JPH06324048A - 血液凝固能検査用試薬及び血液凝固能の検査方法 - Google Patents

血液凝固能検査用試薬及び血液凝固能の検査方法

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JPH06324048A
JPH06324048A JP13651693A JP13651693A JPH06324048A JP H06324048 A JPH06324048 A JP H06324048A JP 13651693 A JP13651693 A JP 13651693A JP 13651693 A JP13651693 A JP 13651693A JP H06324048 A JPH06324048 A JP H06324048A
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blood coagulation
blood
coagulation
heparin
plasma
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JP13651693A
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Takayuki Sugiyama
隆之 杉山
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Original Assignee
SHIMIZU SEIYAKU KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 血漿を用いて血液の凝固能又は抗凝固能を測
定する血液凝固能検査用(測定用)試薬及び血液凝固能の
検査(測定)方法を提供すること。 【構成】 血漿に血液凝固因子及び遊離カルシウム供与
体を添加し、“血漿凝固時間の測定”を行うこと。 【効果】 各血液凝固因子間、各血液凝固阻止剤間の測
定結果を同一の評価基準により客観的に相対評価するこ
とができ、血液凝固因子の示す各作用点における作用を
測定することができる。また、測定したい作用点の血液
凝固因子を使用することで、その作用を測定することが
でき、特に従来測定し得なかったヘパリン及び低分子ヘ
パリンの抗Xa活性を同一の尺度で精度良く測定するこ
とができ、しかも、多検体の同時測定が可能であり、該
測定を自動的に行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血漿を用いて血液の凝
固能又は抗凝固能を測定する血液凝固能検査用(測定
用)試薬及び血液凝固能の検査(測定)方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に血液凝固能が亢進して速く凝固す
る場合例えば手術後に血栓を起こす恐れがあり、逆に血
液凝固能が抑制されてなかなか凝固しない場合には、手
術部位からの出血が長引く恐れがあり、いずれも生命に
危険を及ぼす。特に人工心肺等の機械を用いて手術を行
う場合又は人工透析を行う場合等のように血液を体外の
機械に流すいわゆる“体外循環”を行う場合、より一層
生命の危険が伴う。
【0003】この“体外循環”時に血液が凝固し易いの
で、予め血液中に又は循環血液中に例えばヘパリン(血
液凝固阻止剤)等を投与し、その凝固を防止している。
そして、この循環血液の凝固能を測定し、その測定値又
はその変動値をチェックし、検査(モニタリング)し、
血液凝固系の抑制又は亢進に伴う危険性を回避するよう
にしている。
【0004】このように血液の凝固能が適正な値である
か否かを検査(モニタリング)し、例えばヘパリンが大
量に投与され、血液凝固系の抑制が期待以上となり、出
血が止まらない恐れがある場合には、ヘパリンを硫酸プ
ロタミンで中和するなどの所要の処置がとられている。
また、人工透析のための体外循環施行中などにおいて、
循環血液のヘパリンによる血液凝固系の抑制が充分でな
い場合、回路内凝血が起こることがないように追加投与
するなどの所要の処置がとられている。
【0005】更に、初回の人工透析時に平均的投与量で
投与した場合、患者のヘパリンに対する感受性が高かっ
たり、或いは、透析経験が長い患者であっても事故等に
よる突然の手術や合併症により凝固系が抑制される場合
などが生じる。この際においても、上記のように個体差
(個人差)や体調等の変化を考慮して定期的に或いは必要
時に効果を検査し、適切な処置をとる必要がある。
【0006】また、ある種の疾患においては、凝固能の
亢進又は抑制状態が臨床所見としてみられる場合もあ
り、この際も血液凝固能を検査する必要が生じる。
【0007】血液の凝固能が適正な値であるか否かを測
定(検査)する方法としては、従来より“全血を用いる
測定法”である(1) リー・ホワイト(Lee-White)法、(2)
賦活凝固時間法、(3) 全血活性部分トロンボプラスチ
ン時間(WBAPTT)法、が知られている。
【0008】しかしながら、上記(1)のリー・ホワイト
法及び(2)の賦活凝固時間法は、全血を用いる方法であ
り、しかも抗凝固剤を用いない方法であるが故に、 ・採血後直ちに検査を実施しなければならず、検査時期
に融通性が悪く、検査時期が拘束される、 ・採血に時間がかかった場合、検査値に誤差が生じる、 などの問題点を有している。
【0009】また、上記(3)の全血活性部分トロンボプ
ラスチン時間法では、 ・操作が2段階であり、煩雑である、 ・測定操作において時間の正確さが検査値に影響するた
め、未熟練者の場合誤差が生じる、 などの問題点を有している。
【0010】本発明者等は、本発明以前に上述の問題点
を解決し、血液凝固能を迅速、簡便に検査する方法とし
て「抗凝固剤を加えた全血に凝固開始剤を添加し、凝固
を形成するまでの時間を測定する全血を用いた血液凝固
能の検査法」(特開平2−71154号公報)、及び、「簡易血
液凝固能検査用具」(特開平3−67173号公報)、を提案し
ている。この本発明者等による既提案の方法によれば、
採血時に抗凝固剤を用いるため、採血後の検体を一定期
間保存することができ、検査時期を任意に選択できる利
点を有するとしている。
【0011】前記したとおり、手術中又は人工透析中に
おける血液の凝固を防ぐため、一般にヘパリン、低分子
量ヘパリンが用いられているが、これ以外に血液凝固系
に作用する薬剤として例えばメシル酸ナファモスタッ
ト、メシル酸ガベキサ−トの蛋白分解酵素阻害剤などが
知られており、これらは、いずれも血液の凝固阻止剤で
あるが、作用機序の異なる薬剤である。これらの薬剤例
えばヘパリン、低分子量ヘパリン、メシル酸ナファモス
タット、メシル酸ガベキサ−トなどは、人工透析等の体
外循環施行時における体外循環の凝固阻止あるいは血栓
症等の治療の目的で使用されている。
【0012】そして、このような血液凝固系に作用する
薬剤、例えばヘパリン、低分子量ヘパリンを用いる場合
も、当然該薬剤の凝固効果を検査(測定)する必要があ
る。その理由は、前記したとおり、血液凝固系は個体差
(個人差)が大きく、そのため血液凝固系に作用する薬剤
の効果も各個体(各人)により著しく異なるからである。
【0013】血液凝固能を検査する際には、使用する血
液凝固阻止剤の血液凝固系に与える作用点が異なること
から、当然に、使用する各薬剤の作用点に適合した測定
方法を選択して測定する必要がある。
【0014】前記ヘパリン、低分子量ヘパリンに対する
抗凝固効果を測定(検査)する方法としては、前記した
方法(1)〜(3)以外に、さらに、(4) テストチ−ム「ヘパ
リン」(第一化学薬品社製)、(5) ヘプテスト(Heptest:
Haemachem,Inc.の登録商標)、(6) 活性部分トロンボプ
ラスチン時間(APTT)法、(7) 本発明者等による前記した
既提案による方法、が知られている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記
(1)のリー・ホワイト法、(2)の賦活凝固時間法及び(3)
の全血活性部分トロンボプラスチン時間法では、前記し
た問題点を有しており、その上、これらの測定値は抗ト
ロンビン活性を強く反映することから、例えば低分子量
ヘパリンのモニタ−法としては感度などの点で適切な方
法であるとは言えない。
【0016】また、前記(4)のテストチ−ム「ヘパリ
ン」は、ヘパリンの血漿総濃度を測定する方法であり、
詳細には過剰のアンチトロンビンIII(ATIII)を添加
し、これと構造的に結合し得るものを測定する方法であ
って、In vivoではこのATIIIと結合していない不活性
なものも含めた含量を測定する方法である。従って、こ
の方法では、血液中における実際の抗凝血活性を反映す
るものとは言えない。
【0017】前記(5)のヘプテストは、血漿に活性型血
液凝固第X因子(Xa)を添加し、さらにCa、リン脂質
及びフィブリノ−ゲンを添加し、凝固までの時間を測定
する方法であって、ヘパリン又は低分子量ヘパリンの血
漿中濃度を測定するものである。この方法では、リン脂
質及びフィブリノ−ゲンを添加しているため、例えばこ
れらが低下している状態等の血漿中の実際の凝固活性を
測定するものではなく、血液中でATIIIと結合してい
るヘパリン又は低分子量ヘパリンの含量を測定するもの
である。
【0018】更に、上記ヘプテストでは、 ・リン脂質は濁っているため、濁度変化による検出はで
きない(濁度変化では測定できない)、 ・リン脂質は、一般に動物の脳からの抽出物が用いられ
るが、これでは一定の品質を得るのが難しく、また比較
的高価である、 ・活性型血液凝固第X因子とリン脂質試薬の組み合わせ
によって、測定時間が一定の数値となるよう組み合わせ
ているため、品質が一定になるように該試薬を製造する
のは工程管理が煩雑である、 などの欠点、問題点を有している。
【0019】前記(6)のAPTT法は、“血漿を用いる測定
法”であり、血漿にAPTT試薬(接触因子活性化剤+リン
脂質)を添加し、塩化カルシウムを加えて凝固するまで
の時間(秒)を測定する方法である。この接触因子活性
化剤(例:カオリン、セライト、エラジン酸)により接
触因子を十分に活性化して凝固を開始させ、リン脂質と
Ca2+の添加によりトロンビンを産生させる。このトロ
ンビンの作用は、フィブリノーゲンをフィブリンに転化
させ、これにより血漿を凝固させるものである(後記図
1に基づく「血液凝固作用」参照)。
【0020】このAPTT法は抗トロンビン活性を強く反映
するため、抗トロンビン活性の弱い低分子量ヘパリンの
臨床使用量ではAPTT時間の延長が殆ど認められない。こ
のため、APTTを指標として低分子量ヘパリンの投与量を
コントロールすることは困難である。
【0021】抗トロンビン活性とは異なる作用で血液凝
固を阻害する薬剤を使用する場合、その抗凝固能を検査
(測定)する方法として、抗トロンビン活性を強く反映す
る例えばAPTTのような測定方法での評価は、その薬剤の
効果を正確に測定し得ないものである。
【0022】前記(7)の本発明者等による既提案の方法
では、本発明者等のその後の研究の結果、全血を用いる
が故にこれも測定精度などの点で種々の問題点が存する
ことを見出した。即ち、 ・多検体の同時測定が困難であり、標準曲線の作成が極
めて難しい、 ・緊急を要さない検体であっても、採血後1〜2日の保
存が限度であり、更に、高精度の測定を行う場合には、
採血直後の測定が望ましく、凍結による長期保存は不可
能である、 ・自動化測定には制限がある、 など体外診断用薬品として開発するためには、種々の問
題のあることが明らかになってきた。
【0023】また、従来、血液凝固阻止剤は最終的に血
液凝固を抑制することで目的が達成されるため、例えば
前記(1)のリ−・ホワイト法や前記(6)のAPTT法により評
価されているが、これらの測定方法は、一部の凝固因子
に対する抑制作用を強く反映するものの、個別の凝固因
子に対する抑制作用を検査する方法ではない。そして、
凝固系に対する影響を詳細に検討する手段については、
これまで知られていない。 近年、凝固系の解明が進む
と共に新しいタイプの血液凝固阻止剤が開発されている
