JPH06324037A - 便潜血判定装置 - Google Patents

便潜血判定装置

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JPH06324037A
JPH06324037A JP5110522A JP11052293A JPH06324037A JP H06324037 A JPH06324037 A JP H06324037A JP 5110522 A JP5110522 A JP 5110522A JP 11052293 A JP11052293 A JP 11052293A JP H06324037 A JPH06324037 A JP H06324037A
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和之 大石
Satoshi Obana
敏 尾花
Shinichi Egi
慎一 恵木
Yuji Kaneko
裕司 金子
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 比較的簡単な構成からなり、便潜血判定操作
の全工程に渡り操作が簡略化された免疫クロマトグラフ
ィー法を利用した便潜血判定装置を得る。 【構成】 便を採取するための採便器具2と、本体1と
を有し、本体1の採便器具挿入孔1aから採便器具2を
挿入し、本体1内に配置された緩衝液容器3内の緩衝液
4に採取された便を溶解し、採便器具2を押圧ばね7の
弾撥力に逆らって下降し、緩衝液容器3の下方隔壁8を
滴下針9で貫通させ、便溶解液をフィルタ10上に滴下
させ、フィルタ10の下方に配置されたクロマトグラフ
ィー部を構成する展開層11に、固形物の除去された便
溶解液を滴下するように構成した便潜血判定装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、便潜血の有無を判定す
るための簡易検査装置に関し、特に、免疫クロマトグラ
フィー法を利用した便潜血判定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】便潜血は消化器系疾患により、消化管内
の便中に血液が混入することにより発現する。特に大腸
癌などの疾患との相関が確認されており、我国で益々増
えつつある大腸癌の早期診断の指標として、非常に重要
でかつ汎用されている検査である。
【0003】現在用いられている便潜血検査方法には、
大別して2種の方法がある。第1の方法は従来から行わ
れている化学的潜血反応(以下、「化学法」と記す)と
呼ばれるもので、ヘモグロビン(以下、Hbと記す)の
有するパーオキシダーゼ様活性を検出する非特異反応で
ある。この方法は、色源体(グアヤク脂あるいはオルト
トリジンなど)が、パーオキシダーゼ様活性保持物質及
び過酸化水素水存在下で酸化されて発色する機構に基づ
く。従って、本法では、パーオキシダーゼ様活性保持物
質である薬物あるいはHbを含む食物などによって陽性
を示すため、投薬及び食餌制限を必要とした。
【0004】本化学法に基づく検査装置として、簡便な
測定システムが開示されており、その幾つかは汎用され
ている。例えば特公平2−45826号公報、特開昭5
9−168370号公報、特開昭62−266463号
公報、及び実開昭62−153573号公報では、グア
ヤク脂等を含浸させた試験紙を含むカードに少量の便試
料を塗布した後、過酸化水素水を滴下して呈色具合を見
るシステムが開示されている。これらのシステムでは、
カード式の本体に付属したグアヤク脂上の一部に便試料
を適量塗布し、さらに塗布部の裏側の部位に過酸化水素
水を滴下することによって、滴下部のグアヤク脂が発色
するか否かで判定する。便試料塗布部を開放せずに行う
ことができ、衛生的に扱えることや、簡便な構成である
ことが利点であるが、上記のような測定原理に由来する
欠点は解決されていない。
【0005】第2の方法は、上記の化学法の欠点を解決
するために近年開発されたものであり、免疫反応に基づ
く方法(以下、「免疫法」と記す)である。本法は抗ヒ
トHb抗体を用いた抗原−抗体反応に基づく方法である
ため特異性が高く、化学法のような食事制限等を必要と
しない。判定は、ラテックス凝集法、酵素標識免疫法等
の一般的な免疫血清学的検査法により行われるが、現在
もっとも汎用されている方法はラテックス凝集法であ
る。
【0006】ラテックス凝集法では、判定板上に便試料
溶解液およびラテックス試薬を滴下して混合し、凝集像
の有無により判定が行われる。化学法に比較して原理的
に特異性は高いが、凝集法の判定には熟練を要する。ま
た該免疫法に基づく検査システムは、判定板、ラテック
ス試薬、攪拌棒、採便器具、溶解液などを含むキットと
して提供されているが、構成が複雑であり、上記化学法
のような簡便なシステムは開発されていない。
【0007】これらの免疫法における簡便化は、化学法
にはない免疫法特有の工程、つまり便試料を緩衝液等に
溶解する工程および溶解後の溶解液中の非溶解固形分を
濾過により除去する工程について行われている。すなわ
ち、これらの操作については、比較的定量的にかつ衛生
的な取り扱いが可能な採便器具が開示されており、例え
ば実開平3−44663号公報、実公平2−13977
号公報、実開平1−66071号公報、実開平1−85
668号公報および実開昭64−42454号公報など
では、緩衝液を含む容器の蓋部に採便のための採取棒が
付属されており、採便後に該蓋部を緩衝液容器にセット
することにより、採取棒先端の便が緩衝液中に分散され
