JPH0631B2 - 苗条原基由来のプロトプラストの製造方法 - Google Patents
苗条原基由来のプロトプラストの製造方法Info
- Publication number
- JPH0631B2 JPH0631B2 JP62137647A JP13764787A JPH0631B2 JP H0631 B2 JPH0631 B2 JP H0631B2 JP 62137647 A JP62137647 A JP 62137647A JP 13764787 A JP13764787 A JP 13764787A JP H0631 B2 JPH0631 B2 JP H0631B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- protoplasts
- medium
- shoot
- plant
- plants
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
- Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は木本性および草本性植物の茎頂部を摘出して回
転培養することにより得られた継代培養された苗条原基
から得られたプロトプラストを単離、調整する方法であ
って、該プロトプラストは更に培養してカルス及び植物
体を再生する方法に用いるものである。したがって、有
用な遺伝子を導入したプロトプラストを培養して、ま
た、異なった2種類の植物から調整したプロトプラスト
を融合して培養することによって全く新しい植物を創成
する場合にも有効な方法である。
転培養することにより得られた継代培養された苗条原基
から得られたプロトプラストを単離、調整する方法であ
って、該プロトプラストは更に培養してカルス及び植物
体を再生する方法に用いるものである。したがって、有
用な遺伝子を導入したプロトプラストを培養して、ま
た、異なった2種類の植物から調整したプロトプラスト
を融合して培養することによって全く新しい植物を創成
する場合にも有効な方法である。
プロトプラストは細胞壁を有していないために、細胞融
合処理あるいは有用な遺伝子等の導入が可能である。こ
のようなプロトプラストから植物体を再生することが可
能になれば、これまでになかった全く新しい植物だけで
なく、われわれ人類の使用目的に合致した、例えば農作
物の場合には収量の高い、味の良い、さらには病虫害や
気象的な被害にも耐えることが可能な植物を作り出すこ
とが出来るようになる。
合処理あるいは有用な遺伝子等の導入が可能である。こ
のようなプロトプラストから植物体を再生することが可
能になれば、これまでになかった全く新しい植物だけで
なく、われわれ人類の使用目的に合致した、例えば農作
物の場合には収量の高い、味の良い、さらには病虫害や
気象的な被害にも耐えることが可能な植物を作り出すこ
とが出来るようになる。
これまでに、葉や茎等の植物組織を酵素等で処理して得
たプロトプラストから植物体を再生する技術は、タバコ
やペチュニアその他多くの草本性植物で確立されつつあ
る。しかしながら、木本性植物においてはトロビタオレ
ンジ(小林省蔵等、「育種学雑誌」、34巻(別2)、
32〜33、1984)、コウゾ(岡成美・大山勝夫、
「育種学雑誌」、34巻(別2)、26〜27、198
4)、および、本発明者等のポプラの例(伊藤一弥等、
特開昭62−224224号、昭和61年3月25日)
等極めて少数のものしかない。
たプロトプラストから植物体を再生する技術は、タバコ
やペチュニアその他多くの草本性植物で確立されつつあ
る。しかしながら、木本性植物においてはトロビタオレ
ンジ(小林省蔵等、「育種学雑誌」、34巻(別2)、
32〜33、1984)、コウゾ(岡成美・大山勝夫、
「育種学雑誌」、34巻(別2)、26〜27、198
4)、および、本発明者等のポプラの例(伊藤一弥等、
特開昭62−224224号、昭和61年3月25日)
等極めて少数のものしかない。
その原因として、植物組織から得られたプロトプラスト
の場合、培養の過程で培地の中に排出されるポリフェノ
ール等の物質がプロトプラストの生存、分裂に阻害的に