が、その凝固能に対する効果については、前記したよう
な測定手段を適宜設定して評価しているところである。
【0024】また、血液凝固阻止剤の作用点及び効果を
単純な系で系統的に評価する方法及び血液凝固因子への
影響についての画一的で簡易な評価方法は、これまで知
られていないため、従来、血液凝固阻止剤の各凝固因子
に対する影響を調べるためには、適宜測定手段を選択・
検討して実施されており、その都度具体的な測定条件な
どを設定しなければならなかった。
【0025】そこで、本発明者等は、第1に、上記不都
合を解消し、主として血液凝固阻止剤が各種の凝固因子
へ及ぼす影響について相対比較することが可能な手段に
ついて鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成したもので
あって、本発明の第1の目的は、 ・血液凝固阻止剤が各血液凝固因子に及ぼす影響を個別
に、同一方法で簡易に評価し得ること、 ・同様な方法を用いることにより血液凝固阻止剤が各種
の凝固因子へ及ぼす影響について相対比較することがで
きること、 ・血液凝固阻止剤の特異的作用点を確認した後において
は、その作用点における抑制効果を測定することによ
り、当該血液凝固阻止剤の血中濃度を測定することを可
能とすること、 を意図した血液凝固能測定用(検査用)試薬及び血液凝固
能の測定(検査)方法を提供することにある。
【0026】また、本発明者等は、第2に、同様な方法
を用いることにより、主として体外診断用薬品として好
適な血液凝固能検査用試薬及び血液凝固能の検査方法に
ついて鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成したもので
あって、本発明の第2の目的は、 ・血液の凝固能又は抗凝固能を精度良く測定できるこ
と、 ・測定に際して添加する血液凝固因子を抑制する作用を
測定すること、 ・低分子量ヘパリンの抗Xa活性についても測定可能で
あること、 ・凝固までの時間を測定する装置として、市販の自動血
液凝固能測定装置を使用し得ること、 を意図した血液凝固能検査用試薬及び血液凝固能の検査
方法を提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】そして、本発明は、血漿
を用い、この血漿に血液凝固因子及び遊離カルシウム供
与体を添加して、“血漿凝固時間の測定”を行うことを
特徴とし、これにより前記第1及び第2の目的をともに
達成したものである。
【0028】本発明において、血液中に投与された血液
凝固阻止剤の作用を調べる場合には、測定時に添加する
血液凝固因子の一種又は複数種を選択し、これらを適宜
組み合わせて、或いは複数回の測定を実施することによ
り、血液凝固阻止剤の凝固因子に及ぼす影響を相対的に
比較することが可能となる。また、本発明において、抗
血液凝固剤の使用時における血液凝固能を検査する場合
においては、投与された血液凝固阻止剤の作用点に合わ
せて添加する血液凝固因子を選択することで、当該抗凝
固能を測定することできる。
【0029】以下、本発明について、血液凝固阻止剤の
特異的作用点に対する抑制効果の測定を、低分子量ヘパ
リン及びヘパリンが作用する血液凝固系の作用点の違い
と血液凝固時間延長効果とを比較しながら測定する場合
を例に挙げて説明する。しかしながら、本発明における
測定は、この低分子量ヘパリン及びヘパリンにのみ限定
されるものではなく、その他例えばクマリン系薬剤やメ
シル酸ナファモスタット、メシル酸ガベキサートの蛋白
分解酵素阻害剤などの血液凝固阻止剤に対する検査にも
利用でき、これらの測定も本発明に包含されるものであ
る。
【0030】更に、本発明は、血液凝固阻止剤を使用し
ない場合の健常人に対する血液凝固能を測定する場合に
も適用でき、各種の血液凝固因子に対する抑制効果を測
定することができ、これも本発明に包含されるものであ
る。
【0031】低分子量ヘパリン(LMWH)は、ヘパリンと分
子サイズが異なるのみで基本構造が同じであり、そのた
め従来のヘパリンに対するモニタ−法が用いられている
が、感度の点で必ずしも適切とはいえない。例えば従来
のヘパリンに対するモニタ−法として知られているリー
・ホワイト法、全血活性部分トロンボプラスチン時間法
などを低分子量ヘパリンのモニタリングに利用した場
合、該モニタ−法により得られる測定値は、いずれも抗
トロンビン作用を強く反映して延長するものであり、抗
トロンビン作用が弱く抗Xa作用によって抗凝固作用を
発現する低分子量ヘパリン(特に分子量が5400以下のも
のが非常に多く含まれている低分子量ヘパリン)の使用
時の検査においては、効果発現が殆どないため不適当な
作用を測定することになり、適切なモニタ−法とは言い
難い。
【0032】ここでヘパリンと低分子量ヘパリンとの抗
血液凝固能に対する相違を図2及び図3に基づいて説明
する。この説明に先立って、まず“血液凝固作用”につ
いて説明すると、近年血液凝固系の解明が進んでおり、
それによれば、(1)内因系の凝固機転及び(2)外因系の凝
固機転に大別して説明されている。
【0033】(1)の内因系の凝固は、XII因子の活性化に
始まり次々に凝固因子を活性化し、X因子の活性化を通
じ血液凝固が完成するとされている。一方、(2)の外因
系の凝固は、組織トロンボプラスチンが必須であり、こ
の組織トロンボプラスチンは、血管壁の平滑筋細胞や繊
維芽細胞に認められ、通常細胞内に存在する。血管の切
断等により膜が損傷すると組織トロンボプラスチンが露
出し、VII因子の活性化を通じX因子の活性化を介しプ
ロトロンビン(II)をトロンビン(IIa)への活性化、フィ
ブリノーゲンのフィブリンへの変換を通じ血液凝固が完
成する。
【0034】この“血液凝固作用”を端的にいえば、
「血液凝固」とは、フィブリノーゲンがフィブリンに転
化することをいい、そこには活性なトロンビン(IIa)が
作用している。プロトロンビン(II)の活性なトロンビン
(IIa)への転化には、活性化された血液凝固第X因子(X
a)が関与する。
【0035】血液凝固の作用機序は、次々に活性化し得
る多数の血液凝固因子(XII、XI、IX、X及びII等)が、活
性化された多数の血液凝固因子(XIIa、XIa、IXa、Xa及
びIIa等)と複雑に関与している。また、これらにはカル
シウムイオン(Ca2+)やリン脂質(PL)なども関与して
いる。
【0036】図1に血液凝固系の主な作用機序を模式的
に示すが、活性型血液凝固第IX因子は、カルシウムイオ
ン(Ca2+)、リン脂質(PL)及び活性型血液凝固第VIII
因子等と共に血液凝固第X因子を活性化する。活性化さ
れた血液凝固第X因子は、カルシウムイオン(Ca2+)、
リン脂質(PL)及び活性型血液凝固第V因子等と共に血
液凝固第II因子(プロトロンビン)を活性化する。活性化
された血液凝固第II因子(トロンビン:IIa)の作用によ
りフィブリノーゲンがフィブリンに転化し、血液の凝固
が起こる。
【0037】ここで、上記した血液の凝固を阻止する一
手段として、ヘパリンや低分子量ヘパリンの使用が挙げ
られる。このうち、ヘパリンの代表的な作用としては、
プロトロンビンのトロンビンへの活性化阻害(抗トロン
ビン活性:抗IIa活性)と抗Xa活性が挙げられる。これを
図2を参照して説明する。なお、図2は、活性型血液凝
固第X因子(Xa)又はトロンビン(IIa)とヘパリン(H)及び
アンチトロンビンIII(ATIII)との結合を模式的に表し
た図である。
【0038】ところで、ヘパリンが血液凝固因子を阻害
するためには、ATIIIとの複合体を形成することが重
要であるとされている(Chan V et al:Haemostasis 8,37
3-389,1979参照)。また、ヘパリンがATIIIと複合体を
形成するための最小結合単位は、特異構造を有するペン
タサッカライド(分子量として約1500)であるといわれて
いる(Thunberg Let al:Carbohydr Res 100,393-410,198
2参照)。
【0039】図2のaに示すように、ヘパリンが活性型
血液凝固第X因子を阻害(抗Xa活性)するには、ヘパリン
がATIIIとの複合体を形成し、複合体のATIIIがXaと
結合することで起こる。
【0040】一方、図2のcに示すように、ヘパリンが
トロンビン(IIa)を不活性化するためには、複合体のA
TIIIとIIaとの結合の他にヘパリンとIIaとの直接的な
結合も必要とされており、そのためには18モノサッカラ
イド単位(分子量として約5400)が必要である(Lane DA e
t al: Biochem J218,725-732,1984参照)。また、図2の
bに示すように、18モノサッカライド単位を持ちATII
Iと複合体を形成しIIaと結合し得るヘパリン糖鎖の複合
体のATIIIが活性型血液凝固第X因子(Xa)を抑制する
場合もある。
【0041】図3はヘパリン、低分子量ヘパリンの分子
量分布を表わした図である。前記したように、Xaを抑制
するためにはATIIIと結合する特異構造を有するペン
タサッカライド(分子量として約1500)が必要であり、一
方、トロンビン活性を抑制するためには特定18モノサッ
カライド(分子量約5400)を有しなければならない。低分
子量ヘパリンは、図3に示すように、分子サイズから言
えばヘパリンに比して抗トロンビン活性(抗IIa活性)を
持ち得る分子が著しく少ないことが明らかである。
【0042】このように、分子サイズの大きいヘパリン
は、活性型血液凝固第X因子(Xa)及びトロンビン(IIa)
の両者を抑制するのに対し、分子サイズの小さい低分子
量ヘパリンは、主としてXaのみを抑制する。最近の研究
では、凝固系に影響を及ぼす要因の1つとして、血中に
存在しATIIIと同様にヘパリンのCofactorとして働くT
FPI(tissue factor pathway inhibitor)が知られ、注目
されている。
【0043】従来のリー・ホワイト法、活性部分トロン
ボプラスチン時間法は、抗トロンビン活性を強く反映す
るものである。ヘパリンにおける抗Xa活性/抗IIa活性
比は約1であり、ヘパリン使用時における抗血液凝固能
はどちらの測定方法でも同様に反映される。しかしなが
ら、抗IIa活性に比して抗Xa活性が高い低分子量ヘパリ
ンのモニタリングは、抗Xa活性をみる方法でなければな
らない(図3参照)。
【0044】本発明にかかる血液凝固能測定用(検査
用)試薬及び血液凝固能の測定(検査)方法は、上記し
たように、特に抗Xa活性の測定を可能にすることから低
分子量ヘパリンの測定(検査)に有効に適用することが
できる。
【0045】本発明において、血液凝固因子としては、 ・活性型血液凝固第IX因子(IXa)、 ・活性型血液凝固第X因子(Xa)、 ・活性型血液凝固第XI因子(XIa)、 ・活性型血液凝固第XII因子(XIIa)、 ・活性型血液凝固第II因子(IIa)、 などを使用し、この血液凝固因子を単独で又はそれらを
組合わせて用いることができる。このような血液凝固因
子を用いることにより凝固塊の形成をより明確に確認す
ることができる。
【0046】本発明において、血液凝固阻止剤の使用時
における血液凝固能を検査する場合、この使用する血液
凝固阻止剤の作用点に合わせて添加する活性型血液凝固
因子を選択することにより当該抗凝固能を測定すること
ができる。
【0047】また、本発明では、添加する活性型血液凝
固因子を組み合わせて又は何種類かの因子を使用して測
定することにより、薬剤の作用点を調べる場合に使用す
ることができる。
【0048】ところで、血液凝固阻止剤の総合評価を行
うためには、各血液凝固因子に対する測定手段を統一す
ることが必要であるが、本発明では、これが可能であ
り、そのため、評価基準を同一とすることができ、ま
た、測定手段の相違に基づく測定誤差を解消することが
できる。更に詳しくは、本発明では、特定の血液凝固阻
止剤について、健常人血漿、特定の凝固因子及び遊離カ
ルシウム供与体を用いて凝固時間を測定することによ
り、この血液凝固阻止剤の該血液凝固因子に対する抑制
作用の強さを測定することができる。
【0049】同様に、同一の血液凝固阻止剤を用い、上