る。また、よく振盪後、滴下部より判定板上に滴下する
に際し、滴下部にはフィルタ機構が設置されており、非
溶解性固形分が除去されるように構成されている。判定
板上に滴下した後は上述のラテックス凝集法の常法に従
って操作される。
【0008】免疫法による便潜血測定システムの簡便化
は、上記工程と抗原抗体反応の一体化により果たされる
と思われるが、当該技術は現在までのところ実現されて
いない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】近年、セルフケアとい
う概念の拡がりと共に、免疫反応に基づく簡易検査シス
テムが一般検査薬として薬局等で入手できるようになっ
た。例えば妊娠診断薬では、免疫クロマトグラフィー法
を利用した簡便な検査システムが確立している。該免疫
クロマトグラフィー法を便潜血検査に利用する際の最も
大きな問題は、上記の便試料の溶解及び濾過工程がシス
テム中に組み込みにくい点である。
【0010】本発明の目的は、免疫クロマトグラフィー
法を利用した便潜血検査装置であって、比較的簡単な構
成からなりながら、便潜血判定操作の全工程に渡り操作
が簡略化されており、非熟練者においても容易にかつ正
確に便潜血の有無を判定し得る便潜血判定装置を提供す
ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1,2に記載の発
明は、上記課題を達成するために発明されたものであ
り、それぞれ、下記の構成を備えることを特徴とする。
【0012】すなわち、請求項1に記載の発明は、便潜
血を判定するための装置であって、便を採取するための
採便器具と、外面に前記採便器具を挿入するための開口
及び便潜血の有無を外部から判定するための判定窓を有
する本体と、前記本体内に設けられており、前記開口を
通して前記採便器具が挿入されるように配置された緩衝
液容器と、前記緩衝液容器の下方に配置されており、便
試料が溶解された緩衝液を濾過するためのフィルタと、
前記フィルタの下方に開始端が位置するように、かつ判
定部が前記判定窓に臨むように配置されており、抗ヘモ
グロビン抗体感作担体及び抗ヒトヘモグロビン抗体が固
定された展開層と、前記緩衝液容器または該緩衝液容器
に挿入された採便器具を上下に移動させることにより、
前記緩衝液容器下面の少なくとも一部から前記展開層へ
便試料が溶解された緩衝液が流れるように、前記緩衝液
容器下面の少なくとも一部と前記展開層との間に流路を
形成する流路形成手段とを備えることを特徴とする、便
潜血判定装置である。
【0013】また、請求項2に記載の発明は、便潜血を
判定するための装置であって、便を採取するための採便
器具と、外面に前記採便器具を挿入するための開口及び
便潜血の有無を外部から判定するための判定窓を有する
本体と、前記本体内に設けられており、前記開口を通し
て採便器具が挿入されるように配置された緩衝液容器
と、前記緩衝液容器の下方に配置されており、便試料が
溶解された緩衝液を濾過するためのフィルタと、前記フ
ィルタの下方において、判定部が判定部が臨むように配
置されており、かつ抗ヒトヘモグロビン抗体感作担体及
び抗ヒトヘモグロビン抗体が固定された展開層と、前記
便試料が溶解された緩衝液が緩衝液容器下面の少なくと
も一部から前記展開層に流れるように、前記緩衝液容器
下面の少なくとも一部と前記展開層との間に流路を構成
するための流路形成手段と、一端が前記本体外面に突出
されており、かつ該一端を押圧することにより、前記流
路形成手段が動作され、それによって前記便試料が溶解
された緩衝液が緩衝液容器から展開層に向かって滴下す
ることを可能とするように構成されたスイッチとを備え
ることを特徴とする、便潜血判定装置である。
【0014】上記のように、請求項1,2に記載の発明
は、何れも免疫反応を利用した便潜血判定装置であり、
従来の免疫法を利用した便潜血判定キットをより簡便化
し、非熟練者においても容易に便潜血の有無を正確に判
定することを可能とした装置である。
【0015】以下、図面を参照して請求項1,2に記載
の発明の便潜血判定装置の具体的な構造例を説明する。
図1は、本発明の便潜血判定装置の第1の構造例を説明
するための概略斜視図である。
【0016】本例の便潜血判定装置は、本体1と採便器
具2とを有する。本体1の上面には、上記採便器具2が
挿入される採便器具挿入孔1a及び後述の免疫クロマト
グラフィー法による判定結果を上方からのぞき込むこと
により知ることを可能とするための判定窓1bが形成さ
れている。
【0017】本例では、採便器具2は、下方に凹部2a
を有する。凹部2aは、便試料を定量的あるいは半定量
的に採取するために設けられている。すなわち、採便器
具2を便に突き刺し、しかる後、余分な便を拭き取るこ
とにより、上記凹部2a内に凹部2aの大きさに応じた
一定量の便試料が採取される。なお、余分な便を排除す
るためには、便を採取した後に採便器具2を拭き取れば
よいが、本例では後述のように本体1の内部に余剰便排
除機構が設けられているので、この余剰便排除機構によ
って余分な便を排除することも可能である。
【0018】採便器具2は、便を採取するために設けら
れているものであるため、その材料は特に限定されず、
図示のような形状を維持し得るのに充分な剛性を有する
もので構成されておりさえすればよい。また、図1では
丸棒状の採便器具2が示されているが、角棒状あるいは
板状の形状を有するものであってもよい。なお、採便器
具2は、前述した本体1の採便器具挿入孔1aに挿入さ