働いて植物体の再生にまで至らなかったことが挙げられ
る。
の場合、培養の過程で培地の中に排出されるポリフェノ
ール等の物質がプロトプラストの生存、分裂に阻害的に
働いて植物体の再生にまで至らなかったことが挙げられ
る。
このために、最近では特に単子葉植物を中心にして、未
熟胚あるいは幼穂等を材料に用いて、より分化能の高い
カルスを作出した後、これからプロトプラストを単離し
て培養しているが、材料の作出に時間がかかる、季節的
要因に左右される、またカルス形成時における遺伝子の
変異等により安定した材料を供給することが出来ない等
の欠点がある。
熟胚あるいは幼穂等を材料に用いて、より分化能の高い
カルスを作出した後、これからプロトプラストを単離し
て培養しているが、材料の作出に時間がかかる、季節的
要因に左右される、またカルス形成時における遺伝子の
変異等により安定した材料を供給することが出来ない等
の欠点がある。
従って、遺伝的に安定で、かつ分化能があり、大量に増
殖することが出来る材料の開発が望まれていたが、本発
明者等は、継代培養された苗条原基を調整して得られた
プロトプラストから植物体を再生する方法を発明するに
至った。
殖することが出来る材料の開発が望まれていたが、本発
明者等は、継代培養された苗条原基を調整して得られた
プロトプラストから植物体を再生する方法を発明するに
至った。
なお、苗条原基とは田中隆荘等(Jpn.J.Genet.Vol.5
8:65〜70、1983)がキク科の一年生植物であ
るハプロパップスについて、その茎頂部を摘出して一定
の組成を持つ人工培地で、また一定の温度、照度また回
転数で回転培養して得た金平糖状の細胞集塊である。こ
のようにして得た苗条原基を人工培養して苗化させるこ
とにより多数の、また遺伝的に安定な苗を迅速に得るこ
とができる。本発明者等はこの苗条原基について鋭意研
究を続けてきたが(柴田勝等、特開昭62−55020
号、田中隆荘等、特開昭62−236415号)、つい
に継代培養された苗条原基から調整したプロトプラスト
から植物体を再生する方法を発明するに至った。
8:65〜70、1983)がキク科の一年生植物であ
るハプロパップスについて、その茎頂部を摘出して一定
の組成を持つ人工培地で、また一定の温度、照度また回
転数で回転培養して得た金平糖状の細胞集塊である。こ
のようにして得た苗条原基を人工培養して苗化させるこ
とにより多数の、また遺伝的に安定な苗を迅速に得るこ
とができる。本発明者等はこの苗条原基について鋭意研
究を続けてきたが(柴田勝等、特開昭62−55020
号、田中隆荘等、特開昭62−236415号)、つい
に継代培養された苗条原基から調整したプロトプラスト
から植物体を再生する方法を発明するに至った。
本発明は継代培養された草本性植物あるいは木本性植物
を材料として継代培養された苗条原基を作出し、これか
らプロトプラストを単離、調整して効率良く植物体の再
生をしうるプロトプラストを提供することを目的とす
る。
を材料として継代培養された苗条原基を作出し、これか
らプロトプラストを単離、調整して効率良く植物体の再
生をしうるプロトプラストを提供することを目的とす
る。
本発明は、 継代培養された苗条原基を摘出し、ホモジナイザーによ
り細片化処理し酵素処理を行い、次いでプロトプラスト
を単離することを特徴とする苗条原基由来のプロトプラ
ストの製造方法。
り細片化処理し酵素処理を行い、次いでプロトプラスト
を単離することを特徴とする苗条原基由来のプロトプラ
ストの製造方法。
である。
本発明に使用する苗条原基の作出に用いうる植物の種類
はとくに限定されるものではないが、主にユーカリ、ア
カシア、パラゴムノキ、コーヒー等の常緑広葉樹類、ポ
プラ、キリ、コナラ、クヌギ、ウルシ等の落葉広葉樹
類、マツ、スギ、ヒノキ、モミ、トウヒ、カラマツ等の
有用針葉樹類、さらに、ミカン、レモン、リンゴ、モ
モ、アボガド、キウイ、カキ、クルミ、ブドウ、イチヂ
ク、アーモンド、マンゴウ等の果樹類やバラ、ツバキ、
ウメ、サクラ等の花木類等である。さらに、ペチュニア
やコスモスその他の草花類あるいはタバコ、アサ、イ
ネ、コムギ、トマト、ホウレンソウ、ダイズ等の作物類
