JPH06323812A - 位置ずれ及びギャップ検出方法 - Google Patents

位置ずれ及びギャップ検出方法

Info

Publication number
JPH06323812A
JPH06323812A JP5135197A JP13519793A JPH06323812A JP H06323812 A JPH06323812 A JP H06323812A JP 5135197 A JP5135197 A JP 5135197A JP 13519793 A JP13519793 A JP 13519793A JP H06323812 A JPH06323812 A JP H06323812A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
optical axis
diffraction grating
optical
incident
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5135197A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsuhiro Kato
勝弘 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Soltec Co Ltd
Original Assignee
Soltec Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Soltec Co Ltd filed Critical Soltec Co Ltd
Priority to JP5135197A priority Critical patent/JPH06323812A/ja
Priority to PCT/JP1994/000178 priority patent/WO1994018522A1/ja
Publication of JPH06323812A publication Critical patent/JPH06323812A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Length Measuring Devices By Optical Means (AREA)
  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 X方向位置ずれとZ方向ギャップの2次元方
向に付いてそれぞれ補正可能な高精度の位置ずれ及びギ
ャップ検出方法を提案するものである。 【構成】 瞳面EP70に共役(結像)な関係にあるビー
ムウェストBW部分或いはその入射側にある光学系の補
正可動面16、20、29の微調整を行って、各組内の2光束
の夫々につき光軸からの離間距離、光束各組間の離間距
離或いは光束各組と光軸との離間距離を調整し、それに
より光軸に対する光束の入射位置調整が行なわれてマス
クMとウェハWの各回折格子36に照射されるアライメン
トビームの入射角微調整及び/又は光軸微調整を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、半導体超微細加工装
置[SORアライナ・ステッパ、液晶ステッパ等のプロ
キシミティ(近接)]等の露光装置や感光基板に露光さ
れたパターンの重ね合せ精度を測定するレジストレーシ
ョン精密測定等において、回折格子を用いた光ヘテロダ
イン干渉法を利用する位置ずれ及びギャップ検出方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】シンクロトロン放射光リソグラフィ用ア
ライナやフォトステッパ等の超精密位置合せにあっては
位置合せすべき2つの物体の位置ずれ検出を高精度に行
なう必要があり、そのために例えば特開昭62−261
003号や特開昭64−89323号等では、光ヘテロ
ダイン干渉光を利用した位置ずれ検出方法が提案されて
いる。
【0003】これらはいずれも2つの物体の各回折格子
から取り出された−1次、−1次回折光を干渉させ、こ
れらの両物体の夫々において生成されたビート信号の位
相差を検出することで両物体の位置ずれ量を測るもので
あり、ギャップ変動による強度変化の影響を受けないの
で、位置ずれ検出精度と分解能が飛躍的に向上するとし
て期待されている。
【0004】事実、分解能については、ステージ制御分
解能以上の5ナノ程度の高分解能が得られた。しかし、
実用に際しては、大気の揺らぎの影響を受け位相がふら
つき、検出精度は一桁弱劣化するのが普通であった。そ
のため2光束の組を2組を用いて、これらの組間で光軸
に対し左右対称になる光学系配置にしてレーザ光路を光
軸に近づけ、大気の揺らぎ、機械振動や熱振動の影響を
極力削減する措置が取られている。
【0005】一方X線リソグラフィ露光に関しては、実
用的なギャップ量は30μm程度と推測されているが、
より微細なパターンを転写するため、マスクとウエハを
より近接させた10μm前後のギャップによる解像度評
価が行われ超微細パターンが得られつつある。このた
め、位置合わせと共にZ方向の精密ギャップ制御が要求
され、微細加工達成のための重要なキーポイントになっ
ている。
【0006】このため、本発明者等はX方向位置ずれと
Z方向ギャップを検出できる方法の提案について行って
いる。即ち周波数のわずかに異なる(例えばf1とf2
2波長の単色2光束の組を2組、2つの物体(マスクと
ウェハ)の各回折格子に当てる入射照明光として用い、
これらの各組内の回折次数の異なる回折光(例えば周波
数f1の0次回折光と周波数f2の−1次回折光、及び周
波数f1の+1次回折光と周波数f2の0次回折光)を干
渉せしめて各組2つのビート信号を検出すると共に、こ
れらの組内におけるビート信号位相差φxz、φxz′を求
めて、これら組間のビート信号位相差の和及び/又は差
から2つの物体のX方向位置ずれ及びZ方向ギャップを
検出するというものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記構成
では、光ヘテロダイン干渉を利用した高分解能、高精度
な位置合わせ方法が故に、アライメント光学系の光軸の
倒れを精密に調整しなければならず、仮に光束が左右に
微量角傾いた場合や、光束全体が一方向に傾いた場合、
アンバランスな光路差が発生して不都合な位相変化が起
き、アライメント誤差が発生する。
【0008】このような微小量の補正は、他の検出法と
ミックスさせ補正した場合は、分解能面からみてかなり
高分解能化は困難であり、同一光学系構成に於いて高分
解能を維持した光ヘテロダイン干渉を用いた同一検出法
により補正校正する方が、システムも複雑に成らないの
で望ましい。
【0009】特に光へテロダイン方式でレンズを使用し
た光学系では、瞳面上で光軸に対して完全に平行光束に
調整しなければならず、上記2光束の組2組を用いるア
ライメント方法では、各組とも光軸の片側で平行にしか
も所定の間隔をおいて2光束が並び、且つ光軸の両側で
これらの2組が左右対称になるように調整しなければな
らず、又ギャップ変動で照明光位相波面がデフォーカス
(焦点ずれ)や収差等が原因で自ずと異なってくる問題
や、また実プロセス工程ではウエハの湾曲、プロセスウ
エハの段差、レジストの膜厚分布等があるので、均一位
相波面状態を常に維持できないので、照明光のギャップ
方向の波面歪み影響も考慮する必要があった。
【0010】またアライメントに影響が出ない光軸の倒
れの許容値は、0.2度以下と計算され指摘されている
が、4光束を用いた光へテロダイン方式の上記差動位相
検出法であっても精密な光軸調整が必要であり、光軸の
傾きや干渉縞の歪みにより左右対称な2組の位相変動量
差、検出範囲長差、振幅強度差が発生することや、図1
2に示すような回折格子36のピッチ変動や、光軸に対す
るピッチ傾き回転があると、ウェハWが非計測方向に移
動した時に不都合な位相変化が発生することが判明し
た。
【0011】また、レーザ光をプローブ光とした直線偏
光を利用しているため、光が透過、反射する場合それぞ
れP偏光、S偏光の複素透過率、反射率比が変化するの
で直線偏光の光軸が回転したり楕円偏光になるいわゆる
偏光漏れを生じ、レンズ等による偏光方向の偏心や、光
学部品の傾きや、ミスアライメントも加わりアライメン
ト誤差要因と成っていた。また、直交2周波ゼーマンレ
ーザを光源にした場合、直交直線偏光(P偏光、S偏
光)の混入(クロストーク)などが悪影響し干渉縞の面
内歪みが発生し、精度劣化だけではなく測定周期範囲内
の位相直線性が非線形になる現象が現れた。
【0012】また光学部材基板の温度むらや、レーザ光
路に至っては、大気の揺らぎによる屈折率の変動、外乱
光の影響、機械振動により引き起こる数10Hzを周期
にした遅い信号揺らぎが発生して、ビート信号がゆっく
り変動し、電気処理系では取りきれないため位相計測時
に誤差が発生していた。
【0013】本発明は、上記問題点に鑑み創案されたも
ので、X方向位置ずれとZ方向ギャップの2次元方向に
付いてそれぞれ補正可能な高精度の位置ずれ及びギャッ
プ検出方法を提案するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、大気の揺らぎ
による屈折率変動の影響を抑えることができる上記差動
位相検出法の構成を前提とする。即ち図1に示すよう
に、周波数のわずかに異なる(例えば周波数f1とf2
2光束を倍にして2組4光束とし、2つの物体(例えば
マスクとウェハ)に対向した対物レンズ35の瞳面EP70
(この面位置は、回折格子のフーリエ変換像が得られる
面である)上で、これらを光軸に対し平行で且つ組間で
左右対称な入射配置にする光学系を用いて、2つの物体
の回折格子36に夫々所定の入射角度(θ1とθ2)で入射
せしめ、得られた回折光の各組内における異次数同士
(例えば周波数f1の0次回折光と周波数f2の−1次回
折光、及び周波数f1の+1次回折光と周波数f2の0次
回折光)の回折光を干渉せしめてビート信号を得、各回
折格子36のX方向位置ずれ及びZ方向ギャップによる光
路差変動量に基づき生じる該ビート信号の下式数1乃至
数2に示される位相φxz及びφxz′からこれらの式の和
と差によりX方向及びZ方向の2次元位相変動量φx
びφzを夫々算出する構成である。
【0015】
【数1】φxz=−φx+φz、φxz=−φx+φz
【0016】
【数2】φxz′=φx+φz、φxz′=φx+φz
【0017】以上の構成を前提として、本発明は、瞳面
EPに共役(結像)な関係にあるビームウェスト部分或
いはその入射側にある光学系の補正可動面の微調整を行
って、各組内の2光束の夫々につき光軸からの離間距
離、光束各組間の離間距離或いは光束各組と光軸との離
間距離を調整し、それにより光軸に対する光束の入射位
置調整が行なわれて2物体の各回折格子に照射されるア
ライメントビームの入射角微調整及び/又は光軸微調整
を行うことを基本的特徴としている。
【0018】即ち可動光学部材を上記瞳面EPと共役な
関係にある位置(ビームウェスト部分)或いはその入側
にある光学系を、移動可能な補正可動面を有する光学部
材として、瞳面EPを操作可能にし、また上述のように
各組内の2光束の夫々につき光軸からの離間距離、光束
各組間の離間距離或いは光束各組と光軸との離間距離を
調整し、それにより光軸に対する光束の入射位置調整が
行なわれて2物体の各回折格子に照射されるアライメン
トビームの入射角微調整及び/又は光軸微調整を行うこ
とで、瞳面EP上で4光束が光軸に対して常に平行かつ
左右対称にるよう制御調整し、2つの物体の回折格子の