れるものであるため、該挿入が可能な大きさに構成され
る必要がある。
【0019】本例では、採便器具2として、下端近傍に
上記凹部2aを形成したものが用いられているが、図2
(a)〜(c)及び図3(a)〜(c)に示すように、
採便器具2の形状は種々変更することができる。
【0020】図2(a)に示す採便器具2では、先端2
b,2bが、それぞれ尖らされており、後述の緩衝液容
器の上部隔壁を容易に貫通し得るように構成されてい
る。また、図2(a)に示す採便器具2のように凹部2
aはV字状の溝により構成されていてもよく、あるいは
図2(b)に示すように複数の凹部2aを採便器具2の
下方部分において採便器具2の両側縁に沿って形成して
もよい。さらに、図2(c)に示すように、正面から見
たときに半円状の凹部2aを形成した採便器具2を用い
てもよい。さらに、図3(a)に示すように、下方壁が
水平方向に延ばされた形状の凹部2aを形成した採便器
具2を用いてもよい。
【0021】また、図3(b)及び(c)に示す採便器
具2,2はそれぞれ、外筒2c,2cと、挿入棒2d,
2dとを有する。外筒2c,2cの外表面には、図1に
示した採便器具2と同様に、凹部2a,2aを有する。
なお、凹部2aの内面は、外筒2c,2cの内部すなわ
ち中空部分には至らないように形成されている。また、
挿入棒2d,2dは、それぞれ、先端が尖らされてお
り、後述の緩衝液容器の上部隔壁を貫通し易いように構
成されている。さらに、図3(c)に示した採便器具2
では、挿入棒2dの先端近傍に一対の攪拌羽根2e,2
eが形成されており、それによって挿入棒2dを回転さ
せることにより、後述の緩衝液を攪拌し得るように構成
されている。
【0022】図1の採便器具2を用いて便を採取し、本
体1の採便器具挿入孔1aから挿入した状態を図4に示
す。図4において、採便器具挿入孔1aから採便器具2
が内部に挿入されている。本体1内においては、採便器
具2が挿入される部分には緩衝液容器3が配置されてお
り、該緩衝液容器3内に緩衝液4が収納されている。緩
衝液容器3は、常時は、緩衝液4を外部に漏洩しないよ
うに構成されており、例えば、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、塩化ビニル等のフィルム状樹脂もしくはスチレ
ンブタジエンゴム等のゴムにより構成されている。
【0023】また、緩衝液容器3の上方部分には、上部
隔壁5が取り付けられている。上部隔壁5は、緩衝液容
器3の上面に貼り合わされていてもよく、あるいは緩衝
液容器3の上面に開口を形成し、該開口を閉成するよう
に取りつけられていてもよい。いずれにしても、上部隔
壁5は、内部の緩衝液4を上面側から漏洩しないように
構成されていることが必要である。
【0024】上部隔壁5は、前述した採便器具2を挿入
した際に、該採便器具2により容易に貫通され得るもの
であり、かつ貫通後に採便器具2の側面に密着し、緩衝
液容器3の上部から緩衝液4を漏洩させないような材
料、液密シールを達成し得る各種合成ゴムもしくは高分
子樹脂等から構成される。
【0025】緩衝液容器3の底面には段差3aが設けら
れており、段差3aより上方の底面と、本体1の底部1
dとの間に押圧バネ7が配置されている。緩衝液容器3
は、該押圧バネ7の弾撥力により、常時は図4に示して
いるように、上方に付勢されている。また、段差3aよ
りも下方の底部には、底面に下方隔壁8が構成されてい
る。下方隔壁8は、後述の滴下針9により貫通され易
く、かつ滴下針9を引き抜いた後に、再度緩衝液容器3
を密封し得る材料、すなわち液密シールを達成し得る各
種ゴムもしくは柔らかい高分子樹脂等により構成されて
いる。
【0026】下方隔壁8の下方には、滴下針9がその先
端が上方を向くように固定されている。滴下針9の下方
には、フィルタ10が配置されている。滴下針9及びフ
ィルタ10は、その位置は固定されている。滴下針9
は、上述した下方隔壁8を貫通して内部の緩衝液4をフ
ィルタ10側に滴下させるために設けられている。ま
た、フィルタ10は滴下してきた便溶解液を濾過し、固
形分を除去するために設けられている。
【0027】上記フィルタ10は、公知の濾紙もしくは
フィルタ材料により構成される。フィルタ10の下方に
は、クロマトグラフィー部を構成するための展開層11
が配置されている。展開層11は、その開始端側11a
が上記フィルタ10の下方に配置されている。従って、
フィルタ10を濾過してきた便溶解液が該開始端側11
a上に滴下される。また、展開層11の判定部11b
は、図示のように、判定窓1bに臨むように配置されて
いる。
【0028】なお、本例では、前述した試料を採便器具
挿入孔1aから緩衝液容器3の上部隔壁5上に、O−リ
ング14が取り付けられている。O−リング14は、そ
の内径が採便器具2の外径とほぼ同等か、採便器具2の
外径よりも若干小さくされている。O−リング14は、
前述した便排除機構を構成するために固定されているも
のであり、上記のようにその内径が選択されているた
め、採便器具2を挿通させることにより採便器具2の周
囲に付着している余剰の便が除去される。なお、12
は、上記のようにして排出された余剰の便を収納するた
めの空間を示す。
【0029】上記余剰便排出装置を構成するO−リング
14は、図示の位置に限らず、緩衝液容器の上部に直接
固定してもよく、あるいは採便器具挿入孔1a側に、す
なわち緩衝液容器3とは分離して配置してもよい。
【0030】次に、上記展開層11を含むクロマトグラ
フィー部を説明する。このクロマトグラフィー部は、い