の草本性植物も含まれる。
はとくに限定されるものではないが、主にユーカリ、ア
カシア、パラゴムノキ、コーヒー等の常緑広葉樹類、ポ
プラ、キリ、コナラ、クヌギ、ウルシ等の落葉広葉樹
類、マツ、スギ、ヒノキ、モミ、トウヒ、カラマツ等の
有用針葉樹類、さらに、ミカン、レモン、リンゴ、モ
モ、アボガド、キウイ、カキ、クルミ、ブドウ、イチヂ
ク、アーモンド、マンゴウ等の果樹類やバラ、ツバキ、
ウメ、サクラ等の花木類等である。さらに、ペチュニア
やコスモスその他の草花類あるいはタバコ、アサ、イ
ネ、コムギ、トマト、ホウレンソウ、ダイズ等の作物類
の草本性植物も含まれる。
以下、本発明に用いる苗条原基の作出方法、プロトプラ
ストの単離・調整方法を説明し、更に該プロトプラスト
からカルス及び植物体を再生する場合のプロトプラスト
の培養培地ならびに培養条件等について詳しく説明す
る。
ストの単離・調整方法を説明し、更に該プロトプラスト
からカルス及び植物体を再生する場合のプロトプラスト
の培養培地ならびに培養条件等について詳しく説明す
る。
苗条原基作出法 植物の茎を殺菌した後に、茎頂部の約0.5mmを無菌的
に切り出し、これを植物の組織培養培地、例えばガンボ
ルグ(Gamborg)のB5培地あるいはムラシゲ・スクー
グ(Murashige・Skoog)のMS培地等に、植物ホルモン
類、例えば、ナフタレン酢酸(NAA)、2,4−ジク
ロロフェノキシ酢酸(2,4−D)、あるいはインドー
ル酢酸(IAA)等のオーキシン類、およびベンジルア
デニン(BA)、カイネチン、KT−30あるいはゼア
チン等のサイトカイニン類を添加した液体培地に植えつ
け、これを、20〜30℃の温度、2000〜2000
0ルクスの照度、1〜10rpmの回転数で回転培養を行
って苗条原基を得これを更に継代培養することにより多
量の苗条原基を得る。
に切り出し、これを植物の組織培養培地、例えばガンボ
ルグ(Gamborg)のB5培地あるいはムラシゲ・スクー
グ(Murashige・Skoog)のMS培地等に、植物ホルモン
類、例えば、ナフタレン酢酸(NAA)、2,4−ジク
ロロフェノキシ酢酸(2,4−D)、あるいはインドー
ル酢酸(IAA)等のオーキシン類、およびベンジルア
デニン(BA)、カイネチン、KT−30あるいはゼア
チン等のサイトカイニン類を添加した液体培地に植えつ
け、これを、20〜30℃の温度、2000〜2000
0ルクスの照度、1〜10rpmの回転数で回転培養を行
って苗条原基を得これを更に継代培養することにより多
量の苗条原基を得る。
プロトプラストの単離、調整方法 一定重量の苗条原基を、浸透圧調節剤としてマニトー
ル、添加剤としてMES(2−(N−Morpholino)etha
nesulfonic acid monohydrate)およびCaCl2・2H2Oを
含む「洗い液」と共にホモジナイザーで磨砕する。な
お、浸透圧調節剤としては、上記の他にソルビトール、
ショ等、グルコース等が、また添加剤としてはポリビニ
ルピロリドンやデキストラン硫酸カルシウム塩等も使用
出来る。苗条原基が細片化された磨砕液をナイロンメッ
シュでろ過し、さらに洗い液で十分に洗浄する。
ル、添加剤としてMES(2−(N−Morpholino)etha
nesulfonic acid monohydrate)およびCaCl2・2H2Oを
含む「洗い液」と共にホモジナイザーで磨砕する。な
お、浸透圧調節剤としては、上記の他にソルビトール、
ショ等、グルコース等が、また添加剤としてはポリビニ
ルピロリドンやデキストラン硫酸カルシウム塩等も使用
出来る。苗条原基が細片化された磨砕液をナイロンメッ
シュでろ過し、さらに洗い液で十分に洗浄する。
このようにして得た材料に、細胞間物質であるペクチン
を分解する酵素としてペクトリアーゼY−23、細胞壁
を分解する酵素としてセルラーゼ・オノズカRS、そし
てマニトール、MES、CaCl2・2H2Oを含む酵素液を加
えて、20〜30℃の温度で24〜48時間、20〜3
0rpmの振とう速度で振とう処理してプロトプラストを
単離する。なお、ペクチン分解酵素としてはマセロチー
ムR10を、また細胞壁分解酵素としてはセルラーゼ・
