JP3590940B2 - アライメント装置及び露光装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、マスクに形成されたパターンを感光基板上に転写する露光装置に設けられ、マスクと感光基板との位置合わせを行うためのアライメント装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子、又は液晶表示素子等の製造に使用される投影露光装置には、特にウエハ(又はガラスプレート等)上の2層目以降に回路パターンを形成する際に、マスクとしてのレチクルとウエハとを高精度に位置合わせするためのアライメント装置が設けられている。斯かるアライメント装置は、ウエハ上のアライメントマーク(ウエハマーク)の位置を検出するアライメントセンサと、このアライメントセンサにより検出された位置に基づいてウエハを目標移動位置に移動する制御系とから構成されている。
【0003】
一般に、露光及びその後のプロセス等によりウエハ表面の荒れの程度が変化すると共に、ウエハ上の層(レイア)によってウエハマークと周辺の下地との段差が異なる場合があるため、単一のアライメントセンサで全てのウエハマークの位置を正確に検出するのは困難である。そこで、用途に応じて次のようなアライメントセンサが使用されている。
【0004】
▲1▼LIA(Laser Interferometric Alignment )方式:これは回折格子状のウエハマークに、周波数を僅かに変えたレーザ光を2方向から照射し、発生した2つの回折光を干渉させ、この干渉光の位相からウエハマークの位置情報を検出するセンサである。このLIA方式は、低段差のウエハマークや表面荒れの大きいウハに効果的である。
【0005】
▲2▼FIA(Field Image Alignment )方式:これはハロゲンランプ等を光源とする波長帯域幅の広い光で照明したウエハマークの像を、画像処理して位置計測を行うセンサであり、アルミニウム層やウエハ表面の非対称なマークの計測に効果的である。
▲3▼LSA(レーザ・ステップ・アライメント)方式:これはレーザ光をウエハマークに照射し、回折・散乱された光を利用してそのウエハマークの位置を計測する系であり、従来より種々のプロセスウエハに幅広く使用されているものである。
【0006】
従来は、このような種々のアライメントセンサを用途に応じて使い分けていた。また、アライメントセンサの光学系としては、投影光学系を介してレチクルとウエハとの位置合わせを行うためのTTR(スルー・ザ・レチクル)方式、投影光学系を介してウエハマークの位置を検出するTTL(スルー・ザ・レンズ)方式、又は投影光学系を介することなくウエハマークの位置検出を行うオフ・アクシス方式が知られており、これら各光学系に対して上述の種々のアライメントセンサを組み合わせることができる。
【0007】
例えばTTR方式でLIA方式のアライメントセンサを使用する場合、アライメント光の波長が露光波長と異なるために、アライメント光に対して投影光学系で所定の色収差が発生する。そこで、例えば特開平5−160001号公報では、投影光学系の瞳面付近のアライメント光の通過位置に位相格子等の色収差制御部材を配置し、この色収差制御部材で投影光学系で発生する色収差を補正するようにしたアライメント装置が開示されている。この装置では、特に軸上色収差はレチクルとウエハとが共役になるように補正される。
【0008】
また、一般にウエハマークはウエハの表面に形成された凹凸のパターン(反射型の位相格子)であるが、例えばLIA方式のアライメントセンサで検出対象とする回折格子状のウエハマークに関しては、アライメント光の波長をλとして、そのウエハマークの凸部と凹部との段差の実効的光路長が(λ/4+mλ/2)(mは整数)のときに、最も回折効率が高くなり、高いSN比のビート信号が得られることが知られている。同様に、FIA方式のアライメントセンサ等においても、ウエハマークの凹凸の段差に関してはアライメント光の波長に応じた最適な光路長がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述のようにアライメントセンサで検出対象とされるウエハマークの段差については、使用されるアライメント光の波長に応じて高いSN比の検出信号を得るための最適な光路長がある。しかしながら、実際にはアライメント光の波長が定まっている場合に、その波長に合わせて段差が最適になるようにウエハマークを形成するのは困難である。また、特にウエハの周辺部等において、ウエハマークの凹部が傾斜して非対称なマークになることがある。更に、各種プロセスを経る間にウエハマークの段差が変化するか、ウエハマークの凹部が非対称になることもある。また、ウエハ上で上の層になるにつれて、ウエハマークの段差が最適な値から次第にずれるか、又は凹部が傾斜して傾向がある。
【0010】
このようにウエハマークの段差が最適な光路長から外れるときの不都合につき考察する。先ず、図8(a)は、ウエハ6上に計測方向に対して対称に形成されたウエハマーク66上に屈折率nのフォトレジスト67が塗布されている状態を示し、この図8(a)において、反射型の位相格子としてのウエハマーク66の凸部と凹部との反射率は同じであるとする。また、ウエハマークの凸部と凹部との段差をhとして、上述のように、その段差hの実効的光路長s(=n・h)が次式を満たすときに波長λのアライメント光の回折効率が最大となる。
【0011】
2s=λ/2+mλ(m:整数) (1)
但し、ウエハマーク66の凸部の振幅反射率と凹部(底部)の振幅反射率とが異なる場合には、(1)式における実効的光路長sとしては、その凸部でのアライメント光の位相とその凹部でのアライメント光の位相との位相差にλ/(2π)を掛けた値で表される。図8(a)のウエハマーク66で、(1)式が満たされている場合には、ウエハマーク66からの反射光(又は回折光)の強度分布は図9(a)に示すようになり、非対称がなく良好に計測が行われる。また、その実効的光路長sが(1)式から或る程度外れても、非対称性がない場合には正確に位置検出が行われる。
【0012】
次に、図8(b)に示すように、ウエハ6上に形成されたウエハマーク68の凹部(底部)が計測方向に傾斜して、ウエハマーク68が非対称となっている場合につき考察する。この場合、凸部と凹部との段差hとしては、凹部の中心での段差を使用する。そして、段差hの実効的光路長s(=n・h)について(1)式が成立するものとすると、図8(b)のウエハマーク68の凹部(底部)の中心の左右の領域69A,69Bからの反射光の強度は、中心からの反射光の強度よりも同じだけ小さい値になり、ウエハマーク68からの反射光の強度は図9(b)に示すように、全体として非対称性がない。更に、平均的に図9(a)の場合よりも強度は小さくなるが、位置検出には殆ど支障がない。
【0013】
一方、段差hの実効的光路長sが(1)式より多少大きいときには、ウエハマーク68の凹部の右側の領域69Bでの平均的な光路長が(1)式に近づき、且つ左側の領域69Aでの平均的な光路長が(1)式から外れるため、領域69Bからの反射光の強度が領域69Aからの反射光の強度よりも強くなる。従って、ウエハマーク68からの反射光の強度分布は、図9(c)に示すように光量の重心位置が、光量分布が対称な場合の重心位置70に比べて右側に片寄ったものとなり、非対称の影響を受けてしまう。逆に、図8(b)において、段差hの実効的光路長sが(1)式より多少小さいときには、ウエハマーク68からの反射光の強度分布は、図9(d)に示すように光量の重心位置が、本来の重心位置70に比べて左側に片寄ったものとなり、やはり非対称の影響を受けてしまう。
【0014】
以上のように、ウエハマークの凹部が傾斜してウエハマークが非対称となっている場合に、その凹部の中心での段差の実効的光路長が(1)式を満たすときには、殆どその非対称の影響は受けないが、その凹部の中心での実効的光路長が(1)式から外れると非対称の影響が現れることが分かる。因に、ウエハマークがウエハ上に被着されたアルミニウム層をエッチング等して形成されているような場合、ウエハ周辺部でそのようなウエハマークの凹部(底部)での傾斜がよく見られる。
【0015】
これに関して、特別の工程を設けてウエハマークの段差が(1)式を満たすようにすることも可能であるが、それでは露光工程のスループット(生産性)が低下すると共に、製造コストが増加するという不都合がある。
本発明は斯かる点に鑑み、ウエハマークの段差を正確に或る特別な光路長に合わせることなく、ウエハマークの非対称の影響を軽減してウエハマークの位置を正確に検出して、ウエハを高精度に位置合わせできるアライメント装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明による第1のアライメント装置は、例えば図1及び図5に示すように、マスクパターン(4)を感光基板(6)上に転写する露光装置に設けられ、感光基板(6)上に形成された凹凸パターンよりなる位置合わせ用マーク(48A)の位置に基づいてマスクパターン(4)と感光基板(6)との位置合わせを行うアライメント装置において、位置合わせ用マーク(48A)に対して互いに異なる複数の波長の光を照射する照射光学系(11A〜11C,13A,13B,14〜26,2)と、位置合わせ用マーク(48A)からの光束を受光してその位置合わせ用マークの位置に応じた検出信号を生成する受光光学系(2,26〜28,31)と、その位置合わせ用マークの凹部の中心での段差に応じてその照射光学系からその位置合わせ用マークに照射される複数の波長の光の波長差を設定する波長制御手段(61,64)と、を有するものである。
【0017】
この場合、その照射光学系の一例は、互いに異なる3種類以上の波長から選択された任意の組合せの複数の波長の光を発生する光源(11A〜11C)を備えているものであり、このときその波長制御手段は、その位置合わせ用マークの段差に応じてその照射光学系内でそれら3種類以上の波長から選択される波長の組合せを指示することが望ましい。
【0018】
また、その照射光学系の他の例は、複数の互いに異なり且つ可変の波長の光を発生する光源を備えているものであり、このとき波長制御手段は、その位置合わせ用マークの段差に応じてその照射光学系内の光源から発生される波長可変の複数の光のそれぞれの波長を指示することが望ましい。
また、その位置合わせ用マークに照射される複数の波長の光の内の所定の2つの波長の光の平均(本発明では「相乗平均」を意味する)波長をλ、波長差をΔλとして、その位置合わせ用マークの段差の実効的光路長をsとした場合、正の整数m、及び2〜4の何れかの整数nを用いて、実質的に次の関係が成立するように波長差を設定することが望ましい。
【0019】
Δλ=λ2 (n/6+m)/(2s) (2)
これは言い換えると、波長差Δλを次の何れかの近傍に設定することを意味する。
Δλ=λ2 (1/3+m)/(2s) (3A)
Δλ=λ2 (2/3+m)/(2s) (3B)
Δλ=λ2 (1/2+m)/(2s) (3C)
【0020】
また、本発明の第2のアライメント装置は、例えば図1及び図5に示すように、上述の第1のアライメント装置と同じ前提部において、互いに異なる複数の波長の光のうち、その位置合わせ用マークの凹部の中心での段差に応じて互いに波長の異なる複数の光を選択し、その選択された複数の波長の光をその位置合わせ用マークに照射する照射光学系(11A〜11C,13A,13B,14〜26,2)と、その照射光学系によるその照射によってその位置合わせ用マークから発生したそれら複数の波長の光を受光し、各波長毎にその位置合わせ用マークの位置に応じた検出信号を生成する受光光学系(2,26〜28,31)と、その受光光学系から出力される各波長毎の検出信号に基づいてその位置合わせ用マークの位置情報を各波長毎に求めるとともに、その求められた各波長毎の位置情報に基づいてその位置合わせ用マークの位置情報を求める信号処理系(65)と、を有するものである。
また、本発明による露光装置は、本発明のアライメント装置を備え、そのアライメント装置によりアライメントされた感光基板上に、マスクパターンを投影光学系を介して転写するものである。
【0021】
【作用】