わゆる免疫クロマトグラフィーを行うために設けられて
おり、フィルタ等の多孔質材料からなる展開層11の一
端に、被験物質に対する抗体(以下、第1抗体と略
す。)を感作した担体が固定されている。また、該第1
抗体感作担体の固定部から一定の距離を隔てた位置に、
第1抗体と異なるエピトープを認識する第2抗体が固定
化されている。第1抗体固定化部側、すなわち上記開始
端11a側から被験物質を含む液状試料を展開した場
合、試料は展開層11上を移動し、かつ被験物質は第1
抗体と抗原抗体反応を起こす。被験物質−第1抗体感作
担体複合体はさらに移動し、第2抗体固定化部位に到達
すると、被験物質と第2抗体との抗原抗体反応により、
被験物質−第1抗体感作担体複合体が、該第2抗体固定
化部位にトラップされる。従って、担体が展開層11と
明確なコントラストを有する色調を有していれば、担体
の存在、すなわち被験物質の存在を目視で容易に確認す
ることができる。本例では、上記被験物質がヒトヘモグ
ロビンであり、被験物質含有液状試料は、上述した便溶
解液である。
【0031】なお、上記展開層11を構成する材料とし
ては、例えば、ニトロセルロース、酢酸セルロース等の
セルロース系材料;ナイロン、フッ化エチレン樹脂、ポ
リプロピレン、ポリビニルビニル塩等の合成高分子系材
料等のメンブランフィルタとして用いられている公知の
材料を用いることができる。
【0032】また、展開層11は、担体16の色調と明
確なコントラストを発揮することが必要であるため、展
開層11が黒色系である場合には、上記担体としては白
色の担体、展開層11が白色系である場合には着色担体
を用いることが必要である。また、上記担体としてもっ
とも好ましいものはラテックス粒子であるが、ラテック
ス粒子は通常白色であるため、白色展開層に適用する場
合には、例えば、スチレン、ビニルトルエン等を乳化
重合して得られたラテックス粒子を、水及び水と相溶性
を有する有機溶媒とを含む反応媒体中で、反応媒体中に
溶解された水難溶性剤と接触させて着色する方法や、
乳化重合により得られかつアニオン性官応基を有するラ
テックス粒子、例えば、(メタ)アクリタル酸等のアニ
オン性官応基を有するモノマーを含む共重合体よりなる
ラテックス粒子を、水系反応媒体中において、該反応媒
体中に溶解された両性電解質である着色剤と接触させて
着色する方法等により得られる着色ラテックス粒子を用
いることが好ましい。
【0033】本発明に用いられる第1抗体は、ウサギ、
ヒツジ、ヤギ、ウマ、モルモット等にヒトHbを免疫し
て得られた抗血清を、アフィニティクロマトグラフィー
等により精製することにより得られる。また免疫したマ
ウス脾臓細胞を用いた公知の細胞融合法により、モノク
ローナル抗体を製造することも可能である。いずれにせ
よ用いられる第1抗体は充分精製されたものであること
が望ましい。
【0034】第1抗体の担体への感作方法は、分離吸着
法または化学結合法など公知の手法により行うことがで
きる。例えばラテックスに抗ヒトHb抗体の緩衝液溶液
を添加し、30〜120分間攪拌しながら37℃に加温
することにより,第1抗体をラテックス表面に物理的に
吸着させることができる。またカルボキシル基を有する
ラテックスを用いれば、水溶性カルボジイミド等を介し
て、共有結合で第1抗体をラテックスに結合させること
もできる。必要に応じてウシ血清アルブミン(以下、
「BSA」と記す。)等を添加してもよい。
【0035】得られた第1抗体感作担体16の展開層1
1上への固定化は、例えば0.01〜1重量%分散液
0.05〜1mlを所定の位置に滴下し、室温にて12
時間以上乾燥させることにより行うことができる。
【0036】さらに展開層11上において、判定窓1b
により観察される部位、すなわち判定部11bに、第2
抗体17が固定化されている。第2抗体17としては、
第1抗体と認識するエピトープの異なる抗ヒトHb抗体
が用いられ得る。固定化法としては、1〜5mg/ml
の第2抗体0.1〜10μlを所定の位置に滴下し、室
温で12時間以上放置し、さらに必要に応じてBSA等
を同位置に滴下して乾燥させる方法が例示され得る。
【0037】なお、上記緩衝液4としては、例えばアン
モニア緩衝液、グリシン緩衝液、リン酸緩衝液、トリス
緩衝液等の中性付近の塩溶液が好ましく、特に好ましく
は、pH6.5〜8.5の範囲の上記緩衝液が挙げられ
る。また、緩衝液量は採取される便試料の量にもよる
が、0.5〜10ml程度とすることが望ましい。
【0038】次に、本例の便潜血判定装置の操作方法を
説明する。まず、図1に示した採便器具2を便に突き刺
し、しかる後引き抜き、図4に示すように採便器具挿入
孔1aから本体1内に挿入する。この場合、余剰の便
は、O−リング14を通過する際に除去され、空間12
に収納される。従って、ほぼ一定量の試料便が採便器具
2により緩衝液4内に挿入される。この状態で、便が緩
衝液4により溶解される。この場合、便の緩衝液4への
溶解を速めるために、あるいは溶解を確実に行うため
に、本体1を軽く振盪してもよい。
【0039】次に、便が溶解し、便溶解液が得られる
が、図4に示す状態のままさらに採便器具2を下方に押
圧する。その結果、採便器具2の下端が段差3aよりも
上方の緩衝液用容器3の底部に当接し、さらに押し続け
ると押圧バネ7を圧縮し、緩衝液容器3が下方に移動さ
れる。その結果、滴下針9により緩衝液容器3の下部隔
壁8が貫通され、便溶解液が滴下針9により貫通された
部分を経由して下方に流れ、それによって緩衝液容器3