オノズカR−10も使用出来る。
を分解する酵素としてペクトリアーゼY−23、細胞壁
を分解する酵素としてセルラーゼ・オノズカRS、そし
てマニトール、MES、CaCl2・2H2Oを含む酵素液を加
えて、20〜30℃の温度で24〜48時間、20〜3
0rpmの振とう速度で振とう処理してプロトプラストを
単離する。なお、ペクチン分解酵素としてはマセロチー
ムR10を、また細胞壁分解酵素としてはセルラーゼ・
オノズカR−10も使用出来る。
プロトプラストの培養方法 プロトプラストの培養は、単離、調整したプロトプラス
トを植物の組織培養培地、例えばガンボルグのB5培
地、ムラシゲ・スクーグのMS培地等をプロトプラスト
の性質に応じて選択した後、植物ホルモン類、例えばナ
フタレン酢酸(NAA)、2,4−ジクロロフェノキシ
酢酸(2,4−D)、インドール酢酸(IAA)等のオ
ーキシン類およびベンジルアデニン(BA)、KT−3
0、カイネチン、ゼアチン等のサイトカイニン類を添加
した寒天培地あるいは液体培地で培養する方法が通常行
われている。しかしながら、さらに有効な方法として、
上記の組織培養培地および植物ホルモン類の他にプロト
プラストを培養容器の中で支持するための支持体剤とし
て「ジェライト」を0.001〜0.05%の濃度範囲
で添加する方法がある。培養条件は初期は暗所で培養
し、プロトプラストの生育に伴って徐々に明るくして行
くのが好適である。また、培養期間中の温度としては2
0℃ないしは30℃が好ましいが、特に25ないし28
℃の間の温度が好ましい。
トを植物の組織培養培地、例えばガンボルグのB5培
地、ムラシゲ・スクーグのMS培地等をプロトプラスト
の性質に応じて選択した後、植物ホルモン類、例えばナ
フタレン酢酸(NAA)、2,4−ジクロロフェノキシ
酢酸(2,4−D)、インドール酢酸(IAA)等のオ
ーキシン類およびベンジルアデニン(BA)、KT−3
0、カイネチン、ゼアチン等のサイトカイニン類を添加
した寒天培地あるいは液体培地で培養する方法が通常行
われている。しかしながら、さらに有効な方法として、
上記の組織培養培地および植物ホルモン類の他にプロト
プラストを培養容器の中で支持するための支持体剤とし
て「ジェライト」を0.001〜0.05%の濃度範囲
で添加する方法がある。培養条件は初期は暗所で培養
し、プロトプラストの生育に伴って徐々に明るくして行
くのが好適である。また、培養期間中の温度としては2
0℃ないしは30℃が好ましいが、特に25ないし28
℃の間の温度が好ましい。
寒天培地による方法は、加温して溶融させた培地に、別
に調整したプロトプラストを添加、混合し、温度の低下
に伴って固化してゆく培地の中に浮遊状態で固定して培
養するものである。この場合に、プロトプラストを加温
状態の培地に入れることはプロトプラストのその後の生
存、生育にとって悪影響を及ぼす。
に調整したプロトプラストを添加、混合し、温度の低下
に伴って固化してゆく培地の中に浮遊状態で固定して培
養するものである。この場合に、プロトプラストを加温
状態の培地に入れることはプロトプラストのその後の生
存、生育にとって悪影響を及ぼす。
また、液体培地で培養する場合にも、ポリフェノールに
よる害作用を回避する必要があるだけでなく、液体培地
中に浮遊しているプロトプラストが凝集して、分裂や生
存が阻害されるので、これを回避することが必要であ
る。
よる害作用を回避する必要があるだけでなく、液体培地
中に浮遊しているプロトプラストが凝集して、分裂や生
存が阻害されるので、これを回避することが必要であ
る。
本発明において使用した「ジェライト」(「GELRIT
E」、Kelco社製、アメリカ)は細菌の一種であるPseudo
monas elodeaが菌体外に放出する多糖類を主成分とする
もので、一般にゲランガムと言われている。これを低濃
度で液体培地に添加することにより、培養容器の底部に
ゲル化したゲランガムの層が形成され、これにプロトプ
ラストが接着・支持される。このために、培養液を交換
する場合にもプロトプラストはゲランガム層に接着され
て、培養液と共に流出することなく交換が行われる。