ピッチ長から得られる、所望の2光束間隔も調整可能と
なって、Psinθ=mλの回折基礎公式公式から得ら
れる±1次、0次の干渉条件のFλ/Pの間隔に入射照
明光を調整し、ピッチ誤差を補正して最良の干渉光を検
出する。
【0019】また第2発明は、2つの物体の回折格子と
共役な位置近傍に視野絞りASを設置し、該視野絞りA
Sに更に共役な関係にある2光束又は4光束の集光位置
の光学系の補正可動面の微調整を行って、該視野絞りA
S及び/又は2つの物体の回折格子におけるアライメン
トビームの波面調整や倍率誤差補正を行うことを特徴と
している。
【0020】即ち上記視野絞りASの面と更に共役な関
係にある面(上記2光束又は4光束の集光位置)の光学
系を、あおり、回転、移動が可能な補正可動面を有する
光学部材として、入射照明光波面を微動調整可能にし、
視野絞りASと回折格子を両テレセントリック関係配置
にして、デフォーカス時の焦点面の波面歪みや倍率誤差
補正をして位相むらを低減する。
【0021】第3発明は以上の2つの発明の構成を組み
合わせたもので、ここではその構成の詳細な説明は省略
する。
【0022】
【実施例】以下本発明法の具体的実施例につき詳述す
る。その前に後述の実施例構成で回折格子から得られる
回折光の区別を明確にするため、その回折次数につき、
予め定義しておく。
【0023】図2及び図3は反射回折格子の入射角・回
折角の符合の状態を示している。まず周波数fの単色光
が格子ピッチPの反射回折格子36に対し、光軸から入射
角θiの傾きを持って入射した場合、正反射となる回折
次数m、n=0の回折光を中心にそれより光軸側に回折す
るものはm、n=−1、−2、−3……というようにマイ
ナス次数又その反対側に回折するものはm、n=+1、+
2、+3……というようにプラス次数(これらの回折次
数に対応する回折角をθm、θnとする)になる。この時
の入射角θiと回折角θm、θnとの関係は、回折格子の
基礎公式により、次式数3及び数4の様になる。
【0024】
【数3】 sinθm−sinθi=m・λ/P
【0025】
【数4】 sinθn−sinθi=n・λ/P
【0026】以上の定義を基に、次に実施例構成につき
詳述する。図4及び図5はマスクMとウェハWの位置ず
れ検出を行なう本願第3発明法の実施に使用される光学
系装置構成の一例を示す斜視図と、該光学系光路詳細図
である。光学部材の配置は、光軸に対して左右対称配置
になるよう設計されている。
【0027】図4において、まず2波長直交偏光レーザ
光源12より偏光面が直交し、且つ周波数がわずかに異な
る(f1、f2)単色レーザ光(即ち、周波数f1成分に
ついては→で表わすP偏光、又周波数f2成分について
は↑で表わすS偏光)を発生させる。10は該光源12のコ
ントローラであり、電気的な処理を施してREF11から
|f1−f2|の周波数の参照ビート信号が出力されるよ
うになる。尚、該光源12については音響光学素子(AO
M)2つからなる周波数シフタ等で2周波数のものを得
る構成に置き換えてもよい。
【0028】この光源12から射出されたアライメント光
は通常3〜4度程度レーザ射出口で楕円偏光になってお
り、これをλ/4板13という位相板(回転補正光学部
品)によって2周波成分の直交状態をより正しい姿勢に
直す。そしてアライメント光のビームは偏光ビームスプ
リッタ(PBS)14に至り、そこからS偏光(f2周波
数)成分がレンズ15に至る。該レンズ15より出たf2
波数のS偏光成分はミラー16により光路を変え、その後
λ/2板17に対し、結晶軸と45°の方向から入射させ、
周波数f2のS偏光をP偏光にして、前記f1周波数のP
偏光と同じ偏光方向に変える。P偏光になったf2周波
数のアライメントビームは無偏光ビームスプリッタ22の
分離面で、図上BW72に示す面上に集光する(ビームウ
エストと呼ばれ、レーザビームが一番絞り込まれた状態
になっている)。可動部材18は、ミラー16をX方向に移
動可能であり、該ミラー16の移動により反射位置を移動
させ、第1BW72面上の集光位置を微動移動可能にす
る。これは後述するミラー20のX方向への移動構成と共
に、各組内の2光束の夫々につき光軸からの離間距離を
調整し、上記数3及び数4式に従って、回折格子のピッ
チPに依存する回折角度θm、θnで所望の回折光が得ら
れるようにするものである。
【0029】一方、偏光ビームスプリッタ14を透過した
P偏光のアライメントビームは、レズ19を経由してミラ
ー20により光路を変え、前記無偏光ビームスプリッタ22
の分離面でビームウエストになる。この無偏光ビームス
プリッタ22で前述したf2周波数成分のP偏光と、f1
波数成分のP偏光とが入射することになる。可動部材21
は、同様にミラー20をX方向に移動可能であり、該ミラ
ー20の移動により第1BW72面上の集光位置を微動移動
する。ここで、両アライメントビームは分離面第1BW
72上でビームウエストとなり分離後は、平行光として一
緒に2方向に分岐される。この面第1BW72は、後述の
対物レンズ手前の瞳面EP70と4光束のビームウエスト
第2BW71と共に共役(結像)関係にあり、第1BW72
を操作するとその共役面も関連して操作できる。
【0030】分離後の一方のアライメントビーム2光束
はレンズ23を通って該レンズ23の後面焦点位置にあるミ
ラー24の反射面上に集光する。この面は、後述の視野絞
りAS31と共役関係にある。可動部材50は、回転やあお
りの微動調整が可能で、視野絞りAS31上のアライメン
トビームの波面を調整できる。更にミラー24は、レンズ
25の前側焦点距離に配置されているので、反射後の2光
束はレンズ25透過後は、平行2光束となり、ナイフエッ
ジ45゜直角反射プリズム29に至る。もう一方のアライ
メントビーム2光束はレンズ26を通って該レンズ26の後
面焦点位置にあるミラー27の反射面上に集光する。この
面も、後述の視野絞りAS31と共役関係にある。可動部
材51は、同様に微動調整可能で、視野絞りAS上のアラ
イメントビームの波面を調整できる。更にミラー27は、
レンズ28の前側焦点距離に配置されているので、反射後
の2光束はレンズ25透過後は、同様に平行2光束とな
り、ナイフエッジ45゜直角反射プリズム29に至る。
【0031】該ナイフエッジ45゜直角反射プリズム29
から反射された4光束は、レンズ25、28の後側焦点位置
にある第2BW71でレーザビームが絞り込まれたビーム
ウエスト状態となり、光軸に平行で対称な4光束点光源
となる。この第2BW71面は、前期の第1BW72と同様
に、また後述の瞳面EP70とも共役な関係にある。そし
て可動部材52は、ナイフエッジ45゜直角反射プリズム
29をX方向及びZ方向に移動させることができ、そのX
方向移動で光軸に対する平行移動操作を行って光束の各
組全体と光軸との離間距離を調整し、又Z方向移動で2
光束の組間の光軸からの離間距離を夫々調整できる。尚
本実施例では、前記可動部材18により第2BW71面上の
両組外側の2光束を、同様に前記可動部材21により第2
BW71面上の両組内側の2光束を夫々操作できるように
してあるのは、前述した通りである。
【0032】前記ナイフエッジ45゜直角反射プリズム
29により反射し所定間隔にセットされた左右対称平行4
光束は、図4及び図5に示される様にアホーカル系構成
のレンズ30、32で所定の幅(具体的には後述する様に光
軸より両側に2光束間隔が夫々F・sinθ)に調整され
る。即ち前記レンズ30はその前側焦点位置が第2BW71
のレーザビーム4光束点光源の近傍になるように設置し
てあり、又もう一方のレンズ32はその前側焦点位置に該
レンズ30の後側焦点位置が来るように設置してある。従
ってレンズ30から出た光束は一度該レンズ30の後側焦点
位置でそのビームが平行交差し、この位置に配置された
視野絞りAS31でビームが通過中に整形され、マスク
M、ウエハW上のアライメント用マークの回折格子面だ
けを照明する形状にする。視野絞りAS31の形状は、回
折格子の計測方向に視野絞り自身のフランホーファ回折
像が投影しない、例えば平行四辺形や変形スリット等の
形状が望ましいが、ここでは円形形状とした。
【0033】視野絞りAS31の位置は、マスクM及びウ
ェハW上の後述する回折格子36と共役(結像)な関係に
ある。ここで整形されたビームは、レンズ32を出た所で
光軸対称な4光束となる。しかもこのレンズ32により後
側焦点の位置に瞳面EP70(光束ビームが一番絞られる
面)が作られる。ここが後述するアライメント射出瞳と
なる。この時瞳面EP70で2光束の幅は夫々光軸からF
・sinθとなる(ここでFは後述する対物レンズ35の後側
焦点距離、又θはマスクM及びウェハWの各回折格子36
にアライメント光を入射した場合に得られる回折光の回
折角度を指す)。尚該レンズ30と後述するレンズ32はテ
レセントリックな関係になっている。
【0034】このレンズ32から出た光束は光軸に対して
平行に進み、前記対物レンズ35前側焦点距離位置にある
瞳面EP70上で上述した間隔を開けて夫々集束した後、
この瞳面EP70がその中にある偏光ビームスプリッタ33
を透過して、λ/4板34でその直線偏光が円偏光とな
り、対物レンズ35により所定の入射角度で4光束が同時
にマスクM及びウェハWの各回折格子36に入射される。
この時のアライメント光の入射角度は、そのビームが光
軸反対方向から入射する位置に0次、±1次回折光が得
られ、該光軸との間の角度に丁度相当し、該方向から逆
向きに回折されることになる。
【0035】該入射によってこれらが回折した時点で、
1周波数成分の0次光とf2周波数成分の−1次光が、
またf1周波数成分の+1次光とf2周波数成分の0次光
が(その他組内の2光束に由来する異次数回折光同士
が)夫々干渉し合う。これらの回折光は、マスクM面及
びウェハW面に垂直な光軸に対して左右対称に進み、且
つ円偏光の回転方向が逆になって進むことになる。そし
て該回折光は前述の対物レンズ35を通って光軸に対して
平行光となりながら前記λ/4板34に進み、それによっ
て入射時の直線偏光と90゜直交する角度の直線偏光に再
度なり、偏光ビームスプリッタ33の分離面で反射されて
入射方向と完全にアイソレーション(絶縁分離)する。
尚、ここでは全ての回折光のうち、6光束のみを明記
し、高次の回折光は明記しなかった。
【0036】前記λ/4板34を通過した光束は瞳面EP
70で一度集光し、該瞳面EP70が丁度その前側焦点距離
の位置に相当する位置になるように配置されたテレセン
トリックな結像関係にするレンズ37により、回折光がマ
スクM及びウェハWの各回折格子36と共役(結像)関係
にあるM,W Conjugate(共役)面73で不要な回折光
は除去され所望の6光束を集光させる。レンズ37、38は
アホーカル拡大鏡の構成で共役面73のマスクMとウェハ
Wの干渉像をそれぞれ分離できる程度に拡大する。レン
ズ38を通過した6光束は平行光となり、直角三角プリズ
ム39に至ったところで、左右の各3光束が夫々光軸に対
して対称に反射して進行方向を変え、夫々の光束はレン
ズ38の後側焦点距離位置で絞り込まれる。
【0037】そのうち一方の干渉回折光は、空間フィル
タ40で中央の(−2、−1)次干渉光束が遮光され、左
右の2光束が該空間フィルタ40を透過し、前側焦点距離
が前記絞り込まれた位置(空間フィルタ40の位置)にな
るようにセットされたレンズ41、42に至り、更に該レン
ズ41、42の後側焦点距離の位置にある2分割ディテクタ
43、44の受光面上で結像する。該受光面は回折格子36と
共役関係にあり、前記視野絞りAS31で成形された形状