記以外の血液凝固因子を用いて凝固時間を測定すること
により、該血液凝固阻止剤の該血液凝固因子に対する抑
制作用の強さを測定することができる。このように同一
血液凝固阻止剤について、種々の血液凝固因子への影響
を調べることにより、当該血液凝固阻止剤の作用点及び
その強さを知ることができる。また、当該血液凝固阻止
剤を血液中に投与し、投与後の一定時間毎に採血してそ
の血漿を特定の凝固因子を用いて凝固時間を測定するこ
とにより、当該血液凝固阻止剤の効果の持続程度を知る
ことができる。
【0050】本発明によれば、いずれの場合も、血液凝
固因子以外は同一反応系を用いるものであるから、評価
基準が同一で、測定方法の相違に基づく測定誤差を解消
することができ、各血液凝固因子間、各血液凝固阻止剤
間の測定結果を客観的に相対評価することが可能とな
る。
【0051】本発明で用いる遊離カルシウム供与体とし
ては、 ・塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム
等のハロゲン化カルシウム、 ・リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウ
ム、重炭酸カルシウム等の無機酸カルシウム塩、 ・蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、アルギン酸、乳
酸、グルコン酸、グリセリン酸、グリセロリン酸等の有
機酸のカルシウム塩、 などのカルシウム化合物を挙げることができる。
【0052】本発明において、上記血液凝固因子(IXa、
Xa、XIa、XIIa、IIa)の1種又は2種以上と上記遊離カ
ルシウム供与体の1種又は2種以上とを適宜組合わせて
使用することができる。また、低分子量ヘパリンの抗X
a活性を測定する場合には、活性型血液凝固第X因子(X
a)とCaCl2とを組合わせた薬剤の使用が特に好ましい。
血液凝固因子の添加量は、その種類や組み合せに関連
し、また、測定に使用する血漿液量、最終反応液量、遊
離カルシウム供与体の種類、その添加量及び検査に要す
る時間等によって変動する。
【0053】本発明で使用に供する血液凝固因子は、好
ましくは水溶液として添加される。この場合の水溶液の
pHは7〜9であることが望ましく、被験者の血液中の状態
をより反映されるよう血液pHの正常値であるpH7.4に近
い緩衝剤に溶解されていることが特に好ましい。使用で
きる緩衝剤としては、バルビタ−ル-酢酸塩緩衝液、イ
ミダゾ−ル緩衝食塩水(IBS)、ベロナ−ル緩衝液、リン
酸緩衝液、リン酸塩-クエン酸塩-アルブミン緩衝液(PC
A)、トリス-塩酸緩衝液、トリス-マレイン酸緩衝液など
を挙げることができる。
【0054】この種の緩衝剤は、前記したとおり、血液
凝固因子を溶解して使用する以外に、本発明で使用に供
する遊離カルシウム供与体を溶解して、あるいは血液凝
固因子と遊離カルシウム供与体の両者を溶解して使用す
ることができる。
【0055】血液が凝固するまでの時間を測定する方法
(凝固終点の観察方法)としては、 (1) 磁石による検出:血液凝固を物理的に検出する方
法。検体内でスチ−ルボ−ルを磁石で移動させ、このス
チ−ルボ−ルは、フィブリン塊の生成により移動しなく
なる。 (2) 濁度変化による検出:凝固時の濁度変化を検出する
方法。フィブリンの発生により検体は不透明となる。 (3) 用手法:フィブリンの発生時期を目視により測定す
る方法。スチ−ルコイルを使用すると、終点は格段に分
り易くなるため、通常に使用されている。 (4) 合成基質法:フィブリノ−ゲン様基質を用い、トロ
ンビンの酵素作用により変化した基質の発色又は蛍色を
検出する方法。 が知られている。
【0056】本発明においては、各種の自動凝固測定装
置を用いることができるが、例えば上記(1)の血液凝固
の物理的検出方法、上記(2)の凝固時の濁度変化検出方
式による自動分析装置を使用するのが好ましい。現在、
一般に使用されている自動凝固能測定装置の検出方法と
しては、上記した2種類がその殆どを占めており、これ
らの自動分析装置も使用することができる。このような
自動分析装置を用いることにより、人手を煩わすことな
く多数の検体を一度に客観的に測定することができる。
【0057】本発明では、採血した血液を遠心分離し、
得られた血漿を対象とするものであるが、採血に際して
溶液又は粉末の抗凝固剤を用いるのが好ましい。例えば
注射筒などの採血用器具に抗凝固剤を予め入れておき、
これで血液を採取するか、あるいは、抗凝固剤を含まな
い注射筒などの採血用器具を用いて採血し、次いで、予
め抗凝固剤を添加した試験管などの容器に注入する手段
を採用するのが好ましい。
【0058】上記の抗凝固剤としては、クエン酸ナトリ
ウム又はカリウム、シュウ酸ナトリウム又はカリウム、
ACD(Acid Citrate Dextrose)、エチレンジアミンテ
トラ酢酸(EDTA)塩などを挙げることができる。このよう
な抗凝固剤は、粉末、凍結乾燥品、水溶液などの溶液と
して使用することができるが、既存の3.8%クエン酸ナ
トリウムを用いるのが容易に入手できることから好まし
い。この場合、血液9容に対してこの抗凝固剤1容とする
のが好ましい。
【0059】本発明における測定は血漿を用いることを
特徴とするが、精度良く測定を行うには、通常、血漿分
離後直ちに測定を実施する。しかしながら、血漿分離後
直ちに測定を実施しない場合は、検査まで4時間以内で
あれば2〜8℃で保存する。また、血漿分離後-20℃以下
で急速凍結して保存することにより2カ月程度の保存が
可能である。なお、この場合の測定時には37℃で急速解
凍して検査に供する。
【0060】上記範囲内であれば、採血直後血漿分離し
て直ちに測定を実施した場合と同様な精度での測定が可
能である。なお、全血を用いた場合の測定では、同様に
精度良く測定を行えるのは、実質的に採血直後だけであ
り、1〜2日の保存後では、ある程度の相関関係ある測定
は可能であるが、同様の精度での測定は困難である。
【0061】ここで本発明の血液凝固能測定用(検査用)
試薬及び血液凝固能の測定(検査)方法“血漿凝固時間
(測定)”は、本発明者等の既開発の“全血凝固時間(測
定)”にかかる前記した特開平2−71154号公報及び特開
平3−67173号公報に記載の発明と対比すると、次の利点
を有している。
【0062】(1) 全血による測定では、例えば光学的検
出方法の血液凝固自動測定装置は使用できないが、本発
明では検出方法にとらわれることなく血液凝固自動測定
装置を使用することができる。 (2) 全血では1〜2日の保存しかできないが、本発明では
血漿を用いるものであるから、長期間にわたって保存で
きる上採血直後と同様な精度での測定が可能である。そ
のため、多チャンネルの自動血液凝固測定装置を使用
し、多検体を同時に測定できる。
【0063】(3) 全血では多検体の同時測定が困難であ
る。そのため、 ・検量線の作成が極めて難しい、 ・精度が悪い、 のに対し、本発明では、自動血液凝固測定装置による多
検体の同時測定が可能であり、そのため、 ・検量線の作成が容易である、 ・精度が良い、 という利点を有している。
【0064】(4) 既提案の全血を用いる測定法(特開平2
−71154号公報参照)では、約10秒おきに目視観察する必
要があるが、本発明では自動測定装置の使用により0.1
秒単位での測定が可能である。 (5) 目視観察での検出にはある程度の液量が必要であ
り、測定のために少なくとも1ml程度が必要である。自
動血液凝固測定装置の使用により、目視観察による検査
に比して少ない検体量で済む利点を有し、多数の採血を
要する場合の患者にかける負担を軽減することができ
る。 (6) 目視観察での検出では、自動血液凝固測定装置によ
る検出に比してある程度高強度のフィブリン塊が必要で
ある。自動血液凝固測定装置では、添加する試薬容量を
多くすることができ、試薬添加量の誤差を押さえること
ができる。 (7) 一般に、血液凝固系に影響を与えるものとして血小
板の活性がある。また、赤血球は粘度に影響を与えるこ
とから凝固時間に影響を与えると言われている。本発明
は、血漿で血液凝固に関する測定を行うことで、血小板
及び赤血球等の悪影響を除外している。
【0065】更に、“血漿を用いる測定法”である前記
したヘプテストと本発明とを対比すると、ヘプテスト
は、前記したとおり、リン脂質及びフィブリノ−ゲンを
添加する方法であるため、例えばこれらが低下している
状態等の血漿中の実際の凝固活性を測定するものではな
く、血液中でATIIIと結合しているヘパリン又は低分
子量ヘパリンの含量を測定するものである。これに対し
て、本発明では、リン脂質、フィブリノ−ゲンを添加し
ないため、採血された血漿サンプル中の実際の凝固活性
を測定するものであるから、患者の状態をより正確に知
ることができ、その後の治療(血液凝固阻止剤の追加又
は中和等)を正確に行うことができる。
【0066】
【実施例】次に、本発明の実施例に相当する低分子量ヘ
パリン(LMWH)及びヘパリンに対する実験例1〜5を挙
げ、本発明をより詳細に説明する。
【0067】(実験例1:Xa濃度の設定試験)血液凝固
因子として活性型血液凝固第Xa因子(Xa)を用い、このXa
濃度の適正値を設定するための実験を行った。
【0068】[材料及び測定方法] (1) 被験血漿 健常人(3例)及び安定期血液透析患者(9例)より、
3.8%クエン酸ナトリウムを抗凝固剤として採血した(血
液9容に対して抗凝固剤1容)。これを遠心分離し、得ら
れた血漿に低分子量ヘパリン(最終濃度:0〜0.8IU/ml:
低分子量ヘパリン国際単位)又はヘパリンナトリウム注
射液(0〜0.8単位/ml:日局ヘパリン単位)を添加した。
なお、低分子量ヘパリンとして“パルナパリンナトリウ
ム”を用いた。
【0069】(2) Xa試薬 Enzyme Research Laboratory(ERL)社製ウシ由来活性型
血液凝固第X因子(Xa)(Lot No.520)をbuffer(20mM Tris
-maleate buffer、5mg/ml BSA、pH7.5)に溶解して調整
した。Xa濃度は、0.4 unit/ml(ERL社のLot No.520の表
示単位)から始め、濃度を段階的に下げて行き、最適濃
度を検討した。 (3) CaCl2 0.025M CaCl2を予め37℃に加温して使用した。
【0070】(4) 測定方法 自動血液凝固測定装置“KC-10(Amelung)”のサンプルカ
ップに被験血漿100μlを分注し、それにXa試薬100μl
を添加した。次に、180秒後CaCl2 100μlを添加し(tim
e 0)、凝固するまでの時間を測定し、その結果を表1に
示す。また、添加する低分子量ヘパリン濃度と血液凝固
時間との関係を回帰分析(liner log)した結果を表2に
示す。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】(健常人血漿における検討−Xa濃度の設定
−)表1及び表2からみて、LMWH及びXaのいずれの濃度
範囲においても良好な相関関係が得られている。LMWHの
低濃度側でXaが高濃度の場合には、若干、濃度−凝固時
間の相関関係が弱い傾向がみられるが、相関係数に基づ
く一般的な測定精度の考え方からは、いずれの濃度範囲
においても適する測定法であると推定できる。特にXa
0.01 unit/mlでは、LMWH 0〜0.8 IU/mlの範囲で適度の
凝固時間延長及び良好な直線関係(liner-log plot)が得
られた。従って、これ以降の実験においては、Xa 0.01
unit/mlを用いて行った。
【0074】(実験例2:再現性試験)前記実験例1の
健常人に低分子量ヘパリン(LMWH)、ヘパリンを添加した
血漿を用いて再現性の検討を行った。それぞれ10回の測
定を行い、その結果を表3に示した。次の表3から明か
なように、いずれの検体においてもCVは2%未満であっ
た。
【0075】
【表3】
【0076】(実験例3:安定期血液透析患者における
試験:凝固時間の測定、凝固時間変化率)前記実験例
1、2により健常人における測定条件について設定し得