斯かる本発明の原理につき説明する。先ず、感光基板上の位置合わせ用マーク(48A)は、例えば図4(b)又は(c)に断面図で示すように、計測方向(X方向)に所定ピッチで形成された反射型の位相格子として扱うことができる。位置合わせ用マーク(48A)の凹部(底部)が平坦な場合(図4(b))にはその凸部と凹部との段差の平均値を段差hとして、その凹部が計測方向に傾斜している場合(図4(c))には、その凹部の中心での段差の平均値を段差hとする。また、位置合わせ用マーク(48A)は屈折率nの感光材料(56)で覆われており、位置合わせ用の光束の波長域は感光材料(56)を透過する波長域に設定されている。
【0022】
仮に、位置合わせ用の光束として波長λの単色光を使用するものとすると、その位置合わせ用マーク(48A)の段差hの実効的光路長s(=n・h)は(1)式を満たすことが望ましいが、実際にはそれは困難である。そこで、本発明の第1のアライメント装置では、位置合わせ用の光束の波長を変えて、実質的に(1)式の条件を略々満たすことを考える。
【0023】
図6は、位置合わせ用マーク(48A)の段差hの実効的光路長s(=n・h)と回折効率との関係を示し、この図6の横軸yはその実効的光路長sを位相差に換算したものであり、次の関係が成立している。
y=4πs/λ=4πn・h/λ (4)
また、図6の縦軸は位相差yでの回折効率f(y)の値を示し、回折効率f(y)は次式で表される。
【0024】
f(y)=(1+cos y)/2 (5)
図6の点Aは(1)式の条件が満たされている場合を示す。ここで、段差hが大きくなると回折効率は点Bに移動し、段差hが小さくなると回折効率は点Cに移動し、何れの場合でも回折効率f(y)は低下する。逆に、例えば位置合わせ用マーク(48A)が図4(c)に示すように非対称であっても、その平均的な段差hが(1)式の条件を満たす場合には、回折効率の分布の重心位置は、位置合わせ用マーク(48A)が対称な場合とほぼ同じ位置に維持され、非対称の影響を殆ど受けないと考えられる。
【0025】
そこで、次に位置合わせ用の光束が2つの波長λ1 及びλ2 の単色光を含むものとして、波長λ1 及びλ2 における位相差yがそれぞれ図6の点B及び点Cの位相差であるとする。この場合、位置合わせ用マーク(48A)が図4(b)に示すように対称で、且つ段差h(平均値)が大きくなると、点B及び点Cがそれぞれ右方向の点B’及び点C’に移動するため、全体としての回折効率は低下しない。同様に、段差h(平均値)が小さくなっても、点B及び点Cが共に左方向に移動するため、全体としての回折効率は低下しない。従って、複数波長の光を使用することにより、段差hがばらついた場合の検出信号の低下を或る程度軽減できることが分かる。
【0026】
同様に、位置合わせ用マーク(48A)が図4(c)に示すように非対称で、且つ相乗平均の平均波長λ(=(λ1 λ2 )1/2 )に対して段差h(平均値)が(1)式を満たしているとすると、波長λ1 での非対称による光量重心のずれの方向と、波長λ2 での非対称による光量重心のずれの方向とは逆方向となる。従って、2つの波長を使用することにより非対称の影響も軽減される。
【0027】
ここで、2つの波長の間隔の条件について検討してみる。先ず、段差hが変化した場合に、2つの波長で回折効率の変化が逆方向となるためには、図6で回折効率f(y)がピークとなる点Aの両側に位相差yが来るようにそれら2つの波長を選ぶ必要がある。次に、位置合わせ用マーク(48A)の非対称の影響は、例えば図4(c)の傾斜した凹部(底部)(58)の両端での回折効率の差によるが、これは図6の回折効率f(y)を示す曲線の傾き(位相差yに関する微分)f’(y)に比例する。更に、傾斜による回折効率の差が大きくても平均的な回折効率が小さければ影響が少なくなることもある。結局、非対称の影響は回折効率f(y)を示す曲線の傾きf’(y)と平均的な回折効率f(y)との積の関数g(y)で与えられると考えられる。関数g(y)は次式で与えられる。
【0028】
g(y)=f(y)・f’(y) (6)
図7は、位相差yに対する関数g(y)の変化を示し、この図7において点線は関数f(y)/2の値を示している。関数g(y)は、次の関係が成立するとき0となる。
y=mπ(m:整数) (7)
つまり、このとき位置合わせ用マークの凹部(底部)に傾斜があっても非対称の影響は受けない。また、関数g(y)は、次の関係が成立するとき、極値±(3/16)31/2 をとる。
【0029】
y=2mπ±π/3(m:整数) (8)
この場合、図7に示すように、点B及び点Cでそれぞれ関数g(x)が負及び正の極値を取るものとすると、点Bでの位相差yが(2mπ+π/3)となり、点Cでの位相差yは(2mπ−π/3)となる。更に点Cの左側で負の極値を取る点Dの位相差yは{2(m−1)π+π/3}、即ち(2mπ−5π/3)となる。従って、関数g(x)が極値を取る隣接する2つの点の位相差の間隔は2π/3、又は4π/3となる。
【0030】
言い換えると、図6で回折効率f(y)がピークとなる点Aの両側の点B,Cでの波長λ1,λ2 を、図7でy軸上での間隔が2π/3か4π/3となるようにとると、図7の点B,Cでの関数g(y)の値が絶対値が同じで符号が逆の値となり、その和は0となる。つまり、段差が変わって点B,Cが回折効率のピークを挟んで左右にずれても、点B,Cでの関数g(y)の値の和はほぼ0になるので非対称の影響を受けないことになる。なお、間隔が4π/3のときには、点Bは点Dの位置にある。
【0031】
この場合、(4)式及び(8)式より点Bにおける波長λ1 での位相差y1 、及び点Cにおける波長λ2 での位相差y2 についてそれぞれ次の関係が成立している。
y1 =4πs/λ1 =2mπ±π/3 (9A)
y2 =4πs/λ2 =2mπ±π/3 (9B)
従って、(9A)式から(9B)式を減算することにより、次の何れかの関係が成立する。
【0032】
4πs(1/λ1 −1/λ2 )=2mπ+2π/3 (10A)
4πs(1/λ1 −1/λ2 )=2mπ+4π/3 (10B)
次に、2波長λ1 及びλ2 の差分Δλ、及び平均波長λを次のように定義する。
Δλ=λ2 −λ1 (11A)
λ=(λ1 λ2 )1/2 (11B)
そして、(11A)式及び(11B)式を(9A)式に代入することにより、(3A)式に対応する次式が得られる。
【0033】
Δλ=λ2 (1/3+m)/(2s) (12A)
同様に、(11A)式及び(11B)式を(10B)式に代入することにより、(3B)式に対応する次式が得られる。
Δλ=λ2 (2/3+m)/(2s) (12B)
2つの波長の差を(12A)式、又は(12B)式の値に設定すると、段差が多少変化しても2波長の和により位置合わせ用マークの凹部の傾斜による非対称の影響を避けることができる。
【0034】
なお、(12A)式と(12B)式とを使い分けることが煩雑な場合には、次のように(12A)式と(12B)式との平均的な値の波長差Δλを使用しても、最適値は外れるものの大きな不都合はない。以下の式では1/3と2/3との平均値が1/2であることが利用されており、以下の式が(3C)式に対応している。
【0035】
Δλ=λ2 (1/2+m)/(2s) (12C)
ところで、上述の発明では各波長の光強度は等しい大きさにしておく必要がある。この光強度は回折効率が各波長で等しいと仮定した場合に、受光光学系の光電変換部で観測される値である。また、以上の説明は回折効率の大きさとマーク像の強度分布とを用いて概念的に述べた。しかし、このような非対称の影響はLIA方式等の回折光干渉による位相検出においては位相誤差として現れることになり、従って画像処理型でも回折光干渉型(LIA方式等)でも同様に適用できる。
【0036】
次に、そのように波長差Δλを実際に変化させる代わりに、複数の波長の光束の光強度、又は複数の波長の光束の検出信号のレベルを変化させてもよい。このように光強度、又は検出信号のレベルを変化させることにより、波長差が変化するのと同様に段差の変化、又は非対称の影響が軽減される。
【0037】
【実施例】
以下、本発明によるアライメント装置の一実施例につき図1〜図5を参照して説明する。本実施例は、レチクル上のパターンを投影光学系を介してウエハ上の各ショット領域に投影する投影露光装置において、TTR方式で且つLIA方式のアライメントセンサを使用する場合に本発明を適用したものである。
【0038】
図1は、本例の投影露光装置の全体の概略構成を示し、この図1において、露光時には露光照明系60からの波長λ0 の露光用の照明光がダイクロイックミラー3を介してレチクル4に照射され、その照明光のもとでレチクル4のパターンが投影光学系5を介して例えば1/5に縮小されてフォトレジストが塗布されたウエハ6の各ショット領域に投影される。ここで、投影光学系5の光軸AXに平行にZ軸を取り、Z軸に垂直な平面で図1の紙面に平行にY軸を、図1の紙面に垂直にX軸を取る。
【0039】
また、レチクル4はレチクルステージ9上に保持され、ウエハ6はウエハホルダ7を介してXステージ8X及びYステージ8Y等からなるウエハステージ上に載置されている。実際には、Xステージ8X上に、ウエハ6をZ方向に位置決めするZステージ等が載置されている。レチクルステージ9、及びウエハステージは、それぞれ投影光学系5の光軸に垂直な平面上でレチクル4及びウエハ6の位置決めを行う。レチクルステージ9、及びウエハステージの2次元座標はそれぞれ不図示の干渉計により検出され、検出結果が主制御系61に供給され、主制御系61は、レチクルステージ制御系62、及びウエハステージ制御系63を介してそれぞれレチクルステージ9、及びウエハステージの動作を制御する。また、レチクル4の周辺部の上方には、レチクル4の中心を投影光学系5の光軸AXに合わせるためのレチクルアライメント顕微鏡39及び40(図2参照)が配置されている。
【0040】
次に、本例のLIA方式のアライメントセンサにつき詳細に説明する。このアライメントセンサは、ダイクロイックミラー3の上方の対物レンズ2、その上方のアライメント光学系1、アライメント用電源系64、及びアライメント信号処理系65より構成されている。アライメントを行う際には、主制御系61は、アライメント用電源系64を介してアライメント光学系1中の後述の3個のレーザ光源の内から選択された2個のレーザ光源にそれぞれ発光を行わせる。
【0041】
それらのレーザ光源から射出されたレーザビームは、アライメント光学系1内で所定の周波数変調を受けてアライメント光として射出され、このアライメント光は対物レンズ2、ダイクロイックミラー3を透過してレチクル4上の回折格子状のレチクルマーク35A、及び光透過性の窓部(レチクル窓)37Aに照射され、レチクル窓37Aを透過したアライメント光がウエハ6上の位置決め対象のショット領域に付設されたウエハマーク48Aに照射される。ここでは、レチクルマーク35A及びウエハマーク48Aの計測方向をX方向とする。
【0042】
そして、ウエハマーク48Aでの回折により生じたヘテロダインビーム、及びレチクルマーク35Aでの回折により生じたヘテロダインビームが、ダイクロイックミラー3、及び対物レンズ2を経てアライメント光学系1に戻り、アライメント光学系1内の受光系で2つのビート信号が生成される。これらのビート信号がアライメント信号処理系65に供給され、ここで2つのビート信号の位相差が検出され、検出された位相差が主制御系61に供給される。検出された位相差に基づいて、主制御系61は最終的なアライメントを行う。
【0043】
次に、図1〜図4を参照して、本例のLIA方式のアライメントセンサからのアライメント光の光路、並びにレチクルマーク及びウエハマークの検出方法につき説明する。図1において、アライメント光学系1内で選択された2つのレーザ光源から射出される第1及び第2のレーザビームの平均波長をそれぞれλ1 及びλ2 とする。即ち、アライメント光学系1からは、露光波長λ0 と異なる平均波長λ1 で周波数差Δf(本例では50kHz)の1対のレチクルアライメント照明光RB1 ,RB2 、及びウエハアライメント照明光WB1 ,WB2 と、露光波長λ0 と異なり波長λ1 に近い平均波長λ2 で周波数差Δf(=50kHz)の1対のレチクルアライメント照明光RB3 ,RB4 、及びウエハアライメント照明光WB3 ,WB4 とが射出されるものとする。
【0044】