E」、Kelco社製、アメリカ)は細菌の一種であるPseudo
monas elodeaが菌体外に放出する多糖類を主成分とする
もので、一般にゲランガムと言われている。これを低濃
度で液体培地に添加することにより、培養容器の底部に
ゲル化したゲランガムの層が形成され、これにプロトプ
ラストが接着・支持される。このために、培養液を交換
する場合にもプロトプラストはゲランガム層に接着され
て、培養液と共に流出することなく交換が行われる。
植物体の再生方法 プロトプラストを培養して得た細胞塊(カルス)を苗条
の再生する培地、例えばガンボルグのB5培地、ムラシ
ゲ・スクーグのMS培地等を用い、植物ホルモン類とし
て、例えば、ナフタレン酢酸(NAA)、2,4−ジク
ロロフェノキシ酢酸(2,4−D)、インドール酢酸
(IAA)等のオーキシン類、およびベンジルアデニン
(BA)、KT−30、カイネチン、ゼアチン等のサイ
トカイニン類を添加することによって容易に苗条を再生
させ、さらに発根させることが可能である。このように
して、完全な植物体が苗条原基由来のプロトプラストか
ら再生される。
の再生する培地、例えばガンボルグのB5培地、ムラシ
ゲ・スクーグのMS培地等を用い、植物ホルモン類とし
て、例えば、ナフタレン酢酸(NAA)、2,4−ジク
ロロフェノキシ酢酸(2,4−D)、インドール酢酸
(IAA)等のオーキシン類、およびベンジルアデニン
(BA)、KT−30、カイネチン、ゼアチン等のサイ
トカイニン類を添加することによって容易に苗条を再生
させ、さらに発根させることが可能である。このように
して、完全な植物体が苗条原基由来のプロトプラストか
ら再生される。
以下、実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
供試植物 ポプラ(Populus charkowiensis XP.caudina)、OP−2
0。
0。
苗条原基作出法 切り出してきたポプラの茎を70%エタノールおよび7
倍に希釈したアンチホルミン液で殺菌した後に茎頂部
(約0.5mm)を無菌的に切り出し、これを植物の組織
培養培地であるガンボルグのB5培地に植物ホルモンと
してナフタレン酢酸を0.05mg/、ベンジルアデニ
ンを0.4mg/の割合で添加し、またpHを5.6に調
整した液体培地に植えつけた。これを28℃の温度、2
0000ルクスの照度、そして2rpmの回転数で回転培
養した。
倍に希釈したアンチホルミン液で殺菌した後に茎頂部
(約0.5mm)を無菌的に切り出し、これを植物の組織
培養培地であるガンボルグのB5培地に植物ホルモンと
してナフタレン酢酸を0.05mg/、ベンジルアデニ
ンを0.4mg/の割合で添加し、またpHを5.6に調
整した液体培地に植えつけた。これを28℃の温度、2
0000ルクスの照度、そして2rpmの回転数で回転培
養した。
培養開始後、40日で直径10mmの大きさの緑色の苗条
原基塊を得た。3週間後にこれを直径約5〜10mmに分
割して新鮮な培地に植え継ぎ、植え継いでから2週間培
養したものをプロトプラストの単離・調整用の材料とし
た。
原基塊を得た。3週間後にこれを直径約5〜10mmに分
割して新鮮な培地に植え継ぎ、植え継いでから2週間培
養したものをプロトプラストの単離・調整用の材料とし
た。
プロトプラストの単離・調整 ポプラの苗条原基の継代後2週目のものを材料とし、1
mm前後の大きさに細片化するために、材料1gに対し
て、15mlの「洗い液」(10mM MES(2−(N−
Morpholino)ethanesulfonic acid monohydrate)、1
0mM CaCl2・2Ha2Oならびに13%マニトール、pH5.
6)を加えて20000rpmで10秒間、ホモジナイザ
ーで処理した。これをナイロンメッシュでろ過して破砕
液から細胞片のみを分画し、洗い液で2回洗浄した。
mm前後の大きさに細片化するために、材料1gに対し
て、15mlの「洗い液」(10mM MES(2−(N−
Morpholino)ethanesulfonic acid monohydrate)、1
0mM CaCl2・2Ha2Oならびに13%マニトール、pH5.