たので、それと同一測定条件、同一方法を採用し、実験
例1に記載した安定期血液透析患者9例の血漿を用いて
凝固時間の測定を行った。その測定結果を表4に示し、
低分子量ヘパリン無添加の場合を1とした凝固時間の変
化率を( )で付記した。また、先の健常人3例における
血漿を用い、同様に凝固時間の測定を行った。その測定
結果を表5に示し、同様の変化率を( )で付記した。
【0077】
【表4】
【0078】
【表5】
【0079】表4、5からみて、血液透析患者及び健常
人のいずれの血漿の場合も良好な測定結果を得ることが
確認できた。また、凝固時間の変化率からみても低分子
量ヘパリンの添加量に応じ濃度依存的に良好な結果が認
められた。
【0080】(実験例1〜3に対する評価)以上の実験
例1〜3から、次の事実が判明し、また、それを確認す
ることができた。 (A) 健常人の血漿を用い、自動凝固測定装置“KC-10”
による低分子量ヘパリン(LMWH)活性測定法の実験を行
い、LMWH 0〜0.8 IU/mlで良好な直線関係の得られる測
定条件を設定することができた(実験例1参照)。 (B) 同一検体について10回繰り返しの測定結果から、本
発明の再現性は良好であった(実験例2参照)。 (C) 血液透析患者及び健常人のいずれの血漿の場合も良
好な測定結果を得ることができた(実験例3参照)。
【0081】(実験例4:検出方法の相違による測定)
この実験例4では、他の一般的な検出方法である“凝固
時の濁度変化を検出する光学式の自動血液凝固測定装
置”を用いて凝固時間の測定を行った。
【0082】[材料及び測定方法] (1) Xa試薬 Enzyme Research Laboratory(ERL)社製ウシ第Xa因子100
units/vialを水 1 mlで再溶解した後、20 mM Tris-male
ate buffer containing 5 mg/ml BSA、pH7.5で希釈し、
0.01 unit/mlとして使用した。
【0083】(2) 低分子量ヘパリン(LMWH)添加血漿 正常管理血漿ベリハイ・ノ−マルシトレイト(オルガノ
ンテクニカ)に低分子量ヘパリンを添加し、0(無添加)、
0.2 IU/ml、0.4 IU/ml、0.6 IU/ml、0.8 IU/mlとした。 (3) CaCl2 0.025 M CaCl2を37℃で保温して使用した。
【0084】(4) 血液凝固能測定装置 濁度変化を検出する光学式自動血液凝固測定装置“Coag
Stat Super”(国際試薬製)を用いて測定した。また、
前記実験例1〜3で用いた自動血液凝固能測定装置“KC
-10”で同様に測定を行った。
【0085】(5) 測定方法 専用サンプルカップに被験血漿100μlを注入し、血液
凝固能測定装置にセットし、Xa試薬100μlを添加し、3
7℃で3分間保温した。次に、CaCl2 100μlを添加し(Ti
me 0)、凝固時間を測定した。測定は各検体について3回
行った。測定結果を表6(Coag Stat Superにより測定し
た血漿Xa凝固時間)及び表7(KC-10により測定した血漿X
a凝固時間)に示す。
【0086】
【表6】
【0087】
【表7】
【0088】表6から、光学式自動血液凝固能測定装置
“Coag Stat Super”による血液凝固時間は、低分子量
ヘパリン無添加血漿の場合、平均で66.03秒であった。
ヘパリン添加に対して血液凝固時間は添加濃度に依存し
て延長し、0.8 IU/mlでは205.13秒(3.1倍)となった。C
Vは4%未満であり、再現性は良好であった。
【0089】一方、表7から、スチールボール検出(血
液凝固能測定装置“KC-10”)による血液凝固時間は、
低分子量ヘパリン無添加血漿の場合、平均で71.43秒で
あった。ヘパリン添加に対して血液凝固時間は添加濃度
に依存して同様に延長し、0.8IU/mlでは411.60秒(5.8
倍)となった。CVは5%未満であり、同じく再現性は良好
であった。
【0090】図4にCoag Stat Superによる低分子量ヘ
パリン(LMWH)濃度−凝固時間作用曲線(liner-log curv
e)を、また、図5にKC-10による同様の曲線を示す。こ
の図4、5において、LMWH濃度をX軸、凝固時間をY軸
にとり、回帰分析した結果、いずれの自動血液凝固測定
装置における測定結果においても回帰の直線性が良好で
あった。
【0091】自動血液凝固能測定装置“KC-10”では、
検体にスチ−ルボ−ルを入れ、物理的凝固によりボ−ル
が移動するのを磁界センサ−でとらえる検出方法を採用
している。従って、フィブリン塊が生じてもそれが僅か
であったり、あるいは塊の強度が弱かったりした場合、
凝固として感知しないことが認められた。
【0092】これに対して光学式自動血液凝固測定装置
“Coag Stat Super”は、フィブリン塊生成時の検体の
濁度変化をとらえる検出方法を採用している。このタイ
プの装置は、強い溶血や乳びの血漿での測定が困難であ
るという問題がある。
【0093】KC-10では、LMWH無添加血漿の血漿Xa凝固
時間は71.43秒であり、LMWHの濃度に依存して延長し、
0.8 IU/mlでは5.8倍となった(表7参照)。一方、Coag S
tat Superでは、LMWH無添加血漿の測定結果は66.03秒で
あり、KC-10のそれに比して短かった。また、LMWH添加
による延長もKC-10に比して軽度であり、LMWH0.8 IU/ml
添加による延長は3.1倍であった(表6参照)。
【0094】以上のように、Coag Stat SuperではKC-10
に比して測定結果の絶対値及び変化率が小さく、これは
検出手段の相違によるものと推測することができる。即
ち、濁度変化の方がわずかなフイブリン塊の生成を凝固
ととらえるのに対して、磁界センサ−ではある程度強固
な塊をとらえることから生じたtime lagと考えられた。
以上のことから、本発明は検出方法に制限されることな
く一般的に使用されている自動血液凝固測定装置を使用
することができることが確認された。
【0095】(実験例5:カルシウム添加までの時間の
自由度確認試験)カルシウム添加までの時間の自由度を
確認するために、実験例5と同一検体を使用してXa試薬
を添加した後、カルシウム添加までの時間を150秒、180
秒、210秒及び240秒と変化させ、低分子量ヘパリン0.4
IU/mlを添加した正常管理血漿を用いて自動血液凝固測
定装置“KC-10”で測定を行った。その測定結果を表8
に示す。
【0096】
【表8】
【0097】表8から、測定開始(カルシウム添加)時
点を変化させて測定を行っても、測定値に大きな差はな
く、測定開始時点に制限されず、容易に精度の高い測定
をし得ることが確認された。
【0098】
【発明の効果】本発明は、以上詳記したように、血漿を
用い、この血漿に血液凝固因子及び遊離カルシウム供与
体を添加して、いわゆる“血漿凝固時間の測定”を行う
ことを特徴とし、血液凝固因子以外は同一の反応系を用
いて、各血液凝固因子間、各血液凝固阻止剤間の測定結
果を、同一の評価基準により客観的に相対評価すること
ができ、血液凝固因子の示す各作用点における作用を測
定することができるという顕著な効果が生じる。また、
本発明では、測定したい作用点の血液凝固因子を使用す
ることで、その作用を測定することができ、特に、従来
測定し得なかったヘパリン及び低分子ヘパリンの抗Xa
活性を同一の尺度で精度良く測定することができ、しか
も、多検体の同時測定が可能であり、該測定を自動的に
行うことができる等の顕著な効果が生じる。
【図面の簡単な説明】
【図1】血液凝固系の主な作用機序を示す図。
【図2】ヘパリンの血液凝固阻止作用を説明するための
模式図。
【図3】低分子量ヘパリン、ヘパリンの分子量の差に基
づく抗Xa活性、抗IIa活性に対する模式図。
【図4】Coag Stat SuperによるLMWH濃度−凝固時間作
用曲線(liner-log curve)を示す図。
【図5】KC-10によるLMWH濃度−凝固時間作用曲線(line
r-log curve)を示す図。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年7月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 血液凝固能検査用試薬及び血液凝固能
の検査方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血漿を用いて血液の凝
固能又は抗凝固能を測定する血液凝固能検査用(測定
用)試薬及び血液凝固能の検査(測定)方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に血液凝固能が亢進して速く凝固す
る場合例えば手術後に血栓を起こす恐れがあり、逆に血
液凝固能が抑制されてなかなか凝固しない場合には、手
術部位からの出血が長引く恐れがあり、いずれも生命に
危険を及ぼす。特に人工心肺等の機械を用いて手術を行
う場合又は人工透析を行う場合等のように血液を体外の
機械に流すいわゆる“体外循環”を行う場合、より一層
生命の危険が伴う。
【0003】この“体外循環”時に血液が凝固し易いの
で、予め血液中に又は循環血液中に例えばヘパリン(血
液凝固阻止剤)等を投与し、その凝固を防止している。
そして、この循環血液の凝固能を測定し、その測定値又
はその変動値をチェックし、検査(モニタリング)し、
血液凝固系の抑制又は亢進に伴う危険性を回避するよう
にしている。
【0004】このように血液の凝固能が適正な値である
か否かを検査(モニタリング)し、例えばヘパリンが大
量に投与され、血液凝固系の抑制が期待以上となり、出
血が止まらない恐れがある場合には、ヘパリンを硫酸プ
ロタミンで中和するなどの所要の処置がとられている。
また、人工透析のための体外循環施行中などにおいて、
循環血液のヘパリンによる血液凝固系の抑制が充分でな
い場合、回路内凝血が起こることがないように追加投与
するなどの所要の処置がとられている。
【0005】更に、初回の人工透析時に平均的投与量で
投与した場合、患者のヘパリンに対する感受性が高かっ
たり、或いは、透析経験が長い患者であっても事故等に
よる突然の手術や合併症により凝固系が抑制される場合
などが生じる。この際においても、上記のように個体差
(個人差)や体調等の変化を考慮して定期的に或いは必要
時に効果を検査し、適切な処置をとる必要がある。
【0006】また、ある種の疾患においては、凝固能の
亢進又は抑制状態が臨床所見としてみられる場合もあ
り、この際も血液凝固能を検査する必要が生じる。
【0007】血液の凝固能が適正な値であるか否かを測
定(検査)する方法としては、従来より“全血を用いる
測定法”である(1) リー・ホワイト(Lee-White)法、(2)
賦活凝固時間法、(3) 全血活性部分トロンボプラスチ
ン時間(WBAPTT)法、が知られている。
【0008】しかしながら、上記(1)のリー・ホワイト
法及び(2)の賦活凝固時間法は、全血を用いる方法であ
り、しかも抗凝固剤を用いない方法であるが故に、 ・採血後直ちに検査を実施しなければならず、検査時期
に融通性が悪く、検査時期が拘束される、 ・採血に時間がかかった場合、検査値に誤差が生じる、 などの問題点を有している。
【0009】また、上記(3)の全血活性部分トロンボプ
ラスチン時間法では、 ・操作が2段階であり、煩雑である、 ・測定操作において時間の正確さが検査値に影響するた
め、未熟練者の場合誤差が生じる、 などの問題点を有している。
【0010】本発明者等は、本発明以前に上述の問題点
を解決し、血液凝固能を迅速、簡便に検査する方法とし
て「抗凝固剤を加えた全血に凝固開始剤を添加し、凝固
を形成するまでの時間を測定する全血を用いた血液凝固
能の検査法」(特開平2−71154号公報)、及び、「簡易血
液凝固能検査用具」(特開平3−67173号公報)、を提案し
ている。この本発明者等による既提案の方法によれば、
採血時に抗凝固剤を用いるため、採血後の検体を一定期
間保存することができ、検査時期を任意に選択できる利
点を有するとしている。
【0011】前記したとおり、手術中又は人工透析中に