図2は、図1をY方向に見た側面図であり、この図2に示すように、レチクルアライメント照明光RB1 ,RB2 は対物レンズ2によってレチクル4上に集光され、レチクル4の下面の回折格子状のレチクルマーク35Aにそれぞれ入射角−θR1,θR1で照射される。
図3は、本例のレチクル4のレチクルマーク35Aの周辺の拡大図であり、この図3において、X軸用のレチクルマーク35Aは、X方向にピッチPR で形成された回折格子よりなるマークであり、レチクルマーク35Aの内側にウエハ側に向かうアライメント光を通過させるためのレチクル窓37Aが形成されている。Y軸用のレチクルマーク及びレチクル窓は、図3を90°回転させた形で形成されている。そして、レチクルマーク35Aに照明光RB1 ,RB2 ,RB3 ,RB4 よりなる光束50が照射され、レチクル窓37Aを照明光WB1 ,WB2 ,WB3 ,WB4 よりなる光束51が通過している。
【0045】
図2に戻り、入射角−θR1,θR1とレチクルマーク35Aの格子ピッチPR とは次式の関係にあり、照明光RB1 の+1次回折光RB1 +1 と照明光RB2 の−1次回折光RB2 −1 とはそれぞれ真上に発生し、アライメント検出光(ヘテロダインビーム)として対物レンズ2を介してアライメント光学系1に戻る。
【0046】
sin (θR1)=λ1 /PR (13)
同様に、レチクルアライメント照明光RB3 ,RB4 も対物レンズ2によってレチクル4上に集光され、レチクル4上のレチクルマーク35Aに入射角−θR2,θR2で照射される。このとき、照明光RB3 の+1次回折光RB3 +1 と照明光RB4 の−1次回折光RB4 −1 とがそれぞれ真上に発生し、対物レンズ2を介してアライメント光学系1に戻る。
【0047】
一方、ウエハアライメント照明光WB1 ,WB2 はレチクル4上のレチクル窓37Aを通過し、投影光学系5中の色収差制御板10に達する。色収差制御板10の照明光WB1 ,WB2 が通過する部分には、それぞれ回折格子状の軸上色収差制御素子が形成されており、照明光WB1 ,WB2 はそれぞれ角度−θG1,θG1だけ曲げられて、回折格子状のウエハマーク48Aに対しそれぞれ入射角−θW1,θW1で照射される。
【0048】
図4(a)は、ウエハマーク48Aの拡大図を示し、この図4(a)において、ウエハマーク48Aは、X方向にピッチPW で形成された凹凸の回折格子よりなる。Y軸用のウエハマークはそのウエハマーク48Aを90°回転した形である。そして、ウエハマーク48Aに、照明光WB1 ,WB2 ,WB3 ,WB4 よりなる光束51が照射されている。
【0049】
図2に戻り、入射角−θW1,θW1とウエハマーク48Aの格子ピッチPW とは次式の関係にあり、照明光WB1 の+1次回折光WB1 +1 と照明光WB2 の−1次回折光WB2 −1 とはそれぞれ真上に発生し、これら2つの回折光がアライメント検出光(ヘテロダインビーム)となる。
【0050】
sin (θW1)=λ1 /PW (14)
この際に、ウエハアライメント照明光WB3 ,WB4 は照明光WB1 ,WB2 に波長が近いため、色収差制御板10上で通過する位置は、それぞれほぼ照明光WB1 ,WB2 が通過する軸上色収差制御素子上と見なせる。そのため、照明光WB3 ,WB4 はそれぞれ角度−θG2,θG2だけ曲げられて、ウエハマーク48Aに対しそれぞれ入射角−θW2,θW2で照射される。そして、照明光WB3 の+1次回折光WB3 +1 と照明光WB4 の−1次回折光WB4 −1 とがそれぞれ真上に発生し、アライメント検出光となる。
【0051】
この場合、図1に示すように、色収差制御板10の偏向作用によりウエハアライメント照明光は、非計測方向(Y方向)においてウエハ6に対して角度θm だけ傾いて入射するため、上記各アライメント検出光が色収差制御板10上で通過する位置は入射時に通過した位置と異なる。ウエハマーク48Aからのアライメント検出光は、色収差制御板10上の別の軸上色収差制御素子を通ることによって横方向の色収差が補正されて、レチクル窓37Aに向かう。その後、各検出光はレチクル窓37A、及び対物レンズ2を介して再びアライメント光学系1へと戻る。また、ウエハアライメント照明光は、色収差制御板10が配置されない場合に比べ、ウエハ6の表面でY方向にΔβだけずれた位置を照明する。
【0052】
ここで、図5を参照して、アライメント光学系1について詳しく説明する。図5(b)はアライメント光学系1を図1と同じ方向から見た図、図5(a)はアライメント光学系1を図2と同じ方向から見た図、図5(c)は図5(a)の底面図である。
図5において、それぞれレーザダイオードよりなる第1のレーザ光源11A、第2のレーザ光源11B、及び第3のレーザ光源11Cが備えられ、レーザ光源11A,11B,11Cから射出されるレーザビームの波長は例えばそれぞれ630nm,690nm,780nmに設定されている。そして、アライメント用電源系64は、3個のレーザ光源11A〜11Cの内の任意の1個若しくは2個のレーザ光源、又は3個のレーザ光源を所望の強度で独立に点灯駆動できるようになっている。なお、3個のレーザ光源の内の所定のレーザ光源を例えばHe−Neレーザ光源、He−Cdレーザ光源、又はArイオンレーザ光源等としてもよく、3個のレーザ光源の代わりに、例えば2つの周波数可変レーザ光源を使用してもよく、3個のレーザ光源の代わりに、4個以上のそれぞれ発振波長の異なるレーザ光源を使用してもよい。また、3個以上のレーザ光源の内から選択された複数のレーザ光源を発光させる際に、シャッターを使用して選択されないレーザ光源のレーザビームをシャッターで遮光するようにしてもよい。
【0053】
この場合、第1のレーザ光源11から出た波長λ1 のレーザビームと、第2のレーザ光源12から出た波長λ2 のレーザビームとは、ダイクロイックミラー13Aにより同軸に合成され、このように同軸に合成された2つのレーザビームと、第3のレーザ光源から射出される波長λ3 のレーザビームとはダイクロイックミラー13Bにより同軸に合成されて照明光Bとなる。以下では、照明光Bは、波長λ1 及びλ2 のレーザビームが合成されたものとして説明するが、照明光Bを構成するレーザビームの波長の組合せが変わっても同様である。
【0054】
照明光Bは、周波数F1 で駆動されている音響光学素子(以下、「AOM」と呼ぶ)14に入射する。AOM14は光を垂直に入射させてラマン・ナス回折による±1次回折光を均等に得るもの、即ちラマン・ナス型AOMである。照明光B内の2つのレーザビームは波長が異なるため、AOM14によってそれぞれ異なる角度に回折光が発生する。これら+1次、及び−1次回折光は、もとの周波数に対してそれぞれ+F1 ,及び−F1 の周波数差を持っている。
【0055】
AOM14から射出されたレーザビームはレンズ15を通過して空間フィルタ16に入射し、空間フィルタ16によって±1次回折光のみが選択され、選択された回折光はレンズ17を経て、AOM14に対して45°回転して配置され、且つ周波数F2 で駆動されているAOM18に交差するように入射する。AOM18はブラッグ型AOMであり、入射角はブラッグ角の1/sin 45°になるよう設定してある。従って、光軸の回りに45°回転した面で見れば、回折光の入射角はブラッグ角である。この場合、AOM14で+F1 の周波数変調を受けたレーザビームはAOM18で−1次回折光が強く発生し、その−1次回折光はAOM18で−F2 の周波数変調を受け、レーザ光源11,12から射出されるときに対して+(F1 −F2 )の周波数変調を受けたアライメントビームB1 ,B3 になる。同様に、AOM14で−F1 の周波数変調を受けたレーザビームはAOM18で+1次回折光が強く発生し、その+1次回折光はAOM18で−F2 の周波数変調を受け、レーザ光源11,12から射出されるときに対して−(F1 −F2 )の周波数変調を受けたアライメントビームB2 ,B4 になる。その結果、アライメントビームB1 ,B3 とアライメントビームB2 ,B4 との周波数差Δfは2(F1 −F2 )で表され、この例ではΔfは50kHzに設定されるものとする。AOM18を通過したレーザビームは、レンズ19を経て空間フィルタ20に入射し、空間フィルタ20で選択されたアライメントビームB1 〜B4 は後段へと導かれる。
【0056】
アライメントビームB1 〜B4 はレンズ21によって視野絞り22上に集光され、レチクル又はウエハ上でのビーム形状が決められた後、レチクル・ウエハビーム分離プリズム23によってレチクルアライメント照明光RB1 〜RB4 、及びウエハアライメント照明光WB1 〜WB4 に分けられる。その後、アライメント照明光はレンズ24を経て直視プリズム25に到達する。直視プリズム25は光軸を中心に回転可能であり、不図示のモータによって図1の主制御系61からの指示により駆動される。直視プリズム25が回転すると波長λ1 ,λ2 の2色の照明光は相対角度が変化し、波長λ1 の照明光RB1 ,WB1 ,RB2 ,WB2 に対してそれぞれ波長λ2 の照明光RB3 ,WB3 ,RB4 ,WB4 が分離される。このように相対角度が変化した照明光は、ビームスプリッタ26を経て図2の対物レンズ2に向かう。相対角度の変化により、波長λ1 ,λ2 の2色の照明光のレチクル及びウエハ上での照射位置の相対関係も変化する。
【0057】
一方、図2のレチクルマーク35A及びウエハマーク48Aからのアライメント検出光は、図5のアライメント光学系1に戻った後、ビームスプリッタ26により反射され、レンズ27を経てレチクル、及びウエハと共役な位置にある検出光分離プリズム28によって、レチクル検出光とウエハ検出光とに分離される。レチクル検出光RB1 +1 ,RB2 −1 及びRB3 +1 ,RB4 −1 は検出光分離プリズム28を透過し、光電検出素子30によって受光される。ウエハ検出光WB1 +1 ,WB2 −1 及びWB3 +1 ,WB4 −1 は検出光分離プリズム28で反射されて、光電検出素子31によって受光される。光電検出素子30からレチクルマークの位置に対応するレチクルビート信号SR が出力され、光電検出素子31からウエハマークの位置に対応するウエハビート信号SW が出力される。
【0058】
レチクルビート信号SR は検出光RB1 +1 ,RB2 −1 、及びRB3 +1 ,RB4 −1 による周波数Δfの正弦波状のビート信号であり、ウエハビート信号SW は検出光WB1 +1 ,WB2 −1 及びWB3 +1 ,WB4 −1 による周波数Δfの正弦波状のビート信号である。両者の位相差Δφ[rad]はレチクル4、及びウエハ6のX方向への相対移動量により変化し、その相対移動量Δxは以下の式に示す通りである。
【0059】
Δx(レチクル上)=PR ・Δφ/(4π) (15A)
Δx(ウエハ上) =PW ・Δφ/(4π) (15B)
なお、Y方向用のアライメントセンサにより、Y軸用のレチクルマーク及びウエハークに対応するビート信号が得られる。
レチクルビート信号SR 及びウエハビート信号SW はそれぞれ増幅器52,53により信号強度(振幅)が調整され、アナログ/デジタル(A/D)変換器54,55を経てアライメント信号処理系65に供給され、ここで両信号SR ,SW の位相差が検出される。検出された位相差は図1の主制御系61に供給される。主制御系61は、両ビート信号SR ,SW の位相差に基づき、レチクル4とウエハマークとの位置ずれが所定の目標追い込み値になるように、レチクル4とウエハ6との位置合わせを行う。その後レチクル4のパターン像がウエハ6の当該ショット領域に投影露光される。
【0060】
次に、本例においてウエハマークの段差に応じて、アライメントセンサからウエハマークに照射されるレーザビームの波長の組合せを変える際の動作の一例につき詳細に説明する。
先ず、図4(b)は、図4(a)に示す本例のウエハマーク48Aの拡大断面図であり、ウエハマーク48Aは例えばウエハ6上に被着された金属膜上にエッチングによりX方向に所定ピッチで形成された凹凸の位相パターンであり、ウエハマーク48A上に屈折率nのフォトレジスト56が塗布されている。図4(b)のウエハマーク48Aは、凹部(底部)57が平坦な対称なマークであり、凸部と凹部57との段差の平均値hの大まかな値は、予め計測又はシミュレーション等により求められ、露光データとして図1の主制御系61の記憶部に記憶されているものとする。なお、ウエハマーク48Aは、図4(c)に示すように凹部58が計測方向に対して傾斜した非対称なマークとなっている場合もあるが、この場合には凹部58の中心での段差の平均値hの大まかな値が、主制御系61の記憶部に記憶されている。