6)を加えて20000rpmで10秒間、ホモジナイザ
ーで処理した。これをナイロンメッシュでろ過して破砕
液から細胞片のみを分画し、洗い液で2回洗浄した。
洗浄した材料1gに対して20mの酵素液(1%セル
ラーゼ・オノズカRS、0.05%ペクトリアーゼY2
3、10mM CaCl2・2H2O、10mM MES、13%マ
ニトール、pH5.6)を加えて、暗条件下において、2
0〜30℃の温度、振とう回数20〜30rpmで24〜
48時間の酵素処理を行った。処理後、懸濁液をナイロ
ンメッシュでろ過して未消化の細胞塊を除き、さらに1
00gで3分間の遠心分離処理をして酵素液とプロトプ
ラストとを分離し、また洗い液で2回洗浄した後に培養
に供した。
ラーゼ・オノズカRS、0.05%ペクトリアーゼY2
3、10mM CaCl2・2H2O、10mM MES、13%マ
ニトール、pH5.6)を加えて、暗条件下において、2
0〜30℃の温度、振とう回数20〜30rpmで24〜
48時間の酵素処理を行った。処理後、懸濁液をナイロ
ンメッシュでろ過して未消化の細胞塊を除き、さらに1
00gで3分間の遠心分離処理をして酵素液とプロトプ
ラストとを分離し、また洗い液で2回洗浄した後に培養
に供した。
プロトプラストの培養と植物体の再生法 プロトプラストの培養培地は表1に示したガンボーグの
B5培地において、マニトール以外のものについて2倍
濃度のものを調整し、一方、9%のマニトール液(pH
5.6)に0.005%の割合でゲランガムを加えたゲ
ランガム液をオートクレーブする。十分に液が冷えた後
に、105コ/mの濃度でプロトプラストを含むプロ
トプラスト懸濁液とゲランガム液を1:1の割合で混合
して、直径6cmのシャーレにプレートした。なお、プレ
ートする量はシャーレ当たり3mとした。
B5培地において、マニトール以外のものについて2倍
濃度のものを調整し、一方、9%のマニトール液(pH
5.6)に0.005%の割合でゲランガムを加えたゲ
ランガム液をオートクレーブする。十分に液が冷えた後
に、105コ/mの濃度でプロトプラストを含むプロ
トプラスト懸濁液とゲランガム液を1:1の割合で混合
して、直径6cmのシャーレにプレートした。なお、プレ
ートする量はシャーレ当たり3mとした。
プレートしたプロトプラストを最初は暗条件で、その後
徐々に明条件にしながら、28℃で25日間培養した。
徐々に明条件にしながら、28℃で25日間培養した。
増殖したコロニーをマニトールの濃度を6、3、0%の
順に、またオーキシンも次第に濃度を下げ、一方ショ糖
は3%に上げて15日毎に移植した。プロトプラストの
培養開始2カ月後に、表1に示すガンボーグのB5培地
にNAAを0.02mg/、BAを0.02mg/、シ
ョ糖を3%、そして寒天を0.4%の濃度で加えた苗条
再生培地に移植した。そして、28℃で、16時間の日
長条件で培養した。
順に、またオーキシンも次第に濃度を下げ、一方ショ糖
は3%に上げて15日毎に移植した。プロトプラストの
培養開始2カ月後に、表1に示すガンボーグのB5培地
にNAAを0.02mg/、BAを0.02mg/、シ
ョ糖を3%、そして寒天を0.4%の濃度で加えた苗条
再生培地に移植した。そして、28℃で、16時間の日
長条件で培養した。
苗条再生培地に移植して2週間後に第1図に示すような
苗条が再生し、これをさらに表2に示す発根用培地に移
植して同様の条件で培養したところ、第2図に示すよう
に発根して植物体が再生された。
苗条が再生し、これをさらに表2に示す発根用培地に移
植して同様の条件で培養したところ、第2図に示すよう
に発根して植物体が再生された。
〔比較例〕 実施例に記載したポプラと同一の成木の茎を切り取って
長さ2cmに切断し、通常の方法に従って滅菌、洗浄した
後、形成層が露出する程度に無菌的に樹皮を剥皮した。
これをオーキシンであるNAAを0.1mg/、サイト
カイニンであるBAを0.2mg/、またKT−30を
0.02mg/の割合で添加し、さらにショ糖3%、寒
天0.8%の濃度で含むガンボーグのB5培地(pH5.
