正確な判別レベルを得る
ことができる。
なお、上記実施例では、演算器11と比較器12とによ
り、Vk+R・Iなる演算を実行させているが、V−
R・IK、V−k−R・I0、(V/I)(k/
I)+R等の演算を実行させてアークと短絡の判別を行
わせるようにしてもよい。
〔発明の効果〕
本発明は以上説明した通り、判別れべるを、固定ではな
く、溶接電流と共に変化させるようにしたことにより、
低電流域や高電流域において、アーク時電圧や短絡時電
圧と近づくことはないので、短絡とアークとを正確に判
別することができ、溶接電源の出力動作を短絡とアーク
に応じて確実に即応させ該状態に適した出力を正確に送
出させることを可能にする利点がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明を実施した溶接電源の出力制御装置のブ
ロツク図、第2図は上記実施例における比例要素設定器
のブロツク図、第3図及び第4図は溶接電流−電圧特性
と本発明による判別レベルを示す図である。 1……溶接電源装置、2……給電チツプ、7……電圧検
出器、8……電流検出器、9……比例要素設定器、10
……定数設定器、11……演算器、12……比較器、9
1……溶接ワイヤ径設定器、92……溶接ワイヤ突出長
設定器、93……溶接ワイヤ材質設定器、94……演算
器。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】短絡を伴う消耗電極式アーク溶接におい
    て、溶接電圧V、溶接電流I、比例要素R、定数kを用
    いて、V>k+R×Iの関係が成立する時アークと判定
    し、V<k+R×Iの関係が成立する時短絡と判定する
    ことを特徴とする消耗電極式アーク溶接における短絡・
    アーク判別方法。
  2. 【請求項2】比例要素が、溶接ワイヤ突出部の抵抗値で
    あることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の消耗
    電極式アーク溶接における短絡・アーク判別方法。
  3. 【請求項3】抵抗値は、ワイヤ径、材質、ワイヤ突出長
    いずれか1つ以上により設定された値であることを特許
    請求の範囲第1項〜第2項記載の消耗電極式アーク溶接
    における短絡・アーク判別方法。
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