【0061】
また、主制御系61の記憶部にはフォトレジスト56の屈折率nの値も記憶され、先ず主制御系61は、ウエハマーク48Aの段差の平均値hの実効的光路長s(=n・h)を求める。この場合、レーザビームの波長をλとして、その実効的光路長sを(4)式より位相差yに換算すると、ウエハマーク48Aでの回折効率f(y)は(5)式で表され、回折効率f(y)は位相差yに対して図6のように変化する。
【0062】
次に、主制御系61は、図5の3個のレーザ光源11A〜11Cから射出されるレーザビームの波長λ1 〜λ3 の中で、2つの波長の波長差をΔλ、平均値をλとしたとき、(3A)式又は(3B)式に最も当てはまる2つの波長を選択する。具体的に、波長λ1,λ2,λ3 をそれぞれ630nm,690nm,780nmであるとして、ウエハマーク48Aの段差の平均値hが0.7μm、フォトレジストの屈折率nが1.6として、平均波長λを660nm、整数mを0とすると、(3A)式からはΔλ=65nmとなり、(3B)式からはΔλ=130nmとなる。
【0063】
そして、波長差Δλとして65nm又は130nmの何れかを選択する方法としては、平均波長λが2s=(m+1/2)λ(m:整数)を満たす波長に近いときは、(3A)式つまり65nmを選択し、平均波長λが2s=mλ(m:整数)を満たす波長に近いときは、(3B)式つまり130nmを選択する。これは、図6では、平均波長λが点A付近に対応するときには、(3A)式が満たされるように2つの波長として点B及び点C付近に対応する波長を取り、平均波長λが位相差y=πの近傍に対応するときには、(3B)式が満たされるように2つの波長として点C及び点D付近に対応する波長を取ることを意味する。要は2つの波長について、図6の回折効率f(y)の曲線の傾きが逆になる組み合わせを探すことである。
【0064】
この結果、波長差Δλとして65nmが選択され、波長λ1 〜λ3 中の2つの波長として630nm及び690nmが選択される。そこで、図1の主制御系61はアライメント用電源系64を介して、図5の第1及び第2のレーザ光源11A,11Bを同時に点灯駆動する。この結果、ウエハマークの段差が多少変化しても平均化効果により非対称の影響は受けなくなる。次に、ウエハマークの段差の平均値hが例えば0.3μmの場合は、平均波長を700nmとして、波長差Δλ=170nmになる。従って、波長λ1 〜λ3 中の2つの波長として630nm,780nmを選択すればよい。このようにウエハマークの段差に応じて点灯する2つの光源の波長を選択すればよい。
【0065】
以上で述べた要点は、2つの波長で図6の回折効率f(y)の曲線の傾きが逆になる組み合わせを探すことである。ところで、アライメントセンサの光源が多数ある場合には、それらの波長から図6に示した回折効率f(y)の大まかな曲線を知ることができる。その結果を用いて傾きが逆になる2波長の組み合わせを決定することが可能である。この場合、ウエハマークの段差の値が分からなくともよい。ところで、上記の複数波長はウエハマークの回折効率が各波長で等しいと仮定したときに、図5の光電検出素子31での光電変換信号のレベルが同じ値になるように出力調整することが望ましい。
【0066】
なお、本実施例では、(3A)式、又は(3B)式で決まる波長差を考えたが、これらの平均的な値、つまり(3C)式で定まる波長差に設定してもよい。この場合、波長差は最適値からは外れるものの大きな不都合はない。こうすると、平均波長によって(3A)式と(3B)式とを使い分ける必要がなく便利である。
【0067】
次に、本発明の他の実施例につき説明する。本実施例の投影露光装置は図1及び図2の投影露光装置と同様であり、そのアライメント光学系の構成も図5と同様である。但し、本例の図5(a)のアライメント用電源系64は、例えば3個のレーザ光源11A〜11Cを順番に1つずつ所望の駆動電力で点灯する機能を有する。そして、本実施例では、3個のレーザ光源11A〜11Cの発振波長λ1 〜λ3 から、波長差Δλが(3A)式、(3B)式、又は(3C)式の何れかを満たす波長差に近い値となる2つの波長(例えば波長λ1 及びλ2)を決定する。その後、図1の主制御系61は図5(a)のアライメント用電源系64を介して、それらの波長λ1 及びλ2 に対応するレーザ光源11A,11Bを交互に点灯する。
【0068】
この場合、図5(a)の光電検出素子31から交互に取り込まれるビート信号SW に基づいて、アライメント信号処理系65で2つの位置ずれ量Δx1 及びΔx2 が得られる。また、波長λ1 及びλ2 でのビート信号SW の振幅を所定の平均値で規格化した値をそれぞれW1 及びW2 とすると、本例のアライメント信号処理系65では、2つの位置ずれ量Δx1 及びΔx2 をそれぞれW1 及びW2 に応じて重み付けして加算した値を位置ずれ量Δxとする。これにより、実質的に、2つの波長での回折効率が同じ値となり、ウエハマークの非対称の影響が軽減される。
【0069】
なお、図5(a)において、光電検出素子31を波長別に複数個設けて、2つのレーザ光源を同時に点灯するようにしてもよい。また、交互に、又は並列に取り込んだ2つの位置ずれ量Δx1 及びΔx2 を重みを付けて処理する代わりに、2つのレーザ光源の駆動電力の比の値を制御してもよい。これにより、正確に位置ずれ量が求められる。
【0070】
なお、上述実施例ではアライメントセンサとして、ヘテロダイン干渉方式でLIA方式のアライメントセンサが使用されているが、ホモダイン干渉方式の場合にも本発明を適用することにより上述実施例と同様の効果が得られる。また、本発明のアライメント装置は、上述のTTR方式で且つLIA方式のアライメントセンサに限らず、ハロゲンランプを光源とする波長帯域幅の広い光で照明したアライメントマークを画像処理して計測するFIA方式のアライメントセンサ等を使用する場合にも適用することができる。
【0071】
このように本発明は上述実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得る。
【0072】
【発明の効果】
本発明のアライメント装置によれば、位置合わせ用マーク(ウエハマーク)の段差に応じてその位置合わせ用マークに照射される複数の波長の光の波長差を設定しているため、その位置合わせ用マークの段差を正確に或る特別な光路長に合わせることなく、その位置合わせ用マークの非対称の影響を軽減してその位置合わせ用マークの位置を正確に検出して、感光基板(ウエハ)を高精度に位置合わせできる利点がある。
【0073】
この場合、照射光学系が、互いに異なる3種類以上の波長から選択された任意の組合せの複数の波長の光を発生する光源を備え、波長制御手段が、その位置合わせ用マークの段差に応じてその照射光学系内でそれら3種類以上の波長から選択される波長の組合せを指示するときには、簡単な構成で位置合わせ用マークの段差に応じて複数の光の波長差を設定できる。
【0074】
また、照射光学系が、複数の互いに異なり且つ可変の波長の光を発生する光源を備え、波長制御手段が、その位置合わせ用マークの段差に応じてその照射光学系内の光源から発生される波長可変の複数の光のそれぞれの波長を指示するときには、複数の光の波長差を高精度に所定の値に設定できる利点がある。
また、その位置合わせ用マークに照射される複数の波長の光の内の所定の2つの波長の光の波長差をΔλとして、その位置合わせ用マークの段差の実効的光路長をsとした場合、正の整数m、及び2〜4の何れかの整数nを用いて、実質的に(2)式の関係が成立するときには、位置合わせ用マークの非対称の影響を最も小さくできる。
【0075】
次に、位置合わせ用マーク(ウエハマーク)の段差に応じてその位置合わせ用マークに照射される複数の波長の光に対応する検出信号のレベル比を調整する場合には、その位置合わせ用マークの段差を正確に或る特別な光路長に合わせることなく、その位置合わせ用マークの非対称の影響を軽減してその位置合わせ用マークの位置を正確に検出して、感光基板(ウエハ)を高精度に位置合わせできる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で使用される投影露光装置の全体を示す概略構成図である。
【図2】図1の投影露光装置のステージ系、及びアライメント光学系をY方向に見た側面図である。
【図3】実施例のレチクルに形成されたレチクルマーク35A及びレチクル窓37Aを示す拡大平面図である。
【図4】実施例のウエハ上のショット領域に付設されたウエハマーク48Aを示す拡大平面図である。
【図5】(a)は図1中のアライメント光学系1及び信号処理系の構成を示す図、(b)は図5(a)の光学系の側面図、(c)は図5(a)の光学系の底面図である。
【図6】位置合わせ用マーク(ウエハマーク)の段差の位相差yと回折効率f(y)との関係を示す図である。
【図7】位置合わせ用マーク(ウエハマーク)の段差の位相差yと、非対称の影響を表す関数g(y)との関係を示す図である。
【図8】(a)は対称なウエハマークを示す拡大断面図、(b)は非対称なウエハマークを示す拡大断面図である。
【図9】図8(a)及び(b)のウエハマークに対応して得られる反射光(回折光)の強度分布を示す図である。
【符号の説明】
1 アライメント光学系
2 対物レンズ
3 ダイクロイックミラー
4 レチクル
5 投影光学系
6 ウエハ
7 ウエハホルダ
8X Xステージ
8Y Yステージ
9 レチクルステージ
10 色収差制御板
11A〜11C レーザ光源
22 視野絞り
23 レチクル・ウエハビーム分離プリズム
26 ビームスプリッタ
30,31 光電検出素子
35A レチクルマーク
39,40 レチクルアライメント顕微鏡
48A ウエハマーク
61 主制御系
64 アライメント用電源系
65 アライメント信号処理系
【産業上の利用分野】
本発明は、マスクに形成されたパターンを感光基板上に転写する露光装置に設けられ、マスクと感光基板との位置合わせを行うためのアライメント装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子、又は液晶表示素子等の製造に使用される投影露光装置には、特にウエハ(又はガラスプレート等)上の2層目以降に回路パターンを形成する際に、マスクとしてのレチクルとウエハとを高精度に位置合わせするためのアライメント装置が設けられている。斯かるアライメント装置は、ウエハ上のアライメントマーク(ウエハマーク)の位置を検出するアライメントセンサと、このアライメントセンサにより検出された位置に基づいてウエハを目標移動位置に移動する制御系とから構成されている。
【0003】
一般に、露光及びその後のプロセス等によりウエハ表面の荒れの程度が変化すると共に、ウエハ上の層(レイア)によってウエハマークと周辺の下地との段差が異なる場合があるため、単一のアライメントセンサで全てのウエハマークの位置を正確に検出するのは困難である。そこで、用途に応じて次のようなアライメントセンサが使用されている。
【0004】
▲1▼LIA(Laser Interferometric Alignment )方式:これは回折格子状のウエハマークに、周波数を僅かに変えたレーザ光を2方向から照射し、発生した2つの回折光を干渉させ、この干渉光の位相からウエハマークの位置情報を検出するセンサである。このLIA方式は、低段差のウエハマークや表面荒れの大きいウハに効果的である。
【0005】
▲2▼FIA(Field Image Alignment )方式:これはハロゲンランプ等を光源とする波長帯域幅の広い光で照明したウエハマークの像を、画像処理して位置計測を行うセンサであり、アルミニウム層やウエハ表面の非対称なマークの計測に効果的である。
▲3▼LSA(レーザ・ステップ・アライメント)方式:これはレーザ光をウエハマークに照射し、回折・散乱された光を利用してそのウエハマークの位置を計測する系であり、従来より種々のプロセスウエハに幅広く使用されているものである。
【0006】