おける血液の凝固を防ぐため、一般にヘパリン、低分子
量ヘパリンが用いられているが、これ以外に血液凝固系
に作用する薬剤として、例えばメシル酸ナファモスタッ
ト、メシル酸ガベキサ−トの蛋白分解酵素阻害剤やアル
ガトロバンの合成抗トロンビン剤、あるいはクマリン系
薬剤などが知られており、いずれも作用機序の異なる薬
剤である。これらの薬剤中、ヘパリン、低分子量ヘパリ
ン、メシル酸ナファモスタット、メシル酸ガベキサ−ト
などは、人工透析等の体外循環施行時における体外循環
の凝固阻止あるいは血栓症等の治療の目的で使用されて
おり、アルガトロバンは、慢性動脈閉塞症の改善剤とし
て用いられている。また、クマリンは、経口抗血栓剤と
して使用されている。
【0012】そして、このような血液凝固系に作用する
薬剤、例えばヘパリン、低分子量ヘパリンを用いる場合
も、当然該薬剤の凝固効果を検査(測定)する必要があ
る。その理由は、前記したとおり、血液凝固系は個体差
(個人差)が大きく、そのため血液凝固系に作用する薬剤
の効果も各個体(各人)により著しく異なるからである。
【0013】血液凝固能を検査する際には、使用する血
液凝固阻止剤の血液凝固系に与える作用点が異なること
から、当然に、使用する各薬剤の作用点に適合した測定
方法を選択して測定する必要がある。
【0014】前記ヘパリン、低分子量ヘパリンに対する
抗凝固効果を測定(検査)する方法としては、前記した
方法(1)〜(3)以外に、さらに、(4) テストチ−ム「ヘパ
リン」(第一化学薬品社製)、(5) ヘプテスト(Heptest:
Haemachem,Inc.の登録商標)、(6) 活性部分トロンボプ
ラスチン時間(APTT)法、(7) 本発明者等による前記した
既提案による方法、が知られている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記
(1)のリー・ホワイト法、(2)の賦活凝固時間法及び(3)
の全血活性部分トロンボプラスチン時間法では、前記し
た問題点を有しており、その上、これらの測定値は抗ト
ロンビン活性を強く反映することから、例えば低分子量
ヘパリンのモニタ−法としては感度などの点で適切な方
法であるとは言えない。
【0016】また、前記(4)のテストチ−ム「ヘパリ
ン」は、ヘパリンの血漿総濃度を測定する方法であり、
詳細には過剰のアンチトロンビンIII(ATIII)を添加
し、これと構造的に結合し得るものを測定する方法であ
って、In vivoではこのATIIIと結合していない不活性
なものも含めた含量を測定する方法である。従って、こ
の方法では、血液中における実際の抗凝血活性を反映す
るものとは言えない。
【0017】前記(5)のヘプテストは、血漿に活性型血
液凝固第X因子(Xa)を添加し、さらにCa、リン脂質
及びフィブリノ−ゲンを添加し、凝固までの時間を測定
する方法であって、ヘパリン又は低分子量ヘパリンの血
漿中濃度を測定するものである。この方法では、リン脂
質及びフィブリノ−ゲンを添加しているため、例えばこ
れらが低下している状態等の血漿中の実際の凝固活性を
測定するものではなく、血液中でATIIIと結合してい
るヘパリン又は低分子量ヘパリンの含量を測定するもの
である。
【0018】更に、上記ヘプテストでは、 ・リン脂質は濁っているため、濁度変化による検出はで
きない(濁度変化では測定できない)、 ・リン脂質は、一般に動物の脳からの抽出物が用いられ
るが、これでは一定の品質を得るのが難しく、また比較
的高価である、 ・活性型血液凝固第X因子とリン脂質試薬の組み合わせ
によって、測定時間が一定の数値となるよう組み合わせ
ているため、品質が一定になるように該試薬を製造する
のは工程管理が煩雑である、 などの欠点、問題点を有している。
【0019】前記(6)のAPTT法は、“血漿を用いる測定
法”であり、血漿にAPTT試薬(接触因子活性化剤+リン
脂質)を添加し、塩化カルシウムを加えて凝固するまで
の時間(秒)を測定する方法である。この接触因子活性
化剤(例:カオリン、セライト、エラジン酸)により接
触因子を十分に活性化して凝固を開始させ、リン脂質と
Ca2+の添加によりトロンビンを産生させる。このトロ
ンビンの作用は、フィブリノーゲンをフィブリンに転化
させ、これにより血漿を凝固させるものである(後記図
1に基づく「血液凝固作用」参照)。
【0020】このAPTT法は抗トロンビン活性を強く反映
するため、抗トロンビン活性の弱い低分子量ヘパリンの
臨床使用量ではAPTT時間の延長が殆ど認められない。こ
のため、APTTを指標として低分子量ヘパリンの投与量を
コントロールすることは困難である。
【0021】抗トロンビン活性とは異なる作用で血液凝
固を阻害する薬剤を使用する場合、その抗凝固能を検査
(測定)する方法として、抗トロンビン活性を強く反映す
る例えばAPTTのような測定方法での評価は、その薬剤の
効果を正確に測定し得ないものである。
【0022】前記(7)の本発明者等による既提案の方法
では、本発明者等のその後の研究の結果、全血を用いる
が故にこれも測定精度などの点で種々の問題点が存する
ことを見出した。即ち、 ・多検体の同時測定が困難であり、標準曲線の作成が極
めて難しい、 ・緊急を要さない検体であっても、採血後1〜2日の保
存が限度であり、更に、高精度の測定を行う場合には、
採血直後の測定が望ましく、凍結による長期保存は不可
能である、 ・自動化測定には制限がある、 など体外診断用薬品として開発するためには、種々の問
題のあることが明らかになってきた。
【0023】また、従来、血液凝固阻止剤は最終的に血
液凝固を抑制することで目的が達成されるため、例えば
前記(1)のリ−・ホワイト法や前記(6)のAPTT法により評
価されているが、これらの測定方法は、一部の凝固因子
に対する抑制作用を強く反映するものの、個別の凝固因
子に対する抑制作用を検査する方法ではない。そして、
凝固系に対する影響を詳細に検討する手段については、
これまで知られていない。近年、凝固系の解明が進むと
共に新しいタイプの血液凝固阻止剤が開発されている
が、その凝固能に対する効果については、前記したよう
な測定手段を適宜設定して評価しているところである。
【0024】また、血液凝固阻止剤の作用点及び効果を
単純な系で系統的に評価する方法及び血液凝固因子への
影響についての画一的で簡易な評価方法は、これまで知
られていないため、従来、血液凝固阻止剤の各凝固因子
に対する影響を調べるためには、適宜測定手段を選択・
検討して実施されており、その都度具体的な測定条件な
どを設定しなければならなかった。
【0025】そこで、本発明者等は、第1に、上記不都
合を解消し、主として血液凝固阻止剤が各種の凝固因子
へ及ぼす影響について相対比較することが可能な手段に
ついて鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成したもので
あって、本発明の第1の目的は、 ・血液凝固阻止剤が各血液凝固因子に及ぼす影響を個別
に、同一方法で簡易に評価し得ること、 ・同様な方法を用いることにより血液凝固阻止剤が各種
の凝固因子へ及ぼす影響について相対比較することがで
きること、 ・血液凝固阻止剤の特異的作用点を確認した後において
は、その作用点における抑制効果を測定することによ
り、当該血液凝固阻止剤の血中濃度を測定することを可
能とすること、 を意図した血液凝固能測定用(検査用)試薬及び血液凝固
能の測定(検査)方法を提供することにある。
【0026】また、本発明者等は、第2に、同様な方法
を用いることにより、主として体外診断用薬品として好
適な血液凝固能検査用試薬及び血液凝固能の検査方法に
ついて鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成したもので
あって、本発明の第2の目的は、 ・血液の凝固能又は抗凝固能を精度良く測定できるこ
と、 ・測定に際して添加する血液凝固因子を抑制する作用を
測定すること、 ・低分子量ヘパリン、ヘパリン、又は、メシル酸ナファ
モスタット、メシル酸ガベキサ−トの蛋白分解酵素阻害
剤、あるいは、アルガトロバンの合成抗トロンビン剤、
クマリン系薬剤など抗凝固能を精度良く測定できるこ
と、 ・特に低分子量ヘパリンの抗Xa活性についても測定可
能であること、 ・凝固までの時間を測定する装置として、市販の自動血
液凝固能測定装置を使用し得ること、 を意図した血液凝固能検査用試薬及び血液凝固能の検査
方法を提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】そして、本発明は、血漿
を用い、この血漿に血液凝固因子及び遊離カルシウム供
与体を添加して、“血漿凝固時間の測定”を行うことを
特徴とし、これにより前記第1及び第2の目的をともに
達成したものである。
【0028】本発明において、血液中に投与された血液
凝固阻止剤の作用を調べる場合には、測定時に添加する
血液凝固因子の一種又は複数種を選択し、これらを適宜
組み合わせて、或いは複数回の測定を実施することによ
り、血液凝固阻止剤の凝固因子に及ぼす影響を相対的に
比較することが可能となる。また、本発明において、抗
血液凝固剤の使用時における血液凝固能を検査する場合
においては、投与された血液凝固阻止剤の作用点に合わ
せて添加する血液凝固因子を選択することで、当該抗凝
固能を測定することできる。
【0029】以下、本発明について、血液凝固阻止剤の
特異的作用点に対する抑制効果の測定を、低分子量ヘパ
リン及びヘパリンが作用する血液凝固系の作用点の違い
と血液凝固時間延長効果とを比較しながら測定する場合
を例に挙げて説明する。しかしながら、本発明における
測定は、この低分子量ヘパリン及びヘパリンにのみ限定
されるものではなく、その他例えばクマリン系薬剤やメ
シル酸ナファモスタット、メシル酸ガベキサートなどの
蛋白分解酵素阻害剤、アルガトロバンの合成抗トロンビ
ン剤などの血液凝固阻止剤に対する検査にも利用でき、
これらの測定も本発明に包含されるものである。
【0030】更に、本発明は、血液凝固阻止剤を使用し
ない場合の健常人に対する血液凝固能を測定する場合に
も適用でき、各種の血液凝固因子に対する抑制効果を測
定することができ、これも本発明に包含されるものであ
る。
【0031】低分子量ヘパリン(LMWH)は、ヘパリンと分
子サイズが異なるのみで基本構造が同じであり、そのた
め従来のヘパリンに対するモニタ−法が用いられている
が、感度の点で必ずしも適切とはいえない。例えば従来
のヘパリンに対するモニタ−法として知られているリー
・ホワイト法、全血活性部分トロンボプラスチン時間法
などを低分子量ヘパリンのモニタリングに利用した場
合、該モニタ−法により得られる測定値は、いずれも抗
トロンビン作用を強く反映して延長するものであり、抗
トロンビン作用が弱く抗Xa作用によって抗凝固作用を
発現する低分子量ヘパリン(特に分子量が5400以下のも
のが非常に多く含まれている低分子量ヘパリン)の使用
時の検査においては、効果発現が殆どないため不適当な
作用を測定することになり、適切なモニタ−法とは言い
難い。
【0032】ここでヘパリンと低分子量ヘパリンとの抗
血液凝固能に対する相違を図2及び図3に基づいて説明
する。この説明に先立って、まず“血液凝固作用”につ
いて説明すると、近年血液凝固系の解明が進んでおり、
それによれば、(1)内因系の凝固機転及び(2)外因系の凝
固機転に大別して説明されている。
【0033】(1)の内因系の凝固は、XII因子の活性化に
始まり次々に凝固因子を活性化し、X因子の活性化を通
じ血液凝固が完成するとされている。一方、(2)の外因
系の凝固は、組織トロンボプラスチンが必須であり、こ
の組織トロンボプラスチンは、血管壁の平滑筋細胞や繊
維芽細胞に認められ、通常細胞内に存在する。血管の切
断等により膜が損傷すると組織トロンボプラスチンが露
出し、VII因子の活性化を通じX因子の活性化を介しプ
ロトロンビン(II)をトロンビン(IIa)への活性化、フィ
ブリノーゲンのフィブリンへの変換を通じ血液凝固が完
成する。
【0034】この“血液凝固作用”を端的にいえば、
「血液凝固」とは、フィブリノーゲンがフィブリンに転