と同じ回折光の像が得られる。そしてそこでマスクM及
びウェハWの各回折格子36と対応した光ヘテロダイン信
号4種類を各々検出して電気処理を施し、夫々の相対位
相を算出する。また前記直角三角プリズム39で反射され
たもう一方の平行3光束は、空間フィルタ45で同様に
(−2、−1)次干渉光が遮光され、(+1、0)次及
び(0、−1)次の干渉光が透過する。前側焦点距離の
位置が前述した絞り込まれた位置(空間フィルタ45)に
なるようにセットされたレンズ46、47に至り、更に該レ
ンズ46、47の後側焦点距離の位置にある2分割ディテク
タ48、49の受光面上で結像する。該受光面は回折格子36
と共役関係にあり、前記視野絞りAS31で成形された形
状と同じ回折光の像が得られる。そしてそこでマスクM
及びウェハWの各回折格子36と対応した光ヘテロダイン
信号4種類を各々検出して電気処理を施し、夫々の相対
位相を算出する。尚、図面上には示されていないが、2
分割ディテクタ43、44、48、49の手前に外乱光除去のた
めのスリットを設置しても良い。
【0038】よって、同一次数組、同一検出検出範囲長
(位相周期)の4種類で計8個の干渉光の複数干渉ビー
ト(交流)信号より、前記REF11からの参照ビート信
号との相対位相差を複数検出することによって、変化量
(ディテクタ43と48で検出された位相変化量及びディテ
クタ44と49で検出された位相変化量)が等しくなる補正
量を算出し可動光学部材にフィードバツクする。補正確
認後、位置ずれΔx及びギャップΔzの相対位相を平均
算出処理を施して求め、該ΔxとΔzに対応する相対位
相差量を、和と差からそれぞれ分離して求める。
【0039】次に別の実施例を図6を用いて説明する。
前実施例では無偏向ビームスプリッタにより4光束を分
離したが、本実施例では、2光束を透過型基準回折格子
に照明して、得られる回折透過光の±1次、±1次の同
一強度の左右対称4光束入射照明光を得る。
【0040】図6では、アライメント光のビームは偏光
ビームスプリッタ(PBS)14に至り、そこからS偏光
(f2周波数)成分がレンズ15に至る。該レンズ15より
出たf2周波数のS偏光成分はミラー16により光路を変
え、その後λ/2板17でS偏光をP偏光に変える。P偏
光になったf2周波数のアライメントビームはナイフエ
ッジ45゜直角反射プリズム29の反射面上に集光する。
この反射面は、瞳面(EP)70と空間フィルタ63のビー
ムウエスト第2BW71と共に共役(結像)関係にある。
そして可動部材50は、ミラー16をX方向に移動すること
が可能であり、該ミラー16の移動により反射位置を移動
させ、プリズム29の反射面上の集光位置を微動移動可能
にする。一方、偏光ビームスプリッタ14を透過したP偏
光のアライメントビームは、レズ19を経由してミラー20
により光路を変え、前記ナイフエッジ45゜直角反射プ
リズム29の反射面上でビームウエストになる。この反射
面も、瞳面(EP)70と空間フィルタ63のビームウエス
ト第2BW71と共に共役(結像)関係にある。そして可
動部材51は、同様にミラー20をX方向に移動することが
可能であり、プリズム29の反射面上の集光位置を微動移
動する。
【0041】このナイフエッジ45゜直角反射プリズム
29で反射した後、前述したf2周波数成分のP偏光と、
1周波数成分のP偏光とが平行2光束になる。また可
動部材52はX方向に該プリズム29を移動することが可能
であり、両反射面上の集光位置を微動移動することがで
き、更にZ方向にも移動させることも可能であり、2光
束の間隔も調整できる。平行2光束は、前側焦点距離の
位置が該プリズム29反射面にセットされたレンズ60至
る。
【0042】アライメントビーム2光束はレンズ60を通
過して該レンズ60の後側焦点距離の位置にある基準回折
格子61面で平行交差する。この面は、後述する視野絞り
AS31と共役関係にある。該格子61にセットされた可動
部材55は、該回折格子61の回転やあおりの微動調整が可
能で、視野絞りAS31上のアライメントビームの波面を
調整できる。またこの基準回折格子61に入射する2光束
の入射角度を、前記可動部材52によるプリズム29のX方
向及びZ方向移動で調整し、強度が等しい±1次、±1
次の透過回折光が所望の間隔になるようにする。
【0043】該回折格子61面からの透過回折光は、前側
焦点距離の位置が回折格子61面上にセットされたレンズ
62の後側焦点距離の位置にある第2BW71で、レーザビ
ームが絞り込まれたビームウエスト状態となる。光軸に
平行で対称な4光束点光源となった±1次、±1次の透
過回折光を空間フィルタ63で通過させ、0次光と、高次
回折透過光を遮光する。この第2BW71面は、前述のプ
リズム29反射面と同様に、後述する瞳面EP70と共役な
関係になる。
【0044】空間フィルタ63を通過した所定間隔配置さ
れた左右対称平行4光束は、図6に示される様にアホー
カル系構成のレンズ30、32で所定の幅(具体的には後述
する様に光軸より両側に2光束間隔が夫々F・sinθ)に
調整される。以後の光学系は前実施例と同じであり、そ
の詳細は省略する。また本図面では図示しなかった偏波
面保持ファーイバを用いた光学系でも同様に調整可能で
ある。
【0045】次に以上の様な2実施例構成が実施された
場合のその作用につき詳述する。
【0046】上記の2実施例では数十ミクロンギャップ
量を持ったマスクMに形成された回折格子36とウェハW
に形成された回折格子36に対し、対物レンズ35を介して
コヒーレントなレーザ光を4方向から入射させ、回折光
を発生させたものである。尚簡略のためマスクM(又は
ウェハW)1種類に上記レーザ光を当てた場合につい
て、以下説明する。
【0047】図7及び図8(a)(b)はL/S(ライ
ン&スペース比)が1:1である回折格子(Px:格子
ピッチ)に対して照射を行なった状態の回折光強度分布
と瞳面70の断面図及び回折格子の状態を示す説明図であ
る。前記回折格子36から後側焦点距離Fの位置にある前
記対物レンズ35により回折格子36の回折格子像が得られ
る面(この面は対物レンズ35の前側焦点距離Fの位置に
ある)を瞳面EP70と呼ぶ(この面は回折格子36のフー
リエ変換像を得た面なのでフーリエ面とも呼ばれる)。
【0048】光軸方向からθ1内側入射角、θ2外側入射
角度の角度差をもたせて、光軸に対して対称位置に2光
束の組2組が入射する入射配置とする。θ=(θ12)
の角度差は、±1次の回折角度と等しい角度である。ま
ず光軸方向から左シフトした2光束f1及びf2は、この
図では瞳面EP70上で光軸に対して左側にF・sinθ1
びF・sinθ2離れた位置に、即ちこれらの2光束の間隔
が(0、−1)次及び(+1、0)次回折ヘテロダイン
干渉光が得られる間隔になるように、調整されている.
【0049】瞳面EP70では一度集光(ビームウエス
ト)された状態となって入射され、対物レンズ35により
回折格子36に照射される。図8(a)に示すように、該
瞳面EP70上では強度分布の広がりはあるが、その強度
分布の中心がビームウエスト位置になる。その結果図7
に示した光軸に対しその入射方向とは対称な位置に、即
ち逆方向のもう一方(斜線)の2光束入射位置に、それ
ぞれ正反射(0次)回折光が取り出されることになる。
その回折光の像は対物レンズ35の瞳面EP70上でフーリ
エ変換像に変換される。このf1及びf2の周波数成分の
瞳面EP70上における回折光の強度分布を図7(b)の下
段に示す。同図に示される様に、0次と±1次の回折光
強度分布が光軸から右にシフトした位置に並んでいる。
【0050】同様に斜線で示す右方向からのf1及びf2
周波数成分のレーザ光は、同図に示すように、瞳面EP
70上で光軸右側にF・sinθ1及びF・sinθ2離れた位置
で一度集光され、対物レンズ35により回折格子36に照射
される。その結果光軸に対しこの入射方向とは対称な位
置に、f1及びf2周波数成分の正反射(0次)が取り出
されることになる。その回折光の像は対物レンズ35の瞳
面EP70上でフーリエ変換像に変換される。この強度分
布を図7(b)の上段に示す。同図に示される様に、±1
次と0次の回折光強度分布が光軸から左シフトした位置
に並んでいる。
【0051】前述の場合と同様、同図(c)に、各回折
光の干渉ビート光を視覚化して○で示す。かくして1組
のf1及びf2周波数成分の回折次数m=+1、n=−1
の回折光とf2及びf1周波数成分の回折次数n、m=0
の回折光との光ヘテロダイン干渉縞が、またもう1組の
1及びf2周波数成分の回折次数m、n=0の回折光と
2及びf1周波数成分の回折次数n=−1、m=+1の
回折光との光ヘテロダイン干渉縞が、同時にしかも光軸
に対して左右対称な位置に結合混入することなく得られ
ている。
【0052】更に上記両回折光の干渉で得られる|f1
−f2|の光ヘテロダインビート信号の干渉縞が得られ
る位置を図7(c)に同様に示す。ディテクタ48、49上で
は干渉縞空間で一様な明るさ(ワンカラー)内に調整さ
れ、波面歪みも取り除かれている。又光ヘテロダイン干
渉縞は高速(数十KHz〜数100KHz)であるため、
肉眼では見ることができず電気的な信号に変換しなけれ
ばならないが、回折格子を非計測方向に動かすと波面歪
みがある場合、位相変動が起こる。
【0053】次にこの様な入射方法によって得られる検
出範囲長の求め方を説明する。即ち2光束の光波を
1、u2とすると、次のように書ける。
【0054】
【数5】
【0055】
【数6】
【0056】互いに同一方向に偏光した光f1とf2は、
回折格子上で可干渉となる。ここで振幅が略等しく周波
数がわずかに異なっており(数10KHz〜数100KHz)、且
つ同一方向に進行する2つの波u1とu2の重ね合せを考
える。
【0057】干渉ビート周波数(うなり)は振幅の変動
の繰り返し周波数で、次式数7で表わせる。
【0058】
【数7】
【0059】光検出器(ディテクタ)が|u1+u22
で反応することを考慮して、u1とu2の2つの波の振幅
の和を2乗して波の重ね合せ強度を求めると次式数8が
得られる。
【0060】
【数8】
【0061】光ヘテロダインアライメント方式ではこの
位相差の測定を行なうことになるが、この位相差は±18
0゜以内と角度検出範囲が固定されてしまうため、前記
数8の[L(1)/λ1-L(2)/λ2]の項で示される光路差[L
(1)-L(2)]が、検出範囲と位相の進み遅れ方向を左右す
る項目となる。使用される2つの周波数f1とf2のレー
ザ光はわずかに波長が異なり、ビ−ト信号の周波数(f1-
f2)は約2.4X105Hzであって光周波数約5X1014と比較して
充分小さいので、レーザ波長はλ1=λ2≒λと置ける。
従って数8式のcosの位相項である次式数9は、次式数
10のように置き換えることができる。
【0062】
【数9】
【0063】
【数10】
【0064】以上の定義を基に位置ずれ及びギャップ検
出方法の原理を説明する。図9及び図10は、第1実施
例に於ける回折格子が点Pから点P′に移動した時、Δ
x及びΔzのX方向、Z方向の微少量移動により発生す
る光路差を示し、右シフトと左シフトの2光束入射時の
光路長差の変化を太線で示す。ここで(0,+1)次と(-1,0)
次の干渉について考察する。
【0065】まず光軸に対して非対称的に取り出されて
くるf1周波数成分の−1次回折光とf2周波数成分の0
次回折光の組及びf2周波数成分の−1次回折光とf1
波数成分の0次回折光の組の各光ヘテロダインビート信
号が、同じ位相方向(進み、遅れ)を示すことになるの
を説明する。
【0066】図9及び図10において回折格子36がΔ