の下部隔壁8と展開層11との間に流路が構成される。
流れ出た便溶解液はフィルタ10で濾過され、それによ
って固形分が除去され、固形分の除去された便溶解液が
展開層11の開始端側部分11aに滴下される。
【0040】滴下針9より滴下された便溶解液は展開層
11上で拡散し、第1抗体感作担体16を伴って終末端
11cに向かって移動する。この時、便溶解液中にヒト
Hbが含まれている場合、担体上の第1抗体との間で抗
原抗体反応が起こる。第2抗体17の位置する部位で
は、ヒトHb吸着担体のみが第2抗体17と抗原抗体反
応を起こし、トラップされる(サンドイッチ法)。便溶
解液中にヒトHbが含まれなかった場合には、ヒトHb
−第1抗体感作担体複合体は第2抗体17にトラップさ
れず、すべて展開層11の終末端11cに移動する。従
って判定窓1bから観察すると、便溶解液中にヒトHb
が含まれた場合は担体の色調が観察され(陽性)、含ま
れなった場合は観察されない(陰性:展開層11の色の
まま)。
【0041】なお、判定窓1bは、上記の判定が明瞭に
観察される位置に設置されていれば、形状あるいは大き
さに制限はない。上記のように、本例の便潜血判定装置
では、採便器具2を便に突き刺した後には、本体1の採
便器具挿入孔1aから本体1に挿入し、さらに便が緩衝
液に溶解した頃を見計らって下方に採便器具2を押圧す
るだけで、便溶解液から固形分が除去され、かつ便溶解
液がクロマトグラフィー部の展開層11に滴下される。
従って、展開層11において展開され、第1抗体感作担
体16を含む便溶解液が毛細管現象により展開層11に
浸透し、第1抗体感作担体16が展開層13中を移動
し、判定窓1bから観察し得る判定部11bの適当な位
置に固定された第2抗体17によって固定化される。よ
って、判定窓1bを通して固定化された担体16の有無
を観察することにより、便潜血の有無を判定することが
できる。すなわち、担体16の色調が、展開層11の色
調と明確なコントラストを示す場合、便潜血が存在する
ことがわかる。
【0042】図5(a),(b)は、第1の構造例の便
潜血判定装置における採便器具及び緩衝液容器の変形例
を示す各斜視図である。第1の構造例では、丸棒状の採
便器具2を、採便器具挿入孔1aから本体内の緩衝液容
器3内に挿入されていたが、図6(a)に示すように、
採便器具2の上端にキャップ2fを固定し、緩衝液容器
3に該キャップ2fが固定されるように構成してもよ
い。すなわち、キャップ2fの内周面にはめねじが形成
されており、該めねじと噛み合うねじ山が緩衝液容器3
の上端外周縁に形成されている。従って、図6(b)に
示すように、採便器具2を便に突き刺し、凹部2aに便
を採取した後、緩衝液容器3内に挿入し、キャップ2f
をキャップ取り付け部3bに噛み合わせて固定し、図示
のように手で緩衝液容器3を振盪することにより、便を
緩衝液4に溶解させるように構成してもよい。
【0043】上記のように、緩衝液容器3にキャップ2
fを利用して採便器具2を固定した構造を採用する場合
には、図4の採便器具挿入孔1aに代えて、緩衝液容器
3を本体1の上面から本体1内に挿入し得るように比較
的大きな開口を形成すればよい。そして、キャップ2f
を下方に押圧することにより、緩衝液容器3を下方に移
動し、図4に示した押圧ばね7を圧縮するように構成す
ればよい。
【0044】なお、図6(b)では、緩衝液容器3の底
部は一様に図示されているが、第1の構造例にそのまま
適用する場合には、図6(b)に示した緩衝液容器3の
底部に、図4に示した緩衝液容器3と同様に段差3aを
形成すればよい。
【0045】図6(a)及び(b)は、第1の構造例の
他の変形例を説明するための各略図的断面図である。本
変形例では、緩衝液容器3の底面の下方隔壁8と展開層
11との間に流路を構成するために筒状部材21が配置
されている。筒状部材21の上端は、下方隔壁8に液密
的に固定されている。また、本変形例では、下方隔壁8
は、緩衝液容器3の底面と分離可能に構成されている。
他方、筒状部材21の中間高さ位置には試料流入孔21
aが形成されており、かつ下端にはフィルタ10が配置
されている。
【0046】図6に示した変形例では、採便器具2を緩
衝液容器3に挿入し、図6(b)に示すように採取され
ている便が緩衝液4に溶解した頃を見計らって採便器具
2を押圧する。その結果、緩衝液容器3が押圧ばね7を
圧縮し、下方に移動する。このとき、筒状部材21及び
下方隔壁8が緩衝液容器3内に入り込み、その結果、便
溶解液が筒状部材21の試料流入孔21aから筒状部材
21内に流入する。そして、流入した便溶解液はフィル
タ10により濾過され、下方の展開層11に滴下され
る。
【0047】図7は、本発明の第2の構造例に係る便潜
血判定装置を説明するための断面図であり、第1の構造
例について示した図4に相当する図である。判定窓1b
及びフィルタ10より後段の部分すなわちクロマトグラ
フィー部については第1構造の例と同様に構成されてい
るため、相当の部分については相当の参照番号を付する
ことにより、その説明は省略する。
【0048】第2の構造例では、本体1の上面のスイッ
チ挿入孔1eに、棒状のスイッチ22が挿入されてい
る。スイッチ22は、スイッチ挿入孔1eから本体1内
に挿入されており、かつ緩衝液容器3内にも至るように
構成されている。また、スイッチ挿入孔1eの下方の空
間23内において、スイッチ22の外周面にフランジ2
3aがスイッチ22と一体に形成されている。このフラ
ンジ22aの下方に押圧ばね24が配置されており、該