化することをいい、そこには活性なトロンビン(IIa)が
作用している。プロトロンビン(II)の活性なトロンビン
(IIa)への転化には、活性化された血液凝固第X因子(X
a)が関与する。
【0035】血液凝固の作用機序は、次々に活性化し得
る多数の血液凝固因子(XII、XI、IX、X及びII等)が、活
性化された多数の血液凝固因子(XIIa、XIa、IXa、Xa及
びIIa等)と複雑に関与している。また、これらにはカル
シウムイオン(Ca2+)やリン脂質(PL)なども関与して
いる。
【0036】図1に血液凝固系の主な作用機序を模式的
に示すが、活性型血液凝固第IX因子は、カルシウムイオ
ン(Ca2+)、リン脂質(PL)及び活性型血液凝固第VIII
因子等と共に血液凝固第X因子を活性化する。活性化さ
れた血液凝固第X因子は、カルシウムイオン(Ca2+)、
リン脂質(PL)及び活性型血液凝固第V因子等と共に血
液凝固第II因子(プロトロンビン)を活性化する。活性化
された血液凝固第II因子(トロンビン:IIa)の作用によ
りフィブリノーゲンがフィブリンに転化し、血液の凝固
が起こる。
【0037】ここで、上記した血液の凝固を阻止する一
手段として、ヘパリンや低分子量ヘパリンの使用が挙げ
られる。このうち、ヘパリンの代表的な作用としては、
プロトロンビンのトロンビンへの活性化阻害(抗トロン
ビン活性:抗IIa活性)と抗Xa活性が挙げられる。これを
図2を参照して説明する。なお、図2は、活性型血液凝
固第X因子(Xa)又はトロンビン(IIa)とヘパリン(H)及び
アンチトロンビンIII(ATIII)との結合を模式的に表し
た図である。
【0038】ところで、ヘパリンが血液凝固因子を阻害
するためには、ATIIIとの複合体を形成することが重
要であるとされている(Chan V et al:Haemostasis 8,37
3-389,1979参照)。また、ヘパリンがATIIIと複合体を
形成するための最小結合単位は、特異構造を有するペン
タサッカライド(分子量として約1500)であるといわれて
いる(Thunberg Let al:Carbohydr Res 100,393-410,198
2参照)。
【0039】図2のaに示すように、ヘパリンが活性型
血液凝固第X因子を阻害(抗Xa活性)するには、ヘパリン
がATIIIとの複合体を形成し、複合体のATIIIがXaと
結合することで起こる。
【0040】一方、図2のcに示すように、ヘパリンが
トロンビン(IIa)を不活性化するためには、複合体のA
TIIIとIIaとの結合の他にヘパリンとIIaとの直接的な
結合も必要とされており、そのためには18モノサッカラ
イド単位(分子量として約5400)が必要である(Lane DA e
t al: Biochem J218,725-732,1984参照)。また、図2の
bに示すように、18モノサッカライド単位を持ちATII
Iと複合体を形成しIIaと結合し得るヘパリン糖鎖の複合
体のATIIIが活性型血液凝固第X因子(Xa)を抑制する
場合もある。
【0041】図3はヘパリン、低分子量ヘパリンの分子
量分布を表わした図である。前記したように、Xaを抑制
するためにはATIIIと結合する特異構造を有するペン
タサッカライド(分子量として約1500)が必要であり、一
方、トロンビン活性を抑制するためには特定18モノサッ
カライド(分子量約5400)を有しなければならない。低分
子量ヘパリンは、図3に示すように、分子サイズから言
えばヘパリンに比して抗トロンビン活性(抗IIa活性)を
持ち得る分子が著しく少ないことが明らかである。
【0042】このように、分子サイズの大きいヘパリン
は、活性型血液凝固第X因子(Xa)及びトロンビン(IIa)
の両者を抑制するのに対し、分子サイズの小さい低分子
量ヘパリンは、主としてXaのみを抑制する。最近の研究
では、凝固系に影響を及ぼす要因の1つとして、血中に
存在しATIIIと同様にヘパリンのCofactorとして働くT
FPI(tissue factor pathway inhibitor)が知られ、注目
されている。
【0043】従来のリー・ホワイト法、活性部分トロン
ボプラスチン時間法は、抗トロンビン活性を強く反映す
るものである。ヘパリンにおける抗Xa活性/抗IIa活性
比は約1であり、ヘパリン使用時における抗血液凝固能
はどちらの測定方法でも同様に反映される。しかしなが
ら、抗IIa活性に比して抗Xa活性が高い低分子量ヘパリ
ンのモニタリングは、抗Xa活性をみる方法でなければな
らない(図3参照)。
【0044】本発明にかかる血液凝固能測定用(検査
用)試薬及び血液凝固能の測定(検査)方法は、上記し
たように、特に抗Xa活性の測定を可能にすることから低
分子量ヘパリンの測定(検査)に有効に適用することが
できる。
【0045】本発明において、血液凝固因子としては、 ・活性型血液凝固第IX因子(IXa)、 ・活性型血液凝固第X因子(Xa)、 ・活性型血液凝固第XI因子(XIa)、 ・活性型血液凝固第XII因子(XIIa)、 ・活性型血液凝固第II因子(IIa)、 などを使用し、この血液凝固因子を単独で又はそれらを
組合わせて用いることができる。このような血液凝固因
子を用いることにより凝固塊の形成をより明確に確認す
ることができる。
【0046】本発明において、血液凝固阻止剤の使用時
における血液凝固能を検査する場合、この使用する血液
凝固阻止剤の作用点に合わせて添加する活性型血液凝固
因子を選択することにより当該抗凝固能を測定すること
ができる。
【0047】また、本発明では、添加する活性型血液凝
固因子を組み合わせて又は何種類かの因子を使用して測
定することにより、薬剤の作用点を調べる場合に使用す
ることができる。
【0048】ところで、血液凝固阻止剤の総合評価を行
うためには、各血液凝固因子に対する測定手段を統一す
ることが必要であるが、本発明では、これが可能であ
り、そのため、評価基準を同一とすることができ、ま
た、測定手段の相違に基づく測定誤差を解消することが
できる。更に詳しくは、本発明では、特定の血液凝固阻
止剤について、健常人血漿、特定の凝固因子及び遊離カ
ルシウム供与体を用いて凝固時間を測定することによ
り、この血液凝固阻止剤の該血液凝固因子に対する抑制
作用の強さを測定することができる。
【0049】同様に、同一の血液凝固阻止剤を用い、上
記以外の血液凝固因子を用いて凝固時間を測定すること
により、該血液凝固阻止剤の該血液凝固因子に対する抑
制作用の強さを測定することができる。このように同一
血液凝固阻止剤について、種々の血液凝固因子への影響
を調べることにより、当該血液凝固阻止剤の作用点及び
その強さを知ることができる。また、当該血液凝固阻止
剤を血液中に投与し、投与後の一定時間毎に採血してそ
の血漿を特定の凝固因子を用いて凝固時間を測定するこ
とにより、当該血液凝固阻止剤の効果の持続程度を知る
ことができる。
【0050】本発明によれば、いずれの場合も、血液凝
固因子以外は同一反応系を用いるものであるから、評価
基準が同一で、測定方法の相違に基づく測定誤差を解消
することができ、各血液凝固因子間、各血液凝固阻止剤
間の測定結果を客観的に相対評価することが可能とな
る。
【0051】本発明で用いる遊離カルシウム供与体とし
ては、 ・塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム
等のハロゲン化カルシウム、 ・リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウ
ム、重炭酸カルシウム等の無機酸カルシウム塩、 ・蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、アルギン酸、乳
酸、グルコン酸、グリセリン酸、グリセロリン酸等の有
機酸のカルシウム塩、 などのカルシウム化合物を挙げることができる。
【0052】本発明において、上記血液凝固因子(IXa、
Xa、XIa、XIIa、IIa)の1種又は2種以上と上記遊離カ
ルシウム供与体の1種又は2種以上とを適宜組合わせて
使用することができる。また、低分子量ヘパリンの抗X
a活性を測定する場合には、活性型血液凝固第X因子(X
a)とCaCl2とを組合わせた薬剤の使用が特に好ましい。
血液凝固因子の添加量は、その種類や組み合せに関連
し、また、測定に使用する血漿液量、最終反応液量、遊
離カルシウム供与体の種類、その添加量及び検査に要す
る時間等によって変動する。
【0053】本発明で使用に供する血液凝固因子は、好
ましくは水溶液として添加される。この場合の水溶液の
pHは7〜9であることが望ましく、被験者の血液中の状態
をより反映されるよう血液pHの正常値であるpH7.4に近
い緩衝剤に溶解されていることが特に好ましい。使用で
きる緩衝剤としては、バルビタ−ル-酢酸塩緩衝液、イ
ミダゾ−ル緩衝食塩水(IBS)、ベロナ−ル緩衝液、リン
酸緩衝液、リン酸塩-クエン酸塩-アルブミン緩衝液(PC
A)、トリス-塩酸緩衝液、トリス-マレイン酸緩衝液など
を挙げることができる。
【0054】この種の緩衝剤は、前記したとおり、血液
凝固因子を溶解して使用する以外に、本発明で使用に供
する遊離カルシウム供与体を溶解して、あるいは血液凝
固因子と遊離カルシウム供与体の両者を溶解して使用す
ることができる。
【0055】血液が凝固するまでの時間を測定する方法
(凝固終点の観察方法)としては、 (1) 磁石による検出:血液凝固を物理的に検出する方
法。検体内でスチ−ルボ−ルを磁石で移動させ、このス
チ−ルボ−ルは、フィブリン塊の生成により移動しなく
なる。 (2) 濁度変化による検出:凝固時の濁度変化を検出する
方法。フィブリンの発生により検体は不透明となる。 (3) 用手法:フィブリンの発生時期を目視により測定す
る方法。スチ−ルコイルを使用すると、終点は格段に分
り易くなるため、通常に使用されている。 (4) 合成基質法:フィブリノ−ゲン様基質を用い、トロ
ンビンの酵素作用により変化した基質の発色又は蛍色を
検出する方法。 が知られている。
【0056】本発明においては、各種の自動凝固測定装
置を用いることができるが、例えば上記(1)の血液凝固
の物理的検出方法、上記(2)の凝固時の濁度変化検出方
式による自動分析装置を使用するのが好ましい。現在、
一般に使用されている自動凝固能測定装置の検出方法と
しては、上記した2種類がその殆どを占めており、これ
らの自動分析装置も使用することができる。このような
自動分析装置を用いることにより、人手を煩わすことな
く多数の検体を一度に客観的に測定することができる。
【0057】本発明では、採血した血液を遠心分離し、
得られた血漿を対象とするものであるが、採血に際して
溶液又は粉末の抗凝固剤を用いるのが好ましい。例えば
注射筒などの採血用器具に抗凝固剤を予め入れておき、
これで血液を採取するか、あるいは、抗凝固剤を含まな
い注射筒などの採血用器具を用いて採血し、次いで、予
め抗凝固剤を添加した試験管などの容器に注入する手段
を採用するのが好ましい。
【0058】上記の抗凝固剤としては、クエン酸ナトリ
ウム又はカリウム、シュウ酸ナトリウム又はカリウム、
ACD(Acid Citrate Dextrose)、エチレンジアミンテ
トラ酢酸(EDTA)塩などを挙げることができる。このよう
な抗凝固剤は、粉末、凍結乾燥品、水溶液などの溶液と
して使用することができるが、既存の3.8%クエン酸ナ
トリウムを用いるのが容易に入手できることから好まし
い。この場合、血液9容に対してこの抗凝固剤1容とする
のが好ましい。
【0059】本発明における測定は血漿を用いることを
特徴とするが、精度良く測定を行うには、通常、血漿分
離後直ちに測定を実施する。しかしながら、血漿分離後
直ちに測定を実施しない場合は、検査まで4時間以内で
あれば2〜8℃で保存する。また、血漿分離後-20℃以下
で急速凍結して保存することにより2カ月程度の保存が
可能である。なお、この場合の測定時には37℃で急速解
凍して検査に供する。
【0060】上記範囲内であれば、採血直後血漿分離し
て直ちに測定を実施した場合と同様な精度での測定が可
能である。なお、全血を用いた場合の測定では、同様に