6)に挿木した。挿木後35日して得られた苗条からプ
ロトプラストを単離した。
長さ2cmに切断し、通常の方法に従って滅菌、洗浄した
後、形成層が露出する程度に無菌的に樹皮を剥皮した。
これをオーキシンであるNAAを0.1mg/、サイト
カイニンであるBAを0.2mg/、またKT−30を
0.02mg/の割合で添加し、さらにショ糖3%、寒
天0.8%の濃度で含むガンボーグのB5培地(pH5.
6)に挿木した。挿木後35日して得られた苗条からプ
ロトプラストを単離した。
無菌的条件下で苗条を1mm程度の長さ細断し、実施例に
示したのと同様の酵素処理ならびに洗浄を行ってプロト
プラストを単離・調整した。この結果、供試した苗条1
gから106コのプロトプラストが単離された。
示したのと同様の酵素処理ならびに洗浄を行ってプロト
プラストを単離・調整した。この結果、供試した苗条1
gから106コのプロトプラストが単離された。
単離・調整したプロトプラストをやはり実施例に記載し
たのと同様の方法で培養したが、培養開始後2〜3日す
るとプロトプラストにふくらみの認められるものが生じ
た。そして、1〜2回の分裂は観察されたが20日目に
は褐変、凝縮して培養を継続することは不可能であっ
た。
たのと同様の方法で培養したが、培養開始後2〜3日す
るとプロトプラストにふくらみの認められるものが生じ
た。そして、1〜2回の分裂は観察されたが20日目に
は褐変、凝縮して培養を継続することは不可能であっ
た。
以上説明したように、これまでは植物、特に木本性植物
の組織から単離、調整したプロトプラストから植物体を
再生することは極めて困難であったが、対象とする植物
の苗条原基を作出して、これから単離、調整したプロト
プラストを培養することによって容易に植物体を再生さ
せる事が可能になり、植物の新品種の創成に極めて有力
な方法を提供する。
の組織から単離、調整したプロトプラストから植物体を
再生することは極めて困難であったが、対象とする植物
の苗条原基を作出して、これから単離、調整したプロト
プラストを培養することによって容易に植物体を再生さ
せる事が可能になり、植物の新品種の創成に極めて有力
な方法を提供する。
第1図は継代培養されたプロトプラストの培養物を苗条
再生培地に移植して2週間後に苗条が再生した状態を示
す写真、第2図は、更に発根培地に移植して2週間後に
発根し完全な植物体となった状態を示す写真である。
再生培地に移植して2週間後に苗条が再生した状態を示
す写真、第2図は、更に発根培地に移植して2週間後に
発根し完全な植物体となった状態を示す写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 檜垣寅雄編集「種苗産業と育種新技術」 S58.10.28 (株)シーエムシー発行 P.171−197 平井篤志等著「植物細胞育種入門」S 58.3.25 学会出版センター P.9− 54
Claims (1)
- 【請求項1】継代培養された苗条原基を摘出し、ホモジ
ナイザーにより細片化処理し、酵素処理を行い次いでプ
ロトプラストを単離することを特徴とする苗条原基由来
のプロトプラストの製造方法。
Priority Applications (7)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62137647A JPH0631B2 (ja) | 1987-06-02 | 1987-06-02 | 苗条原基由来のプロトプラストの製造方法 |
GB8714160A GB2195656B (en) | 1986-06-26 | 1987-06-17 | Mass propagation through short primordia |
FR878709086A FR2606788B1 (fr) | 1986-06-26 | 1987-06-26 | Procede de reproduction en serie de plantes a partir des primordiums des pousses |
FR878718230A FR2610639B1 (fr) | 1986-06-26 | 1987-12-28 | Procede de regeneration de plantes a partir des protoplastes de primordiums de pousses |
GB9013960A GB2231585B (en) | 1986-06-26 | 1990-06-22 | Protoplast production and plant regeneration |
US07/917,677 US5310673A (en) | 1986-06-26 | 1992-07-22 | Mass propagation through shoot primordia and regeneration of plants from protoplasts of shoot primordia |
JP4350135A JP2649641B2 (ja) | 1987-06-02 | 1992-12-04 | プロトプラストから植物体を再生する方法 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62137647A JPH0631B2 (ja) | 1987-06-02 | 1987-06-02 | 苗条原基由来のプロトプラストの製造方法 |
JP4350135A JP2649641B2 (ja) | 1987-06-02 | 1992-12-04 | プロトプラストから植物体を再生する方法 |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4350135A Division JP2649641B2 (ja) | 1986-06-26 | 1992-12-04 | プロトプラストから植物体を再生する方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS63301784A JPS63301784A (ja) | 1988-12-08 |
JPH0631B2 true JPH0631B2 (ja) | 1994-01-05 |
Family
ID=26470885
Family Applications (2)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62137647A Expired - Fee Related JPH0631B2 (ja) | 1986-06-26 | 1987-06-02 | 苗条原基由来のプロトプラストの製造方法 |