押圧ばね24により、スイッチ22は、常時は上方に付
勢されている。
【0049】また、スイッチ22の下端22bは図示の
ように尖らされており、緩衝液容器3の底部の一部に設
けられた下方隔壁8を貫通し得るように構成されてい
る。本例では、採便器具2により便を採取した後、図7
に示すように採便器具挿入孔1aから本体1内の緩衝液
容器3に採便器具2を挿入し、便溶解液を得る。第2の
例においても、O−リング14が設けられているため、
余剰な便は空間12に排出される。
【0050】次に、便が緩衝液4に溶解した頃を見計ら
ってスイッチ22を下方に押圧する。その結果、押圧ば
ね24が圧縮され、スイッチ22の先端22bにより下
方隔壁8が貫通され、便溶解液が下方のフィルタ10上
に滴下される。その後の工程は、第1の構造例と同様で
ある。
【0051】すなわち、第2の構造例は、スイッチ2に
より便溶解液を得る構造と、便溶解液をフィルタ10側
に滴下する構造とが分離されていることに特徴を有し、
その他の構成については第1の構造例と同様である。従
って、第1の例と同様に、判定窓1bから覗き込むこと
により、展開層11において便潜血の有無を判定するこ
とができる。
【0052】図8(a)及び(b)は、上記スイッチ2
2の変形例を示す各断面図である。第2の例では、スイ
ッチ22として、先端22bが尖らされた棒状の部材を
示したが、図8(a)に示すように、スイッチ22の下
端側において下端に通じる溝22cを形成したり、ある
いは図8(b)に示すように下端に通じる内部流路22
dを形成してもよく、それによって便溶解液をより円滑
にフィルタ10上に滴下することができる。なお、図8
(b)においては、上記内部流路22dは、スイッチ2
2の中間高さ位置において開いた流入孔22eを有し、
この例では、図9に略図的部分切欠断面図で示すよう
に、スイッチ22を押圧した際に、該流入孔22eから
緩衝液4が流れ込み、下方に滴下されることになる。こ
の場合、流入孔22eの高さ位置は、図9に示したよう
に、スイッチ22を下方に押し込んだ状態で緩衝液容器
3内に位置するように選択する必要がある。
【0053】図10は、第2の構造例のさらに他の変形
例を説明するための部分切欠断面図である。ここでは、
スイッチ22が外筒22fと内筒22gとを有する。外
筒22fは、スイッチ挿入孔1eから本体1内に挿入さ
れており、内筒22gは、フィルタ10の上面に固定さ
れている。また、外筒22f及び内筒22gには、それ
ぞれ、上下方向に並ぶように貫通孔22h,22iが外
周面に形成されている。従って、本例では、採便器具2
を緩衝液容器3内に挿入し、便溶解液を得た後に、スイ
ッチ22の外筒22fを下方に押し込むことにより貫通
孔22hと貫通孔22iとが重なり合い、便溶解液が内
筒22g内に流れ込み、下方のフィルタ10に滴下され
る。他方、便溶解液を滴下した後には、外筒22fを上
方に引上げ、貫通孔22hと貫通孔22iとが重なり合
わないように配置することにより、便溶解液の流入を停
止することができる。
【0054】なお、図10に示した変形例において、好
ましくは、外筒22fの空間23内に位置する部分にお
いて外周面にフランジを設け、該フランジの下面に押圧
バネを配置することにより、外筒22fを上方に付勢し
ておいてもよく、その場合には、外筒22fを押圧した
後に、手を離すだけで外筒22fを図10に示す初期状
態に復帰させることができる。
【0055】図10からも明らかなように、第2の構造
例におけるスイッチ機構については、緩衝液容器3の底
面と展開層11との間に便溶解液を流下させる適宜の構
造により流路を形成し得るように種々変形することがで
きる。
【0056】
【作用】請求項1に記載の発明では、上記本体内の緩衝
液容器内において、便試料が溶解され、かつ上記本体内
に配置されたフィルタにより便試料か溶解された緩衝液
(以下、便溶解液と略す。)が濾過され、かつ同じく本
体内に設けられており、かつ上記抗ヒトヘモグロビン抗
体感作担体及び抗ヒトヘモグロビン抗体が固定された展
開層によって免疫クロマトグラフィー法により便潜血の
有無が判定される。
【0057】すなわち、請求項1,2に記載の発明にお
いては、いずれにおいても、免疫法による便潜血検査に
おいて必須の工程である便試料の溶解工程及び便溶解液
の濾過工程ならびに免疫反応を行わせる工程が、全て同
一装置内すなわち本体内で行われる。よって、免疫法に
よる便潜血判定装置の構成が簡略化されている。
【0058】しかも、請求項1に記載の発明では、上記
緩衝液容器又は採便器具を上下に移動させることによ
り、緩衝液容器下面と上記展開層との間に流路が形成さ
れ、それによって便溶解液が展開層に滴下される。
【0059】また、請求項2に記載の発明では、上記ス
イッチを押圧することにより、同様に緩衝液容器下面と
展開層との間に流路が形成され、便溶解液が展開層に滴
下される。
【0060】従って、採便器具により便を採取した後、
採便器具を本体の上記開口から挿入し、しかる後、上記
各操作を行い、便潜血の判定を判定窓から観察すること
により容易に行うことができる。すなわち、請求項1,
2に記載の発明においては、いずれにおいても、比較的
簡便な操作により、便潜血の判定を確実に行うことがで
きる。
【0061】
【実施例】以下、本発明の非限定的な実施例を説明する
ことにより、本発明を明らかにする。 実施例1 (1)第1抗体感作担体の調製:第1抗体として抗ヒト
Hbモノクローナル抗体(マウスMU−110:日本バ
イオテスト研究所製)のリン酸緩衝液溶液(pH7.
2:200μg/ml)10mlを調製した。さらに前
述したラテックス粒子の着色方法の方法により調製し
たポリスチレン系青色ラテックス(平均粒径0.12μ
m:固形分5重量%)10mlに添加し、37℃で60
分間攪拌した。得られた分散液を4℃で18,000r
pmで50分間遠心分離した。上清を除去した後、1重
量%BSA(Sigma社製)のリン酸緩衝液溶液(p
H7.2)を添加し、ラテックス濃度が1重量%になる
ように調整した。 (2)第1抗体感作担体及び第2抗体結合展開層の作
製:第2抗体である抗ヒトHbモノクローナル抗体(マ
ウスMU−107:日本バイオテスト研究所製)の1m
g/mlリン酸緩衝液溶液(pH7.2)5μlを、展
開層(ニトロセルロースメンブラン:バイオラッド社
製:1×5cm)に滴下し、室温で12時間乾燥させ
た。さらに乾燥後、1重量%BSAのリン酸緩衝液溶液
(pH7.2)に37℃で30分間浸漬し、しかる後、
再び室温で12時間乾燥させた。
【0062】また、上記(1)で得られた第1抗体感作
担体0.5μlを上記と同様の方法で展開層に固定化し
た。 (3)システムの作成:図4に示した構造例と同様のシ
ステムを作成した。採便器具21としては図2(b)の
形状を有するポリエチレン製のものを用い、緩衝液容器
はポリエチレン製(容量2.5ml)を用い、リン酸緩
衝液(pH7.2)2.0mlを注入した。滴下量は1
00μlに設定した。濾過装置は、平均細孔径2μmの
液体クロマトグラフィー用フィルタ(積水化学工業社
製)を用いた。
【0063】試験例1 本例ではヒトHb標準液を用い感度試験を行った。ヒト
Hb(Sigma社製)をリン酸緩衝液(pH7.2)
に溶解し、該溶液を0〜1000μg/mlの濃度にな
るように上記実施例1で作製したシステムの緩衝液容器
3に添加した。軽く振盪してから採便器具2を押し込
み、滴下部より展開層11に滴下した。5分間静置後、
本体の判定窓1bより展開層11の第2抗体固定化部位
17を観察し、着色ラテックスの青色が観察されるか否
かにより、陽性または陰性を判定した。結果を表1に示
す。表1の結果から、本発明のシステムによるヒトHb
の測定感度は0.25μg/mlであることがわかっ
た。
【0064】試験例2 本例ではヒト便試料中に一定量のヒトHb標品を添加
し、該試料を試験例1と同じシステムに適用した。
【0065】試験例1と同様に、緩衝液容器3にヒトH
b標品を添加した。さらに健常人の便から採便器具2に
より一定量の試料を採取し、緩衝液容器3にセットして
溶解した。上記試験例1と同様に操作し、判定を行った
結果を、表1に示す。表1から明らかなように、試験例
1と同様の結果が得られた。従って、本発明のシステム
は、便試料検査に応用し得ることがわかる。
【0066】
【表1】
【0067】実施例2 (1)第1抗体感作担体の調製並びに(2)第1抗体感
作担体及び第2抗体結合展開層の作製は実施例1と同様
に行った。 (3)システムの作製 図7に示した構造例と同様のシステムを作成した。採便
器具2は図2(b)の形状を有するポリエチレン製のも
のを用い、緩衝液容器3はポリエチレン製(容量2.5
ml)を用い、リン酸緩衝液(pH7.2)2.0ml
を注入した。滴下量は100μlに設定した。また、濾
過装置は、平均細孔径2μmの液体クロマトグラフィー
用フィルタ(積水化学工業社製)を用いた。
【0068】試験例3 本例ではヒトHb標準液を用い感度試験を行った。ヒト
Hb(Sigma社製)をリン酸緩衝液(pH7.2)
に溶解し、該溶液を0〜1000μg/mlの濃度にな
るように上記実施例2で作製したシステムの緩衝液容器
5に添加した。軽く振盪してから滴下スイッチ22を押
し、便溶解液を展開層11に滴下した。5分間静置後、
本体の判定窓1bより展開層11の第2抗体固定化部位
17を観察し、着色ラテックスの青色が観察されるか否
かにより、陽性または陰性を判定した。結果を表2に示
す。表2の結果から、本発明のシステムによるヒトHb
の測定感度は0.25μg/mlであることがわかる。
【0069】試験例4 本例ではヒト便試料中に一定量のヒトHb標品を添加
し、該試料を試験例3と同じシステムに適用した。
【0070】試験例3と同様に、緩衝液容器3にヒトH
b標品を添加した。さらに健常人の便から図2(d)の
採便器具2により一定量の試料を採取した。該採便器具
2を本体にセットし、軽く振盪した。上記試験例3と同
様に操作し、判定を行った結果を表2に示す。得られた
結果から、本発明システムは、便試料検査に応用し得る
ことが確認された。
【0071】
【表2】
【0072】
【発明の効果】以上のように、請求項1,2に記載の発
明によれば、採便器具と組み合わされた本体内において
便を溶解するための緩衝液容器及び便試料中の固形物を
濾過するためのフィルタならびにクロマトグラフィー部
を構成する展開層が一体的に構成されている。従って、
請求項1に記載の発明では、採便器具より便試料を採取
した後に、本体内に挿入し、緩衝液容器又は該採便器具
を上下に移動させるだけで、便溶解液が流路形成手段に
より展開層に流れ、展開層により便潜血の有無を判定す
ることができる。同様に、請求項2に記載の発明では、
採便器具を本体内に挿入した後に、上記スイッチを押圧
することにより、便溶解液が展開層に滴下され、同様に
便潜血の有無を判定することができる。
【0073】よって、請求項1,2に記載の発明では、
免疫クロマトグラフィー法を利用した便潜血判定の全工
程が上記本体内において行われるため、便潜血判定に必
要なシステムの構成が簡略化されており、かつ極めて容
易に、さらに未熟練であっても簡単に便潜血の有無を判
定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の構造例の便潜血判定装置を説明
するための概略斜視図。
【図2】(a)〜(c)は、採便器具の変形例を説明す
るための各側面図。
【図3】(a)〜(c)は、それぞれ、採便器具の他の
変形例を説明するための各側面図。
【図4】第1の構造例の便潜血判定装置の略図的断面
図。
【図5】(a)及び(b)は、それぞれ、採便器具及び
採便器具がセットされた緩衝液容器の変形例を説明する
ための各斜視図。
【図6】(a)及び(b)は、第1の構造例の変形例を
示し、(a)は採便器具を緩衝液容器に挿入した状態を
示す略図的断面図、(b)は採便器具を下方に移動させ
て緩衝液容器と展開層との間に流路を形成した状態を示
す略図的断面図。
【図7】第2の構造例の便潜血判定装置を説明するため
の略図的断面図。
【図8】(a)及び(b)は、それぞれ、スイッチの変
形例を示す各断面図。
【図9】図8(b)に示したスイッチを押圧した状態を
示す部分切欠断面図。
【図10】第2の構造例の変形例を説明するための部分
切欠略図的断面図。
【符号の説明】
1…本体 1a…採便器具挿入孔 1b…判定窓 1e…スイッチ挿入孔 2…採便器具 3…緩衝液容器 4…緩衝液 7…押圧ばね 8…下方隔壁 9…流路を形成するための滴下針 10…フィルタ 11…展開層 22…スイッチ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 便潜血を判定するための装置であって、 便を採取するための採便器具と、 外面に前記採便器具を挿入するための開口及び便潜血の
    有無を外部から判定するための判定窓を有する本体と、 前記本体内に設けられており、前記開口を通して前記採
    便器具が挿入されるように配置された緩衝液容器と、 前記緩衝液容器の下方に配置されており、便試料が溶解
    された緩衝液を濾過するためのフィルタと、 前記フィルタの下方に開始端が位置するように、かつ判
    定部が前記判定窓に臨むように配置されており、抗ヘモ
    グロビン抗体感作担体及び抗ヒトヘモグロビン抗体が固
    定された展開層と、 前記緩衝液容器または該緩衝液容器に挿入された採便器
    具を上下に移動させることにより、前記緩衝液容器下面
    の少なくとも一部から前記展開層へ便試料が溶解された
    緩衝液が流れるように、前記緩衝液容器下面の少なくと
    も一部と前記展開層との間に流路を形成する流路形成手
    段とを備えることを特徴とする、便潜血判定装置。
  2. 【請求項2】 便潜血を判定するための装置であって、 便を採取するための採便器具と、 外面に前記採便器具を挿入するための開口及び便潜血の
    有無を外部から判定するための判定窓を有する本体と、 前記本体内に設けられており、前記開口を通して採便器
    具が挿入されるように配置された緩衝液容器と、 前記緩衝液容器の下方に配置されており、便試料が溶解
    された緩衝液を濾過するためのフィルタと、 前記フィルタの下方において、判定部が判定部が臨むよ
    うに配置されており、かつ抗ヒトヘモグロビン抗体感作
    担体及び抗ヒトヘモグロビン抗体が固定された展開層
    と、 前記便試料が溶解された緩衝液が緩衝液容器下面の少な
    くとも一部から前記展開層に流れるように、前記緩衝液
    容器下面の少なくとも一部と前記展開層との間に流路を
    構成するための流路形成手段と、 一端が前記本体外面に突出されており、かつ該一端を押
    圧することにより、前記流路形成手段が動作され、それ
    によって前記便試料が溶解された緩衝液が緩衝液容器か
    ら展開層に向かって滴下することを可能とするように構
    成されたスイッチとを備えることを特徴とする、便潜血
    判定装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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