精度良く測定を行えるのは、実質的に採血直後だけであ
り、1〜2日の保存後では、ある程度の相関関係ある測定
は可能であるが、同様の精度での測定は困難である。
【0061】ここで本発明の血液凝固能測定用(検査用)
試薬及び血液凝固能の測定(検査)方法“血漿凝固時間
(測定)”は、本発明者等の既開発の“全血凝固時間(測
定)”にかかる前記した特開平2−71154号公報及び特開
平3−67173号公報に記載の発明と対比すると、次の利点
を有している。
【0062】(1) 全血による測定では、例えば光学的検
出方法の血液凝固自動測定装置は使用できないが、本発
明では検出方法にとらわれることなく血液凝固自動測定
装置を使用することができる。 (2) 全血では1〜2日の保存しかできないが、本発明では
血漿を用いるものであるから、長期間にわたって保存で
きる上採血直後と同様な精度での測定が可能である。そ
のため、多チャンネルの自動血液凝固測定装置を使用
し、多検体を同時に測定できる。
【0063】(3) 全血では多検体の同時測定が困難であ
る。そのため、 ・検量線の作成が極めて難しい、 ・精度が悪い、 のに対し、本発明では、自動血液凝固測定装置による多
検体の同時測定が可能であり、そのため、 ・検量線の作成が容易である、 ・精度が良い、 という利点を有している。
【0064】(4) 既提案の全血を用いる測定法(特開平2
−71154号公報参照)では、約10秒おきに目視観察する必
要があるが、本発明では自動測定装置の使用により0.1
秒単位での測定が可能である。 (5) 目視観察での検出にはある程度の液量が必要であ
り、測定のために少なくとも1ml程度が必要である。自
動血液凝固測定装置の使用により、目視観察による検査
に比して少ない検体量で済む利点を有し、多数の採血を
要する場合の患者にかける負担を軽減することができ
る。 (6) 目視観察での検出では、自動血液凝固測定装置によ
る検出に比してある程度高強度のフィブリン塊が必要で
ある。自動血液凝固測定装置では、添加する試薬容量を
多くすることができ、試薬添加量の誤差を押さえること
ができる。 (7) 一般に、血液凝固系に影響を与えるものとして血小
板の活性がある。また、赤血球は粘度に影響を与えるこ
とから凝固時間に影響を与えると言われている。本発明
は、血漿で血液凝固に関する測定を行うことで、血小板
及び赤血球等の悪影響を除外している。
【0065】更に、“血漿を用いる測定法”である前記
したヘプテストと本発明とを対比すると、ヘプテスト
は、前記したとおり、リン脂質及びフィブリノ−ゲンを
添加する方法であるため、例えばこれらが低下している
状態等の血漿中の実際の凝固活性を測定するものではな
く、血液中でATIIIと結合しているヘパリン又は低分
子量ヘパリンの含量を測定するものである。これに対し
て、本発明では、リン脂質、フィブリノ−ゲンを添加し
ないため、採血された血漿サンプル中の実際の凝固活性
を測定するものであるから、患者の状態をより正確に知
ることができ、その後の治療(血液凝固阻止剤の追加又
は中和等)を正確に行うことができる。
【0066】
【実施例】次に、本発明の実施例に相当する低分子量ヘ
パリン(LMWH)及びヘパリンに対する実験例1〜5を挙
げ、また、IXa、Xa、XIa、XIIaを添加した血漿に対する
低分子量ヘパリン(LMWH)、ヘパリン(Heparin)、
メシル酸ナファモスタット:具体的には鳥居薬品社製の
フサン(Futhan)、アルガトロバン:具体的には第一製
薬社製のスロンノン(Slonnon)の各凝固時間に及ぼす影
響についての実験例6を挙げ、本発明をより詳細に説明
する。
【0067】(実験例1:Xa濃度の設定試験)血液凝固
因子として活性型血液凝固第Xa因子(Xa)を用い、このXa
濃度の適正値を設定するための実験を行った。
【0068】[材料及び測定方法] (1) 被験血漿 健常人(3例)及び安定期血液透析患者(9例)より、
3.8%クエン酸ナトリウムを抗凝固剤として採血した(血
液9容に対して抗凝固剤1容)。これを遠心分離し、得ら
れた血漿に低分子量ヘパリン(最終濃度:0〜0.8IU/ml:
低分子量ヘパリン国際単位)又はヘパリンナトリウム注
射液(0〜0.8単位/ml:日局ヘパリン単位)を添加した。
なお、低分子量ヘパリンとして“パルナパリンナトリウ
ム”を用いた。
【0069】(2) Xa試薬 Enzyme Research Laboratory(ERL)社製ウシ由来活性型
血液凝固第X因子(Xa)(Lot No.520)をbuffer(20mM Tris
-maleate buffer、5mg/ml BSA、pH7.5)に溶解して調整
した。Xa濃度は、0.4 unit/ml(ERL社のLot No.520の表
示単位)から始め、濃度を段階的に下げて行き、最適濃
度を検討した。 (3) CaCl2 0.025M CaCl2を予め37℃に加温して使用した。
【0070】(4) 測定方法 自動血液凝固測定装置“KC-10(Amelung)”のサンプルカ
ップに被験血漿100μlを分注し、それにXa試薬100μl
を添加した。次に、180秒後CaCl2 100μlを添加し(tim
e 0)、凝固するまでの時間を測定し、その結果を表1に
示す。また、添加する低分子量ヘパリン濃度と血液凝固
時間との関係を回帰分析(liner log)した結果を表2に
示す。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】(健常人血漿における検討−Xa濃度の設定
−)表1及び表2からみて、LMWH及びXaのいずれの濃度
範囲においても良好な相関関係が得られている。LMWHの
低濃度側でXaが高濃度の場合には、若干、濃度−凝固時
間の相関関係が弱い傾向がみられるが、相関係数に基づ
く一般的な測定精度の考え方からは、いずれの濃度範囲
においても適する測定法であると推定できる。特にXa
0.01 unit/mlでは、LMWH 0〜0.8 IU/mlの範囲で適度の
凝固時間延長及び良好な直線関係(liner-log plot)が得
られた。従って、これ以降の実験においては、Xa 0.01
unit/mlを用いて行った。
【0074】(実験例2:再現性試験)前記実験例1の
健常人に低分子量ヘパリン(LMWH)、ヘパリンを添加した
血漿を用いて再現性の検討を行った。それぞれ10回の測
定を行い、その結果を表3に示した。次の表3から明か
なように、いずれの検体においてもCVは2%未満であっ
た。
【0075】
【表3】
【0076】(実験例3:安定期血液透析患者における
試験:凝固時間の測定、凝固時間変化率)前記実験例
1、2により健常人における測定条件について設定し得
たので、それと同一測定条件、同一方法を採用し、実験
例1に記載した安定期血液透析患者9例の血漿を用いて
凝固時間の測定を行った。その測定結果を表4に示し、
低分子量ヘパリン無添加の場合を1とした凝固時間の変
化率を( )で付記した。また、先の健常人3例における
血漿を用い、同様に凝固時間の測定を行った。その測定
結果を表5に示し、同様の変化率を( )で付記した。
【0077】
【表4】
【0078】
【表5】
【0079】表4、5からみて、血液透析患者及び健常
人のいずれの血漿の場合も良好な測定結果を得ることが
確認できた。また、凝固時間の変化率からみても低分子
量ヘパリンの添加量に応じ濃度依存的に良好な結果が認
められた。
【0080】(実験例1〜3に対する評価)以上の実験
例1〜3から、次の事実が判明し、また、それを確認す
ることができた。 (A) 健常人の血漿を用い、自動凝固測定装置“KC-10”
による低分子量ヘパリン(LMWH)活性測定法の実験を行
い、LMWH 0〜0.8 IU/mlで良好な直線関係の得られる測
定条件を設定することができた(実験例1参照)。 (B) 同一検体について10回繰り返しの測定結果から、本
発明の再現性は良好であった(実験例2参照)。 (C) 血液透析患者及び健常人のいずれの血漿の場合も良
好な測定結果を得ることができた(実験例3参照)。
【0081】(実験例4:検出方法の相違による測定)
この実験例4では、他の一般的な検出方法である“凝固
時の濁度変化を検出する光学式の自動血液凝固測定装
置”を用いて凝固時間の測定を行った。
【0082】[材料及び測定方法] (1) Xa試薬 Enzyme Research Laboratory(ERL)社製ウシ第Xa因子100
units/vialを水 1 mlで再溶解した後、20 mM Tris-male
ate buffer containing 5 mg/ml BSA、pH7.5で希釈し、
0.01 unit/mlとして使用した。
【0083】(2) 低分子量ヘパリン(LMWH)添加血漿 正常管理血漿ベリハイ・ノ−マルシトレイト(オルガノ
ンテクニカ)に低分子量ヘパリンを添加し、0(無添加)、
0.2 IU/ml、0.4 IU/ml、0.6 IU/ml、0.8 IU/mlとした。 (3) CaCl2 0.025 M CaCl2を37℃で保温して使用した。
【0084】(4) 血液凝固能測定装置 濁度変化を検出する光学式自動血液凝固測定装置“Coag
Stat Super”(国際試薬製)を用いて測定した。また、
前記実験例1〜3で用いた自動血液凝固能測定装置“KC
-10”で同様に測定を行った。
【0085】(5) 測定方法 専用サンプルカップに被験血漿100μlを注入し、血液
凝固能測定装置にセットし、Xa試薬100μlを添加し、3
7℃で3分間保温した。次に、CaCl2 100μlを添加し(Ti
me 0)、凝固時間を測定した。測定は各検体について3回
行った。測定結果を表6(Coag Stat Superにより測定し
た血漿Xa凝固時間)及び表7(KC-10により測定した血漿X
a凝固時間)に示す。
【0086】
【表6】
【0087】
【表7】
【0088】表6から、光学式自動血液凝固能測定装置
“Coag Stat Super”による血液凝固時間は、低分子量
ヘパリン無添加血漿の場合、平均で66.03秒であった。
ヘパリン添加に対して血液凝固時間は添加濃度に依存し
て延長し、0.8 IU/mlでは205.13秒(3.1倍)となった。C
Vは4%未満であり、再現性は良好であった。
【0089】一方、表7から、スチールボール検出(血
液凝固能測定装置“KC-10”)による血液凝固時間は、
低分子量ヘパリン無添加血漿の場合、平均で71.43秒で
あった。ヘパリン添加に対して血液凝固時間は添加濃度
に依存して同様に延長し、0.8IU/mlでは411.60秒(5.8
倍)となった。CVは5%未満であり、同じく再現性は良好
であった。
【0090】図4にCoag Stat Superによる低分子量ヘ
パリン(LMWH)濃度−凝固時間作用曲線(liner-log curv
e)を、また、図5にKC-10による同様の曲線を示す。こ
の図4、5において、LMWH濃度をX軸、凝固時間をY軸
にとり、回帰分析した結果、いずれの自動血液凝固測定
装置における測定結果においても回帰の直線性が良好で
あった。
【0091】自動血液凝固能測定装置“KC-10”では、
検体にスチ−ルボ−ルを入れ、物理的凝固によりボ−ル
が移動するのを磁界センサ−でとらえる検出方法を採用
している。従って、フィブリン塊が生じてもそれが僅か
であったり、あるいは塊の強度が弱かったりした場合、
凝固として感知しないことが認められた。
【0092】これに対して光学式自動血液凝固測定装置
“Coag Stat Super”は、フィブリン塊生成時の検体の
濁度変化をとらえる検出方法を採用している。このタイ
プの装置は、強い溶血や乳びの血漿での測定が困難であ
るという問題がある。
【0093】KC-10では、LMWH無添加血漿の血漿Xa凝固
時間は71.43秒であり、LMWHの濃度に依存して延長し、
0.8 IU/mlでは5.8倍となった(表7参照)。一方、Coag S
tat Superでは、LMWH無添加血漿の測定結果は66.03秒で
あり、KC-10のそれに比して短かった。また、LMWH添加
による延長もKC-10に比して軽度であり、LMWH0.8 IU/ml
添加による延長は3.1倍であった(表6参照)。