従来は、このような種々のアライメントセンサを用途に応じて使い分けていた。また、アライメントセンサの光学系としては、投影光学系を介してレチクルとウエハとの位置合わせを行うためのTTR(スルー・ザ・レチクル)方式、投影光学系を介してウエハマークの位置を検出するTTL(スルー・ザ・レンズ)方式、又は投影光学系を介することなくウエハマークの位置検出を行うオフ・アクシス方式が知られており、これら各光学系に対して上述の種々のアライメントセンサを組み合わせることができる。
【0007】
例えばTTR方式でLIA方式のアライメントセンサを使用する場合、アライメント光の波長が露光波長と異なるために、アライメント光に対して投影光学系で所定の色収差が発生する。そこで、例えば特開平5−160001号公報では、投影光学系の瞳面付近のアライメント光の通過位置に位相格子等の色収差制御部材を配置し、この色収差制御部材で投影光学系で発生する色収差を補正するようにしたアライメント装置が開示されている。この装置では、特に軸上色収差はレチクルとウエハとが共役になるように補正される。
【0008】
また、一般にウエハマークはウエハの表面に形成された凹凸のパターン(反射型の位相格子)であるが、例えばLIA方式のアライメントセンサで検出対象とする回折格子状のウエハマークに関しては、アライメント光の波長をλとして、そのウエハマークの凸部と凹部との段差の実効的光路長が(λ/4+mλ/2)(mは整数)のときに、最も回折効率が高くなり、高いSN比のビート信号が得られることが知られている。同様に、FIA方式のアライメントセンサ等においても、ウエハマークの凹凸の段差に関してはアライメント光の波長に応じた最適な光路長がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述のようにアライメントセンサで検出対象とされるウエハマークの段差については、使用されるアライメント光の波長に応じて高いSN比の検出信号を得るための最適な光路長がある。しかしながら、実際にはアライメント光の波長が定まっている場合に、その波長に合わせて段差が最適になるようにウエハマークを形成するのは困難である。また、特にウエハの周辺部等において、ウエハマークの凹部が傾斜して非対称なマークになることがある。更に、各種プロセスを経る間にウエハマークの段差が変化するか、ウエハマークの凹部が非対称になることもある。また、ウエハ上で上の層になるにつれて、ウエハマークの段差が最適な値から次第にずれるか、又は凹部が傾斜して傾向がある。
【0010】
このようにウエハマークの段差が最適な光路長から外れるときの不都合につき考察する。先ず、図8(a)は、ウエハ6上に計測方向に対して対称に形成されたウエハマーク66上に屈折率nのフォトレジスト67が塗布されている状態を示し、この図8(a)において、反射型の位相格子としてのウエハマーク66の凸部と凹部との反射率は同じであるとする。また、ウエハマークの凸部と凹部との段差をhとして、上述のように、その段差hの実効的光路長s(=n・h)が次式を満たすときに波長λのアライメント光の回折効率が最大となる。
【0011】
2s=λ/2+mλ(m:整数) (1)
但し、ウエハマーク66の凸部の振幅反射率と凹部(底部)の振幅反射率とが異なる場合には、(1)式における実効的光路長sとしては、その凸部でのアライメント光の位相とその凹部でのアライメント光の位相との位相差にλ/(2π)を掛けた値で表される。図8(a)のウエハマーク66で、(1)式が満たされている場合には、ウエハマーク66からの反射光(又は回折光)の強度分布は図9(a)に示すようになり、非対称がなく良好に計測が行われる。また、その実効的光路長sが(1)式から或る程度外れても、非対称性がない場合には正確に位置検出が行われる。
【0012】
次に、図8(b)に示すように、ウエハ6上に形成されたウエハマーク68の凹部(底部)が計測方向に傾斜して、ウエハマーク68が非対称となっている場合につき考察する。この場合、凸部と凹部との段差hとしては、凹部の中心での段差を使用する。そして、段差hの実効的光路長s(=n・h)について(1)式が成立するものとすると、図8(b)のウエハマーク68の凹部(底部)の中心の左右の領域69A,69Bからの反射光の強度は、中心からの反射光の強度よりも同じだけ小さい値になり、ウエハマーク68からの反射光の強度は図9(b)に示すように、全体として非対称性がない。更に、平均的に図9(a)の場合よりも強度は小さくなるが、位置検出には殆ど支障がない。
【0013】
一方、段差hの実効的光路長sが(1)式より多少大きいときには、ウエハマーク68の凹部の右側の領域69Bでの平均的な光路長が(1)式に近づき、且つ左側の領域69Aでの平均的な光路長が(1)式から外れるため、領域69Bからの反射光の強度が領域69Aからの反射光の強度よりも強くなる。従って、ウエハマーク68からの反射光の強度分布は、図9(c)に示すように光量の重心位置が、光量分布が対称な場合の重心位置70に比べて右側に片寄ったものとなり、非対称の影響を受けてしまう。逆に、図8(b)において、段差hの実効的光路長sが(1)式より多少小さいときには、ウエハマーク68からの反射光の強度分布は、図9(d)に示すように光量の重心位置が、本来の重心位置70に比べて左側に片寄ったものとなり、やはり非対称の影響を受けてしまう。
【0014】
以上のように、ウエハマークの凹部が傾斜してウエハマークが非対称となっている場合に、その凹部の中心での段差の実効的光路長が(1)式を満たすときには、殆どその非対称の影響は受けないが、その凹部の中心での実効的光路長が(1)式から外れると非対称の影響が現れることが分かる。因に、ウエハマークがウエハ上に被着されたアルミニウム層をエッチング等して形成されているような場合、ウエハ周辺部でそのようなウエハマークの凹部(底部)での傾斜がよく見られる。
【0015】
これに関して、特別の工程を設けてウエハマークの段差が(1)式を満たすようにすることも可能であるが、それでは露光工程のスループット(生産性)が低下すると共に、製造コストが増加するという不都合がある。
本発明は斯かる点に鑑み、ウエハマークの段差を正確に或る特別な光路長に合わせることなく、ウエハマークの非対称の影響を軽減してウエハマークの位置を正確に検出して、ウエハを高精度に位置合わせできるアライメント装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明による第1のアライメント装置は、例えば図1及び図5に示すように、マスクパターン(4)を感光基板(6)上に転写する露光装置に設けられ、感光基板(6)上に形成された凹凸パターンよりなる位置合わせ用マーク(48A)の位置に基づいてマスクパターン(4)と感光基板(6)との位置合わせを行うアライメント装置において、位置合わせ用マーク(48A)に対して互いに異なる複数の波長の光を照射する照射光学系(11A〜11C,13A,13B,14〜26,2)と、位置合わせ用マーク(48A)からの光束を受光してその位置合わせ用マークの位置に応じた検出信号を生成する受光光学系(2,26〜28,31)と、その位置合わせ用マークの凹部の中心での段差に応じてその照射光学系からその位置合わせ用マークに照射される複数の波長の光の波長差を設定する波長制御手段(61,64)と、を有するものである。
【0017】
この場合、その照射光学系の一例は、互いに異なる3種類以上の波長から選択された任意の組合せの複数の波長の光を発生する光源(11A〜11C)を備えているものであり、このときその波長制御手段は、その位置合わせ用マークの段差に応じてその照射光学系内でそれら3種類以上の波長から選択される波長の組合せを指示することが望ましい。
【0018】
また、その照射光学系の他の例は、複数の互いに異なり且つ可変の波長の光を発生する光源を備えているものであり、このとき波長制御手段は、その位置合わせ用マークの段差に応じてその照射光学系内の光源から発生される波長可変の複数の光のそれぞれの波長を指示することが望ましい。
また、その位置合わせ用マークに照射される複数の波長の光の内の所定の2つの波長の光の平均(本発明では「相乗平均」を意味する)波長をλ、波長差をΔλとして、その位置合わせ用マークの段差の実効的光路長をsとした場合、正の整数m、及び2〜4の何れかの整数nを用いて、実質的に次の関係が成立するように波長差を設定することが望ましい。
【0019】
Δλ=λ2 (n/6+m)/(2s) (2)
これは言い換えると、波長差Δλを次の何れかの近傍に設定することを意味する。
Δλ=λ2 (1/3+m)/(2s) (3A)
Δλ=λ2 (2/3+m)/(2s) (3B)
Δλ=λ2 (1/2+m)/(2s) (3C)
【0020】
また、本発明の第2のアライメント装置は、例えば図1及び図5に示すように、上述の第1のアライメント装置と同じ前提部において、互いに異なる複数の波長の光のうち、その位置合わせ用マークの凹部の中心での段差に応じて互いに波長の異なる複数の光を選択し、その選択された複数の波長の光をその位置合わせ用マークに照射する照射光学系(11A〜11C,13A,13B,14〜26,2)と、その照射光学系によるその照射によってその位置合わせ用マークから発生したそれら複数の波長の光を受光し、各波長毎にその位置合わせ用マークの位置に応じた検出信号を生成する受光光学系(2,26〜28,31)と、その受光光学系から出力される各波長毎の検出信号に基づいてその位置合わせ用マークの位置情報を各波長毎に求めるとともに、その求められた各波長毎の位置情報に基づいてその位置合わせ用マークの位置情報を求める信号処理系(65)と、を有するものである。
また、本発明による露光装置は、本発明のアライメント装置を備え、そのアライメント装置によりアライメントされた感光基板上に、マスクパターンを投影光学系を介して転写するものである。
【0021】
【作用】
斯かる本発明の原理につき説明する。先ず、感光基板上の位置合わせ用マーク(48A)は、例えば図4(b)又は(c)に断面図で示すように、計測方向(X方向)に所定ピッチで形成された反射型の位相格子として扱うことができる。位置合わせ用マーク(48A)の凹部(底部)が平坦な場合(図4(b))にはその凸部と凹部との段差の平均値を段差hとして、その凹部が計測方向に傾斜している場合(図4(c))には、その凹部の中心での段差の平均値を段差hとする。また、位置合わせ用マーク(48A)は屈折率nの感光材料(56)で覆われており、位置合わせ用の光束の波長域は感光材料(56)を透過する波長域に設定されている。
【0022】
仮に、位置合わせ用の光束として波長λの単色光を使用するものとすると、その位置合わせ用マーク(48A)の段差hの実効的光路長s(=n・h)は(1)式を満たすことが望ましいが、実際にはそれは困難である。そこで、本発明の第1のアライメント装置では、位置合わせ用の光束の波長を変えて、実質的に(1)式の条件を略々満たすことを考える。
【0023】
図6は、位置合わせ用マーク(48A)の段差hの実効的光路長s(=n・h)と回折効率との関係を示し、この図6の横軸yはその実効的光路長sを位相差に換算したものであり、次の関係が成立している。
y=4πs/λ=4πn・h/λ (4)
また、図6の縦軸は位相差yでの回折効率f(y)の値を示し、回折効率f(y)は次式で表される。
【0024】
f(y)=(1+cos y)/2 (5)
図6の点Aは(1)式の条件が満たされている場合を示す。ここで、段差hが大きくなると回折効率は点Bに移動し、段差hが小さくなると回折効率は点Cに移動し、何れの場合でも回折効率f(y)は低下する。逆に、例えば位置合わせ用マーク(48A)が図4(c)に示すように非対称であっても、その平均的な段差hが(1)式の条件を満たす場合には、回折効率の分布の重心位置は、位置合わせ用マーク(48A)が対称な場合とほぼ同じ位置に維持され、非対称の影響を殆ど受けないと考えられる。
【0025】
そこで、次に位置合わせ用の光束が2つの波長λ1 及びλ2 の単色光を含むものとして、波長λ1 及びλ2 における位相差yがそれぞれ図6の点B及び点Cの位相差であるとする。この場合、位置合わせ用マーク(48A)が図4(b)に示すように対称で、且つ段差h(平均値)が大きくなると、点B及び点Cがそれぞれ右方向の点B’及び点C’に移動するため、全体としての回折効率は低下しない。同様に、段差h(平均値)が小さくなっても、点B及び点Cが共に左方向に移動するため、全体としての回折効率は低下しない。従って、複数波長の光を使用することにより、段差hがばらついた場合の検出信号の低下を或る程度軽減できることが分かる。