x、Δzだけ移動した時の光路差を求める場合、その光
路を示すもののうち、丸Aで示す入射光路差のみを算出
すれば良い。回折方向の丸B及び丸Cで示す回折光路
は、光路差を求めるときL(1) とL(2)が共に等しいの
で光路差計算から消去されるからである。 ここで、θ1
を内側入射角、θ2を外側入射角として、微小移動した
時の周波数f1の成分の光路L(1)は、次式数11のよう
になる。
【0067】
【数11】
【0068】一方、周波数f2の成分の光路L(2)は、同
じく数12に示すようになる。
【0069】
【数12】
【0070】よって右に傾いた2光束から(0,-1)次及び
(+1,0)次共に、次式数13の光路差が発生する。
【0071】
【数13】
【0072】上式数13の右辺第一項は負、第二項は正
であり、その位相変化量はφxとφzを夫々の方向の位相
量とすると、以下の数14のようになる。
【0073】
【数14】
【0074】一方、図10の場合は、左に傾いた2光束
から発生する光路差は共に次式数15に示すようにな
る。
【0075】
【数15】
【0076】同様に、周波数f2の光路L(2)は、次式数
16のようになる。
【0077】
【数16】
【0078】よって左に傾いた2光束から(0,-1)次及び
(+1,0)次共に、次式数17の光路差が発生する。
【0079】
【数17】
【0080】上式数17の右辺第一項及び第二項は共に
正であり、位相変化量は以下の数18のように書ける。
【0081】
【数18】
【0082】上述した数14及び数18の和と差によ
り、φxとφzが分離して尚かつ複数測定することができ
る。
【0083】前記数8に光路差を代入してみると、X方
向の変位Δxを位相変化量φxとして検出でき、その周
期は逆数の下式数19を周期として直線的に変化し、ま
たZ方向は変位Δzを位相変化量φzとして検出でき、
その周期は逆数の下式数20を周期として同様に直線的
に変化する。
【0084】
【数19】
【0085】
【数20】
【0086】次にx方向、z方向の分解能差があること
について説明する。検出範囲長について考えると、
φx、φzの位相変化量が大きければ、位相の進み遅れが
早く、分解能が高くなり、検出範囲が狭くなるが、位相
変化量が小さければ逆になる。Δx、Δzの光路差は、
sinθ1とcosθ2の夫々の差で表されているので、三角関
数の差を積に直す公式により次式数21及び数22が夫
々得られる。
【0087】
【数21】
【0088】
【数22】
【0089】ここで上式よりφx、φzの分解能に差があ
ることが解り、θ1+θ2が90゜に成らないと上数式は等
しくならない。2つの実施例ではθ1+θ2が90゜以下で
あるため、上式数21及び数22の右辺の前の部分であ
る下式数23と数24を比較すると数23が大きいため
x方向の分解能がz方向と比較すると高くなる。実用上
はx方向が高分解能で、z方向はギャップ検出範囲の数
十〜百μmが望ましい。
【0090】
【数23】
【0091】
【数24】
【0092】0次と±1次の干渉なので回折基礎公式よ
り次式数25の関係が得られる。これをx方向、z方向
に当てはめて検出範囲長を求めてみる。図8(a)の瞳
面EP70上では、光軸から約1:5の距離に配置される
(θ2−θ1)は、0次と±1次の回折角度であることか
ら、近似的な検出範囲長を求めてみる。ここで次式数2
6及び数27のように近似する。
【0093】
【数25】
【0094】
【数26】
【0095】
【数27】
【0096】よって前式数10に代入して、x方向範囲
は次式数28により分母のPを周期とする。またz方向
は、同様に回折基礎公式を当てはめると、次式数29の
ようになる。
【0097】
【数28】
【0098】
【数29】
【0099】ここでピッチP=8μm、6μm及び4μ
mとし、波長λ=0.6328μmすると、X方向の周
期長は8μm、6μm及び4μmとなりピッチに等し
く、Z方向の周期長は夫々140.6μm、75.7μ
m及び33.8μmとなる。ここで言うまでもなく、ピ
ッチを短くすれば高分解能になる。
【0100】次に、光軸傾きのによる誤差を見積もる。
図11は、瞳面EP70上で光軸から4光束がΔθずれた
様子を示すものである。ここでの傾きΔθは微小角度で
ある。前記の光路差数式により、sinとcosで表せた。こ
こでΔθだけ傾くと、X方向にはsin誤差、Z方向には
(1-cosΔθ)のcos誤差が発生する。その量を級数展開
して求めてみる。sin、cosは次式数30及び数31のよ
うに展開できる。
【0101】
【数30】
【0102】
【数31】
【0103】Δθが微小量だとして2次の項までを有効
項とするとX方向には、ΔθΔxのsin誤差がZ方向に
は次式数32のcos誤差がθ1、θ2について発生する
が、差を取る方向は消去され、傾き影響は出ない。
【0104】
【数32】
【0105】図12は、マスク・ウェハ回折格子のピッ
チ変動、ピッチ回転、傾きの説明図である。ピッチ誤差
補正のため2光束間隔を調整しなければならず、ピッチ
変動やピッチ回転傾きがあると、非計測方向に移動した
場合、位相が変動するので補正する微動調整機構が必要
である。
【0106】
【発明の効果】以上詳述した本発明の位置ずれ及びギャ
ップ検出方法によれば、位置ずれ量Δxとキャップ変動
量Δzの双方を同時に、且つ広検出範囲及び高検出分解
能を保持しつつ検出する場合に、光学系可動部により光
軸の傾き、光学部材の偏心やピッチ回転等により発生す
るアライメント誤差を取り除けるといった優れた効果を
有しており、本法をアライメント用に用いれば、そのア
ライメント精度を高めることが可能となる。更に本発明
の前提構成は、左右対称な4光束配置と成っているた
め、大気のゆらぎ等影響を受けにくく、入射光の波長変
動が小さくなって、その検出精度を大幅に改善できる様
になる。尚、本位置ずれ及びギャップ検出方法を用いれ
ば、装置の振動参照信号を同一回折格子に求めたため、
差動検出法によりその影響を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で前提となる差動位相検出法の構成を示
す説明図である。
【図2】光軸左側入射時の回折光回折次数の説明図であ
る。
【図3】同じく光軸右側入射時の回折光回折次数の説明
図である。
【図4】第1実施例の実施構成の一例を示す光学系斜視
図である。
【図5】同実施例における光学系光路の詳細説明図であ
る。
【図6】同じく第2実施例における光学系光路の詳細説
明図である。
【図7】瞳面光軸両側にF・sinθ離れた間隔のアライ
メント2光束光を入射し対物レンズにより回折格子に該
光の照射を行なった時の光ヘテロダイン干渉モデルを示
す検出原理説明図である。
【図8】瞳面平面と回折格子の説明図である。
【図9】前記図7の左シフト入射アライメント光照射の
場合の光路L(1)と光路L(2)間の光路差を示す説明図で
ある。
【図10】同じく前記図7の右シフトアライメント光照
射の場合の光路L(1)と光路L(2)間の光路差を示す説明
図である。
【図11】光軸傾き誤差を示す説明図である。
【図12】ピッチ誤差とピッチ回転誤差を示す説明図で
ある。
【符号の説明】
31 視野絞りAS 35、30 レンズ 35 対物レンズ 36、36a、36b 回折格子 70 瞳面EP M マスク W ウェハ
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年5月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 位置ずれ及びギャップ検出方法
【特許請求の範囲】
【数1】
【数2】
【数3】
【数4】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、半導体超微細加工装
置[SORアライナ・ステッパ、液晶ステッパ等のプロ
キシミティ(近接)]等の露光装置や感光基板に露光さ
れたパターンの重ね合せ精度を測定するレジストレーシ
ョン精密測定等において、回折格子を用いた光ヘテロダ
イン干渉法を利用する位置ずれ及びギャップ検出方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】シンクロトロン放射光リソグラフィ用ア
ライナやフォトステッパ等の超精密位置合せにあっては
位置合せすべき2つの物体の位置ずれ検出を高精度に行
なう必要があり、そのために例えば特開昭62−261
003号や特開昭64−89323号等では、光ヘテロ
ダイン干渉光を利用した位置ずれ検出方法が提案されて
いる。
【0003】これらはいずれも2つの物体の各回折格子
から取り出された−1次、−1次回折光を干渉させ、こ
れらの両物体の夫々において生成されたビート信号の位
相差を検出することで両物体の位置ずれ量を測るもので
あり、ギャップ変動による強度変化の影響を受けないの
で、位置ずれ検出精度と分解能が飛躍的に向上するとし
て期待されている。
【0004】事実、分解能については、ステージ制御分
解能以上の5ナノ程度の高分解能が得られた。しかし、
実用に際しては、大気の揺らぎの影響を受け位相がふら
つき、検出精度は一桁弱劣化するのが普通であった。そ
のため2光束の組を2組を用いて、これらの組間で光軸
に対し左右対称になる光学系配置にしてレーザ光路を光
軸に近づけ、大気の揺らぎ、機械振動や熱振動の影響を
極力削減する措置が取られている。
【0005】一方X線リソグラフィ露光に関しては、実
用的なギャップ量は30μm程度と推測されているが、
より微細なパターンを転写するため、マスクとウエハを
より近接させた10μm前後のギャップによる解像度評
価が行われ超微細パターンが得られつつある。このた
め、位置合わせと共にZ方向の精密ギャップ制御が要求
され、微細加工達成のための重要なキーポイントになっ
ている。
【0006】このため、本発明者等はX方向位置ずれと
Z方向ギャップを検出できる方法の提案について行って
いる。即ち周波数のわずかに異なる(例えばf1とf2
2波長の単色2光束の組を2組、2つの物体(マスクと
ウェハ)の各回折格子に当てる入射照明光として用い、
これらの各組内の回折次数の異なる回折光(例えば周波
数f1の0次回折光と周波数f2の−1次回折光、及び周
波数f1の+1次回折光と周波数f2の0次回折光)を干
渉せしめて各組2つのビート信号を検出すると共に、こ
れらの組内におけるビート信号位相変動量Δφxz、Δφ
xzを求めて、これら組間のビート信号位相変動量の和
及び/又は差から2つの物体のX方向位置ずれ及びZ方
向ギャップを検出するというものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記構成
では、光ヘテロダイン干渉を利用した高分解能、高精度
な位置合わせ方法が故に、アライメント光学系の光軸の
倒れを精密に調整しなければならず、仮に光束が左右に
微量角傾いた場合や、光束全体が一方向に傾いた場合、
アンバランスな光路差が発生して不都合な位相変化が起
き、アライメント誤差が発生する。
【0008】このような微小量の補正は、他の検出法と
ミックスさせ補正した場合は、分解能面からみてかなり
高分解能化は困難であり、同一光学系構成に於いて高分
解能を維持した光ヘテロダイン干渉を用いた同一検出法
により補正校正する方が、システムも複雑に成らないの
で望ましい。
【0009】特に光へテロダイン方式でレンズを使用し
た光学系では、瞳面上で光軸に対して完全に平行光束に
調整しなければならず、上記2光束の組2組を用いるア
ライメント方法では、各組とも光軸の片側で平行にしか
も所定の間隔をおいて2光束が並び、且つ光軸の両側で