JP4350135A Expired - Fee Related JP2649641B2 (ja) | 1986-06-26 | 1992-12-04 | プロトプラストから植物体を再生する方法 |
Family Applications After (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4350135A Expired - Fee Related JP2649641B2 (ja) | 1986-06-26 | 1992-12-04 | プロトプラストから植物体を再生する方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (2) | JPH0631B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN116426457B (zh) * | 2023-04-04 | 2023-09-29 | 山东鲁台农业科技有限公司 | 一种木立芦荟原生质体的提取工艺 |
-
1987
- 1987-06-02 JP JP62137647A patent/JPH0631B2/ja not_active Expired - Fee Related
-
1992
- 1992-12-04 JP JP4350135A patent/JP2649641B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (2)
Title |
---|
平井篤志等著「植物細胞育種入門」S58.3.25学会出版センターP.9−54 |
檜垣寅雄編集「種苗産業と育種新技術」S58.10.28(株)シーエムシー発行P.171−197 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS63301784A (ja) | 1988-12-08 |
JP2649641B2 (ja) | 1997-09-03 |
JPH05304849A (ja) | 1993-11-19 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Shekhawat et al. | Factors affecting in vitro clonal propagation of Prosopis cineraria | |
Lai et al. | Somatic embryogenesis in longan [Dimocarpus longan Lour.] | |
Chalupa | Vegetative propagation of oak (Quercus robur and Q petraea) by cutting and tissue culture | |
Radojevic | Plant regeneration of Aesculus hippocastanum L.(horse chestnut) through somatic embryogenesis | |
Vieitez et al. | Somatic embryogenesis and plant regeneration from embryonic tissues of Camellia japonica L. | |
GB2195656A (en) | Mass propagation through shoot primordia and regeneration of plants from protoplasts of shoot primordia | |
Mathews et al. | A revised protocol for efficient regeneration of somatic embryos and acclimatization of plantlets in pecan, Carya illinoensis | |
US5310673A (en) | Mass propagation through shoot primordia and regeneration of plants from protoplasts of shoot primordia | |
US5312801A (en) | Somatic embryogenesis and plant regeneration of cacao | |
Bonga et al. | Somatic embryogenesis in Larix | |
Shibata et al. | Micropropagation of Croton sublyratus Kurz—a tropical tree of medicinal importance | |
JP2001511652A (ja) | サトウキビの生産 | |
JPH01165316A (ja) | 培養細胞からのワタの再生方法 | |
JPH0631B2 (ja) | 苗条原基由来のプロトプラストの製造方法 | |
JPH0731310A (ja) | クルクリゴ属植物の苗の生産方法 | |
JP2562909B2 (ja) | 木本性植物由来の苗条原基集塊から木本性植物由来の苗条原基集塊を大量に増殖する方法及び該苗条原基集塊から植物体を再生する方法 | |
Thorpe et al. | Clonal propagation of conifers | |
Aboel-Nil | Tissue culture of Douglas-fir and Western North American conifers | |
Bonga et al. | Clonal propagation | |
JPH0937666A (ja) | エンジュの組織培養法 | |
JPH03277219A (ja) | バラの組織培養法 | |
JP2623320B2 (ja) | 木本性植物のプロトプラストから植物体を再生する方法 | |
Deb et al. | Research Article In vitro Immature Embryo Culture and Propagation of Paphiopedilum villosum Var. Boxallii (Rchb. f.) Pfitzer | |
JPH08172955A (ja) | オオムギ植物体の再生方法 | |
JPH0430810B2 (ja) |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |