JPH0632817U - トランスミッションの潤滑油の分配構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ミッションケース内に横架した中空回転軸の
左右両側の潤滑部に略均等に潤滑油を供給できるように
する。 【構成】 ミッションケース１０に軸支された中空回転
軸１２の軸孔１２ａに設けた分配板１５に開口部１５ａ
を形成すると共に、前記中空回転軸１２の軸芯方向のミ
ッションケース１０に潤滑油の給油口１４を設け、該給
油口１４より分配板１５に向かって潤滑油を吐出して左
右の潤滑部に分配したものである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はミッションケース内に軸支する回転軸部を潤滑するための構成に関す るものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来からミッションケースに内に横架した回転軸を潤滑するために、油圧ポン プからの圧油を配管を介して回転軸側方まで送油して、潤滑油を回転軸部に吐出 するように構成することは公知となっているのである。例えば、図１１に示すよ うに、油圧ポンプから油圧ホース１をミッションケース２側面の回転軸３ベアリ ング部両側まで配管し、回転軸３の両側に潤滑油を吐出していたのである。また 、実開平１−１００９９６号公報の如く、中空回転軸の一側より潤滑油を吐出さ せて内側よりベアリング及び歯車の潤滑を行うように構成していたのである。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、従来の技術において、前者の場合には反対側の回転軸側面まで配管す るので、配管が長くなり途中に振れ止め４を必要とし、さらに、該配管のための スペースも必要となり、衝撃による破損の恐れもあるのである。また、配管抵抗 があるので、左右の潤滑油量は均等とならず、対称に配置した場合には潤滑油量 に差ができてしまうのである。また、後者の技術においても一側より潤滑油を吐 出するので左右の潤滑油量が均等にならなかったのである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案の解決すべき課題は以上の如くであり、次に該課題を解決する手段を説 明する。即ち、ケースに軸支された中空回転軸を潤滑する構成において、中空回 転軸の軸孔に設けた分配板に開口部を形成すると共に、前記中空回転軸の軸芯方 向のケースに潤滑油の給油口を設け、該給油口より分配板に向かって潤滑油を吐 出して左右の潤滑部に分配したものである。

【０００５】

【作用】

このように構成することによって、右側に供給口を設けて潤滑油を吐出させた 場合には、中空回転軸の回転により、潤滑油を分配板の開口部を通過したものは 左側へ潤滑油が流れて左側のベアリングを潤滑し、分配板により遮られた時には 右側に潤滑油が流れて右側のベアリングを潤滑することができ、略左右均等に潤 滑油量を振り分けて各部を潤滑することができるのである。

【０００６】

【実施例】

次に本考案の実施例について説明する。図１はトランスミッションケースに中 空軸を横架し、潤滑油を軸芯側へ分配した状態を示す断面図、図２は同じく分配 板の側面図、図３は同じく潤滑油を軸外側へ分配した状態を示す断面図、図４は 同じく分配板の側面図、図５、図６は分配板の他の実施例を示す図、図７は潤滑 油を分配する第二の実施例を示す断面図、図８は同じく側面断面図、図９、図１ ０は潤滑油を分配する第三の実施例を示す断面図である。

【０００７】 図１〜図４において、ミッションケース１０に中空回転軸１２がベアリング１ １・１１を介して回転自在に軸支され、該中空回転軸１２の軸芯部には軸孔１２ ａが開口され、外周には歯車１２ｂが形成され、或いは固設されるのである。該 中空回転軸１２の軸芯方向の一側方のミッションケース１０には給油口１４が設 けられ、該給油口１４には油圧ポンプと連通する配管１３が接続されている。該 給油口１４は中空回転軸１２の軸芯より偏心した位置に配置し、該給油口１４に 対向した中空回転軸１２の軸孔１２ａには本考案の分配板１５が軸芯方向と直角 に内嵌されており、該分配板１５は円板の中央部の偏心位置に半円状の開口部１ ５ａを一つ設けているのである。但し、該開口部１５ａの大きさは給油口１４よ り大きくし、潤滑油を吐出した時に分配板１５に当たる位置において、分配板１ ５の中心から同一半径上の円の略半分が開口されるようにしている。

【０００８】 このように構成することによって、ミッションケース１０内で動力伝達を行う 時に、中空回転軸１２が回転され、潤滑油を油圧ポンプにより圧送し、配管１３ を介して給油口１４より潤滑油を吐出すると、図１、図２に示すように、給油口 １４と分配板１５の開口部１５ａが一致する場合には、潤滑油は矢印で示すよう に軸孔１２ａ内へ吐出され給油口１４と反対側のベアリング１１側へ送られ、図 ３、図４に示すように、給油口１４と分配板１５の開口部１５ａが一致しない場 合には、潤滑油は矢印で示すように分配板１５に当たって跳ね返り給油口１４側 のベアリング１１に送られて、回転時には左右略等しい潤滑油量でもって潤滑を 行うことができるのである。

【０００９】 尚、分配板１５の開口部１５ａの形状及び位置、数は限定するものではなく、 図５に示すように扇形の開口部１５ｂで二つ開口してもよく、図６に示すように 円形の開口部１５ｃを四つ開口してもよく、要するに分配板１５が回転して給油 口１４から吐出される潤滑油に対し、分配板１５の回転でもってその半分が開口 部を通過し、残り半分が分配板により遮られるように開口されていればよいもの である。

【００１０】 また、潤滑油を前記同様に分配する構成として、図７、図８に示すように、分 配板１６は円板の中央に円形の開口部１６ａを設けてドーナッツ状に形成し、該 分配板１６を軸孔１２ａの端部に嵌挿し、該分配板１６に対向したミッションケ ース１０側面より給油口１４′を軸孔１２ａ端部まで延設し、該給油口１４′の 吐出口１４ａ′を分配板１６の開口部１６ａと一致させて配置（吐出方向に開口 部１６ａがあるように）するのである。よって、潤滑油は開口部１６ａにより分 散され、軸孔側及び軸外方向に飛散して左右均等に潤滑できるのである。

【００１１】 また、潤滑油を前記同様に分配する構成として、図９、図１０に示すように、 分配板１７を楕円として中央に同心楕円の開口部１７ａを開口し、前記同様に分 配板１７を軸孔１２ａの端部に傾斜して嵌挿し、該分配板１７の開口部１７ａに ミッションケース１０側面より給油口１４′を延設し、該給油口１４′の吐出口 １４ａ′を分配板１７の中央に吐出するように配設しているのである。このよう に構成することによって、中空回転軸１２が回転しているときに潤滑油を吐出す ると、分配板１７が図９に示すように左下がりに傾斜している時には潤滑油は回 転軸外（右）方向に流れ出し、分配板１７を図１０に示すように左上がり傾斜し ている時には軸孔１２ａ側へ流れて、左右略均等に潤滑することができるのであ る。尚、上記技術は左右略均等に潤滑油を分配するものであるが、歯車が左右の 一方に偏っている場合や一方に摺動歯車がある場合等、一方により多くの潤滑が 必要な場合は前記分配板１５の開口部の面積や位置を変更したり、分配板１６・ １７を軸孔１２ａ内において左右に移動したり、分配板１７の傾斜を変更したり して、潤滑油の分配割合を調整することも可能であり、また、吐出口１４ａの位 置を変更して一方に偏って吐出して潤滑するように構成することも可能である。 更に、これらの分配板１５・１６・１７は中空回転軸１２と一体で製作すること もできる。

【００１２】

【考案の効果】

本考案は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。即ち、 中空回転軸の軸孔に分配板を設け、給油口より分配板に向かって潤滑油を吐出す ることで左右の潤滑部へ略均等に潤滑することができるようになり、一方より潤 滑油を供給するだけでよいので、配管を少なくすることができ、又、分配板の構 成も単純な構成であるので、コスト低減化を図ることができたのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】トランスミッションケースに中空軸を横架し、
潤滑油を軸芯側へ分配した状態を示す断面図である。

【図２】同じく分配板の側面図である。

【図３】同じく潤滑油を軸外側へ分配した状態を示す断
面図である。

【図４】同じく分配板の側面図である。

【図５】分配板の第二の実施例を示す図である。

【図６】分配板の第三の実施例を示す図である。

【図７】潤滑油を分配する第二の実施例を示す断面図で
ある。

【図８】同じく側面断面図である。

【図９】潤滑油を分配する第三の実施例を示し、軸外側
へ潤滑油を流す状態の断面図である。

【図１０】同じく軸芯側へ潤滑油を流す状態の断面図で
ある。

【図１１】従来の潤滑構成を示す断面図である。

【符号の説明】

１０ ミッションケース １２ 中空回転軸 １４ 給油口 １５・１６・１７ 分配板

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ケースに軸支された中空回転軸を潤滑す
   る構成において、中空回転軸の軸孔に設けた分配板に開
   口部を形成すると共に、前記中空回転軸の軸芯方向のケ
   ースに潤滑油の給油口を設け、該給油口より分配板に向
   かって潤滑油を吐出して左右の潤滑部に分配したことを
   特徴とするトランスミッションの潤滑油の分配構造。