これらの2組が左右対称になるように調整しなければな
らず、又ギャップ変動で照明光位相波面がデフォーカス
(焦点ずれ)や収差等が原因で自ずと異なってくる問題
や、また実プロセス工程ではウエハの湾曲、プロセスウ
エハの段差、レジストの膜厚分布等があるので、均一位
相波面状態を常に維持できないので、照明光のギャップ
方向の波面歪み影響も考慮する必要があった。
【0010】またアライメントに影響が出ない光軸の倒
れの許容値は、0.2度以下と計算され指摘されている
が、4光束を用いた光へテロダイン方式の上記位置ずれ
・ギャップ検出法であっても精密な光軸調整が必要であ
り、光軸の倒れ、光軸の傾きや干渉縞の歪みにより左
右対称な2組の位相変動量差、検出範囲長差、振幅強度
差が発生することや、図12に示すような回折格子36の
ピッチ変動や、光軸に対するピッチ傾き回転があると、
ウェハWが非計測方向に移動した時に不都合な位相変化
が発生することが判明した。
【0011】一方、レーザ光をプローブ光とした直線偏
光を利用しているため、光が透過、反射する場合それぞ
れP偏光、S偏光の複素透過率、反射率比が変化するの
で直線偏光の光軸が回転したり楕円偏光になるいわゆる
偏光漏れを生じ、レンズ等による偏光方向の偏心や、光
学部品の傾きや、ミスアライメントも加わりアライメン
ト誤差要因と成っていた。また、直交2周波ゼーマンレ
ーザを光源にした場合、直交直線偏光(P偏光、S偏
光)の混入(クロストーク)などが悪影響し干渉縞の面
内歪みが発生し、精度劣化だけではなく測定周期範囲内
の位相直線性が非線形になる現象が現れた。
【0012】更に光学部材基板の温度むらや、レーザ光
路に至っては、大気の揺らぎによる屈折率の変動、外乱
光の影響、機械振動により引き起こる数10Hzを周期
にした遅い信号揺らぎが発生して、ビート信号がゆっく
り変動し、電気処理系では取りきれないため位相計測時
に誤差が発生していた。
【0013】本発明は、上記問題点に鑑み創案されたも
ので、X方向位置ずれとZ方向ギャップの2次元方向に
付いてそれぞれ補正可能な高精度の位置ずれ及びギャッ
プ検出方法を提案するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、大気の揺らぎ
による屈折率変動の影響を抑えることができる上記差動
位相検出法の構成を前提とする。即ち図1に示すよう
に、周波数のわずかに異なる(例えば周波数f1とf2
2光束を倍にして2組4光束とし、2つの物体(例えば
マスクとウェハ)に対向した対物レンズ35の瞳面EP70
(この面位置は、回折格子のフーリエ変換像が得られる
面である)上で、これらを光軸に対し平行で且つ組間で
左右対称な入射配置にする光学系を用いて、2つの物体
の回折格子36に夫々所定の入射角度(θ1とθ2)で入射
せしめ、得られた回折光の各組内における異次数同士
(例えば周波数f1の0次回折光と周波数f2の−1次回
折光、及び周波数f1の+1次回折光と周波数f2の0次
回折光)の回折光を干渉せしめてビート信号を得、各回
折格子36のX方向位置ずれ及びZ方向ギャップによる光
路差変動量に基づき生じる該ビート信号の下式数1及び
数2、数3及び数4、数3及び数2、又は数1及び数4
の各組に示される位相変動量Δφxz及びΔφxzからこ
れらの式の和と差によりX方向及びZ方向の2次元位相
変動量Δφx及びΔφz を夫々算出する構成である。
【0015】[数1]Δφxz=−Δφx+Δφz、Δφxz=−Δφx+Δφz
【0016】[数2]Δφxz′=Δφx+Δφz、Δφxz′=Δφx+Δφz
【0017】[数3]Δφxz=Δφx−Δφz、Δφxz=Δφx−Δφz
【0018】[数4]Δφxz′=−Δφx−Δφz、Δφxz′=−Δφx−Δφz
【0019】以上の構成を前提として、本発明は、瞳面
EPに共役(結像)な関係にあるビームウェスト部分或
いはその入射側にある光学系の補正可動面の微調整を行
って、各組内の2光束の夫々につき光軸からの離間距
離、光束各組間の離間距離或いは光束各組と光軸との離
間距離を調整し、それにより光軸に対する光束の入射位
置調整が行なわれて2物体の各回折格子に照射されるア
ライメントビームの入射角微調整及び/又は光軸微調整
を行うことを基本的特徴としている。
【0020】即ち可動光学部材を上記瞳面EPと共役な
関係にある位置(ビームウェスト部分)或いはその入側
にある光学系を、移動可能な補正可動面を有する光学部
材として、瞳面EPを操作可能にし、また上述のように
各組内の2光束の夫々につき光軸からの離間距離、光束
各組間の離間距離或いは光束各組と光軸との離間距離を
調整し、それにより光軸に対する光束の入射位置調整が
行なわれて2物体の各回折格子に照射されるアライメン
トビームの入射角微調整及び/又は光軸微調整を行うこ
とで、瞳面EP上で4光束が光軸に対して常に平行かつ
左右対称にるよう制御調整し、2つの物体の回折格子の
ピッチ長から得られる、所望の2光束間隔も調整可能と
なって、Psinθ=mλの回折基礎公式から得られる
±1次、0次の干渉条件のFλ/Pの間隔に入射照明光
を調整し、ピッチ誤差を補正して最良の干渉光を検出す
る。
【0021】また第2発明は、2つの物体の回折格子と
共役な位置近傍に視野絞りASを設置し、該視野絞りA
Sに更に共役な関係にある2光束又は4光束の集光位置
の光学系の補正可動面の微調整を行って、該視野絞りA
S及び/又は2つの物体の回折格子におけるアライメン
トビームの波面調整や倍率誤差補正を行うことを特徴と
している。
【0022】即ち上記視野絞りASの面と更に共役な関
係にある面(上記2光束又は4光束の集光位置)の光学
系を、あおり、回転、移動が可能な補正可動面を有する
光学部材として、入射照明光波面を微動調整可能にし、
視野絞りASと回折格子を両テレセントリック関係配置
にして、デフォーカス時の焦点面の波面歪みや倍率誤差
補正をして位相むらを低減する。
【0023】第3発明は以上の2つの発明の構成を組み
合わせたもので、ここではその構成の詳細な説明は省略
する。
【0024】
【実施例】以下本発明法の具体的実施例につき詳述す
る。その前に後述の実施例構成で回折格子から得られる
回折光の区別を明確にするため、その回折次数につき、
予め定義しておく。
【0025】図2及び図3は反射回折格子の入射角・回
折角の符合の状態を示している。まず周波数fの単色光
が格子ピッチPの反射回折格子36に対し、光軸から入射
角θiの傾きを持って入射した場合、正反射となる回折
次数m、n=0の回折光を中心にそれより光軸側に回折す
るものはm、n=−1、−2、−3……というようにマイ
ナス次数又その反対側に回折するものはm、n=+1、+
2、+3……というようにプラス次数(これらの回折次
数に対応する回折角をθm、θnとする)になる。この時
の入射角θiと回折角θm、θnとの関係は、回折格子の
基礎公式により、次式数5及び数6の様になる。
【0026】
【数5】
【0027】
【数6】
【0028】以上の定義を基に、次に実施例構成につき
詳述する。図4及び図5はマスクMとウェハWの位置ず
れ検出を行なう本願第3発明法の実施に使用される光学
系装置構成の一例を示す斜視図と、該光学系光路詳細図
である。光学部材の配置は、光軸に対して左右対称配置
になるよう設計されている。
【0029】図4において、まず2波長直交偏光レーザ
光源12より偏光面が直交し、且つ周波数がわずかに異な
る(f1、f2)単色レーザ光(即ち、周波数f1成分に
ついては→で表わすP偏光、又周波数f2成分について
は↑で表わすS偏光)を発生させる。10は該光源12のコ
ントローラであり、電気的な処理を施してREF11から
|f1−f2|の周波数の参照ビート信号が出力されるよ
うになる。尚、該光源12については音響光学素子(AO
M)2つからなる周波数シフタ等で2周波数のものを得
る構成に置き換えてもよい。
【0030】この光源12から射出されたアライメント光
は通常3〜4度程度レーザ射出口で楕円偏光になってお
り、これをλ/4板13という位相板(回転補正光学部
品)によって2周波成分の直交状態をより正しい姿勢に
直す。そしてアライメント光のビームは偏光ビームスプ
リッタ(PBS)14に至り、そこからS偏光(f2周波
数)成分がレンズ15に至る。該レンズ15より出たf2
波数のS偏光成分はミラー16により光路を変え、その後
λ/2板17に対し、結晶軸と45°の方向から入射させ、
周波数f2のS偏光をP偏光にして、前記f1周波数のP
偏光と同じ偏光方向に変える。P偏光になったf2周波
数のアライメントビームは無偏光ビームスプリッタ22の
分離面で、図上BW72に示す面上に集光する(ビームウ
エストと呼ばれ、レーザビームが一番絞り込まれた状態
になっている)。可動部材18は、ミラー16をX方向に移
動可能であり、該ミラー16の移動により反射位置を移動
させ、第1BW72面上の集光位置を微動移動可能にす
る。これは後述するミラー20のX方向への移動構成と共
に、各組内の2光束の夫々につき光軸からの離間距離を
調整し、上記数5及び数6式に従って、回折格子のピッ
チPに依存する回折角度θm、θnで所望の回折光が得ら
れるようにするものである。
【0031】一方、偏光ビームスプリッタ14を透過した
P偏光のアライメントビームは、レズ19を経由してミラ
ー20により光路を変え、前記無偏光ビームスプリッタ22
の分離面でビームウエストになる。この無偏光ビームス
プリッタ22で前述したf2周波数成分のP偏光と、f1
波数成分のP偏光とが入射することになる。可動部材21
は、同様にミラー20をX方向に移動可能であり、該ミラ
ー20の移動により第1BW72面上の集光位置を微動移動
する。ここで、両アライメントビームは分離面第1BW
72上でビームウエストとなり、分離後は平行光として一
緒に2方向に分岐される。この面第1BW72は、後述の
対物レンズ手前の瞳面EP70と4光束のビームウエスト
第2BW71と共に共役(結像)関係にあり、第1BW72
を操作するとその共役面も関連して操作できる。
【0032】分離後の一方のアライメントビーム2光束
はレンズ23を通って該レンズ23の後面焦点位置にあるミ
ラー24の反射面上に集光する。この面は、後述の視野絞
りAS31と共役関係にある。可動部材50は、回転やあお
りの微動調整が可能で、視野絞りAS31上のアライメン
トビームの波面を調整できる。更にミラー24は、レンズ
25の前面焦点距離に配置されているので、反射後の2光
束はレンズ25透過後は、平行2光束となり、ナイフエッ
ジ45゜直角反射プリズム29に至る。もう一方のアライ
メントビーム2光束はレンズ26を通って該レンズ26の後
面焦点位置にあるミラー27の反射面上に集光する。この
面も、後述の視野絞りAS31と共役関係にある。可動部
材51は、同様に微動調整可能で、視野絞りAS上のアラ
イメントビームの波面を調整できる。更にミラー27は、
レンズ28の前面焦点距離に配置されているので、反射後
の2光束はレンズ26透過後は、同様に平行2光束とな
り、ナイフエッジ45゜直角反射プリズム29に至る。
【0033】該ナイフエッジ45゜直角反射プリズム29
から反射された4光束は、レンズ25、28の後面焦点位置
にある第2BW71でレーザビームが絞り込まれたビーム
ウエスト状態となり、光軸に平行で対称な4光束点光源
となる。この第2BW71面は、前記の第1BW72と同様
に、また後述の瞳面EP70とも共役な関係にある。そし
て可動部材52は、ナイフエッジ45゜直角反射プリズム
29をX方向及びZ方向に移動させることができ、そのX
方向移動で光軸に対する平行移動操作を行って光束の各
組全体と光軸との離間距離を調整し、又Z方向移動で2
光束の組間の光軸からの離間距離を夫々調整できる。尚
本実施例では、前記可動部材18により第2BW71面上の
両組外側の2光束を、同様に前記可動部材21により第2
BW71面上の両組内側の2光束を夫々操作できるように
してあるのは、前述した通りである。
【0034】前記ナイフエッジ45゜直角反射プリズム
29により反射し所定間隔にセットされた左右対称平行4
光束は、図4及び図5に示される様にアホーカル系構成
のレンズ30、32で所定の幅(具体的には後述する様に光
軸より両側に2光束間隔が夫々F・sinθ)に調整され
る。即ち前記レンズ30はその前面焦点位置が第2BW71
のレーザビーム4光束点光源の近傍になるように設置し
てあり、又もう一方のレンズ32はその前面焦点位置に該
レンズ30の後面焦点位置が来るように設置してある。従
ってレンズ30から出た光束は一度該レンズ30の後面焦点
位置でそのビームが平行交差し、この位置に配置された
視野絞りAS31でビームが通過中に整形され、マスク
M、ウエハW上のアライメント用マークの回折格子面だ
けを照明する形状にする。視野絞りAS31の形状は、回
折格子の計測方向に視野絞り自身のフランホーファ回折
像が投影しない、例えば平行四辺形や変形スリット等の
形状が望ましいが、ここでは円形形状とした。
【0035】視野絞りAS31の位置は、マスクM及びウ
ェハW上の後述する回折格子36と共役(結像)な関係に
ある。ここで整形されたビームは、レンズ32を出た所で
光軸対称な4光束となる。しかもこのレンズ32により
面焦点の位置に瞳面EP70(光束ビームが一番絞られる
面)が作られる。ここが後述するアライメント射出瞳と
なる。この時瞳面EP70で2光束の幅は夫々光軸からF
・sinθとなる(ここでFは後述する対物レンズ35の後面
焦点距離、又θはマスクM及びウェハWの各回折格子36
にアライメント光を入射した場合に得られる回折光の回
折角度を指す)。尚該レンズ30と後述するレンズ32はテ
レセントリックな関係になっている。
【0036】このレンズ32から出た光束は光軸に対して
平行に進み、前記対物レンズ35前面焦点距離位置にある
瞳面EP70上で上述した間隔を開けて夫々集束した後、
この瞳面EP70がその中にある偏光ビームスプリッタ33
を透過して、λ/4板34でその直線偏光が円偏光とな
り、対物レンズ35により所定の入射角度で4光束が同時
にマスクM及びウェハWの各回折格子36に入射される。
この時のアライメント光の入射角度は、そのビームが光
軸反対方向から入射する位置に0次回折光を正反射さ
せ、更にそこを中心に±1次及び±2次回折光を得るこ
とができる角度(光軸との間の角度)に丁度相当してお
り、該入射方向から逆向きに回折されることになる。
【0037】該入射によってこれらが回折した時点で、
1周波数成分の0次光とf2周波数成分の−1次光が、
またf1周波数成分の+1次光とf2周波数成分の0次光
が(その他組内の2光束に由来する異次数回折光同士
が)夫々干渉し合う。これらの回折光は、マスクM面及
びウェハW面に垂直な光軸に対して左右対称に進み、且
つ円偏光の回転方向が逆になって進むことになる。そし
て該回折光は前述の対物レンズ35を通って光軸に対して
平行光となりながら前記λ/4板34に進み、それによっ
て入射時の直線偏光と90゜直交する角度の直線偏光に再
度なり、偏光ビームスプリッタ33の分離面で反射されて
入射方向と完全にアイソレーション(絶縁分離)する。
尚、ここでは全ての回折光のうち、6光束のみを明記
し、高次の回折光は明記しなかった。
【0038】前記λ/4板34を通過した光束は瞳面EP
70で一度集光し、該瞳面EP70が丁度その前面焦点距離
の位置に相当する位置になるように配置されたテレセン
トリックな結像関係にするレンズ37により、回折光がマ
スクM及びウェハWの各回折格子36と共役(結像)関係
にあるM,W Conjugate(共役)面73で不要な回折光
は除去され所望の6光束を集光させる。レンズ37、38は
アホーカル拡大鏡の構成で共役面73のマスクMとウェハ
Wの干渉像をそれぞれ分離できる程度に拡大する。レン
ズ38を通過した6光束は平行光となり、直角三角プリズ
ム39に至ったところで、左右の各3光束が夫々光軸に対
して対称に反射して進行方向を変え、夫々の光束はレン
ズ38の後面焦点距離位置で絞り込まれる。
【0039】そのうち一方の干渉回折光は、空間フィル
タ40で中央の(−2、−1)次干渉光束が遮光され、左
右の2光束が該空間フィルタ40を透過し、前面焦点距離
が前記絞り込まれた位置(空間フィルタ40の位置)にな
るようにセットされたレンズ41、42に至り、更に該レン
ズ41、42の後面焦点距離の位置にある2分割ディテクタ
43、44の受光面上で結像する。該受光面は回折格子36と
共役関係にあり、前記視野絞りAS31で成形された形状
と同じ回折光の像が得られる。そしてそこでマスクM及
びウェハWの各回折格子36と対応した光ヘテロダイン信
号4種類を各々検出して電気処理を施し、夫々の相対位
相を算出する。また前記直角三角プリズム39で反射され
たもう一方の平行3光束は、空間フィルタ45で同様に
(−2、−1)次干渉光が遮光され、(+1、0)次及
び(0、−1)次の干渉光が透過する。前面焦点距離
位置が前述した絞り込まれた位置(空間フィルタ45)に
なるようにセットされたレンズ46、47に至り、更に該レ
ンズ46、47の後面焦点距離の位置にある2分割ディテク
タ48、49の受光面上で結像する。該受光面は回折格子36
と共役関係にあり、前記視野絞りAS31で成形された形
状と同じ回折光の像が得られる。そしてそこでマスクM
及びウェハWの各回折格子36と対応した光ヘテロダイン
信号4種類を各々検出して電気処理を施し、夫々の相対
位相を算出する。尚、図面上には示されていないが、2
分割ディテクタ43、44、48、49の手前に外乱光除去のた
めのスリットを設置しても良い。
【0040】よって、同一次数組、同一検出範囲長(位
相周期)の4種類で計8個の干渉光の複数干渉ビート
(交流)信号より、前記REF11からの参照ビート信号
との相対位相変動量を複数検出することによって、変動
(ディテクタ43と48で検出された位相変動量及びディ
テクタ44と49で検出された位相変動量)が等しくなる補
正量を算出し可動光学部材にフィードバツクする。補正
確認後、位置ずれΔx及びギャップΔzの相対位相を平
均算出処理を施して求め、該ΔxとΔzに対応する相対
位相変動量を、和と差からそれぞれ分離して求める。
【0041】次に別の実施例を図6を用いて説明する。
前実施例では無偏向ビームスプリッタにより4光束を分
離したが、本実施例では、2光束を透過型基準回折格子
に照明して、得られる回折透過光の±1次、±1次の同
一強度の左右対称4光束入射照明光を得る。
【0042】図6では、アライメント光のビームは偏光
ビームスプリッタ(PBS)14に至り、そこからS偏光
(f2周波数)成分がレンズ15に至る。該レンズ15より
出たf2周波数のS偏光成分はミラー16により光路を変
え、その後λ/2板17でS偏光をP偏光に変える。P偏
光になったf2周波数のアライメントビームはナイフエ
ッジ45゜直角反射プリズム29の反射面上に集光する。
この反射面は、瞳面(EP)70と空間フィルタ63のビー
ムウエスト第2BW71と共に共役(結像)関係にある。
そして可動部材50は、ミラー16をX方向に移動すること
が可能であり、該ミラー16の移動により反射位置を移動
させ、プリズム29の反射面上の集光位置を微動移動可能
にする。一方、偏光ビームスプリッタ14を透過したP偏
光のアライメントビームは、レンズ19を経由してミラー
20により光路を変え、前記ナイフエッジ45゜直角反射
プリズム29の反射面上でビームウエストになる。この反
射面も、瞳面(EP)70と空間フィルタ63のビームウエ
スト第2BW71と共に共役(結像)関係にある。そして
可動部材51は、同様にミラー20をX方向に移動すること
が可能であり、プリズム29の反射面上の集光位置を微動
移動する。
【0043】このナイフエッジ45゜直角反射プリズム
29で反射した後、前述したf2周波数成分のP偏光と、
1周波数成分のP偏光とが平行2光束になる。また可
動部材52はX方向に該プリズム29を移動することが可能
であり、両反射面上の集光位置を微動移動することがで
き、更にZ方向にも移動させることも可能であり、2光
束の間隔も調整できる。平行2光束は、前面焦点距離
位置が該プリズム29反射面にセットされたレンズ60に至
る。
【0044】アライメントビーム2光束はレンズ60を通
過して該レンズ60の後面焦点距離の位置にある基準回折
格子61面で平行交差する。この面は、後述する視野絞り
AS31と共役関係にある。該格子61にセットされた可動
部材55は、該回折格子61の回転やあおりの微動調整が可
能で、視野絞りAS31上のアライメントビームの波面を
調整できる。またこの基準回折格子61に入射する2光束
の入射角度を、前記可動部材52によるプリズム29のX方
向及びZ方向移動で調整し、強度が等しい±1次、±1
次の透過回折光が所望の間隔になるようにする。
【0045】該回折格子61面からの透過回折光は、前面
焦点距離の位置が回折格子61面上にセットされたレンズ
62の後面焦点距離の位置にある第2BW71で、レーザビ
ームが絞り込まれたビームウエスト状態となる。光軸に
平行で対称な4光束点光源となった±1次、±1次の透
過回折光を空間フィルタ63で通過させ、0次光と、高次
回折透過光を遮光する。この第2BW71面は、前述のプ
リズム29反射面と同様に、後述する瞳面EP70と共役な
関係になる。
【0046】空間フィルタ63を通過した所定間隔配置さ
れた左右対称平行4光束は、図6に示される様にアホー
カル系構成のレンズ30、32で所定の幅(具体的には後述
する様に光軸より両側に2光束間隔が夫々F・sinθ)に
調整される。以後の光学系は前実施例と同じであり、そ
の詳細は省略する。また本図面では図示しなかった偏波
面保持ファーイバを用いた光学系でも同様に調整可能で
ある。
【0047】次に以上の様な2実施例構成が実施された
場合のその作用につき詳述する。
【0048】上記の2実施例では数十ミクロンギャップ
量を持ったマスクMに形成された回折格子36とウェハW
に形成された回折格子36に対し、対物レンズ35を介して
コヒーレントなレーザ光を4方向から入射させ、回折光
を発生させたものである。尚簡略のためマスクM(又は
ウェハW)1種類に上記レーザ光を当てた場合につい
て、以下説明する。
【0049】図7及び図8(a)(b)はL/S(ライ
ン&スペース比)が1:1である回折格子(Px:格子
ピッチ)に対して照射を行なった状態の回折光強度分布
と瞳面70の断面図及び回折格子の状態を示す説明図であ
る。前記回折格子36から後面焦点距離Fの位置にある前
記対物レンズ35により回折格子36の回折格子像が得られ
る面(この面は対物レンズ35の前面焦点距離Fの位置に
ある)を瞳面EP70と呼ぶ(この面は回折格子36のフー
リエ変換像を得た面なのでフーリエ面とも呼ばれる)。
【0050】光軸方向からθ1内側入射角、θ2外側入射
角度の角度差をもたせて、光軸に対して対称位置に2光
束の組2組が入射する入射配置とする。θ=(θ12)
の角度差は、±1次の回折角度と等しい角度である。ま
ず光軸方向から左シフトした2光束f1及びf2は、この
図では瞳面EP70上で光軸に対して左側にF・sinθ1
びF・sinθ2離れた位置に、即ちこれらの2光束の間隔
が(0、−1)次及び(+1、0)次回折ヘテロダイン
干渉光が得られる間隔になるように、調整されている.
【0051】瞳面EP70では一度集光(ビームウエス
ト)された状態となって入射され、対物レンズ35により
回折格子36に照射される。図8(a)に示すように、該
瞳面EP70上では強度分布の広がりはあるが、その強度
分布の中心がビームウエスト位置になる。その結果図7
に示した光軸に対しその入射方向とは対称な位置に、即
ち逆方向のもう一方(斜線)の2光束入射位置に、それ
ぞれ正反射(0次)回折光が取り出されることになる。
その回折光の像は対物レンズ35の瞳面EP70上でフーリ
エ変換像に変換される。このf1及びf2の周波数成分の
瞳面EP70上における回折光の強度分布を図7(b)の下
段に示す。同図に示される様に、0次と±1次の回折光
強度分布が光軸から右にシフトした位置に並んでいる。
【0052】同様に斜線で示す右方向からのf1及びf2
周波数成分のレーザ光は、同図に示すように、瞳面EP
70上で光軸右側にF・sinθ1及びF・sinθ2離れた位置
で一度集光され、対物レンズ35により回折格子36に照射
される。その結果光軸に対しこの入射方向とは対称な位
置に、f1及びf2周波数成分の正反射(0次)が取り出
されることになる。その回折光の像は対物レンズ35の瞳
面EP70上でフーリエ変換像に変換される。この強度分
布を図7(b)の上段に示す。同図に示される様に、±1
次と0次の回折光強度分布が光軸から左シフトした位置
に並んでいる。
【0053】前述の場合と同様、同図(c)に、各回折
光の干渉ビート光を視覚化して○で示す。かくして1組
のf1及びf2周波数成分の回折次数m=+1、n=−1
の回折光とf2及びf1周波数成分の回折次数n、m=0
の回折光との光ヘテロダイン干渉縞が、またもう1組の
1及びf2周波数成分の回折次数m、n=0の回折光と
2及びf1周波数成分の回折次数n=−1、m=+1の
回折光との光ヘテロダイン干渉縞が、同時にしかも光軸
に対して左右対称な位置に結合混入することなく得られ
ている。
【0054】更に上記両回折光の干渉で得られる|f1
−f2|の光ヘテロダインビート信号の干渉縞が得られ
る位置を図7(c)に同様に示す。ディテクタ48、49上で
は干渉縞空間で一様な明るさ(ワンカラー)内に調整さ
れ、波面歪みも取り除かれている。又光ヘテロダイン干
渉縞は高速(数十KHz〜数100KHz)であるため、
肉眼では見ることができず電気的な信号に変換しなけれ
ばならないが、回折格子を非計測方向に動かすと波面歪
みがある場合、位相変動が起こる。
【0055】次にこの様な入射方法によって得られる検
出範囲長の求め方を説明する。即ち2光束の光波を
1、u2とすると、次のように書ける。
【0056】
【数7】
【0057】
【数8】
【0058】互いに同一方向に偏光した光f1とf2は、
回折格子上で可干渉となる。ここで振幅が略等しく周波
数がわずかに異なっており(数10KHz〜数100KHz)、且
つ同一方向に進行する2つの波u1とu2の重ね合せを考
える。
【0059】干渉ビート周波数(うなり)は振幅の変動
の繰り返し周波数で、次式数9で表わせる。
【0060】
【数9】
【0061】光検出器(ディテクタ)が|u1+u22
で反応することを考慮して、u1とu2の2つの波の振幅
の和を2乗して波の重ね合せ強度を求めると次式数10
が得られる。
【0062】
【数10】
【0063】光ヘテロダインアライメント方式ではこの
位相差の測定を行なうことになるが、この位相差は±18
0゜以内と角度検出範囲が固定されてしまうため、前記
数10の[L(1)/λ1-L(2)/λ2]の項で示される光路差[L
(1)-L(2)]が、検出範囲と位相の進み遅れ方向を左右す
る項目となる。使用される2つの周波数f1とf2のレー
ザ光はわずかに波長が異なり、ビ−ト信号の周波数(f1-
f2)は約2.4×105Hzであって光周波数約5×1014Hzと比較
して充分小さいので、光速をCとするとビート周波数Δ
fは|C/λ1−C/λ2|であり、Δf<<Cであるた
め、レーザ波長はλ1=λ2≒λと置ける。従って数10
式のcosの位相項である次式数11は、次式数12のよ
うに置き換えることができる。
【0064】
【数11】
【0065】
【数12】
【0066】以上の定義を基に位置ずれ及びギャップ検
出方法の原理を説明する。図9及び図10は、第1実施
例に於ける回折格子が点Pから点P′に移動した時、Δ
x及びΔzのX方向、Z方向の微少量移動により発生す
る光路差を示し、右シフトと左シフトの2光束入射時の
光路長差の変化を太線で示す。ここで(0,+1)次と(-1,0)
次の干渉について考察する。
【0067】まず光軸に対して非対称的に取り出されて
くるf1周波数成分の−1次回折光とf2周波数成分の0
次回折光の組及びf2周波数成分の−1次回折光とf1
波数成分の0次回折光の組の各光ヘテロダインビート信
号が、同じ位相方向(進み、遅れ)を示すことになるの
を説明する。
【0068】図9及び図10において回折格子36がΔ
x、Δzだけ移動した時の光路差を求める場合、その光
路を示すもののうち、丸Aで示す入射光路差のみを算出
すれば良い。回折方向の丸B及び丸Cで示す回折光路
は、光路差を求めるときL(1) とL(2)が共に等しいの
で光路差計算から消去されるからである。 ここで、θ1
を内側入射角、θ2を外側入射角として、微小移動した
時の周波数f1の成分の光路L(1)は、次式数13のよう
になる。
【0069】
【数13】
【0070】一方、周波数f2の成分の光路L(2)は、同
じく数14に示すようになる。
【0071】
【数14】
【0072】よって右に傾いた2光束から(0,-1)次及び
(+1,0)次共に、次式数15の光路差が発生する。
【0073】
【数15】
【0074】上式数15の右辺第一項は負、第二項は正
であり、その位相変動量はΔφxとΔφz夫々の方向の
位相変動量とすると、以下の数16のようになる。
【0075】
【数16】
【0076】一方、図10の場合は、左に傾いた2光束
から発生する光路差は共に次式数17に示すようにな
る。
【0077】
【数17】
【0078】同様に、周波数f2の光路L(2)は、次式数
18のようになる。
【0079】
【数18】
【0080】よって左に傾いた2光束から(0,-1)次及び
(+1,0)次共に、次式数19の光路差が発生する。
【0081】
【数19】
【0082】上式数19の右辺第一項及び第二項は共に
正であり、位相変動量は以下の数20のように書ける。
【0083】
【数20】
【0084】上述した数16及び数20の和と差によ
り、ΔφxとΔφz が分離して尚かつ複数測定することが
できる。
【0085】前記数10に光路差を代入してみると、X
方向の変位Δxを位相変動量Δφx として検出でき、そ
の周期は逆数の下式数21を周期として直線的に変化
し、またZ方向は変位Δzを位相変動量Δφz として検
出でき、その周期は逆数の下式数22を周期として同様
に直線的に変化する。
【0086】
【数21】
【0087】
【数22】
【0088】次にx方向、z方向の分解能差があること
について説明する。検出範囲長について考えると、Δφ
x、Δφzの位相変動量が大きければ、位相の進み遅れが
早く、分解能が高くなり、検出範囲が狭くなるが、位相
変動量が小さければ逆になる。Δx、Δzの光路差は、
sinθ1とcosθ2の夫々の差で表されているので、三角関
数の差を積に直す公式により次式数23及び数24が夫
々得られる。
【0089】
【数23】
【0090】
【数24】
【0091】ここで上式よりΔφx、Δφz の分解能に差
があることが解り、θ1+θ2が90゜に成らないと上数式
は等しくならない。2つの実施例ではθ1+θ2が90゜以
下であるため、上式数23及び数24の右辺の前の部分
である下式数25と数26を比較すると数25が大きい
ためx方向の分解能がz方向と比較すると高くなる。実
用上はx方向が高分解能で、z方向はギャップ検出範囲
の数十〜百μmが望ましい。
【0092】
【数25】
【0093】
【数26】
【0094】0次と±1次の干渉なので回折基礎公式よ
り次式数27の関係が得られる。これをx方向、z方向
に当てはめて検出範囲長を求めてみる。図8(a)の瞳
面EP70上では、光軸から約1:5の距離に配置される
(θ2−θ1)は、0次と±1次の回折角度であることか
ら、近似的な検出範囲長を求めてみる。ここで次式数2
8及び数29のように近似する。
【0095】
【数27】
【0096】
【数28】
【0097】
【数29】
【0098】よって前式数12に代入して、x方向範囲
は次式数30により分母のPを周期とする。またz方向
は、同様に回折基礎公式を当てはめると、次式数31の
ようになる。
【0099】
【数30】
【0100】
【数31】
【0101】ここでピッチP=8μm、6μm及び4μ
mとし、波長λ=0.6328μmすると、X方向の周
期長は8μm、6μm及び4μmとなりピッチに等し
く、Z方向の周期長は夫々140.6μm、75.7μ
m及び33.8μmとなる。ここで言うまでもなく、ピ
ッチを短くすれば高分解能になる。
【0102】次に、光軸傾きによる誤差を見積もる。図
11は、瞳面EP70上で光軸から4光束がΔθずれた様
子を示すものである。ここでの傾きΔθは微小角度であ
る。前記の光路差数式により、sinとcosで表せた。ここ
でΔθだけ傾くと、X方向にはsin誤差、Z方向には(1
-cosΔθ)のcos誤差が発生する。その量を級数展開し
て求めてみる。sin、cosは次式数32及び数33のよう
に展開できる。
【0103】
【数32】
【0104】
【数33】
【0105】Δθが微小量だとして2次の項までを有効
項とするとX方向には、ΔθΔxのsin誤差がZ方向に
は次式数34のcos誤差がθ1、θ2について発生する
が、差を取る方向は消去され、傾き影響は出ない。
【0106】
【数34】
【0107】図12は、マスク・ウェハ回折格子のピッ
チ変動、ピッチ回転、傾きの説明図である。ピッチ誤差
補正のため2光束間隔を調整しなければならず、ピッチ
変動やピッチ回転傾きがあると、非計測方向に移動した
場合、位相が変動するので補正する微動調整機構が必要
である。
【0108】
【発明の効果】以上詳述した本発明の位置ずれ及びギャ
ップ検出方法によれば、位置ずれ量Δxとギャップ変動
量Δzの双方を同時に、且つ広検出範囲及び高検出分解
能を保持しつつ検出する場合に、光学系可動部により光
軸の傾き、光学部材の偏心やピッチ回転等により発生す
るアライメント誤差を取り除けるといった優れた効果を
有しており、本法をアライメント用に用いれば、そのア
ライメント精度を高めることが可能となる。更に本発明
の前提構成は、左右対称な4光束配置と成っているた
め、大気のゆらぎ等影響を受けにくく、入射光の波長変
動が小さくなって、その検出精度を大幅に改善できる様
になる。尚、本位置ずれ及びギャップ検出方法を用いれ
ば、装置の振動参照信号を同一回折格子に求めたため、
差動検出法によりその影響を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で前提となる差動位相検出法の構成を示
す説明図である。
【図2】光軸左側入射時の回折光回折次数の説明図であ
る。
【図3】同じく光軸右側入射時の回折光回折次数の説明
図である。
【図4】第1実施例の実施構成の一例を示す光学系斜視
図である。
【図5】同実施例における光学系光路の詳細説明図であ
る。
【図6】同じく第2実施例における光学系光路の詳細説
明図である。
【図7】瞳面光軸両側にF・sinθ離れた間隔のアライ
メント2光束光を入射し対物レンズにより回折格子に該
光の照射を行なった時の光ヘテロダイン干渉モデルを示
す検出原理説明図である。
【図8】瞳面平面と回折格子の説明図である。
【図9】前記図7の左シフト入射アライメント光照射の
場合の光路L(1)と光路L(2)間の光路差を示す説明図で
ある。
【図10】同じく前記図7の右シフトアライメント光照
射の場合の光路L(1)と光路L(2)間の光路差を示す説明
図である。
【図11】光軸傾き誤差を示す説明図である。
【図12】ピッチ誤差とピッチ回転誤差を示す説明図で
ある。
【符号の説明】 31 視野絞りAS 35、30 レンズ 35 対物レンズ 36、36a、36b 回折格子 70 瞳面EP M マスク W ウェハ
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正内容】
【図7】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 周波数のわずかに異なる2光束を倍にし
    て2組4光束とし、2つの物体に対向する対物レンズの
    瞳面EP上で、これらを光軸に対し平行で且つ組間で左
    右対称な入射配置にする光学系を用いて、これらの物体
    の回折格子に夫々所定の入射角度で入射せしめ、得られ
    た回折光の各組内における異次数同士の回折光を干渉せ
    しめてビート信号を得、各回折格子のX方向位置ずれ及
    びZ方向ギャップによる光路差変動量に基づき生じる該
    ビート信号の下式数1乃至数2に示される位相φxz及び
    φxz′からこれらの式の和と差によりX方向及びZ方向
    の2次元位相変動量φx及びφzを夫々算出する位置ずれ
    及びギャップ検出方法において、瞳面EPに共役な関係
    にあるビームウェスト部分或いはその入射側にある光学
    系の補正可動面の微調整を行って、各組内の2光束の夫
    々につき光軸からの離間距離、光束各組間の離間距離或
    いは光束各組と光軸との離間距離を調整し、それにより
    光軸に対する光束の入射位置調整が行なわれて2物体の
    各回折格子に照射されるアライメントビームの入射角微
    調整及び/又は光軸微調整を行うことを特徴とする位置
    ずれ及びギャップ検出方法。 【数1】 φxz=−φx+φz、φxz=−φx+φz 【数2】 φxz′=φx+φz、φxz′=φx+φz
  2. 【請求項2】 周波数のわずかに異なる2光束を倍にし
    て2組4光束とし、2つの物体に対向する対物レンズの
    瞳面EP上で、これらを光軸に対し平行で且つ組間で左
    右対称な入射配置にする光学系を用いて、これらの物体
    の回折格子に夫々所定の入射角度で入射せしめ、得られ
    た回折光の各組内における異次数同士の回折光を干渉せ
    しめてビート信号を得、各回折格子のX方向位置ずれ及
    びZ方向ギャップによる光路差変動量に基づき生じる該
    ビート信号の下式数1乃至数2に示される位相φxz及び
    φxz′からこれらの式の和と差によりX方向及びZ方向
    の2次元位相変動量φx及びφzを夫々算出する位置ずれ
    及びギャップ検出方法において、2つの物体の回折格子
    と共役な位置近傍に視野絞りASを設置し、該視野絞り
    ASに更に共役な関係にある2光束又は4光束の集光位
    置の光学系の補正可動面の微調整を行って、該視野絞り
    AS及び/又は2つの物体の回折格子におけるアライメ
    ントビームの波面調整や倍率誤差補正を行うことを特徴
    とする位置ずれ及びギャップ検出方法。 【数1】φxz=−φx+φz、φxz=−φx+φz 【数2】φxz′=φx+φz、φxz′=φx+φz
  3. 【請求項3】 周波数のわずかに異なる2光束を倍にし
    て2組4光束とし、2つの物体に対向する対物レンズの
    瞳面EP上で、これらを光軸に対し平行で且つ組間で左
    右対称な入射配置にする光学系を用いて、これらの物体
    の回折格子に夫々所定の入射角度で入射せしめ、得られ
    た回折光の各組内における異次数同士の回折光を干渉せ
    しめてビート信号を得、各回折格子のX方向位置ずれ及
    びZ方向ギャップによる光路差変動量に基づき生じる該
    ビート信号の下式数1乃至数2に示される位相φxz及び
    φxz′からこれらの式の和と差によりX方向及びZ方向
    の2次元位相変動量φx及びφzを夫々算出する位置ずれ
    及びギャップ検出方法において、瞳面EPに共役な関係
    にあるビームウェスト部分或いはその入射側にある光学
    系の補正可動面の微調整を行って、各組内の2光束の夫
    々につき光軸からの離間距離、光束各組間の離間距離或
    いは光束各組と光軸との離間距離を調整し、それにより
    光軸に対する光束の入射位置調整が行なわれて2物体の
    各回折格子に照射されるアライメントビームの入射角微
    調整及び/又は光軸微調整を行うと共に、これらの物体
    の回折格子と共役な位置近傍に視野絞りASを設置し、
    該視野絞りASに更に共役な関係にある2光束又は4光
    束の集光位置の光学系の補正可動面の微調整を行って、
    該視野絞りAS及び/又は2つの物体の回折格子におけ
    るアライメントビームの波面調整や倍率誤差補正を行う
    ことを特徴とする位置ずれ及びギャップ検出方法。 【数1】φxz=−φx+φz、φxz=−φx+φz 【数2】φxz′=φx+φz、φxz′=φx+φz
JP5135197A 1993-02-15 1993-05-14 位置ずれ及びギャップ検出方法 Pending JPH06323812A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5135197A JPH06323812A (ja) 1993-05-14 1993-05-14 位置ずれ及びギャップ検出方法
PCT/JP1994/000178 WO1994018522A1 (en) 1993-02-15 1994-02-07 Method for detecting positional shift and gap

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5135197A JPH06323812A (ja) 1993-05-14 1993-05-14 位置ずれ及びギャップ検出方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06323812A true JPH06323812A (ja) 1994-11-25

Family

ID=15146121

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5135197A Pending JPH06323812A (ja) 1993-02-15 1993-05-14 位置ずれ及びギャップ検出方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06323812A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN116718568A (zh) * 2023-08-04 2023-09-08 中节能(达州)新材料有限公司 一种反光材料的反光性能检测装置及方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN116718568A (zh) * 2023-08-04 2023-09-08 中节能(达州)新材料有限公司 一种反光材料的反光性能检测装置及方法
CN116718568B (zh) * 2023-08-04 2023-10-17 中节能(达州)新材料有限公司 一种反光材料的反光性能检测装置及方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5576829A (en) Method and apparatus for inspecting a phase-shifted mask
EP0634702B1 (en) Measuring method and apparatus
US7046361B1 (en) Positioning two elements using an alignment target with a designed offset
US5689339A (en) Alignment apparatus
JP3187093B2 (ja) 位置ずれ測定装置
JPH03272406A (ja) 位置合わせ方法及び装置
JPH0752088B2 (ja) アラインメント方法
JPH03216519A (ja) 測定装置、測定方法、及び露光装置、露光方法、及び回路パターンチップ
JPH0513297A (ja) 位置合わせ装置
JP2009004711A (ja) 計測装置、露光装置及びデバイス製造方法
JP2676933B2 (ja) 位置検出装置
JP3336358B2 (ja) フォトマスク検査装置及び方法並びに位相変化量測定装置
JP3270206B2 (ja) 位置ズレ及びギャップ検出方法
JP3590940B2 (ja) アライメント装置及び露光装置
JPH04361103A (ja) 相対位置検出方法及び装置
JPH06323812A (ja) 位置ずれ及びギャップ検出方法
JPH06241728A (ja) 位置ずれ及びギャップ検出方法
JP3550605B2 (ja) 位置検出方法、それを用いた露光方法、その露光方法を用いた半導体素子、液晶表示素子又は薄膜磁気ヘッドの製造方法、及び位置検出装置、それを備えた露光装置
JP2548068B2 (ja) 位置ずれ及びギャップ検出方法
JPH02133913A (ja) 位置合わせ装置,露光装置及び素子製造方法
JP2888233B2 (ja) 位置検出装置、露光装置及び方法
JP3195018B2 (ja) 複素反射率測定方法及び装置
JP2694045B2 (ja) 回折格子を用いた位置合せ装置
JPH06147827A (ja) 位置ずれ検出方法
JP2837532B2 (ja) 微小変位測定方法およびその装置

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20020205