【0026】
同様に、位置合わせ用マーク(48A)が図4(c)に示すように非対称で、且つ相乗平均の平均波長λ(=(λ1 λ2 )1/2 )に対して段差h(平均値)が(1)式を満たしているとすると、波長λ1 での非対称による光量重心のずれの方向と、波長λ2 での非対称による光量重心のずれの方向とは逆方向となる。従って、2つの波長を使用することにより非対称の影響も軽減される。
【0027】
ここで、2つの波長の間隔の条件について検討してみる。先ず、段差hが変化した場合に、2つの波長で回折効率の変化が逆方向となるためには、図6で回折効率f(y)がピークとなる点Aの両側に位相差yが来るようにそれら2つの波長を選ぶ必要がある。次に、位置合わせ用マーク(48A)の非対称の影響は、例えば図4(c)の傾斜した凹部(底部)(58)の両端での回折効率の差によるが、これは図6の回折効率f(y)を示す曲線の傾き(位相差yに関する微分)f’(y)に比例する。更に、傾斜による回折効率の差が大きくても平均的な回折効率が小さければ影響が少なくなることもある。結局、非対称の影響は回折効率f(y)を示す曲線の傾きf’(y)と平均的な回折効率f(y)との積の関数g(y)で与えられると考えられる。関数g(y)は次式で与えられる。
【0028】
g(y)=f(y)・f’(y) (6)
図7は、位相差yに対する関数g(y)の変化を示し、この図7において点線は関数f(y)/2の値を示している。関数g(y)は、次の関係が成立するとき0となる。
y=mπ(m:整数) (7)
つまり、このとき位置合わせ用マークの凹部(底部)に傾斜があっても非対称の影響は受けない。また、関数g(y)は、次の関係が成立するとき、極値±(3/16)31/2 をとる。
【0029】
y=2mπ±π/3(m:整数) (8)
この場合、図7に示すように、点B及び点Cでそれぞれ関数g(x)が負及び正の極値を取るものとすると、点Bでの位相差yが(2mπ+π/3)となり、点Cでの位相差yは(2mπ−π/3)となる。更に点Cの左側で負の極値を取る点Dの位相差yは{2(m−1)π+π/3}、即ち(2mπ−5π/3)となる。従って、関数g(x)が極値を取る隣接する2つの点の位相差の間隔は2π/3、又は4π/3となる。
【0030】
言い換えると、図6で回折効率f(y)がピークとなる点Aの両側の点B,Cでの波長λ1,λ2 を、図7でy軸上での間隔が2π/3か4π/3となるようにとると、図7の点B,Cでの関数g(y)の値が絶対値が同じで符号が逆の値となり、その和は0となる。つまり、段差が変わって点B,Cが回折効率のピークを挟んで左右にずれても、点B,Cでの関数g(y)の値の和はほぼ0になるので非対称の影響を受けないことになる。なお、間隔が4π/3のときには、点Bは点Dの位置にある。
【0031】
この場合、(4)式及び(8)式より点Bにおける波長λ1 での位相差y1 、及び点Cにおける波長λ2 での位相差y2 についてそれぞれ次の関係が成立している。
y1 =4πs/λ1 =2mπ±π/3 (9A)
y2 =4πs/λ2 =2mπ±π/3 (9B)
従って、(9A)式から(9B)式を減算することにより、次の何れかの関係が成立する。
【0032】
4πs(1/λ1 −1/λ2 )=2mπ+2π/3 (10A)
4πs(1/λ1 −1/λ2 )=2mπ+4π/3 (10B)
次に、2波長λ1 及びλ2 の差分Δλ、及び平均波長λを次のように定義する。
Δλ=λ2 −λ1 (11A)
λ=(λ1 λ2 )1/2 (11B)
そして、(11A)式及び(11B)式を(9A)式に代入することにより、(3A)式に対応する次式が得られる。
【0033】
Δλ=λ2 (1/3+m)/(2s) (12A)
同様に、(11A)式及び(11B)式を(10B)式に代入することにより、(3B)式に対応する次式が得られる。
Δλ=λ2 (2/3+m)/(2s) (12B)
2つの波長の差を(12A)式、又は(12B)式の値に設定すると、段差が多少変化しても2波長の和により位置合わせ用マークの凹部の傾斜による非対称の影響を避けることができる。
【0034】
なお、(12A)式と(12B)式とを使い分けることが煩雑な場合には、次のように(12A)式と(12B)式との平均的な値の波長差Δλを使用しても、最適値は外れるものの大きな不都合はない。以下の式では1/3と2/3との平均値が1/2であることが利用されており、以下の式が(3C)式に対応している。
【0035】
Δλ=λ2 (1/2+m)/(2s) (12C)
ところで、上述の発明では各波長の光強度は等しい大きさにしておく必要がある。この光強度は回折効率が各波長で等しいと仮定した場合に、受光光学系の光電変換部で観測される値である。また、以上の説明は回折効率の大きさとマーク像の強度分布とを用いて概念的に述べた。しかし、このような非対称の影響はLIA方式等の回折光干渉による位相検出においては位相誤差として現れることになり、従って画像処理型でも回折光干渉型(LIA方式等)でも同様に適用できる。
【0036】
次に、そのように波長差Δλを実際に変化させる代わりに、複数の波長の光束の光強度、又は複数の波長の光束の検出信号のレベルを変化させてもよい。このように光強度、又は検出信号のレベルを変化させることにより、波長差が変化するのと同様に段差の変化、又は非対称の影響が軽減される。
【0037】
【実施例】
以下、本発明によるアライメント装置の一実施例につき図1〜図5を参照して説明する。本実施例は、レチクル上のパターンを投影光学系を介してウエハ上の各ショット領域に投影する投影露光装置において、TTR方式で且つLIA方式のアライメントセンサを使用する場合に本発明を適用したものである。
【0038】
図1は、本例の投影露光装置の全体の概略構成を示し、この図1において、露光時には露光照明系60からの波長λ0 の露光用の照明光がダイクロイックミラー3を介してレチクル4に照射され、その照明光のもとでレチクル4のパターンが投影光学系5を介して例えば1/5に縮小されてフォトレジストが塗布されたウエハ6の各ショット領域に投影される。ここで、投影光学系5の光軸AXに平行にZ軸を取り、Z軸に垂直な平面で図1の紙面に平行にY軸を、図1の紙面に垂直にX軸を取る。
【0039】
また、レチクル4はレチクルステージ9上に保持され、ウエハ6はウエハホルダ7を介してXステージ8X及びYステージ8Y等からなるウエハステージ上に載置されている。実際には、Xステージ8X上に、ウエハ6をZ方向に位置決めするZステージ等が載置されている。レチクルステージ9、及びウエハステージは、それぞれ投影光学系5の光軸に垂直な平面上でレチクル4及びウエハ6の位置決めを行う。レチクルステージ9、及びウエハステージの2次元座標はそれぞれ不図示の干渉計により検出され、検出結果が主制御系61に供給され、主制御系61は、レチクルステージ制御系62、及びウエハステージ制御系63を介してそれぞれレチクルステージ9、及びウエハステージの動作を制御する。また、レチクル4の周辺部の上方には、レチクル4の中心を投影光学系5の光軸AXに合わせるためのレチクルアライメント顕微鏡39及び40(図2参照)が配置されている。
【0040】
次に、本例のLIA方式のアライメントセンサにつき詳細に説明する。このアライメントセンサは、ダイクロイックミラー3の上方の対物レンズ2、その上方のアライメント光学系1、アライメント用電源系64、及びアライメント信号処理系65より構成されている。アライメントを行う際には、主制御系61は、アライメント用電源系64を介してアライメント光学系1中の後述の3個のレーザ光源の内から選択された2個のレーザ光源にそれぞれ発光を行わせる。
【0041】
それらのレーザ光源から射出されたレーザビームは、アライメント光学系1内で所定の周波数変調を受けてアライメント光として射出され、このアライメント光は対物レンズ2、ダイクロイックミラー3を透過してレチクル4上の回折格子状のレチクルマーク35A、及び光透過性の窓部(レチクル窓)37Aに照射され、レチクル窓37Aを透過したアライメント光がウエハ6上の位置決め対象のショット領域に付設されたウエハマーク48Aに照射される。ここでは、レチクルマーク35A及びウエハマーク48Aの計測方向をX方向とする。
【0042】
そして、ウエハマーク48Aでの回折により生じたヘテロダインビーム、及びレチクルマーク35Aでの回折により生じたヘテロダインビームが、ダイクロイックミラー3、及び対物レンズ2を経てアライメント光学系1に戻り、アライメント光学系1内の受光系で2つのビート信号が生成される。これらのビート信号がアライメント信号処理系65に供給され、ここで2つのビート信号の位相差が検出され、検出された位相差が主制御系61に供給される。検出された位相差に基づいて、主制御系61は最終的なアライメントを行う。
【0043】
次に、図1〜図4を参照して、本例のLIA方式のアライメントセンサからのアライメント光の光路、並びにレチクルマーク及びウエハマークの検出方法につき説明する。図1において、アライメント光学系1内で選択された2つのレーザ光源から射出される第1及び第2のレーザビームの平均波長をそれぞれλ1 及びλ2 とする。即ち、アライメント光学系1からは、露光波長λ0 と異なる平均波長λ1 で周波数差Δf(本例では50kHz)の1対のレチクルアライメント照明光RB1 ,RB2 、及びウエハアライメント照明光WB1 ,WB2 と、露光波長λ0 と異なり波長λ1 に近い平均波長λ2 で周波数差Δf(=50kHz)の1対のレチクルアライメント照明光RB3 ,RB4 、及びウエハアライメント照明光WB3 ,WB4 とが射出されるものとする。
【0044】
図2は、図1をY方向に見た側面図であり、この図2に示すように、レチクルアライメント照明光RB1 ,RB2 は対物レンズ2によってレチクル4上に集光され、レチクル4の下面の回折格子状のレチクルマーク35Aにそれぞれ入射角−θR1,θR1で照射される。
図3は、本例のレチクル4のレチクルマーク35Aの周辺の拡大図であり、この図3において、X軸用のレチクルマーク35Aは、X方向にピッチPR で形成された回折格子よりなるマークであり、レチクルマーク35Aの内側にウエハ側に向かうアライメント光を通過させるためのレチクル窓37Aが形成されている。Y軸用のレチクルマーク及びレチクル窓は、図3を90°回転させた形で形成されている。そして、レチクルマーク35Aに照明光RB1 ,RB2 ,RB3 ,RB4 よりなる光束50が照射され、レチクル窓37Aを照明光WB1 ,WB2 ,WB3 ,WB4 よりなる光束51が通過している。
【0045】
図2に戻り、入射角−θR1,θR1とレチクルマーク35Aの格子ピッチPR とは次式の関係にあり、照明光RB1 の+1次回折光RB1 +1 と照明光RB2 の−1次回折光RB2 −1 とはそれぞれ真上に発生し、アライメント検出光(ヘテロダインビーム)として対物レンズ2を介してアライメント光学系1に戻る。
【0046】
sin (θR1)=λ1 /PR (13)
同様に、レチクルアライメント照明光RB3 ,RB4 も対物レンズ2によってレチクル4上に集光され、レチクル4上のレチクルマーク35Aに入射角−θR2,θR2で照射される。このとき、照明光RB3 の+1次回折光RB3 +1 と照明光RB4 の−1次回折光RB4 −1 とがそれぞれ真上に発生し、対物レンズ2を介してアライメント光学系1に戻る。
【0047】
一方、ウエハアライメント照明光WB1 ,WB2 はレチクル4上のレチクル窓37Aを通過し、投影光学系5中の色収差制御板10に達する。色収差制御板10の照明光WB1 ,WB2 が通過する部分には、それぞれ回折格子状の軸上色収差制御素子が形成されており、照明光WB1 ,WB2 はそれぞれ角度−θG1,θG1だけ曲げられて、回折格子状のウエハマーク48Aに対しそれぞれ入射角−θW1,θW1で照射される。
【0048】
図4(a)は、ウエハマーク48Aの拡大図を示し、この図4(a)において、ウエハマーク48Aは、X方向にピッチPW で形成された凹凸の回折格子よりなる。Y軸用のウエハマークはそのウエハマーク48Aを90°回転した形である。そして、ウエハマーク48Aに、照明光WB1 ,WB2 ,WB3 ,WB4 よりなる光束51が照射されている。