【0094】以上のように、Coag Stat SuperではKC-10
に比して測定結果の絶対値及び変化率が小さく、これは
検出手段の相違によるものと推測することができる。即
ち、濁度変化の方がわずかなフイブリン塊の生成を凝固
ととらえるのに対して、磁界センサ−ではある程度強固
な塊をとらえることから生じたtime lagと考えられた。
以上のことから、本発明は検出方法に制限されることな
く一般的に使用されている自動血液凝固測定装置を使用
することができることが確認された。
【0095】(実験例5:カルシウム添加までの時間の
自由度確認試験)カルシウム添加までの時間の自由度を
確認するために、実験例5と同一検体を使用してXa試薬
を添加した後、カルシウム添加までの時間を150秒、180
秒、210秒及び240秒と変化させ、低分子量ヘパリン0.4
IU/mlを添加した正常管理血漿を用いて自動血液凝固測
定装置“KC-10”で測定を行った。その測定結果を表8
に示す。
【0096】
【表8】
【0097】表8から、測定開始(カルシウム添加)時
点を変化させて測定を行っても、測定値に大きな差はな
く、測定開始時点に制限されず、容易に精度の高い測定
をし得ることが確認された。
【0098】(実験例6:各種凝固因子存在下における
抗凝固剤による凝固時間延長試験)本実験例6では、IX
a、Xa、XIa、XIIaを添加した血漿に対する低分子量ヘ
パリン(LMWH)、ヘパリン(Heparin)、鳥居薬品社製
のフサン(Futhan:メシル酸ナファモスタット)、第一
製薬社製のスロンノン(Slonnon:アルガトロバン)の各
凝固時間に及ぼす影響について実験したものである。
【0099】ここで、本実験例6で用いる抗凝固剤験
液、凝固因子液、遊離カルシウム供与体の各調製につい
て、まとめて説明する。
【0100】(抗凝固剤験液の調製)低分子量ヘパリン
が16 IU/mlになるように水溶液を調製し、この1容に、
正常血漿(凍結乾燥品:オルガノンテクニカ社製)に水1m
lを加えた溶液19容を添加し、0.8 IU/mlの低分子量ヘ
パリン溶液を調製した。また、0.6 IU/ml、0.4 IU/ml
及び0.2 IU/mlの各低分子量ヘパリン溶液は、それぞれ
低分子量ヘパリンが12IU/ml、0.8 IU/ml及び0.4 IU/
mlになるように調製した水溶液から上記と同様に調製し
た。さらに、0 IU/mlの低分子量ヘパリン溶液は、水か
ら調製した。また、ヘパリン(Heparin)、フサン(Futha
n)、スロンノン(Slonnon)の各抗凝固剤験液も上記と同
様に調製した。
【0101】(凝固因子液の調製)20 mMのトリス(ヒド
ロキシメチル)アミノメタン(和光純薬社製)水溶液に牛
血清アルブミンが最終濃度:5 mg/mlになるよう添加
し、1 Mのマレイン酸(和光純薬社製)水溶液でpHが7.5に
なるよう緩衝液を調製した。この緩衝液でXa(エンザイ
ム・リサ−チ・ラボラトリ−ズ社製)が1 IU/mlになる
ように調製した。IXa、XIa及びXIIaについても同様に1
IU/mlになるように調製した。
【0102】(遊離カルシウム供与体の調製)0.025 M
の塩化カルシウム水溶液を調製した。
【0103】抗凝固剤験液:100μl及び凝固因子液:1
00μlを自動血液測定装置:KC-10(Amelung社製)のサン
プルカップにいれ、37℃で3分間加温した後、予め37℃
に加温した遊離カルシウム供与体:100μlを加え、凝
固時間を測定した。この測定結果を図6〜図13に示
す。
【0104】なお、図6及び図7は、低分子量ヘパリ
ン(LMWH)に係る凝固時間の測定結果を図示したものであ
り、このうち図6は、横軸が低分子量ヘパリンの濃度、
縦軸が凝固時間を示すものであり、図7は、上記測定結
果を、低分子量ヘパリン:0濃度における凝固時間を1
とし、その変化率であらわした図である。また、図8及
び図9は、ヘパリン(Heparin)に係る凝固時間の測定
結果を、図10及び図11は、フサン(Futhan)に係る
凝固時間の測定結果を、図12及び図13は、スロン
ノン(Slonnon)に係る凝固時間の測定結果を、同様に図
示したものである。
【0105】図6から、Xa添加群については、低分子量
ヘパリン:0濃度において凝固時間が60.6秒であるのに
対し、0.2 IU/ml,0.4 IU/ml,0.6 IU/mlで各濃度に
依存した凝固時間の延長が認められ、0.8 IU/mlでは、
170.4秒と最も凝固時間の延長が見られた。IXa、XIa及
びXIIaのいずれの凝固因子に対しても同様な傾向がみら
れた。また、図7の変化率からみても、いずれの凝固因
子存在下においても低分子量ヘパリンの濃度に依存した
凝固時間の延長が認められた。
【0106】図8及び図9(ヘパリンに係る凝固時間の
測定結果)、図10及び図11(フサンに係る凝固時間の
測定結果)、図12及び図13(スロンノンに係る凝固時
間の測定結果)からも、IXa、Xa、XIa及びXIIaの凝固因
子存在下で各抗凝固剤の各濃度に依存した凝固時間の延
長が認められ、各抗凝固剤の凝固因子に対する影響が相
関的に認められた。以上、図6〜図13から明らかなよ
うに、低分子量ヘパリン、ヘパリン、フサン、スロンノ
ンの各抗凝固剤に係る抗凝固能を精度良く測定できるこ
とが理解できる。
【0107】
【発明の効果】本発明は、以上詳記したように、血漿を
用い、この血漿に血液凝固因子及び遊離カルシウム供与
体を添加して、いわゆる“血漿凝固時間の測定”を行う
ことを特徴とし、血液凝固因子以外は同一の反応系を用
いて、各血液凝固因子間、各血液凝固阻止剤間の測定結
果を、同一の評価基準により客観的に相対評価すること
ができ、血液凝固因子の示す各作用点における作用を測
定することができるという顕著な効果が生じる。また、
本発明では、測定したい作用点の血液凝固因子を使用す
ることで、その作用を測定することができ、特に、従来
測定し得なかったヘパリン及び低分子ヘパリンの抗Xa
活性を同一の尺度で精度良く測定することができ、しか
も、多検体の同時測定が可能であり、該測定を自動的に
行うことができる等の顕著な効果が生じる。
【図面の簡単な説明】
【図1】血液凝固系の主な作用機序を示す図。
【図2】ヘパリンの血液凝固阻止作用を説明するための
模式図。
【図3】低分子量ヘパリン、ヘパリンの分子量の差に基
づく抗Xa活性、抗IIa活性に対する模式図。
【図4】Coag Stat SuperによるLMWH濃度−凝固時間作
用曲線(liner-log curve)を示す図。
【図5】KC-10によるLMWH濃度−凝固時間作用曲線(line
r-log curve)を示す図。
【図6】低分子量ヘパリンに係る凝固時間の測定結果を
示す図。
【図7】図6の測定結果を変化率で表わした図。
【図8】ヘパリンに係る凝固時間の測定結果を示す図。
【図9】図8の測定結果を変化率で表わした図。
【図10】フサンに係る凝固時間の測定結果を示す図。
【図11】図10の測定結果を変化率で表わした図。
【図12】スロンノンに係る凝固時間の測定結果を示す
図。
【図13】図12の測定結果を変化率で表わした図。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】追加
【補正内容】
【図6】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】追加
【補正内容】
【図7】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図8
【補正方法】追加
【補正内容】
【図8】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】追加
【補正内容】
【図9】
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図10
【補正方法】追加
【補正内容】
【図10】
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図11
【補正方法】追加
【補正内容】
【図11】
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図12
【補正方法】追加
【補正内容】
【図12】
【手続補正9】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図13
【補正方法】追加
【補正内容】
【図13】

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 血漿を用いて血液凝固阻止剤の作用点及
    びその効果を検査する試薬として、血液凝固因子及び遊
    離カルシウム供与体よりなる薬剤から構成されているこ
    とを特徴とする血液凝固能検査用試薬。
  2. 【請求項2】 血漿を用いて血液の凝固能を検査する試
    薬として、血液凝固因子及び遊離カルシウム供与体より
    なる薬剤から構成されていることを特徴とする血液凝固
    能検査用試薬。
  3. 【請求項3】 前記薬剤にさらに緩衝剤を配合してなる
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の血液凝固
    能検査用試薬。
  4. 【請求項4】 血液凝固因子がIXa、Xa、XIa、XIIa、IIa
    から選ばれたものであることを特徴とする請求項1又は
    請求項2記載の血液凝固能検査用試薬。
  5. 【請求項5】 遊離カルシウム供与体が塩化カルシウ
    ム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム等のハロゲン化
    カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸
    カルシウム、重炭酸カルシウム等の無機酸カルシウム
    塩、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、アルギン酸、乳
    酸、グルコン酸、グリセリン酸、グリセロリン酸等の有
    機酸のカルシウム塩から選ばれたものであることを特徴
    とする請求項1又は請求項2記載の血液凝固能検査用試
    薬。
  6. 【請求項6】 前記緩衝剤として、バルビタ−ル-酢酸
    塩緩衝液、イミダゾ−ル緩衝食塩水、ベロナ−ル緩衝
    液、リン酸緩衝液、リン酸塩-クエン酸塩-アルブミン緩
    衝液、トリス-塩酸緩衝液、トリス-マレイン酸緩衝液か
    ら選ばれたものを用いることを特徴とする請求項3記載
    の血液凝固能検査用試薬。
  7. 【請求項7】 血漿に血液凝固因子及び遊離カルシウム
    供与体を添加し、血液凝固因子の抑制効果を検査するこ
    とを特徴とする血液凝固阻止剤の作用点と効力を検査す
    る方法。
  8. 【請求項8】 血漿にIXa、Xa、XIa、XIIa、IIaから選ば
    れた1種又は複数種の血液凝固因子及び遊離カルシウム
    供与体からなる試薬を添加し、上記血液凝固因子の1種
    又は複数種の血液凝固因子の抑制効果を検査することを
    特徴とする血液凝固阻止剤の作用点と効力を検査する方
    法。
  9. 【請求項9】 血漿に血液凝固因子及び遊離カルシウム
    供与体を添加し、凝固を形成するまでの時間を測定する
    ことを特徴とする血液凝固能の検査方法。
  10. 【請求項10】 抗Xa活性を測定することを特徴とする
    請求項9記載の血液凝固能の検査方法。
  11. 【請求項11】 低分子量ヘパリン又はヘパリンのモニ
    タリングに利用することを特徴とする請求項7、請求項
    8、請求項9又は請求項10記載の方法。
  12. 【請求項12】 自動凝固能測定装置により低分子量ヘ
    パリンの活性を測定することを特徴とする請求項7、請
    求項8、請求項9又は請求項10記載の方法。
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