【0049】
図2に戻り、入射角−θW1,θW1とウエハマーク48Aの格子ピッチPW とは次式の関係にあり、照明光WB1 の+1次回折光WB1 +1 と照明光WB2 の−1次回折光WB2 −1 とはそれぞれ真上に発生し、これら2つの回折光がアライメント検出光(ヘテロダインビーム)となる。
【0050】
sin (θW1)=λ1 /PW (14)
この際に、ウエハアライメント照明光WB3 ,WB4 は照明光WB1 ,WB2 に波長が近いため、色収差制御板10上で通過する位置は、それぞれほぼ照明光WB1 ,WB2 が通過する軸上色収差制御素子上と見なせる。そのため、照明光WB3 ,WB4 はそれぞれ角度−θG2,θG2だけ曲げられて、ウエハマーク48Aに対しそれぞれ入射角−θW2,θW2で照射される。そして、照明光WB3 の+1次回折光WB3 +1 と照明光WB4 の−1次回折光WB4 −1 とがそれぞれ真上に発生し、アライメント検出光となる。
【0051】
この場合、図1に示すように、色収差制御板10の偏向作用によりウエハアライメント照明光は、非計測方向(Y方向)においてウエハ6に対して角度θm だけ傾いて入射するため、上記各アライメント検出光が色収差制御板10上で通過する位置は入射時に通過した位置と異なる。ウエハマーク48Aからのアライメント検出光は、色収差制御板10上の別の軸上色収差制御素子を通ることによって横方向の色収差が補正されて、レチクル窓37Aに向かう。その後、各検出光はレチクル窓37A、及び対物レンズ2を介して再びアライメント光学系1へと戻る。また、ウエハアライメント照明光は、色収差制御板10が配置されない場合に比べ、ウエハ6の表面でY方向にΔβだけずれた位置を照明する。
【0052】
ここで、図5を参照して、アライメント光学系1について詳しく説明する。図5(b)はアライメント光学系1を図1と同じ方向から見た図、図5(a)はアライメント光学系1を図2と同じ方向から見た図、図5(c)は図5(a)の底面図である。
図5において、それぞれレーザダイオードよりなる第1のレーザ光源11A、第2のレーザ光源11B、及び第3のレーザ光源11Cが備えられ、レーザ光源11A,11B,11Cから射出されるレーザビームの波長は例えばそれぞれ630nm,690nm,780nmに設定されている。そして、アライメント用電源系64は、3個のレーザ光源11A〜11Cの内の任意の1個若しくは2個のレーザ光源、又は3個のレーザ光源を所望の強度で独立に点灯駆動できるようになっている。なお、3個のレーザ光源の内の所定のレーザ光源を例えばHe−Neレーザ光源、He−Cdレーザ光源、又はArイオンレーザ光源等としてもよく、3個のレーザ光源の代わりに、例えば2つの周波数可変レーザ光源を使用してもよく、3個のレーザ光源の代わりに、4個以上のそれぞれ発振波長の異なるレーザ光源を使用してもよい。また、3個以上のレーザ光源の内から選択された複数のレーザ光源を発光させる際に、シャッターを使用して選択されないレーザ光源のレーザビームをシャッターで遮光するようにしてもよい。
【0053】
この場合、第1のレーザ光源11から出た波長λ1 のレーザビームと、第2のレーザ光源12から出た波長λ2 のレーザビームとは、ダイクロイックミラー13Aにより同軸に合成され、このように同軸に合成された2つのレーザビームと、第3のレーザ光源から射出される波長λ3 のレーザビームとはダイクロイックミラー13Bにより同軸に合成されて照明光Bとなる。以下では、照明光Bは、波長λ1 及びλ2 のレーザビームが合成されたものとして説明するが、照明光Bを構成するレーザビームの波長の組合せが変わっても同様である。
【0054】
照明光Bは、周波数F1 で駆動されている音響光学素子(以下、「AOM」と呼ぶ)14に入射する。AOM14は光を垂直に入射させてラマン・ナス回折による±1次回折光を均等に得るもの、即ちラマン・ナス型AOMである。照明光B内の2つのレーザビームは波長が異なるため、AOM14によってそれぞれ異なる角度に回折光が発生する。これら+1次、及び−1次回折光は、もとの周波数に対してそれぞれ+F1 ,及び−F1 の周波数差を持っている。
【0055】
AOM14から射出されたレーザビームはレンズ15を通過して空間フィルタ16に入射し、空間フィルタ16によって±1次回折光のみが選択され、選択された回折光はレンズ17を経て、AOM14に対して45°回転して配置され、且つ周波数F2 で駆動されているAOM18に交差するように入射する。AOM18はブラッグ型AOMであり、入射角はブラッグ角の1/sin 45°になるよう設定してある。従って、光軸の回りに45°回転した面で見れば、回折光の入射角はブラッグ角である。この場合、AOM14で+F1 の周波数変調を受けたレーザビームはAOM18で−1次回折光が強く発生し、その−1次回折光はAOM18で−F2 の周波数変調を受け、レーザ光源11,12から射出されるときに対して+(F1 −F2 )の周波数変調を受けたアライメントビームB1 ,B3 になる。同様に、AOM14で−F1 の周波数変調を受けたレーザビームはAOM18で+1次回折光が強く発生し、その+1次回折光はAOM18で−F2 の周波数変調を受け、レーザ光源11,12から射出されるときに対して−(F1 −F2 )の周波数変調を受けたアライメントビームB2 ,B4 になる。その結果、アライメントビームB1 ,B3 とアライメントビームB2 ,B4 との周波数差Δfは2(F1 −F2 )で表され、この例ではΔfは50kHzに設定されるものとする。AOM18を通過したレーザビームは、レンズ19を経て空間フィルタ20に入射し、空間フィルタ20で選択されたアライメントビームB1 〜B4 は後段へと導かれる。
【0056】
アライメントビームB1 〜B4 はレンズ21によって視野絞り22上に集光され、レチクル又はウエハ上でのビーム形状が決められた後、レチクル・ウエハビーム分離プリズム23によってレチクルアライメント照明光RB1 〜RB4 、及びウエハアライメント照明光WB1 〜WB4 に分けられる。その後、アライメント照明光はレンズ24を経て直視プリズム25に到達する。直視プリズム25は光軸を中心に回転可能であり、不図示のモータによって図1の主制御系61からの指示により駆動される。直視プリズム25が回転すると波長λ1 ,λ2 の2色の照明光は相対角度が変化し、波長λ1 の照明光RB1 ,WB1 ,RB2 ,WB2 に対してそれぞれ波長λ2 の照明光RB3 ,WB3 ,RB4 ,WB4 が分離される。このように相対角度が変化した照明光は、ビームスプリッタ26を経て図2の対物レンズ2に向かう。相対角度の変化により、波長λ1 ,λ2 の2色の照明光のレチクル及びウエハ上での照射位置の相対関係も変化する。
【0057】
一方、図2のレチクルマーク35A及びウエハマーク48Aからのアライメント検出光は、図5のアライメント光学系1に戻った後、ビームスプリッタ26により反射され、レンズ27を経てレチクル、及びウエハと共役な位置にある検出光分離プリズム28によって、レチクル検出光とウエハ検出光とに分離される。レチクル検出光RB1 +1 ,RB2 −1 及びRB3 +1 ,RB4 −1 は検出光分離プリズム28を透過し、光電検出素子30によって受光される。ウエハ検出光WB1 +1 ,WB2 −1 及びWB3 +1 ,WB4 −1 は検出光分離プリズム28で反射されて、光電検出素子31によって受光される。光電検出素子30からレチクルマークの位置に対応するレチクルビート信号SR が出力され、光電検出素子31からウエハマークの位置に対応するウエハビート信号SW が出力される。
【0058】
レチクルビート信号SR は検出光RB1 +1 ,RB2 −1 、及びRB3 +1 ,RB4 −1 による周波数Δfの正弦波状のビート信号であり、ウエハビート信号SW は検出光WB1 +1 ,WB2 −1 及びWB3 +1 ,WB4 −1 による周波数Δfの正弦波状のビート信号である。両者の位相差Δφ[rad]はレチクル4、及びウエハ6のX方向への相対移動量により変化し、その相対移動量Δxは以下の式に示す通りである。
【0059】
Δx(レチクル上)=PR ・Δφ/(4π) (15A)
Δx(ウエハ上) =PW ・Δφ/(4π) (15B)
なお、Y方向用のアライメントセンサにより、Y軸用のレチクルマーク及びウエハークに対応するビート信号が得られる。
レチクルビート信号SR 及びウエハビート信号SW はそれぞれ増幅器52,53により信号強度(振幅)が調整され、アナログ/デジタル(A/D)変換器54,55を経てアライメント信号処理系65に供給され、ここで両信号SR ,SW の位相差が検出される。検出された位相差は図1の主制御系61に供給される。主制御系61は、両ビート信号SR ,SW の位相差に基づき、レチクル4とウエハマークとの位置ずれが所定の目標追い込み値になるように、レチクル4とウエハ6との位置合わせを行う。その後レチクル4のパターン像がウエハ6の当該ショット領域に投影露光される。
【0060】
次に、本例においてウエハマークの段差に応じて、アライメントセンサからウエハマークに照射されるレーザビームの波長の組合せを変える際の動作の一例につき詳細に説明する。
先ず、図4(b)は、図4(a)に示す本例のウエハマーク48Aの拡大断面図であり、ウエハマーク48Aは例えばウエハ6上に被着された金属膜上にエッチングによりX方向に所定ピッチで形成された凹凸の位相パターンであり、ウエハマーク48A上に屈折率nのフォトレジスト56が塗布されている。図4(b)のウエハマーク48Aは、凹部(底部)57が平坦な対称なマークであり、凸部と凹部57との段差の平均値hの大まかな値は、予め計測又はシミュレーション等により求められ、露光データとして図1の主制御系61の記憶部に記憶されているものとする。なお、ウエハマーク48Aは、図4(c)に示すように凹部58が計測方向に対して傾斜した非対称なマークとなっている場合もあるが、この場合には凹部58の中心での段差の平均値hの大まかな値が、主制御系61の記憶部に記憶されている。
【0061】
また、主制御系61の記憶部にはフォトレジスト56の屈折率nの値も記憶され、先ず主制御系61は、ウエハマーク48Aの段差の平均値hの実効的光路長s(=n・h)を求める。この場合、レーザビームの波長をλとして、その実効的光路長sを(4)式より位相差yに換算すると、ウエハマーク48Aでの回折効率f(y)は(5)式で表され、回折効率f(y)は位相差yに対して図6のように変化する。
【0062】
次に、主制御系61は、図5の3個のレーザ光源11A〜11Cから射出されるレーザビームの波長λ1 〜λ3 の中で、2つの波長の波長差をΔλ、平均値をλとしたとき、(3A)式又は(3B)式に最も当てはまる2つの波長を選択する。具体的に、波長λ1,λ2,λ3 をそれぞれ630nm,690nm,780nmであるとして、ウエハマーク48Aの段差の平均値hが0.7μm、フォトレジストの屈折率nが1.6として、平均波長λを660nm、整数mを0とすると、(3A)式からはΔλ=65nmとなり、(3B)式からはΔλ=130nmとなる。
【0063】
そして、波長差Δλとして65nm又は130nmの何れかを選択する方法としては、平均波長λが2s=(m+1/2)λ(m:整数)を満たす波長に近いときは、(3A)式つまり65nmを選択し、平均波長λが2s=mλ(m:整数)を満たす波長に近いときは、(3B)式つまり130nmを選択する。これは、図6では、平均波長λが点A付近に対応するときには、(3A)式が満たされるように2つの波長として点B及び点C付近に対応する波長を取り、平均波長λが位相差y=πの近傍に対応するときには、(3B)式が満たされるように2つの波長として点C及び点D付近に対応する波長を取ることを意味する。要は2つの波長について、図6の回折効率f(y)の曲線の傾きが逆になる組み合わせを探すことである。
【0064】
この結果、波長差Δλとして65nmが選択され、波長λ1 〜λ3 中の2つの波長として630nm及び690nmが選択される。そこで、図1の主制御系61はアライメント用電源系64を介して、図5の第1及び第2のレーザ光源11A,11Bを同時に点灯駆動する。この結果、ウエハマークの段差が多少変化しても平均化効果により非対称の影響は受けなくなる。次に、ウエハマークの段差の平均値hが例えば0.3μmの場合は、平均波長を700nmとして、波長差Δλ=170nmになる。従って、波長λ1 〜λ3 中の2つの波長として630nm,780nmを選択すればよい。このようにウエハマークの段差に応じて点灯する2つの光源の波長を選択すればよい。
【0065】
以上で述べた要点は、2つの波長で図6の回折効率f(y)の曲線の傾きが逆になる組み合わせを探すことである。ところで、アライメントセンサの光源が多数ある場合には、それらの波長から図6に示した回折効率f(y)の大まかな曲線を知ることができる。その結果を用いて傾きが逆になる2波長の組み合わせを決定することが可能である。この場合、ウエハマークの段差の値が分からなくともよい。ところで、上記の複数波長はウエハマークの回折効率が各波長で等しいと仮定したときに、図5の光電検出素子31での光電変換信号のレベルが同じ値になるように出力調整することが望ましい。
【0066】
なお、本実施例では、(3A)式、又は(3B)式で決まる波長差を考えたが、これらの平均的な値、つまり(3C)式で定まる波長差に設定してもよい。この場合、波長差は最適値からは外れるものの大きな不都合はない。こうすると、平均波長によって(3A)式と(3B)式とを使い分ける必要がなく便利である。
【0067】
次に、本発明の他の実施例につき説明する。本実施例の投影露光装置は図1及び図2の投影露光装置と同様であり、そのアライメント光学系の構成も図5と同様である。但し、本例の図5(a)のアライメント用電源系64は、例えば3個のレーザ光源11A〜11Cを順番に1つずつ所望の駆動電力で点灯する機能を有する。そして、本実施例では、3個のレーザ光源11A〜11Cの発振波長λ1 〜λ3 から、波長差Δλが(3A)式、(3B)式、又は(3C)式の何れかを満たす波長差に近い値となる2つの波長(例えば波長λ1 及びλ2)を決定する。その後、図1の主制御系61は図5(a)のアライメント用電源系64を介して、それらの波長λ1 及びλ2 に対応するレーザ光源11A,11Bを交互に点灯する。
【0068】
この場合、図5(a)の光電検出素子31から交互に取り込まれるビート信号SW に基づいて、アライメント信号処理系65で2つの位置ずれ量Δx1 及びΔx2 が得られる。また、波長λ1 及びλ2 でのビート信号SW の振幅を所定の平均値で規格化した値をそれぞれW1 及びW2 とすると、本例のアライメント信号処理系65では、2つの位置ずれ量Δx1 及びΔx2 をそれぞれW1 及びW2 に応じて重み付けして加算した値を位置ずれ量Δxとする。これにより、実質的に、2つの波長での回折効率が同じ値となり、ウエハマークの非対称の影響が軽減される。
【0069】
なお、図5(a)において、光電検出素子31を波長別に複数個設けて、2つのレーザ光源を同時に点灯するようにしてもよい。また、交互に、又は並列に取り込んだ2つの位置ずれ量Δx1 及びΔx2 を重みを付けて処理する代わりに、2つのレーザ光源の駆動電力の比の値を制御してもよい。これにより、正確に位置ずれ量が求められる。
【0070】
なお、上述実施例ではアライメントセンサとして、ヘテロダイン干渉方式でLIA方式のアライメントセンサが使用されているが、ホモダイン干渉方式の場合にも本発明を適用することにより上述実施例と同様の効果が得られる。また、本発明のアライメント装置は、上述のTTR方式で且つLIA方式のアライメントセンサに限らず、ハロゲンランプを光源とする波長帯域幅の広い光で照明したアライメントマークを画像処理して計測するFIA方式のアライメントセンサ等を使用する場合にも適用することができる。
【0071】
このように本発明は上述実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得る。
【0072】
【発明の効果】
本発明のアライメント装置によれば、位置合わせ用マーク(ウエハマーク)の段差に応じてその位置合わせ用マークに照射される複数の波長の光の波長差を設定しているため、その位置合わせ用マークの段差を正確に或る特別な光路長に合わせることなく、その位置合わせ用マークの非対称の影響を軽減してその位置合わせ用マークの位置を正確に検出して、感光基板(ウエハ)を高精度に位置合わせできる利点がある。
【0073】
この場合、照射光学系が、互いに異なる3種類以上の波長から選択された任意の組合せの複数の波長の光を発生する光源を備え、波長制御手段が、その位置合わせ用マークの段差に応じてその照射光学系内でそれら3種類以上の波長から選択される波長の組合せを指示するときには、簡単な構成で位置合わせ用マークの段差に応じて複数の光の波長差を設定できる。
【0074】
また、照射光学系が、複数の互いに異なり且つ可変の波長の光を発生する光源を備え、波長制御手段が、その位置合わせ用マークの段差に応じてその照射光学系内の光源から発生される波長可変の複数の光のそれぞれの波長を指示するときには、複数の光の波長差を高精度に所定の値に設定できる利点がある。
また、その位置合わせ用マークに照射される複数の波長の光の内の所定の2つの波長の光の波長差をΔλとして、その位置合わせ用マークの段差の実効的光路長をsとした場合、正の整数m、及び2〜4の何れかの整数nを用いて、実質的に(2)式の関係が成立するときには、位置合わせ用マークの非対称の影響を最も小さくできる。
【0075】
次に、位置合わせ用マーク(ウエハマーク)の段差に応じてその位置合わせ用マークに照射される複数の波長の光に対応する検出信号のレベル比を調整する場合には、その位置合わせ用マークの段差を正確に或る特別な光路長に合わせることなく、その位置合わせ用マークの非対称の影響を軽減してその位置合わせ用マークの位置を正確に検出して、感光基板(ウエハ)を高精度に位置合わせできる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で使用される投影露光装置の全体を示す概略構成図である。
【図2】図1の投影露光装置のステージ系、及びアライメント光学系をY方向に見た側面図である。
【図3】実施例のレチクルに形成されたレチクルマーク35A及びレチクル窓37Aを示す拡大平面図である。
【図4】実施例のウエハ上のショット領域に付設されたウエハマーク48Aを示す拡大平面図である。
【図5】(a)は図1中のアライメント光学系1及び信号処理系の構成を示す図、(b)は図5(a)の光学系の側面図、(c)は図5(a)の光学系の底面図である。
【図6】位置合わせ用マーク(ウエハマーク)の段差の位相差yと回折効率f(y)との関係を示す図である。
【図7】位置合わせ用マーク(ウエハマーク)の段差の位相差yと、非対称の影響を表す関数g(y)との関係を示す図である。
【図8】(a)は対称なウエハマークを示す拡大断面図、(b)は非対称なウエハマークを示す拡大断面図である。
【図9】図8(a)及び(b)のウエハマークに対応して得られる反射光(回折光)の強度分布を示す図である。
【符号の説明】
1 アライメント光学系
2 対物レンズ
3 ダイクロイックミラー
4 レチクル
5 投影光学系
6 ウエハ
7 ウエハホルダ
8X Xステージ
8Y Yステージ
9 レチクルステージ
10 色収差制御板
11A〜11C レーザ光源
22 視野絞り
23 レチクル・ウエハビーム分離プリズム
26 ビームスプリッタ
30,31 光電検出素子
35A レチクルマーク
39,40 レチクルアライメント顕微鏡
48A ウエハマーク
61 主制御系
64 アライメント用電源系
65 アライメント信号処理系
Claims (12)
- マスクパターンを感光基板上に転写する露光装置に設けられ、前記感光基板上に形成された凹凸パターンよりなる位置合わせ用マークの位置に基づいて前記マスクパターンと前記感光基板との位置合わせを行うアライメント装置において、
前記位置合わせ用マークに対して互いに異なる複数の波長の光を照射する照射光学系と、
前記位置合わせ用マークからの光束を受光して前記位置合わせ用マークの位置に応じた検出信号を生成する受光光学系と、
前記位置合わせ用マークの凹部の中心での段差に応じて前記照射光学系から前記位置合わせ用マークに照射される複数の波長の光の波長差を設定する波長制御手段と、を有することを特徴とするアライメント装置。 - 請求項1記載のアライメント装置であって、
前記照射光学系は、互いに異なる3種類以上の波長から選択された任意の組合せの複数の波長の光を発生する光源を備え、
前記波長制御手段は、前記位置合わせ用マークの段差に応じて前記照射光学系内で前記3種類以上の波長から選択される波長の組合せを指示することを特徴とするアライメント装置。 - 請求項1記載のアライメント装置であって、
前記照射光学系は、複数の互いに異なり且つ可変の波長の光を発生する光源を備え、
前記波長制御手段は、前記位置合わせ用マークの段差に応じて前記照射光学系内の光源から発生される波長可変の複数の光のそれぞれの波長を指示することを特徴とするアライメント装置。 - 請求項1、2、又は3記載のアライメント装置であって、
前記位置合わせ用マークに照射される複数の波長の光の内の所定の2つの波長の光の平均波長をλ、波長差をΔλとして、前記位置合わせ用マークの段差の実効的光路長をsとした場合、正の整数m、及び2〜4の何れかの整数nを用いて、実質的に
Δλ=λ2 (n/6+m)/(2s)
の関係が成立するように波長差を設定することを特徴とするアライメント装置。 - 前記照射光学系は、前記位置合わせ用マークに照射する複数の波長の光を、前記位置合わせ用マークに対して同時に照射することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のアライメント装置。
- マスクパターンを感光基板上に転写する露光装置に設けられ、前記感光基板上に形成された凹凸パターンよりなる位置合わせ用マークの位置に基づいて前記マスクパターンと前記感光基板との位置合わせを行うアライメント装置において、
互いに異なる複数の波長の光のうち、前記位置合わせ用マークの凹部の中心での段差に応じて互いに波長の異なる複数の光を選択し、その選択された複数の波長の光を前記位置合わせ用マークに対して照射する照射光学系と、
前記照射光学系による前記照射によって前記位置合わせ用マークから発生した前記複数の波長の光を受光し、各波長毎に前記位置合わせ用マークの位置に応じた検出信号を生成する受光光学系と、
前記受光光学系から出力される各波長毎の検出信号に基づいて前記位置合わせ用マークの位置情報を各波長毎に求めるとともに、その求められた各波長毎の位置情報に基づいて前記位置合わせ用マークの位置情報を求める信号処理系と、を有することを特徴とするアライメント装置。 - 前記照射光学系は、前記選択された複数の波長の光を、前記位置合わせ用マークに対して交互に照射することを特徴とする請求項6に記載のアライメント装置。
- 前記受光光学系は、前記位置合わせ用マークから発生する光を前記波長別に受光する複数の光電検出素子を含み、
前記照射光学系は、前記選択された複数の波長の光を、前記位置合わせ用マークに対して同時に照射することを特徴とする請求項6に記載のアライメント装置。 - 前記信号処理系は、前記波長毎の検出信号の振幅に基づいた重みを用いて、各波長毎に求められた前記位置情報を重み付け加算することにより、前記位置合わせ用マークの位置情報を求めることを特徴とする請求項6〜8の何れか一項に記載のアライメント装置。
- 請求項6〜9の何れか一項に記載のアライメント装置であって、
前記照射光学系は、互いに異なる波長の光をそれぞれ発生する複数の光源を備えることを特徴とするアライメント装置。 - 前記アライメント装置は、前記位置合わせ用マークから発生した2つの回折光の干渉光の位相から前記位置合わせ用マークの位置を検出する方式と、前記位置合わせ用マークの像を画像処理して前記位置合わせ用マークの位置を検出する方式とのうちの何れか一方の方式を使用することを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載のアライメント装置。
- 請求項1〜11の何れか一項に記載のアライメント装置を備え、
前記アライメント装置によりアライメントされた感光基板上に、マスクパターンを投影光学系を介して転写することを特徴とする露光装置。
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